電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会(第8回会合)
議事要旨



1 日時  :平成16年1月28日(水) 18時00分〜20時00分
2 場所  :総務省5階第4特別会議室
3 出席者
(1) 構成員(五十音順)
     大谷和子委員、桑子博行委員、弘灰和憲委員、多賀谷一照座長代理、手塚信夫委員、平野晋委員、別所直哉委員、堀部政男座長、三木浩一委員、村上透委員、吉岡初子委員
(2) 総務省
     有冨総合通信基盤局長、江嵜電気通信事業部長、奥消費者行政課長、中溝消費者行政課課長補佐、渋谷消費者行政課課長補佐、大川消費者行政課課長補佐
4 議事概要
(1 )開会
(2 )発信者情報の開示と通信の秘密の保護
(3 )金融・信用分野における個人情報保護に関する検討状況及び韓国の個人情報保護制度
(4 )ガイドライン(総則、基本原則)の改訂の方向性
(5 )閉会
5 主な議論
(1)発信者情報の開示について以下のような議論が交わされた。
 (ア) 緊急避難と発信者情報の開示に関する事例
  ・   自殺予告やネットオークションにおけるトラブルについては、現行法では対処することが難しい問題。
  自殺系サイトにおける発信者情報の開示については、例えば、テレコムサービス協会のガイドラインの中において、自殺予告については緊急避難であると記載されているが、具体的なケースを想定したときにプロバイダ等がどこまで開示することが許されるのか判断は難しい。
  緊急避難であるとしても、プロバイダにとってみれば、発信者情報を開示するためには警察からの何らかの文書をもらうことが必要という場合もあるのではないか。
  プロバイダも自殺の防止には協力したいと考えている。ただ、警察からの要請を受けるためのコストも問題。
  プロバイダとしては、発信者情報の包括的な開示には消極的な立場をとらざるを得ないのではないか。本来であれば、迅速に裁判所が判断してプロバイダの第一次判断者の義務から解放する仕組みがあることが望ましい。
  その場合、プロバイダに法的義務を課すのではなく、たとえばガイドラインを提示し、プロバイダに行動指針を示し、ガイドラインに従えば免責されるというような自主的な救済措置のような仕組みも考えられるのではないか。
  通信の秘密である発信者情報をガイドラインで開示することついては、法制度上議論もあるところ。
  自殺予告者の場合は生命にかかわることから緊急性があるため開示でき、ネットオークションのようなトラブルの場合は緊急性がないため当該情報は開示できないと仮に整理するにしても、その間の線引きは非常に難しい。

 (イ) 有害情報を発した人の発信者情報の開示の問題
  ・   そもそも、何をもって「有害」情報とするのかは非常に難しいのではないか。
  警察が発信者情報の提供を受けるために、いつも裁判所を介するというだけでは対応できないこともあるのではないか。
  自殺予告等に対しどの程度対応できるのかについて議論するべき時期に来ているのではないか。
  ガイドラインだけで抑止しようとするのは無理があるのではないか。
  緊急避難一般を電気通信事業法などのいわゆる業法で書くというのは難しいのではないか。ガイドラインを運用する際には各ISPに働きかけるということが必要なのではないか。


(2)電気通信事業分野における個人情報保護について以下のような議論が交わされた。
 (ア) 個人情報を取得する際の規律について
  基本法を受けて、電気通信分野の個別法の制定がどの程度必要であるのか、必要性の議論が前提ではないか。
  電気通信サービスの申込みを書面で受け付ける場合は、基本法18条2項に該当するので、「あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示」する必要があるが、それをどこまですればよいのかについて改訂ガイドラインで具体的に明らかにすることが必要ではないか。
  基本法で規定している抽象的な規定を、電気通信サービスに置き換えた場合、どのような対応が求められるのか具体的に明確にするのが理想的ではないか。

 (イ) 利用者の同意の取り方について
  情報主体以外の者から個人情報を取得する場合としては、相互接続の際などに他の事業者に対して個人情報を提供する場合がある。これらは約款で情報主体の同意を得ているということで整理している。
  約款がどのような形で利用者に提供されているのかが重要な問題ではないか。
  約款のどこが本当に重要であるのかについては事業者側と消費者側では捉え方が異なる。また、消費者の中でもかなり認識に差があるのではないか。
  個人情報を取得する際に「一定の場合」には本人の同意を要するとする規定を設ける場合、「一定の場合」とはどのような場合をいうのか。
  「一定の場合」とは、例えば、1)情報の内容に着目して、センシティブ情報や信用情報を収集する場合、2)契約の当事者に着目して、未成年者等から情報を収集する場合、3)契約類型に着目して、契約者間に力の不均衡が生じやすい契約に基づいて情報を収集する場合などが考えられる。

 (ウ) 小規模事業者の取扱いについて
  小規模事業者であっても、個人情報保護の必要性は高いので、ガイドラインの適用対象とした方がよいのではないか。基本法を補完する意味で小規模事業者もガイドラインの適用対象とした方がよいのではないか。
  基本法においては5000件以下の事業者は小規模事業者とされ適用除外となっているが、ガイドラインでは小規模事業者にもきちんと個人情報を管理してもらうことが必要ではないか。

以上


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