EU

EUの動向 : 機関概要 | EUの組織 | 現行の規制枠組みと手続き| 政策動向

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EUの動向

機関概要

設立目的

欧州域内の経済的統合を目指して発展してきた欧州共同体(EC)を基礎に、1993年11月、「マーストリヒト条約」に従って創立された。超国家性を有する「欧州共同体・欧州原子力共同体」、政府間協力による「共通外交及び安全保障政策」「警察及び刑事事項における司法協力」という三つの柱のもと、活動を行ってきたが、2009年12月1日のリスボン条約発効とともに一本化された。

加盟国

2011年末現在、EUの加盟国は27か国である。1951年調印のパリ条約によって欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が創設、更に1957年のローマ条約によって欧州経済共同体(EEC)と欧州原子力共同体(EURATOM)が設立されて以来、EU(EC)は6度にわたって拡大してきた。

ECSC、EEC、EURATOMを設立した6か国(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ)は「原加盟国」と呼ばれる。また1995年の第4次拡大までの加盟国を「EU15か国」、2004年以降の加盟国を「新規加盟国」と呼ぶことがある。トルコ、マケドニア、クロアチア、アイスランド、モンテネグロ、セルビアが欧州理事会によって加盟候補国として承認されており、トルコ、クロアチア、アイスランドは、2005年から交渉を開始している。

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EUの組織

EU法の種類

EU法は第一次法と第二次法に分類される。第一次法はEUを基礎付ける条約、第二次法は、条約に法的根拠をもち、そこから派生する法である。EU法あるいは派生法と呼ばれる。第二次法(以下、EU法)は適用範囲と法的拘束力の強弱によって、(1)規則(Regulation)、(2)指令(Directive)、(3)決定(Decision)、(4)勧告・意見(Recommendation/Opinion)の4種類が存在する。

(1)規則
(Regulation)
すべての加盟国を拘束し、直接適用性(採択されると加盟国内の批准手続を経ずに、そのまま国内法体系の一部となる)を有する。
(2)指令
(Directive)
(「命令」と呼称されるときもある)
指令の中で命じられた結果についてのみ、加盟国を拘束し、それを達成するための手段と方法は加盟国に任される。指令の国内法制化は、既存の法律がない場合には、新たに国内法を制定、追加、修正することでなされる。一方、加盟国の法の範囲内で、指令内容を達成できる場合には、措置を執る必要はない。加盟国の既存の法体系に適合した法制定が可能になる反面、規則に比べて履行確保が複雑・困難になる。
(3)決定
(Decision)
特定の加盟国、企業、個人に対象を限定し、限定された対象に対しては直接に効力を有する。一般的法規というよりは、個別的かつ具体的内容を有する。
(4)勧告・意見
(Recommendation/Opinion)
EU理事会及び欧州議会が行う見解表明で、通常は欧州委員会が原案を提案するもので、(1)~(3)とは異なり法的拘束力を持たない。

EU法の立法過程における決定手続

通常、立法手続は次のような過程をとる。欧州委員会が欧州議会とEU理事会に提案を提出する。その後、欧州議会で第一読会が開かれる。欧州議会の意見を受け、EU理事会は欧州議会の意見を承認するか、しないかを決定する。

承認しない場合は、EU理事会は「共通の立場」を採択し、それを欧州議会に伝える。欧州議会では第二読会が開かれ、そこで承認、否決、修正が行われる。

修正の場合は再度EU理事会に伝えられ、そこで承認ないしは否決が行われる。否決された場合には、欧州議会とEU理事会からなる調停委員会が開催され、そこで共同案が出される。この共同案を、両者が承認すれば採択、否決すれば不採択に終わる。

通常決定手続においては、欧州議会とEU理事会は、少なくとも1回は提案(法案)の審議に加わることができる。

EUの主要機関

EUには様々な機関が存在しているが、通信分野においては、(1)欧州理事会、(2)欧州連合理事会、(3)欧州議会、(4)欧州委員会、(5)欧州連合司法裁判所が主なものとして位置付けられる。

(1)欧州理事会
(European Council)
「EUサミット」、又は「EU首脳会議」と呼称されることもある。欧州連合の全体的な政治指針と優先課題を決定する。メンバーは加盟国の元首・首脳と欧州委員会委員長、欧州理事会議長で構成され、外務・安全保障政策上級代表も任務遂行に参加する。
(2)欧州連合理事会
(Council of the European Union)
EUの主たる決定機関である。「閣僚理事会」、又は「EU理事会」と呼称されることもある。本部はブリュッセルに置かれ、特定の会議はルクセンブルグで開かれる。議長国は半年交代の輪番制で、2011年前半はハンガリー、後半はポーランドである。欧州議会と立法機能及び予算権限を共有し、共通外交及び安全保障政策と経済政策調整で中核的な役割を担う。EU理事会は、加盟国の分野別閣僚(担当大臣)によって構成され、その分野は九つに分かれている(一般事項及び対外関係、経済財政事項、司法内務分野における協力、雇用・社会政策・健康・消費者事項、競争、運輸・電気通信・エネルギー、農業・漁業、環境、教育・若者・文化)。EU理事会における意思決定の方法には、全会一致、単純多数決、特定多数決がある。
(3)欧州議会
(European Parliament)
EU理事会と並ぶ、EUの主たる決定機関である。欧州議会は、本会議はストラスブール(フランス)、一部の本会議、委員会及び事務局支部がブリュッセル、事務局本部はルクセンブルクに置かれている。本会議では、各委員会で討議された法案などについての報告書が審議されるほか、EU内部の事項、国際情勢なども討議され、決議・勧告などが採択される。委員会は、具体的な政策を討議し、欧州議会としての意思決定のため準備を行う。欧州議会は、かつては諮問機関としての位置付けだったが、条約の改正を重ねることでその権限を拡大してきた。現在、EU市民の民意が反映される場として、(1)立法権、(2)予算に関する権限、(3)欧州委員会に対する監督、(4)EU理事会に対する監視、その他欧州市民からの請願の検討、EU機関による行政過誤に対する苦情を処理するオンブズマンの任命などの権限も有する。
(4)欧州委員会
(European Commission)
EUの執行及び政策決定機関としての機能を担い、主に以下を所掌する。
  • EUの政策及び法案の提案:EUの諸機構において唯一、法案提出権を有する。EU法の立法はすべて欧州委員会の提案に基づいて開始される。
  • EU法(条約、条約の規定に基づく決定等)の公正な適用の監督: 欧州委員会は、条約違反を理由に加盟国をも提訴できる。また必要に応じて欧州裁判所に司法判断を仰ぐこともある。更に、EUの競争ルール違反等の理由で、個人や法人に罰金を科すこともできる。
  • EUの行政及び執行機関として機能: 条約の特定の条項を施行するための規則を制定し、EUの活動に割り当てられた予算の拠出を管理する。
  • 競争法分野における立法: 原則として、欧州委員会に立法権限は付与されていないが、競争法分野においては、立法権を有している。また、EU理事会によって制定されたEU法の執行に関する規則を制定する。
(5)欧州連合司法裁判所
(Court of Justice of the European Union)
EU諸条約を含めたEU法の遵守を確保するため、その解釈、適用及びEU諸機関のすべての行為において必要な司法上の保護措置の実施を役割とする。欧州連合司法裁判所は、欧州司法裁判所(the European Court of Justice)、一般裁判所(the European Court of First Instance)、そして専門裁判所で構成される。
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現行の規制枠組みと手続き

電子通信規制パッケージ(通信分野)

  • 2009年12月に通信規制に関する新しい規則と指令が公布された。新しい規則に伴い27加盟国の電子通信規制団体の代表者から構成されるBEREC(欧州電子通信規制者団体)が設立された。BEREC設立にかかる規則以外の2指令は、既存の通信規制パッケージの各指令や規則の各条項の改正を規定したものである。
2009年に採択された電子通信規制に関する規則・指令
名称 内容
1 BEREC(欧州電子通信規制者団体)の設立と事務局に関する規則(1211/2009)
2 「市民の権利」指令
(2009/136/EC)
ユニバーサル・サービス指令(2002/22/EC)、プライバシー保護指令(2002/58/EC)、消費者の権利保護に関する法の執行機関間における協力に関する規則(No2006/2004)の改正
3 「よりよい規制」指令
(2009/140/EC)
枠組み指令(2002/21/EC)、アクセス指令(2002/19/EC)、認可指令(2002/20/EC)の改正

2002年から適用されている従来のパッケージの概要は下表のとおりである。

「電子通信規制パッケージ」
枠組み指令
(2002/21/EC)
電子通信網及びサービスに関し、EU域内で統一的な規制枠組みを確立するため、各国規制団体(NRA)の権限及び所掌、事業者間紛争の解決、市場分析手続、SMP事業者規制、無線周波数や番号といった稀少資源の管理等を規定。特にSMP事業者の指定については、従来市場シェア25%以上を基準にしていたのとは異なり、EU競争法の概念に適合させている。
認可指令
(2002/20/EC)
EU域内での事業参入許可に関する手続・条件の調和・簡略化を図るため、一般認可により付与される権利及び課される条件等を規定。なお、従来も一般認可制度の採用を優先させていたが、各加盟国の裁量下にあったため、大多数の加盟国は個別免許制度を維持した。しかしこれが国境を越えたサービス等の発展の妨げになることから、本指令では、希少資源の無線周波数及び番号の割当て以外は一般認可による旨を規定。
アクセス指令
(2002/19/EC)
電子通信網へのアクセス・相互接続に関する規制をEU域内で調和させるため、事業者の権利・義務、SMP事業者の義務等を規定。アクセス・相互接続の条件は、当事者間の完全な商業的交渉による。SMP事業者に対し透明性の確保、非差別性、会計分離等の義務を課すことを各国NRAに要求。また、デジタルテレビ・サービスへのアクセスを提供する条件付アクセス事業者に対しては、公平で合理的かつ非差別的条件でサービスを提供する義務を課している。
ユニバーサル・サービス指令
(2002/22/EC)
EU域内における同サービスを確保するため、その定義、範囲、費用算定、財源、関連する利用者の権利等を規定。定義及び範囲は従来の規定と同じ(固定回線による音声電話、公衆電話、番号案内等)であるが、定期的な見直しを予定し、最初の見直しは施行後2年以内に実施。NRAは、同サービス提供事業者を指定することができ、同サービス実施費用の拠出は、政府の一般財源による補償又は基金による共同負担のいずれかとすることができる。また、利用者の権利として、再販売価格規制、サービス品質に関する情報公開、番号ポータビリティ、優先接続、指定されたラジオ放送及びテレビ放送を伝送するマスト・キャリー義務等を関連事業者に課すことを規定。
電子通信データ保存に関する指令
(2006/24/EC)
旧「eプライバシー保護指令」
(2002/58/EC)
テロや組織犯罪の捜査のために電子通信サービス事業者は、6か月から2年間、顧客の通信データを保存する義務を負う。これにかかる費用は事業者が負担する。
競争指令
(2002/77/EC)
従来の競争関連諸指令を、新たな義務の追加なしで統合した。電子通信網及びサービスの提供に伴う独占権等の特別な権利の廃止等、競争に関する基本事項を規定している。なお、本指令は、欧州委員会で2002年9月16日に採択、その翌日に官報に掲載された。加盟国は、2003年7月24日までに国内法制化状況を同委員会に報告する義務を負う。

オーディオ・ビジュアル・メディア・サービス(AVMS)規制分野

欧州議会は、2007年11月29日、「オーディオ・ビジュアル・メディア・サービス(AVMS)指令(2007/65/EC)」を採択した。加盟国は2009年末までにAVMS指令を国内法に反映させることが義務付けられた。

AVMS指令は、欧州におけるテレビ及びテレビ類似サービス提供者の規制による負担を軽減するとともに、広告の新たな形式を定めることによって、柔軟性を高めることを目的としている。テレビ及びテレビ類似サービスは、それぞれリニア・サービスとノンリニア・サービスとして区別される。

  • リニア・サービス:従来のテレビ放送、インターネット、移動電話などを通じた、スケジュール化されたサービスであり、視聴者に対してコンテンツを一方的に提供(pushes)するもの
  • ノンリニア・サービス:オン・デマンド・サービス。視聴者がネットワークから引き出す(pulls)もの。

個人的な通信(注:eメール、ブログのような個人的なウェブサイトなど)、電子版の新聞、雑誌、オーディオ・ビジュアル・コンテンツの提供を主目的としないウェブサイトなどは、AVMS指令案の適用範囲外になっている。

リニア・サービスには、現在テレビ放送に適用されているルールを適用するが、ノンリニア・サービスに関しては、青少年保護、人種などに基づく憎悪助長禁止、消費者をミスリードする広告(不正広告)の禁止など、基本的で最低限の原則のみが適用されることとなる。

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政策動向

欧州情報化戦略「i2010」

2005年、欧州委員会はリスボン戦略に基づく情報社会政策として、5か年計画の「i2010」を掲げた。同政策は、(1)単一の欧州情報市場の創造、(2)ICT研究におけるイノベーションと投資強化、(3)包括的な欧州情報社会の推進、という三つの主要目標で構成されている。

2009年に発行された「Europe's Digital Competitiveness Report(Annual Report 2009)」では「i2010」の成果報告が行われている。同報告書では具体的成果が以下のように示されている。

  • インターネット利用者の増加

    インターネットの定期的な利用者が2005年の43%から2008年には56%に増加。高齢者や教育水準の低い者といった社会的弱者の利用も増加した。

  • ブロードバンド・インターネットの普及

    利用者は1億1,400万人となり、欧州域内の半数世帯、及び80%の事業所にブロードバンドが普及した。うち4分の3は最大通信速度2Mbps以上で接続している。

  • 携帯電話の普及率が100%超に

    2004年に84%だった携帯電話の普及率は2009年には114%に達した。この間、通話等にかかる料金は34.5%低下した。またローミング料金は2005年比で70%低下した。

  • パブリックサービスの向上

    欧州市民の3分の1、並びに欧州に拠点を置く事業者の70%が電子政府サービスを利用している。

「Europa2020」

欧州委員会は、2010年3月3日、今後10年間の欧州経済戦略「Europe2020」を発表した。同戦略において、欧州委員会は、成長のための三つの要素を挙げ、EU並びに各国家のレベルで具体的な行動の実施を決めた。

  • 「スマートな成長」:知識、イノベーション、教育、デジタル社会の発展
  • 「持続可能な成長」:競争を促進しつつ、資源の有効活用も促進する
  • 「包括的成長」:労働市場における雇用の創出、技能の習得及び貧困の撲滅

この3大成長の実現のために、「5大目標」(雇用、R&D、環境、教育、貧困)が設定されており、更に5大目標の実現手段として、七つの「最重要イニシアチブ」が設定された。同イニシアチブのうち、「欧州デジタル・アジェンダ(The Digital Agenda for Europe)」がICT分野に対応している。デジタル・アジェンダは「i2010」の実質的な後継政策となる。

「欧州デジタル・アジェンダ」

2010年5月19日、欧州委員会はデジタル・アジェンダの行動計画を記したコミュニケーションを発行した。その中では全体目標として、「超高速インターネットを基盤として、ヨーロッパ全体の『デジタル単一市場』を創設し、これにより持続可能な経済的、社会的便益を得ることが可能になること」を掲げている。また、目標実現のため2013年までに、すべてのヨーロッパ人が高速インターネットを利用可能にしなければならないとしている。

同行動計画に関して、欧州委員会は以下の七つの優先課題を挙げた。

  • デジタル単一市場の創出
  • 域内共通のICT標準の設置と相互運用の改善
  • インターネットの信頼性と安全の向上
  • 高速/超高速インターネット接続の拡大
  • 最先端研究や技術開発への投資拡大
  • 市民のデジタル・リテラシー、スキル、社会的包摂の促進
  • 欧州社会の利益とICT

電波政策

欧州委員会は2010年6月、790-862MHz帯をデジタルテレビの跡利用として、2013年までに電子通信サービスとして利用可能とすることを加盟国に求めている。更に「Europa2020」及び「欧州デジタル・アジェンダ」の目標達成のためのワイヤレスブロードバンド実現のために、周波数政策を求めた「5か年無線周波 数政策プログラム(Radio Spectrum Policy Programme:RSPP)」Decision案が2010年9月に欧州委員会から提案された。2011年12月、EU閣僚が同案を承認し、2012年2月には欧州議会も同案を承認した。RSPPにおいては、次のことが加盟国に求められている。

  • 2013年初めまでに10MHz以上のブロックの周波数割当ての実現
  • 2020年までに、EU全市民に30Mbps以上のブロードバンドを実現するための周波数割当てを実現
  • 2012年初めまでに、900/1800MHz帯、2.5-2.69GHz帯、3.4-3.8GHz帯を無線ブロードバンドへ開放
  • 2013年初めまでに、790-862MHz帯の電子通信サービスに利用を確保
  • 790-862MHz、880-915MHz、925-960MHz、1710-1785MHz、1805-1880MHz、1900-1980MHz、2010-2025MHz、2110-2170MHz、2.5-2.69GHzでの周波数取引を可能とする
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