● 指針のポイント |
● 「市町村の合併の推進についての指針」 |
(参考) 地方分権推進計画(平成10年5月29日閣議決定)
第6 地方公共団体の行政体制の整備・確立
2 市町村の合併等の推進
(1) 市町村の合併の推進
(ア) 市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターン等を内容とする市町村の合併の推進についての要綱を都道府県が作成し、周知するよう要請する。
(イ) 都道府県が合併のパターンを作成する際の参考となる事項を明らかにした市町村の合併の推進についての指針を作成し、地方公共団体等に通知する。
(1) 都道府県の「市町村の合併の推進についての要綱」の作成
都道府県は、「市町村の合併の推進についての要綱」を平成12年中のできるだけ早い時期に作成する。
(2) 要綱の構成
(4) 市町村合併の類型
別紙2の「合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型」を参考にして市町村の合併のパターンを作成する。
(5) 国による合併推進のための支援策
広域的な観点からのまちづくりの展開、重点的な投資による基盤整備の推進、総合的な活力の強化、地域のイメージアップ、環境問題、観光振興など広域的な調整が必要な施策の展開などが可能となる。
[例]
住民にとってサービスの選択の幅が広がるとともに、現在のサービス水準を確保しつつ、より高い水準のサービスを安定的に受けられるようになる。
[例]
行財政運営の効率化により、少ない経費でより高い水準の行政サービスが可能になるとともに、総合的な行政が展開できる。
[例]
類 型 | 想定される典型的な地域 | 合併を通じて実現すべき目標 | 人口規模と関連する事項 |
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1 人口50万人超 |
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2 人口30万人・20万人程度 |
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3 人口10万人前後 |
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4 人口5万人前後 |
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5 人口1万人〜2万人程度 |
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自治振第95号
平成11年8月6日
自治事務次官
21世紀の到来を目前に控え、地方分権の推進、少子・高齢化の進展、国・地方を通じる財政の著しい悪化など、市町村行政を取り巻く情勢は大きく変化しています。こうした中にあって、基礎的地方公共団体として総合的に住民サービスの提供の責務を負う市町村は、その行財政基盤の強化や広域的対応が強く求められており、市町村合併の推進が大きな課題となっています。
このため、国においては、先般、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)により「市町村の合併の特例に関する法律」(以下「合併特例法」という。)を改正し、一部の規定を除いて公布の日から即日施行した(「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(市町村の合併の特例に関する法律の一部改正関係)等の施行について」(平成11年7月16日自治振第87号 各都道府県知事あて自治事務次官通知)参照)ほか、各般の行財政措置を講じ、市町村合併を一層推進することとしています。
市町村合併は、もとより市町村の主体的な取組の下に進められるものですが、同時に、その円滑な推進に当たり、地域の実情を熟知した広域的な地方公共団体である都道府県の果たす役割が重要であります。そこで、平成11年の改正後の合併特例法第16条第1項の規定を踏まえ、別添のとおり「市町村の合併の推進についての指針」を策定し、お示しすることといたしました。各都道府県におかれては、この指針を参酌して、市町村の合併の検討の際の参考や目安となる合併のパターン等を内容とする「市町村の合併の推進についての要綱」を策定し、これに基づき、市町村の合併に向けた取組について積極的な支援に努められるよう要請します。
なお、この趣旨及び別添の指針について、貴都道府県内の市町村に対しても併せて周知されるようお願いします。
(別添)
平成11年8月6日
自治省
第1 市町村合併の推進に当たっての基本的考え方
市町村合併は、市町村のあり方に関わる重大な問題であることから、市町村の主体的な取組が必要である。同時に、都道府県は、市町村を包括する広域の普通地方公共団体として、市町村合併を自らの問題と捉えたうえで、積極的に働きかけ、市町村の取組を促すことが期待されるが、これらの都道府県の支援等は、第2に掲げる「市町村の合併の推進についての要綱」(以下「要綱」という。)を定めて行うことが適切である。その際、都道府県は、市町村が合併を検討する際の参考や目安となるものとして、市町村合併のパターンを作成することとすることが重要である。
市町村及び都道府県は、平成11年の「市町村の合併の特例に関する法律」(以下「合併特例法」という。)の改正後も平成17年3月31日までの期限は延長されていないことに十分留意し、早急に対応することが求められる。したがって、都道府県が、平成12年中のできるだけ早い時期に要綱を策定し、全国的な取組を一定の期間内に推進することによって、合併の気運の醸成が図られることが望まれる。
市町村合併には、総合的な地域づくり・まちづくり、住民サービスの維持・向上、行財政の運営の効率化と基盤の強化など、多くの効果が期待されるが、他面で市町村と地域社会との関係について、市町村合併をすれば『住民の顔が見えるぬくもりのある行政』が展開されにくくなるのではないかという懸念も聞かれるところである。しかしながら、合併により市町村の規模が拡大する場合においても、行政が地域に密着した問題を住民の参加や住民との共働の下に解決していくための仕組みを作りあげていくこと等により、住民の帰属意識に基づく地域社会を形成・維持することができるものである。また、市町村の規模の拡大により、行政との距離が遠くなるとの懸念についても、支所、出張所の設置、地域審議会の活用、公共施設等のネットワークの活用など、地域社会の振興に配慮した様々な施策を展開していくことにより克服することができるものである。なお、合併特例法において、市町村議会議員の選挙区を暫定的に設定することができることとされているほか、公職選挙法においても、特に必要があるときは、条例で選挙区を設けることができることとされていることにも留意を要する。
今後の市町村合併においては、合併後の市町村の一体性のみならず、市町村内の各 地域のまとまりも重視しながら、社会経済情勢の変化を踏まえた地域社会の振興のた めの施策を展開し、個性豊かな地域社会の創造を目指すことが重要である。
市町村行政の広域化の要請に対処して、一部事務組合や広域連合などのような市町村の枠組の変更を伴わない広域行政に関する諸制度を活用した特定の分野における事務の共同処理が既に幅広く行われ、一定の成果もあがっているところであるが、ややもすれば、責任の所在が不明確となりがちであり、また、関係団体との連絡調整に相当程度の時間や労力を要するために迅速・的確な意思決定を行うことができず、事業実施等に支障を生じる場合も見受けられる。したがって、人材を確保し、かつ、地域の課題を総合的に解決する観点からは、市町村合併により、意思決定、事業実施などを単一の地方公共団体が行うことがより効果的である。
もっとも、広域にわたる行政課題に緊急に対応する必要が生じた場合などにおいて は、広域行政制度が活用されることも想定されるが、このような場合において、広域 行政の実績を積み重ねることにより、結果的に地域の一体感がさらに醸成され、将来 市町村合併を検討するにふさわしい状況がつくりだされ、進んで市町村の合併が検討 されることが期待される。
市町村の合併のパターンの作成に当たっては、行政サービスの質・量に最も関係の深い人口規模のほか、次の事項についても留意するものとする。
なお、一律の基準により市町村の適正規模を示すことは困難であるが、合併後の人口規模と地域の特性を組み合わせた類型としては、別紙2の「合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型」が参考となるものである。
なお、上述の(3) をみれば、保健福祉、学校教育といった基幹的な行政サービスを適切・効率的に提供するためには、少なくともこの「5 人口1万人〜2万人程度」という類型の規模は期待される。