● 規制改革推進3か年計画(再改定)(抄) (平成15年3月28日 閣議決定)



2  民間参入の拡大による官製市場の見直し

官民役割分担の再構築

 (1)  公共サービス分野における民間参入

1)  「公の施設」の管理
 
     地方自治法(昭和22年法律第67号)では、地方公共団体は住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(公の施設)を設けるものとし、その管理を地方公共団体の出資法人、公共団体、公共的団体に限定して委託することができる旨規定している。この規定の趣旨は、施設の利用料金の決定と収受は民間に委託することができないというにすぎず、それ以外の管理行為については広く民間へ委託することが可能であることを直ちに地方公共団体に周知徹底する。【平成14年度中に措置】(IV4住宅ウ1)a)
  また、一定の条件の下での利用料金の決定等を含めた管理委託を、地方公共団体の出資法人等のみならず、民間事業者に対しても行うことができるように現行制度を改正する。【第156回国会に法案提出予定】(IV4住宅ウ1)b)

2)  水道事業【平成14年度中に措置】
 
     地方公共団体が経営する水道事業については、可能な場合には、地方公共団体の判断により、できる限り民営化、民間への事業譲渡、民間委託を図る。その際より多様な経営主体の参入を確保するため、設備の所有は水道法(昭和32年法律第177号)上の水道事業者となるための要件とされていないことについて、直ちに周知徹底する。(IV4住宅ウ2)a)
  また、平成13年の水道法改正により、水道の管理に関する技術上の業務を民間委託することができることとされたが、事業の一層の効率化を図るため、料金設定への関与等を含めた包括的な民間委託を推進する。(IV4住宅ウ2)b)

3)  下水道事業【平成14年度中に措置】
 
     下水道事業については、現行下水道法(昭和33年法律第79号)の下でも、悪質下水の排除規制、排水区域内の下水道の利用義務付け等に係る公権力の行使以外の事務の相当部分が既に民間事業者に委託されているが、民間事業者の創意工夫をいかし事業の効率化を進めるため、設備の維持修繕、料金設定への関与等を含めた包括的な民間委託を推進する。(IV4住宅ウ3))

4)  一般廃棄物処理
 
     一般廃棄物の処理については、民間委託や許可業者による収集が年々増加するとともに、近年では、最終処分についてもPFI手法の活用により一般廃棄物処理施設の建設、運営を民間が行う事例も見られるようになっている。
  こうした状況を踏まえ、一般廃棄物の処理に関しては、市町村に課せられている処理責任が十分果たされるよう留意しつつ、一般廃棄物の処理における民間委託、PFI手法の導入等を進めるための環境整備を図り、更に業務委託を拡大していく。【逐次実施】(III3環境イ9)a)
  なお、一般廃棄物処理業者の許可要件については、「当該市町村による廃棄物の処理が困難であること」という条項の運用の在り方を明確に示す。【平成14年度中に措置】(III3環境イ9)b)

5)  病院
 
     国立病院については、廃止、民営化等をするものを除き、平成16 年度からの独立行政法人化が進められているが、当該業務を継続させる必要性、組織の在り方について、個別施設の廃止、民営化等を含め、遅くとも独立行政法人設立後の最初の中期目標期間終了時に速やかに検討を行い、結論を得、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。【最初の中期目標期間終了時に速やかに検討・結論】(IV4医療ウ7)a)
  社会保険病院、厚生年金病院については、現在、国が施設を設置し、経営は公益法人等に委託して行っている。国自らが施設を設置する必要性は薄れていると考えられる病院については、現状を精査し、私立医療法人への移譲を含む整理合理化等所要の措置を講ずる。【平成14年度以降逐次実施】(IV4医療ウ7)b)
  労災病院については、平成16 年度から独立行政法人化し、一部について廃止、民営化等をすることとされているが、当該業務を継続させる必要性、組織の在り方について、個別施設の廃止、民営化等を含め、遅くとも独立行政法人設立後の最初の中期目標期間終了時に速やかに検討を行い、結論を得、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。【最初の中期目標期間終了時に速やかに検討・結論】(IV4医療ウ7)c)

6)  職業紹介・職業訓練
 
     職業紹介については、民間による有料職業紹介事業の取扱職業の原則自由化が行われたところであるが、無料職業紹介についても求職者、求人企業双方にとって質の高いサービスが提供できるよう、公共職業安定所の保有する求人情報等の民間への公開や、管理職・専門職等の紹介に関する民間への業務委託等を進め、民間のノウハウを一層いかしつつ職業紹介ができるようにする。【平成14年度以降逐次実施】(IV4雇用ア3)a)
  職業訓練については、雇用・能力開発機構について平成16年3月からの独立行政法人化が進められているが、一層の民間委託を進める等により民間教育訓練機関の育成を図るとともに、当該業務を継続させる必要性、組織の在り方について遅くとも独立行政法人設立後の最初の中期目標期間終了時に速やかに検討を行い、結論を得、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。【最初の中期目標期間終了時に速やかに検討・結論】(IV4雇用ア3)b)

7)  公営ガス事業等の地方公営企業【逐次実施】
 
     公営ガス事業については、行財政改革の進展等により、民間への事業譲渡や民間委託が進められているが、既に同様の民間事業者が多数存在している状況を踏まえ、さらに民営化、民間への事業譲渡、民間委託を推進する。(III3競争エ12)a)
  また、公営バス事業、病院事業等他の地方公営事業においても、同様に民営化、民間への事業譲渡、民間委託を推進する。(III3競争エ12)b)

8)  駐車違反対応業務・自動車保管場所証明業務
 
     都市における交通渋滞を緩和し、効率的な経済活動を実現するためには、違法駐車問題の解決が重要である。都心部における駐車違反対応を効率化するため、当該業務の民間委託を推進することが必要である。現在の制度においては、民間委託は、違法駐車車両の警告等に限られているが、今後、現場における駐車違反対応業務の民間委託を幅広く行うことができるように、広く国民の意見を踏まえながら、駐車違反に関する法制度の在り方を含めて検討する。【平成15年度中に結論】(IV4住宅ア9)a)
  また、違法駐車対策に資する自動車保管場所証明業務については、現在、現地調査、データの入力について民間委託が行われているが、今後、更に委託先の拡大を推進する。【平成15年度中に措置】(IV4住宅ア9)b)

9)  地方税の納税【平成15年度中に措置】
 
     地方税の納税は、現在、民間金融機関において行うことはできることとされているが、納税者の利便の向上を図るため、コンビニエンスストア等においても納税をすることができるようにする。(IV4金融オ23)

10)  刑務所【平成15年度中に措置】
 
     刑務所については、民間委託が可能な範囲を明確化し、PFI手法の活用等により、民間委託を推進する。(IV4法務ウ4))

11)  国税の納税【平成15年度中に措置】
 
     国税の納税は、現在、日本銀行代理店等である民間金融機関において行うことはできることとされているが、納税者の利便の向上を図るため、既に行われている口座振替に加え、ATMやパソコン、携帯電話を使った納税をすることができるようにする。(IV4金融オ22、III3ITエ32d(b))

12)  学校
 
     国立大学は、高度な学術研究を担うとともに、高等教育の機会均等の実現に貢献してきたが、今後、教育研究機能を更に高度化し、国際競争力ある大学づくりを目指す必要がある。このため、国立大学については法人化と教員・事務職員等の非公務員化を平成16年度を目途に開始することとされているが、教育研究業績の評価や私立学校法人との業務運営等の比較も行った上、当該業務を継続させる必要性、組織の在り方について、遅くとも法人設立後の最初の中期目標期間終了時に速やかに検討を行い、結論を得、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。【最初の中期目標期間終了時に速やかに検討・結論】(IV4教育ア5)a)
  国公立の小中高大を始めとする学校全般に対する民間参入を促進する観点から、PFI手法、公設民営方式の活用等を推進するとともに、民間委託が可能な範囲の拡大、明確化を図る。【平成15年度中に措置】(IV4教育ア5)b

13)  国民年金保険料の納付
 
     国民年金保険料の納付は、現在、民間金融機関においては行うことができることとされているが、国民の利便の向上を図るため、コンビニエンスストアにおいても納付をすることができるようにする。【平成15年度中に措置】(IV4金融オ24a)
  また、既に行われている口座振替に加え、ATMやパソコン、携帯電話を使った納付をすることができるようにする。【平成16年度当初に措置】(IV4金融オ24b、III3ITエ32d(c))

14)  回路配置利用権等の登録事務【平成15年度中に措置】
 
     回路配置利用権等の登録については、既に公益法人が指定法人として全面的に事務を行っているところであるが、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)にあるように、政府責任を維持した上で、「法令等に明示された一定の要件を備え、かつ、行政の裁量の余地のない形で国により登録された公正・中立な第三者機関」が当該事務を行うこととし、民間の参入の拡大を図る。(III3基準1(2)3))

15)  工業所有権に関する事務
 
     我が国産業の国際的な競争力を今後とも高めていくためには、新たな価値を生み出す優れた発明等に係る権利の適切な保護と有効な活用が可能となるような仕組みを整備することが重要である。一方、現在の工業所有権については、審査期間の長期化等により、優れた発明等に係る権利の適切な保護と有効な活用に影響が生じることが懸念されている。
  このため、迅速かつ的確な審査等により早期に権利を登録することができるよう、国内特許文献に関する調査業務に関しては、既に指定法人に行わせているところであるが、さらに国内非特許文献や外国特許文献に関する調査業務等に関しても、当該指定法人に行わせることにより、民間への業務委託の範囲を一層拡大する。【平成15年度中に措置】(III3基準1(2)4)a)
  また、現在、特許権の調査業務を行わせている指定法人については、今後、この業務が更に拡大すると見込まれるため、公益法人に限定せず、幅広く民間を指定することができるよう検討し、結論を得る。【平成15年度中に結論】(III3基準1(2)4)b)
  なお、実用新案権については、近年の登録が減少している状況を踏まえ、廃止も含めて検討する。【平成15年度中に結論】(III3基準1(2)4)c)

16)  競売【平成15年度中に検討・結論】
 
     競売手続については、現在行われている競売物件の評価及び情報提供についての民間委託の運用が適切に行われるよう、その実情を調査し、運用上見直すべき点について所要の措置(運用改善についての要望を含む。)を採る。(IV4法務イ27)

17)  プログラムの著作物の登録事務【平成15年度中に検討・結論】
 
     プログラムの著作物の登録については、既に公益法人が指定法人として全面的に事務を行っているところであるが、当該事務を行わせることができる指定法人を公益法人に限定しないことも含め、当該事務の実施主体の在り方について、見直しを図る。(III3基準1(2)5))

18)  恩給の支給【速やかに検討、平成16年度までに結論】
 
     恩給の支払事務は、現在、郵便局で行われているが、恩給受給者の利便の向上のため、支払事務と併せ行われている窓口相談・債権管理事務が円滑に行われるための条件整備を始めとして、支払事務を民間金融機関においても行うことができるよう、検討する。(IV4金融オ25)

19)  切手、葉書、証券、政府刊行物等の製造等【最初の中期目標期間終了時に速やかに検討・結論】
 
     印刷業務については、平成15年4月から独立行政法人化されることとされているが、独立行政法人の業務とされているもののうち切手、葉書、証券、政府刊行物等の製造、印刷等については、既に競合する民間事業者でも実施されていることを踏まえ、廃止、民間への移管を含め、当該業務を継続させる必要性、組織の在り方について遅くとも独立行政法人設立後の最初の中期目標期間終了時に速やかに検討を行い、結論を得、その結果に基づき所要の措置を講ずる。(III3競争エ13))

  上記1)〜19)以外の国の事務・事業についても、民営化、民間への事業譲渡、民間委託を積極的に推進することが重要である。このため、各府省は、「行政改革大綱」(平成12年12月1日閣議決定)に基づいて、所管事務・事業の全般について計画的、積極的に民営化、民間への事業譲渡、民間委託を推進する。【平成14年度以降逐次実施】(共通的事項5(3))
  また、総務省は、民営化、民間への事業譲渡、民間委託の実施状況を毎年度の「行政改革大綱」の実施状況に関するフォローアップの中で明らかにする。【平成14年度以降逐次実施】(共通的事項5(3))
  地方公共団体の行う事務・事業についても、地方自治の観点を尊重しつつ、上記1)〜19)と同様の趣旨で取り組むよう、各府省は地方公共団体に要請する。【平成14年度以降逐次実施】(共通的事項8)
  また、総務省は、優良事例を地方公共団体に周知するとともに、地方公共団体の取組状況を適切に把握し、公表する。【平成14年度以降逐次実施】(共通的事項8)

 (2)  民間参入拡大の推進方策

1)    略

2)  PFI事業の推進【平成14年度中に措置】
 
     PFI手法を有効に活用するためには、民間の創意工夫が最大限発揮できるようにすることが重要である。
  このため、(a)入札前に、リスク分担等の契約内容の明確化を図るために、国・地方公共団体と入札参加者が十分に意思疎通を行い、必要があれば、全ての入札参加者に周知した上で契約書案の変更を行うこと、(b)事業内容に応じて、資格審査段階において、まず簡易な事業提案に係る審査を行うことにより、入札前の多段階選抜を行うこと、(c)入札後の契約締結の際に、入札前には確定していないリスク分担等の明確化を図るために契約書案の変更を行うことについて、現行法令上可能である事項を発注者に対して明示する。(IV4住宅イ6))



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