地方財政の課題

地方財政の課題
1. 地方分権の更なる進展のための行財政基盤の整備
1 財政基盤の充実
地方財政が大幅な財源不足の状況にあるなかで、地方分権を更に進めるためには、「地方にできることは地方に委ねる」との原則の下、歳入・歳出の両面において、地方の自由度を高め、地方の自立に向けた構造改革の実現に取り組むことが必要。


参考   国・地方間の財源配分
(平成14年度)
国・地方間の財源配分
 


地方の自立に向けた構造改革を推進するためには、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を相互に関連付け一体的に検討することが必要。


参考      「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」等を基に作成
 
「三位一体の改革」について
 
           
 
「官から民へ」、「国から地方へ」の考え方の下、

●地方は自らの創意工夫と責任で政策を決める

●地方が自由に使える財源を増やす

●地方が自立できるようにする

 
 
   
   
   
「改革と展望」の期間(平成18年度まで)に以下を三位一体で推進
  国庫補助負担金の改革  
           
    ●「国庫補助負担金等整理合理化方針」に基づき、概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革    
    ・国庫補助金は原則、廃止・縮減    
    ・国庫負担金は真に国が義務的に負担を行うべき分野に限定    
    ・重点項目(11項目)の改革    
           
  税源移譲を含む税源配分の見直し  
           
    ●廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについて税源移譲    
    ・税源移譲は基幹税の充実を基本に行う    
    ・義務的な事業については全額、その他は8割程度を目安として移譲    
           
  交付税改革  
           
    ●交付税の財源保障機能全般を見直し、縮小。    
    ・地方財政計画の歳出を徹底的に見直し、交付税総額を抑制    
    ・算定方法の見直し(段階補正、事業費補正等)    
    ・不交付団体(市町村)の人口割合を大幅に高めていく    
           


参考
地方団体向け国庫補助金等の現状と国庫補助負担金等整理合理化方針(図解)

 
参考
国庫補助負担金改革のイメージ(概数)

・地方税
地域のニーズに応じた行政サービスを自らの責任と判断で実施できるよう、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系を構築すべく、地方税の充実確保を図ることが必要。

 

参考   地方税収計、個人住民税の人口1人当たり税収額の指数
(全国平均を100とした場合、平成14年度)
各都道府県別の税収額指数(グラフ)
(注)個人住民税の税収額は、個人道府県民税及び個人市町村民税の合計額である。
 
参考 法人二税、地方消費税(清算後)の人口1人当たり税収額の指数
(全国平均を100とした場合、平成14年度)
各都道府県別の税収額指数(グラフ)
(注)法人二税の税収額は、法人道府県民税、法人市町村民税及び法人事業税の合計額である。

 


・地方交付税
地域間に経済力・財政力の格差があること、我が国では、内政の大部分について国が法律などにより地方に一定の行政水準の確保を要請していることを踏まえると、その果たす役割は極めて重要。

参考  地方交付税による財源保障(ミクロ)の状況(都道府県の例)
(平成14年度決算)
一 般 財 源 等
 
 
参考   地方交付税による財源保障(ミクロ)の状況(市町村の例)
(平成14年度決算)
一 般 財 源 等
 

2 市町村合併の推進
「市町村の合併の特例に関する法律」(昭和40年法律第6号)の期限である平成17年3月までに自主的な市町村合併を促進するため、合併に向けた取組をより一層強めることが必要です。

合併すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
 
1. 住民の利便性が向上します。

 合併が実現すると、旧市町村界を超えた公共施設の利用やサービスが可能になり、暮らしがより便利になります。

〈例〉…… 小学校区について旧市町村界 を超えた見直し、住民の生活圏の実態に合わせました。 (昭和62年合併の茨城県つくば市、平成13年合併の東京都西東京市)
 
 
2. 行政サービスが多様化・高度化されます。


 従来は設置することが困難であった専門の組織・職員を置くことができるなど、より専門的かつ高度な行政サービスの提供が可能となります。
〈例〉…… 合併後、あらたに社会福祉士や、 理学療法士、都市計画・建設部門の技師等の配置が可能となりました。
(昭和62年合併の茨城県つくば市
 
 
3. 広域的なまちづくりができます。


 広域的な視点にたって、道路や公共施設の整備、土地利用、地域の個性を活かしたゾーニング等、まちづくりをより効果的に実施できます。

〈例〉…… 住宅団地、土地区画整理事業、工業団地整備事業などについて広い視点 から一体的な土地利用が可能となりました。
(平成4年合併の茨城県水戸市)
 
 
4. 行財政の効率化ができます。


 合併後は、それぞれのまちが別々に行っていた仕事や業務をまとめたり、 公共施設の整備を効率的に行うことで、行財政の効率化が図れます。
     
〈例〉…… 特別職の減少や職員等の抑制による人件費の合理化、公共工事の効率化等で大幅な経費節減が見込まれています。
(平成11年合併の篠山市:5年間で26億円、平成13年合併の西東京市:10年間で190億円)
同じ仕事をまとめてできるので、経費が削減できます。
 


デメリットはないのでしょうか?
Q&A
Q.役場が遠くなりませんか? Q.住民の声が届きにくくなりませんか? Q.サービスが低下しませんか?

A.合併後も、それまでの市役所や町村役場は、引き続き新市町村の支所や出張所として活用できますし、また、住民票の発行など地域のニーズの高い特定の事務を、地域に密着 した郵便局が取り扱うことが出来るような法律も整備されています。
 さらには、政府の計画では、情報通信技術の発展により、家にいながらにしてオンラインで申請等が出来るようになり、空間距離は問題とならない社会になっていくでしょう。

A.地域ごとの公聴会、行政モニターなど従来からあるものだけではなく、旧市町村の区域に「地域審 議会」を設置し、合併した後でも旧市 町村ごとの住民の意向を考慮できるようになっています。小学校区などで住 民の方々が主体的に参加するまちづくりについても、「わがまちづくり支援事業」として応援しています。
 また、情報公開や説明責任を果たす体 制が強化されることや、双方向機能をもつインターネットの活用等により新しい形での住民参加も可能となります。

A.合併前の市町村間で住民サービスの水準、使用料及び手数料 等が異なることはあります。これらの 問題は合併前の関係市町村間で話し合 って決められますが、事務処理の方法の効率化等によって、住民の皆さんが納得できるサービス水準や、負担に調整されるのが一般的です。
 また、合併により住民の負担が急激に増えないような法整備も行われてきています。