画像:住民参画システム利用の手引き 〜地域SNS、公的認証対応アンケートシステム〜
トップページ総論>4-2 地方行政への住民参画におけるICT活用の可能性
目次
座長あいさつ
総論

1. 趣旨
2. 地域をとりまく環境変化
3. 地域における住民参画の必要性

4. ICT活用の可能性と課題
4-1 地域社会への住民参画におけるICT活用の可能性
4-2 地方行政への住民参画におけるICT活用の可能性
4-3 ICT活用の課題

5. ICTを活用した「地域の課題解決力」の向上に向けて


導入検討編
実践編 地域SNS

実践編 電子アンケートシステム
資料編
4-2 地方行政への住民参画におけるICT活用の可能性

 まず、政策の企画・立案、決定、執行そして評価に至る各段階において住民参画が行われる前提として、情報を公開することによって行政の透明性を向上させたり、住民に対するアカウンタビリティ(説明責任)を果たすなど、個人情報保護に配慮しつつ、徹底した情報公開と十分な行政情報の提供が必要です。
行政情報の提供手段として、情報の量、質、スピード、入手コスト等において、ICTの活用は極めて有効です。例えば、広報誌であれば発行回数や紙面上の制約もあり一般的な内容にとどまっていたのが、インターネット上のホームページでは更新も随時、様々な住民ニーズに対応して大量の情報をタイムリーに提供することができます。また、情報公開窓口における対応は基本的に平日の昼間窓口が開いている時間に限られますが、ホームページ上であれば24時間365日閲覧が可能です。さらに、葉書や新聞広告などによるお知らせに比べて、メールマガジン(電子メールの一斉配信)やホームページによる情報提供は機動的であり、手間やコスト面でも優れています。

 次に、政策の企画・立案、決定、執行そして評価に至る各段階において住民参画が行われる手段としても、地理的・時間的制約のない点、「実質的機会の均等性」、「透明性」等の観点からICTの活用は有効であるといえます。従来からの住民参画の方法として、4年に1回の選挙以外には、市政モニターや審議会の住民代表委員になることが挙げられますが、参加人数は限られています。このほか、市政懇談会、住民説明会等に参加する方法もありますが、忙しいビジネスパーソン、介護や育児でなかなか外へ出られない方、療養や高齢のため一人での外出が難しい方、車いすの障害者、ある特定のテーマでは関心が高いもののわざわざ集会へ出かけようとまでのモチベーションは持てない方などは、地理的・時間的制約から参加することが難しいといえます。また、議論の内容が行政への苦情や要望など一方的なものになりがちであることなどの問題点もあります。

 一方、インターネット上のコミュニティ、会議室等であれば、地理的・時間的制約がないため、いつでも、どこでも、誰でも参加することができ、年齢、職業、居住地などの属性に関係なく議論することが可能となります。従って、これまで関わることが難しかった忙しいビジネスパーソンや車いすの障害者などが関わることができるようになり、「実質的な機会の均等性」が高い手段であるといえます。また、市政懇談会や住民説明会のように断続的に開催されるものではなく、インターネット上で常時開催されていることから、継続的に議論に関わることが可能となります。さらには、議論がインターネット上にオープンにされていることから政策形成に至るまでの過程の「透明性」が非常に高いといえます。

 また、住民の意向を把握する際にも、従来の紙及び郵送でのアンケート調査やわざわざ投票所に足を運ぶ住民投票に比べて、インターネットを活用した電子アンケートは格段に安いコストと手間で、必要に応じて繰り返し聞き取ることもできるなど機動的な運用が可能になります。

総務省 | 財団法人地方自治情報センター