「情報システムに係る政府調達制度の見直しについて」の
フォローアップ調査結果(平成15年度における実施状況)


平成16年12月22日
情報システムに係る政府調達
府省連絡会議検討部会



調査概要

【調査目的】
   「情報システムに係る政府調達制度の見直しについて」(平成14年3月29日情報システムに係る政府調達府省連絡会議了承。平成16年3月30日改定)に基づく取組事項の実効性を確保するため、当該取組事項の平成15年度における実施状況をフォローアップ。
【調査対象機関】
  情報システムに係る政府調達府省連絡会議を構成する17府省庁等(以下「府省」)
【調査対象案件】
  平成15年度における情報システムに係る政府調達案件(物品購入のみの調達案件は除く。)
【調査実施時期】
  平成16年8月〜9月
【調査方法】
  調査票の配布・回収
【調査項目】
 
国庫債務負担行為の活用
ライフサイクルコストベースでの評価の有無
総合評価落札方式(加算方式による評価の実施状況)
低入札価格調査制度の活用
入札結果等に係る情報の公表
技術的な評価の強化
競争入札参加資格の柔軟な運用
ジョイント・ベンチャー等の企業共同体への競争入札資格の付与
中小企業者からの調達促進
調達側の体制強化
調達プロセス管理の適正化
 
(注) サービスレベル契約(SLA)の政府調達への導入等「官民の責任分担を明確化した契約書の導入」に係る事項については、「情報システムに係る政府調達制度の見直しについて」の平成16年3月30日改定により取り決められたものであるため、今回の調査対象外。
「情報システムに係る政府調達制度の見直しについて」
における取組事項
調査項目 調査結果 備考
 総合評価落札方式をはじめとする 評価方式等の見直しに係る取組事項
【ライフサイクルベースでの価格評価】
 当初の落札事業者による相当規模の継続的な開発若しくは保守・運用に係る役務調達や継続的な役務契約(コンサルタント契約等)を当初の落札事業者と複数年にわたり行う必要性がある場合には、原則として、国庫債務負担行為を活用し、複数年契約により実施することとし、その活用が困難な場合には、原則として、複数年にわたる調達全体に関するライフサイクルコストベースでの価格評価に基づく一般競争入札を行う。

国庫債務負担行為の活用
ライフサイクルコストベースでの評価の有無

 国庫債務負担行為を活用した調達を2府省63案件において実施している。また、平成16年度においては、7府省48案件において、国庫債務負担行為を活用した調達を予定している。
 なお、ライフサイクルコストベースでの価格評価(国庫債務負担行為の活用が困難な場合)を実施した案件はない。
 

【総合評価落札方式における除算方式の見直し】
 国民経済等に与える影響が大きく、既存のソフトウェア製品の活用によっては整備できない電子政府向けの情報システムなどについて、総合評価落札方式による調達を行う場合には、質の高い情報システムを一層適正に調達する観点から、加算方式(技術点と価格点とを合算して得た評価値が最高となる入札をもって落札決定する方式)による評価を行う。

総合評価落札方式(加算方式による評価の実施状況)

 総合評価落札案件12府省96案件のうち、加算方式による評価は、12府省38案件において実施している。

加算方式による評価は、「情報システムの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド」(平成14年7月12日調達関係省庁申合せ)等に沿って実施。

【低入札価格調査制度の活用の促進】
 各府省毎に契約担当官等が調査・判断を行う際の基準等を作成する。具体的な調査の手法に係るガイドラインを定め、入札価格の積算(投入されるソフトウェアプロダクトに係る会計処理等)の妥当性や技術者の配置、入札者の履行体制等を調査し、履行の確保若しくは公正な取引の秩序の確保の観点から問題があると判断される入札者と契約を締結しない。また、入札者の行為に特に重大な問題があると認められる場合には、当該事業者を事後の競争参加から排除するよう措置を講ずる。

低入札価格調査制度の活用

 低入札価格調査制度に基づく調査・判断のための基準を設定しているのは13府省であり、4府省22案件において低入札価格調査を実施している。

低入札価格調査の対象となる調達案件は、1千万円を超える契約となるもの。

【入札結果等に係る情報の公表の促進】
 情報システムに係る調達契約の透明性・公平性の向上を図るため、入札者毎の入札結果に係る情報(入札価格、総合評価を行った場合における提示されたライフサイクルコスト及び技術点の合計等)や随意契約の場合の見積価格及び根拠等について、契約締結後遅滞なく公表する。また、低入札価格調査を行った場合には、その調査結果の透明性を確保するため、調査結果の概要及び調査対象となった入札者に係る入札価格の積算根拠等の情報を公表する。
【技術的な評価の強化】
 ソフトウェア開発能力の向上等を通じてソフトウエアプロダクトの質の向上を図るため、技術評価項目の考慮要素として、CMM(Capability Maturity Model:能力成熟度モデル)等ソフトウェア開発のプロセスの改善・評価に関する指標を、その普及状況を踏まえ、活用する。

入札結果等に係る情報の公表
技術的な評価の強化

 公表対象である調達案件15府省889案件のうち、13府省441案件において、官報公示が義務付けられている情報に加えて、入札者毎の入札価格等入札結果に係る情報や低入札価格調査の結果概要などの情報を公表している。
 なお、CMM等ソフトウェア開発のプロセスの改善・評価に関する指標を活用した案件はない。

公表対象となる調達案件は、10SDR以上の調達額のもの。
 競争入札参加資格審査制度をはじめとする入札参加制度等の見直しに係る取組事項
【競争入札参加資格の柔軟な運用の強化】
 技術力のある企業に対して企業規模等を問わず競争参加機会を拡充するため、民間における契約実績や同種のシステムの開発実績、高度IT技術者の配置、ソフトウェアプロセス改善活動実績等一定の技術的基準も考慮しつつ競争入札参加資格制度の運用弾力化措置の改善を図る。
【ジョイント・ベンチャー等の企業共同体への競争入札資格の付与】
 質の高い情報システムの構築に向けた事業者間の競争の活性化を図る観点から、入札公告時に高度IT技術者の配置等一定の技術的要件を付与する入札案件については、個別案件毎に、当該技術的要件を満たす企業共同体(ジョイント・ベンチャー)に対し、企業共同体内の責任体制、契約履行後の対応の確保等に留意しつつ、競争入札への参加機会を付与する。
【中小企業者からの調達促進】
 情報システムに係る政府調達において、予算の適正な使用に留意しつつ、競争入札参加資格の柔軟な運用の強化等によって、技術力等のある中小企業者の政府調達への参加機会の拡大を図る。

競争入札参加資格の柔軟な運用
ジョイント・ベンチャー等の企業共同体への競争入札資格の付与
中小企業者からの調達促進

 民間における契約実績や高度IT技術者の配置等一定の技術的基準を考慮しつつ競争入札参加資格の柔軟な運用(一定の条件を満たしている場合、一般競争参加資格者名簿における等級に関わらず、一般競争入札参加を認めること。)を行った案件、ジョイント・ベンチャーに競争入札参加資格を付与した案件はない。
 5府省において、対象基準等級より下位の等級の者についても入札参加資格を認めるなど、中小企業者の政府調達への参加機会拡大のための措置を実施している。 
 
 
 調達管理の適正化に係る取組事項
【調達側の体制強化】
 CMM等の各種ソフトウェア開発プロセスの改善・評価に関する指標の活用等を通じた技術評価の強化、EVM(Earned Value Management)をはじめとするプロジェクトマネジメント(開発工程管理)手法の導入等を通じて情報システムに係る政府調達の企画・管理の適正化を図る観点から、調達担当官に対する研修等によるスキル向上、手続きの公平性・競争性に留意しつつ、外部の専門家の積極的な活用を通じて調達側の体制強化を図る。

調達側の体制強化
 
 調達担当官に対する研修の実施等を8府省において実施している。また、調達仕様書の作成支援などについて外部専門家に委託する措置を5府省14案件において実施している。

 

各府省にはCIO補佐官が配置されており、CIO補佐官は、調達仕様書作成等についての支援を実施。

【調達プロセス管理の適正化】
 契約の適切な履行から運用までの調達プロセス全体において適切に管理を行う観点から、EVMをはじめとするプロジェクト・マネジメント(開発工程管理)手法を、その普及状況を踏まえ、導入し、契約の適切な履行の確保や適切な下請管理の徹底を図る。また、費用対効果の最大化を図る観点から、ISO/IEC12207(JIS X0160)をはじめとするソフトウェア・ライフサイクルに関する国際標準等を積極的に活用し、供給者間でのソフトウェア開発作業及び作業内容、ドキュメント等に対する標準化を推進する。

調達プロセス管理の適正化
 
 EVMによるプロジェクトマネジメント手法での開発工程管理については、1府省1案件において実施している。
 なお、ソフトウェア開発作業及び開発内容、ドキュメント等の標準化(ISO/IEC12207(JIS X 0160)等の国際標準等を活用)を要件とすることについて、調達仕様書等に明記した案件はない。
 
(注)府省別調査結果は、別紙(PDF)のとおり。



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