市町村の合併の推進についての指針


 指針のポイント
 「市町村の合併の推進についての指針」

「市町村の合併の推進についての指針」のポイント

平成11年8月
自治省行政局
  1. 指針の位置付け
     自治事務次官から都道府県知事に対し、『市町村の合併の推進についての要綱』の作成を具体的に要請

    (参考) 地方分権推進計画(平成10年5月29日閣議決定)
     第6 地方公共団体の行政体制の整備・確立
     2 市町村の合併等の推進
     (1) 市町村の合併の推進

      ア 自主的な市町村の合併を推進するため、次のような行財政措置を講じることとし、このため、必要な法改正を行う。

      (ア) 市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターン等を内容とする市町村の合併の推進についての要綱を都道府県が作成し、周知するよう要請する。
      (イ) 都道府県が合併のパターンを作成する際の参考となる事項を明らかにした市町村の合併の推進についての指針を作成し、地方公共団体等に通知する。

  2. 指針のポイント
    (1) 都道府県の「市町村の合併の推進についての要綱」の作成
     都道府県は、「市町村の合併の推進についての要綱」を平成12年中のできるだけ早い時期に作成する。
    (2) 要綱の構成 (3) 市町村の合併のパターンの内容
    1.  合併対象地域についての具体的な検討が容易となるよう、合併することが適当と考えられるような市町村の組合せを分かりやすく、地図上に示す
    2.  都道府県内のすべての市町村を視野に入れて、将来の市町村の区域を検討するとともに、今後の地域全体の発展を展望し、作成する。
    3.  地図上に示す場合、一通りの組合せを示すことが分かりやすいが、市町村の結びつきに関する要素等を勘案し、複数の組合せを示すことも考えられる
    4.  パターンについては、合併の気運や熟度に応じ、適宜、適切な改訂を行うものとする。

    (4) 市町村合併の類型

    別紙2の「合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型」を参考にして市町村の合併のパターンを作成する。

    (5) 国による合併推進のための支援策

    1.  市町村合併の支援に関する関係省庁間の連携強化等
       市町村合併の推進のための財政上の措置その他の措置について関係省庁間の連携強化等を図る。
    2.  地方財政措置
      •  普通交付税の算定の特例(合併算定替)の期間の延長(改正合併特例法)
      •  合併市町村のまちづくりのための建設事業に対する合併特例債(改正合併特例法)
      •  合併市町村の振興のための基金造成に対する合併特例債(改正合併特例法)
      •  合併直後の臨時的経費に対する普通交付税措置
      •  合併関係市町村間の公債費負担格差是正のための特別交付税措置
      •  都道府県の行う合併支援経費に対する特別交付税措置
      •  市町村における合併協議会設置経費等合併準備経費に対する特別交付税措置
      •  都道府県の行う合併のための調査・研究、気運醸成等に要する経費に対する普通交付税措置

    3.  市町村合併に関する情報提供
        市町村合併の意義や必要性、メリット並びに改正合併特例法の内容、国会における市町村合併の論議等について積極的に情報提供。

(別紙1)
【市町村合併の一般的な効果】
 市町村合併の効果としては、次のようなことが挙げられる。
  1.  地域づくり・まちづくり

    広域的な観点からのまちづくりの展開、重点的な投資による基盤整備の推進、総合的な活力の強化、地域のイメージアップ、環境問題、観光振興など広域的な調整が必要な施策の展開などが可能となる。

    [例]

  2.  住民サービスの維持、向上

    住民にとってサービスの選択の幅が広がるとともに、現在のサービス水準を確保しつつ、より高い水準のサービスを安定的に受けられるようになる。

    [例]

  3.  行財政の運営の効率化と基盤の強化

    行財政運営の効率化により、少ない経費でより高い水準の行政サービスが可能になるとともに、総合的な行政が展開できる。

    [例]


    合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型

    類 型 想定される典型的な地域 合併を通じて実現すべき目標 人口規模と関連する事項
    1 人口50万人超
    • 複数の地方中核都市が隣接している場合
    • 大都市圏において、複数の中小 規模の市が隣接している場合
    • 経済圏の確立
    • 高次都市機能の集積
    • 大都市圏における一極集中の是正
    • 指定都市への移行による都道府県も含めたイメージアップ
    • 指定都市
    2 人口30万人・20万人程度
    • 地方中核都市と周辺の市町村で一つの生活圏を形成している場合
    • 大都市圏において、市街地が連たんした複数の小面積の市が隣接している場合
    • 都市計画、環境保全行政等の充実、保健所の設置など
    • 中核的都市機能の整備
    • 急激な人口増加への広域的な対応
    • 都道府県全体の発展の中核となる都市の育成
    • 中核市・特例市への移行によるイメージアップ
    • 中核市(30万以上)
    • 特例市(20万以上)
    • 一般廃棄物処理((効率的なサーマルリサイクルが可能な)
       300t/日規模の施設の目安:20〜25万人)
    • 老人保健福祉圏域(平均36万人)
    • 二次医療圏(平均35万人)
    • 広域市町村圏の実態(平均21万人)
    3 人口10万人前後
    • 地方圏において、人口の少ない市と周辺の町村で一つの生活圏を形成している場 合
    • 大都市周辺において、人口の少ない市町村が隣接している場合
    • 高等学校の設置や一般廃棄物の処理(焼却)など一定水準の質を有する行政サービスの提 供
    • 県下第2、第3の都市の育成による県全体の均衡ある発展
    • 広域市町村圏の設定基準 (概ね10万人以上)
    • 消防の体制整備(10万人程度)
    • 高等学校の設置(10万人以上の市)
    • 一般廃棄物処理(焼却)(100t/日規模の施設の目安:7〜9万人)
    • 女性に関する施策を専ら担当する組織(課相当)の設置(10万人程度)
    4 人口5万人前後
    • 地方圏において、隣接している町村で一つの生活圏を形成している場合
    • 福祉施策等の充実(福祉事務所の設置等)
    • グレードの高い公共施設の整備
    • 計画的な都市化による圏域全体の発展
    • 市制施行
    • 市制施行の要件(5万人(合併特例4万人))(福祉事務所の設置等)
    • 市町村障害者社会参加促進事業の単位(「厚生省関係障害者プランの推進方策につい て」(平成8年11月15日付け厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)参照)
    • 特別養護老人ホーム2か所、デイ・サービス7か所、ホームヘルパー70人弱
    • 環境政策一般部門の専任組織(課相当)の設置 (3万人程度)
    5 人口1万人〜2万人程度
    • 中山間地域等において、地理的 条件や文化的条件にまとまりなど、複数の町村 が隣接している場合
    • 離島が、複数の市町村により構成されている場合
    • 適切かつ効率的な基幹的行政サービスの提供
    • 町村合併促進法(昭和28年)における標準(最低)規模(概ね 8,000人)
    • 中学校の設置(標準法による基準での最小:13,200人程度で1校)(1学校当たりの 生徒数を480人(1学級当たり生徒数40人×12学級)とする等の仮定を置いた場合(自治省 試算))
    • デイ・サービス/デイ・ケアの設置(新GP1.7万か所:7,300人程度に1か所)
    • 在宅介護支援センターの設置(新GP1万か所:12,500人程度に1か所)
    • 特別養護老人ホームの整備(最小規模50床を基準(なお、大都市、過疎地等では例外 的に30床):2万人程度)
    • 2万人ではデイ・サービス3か所、ホームヘルパー30人弱
    • 建築技師の設置(1万人程度)
       ※ 新GP=新・高齢者保健福祉推進10か年戦略 
      (新ゴールド・プラン)
       なお、保健福祉、学校教育といった基幹的な行政サービスを適切・効率的に提供するた めには、少なくともこの「5 人口1万人〜2万人程度」という類型の規模は期待される 。


    自治振第95号
    平成11年8月6日

    各都道府県知事 様

    自治事務次官

    市町村の合併の推進についての指針の策定について

     21世紀の到来を目前に控え、地方分権の推進、少子・高齢化の進展、国・地方を通じる財政の著しい悪化など、市町村行政を取り巻く情勢は大きく変化しています。こうした中にあって、基礎的地方公共団体として総合的に住民サービスの提供の責務を負う市町村は、その行財政基盤の強化や広域的対応が強く求められており、市町村合併の推進が大きな課題となっています。
    このため、国においては、先般、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)により「市町村の合併の特例に関する法律」(以下「合併特例法」という。)を改正し、一部の規定を除いて公布の日から即日施行した(「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(市町村の合併の特例に関する法律の一部改正関係)等の施行について」(平成11年7月16日自治振第87号 各都道府県知事あて自治事務次官通知)参照)ほか、各般の行財政措置を講じ、市町村合併を一層推進することとしています。
    市町村合併は、もとより市町村の主体的な取組の下に進められるものですが、同時に、その円滑な推進に当たり、地域の実情を熟知した広域的な地方公共団体である都道府県の果たす役割が重要であります。そこで、平成11年の改正後の合併特例法第16条第1項の規定を踏まえ、別添のとおり「市町村の合併の推進についての指針」を策定し、お示しすることといたしました。各都道府県におかれては、この指針を参酌して、市町村の合併の検討の際の参考や目安となる合併のパターン等を内容とする「市町村の合併の推進についての要綱」を策定し、これに基づき、市町村の合併に向けた取組について積極的な支援に努められるよう要請します。
    なお、この趣旨及び別添の指針について、貴都道府県内の市町村に対しても併せて周知されるようお願いします。
    (別添)


    市町村の合併の推進についての指針

    平成11年8月6日
    自治省

    第1 市町村合併の推進に当たっての基本的考え方

    1. 市町村合併を推進するための方策

       市町村合併は、市町村のあり方に関わる重大な問題であることから、市町村の主体的な取組が必要である。同時に、都道府県は、市町村を包括する広域の普通地方公共団体として、市町村合併を自らの問題と捉えたうえで、積極的に働きかけ、市町村の取組を促すことが期待されるが、これらの都道府県の支援等は、第2に掲げる「市町村の合併の推進についての要綱」(以下「要綱」という。)を定めて行うことが適切である。その際、都道府県は、市町村が合併を検討する際の参考や目安となるものとして、市町村合併のパターンを作成することとすることが重要である。
       市町村及び都道府県は、平成11年の「市町村の合併の特例に関する法律」(以下「合併特例法」という。)の改正後も平成17年3月31日までの期限は延長されていないことに十分留意し、早急に対応することが求められる。したがって、都道府県が、平成12年中のできるだけ早い時期に要綱を策定し、全国的な取組を一定の期間内に推進することによって、合併の気運の醸成が図られることが望まれる。

    2. 市町村合併と地域社会との関係

       市町村合併には、総合的な地域づくり・まちづくり、住民サービスの維持・向上、行財政の運営の効率化と基盤の強化など、多くの効果が期待されるが、他面で市町村と地域社会との関係について、市町村合併をすれば『住民の顔が見えるぬくもりのある行政』が展開されにくくなるのではないかという懸念も聞かれるところである。しかしながら、合併により市町村の規模が拡大する場合においても、行政が地域に密着した問題を住民の参加や住民との共働の下に解決していくための仕組みを作りあげていくこと等により、住民の帰属意識に基づく地域社会を形成・維持することができるものである。また、市町村の規模の拡大により、行政との距離が遠くなるとの懸念についても、支所、出張所の設置、地域審議会の活用、公共施設等のネットワークの活用など、地域社会の振興に配慮した様々な施策を展開していくことにより克服することができるものである。なお、合併特例法において、市町村議会議員の選挙区を暫定的に設定することができることとされているほか、公職選挙法においても、特に必要があるときは、条例で選挙区を設けることができることとされていることにも留意を要する。
       今後の市町村合併においては、合併後の市町村の一体性のみならず、市町村内の各  地域のまとまりも重視しながら、社会経済情勢の変化を踏まえた地域社会の振興のた  めの施策を展開し、個性豊かな地域社会の創造を目指すことが重要である。

    3. 市町村合併と広域行政との関係

       市町村行政の広域化の要請に対処して、一部事務組合や広域連合などのような市町村の枠組の変更を伴わない広域行政に関する諸制度を活用した特定の分野における事務の共同処理が既に幅広く行われ、一定の成果もあがっているところであるが、ややもすれば、責任の所在が不明確となりがちであり、また、関係団体との連絡調整に相当程度の時間や労力を要するために迅速・的確な意思決定を行うことができず、事業実施等に支障を生じる場合も見受けられる。したがって、人材を確保し、かつ、地域の課題を総合的に解決する観点からは、市町村合併により、意思決定、事業実施などを単一の地方公共団体が行うことがより効果的である。
       もっとも、広域にわたる行政課題に緊急に対応する必要が生じた場合などにおいて  は、広域行政制度が活用されることも想定されるが、このような場合において、広域  行政の実績を積み重ねることにより、結果的に地域の一体感がさらに醸成され、将来  市町村合併を検討するにふさわしい状況がつくりだされ、進んで市町村の合併が検討  されることが期待される。

    第2 「市町村の合併の推進についての要綱」に関する事項
    1. 要綱の構成
      (1) 要綱には、自主的な市町村合併が円滑に推進されるよう、以下に掲げる事項について盛り込むことが適当である。

        ア 市町村の地域の現況と今後の展望((2)参照)
        イ 市町村の行財政の現状と今後の見通し((3)参照)
        ウ 市町村合併の効果や合併に際して懸念される事項への対処((4)参照)
        エ 市町村の合併のパターン(2参照)
        オ 市町村合併に関する都道府県及び市町村の取組(第3の2参照)

      (2) 市町村の地域の現況と今後の展望((1)のア)

        I 市町村の地域の現況については、地理的条件や産業構造の状況等の地域的な特性を踏まえたものとする。
        II 市町村の地域の今後の展望については、人口の推移や少子・高齢化の進展、これらに伴う地域の変化、集落の推移等の見通しを示すものとする。

      (3) 市町村の行財政の現状と今後の見通し((1)のイ)

        I 行政課題への対応、特に、高齢者福祉、教育、廃棄物処理などの住民の生活に密接に関連する課題への対応についての今後の見通しを考慮する際には、これらに係るサービスの一層の充実と安定化が求められ、高度で専門的な能力を有する職員の確保等が必要とされることに配意するものとする。
        II 財政の現状を踏まえ、より効率的な行財政運営が求められることも勘案して今後を見通すものとする。

      (4) 市町村合併の効果や合併に際して懸念される事項への対処((1)のウ)

        I 市町村合併の効果については、別紙1の「市町村合併の一般的な効果」が参考になるものである。また、個々の市町村の置かれている状況によって、それぞれ合併により目指すべき目標も異なることから、市町村ごとに合併の必要性が理解できるよう配慮するものとする。
        II 合併に際して懸念される事項への対処方策として、合併特例法に規定する施策その他の様々な方策等の活用が考えられる。

    2. 市町村の合併のパターン(1の(1)のエ)
      (1) 作成主体

         市町村の合併のパターンは、地域の実情を熟知している広域的な地方公共団体である都道府県が作成するものとする。
         なお、学識経験者等(研究者、地域の住民や団体の代表、市町村の代表等)で構成される研究会や外部の機関等に委託して検討することも考えられる。

      (2) パターンの内容

        I 合併対象地域についての具体的な検討が容易となるよう、合併することが適当と考えられるような市町村の組合せを分かりやすく、地図上に示すものとする。
        II 都道府県内のすべての市町村を視野に入れて、将来の市町村の区域を検討するとともに、今後の地域全体の発展を展望して作成するものとする。
        III Iの場合、一通りの組合せを示すことが分かりやすいが、市町村の結びつきに関する要素((3) のIII参照)等を勘案し、複数の組合せを示すことも考えられる。
        IV パターンについては、合併の気運や熟度に応じ、適宜、適切な改訂を行うものとする。

      (3) 作成に当たっての留意事項

       市町村の合併のパターンの作成に当たっては、行政サービスの質・量に最も関係の深い人口規模のほか、次の事項についても留意するものとする。
       なお、一律の基準により市町村の適正規模を示すことは困難であるが、合併後の人口規模と地域の特性を組み合わせた類型としては、別紙2の「合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型」が参考となるものである。


        I 合併を通じて実現すべき目標
         市町村の合併を通じて実現すべき目標としては、以下の諸点が挙げられる。
        ア 基礎的地方公共団体としての基幹的サービスの充実
        1. 保健、福祉、医療、公的介護制度に関する施策の展開
        2. 生活環境関連施策の展開
        3. 学校教育(義務教育)の実施            など
        イ 地域における施策の一体的展開
        1. 一体的な都市計画の策定及び都市施設の一体的展開
        2. 地域振興施策・産業振興施策の展開
        3. 国土・環境保全施策の展開             など
        ウ 効率的な行政の運営
        1. 管理的な部門の統廃合による行政全体の効率化
        2. 事務の処理又は事業の遂行における規模の利益
        3. 公共施設等の効率的な配置             など

        II 地方公共団体の規模、能力に応じた組織及び権能の差
         人口等の一定の要件の充足を条件として、法令において規定された一定の権限等を行使することとなる地方公共団体として、地方自治法上、指定都市、中核市、特例市(平成12年4月1日から施行)及び市の制度が設けられていることに留意するものとする。

        III 市町村の結びつき
        ア 地域の実情に応じて次のような様々な市町村の結びつきを活用するものとする。
        1. 住民の日常社会生活圏(通勤通学圏、商圏等)
        2. 市町村行政相互の連携(事務の共同処理等(消防、廃棄物処理等))
        3. 国・都道府県行政の地域のまとまり(各種圏域)
        4. 行政機関の効果的・効率的な配置
        5. 総合的広域行政(広域市町村圏等)
        6. 各種計画上の位置づけ
        7. 郡の区域
        8. 自然的・地理的条件(河川の流域等)
        9. 歴史的・文化的条件
        10. 市町村や住民の意識(帰属意識、連帯意識)
        イ 市町村においては、住民の連帯意識が重要な要素と考えられることから、「歴史的・文化的条件」や「市町村や住民の意識」のような主観的要素についても十分勘案するものとする。

        IV 面積についての考え方
         面積については、市町村のあり方を考えるうえで人口規模と同様には考え難いが、次のような条件の地域においては、十分に考慮することが適当である。
        ア 大都市圏又は地方の平野部の面積が小さな市町村
         大都市圏又は地方の平野部には、一定の人口を有するが面積の狭小な市町村も存在している。こうした地域では、既に、市町村、場合によっては都府県の区域を越える通勤、通学等が一般的に行われていることなど、日常社会生活圏と行政区域が著しく乖離している。また、区域が狭いため、まちづくりの展開にも限界がある。このような地域では、合併の効果が大きいものと期待される。
        イ 中山間地域など人口密度が低い地域
         人口密度が低い中山間地域などにおいては、合併により面積が広大になり、市町村としての一体性が十分に確保できなかったり、合併による効率性が十分に発揮できない場合も想定される。このような地域においては、総面積だけでなく、例えば可住地面積、集落の配置などにも配意して検討することが考えられる。

        V 合併への制約が大きい地域
         地理的条件等市町村の状況によっては、合併について数多くの制約がある地域もみられることに留意を要する。これらの地域は、合併したとしても、住民の連帯意識が育まれず、行政サービスの維持向上や行政の効率化があまり期待できないと思われる。例えば、外海離島や山間奥地の町村がこれに該当しうる。しかしながら、こうした地域についても、交通条件の改善や今後の情報通信手段の発達、ネットワークの整備なども考慮して合併の可能性の検討を行い、そのうえで合併の適否を判断することが適当である。

  4. 市町村、住民等への要綱の説明等
    (1) 都道府県は、要綱の作成に当たり、地域における幅広い意見を踏まえるとともに、作成後は、それぞれの市町村において合併についての主体的な検討や関係市町村との検討・研究が行われるよう、要綱の内容について市町村に十分説明するなど的確な情報提供を行ったうえで、市町村合併についての要請や支援を行うことが重要である。

    (2) (1) と併せて、議会、住民、マスコミ等に要綱を公表して、その内容を関連情報とともに分かりやすく説明し、合併の気運の醸成を図ることが期待される。

第3 市町村などに対する支援に関する事項
  1. 国による市町村合併の推進のための支援策

    (1) 市町村合併の支援に関する関係省庁間の連携強化等

    (2) 地方財政措置

    (3) 市町村合併に関する情報提供

  2. 都道府県による市町村合併に対する支援(第2の1の(1)のオ)

    (1) 市町村建設計画を達成するための事業の実施

    (2) 圏域設定の見直し

    (3) 都道府県の出先機関の所管区域の見直し

    (4) あらゆる行政分野における支援

    (5) 市への権限委譲

(別紙1)
【市町村合併の一般的な効果】
 市町村合併の効果としては、次のようなことが挙げられる。
  1. 地域づくり・まちづくり
    広域的な観点からのまちづくりの展開、重点的な投資による基盤整備の推進、総合的な活力の強化、地域のイメージアップ、環境問題、観光振興など広域的な調整が必要な施策の展開などが可能となる。
    [例]

  2. 住民サービスの維持、向上
    住民にとってサービスの選択の幅が広がるとともに、現在のサービス水準を確保しつつ、より高い水準のサービスを安定的に受けられるようになる。
    [例]

  3. 行財政の運営の効率化と基盤の強化
    行財政運営の効率化により、少ない経費でより高い水準の行政サービスが可能になるとともに、総合的な行政が展開できる。
    [例]
(別紙2)
【合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型】
  1. 人口50万人超
    (1) 想定される典型的な地域

    (2) 合併を通じて実現すべき目標

    (3) 人口規模と関連する事項

  2. 人口30万人・20万人程度
    (1) 想定される典型的な地域

    (2) 合併を通じて実現すべき目標

    (3) 人口規模と関連する事項
  3. 人口10万人前後
    (1) 想定される典型的な地域

    (2) 合併を通じて実現すべき目標

    (3) 人口規模と関連する事項

  4. 人口5万人前後
    (1) 想定される典型的な地域

    (2) 合併を通じて実現すべき目標

    (3) 人口規模と関連する事項

  5. 人口1万人〜2万人程度
    (1) 想定される典型的な地域
    (2) 合併を通じて実現すべき目標

    (3) 人口規模と関連する事項

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