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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会(第4回会合)

平成18年5月26


【多賀谷座長】  それでは時間ですので、ただいまから2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会の第4回の会合を開催いたします。皆様には、ご多忙の折ご出席いただき、ありがとうございました。
 それではまず最初に、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【梅村地域放送課課長補佐】  本日の配付資料の確認をさせていただきます。資料は座席表、議事次第のほか、資料4-1としまして「通信と放送の連携へ向けたマイクロソフトの取り組み」、マイクロソフト様の説明資料、資料4−2としまして「通信・放送融合時代に向けたケイ・オプティコムの取組み」、ケイ・オプティコム様の説明資料、資料4-3としまして「IPTVの動向について」と、マルチメディア振興センター、三菱総合研究所説明資料の3点となっております。また、資料の最後に前回会合の議事録をつけております。また、研究会資料とは別の参考としまして、マルチメディア振興センター様より、「IPTVの動向に関する調査研究報告書」がお手元に配られていることと思います。なお、傍聴の皆様分につきましては議事録と参考資料を割愛させていただいてございます。資料に不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。
【多賀谷座長】  よろしいでしょうか。それでは、本日の会合では、本研究会のアウトプットとなり得る2010年代のケーブルテレビの将来ビジョンを構築する上でとらえておくべき「IPTV時代におけるケーブルテレビの在り方」という題について、議論に関するヒアリングをしたいと思います。前回の研究会ではケーブルテレビ事業者側から見た今後の技術の状況についてヒアリングを実施したところですけれども、今回は、その意味においてパソコン業界、通信業界からもヒアリングを実施することによって、今後の家庭におけるテレビの周辺がどのようになっていくかを、昨今展開しつつあるIPTVの状況を含めて見据えていきたいという趣旨で、ヒアリングをさせていただきたいと思います。
 それではまず第1に、IPTV等への取り組みに注力されているマイクロソフト株式会社様、第2に、光ファイバーを持つ事業者として、通信サービスのほか、IP方式とは異なる従来型の映像伝送方式を採用して、放送周辺サービスに注力している関西電力グループの株式会社ケイ・オプティコム様の両者から、映像伝送サービスの今後の事業運営、事業展開等についてご発表いただきまして、その後、第3として、IPTVの海外動向や技術動向について昨今調査されている財団法人マルチメディア振興センター様並びに株式会社三菱総合研究所様から、IPTVの動向全般のお話を伺いたいと思います。ヒアリングの順序は、マイクロソフト、ケイ・オプティコム、マルチメディア振興センター並びに三菱総合研究所の順で行いたいと思います。また、それぞれの3つのご発表の後に、質疑応答の時間を設けることとしたいと思います。
 それでは、議題に入ります。まず、マイクロソフト株式会社の最高技術責任者補佐、楠様からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【楠(マイクロソフト株式会社)】  では、マイクロソフトでCTOの補佐をしております楠と申します。よろしくお願いします。着席してお話をさせていただきます。
 マイクロソフトの楠でございます。マイクロソフトでどういったIPTVについての取り組みをしているかということにつきましては、後ろのほうにありますマルチメディア振興センター様が非常に詳細な資料をご用意いただいておりまして、大変びっくりしておりまして、私の主な仕事というのは、いろいろな特定の部署によらない技術イシューに関しまして、こういった場でご説明をさせていただいたりですとか、社内の各部署の連携をとったりですとか、あるいは、担当者が決まるまでに実際にそのマネージしていくということが仕事でございまして、本日こういう形でご説明に上がらせていただきましたのは、まだ日本で実際にマイクロソフトのIPTVビジネスが立ち上がっていないということもございまして、私のほうでちょっとご説明をさせていただきます。内容につきましては、IPTVにかかわらず、マイクロソフトとして、昨今のパソコン向けのOSベンダーとして、通信と放送の連携というものをどのように見ているのかということについて簡単にお話しをさせていただきました後に、幾つかのデモを予定をしております。よろしくお願いします。
 私どもから見まして、やはり映像配信等というのがPCで非常に現実的になった背景ということが幾つかございます。まず一番大きいことは、ハードウエア性能が非常に進化いたしまして、例えば、ハイビジョン品質の映像等をソフトウエアでデコードするということが現実的になってまいりました。私どもはVC1という映像圧縮のコーデックを持っておりますけれども、これが今や、専用のハードウエアではなくて通常のパソコンのCPUで、例えば720Pと呼ばれている走査線720本ぐらいのものでしたら問題なくデコードできるようになっておりますし、最近のハイエンドの高級PCですとか、あるいは今年、来年出てくるものに関しましては、数万円で売っているPCに関しましても、問題なくハイビジョンがデコードできるぐらいまで進歩してきたことというのがございます。
 次に、いわゆるコネクティビティー、接続と呼ばれている部分で、特に、我が国ではFTTHをはじめとして伝送路が非常に高速になってきておりまして、問題なくこういった映像というものをPC向けに伝送するということが現実的になってきたということがございます。そういったインフラ側の進歩によって、パソコン向けのデジタルコンテンツの配信というものが非常に増えてきたということがございます。これは最後に接続されるデバイスなんですけれども、特に、例えばデジタルカメラ等が急速に普及いたしまして、デジタルカメラも、今、多くのものが単純に写真を撮れるというだけではなくて、ビデオカメラじゃなくても動画を撮る機能というのは非常に一般的になってきております。デジカメで簡単に撮った動画をパソコンに取り込んで、それを例えばインターネット上にアップするということが非常に簡単になってまいりました。
 そういったハードウエア技術の進歩が背景としてある中で、パソコンの世界と家電の世界というのが徐々に融合しつつあるということがございます。例えば、これはインターネットによってパソコンがいろいろなデータのやりとりを自由にできるようになったということもございますし、家電のほうがデジタル化してきたということもございます。もともと両者は同じエレクトロニクスの技術として、いろいろな技術が、例えば最初音楽で始まったコンパクトディスクを、途中からCDROMという形でパソコンに取り込んだりですとか、逆にパソコンで最初に普及して非常に廉価になったハードディスクですとか、デジタル圧縮技術が家電のほうに入っていったというような中で、もともとパソコンと家電というのは電子部品のレベルではいろいろな相互作用というものが働いておったわけですけれども、これがただ単に部品が共有されるというだけではなくて、今では、例えば家庭向けのデスクトップパソコンでは8割以上が既にテレビチューナーが内蔵されているということもございますし、デジタル家電自体が非常に強力になって、パソコンのような汎用性を持ち始めている。例えば、松下電器さんのプラズマテレビには、今、大体必ずウェブブラウザーが入っていたりというようなことがございます。私どもから見ると、もはやデスクトップパソコンの8割にテレビチューナーがついているということは、パソコンがテレビのように使われるということを当たり前のこととして意識して、パソコン向けのOSを開発しなきゃいけない時代が来ているというふうになっているという現実がございます。
 こういった展開というのは、まだまだ市場の中でどうなるか不確定の部分も多くございますけれども、私どもで見ている範囲で言いますと、例えば、大型テレビを使ったテレビ視聴ですとか、あるいは大型テレビというのはもうデジタル化されておりますので、当たり前のようにパソコンをつなぐ端子、HDMI端子ですとか、Dsub15ピンのアナログRGBといった端子を持ち始めていまして、実際、特に単身のご家庭の場合で、1LDKとかにお住まいの場合ですと、幾つも大きいモニターを置けないというので、大型テレビにパソコンをつなげてお使いであったりですとか、あるいは最初からテレビ機能を持ったパソコンをお買い上げになられて、それを使うということは、非常に一般的になってきております。また、カーナビも最近ネットワークにどんどんつながっておりまして、中身は普通にパソコンのようにOSが動いていて、ハードディスクが入っているというようなことがございます。また、携帯型の音楽プレーヤーも、技術的にはハードディスクベースあるいはフラッシュメモリーといったコンピューターと非常に親和性の高いものが増えてきておりますし、無線LANをはじめとして、ユビキタス環境の接続性というのも非常に改善しているということがございます。
 こういった中で、これまでと変わってくるというのは、1つはディスプレーが非常に進化して大型化し、あるいは複数のディスプレーが出てきますと、これまでパソコンというのは小さなディスプレーで、近くから見て、キーボードとマウスで操作をするというのが当たり前でございましたけれども、そうじゃなくて、大きなディスプレーを離れて見るようなことも使い方として想定をしていかなければならないということがございますし、今、カメラがカメラつき携帯の普及によって、もう数百円というところまで落ちてきておりまして、今年、来年、もうアップル社さんなんかはすべてのノートパソコンにカメラをつけておりますし、テレビ電話といって専用のシステムで数十万円というころだと、なかなかアプリケーションがないとか、いろいろ言われておったんですけれども、これほどカメラが100円、200円という世界になってくると、もうPCにはカメラが内蔵されていて当たり前で、そうすると、あまり意識しないでテレビ電話のようなものをネット上でやるというのも増えてくるでしょうと。また映像につきましても、昔は、ビデオのころには一生懸命ビデオを取りかえて録画していたんですけれども、そうではなくて、ハードディスクレコーダーのように数百時間分の映像を1カ所にためるということが一般的になってまいります。また逆に、ハードディスクが、今、大きいもので500ギガバイトぐらいで、これを2台載っけたハードディスクレコーダーというのは、今、大体1テラバイト近くのデータ、数百時間分のテレビ番組を録画できるんですけれども、一方でDVD−Rの容量というのは、2層のものでも10ギガバイトない、たしか7ギガバイトぐらいしかないということがございまして、そうなると、箱には1テラバイト入るのに、それをどうやって持ち歩こうかということが大きい問題になってまいります。そうなってまいりますと、そもそも500ギガ、1テラというデータが、各部屋の各ハードディスクレコーダーにばらばらにあるというのは非常に難しくなってまいりますので、家庭内のストレージというのを1カ所に集めようと、あるいは、分散している場合もネットワークを介して共有できるようにしていこうというような流れに行かざるを得ないということがございます。また、そういったいわゆるパソコンのような大型の機械だけではなくて、もっと小さな、例えば時計ですとか、PDAのようなものも、そういったコンテンツやデータに対してアクセスするインターフェースを持つ、また、そういったデバイスを非常に廉価でつくれるようになってきたというようなことがございまして、こういったさまざまなデバイスの変化、進化というものが、私どもソフトウエアベンダーの製品開発においても非常に大きな影響を与えているということがございます。
 実際にそういった変化の一端を、今、私どもはちょうどWindows VistaというOSを開発しておりまして、大体企業向けには年末、一般向けには年明けぐらいに発売のパソコンから入ってくるんですけれども、ちょうどこれらの変化、デジタル家電の普及やブロードバンドの普及というのが2000年代初頭ぐらいにございまして、そのWindows Vistaが出るまでの5年間で非常に環境が変わったということがございまして、私どもとしては、この5年間の変化をどう見るかというのを、Windows Vistaの幾つかの機能でもってちょっとご説明をしようと考えております。
 まだつくっている途中のソフトでして、なかなか安定していないんですけれども。もともとよく皆さんがお使いのユーザーインターフェースというのは、こういうマルチウィンドウで、字の大きさとかは非常に小さくて、こういうようなスタートメニューでちっちゃい字をというようなものをごらんになっていると思うんですけれども、これだとどうしても近くでキーボード、マウスでしか操作ができないということで、数年前から一部のPCでは入れておったんですけれども、Windows VistaでこういうMedia Centerと呼ばれるユーザーインターフェースが標準で入ってまいります。Media Centerの特徴は、数メートル離れたところから大きなモニターを見て、矢印のような簡単なキー操作でもって扱うことができるというのが大きな特徴となっております。例えば、これでビデオライブラリーというふうにやりますと、このパソコンに入っている映像コンテンツというのが一度に出てくると。ここで例えばこういうふうに選ぶと、すいません、まだ応答が若干遅いんですけれども、こんな感じで配信。で、例えば、こういったUIを既存のコンテンツだけではなくて、いわゆるこういった既に録画されたコンテンツだけではなくて、例えばインターネット上のテレビ局なんかについても、ブラウザーでブラウジングするというと非常に操作が煩雑になりますので、リモコンを使って簡単に選べるようにするということをメディアオンラインという名前でやっておまして、例えばGyaOさんですとか、弊社の音楽配信サービスですとか、アニメ会社さんというようなものが、ブラウザーでもってURLを打ち込む、あるいは検索エンジンからというのではなくて、リモコンから簡単に見せられるようなものを進めております。
 先ほどの映像を見ていただいてもわかるように、残念ながら、まだまだインターネット配信自体は非常に映像の品質が低いという問題がございますけれども、これはADSLが主流ということもございまして、どうしてもまだまだ十分な速度を稼げないというところの問題でして、例えば今後、FTTHとかになっていきますと、ハードウエアの能力的には既にハイビジョン相当の映像というものをPCで扱うということも難しくなくなってきているということがございます。ちょっと重たいので動くかどうか。ちょっとお待ちください。一応、準備したときにはちゃんと動いたので、多分動くと思うんですけれども、もう少々お待ちください。ちょっとうまく動かないですね。じゃあ、また後ほど改めてデモをさせていただきます。
 こういったいわゆる放送局的な放送コンテンツを流すというものだけではなくて、最近インターネット上では、一般的に個人のユーザーさんが動画を配信するというようなケースも増えていまして、例えば、You Tubeというサイトがあるんですけれども、この米国のYou Tubeというサイトは、自分で撮った映像というものを簡単にネット上で公開するというサーバーベースのサイトになります。これは以前、弊社でマーケティングキャンペーンではなかったんですけれども、Origamiという新製品を出すときに、Origamiというのはタブレット型の小さなPCなんですけれども、それのプロモーションビデオがたまたまYou Tubeで公開されたということがありました。こういうビデオをウェブ上で簡単に設備を持たなくても張りつけるということができるようになっております。ここに映像をアップロードしたら、このURLとかをそのままリンクとして持つこともできますし、また、このembedというようなタグを使いますと、例えば自分のブログとかに簡単にこういった映像を張りつけることができます。ちょうど昨日、おとといぐらいにネットではやっていたのが、Googleが新人採用の広告をこのYou Tubeにアップロードしまして、これがあちこちのブログの中で紹介されました。リンクではなくて、こういうあたかもこのサイトの一部であるかのように、こういうGoogleの採用のビデオとかを張りつけることができるようになっております。こういったことが専用の機材ではなくて、例えばデジタルカメラで簡単に映像ファイルに落としまして、それをパソコンからアップロードして、そのまま自分のブログに張りつけるというようなことがもう既に非常に簡単になってきておりまして、You Tubeというのは米国のサービスで、見ていただいてわかるように、英語のユーザーインターフェースしか提供されていないんですけれども、実は利用率でいいますと米国よりも日本のほうが高くなっておりまして、これはやはり日本のほうがFTTHADSLの普及が早かったからではないかと考えております。
 ちょっとさっきうまくいかなかったハイビジョン相当のビデオがちゃんと出るかどうか、もう一度やってみようと思うんですけれども。これはちょっとお手元のモニター向けに解像度を落としていますので、若干HDとは言えないんですけれども、一応ハイビジョンモニターにパソコンをつなげますと、これが720本の走査線できっちり動くと。720本の走査線といいますと、私どもで年末発売させていただきましたXbox 360がそれぐらいになるんですけれども、今年、来年発売になるパソコンですと、これよりもう一段上のプレイステーション 3とかがねらっていらっしゃる1080pというハイビジョンのさらにプログレッシブのものも、パソコンで普通に扱えるようになると考えております。インフラ側が追いついてまいりますと、こういう映像がインターネット上で普通に共有されるようになると考えております。
 余談ですけれども、こういう映像をこういう形で簡単にOSの中で切りかえるようになっております。
 プレゼンテーションに戻りますと、もうこれで終わりなんですけれども、私どもといたしましては、インフラがどんどん普及をして、PCの能力自体が上がっていく中で、おそらく映像を扱うということがパソコンで特別なことではなくなっていく、また、それはこれまでのようなキーボードとマウスと小さなモニターという形で行われるだけではなくて、テレビのように見えて実はパソコンであったりですとか、あるいは、テレビなんだけれども、これまでパソコンでしかできなかったようなことのできるようになるデバイスという、そういった意味で、どんどん垣根がなくなっていくのではないかと考えております。
 その中で、垣根がなくなっていったときに、ただ、私どもとして非常に心配をしておりますのが、パソコンはかなり自己責任の文化でございまして、例えばコンピューターウイルスに感染をしても、それは例えばアンチウイルスソフトウエアを入れていましたかとか、あるいはアップデートをしていましたかとか、そういうことを啓蒙していくというような世界だったわけですけれども、これがテレビとなってまいりますと、電源を入れたらつくのが当たり前ですし、それがとまってしまったら、それはどうもハードをつくっている人たちの問題だという、責任の考え方ですとか、お客様が期待されていることが非常に異なっておりますので、パソコンがどんどんテレビの世界に近づいていくということは、おそらく、テレビと同じように簡単にいつでも電源が確実に入って、いつでも当たり前のように使えるという世界を実現していかなきゃいけない。これは非常に私どもにとってはハードルの高いことであると考えております。
 また、ちょっと本題でありますIPTVについて、現時点で日本できちっとビジネスが立ち上がっていないこともありまして、なかなかご説明が難しいところがございますけれども、例えばケーブルテレビさんとかですと、パススルーでデジタル放送等も送られていらっしゃって、こういった世界では、今、地デジ対応のパソコンであれば、簡単にデジタル放送を受信するということが現実にできるということがございます。一方でIPTVをやろうとしますと、例えば今の地上放送はたしか二十数メガbpsの帯域幅で、現状、私どものIPTVで対応しているのが、例えば10メガbpsぐらいであったりですとか、そういった方式上のそのまま流すことができないというような問題もございますし、多分、この後いろいろな方がご指摘されるかと思うんですけれども、制度的に解決をしなければならない課題が数多くございまして、こういったものを解決するためにいろいろなコストがかかったときに、それに見合う付加価値、どうやってもうかるのかというようなところが見えないということがございまして、私どもといたしましては、日本でもそういったIPTV的なものがはやる可能性があれば、そこの中で私どもとしてどういう製品をご提供できるかというのは当然考えていかなければいけないことでございますけれども、現実には、どのようにそれが進んでいくのがというのはまだまだわからない点もございまして、勉強させていただいているところでございます。
 以上でございます。
【多賀谷座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に何かご質問がありましたら、ご自由にご発言願います。どなたかございますでしょうか。どうぞ。
【山下構成員】  何か未来社会のようなお話を聞かせていただいたんですが、今、テレビと、それからパソコンとがだんだん近づいていくというようなお話だったと思うんですが、そのときに、話の中に出てきたのは、いわゆる地上波のチューナーがよく入っているというようなお話でした。実際には、店頭で売られているのはBSとかCSが入っているものというものも出てきていますけれども、お話の中で地上波を想定しておられたことに何か特別な理由というのがあるのか、それとも、それで代表して、いわゆる放送ということをおっしゃっていたのか、ちょっとそれは確認したいと思います。
 それから、もう1つはケーブルについてですけれども、ケーブルとの、何ていうのか、決定的に違うこと、あるいは非常に同じことというんでしょうか、同じ方向を向いていることと、それがどういうふうに違いなり近似性というか、そういうのがあるのかなと思ったんですけれども、そこも教えていただきたいと思います。
【楠(マイクロソフト株式会社)】  ありがとうございます。最初の点につきまして、ひょっとして私の勉強不足があるかもしれないんですけれども、いわゆる家電製品におかれましては、多くのテレビがBSCS及び地上デジタルのチューナーを積まれているかと思うんですけれども、パソコンに関しましては、まだ特にCAS等の扱いがようやっとメーカーで開発され、ようやっとパソコン向けにそういったスクランブル放送をどうやって受信するかというのを各メーカーさんで開発されたところでして、多くが地上デジタルのみに対応しているのではないかと思いまして、今、富士通さん、NECさん等がいわゆるデジタルチューナー内蔵のパソコンを出し始めているんですけれども、そういったものはまだ地上波にしか対応していないものが多くございます。また、もっと言いますと、著作権の扱い等で長い間やはり問題がございましたので、多くのテレビチューナー内蔵パソコン、半分以上がまだアナログチューナーのみの内蔵になっているというようなことがございます。デジタル対応のものは非常に最新の製品で、高価格帯のものに限られているというような現状がございまして、そこは若干、いわゆる薄型テレビ等とパソコンとで、まだパソコンの出おくれているところがございます。
 2番目のご質問の、いわゆるケーブルテレビとの類似性という点でございますけれども、私どもから見ますと、インターネット、IP等で伝送されるものに関しましても、いわゆるケーブルで伝送されるものに関しましても、いわゆる無料の空から降ってくるというのではなくて、事業者様がインフラ投資をされて、無料の場合と月額幾らという場合があろうかと思うんですけれども、いずれにしても、事業者さんが伝送路のインフラを用意されているという点は、IP等を使った放送とケーブルテレビの非常に類似している点ではないかと考えております。
 もう1点ございますのは、そういった意味で、いわゆる周波数割り当ての影響を受けにくいということがございますので、可能性としては、地上放送と比べて多チャンネル化が容易であるということも言えるのではないかと思います。ただ一方で、そうなりますと、なかなか多チャンネルになったときの広告の問題等を含めまして、ビジネスモデルについて考えていかなきゃいけないということがございまして、まさに衛星放送やケーブルテレビで悩まれてきた、どうやってチャンネル数が増えていく中で、それをマネタイズしていくかということは、おそらくインターネット放送であれ、IPTVであれ、今後、真剣に考えていかなければいけない課題ではないかと考えております。
 以上でよろしいでしょうか。
【石橋構成員】  よろしいでしょうか。今のお話で、パソコンが非常に進化してきたというお話なんですけれども、個人が映像をどんどんやりとりする、発信するということになりますと、伝送路の中に相当なものが流れるということになりますよね。
【楠(マイクロソフト株式会社)】  はい。
【石橋構成員】  そうすると、やっぱり伝送路のキャパシティーを上げていくというようなことをやっていかなきゃいかんのだろうと思うんですが、マイクロソフトさんの事業はそういうものとは違ったものだということは重々承知しているんですが、将来の伝送路をどうするんだというような点について、何かお考えがあればお聞きしたいなと。
【楠(マイクロソフト株式会社)】  私ども自身でインフラ投資等をしておりませんものですから、そういうインフラ投資の事業に対するバランス感覚のようなものというのはちょっと持ち合わせていないので、非常に外したお答えになってしまうかもしれないんですけれども、いわゆるお客様から見ると、データを流すということで追加的な費用が発生しないと、もうともかくじゃぶじゃぶ使えばいいというふうになってしまうこともあろうかと思うんですけれども、結局、そうやってじゃぶじゃぶ使うのに対して投資をしていった場合に、それは結局のところ、利用者向けの料金であれ、広告であれ、どなたかが負担をしなければならないという問題がございまして、いわゆるそれによる効用だとか、そこから生まれてくるビジネスと、その投資の原資というのもバランスがとれていかないと、やはり健全なインフラとして発展していかないのではないかと考えております。そのバランスのとり方は、逆にパソコンというのはソフトウエアでいかようにでも柔軟性がございますので、例えば映像をハイビジョンで10メガbpsで流すのか、あるいはノーマルに250キロとか500キロbpsで流すのかというようなことは、いわゆるハードウエアでなかなか書きかえの難しい家電等と比べると柔軟に対応できるということがございますので、インフラとして十分に負担可能な水準の中できちっとビジネスを展開していくというバランスをとれる可能性というのはあるのではないかと考えております。
 ただ、やはりパソコンと家電と大きく違うところで、パソコンでは、例えばウィンドウズであれば、マイクロソフトのつくったソフトウエアだけではなくて、サードパーティーさんのいろいろなプログラムを走らせることができる柔軟性がございまして、そうすると、例えば昨今話題になりましたWinnyのようなアプリケーションがともかくありったけの帯域を使ってしまうというようなことがございましたけれども、そういった問題が起こり得ると。で、起こったときに、それに対してどのように対応していかなくてはいけないのかというのは、私もちょっと答えを持っているわけではないんですけれども、考えていかなければいけないことだなと考えております。ただ、それはたまたまWinnyに関してはなかなか、作者がいなかったり、事業者がはっきりしなかったりというようなことで、ビジネスとしてソフトウエアを何らかの形で配布をして、そこから広告なりソフトウエアの利用料なりというような形でビジネスをされている方に関しましては、当然インフラが提供されて、インフラ事業者がきちっともうかって、そこから設備投資をしていただくということの上でないと、なかなか事業というのは安定的に成り立たないということがございますので、そこはうまくバランスをつくっていくということはできるのではないかと考えております。
【多賀谷座長】  よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。
 続きまして、ケイ・オプティコムの常務取締役、土森様からご説明をいただきたいと思います。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  ただいまご紹介にあずかりました、私は株式会社ケイ・オプティコムの土森と申します。本日は非常に注目度の高いこの研究会にお招きいただきまして大変光栄に思うとともに、我々の業務の内容をご説明できるということで、大変喜んでおります。
 私どもの会社といいますのは、関西の一地域で電気通信事業を営んでおりますので、ここにご参集の皆様方にとってはあまりなじみのない、また知名度も低い会社だと思いますので、若干弊社の概要を説明させていただきます。本社は大阪にございまして、資本金330億円で、関西電力の100%子会社でございます。
 続きまして沿革が書いておりますが、設立時期の63年4月といいますのは、電気通信事業がちょうど民営化された時期に当たっております。この時期に関西電力は携帯電話事業者が多数出てくるだろうという思惑のもとに、関西電力が持っております無線鉄塔あるいは送電鉄塔を携帯事業者さんの基地局用としてお貸ししたいということで、63年6月に賃貸事業というのを始めております。これは非常にめずらしい会社で、電力会社では唯一関西電力だけでございます。その後、平成12年9月に第1種電気通信事業の許可をいただきまして、データ伝送あるいは光ファイバーの賃貸事業を開始しております。この時点で、関西電力が持っておりました光ファイバーを現金で我が社が買い取っております。そういった意味で、ほとんどの関西電力が持っておりましたファイバーを我が社が手にして、そこで新たな通信ビジネスに参画したということでございます。その後、1211月にアステル、PHS事業ですけれども、非常に苦しくなったということで、この会社も合併しておりますし、その上に書いております関西ケーブルサービスを合併しております。これは関西電力の送電線等による難視聴の対策用のケーブルテレビ網を一応維持管理する会社でございます。そういったことで、この3つの会社が合併いたしまして、本格的な通信サービスを始めようと、それも光とPHSを使ったサービスを始めようということで、平成13年6月に企業向けサービス、あるいはPHSのインターネットサービス等を開始いたしました。ついで、14年4月に戸建て向けのFTTHサービスを開始しております。これは日本で初めてE−PON方式を採用した低価格のインターネットということで、かなり衝撃が走った低価格戦略をここで打ち出したということです。その後、平成1511月に光CATVサービスeoT.V.と書いておりますが、これはFTTHを用いました電気通信役務利用の放送でございます。その後、大阪メディアポートとの合併、そして16年9月にeo光電話、0ABJIP電話サービスを戸建て向けに開始いたしまして、ここで初めてFTTHを利用した本格的なトリプルプレーを、日本で初めて弊社がサービス開始したということになります。他社では集合住宅向けということで限定されておりましたが、我々は集合向けあるいは戸建て向けということで、面的にすべてサービスを開始したということでございます。
 本日は私どもの事業の内容をご説明いたします。まず、FTTHのサービスの概況、それから放送事業への取り組み、時間があれば、あと一般的な情報通信事業の展開ということでご説明したいと思います。
 ここではちょっと漫画っぽくかいておりますが、私どもとしましては、関西電力の供給エリアでしかサービスしておりませんので、NTTさんと比べて我々はやはり地域、身近なお客様に特化した形でないと、ビジネスチャンスはないだろうと思っております。そこで、超高速1ギガから64キロbpsということで、個人に対してさまざまな速度のサービスをご提供したいと考えております。それから屋内、屋外、それからアプリケーションをいろいろ活用していきたいと考えております。個人向けでは当然FTTHを中心にしております。それからモバイルのPHSインターネットは、いわゆるDDIポケットさんが昔やっておられましたAirH”、今ではウィルコムさんになっておりますけれども、それと同等のサービスを関西で細々とやっております。企業向けでは、先ほど言いました大阪メディアポートと合併いたしましたので、いろいろな企業向けのサービスも幅広くしております。
 ここではFTTHに特化して書いておりますが、私どもといたしましては、eo光というブランドのもとに、基本コンセプトは光ライフラインということで、生活の対応を変えていこうという深い考えを持ちまして、この3つをセットで提供しております。ネットにつきましては、パソコン直結1ギガbps、いわゆるギガサービスということで、現在日本では弊社のみのサービスです。それから電話につきましては、ご家庭の固定電話を置きかえることのできる0ABJということで、先ほど言いました16年9月に戸建て向けで初めて提供いたしました。テレビにつきましては、ご家庭のテレビを生まれ変わらせることのできるテレビサービスということで、1511月から地上波再送信も可能な光CATVということで、K−CATさんと提携した形でのサービスを開始いたしました。こういったことで、左のほうに価格戦略を書いておりますが、ネットと電話で5,200円といいますのは、ADSLプラスNTTの電話基本料よりも数百円安い値づけにしております。そしてその上に、3点セットということで、テレビをつけますと8,350円ということで、かなり大幅なセット割引になっております。こういったことで3点セットを売り込んでいこうとしております。
 ここにFTTHの加入者の推移を書いておりますが、18年3月末で38万ということで、関西のローカルで、しかもNTT西さんと熾烈な戦いをしている中では、かなり善戦しているほうだと思います。この中で、書いておりますように、eo光電話サービス、そしてeo光テレビのエリア拡大に伴いまして、FTTH加入者数は順調に拡大しております。左のほうに光ネットの世帯カバー率といいますか、エリアカバー率は92%、光電話も92%、光テレビは86%と、かなりの範囲までサービスを提供しております。そして、セットの同時申し込み率でございますが、ネットと光電話では約8割のお客様がセット申し込みをされます。そして光テレビも3割弱セット申し込みをされますので、大体2割5分から3割近くがトリプルプレイの申し込みをされているという実態になっております。
 7ページに書いておりますのが、先ほど言いましたように、世帯カバー率が92%ということで、ここに絵がかいてあるところでございます。この中で関西におけるFTTH契約数ですが、総務省さんの発表によりますと、各近畿圏は、NTT西さんと私どもの和になるわけでございますが、全国に比べてはかなりのFTTHの普及率を誇っているということで、我々はユビキタス社会に最も近い地域であるということを宣伝しております。
 本日の課題でありますeo光テレビの提供ということで、ここに基本コンセプトを書いておりますが、私どもは光ファイバーを敷設しておりますので、電気通信役務利用放送法と、我々が持っております光ファイバー網を有効活用いたしまして、放送のデジタル化や多チャンネル放送の普及・発展に合理的なソリューションを提供したいと考えております。サービス提供の意義としましては、関西を基盤とした地域情報化への貢献という形で、CATVサービスの空白エリアへの展開、地上デジタル放送の早期対応、それから自治体さん等からの地域情報の発信ということです。それから、お客様への選択肢を増やし、多様なニーズに対応と書いておりますが、実はこれは、地元の既存のケーブルテレビ局さんのサービスエリアにおいては、我々は非常に憎たらしい競合に見えております。ただ、お客様の選択肢を増やすと格好よく言っていますけれども、各地域ではやはりFTTHを脅威と感じておられると思われます。そういったことで、私どもは電気通信役務利用放送法によりまして、これまでの有テレ法の設備投資負担から解放された地域のCATV事業者様にK−OPTの光ファイバーを有効活用していただくことにより、地域への貢献、さらにはお客様満足の向上につなげると、非常に格好よく書いております。
 先ほども値段を言いましたが、私どもとしては多チャンネル放送を今のところ原則にしております。光ネットとセットなら実質3,150円プラスということで、単独で入るのに比べてかなり安くしております。大体単独で入るよりも2,000円弱セット割引をしております。
 ここにeo光テレビの提供形態を書いておりますが、これは非常に特異性のあるネットワークでございます。私どもはFTTHを始めた当初から、ユーザー、要はネットの契約ユーザー宅に対しまして、2芯を引き込んでおります。もともとドロップケーブルというのは2芯構成されておりますので、2芯を引き込んでおります。それからネットにつきましては、青で書いておりますけれども、ONUでパソコンへ接続するということです。それから、光テレビをお申し込みいただいた場合は、その芯線の余った分に放送用ONUに接続し、さらにセットトップボックス、これはテレビ会社さんが設置されるわけですけれども、こういった形にしております。ということで、上位系も含めまして、私どもの基本的なポリシーは、データと映像はネットワークを完全に分離するということです。ただし引き込み部分につきましては、ドロップケーブルですので、同一ケーブルではありますが、芯線分離ということでネットワーク上は完全に分離しております。というのは、1つの設備故障によりまして、電話も、データも、テレビも全滅ということはぜひ避けたいという考えが私たちとしてはあり、ネットワーク分離という方向に走っているということです。
 ここに電気通信役務をケーブルテレビ方式で提供している理由は、皆さん当然ご承知だと思いますが、現時点、制度面では、著作権の話があり、技術面では標準的なIPマルチキャスト方式はないということ、それからコスト面では、先ほど言いましたように、我々はもう2芯を引き込んでおりますので、ファイバーにかける投資はそんなに大きくないといった観点から、eo光テレビでは、制度面や技術面の課題がなく、コスト的にも有利なケーブルテレビ方式を採用して、通信放送融合サービスを推進してきております。
 eo光テレビの事業スキームでございますが、私どもは役務をご提供する会社でございますので、当然、CATV局さんが我々の通信役務を利用していただかねばならないわけです。私どもは15年4月からケーブルテレビ連盟の近畿支部さんへの説明を始めまして、それから15年の10月から、各CATV事業者さんと個別協議を始めております。あわせまして、関係自治体へすべて説明しております。150カ所を超える自治体さんにすべてこの内容についてご説明して、ご理解を求めております。そうした結果、上の箱の下にちょっと小さく書いておりますけれども、現在はK−CAT様と近鉄ケーブルネットワークさんの2社だけのご利用になっております。CATV局様のメリットは、先ほど言いましたように、インフラ投資がそんなにないだろうということで、まだ残ったエリアにつきましても、まだ協議を続けている場所がございます。
 それで、これは地図がかいてありますけれども、赤くかいてあるところがeo光テレビとして空白エリアに進出したところでございます。62市町村、新たなサービスエリアに展開いたしました。この黒にかいてあるところは既存のケーブル局のあるところです。そこにもeo光テレビを提供している部分もございます。そこが先ほど言いました地元のCATVさんとの協議が不成立に終わって、K−CATという形で展開しているということです。こういったことで、各自治体さんからは非常に感謝されているということでございます。
 これがちょっと波紋を呼ぶかもわかりませんが、難視聴地域解消への対策としまして、私どもは現行の規制下において、多大なインフラ投資も実際やってきておりますし、各CATV事業者さんも投資をやってこられていると思います。そういったことで、我々としましては、空白エリアの低減等につきましてもかなりの効果を上げてきたと自負しております。先ほどマイクロソフトさんからもお話がありましたように、IPマルチキャスト方式の課題としましては、著作権、それからハイビジョン放送の帯域の話、それから我々が一番大きく問題と考えておりますのは、視聴者さんへ与える影響です。市販の受像機では視聴できない、各キャリアが決めたIPセットトップボックスを設置しなければならない、それもすべてのテレビに、家庭にはテレビが1台とは決まっておりません。複数台あれば、複数台にIPセットトップボックスをつけなければならない問題があるだろうということと、家庭内ネットワークの整備ということで、すべてのテレビにLAN、要はイーサネット回線を接続しなければ、IPテレビは見られないだろうと思っております。そして、帯域の問題としまして、今、NTTさんでは2チャンネルしか同時受信できませんよとおっしゃっておりまして、それで40メガほどつぶしますが、そうすれば100メガと称しているのが残り60メガということになりますので、どうもそこら辺のバランスをどう考えたらいいかというのが我々はちょっとわからないということです。家庭では当然テレビは個室に設置している時代になり始めておりますので、2チャンネルしか同時視聴できないということは、これは大問題ではないかと考えております。そういったことで、難視聴地域の解消のためのIPマルチキャスト方式採用には課題が多いんじゃないかなと考えております。
 そういったことで、ここにちょっとわかりにくいことを書いております。2行目、ユーザー利便性向上のために選択肢を拡大させることという観点から、ケーブルテレビ方式をIPマルチキャスト方式と同等に取り扱い願いたいと書いておりますのは、どうもいろいろなところで聞こえくる話では、現在、IPマルチキャストが華々しく取り上げられているように見えるということです。ただ、これから総務省さんが地デジ再送信に対してどういう施策を打たれるか、我々にはちょっとはかり知れないところがございますが、仮にIPマルチキャスト方式に補助金なり、補てんスキーム等が適用される動きがあるのであれば、私どもとしては、標準的なケーブルテレビ方式も忘れずに、それも電気通信役務利用法も適用された形で、幅広く何とか考えていただきたいということをここに書いております。
 参考としまして、自治体様と連携したエリア展開の事例と、兵庫県K町と書いております。実は明日サービスインするんですけれども、ここはK町、兵庫県の香美町です。そのお隣のT市でもイントラ提供ということで、ここもテレビを新規提供したところでございます。私どもは過去3年ぐらいに50市町村の地域イントラを受注しております。地域イントラを受注したところは、その地域イントラのネットワークを有効活用いたしまして、FTTHのネットサービス、あるいはeo光電話、あるいはeo光テレビを提供しまして、先ほど言いました空白エリアの解消に努めているということで、K町というのが端的な事例です。平成17年4月に合併いたしまして、この3町に対しましてテレビも提供いたします。
 ここにちょっと漫画っぽくかいてありますけれども、各センターとか、町の施設の間をファイバーを引きまして、それらを有効活用しまして、先ほど言いました3つのサービスをするということです。展開エリアも最初から約80%カバーした形でサービスを提供いたします。
 あとはいろいろ書いておりますけれども、通信サービスとしまして、我々は携帯を持っておりませんけれども、他事業者さんとの連携を含めて、FMCサービスも視野に入れてまいりたいと考えております。そして、関西圏の光ファイバーを使って、ほんとうの生活インフラに高めていきたいと考えております。ここで書いていますのは、IPを使った映像配信です。それから、これは医療分野の適用ということで、高度のPETとか、そういった検診データを我々が持っておりますデータセンターに蓄えて、それを各お医者さんに提供したりするサービスです。それから、これは光ファイバーの教育分野への活用ということで、NOVAさんのお茶の間留学です。我々のFTTHを用いてお茶の間留学を実現している事例です。それから、これが光ファイバーの住宅分野への活用ということで、我々の兄弟会社であります関電SOS、これはセキュリティーでございますが、マンション1棟をオール電化にし、我々のFTTHを入れ、関電SOSのセキュリティーを入れということで、関電一式になっておりますけれども、こういったサービスも連携して提供しているという事例です。それから、これはN県、奈良県でございますが、小学校の通学路の防犯カメラシステムということで、我々の安価なFTTHネットワークを使って監視するということで、これも関電SOS、セキュリティー会社が監視しているということです。
 それから参考ですけれども、高速PLCがこの秋ぐらいに一応実用化のめどになっているということですが、今のところPLCは家庭内ネットワークでしか活用できそうにもございません。そういった意味で、家庭内では高速PLCあるいは無線LAN、これらのどちらが安いかという勝負になるかと思います。
 続きまして、集合住宅向けでは高速PLCサービスモデルとして、各家にPLCの子局を設置してインターネットサービスをするという事例でございますが、これもCATV事業者さんのc.LINK、あるいはADSL、あるいはPLC、これもあくまで価格勝負になるんだろうと思います。
 そういったことで、我々は他地域ではちょっと珍しいいろいろな動きをしておりまして、関西地域のお客様に、光ファイバーIPネットワークをベースにいろいろなサービスをご提供していきたいということで、私どもの会社の合い言葉は、「関西を光の国へ」ということを合い言葉に活動しております。
 以上です。ありがとうございました。
【多賀谷座長】  ありがとうございました。それでは、ご質問がございましたら、ご自由にご発言願います。
 最初に私からちょっと聞きたいんですけれども、光ファイバーを2芯引かれていらっしゃいますけれども、これは最初から2芯引かれていると理解してよろしいですか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  そうです。もともとドロップケーブルというのは最低が2芯構成されていますので、それを分割して、また芯線を分離するというのは、極論を言えばかなりの手間ひまをかけないといけないわけです。我々は2芯を引き込んで、あとは上位系のネットワークと接続すればいいという形をとっているということで、引き込み部分は常に2芯が入っているということです。だから、波長多重しなくてもいいということです。
【石橋構成員】  ケーブルテレビの場合、大体原則的にはコミュニティーチャンネルというのを各自治体単位でやっているわけですが、ケイ・オプティコムさんの場合、これだけ多いと、それに対応するのは大変だろうと思うんですが、現状はどうなっているんですか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  弊社がやっているんじゃなくて、そこにおられるK−CATさんがやっておられるんですけれども、今は2市、やっぱり自治体さんも積極的にやりたいというところと、なかなかコンテンツを出せないというところがございますので、今、2市は提供し始めています。あと1市が準備中という形で、先ほど言いました数に比べては非常にテンポは遅いです。我々は一応提供する準備はしておりますけれども、ちょっとまだそこにギャップがあるということです。
【石橋構成員】  それともう1点、申しわけないですが追加してよろしいでしょうか。PLCの状況なんですが、先ほど、今年の秋ぐらいから使えるんじゃないかなということなんですが、ほんとうなのかなと。失礼なことを言っちゃいかんのだけど。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  私は直接やっていませんので、総務省さんに聞いてもらったほうがいいかと思いますけれども。
【石橋構成員】  専門家なので、土森さんにぜひその付近のほんとうのところを教えてほしいなと。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  実験の結果では、我々は希望的観測で秋ごろと思っています。ただし、c.LINKもいろいろ雑音の問題があって、どうなのかということもいろいろうわさが聞こえてきていますけれども、同等じゃないかなと思っていますけれども。ほんとうにはっきりした知識がございませんので。
【多賀谷座長】  そのほか。どうぞ。
【中村構成員】  やはり2芯のことなんですが、現状の法制度からは2芯で行かざるを得ないんだろうと思うんですけれども、将来、2010年とか、先を考えたときに、やはりいろいろな法的な制度上の制約も解決したと、それから、いろいろ1芯でも、引き込みしてでも、ブランチしてでも、わりと施工が容易になっていくと、そういう施工技術の開発等を考えた場合は、やはり1芯もあり得ますか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  先ほど言いましたように、我々のポリシーはネットワーク完全分離ですから、2芯は変えるつもりはございません。幾ら技術が進んでも変えないです。NTTさんは1芯で波長多重されておりますので、スカパー!さんは標準的なケーブル方式だと思います。で、IPを我々は使うかといえば、IPをやるのは、先ほどマイクロソフトさんが言われた、要は映像配信という形ではIPは使います。ただ、多チャンネルとか地上波の再送信にそれを使うかといったら、我々は使うつもりはないということです。
【中村構成員】  それの理由はネットワークの信頼度という意味ですよね。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  そうです。
【中村構成員】  ということは、どれだけ分離してでも、信頼度レベルというのは分離したから上がるということかな。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  いや、同時停止を避けるということです。
【中村構成員】  何を避ける?
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  同時停止。
【中村構成員】  同時というのはテレビとネットと・・・・・・。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  ネットも電話もテレビも全滅といったら、これは家庭ではもう大変なことになりますので、それを避けたいというのが第一義です。
【寺坂構成員】  最後のパワポで、シームレスな情報通信サービスというのの中で、このインフラを使って、いわゆるクワトロプレー、電話、いわゆる携帯の伝送路にというような構想というか、方向性って、そういうものについてはいかがなんでしょうか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  我々は携帯事業者を持っておりませんし、たかだか地域の会社ですので、どれだけ携帯事業者さんが我々と連携していただけるかということが最後になるんですけれども、私どもとしては、ドコモさん、auさん、それからボーダフォンさん、すべてに対して手を差し伸べます。だから、すべての携帯ネットワークと我々はFMCを実現したいと思っています。これは公正競争の観点から、当然あってしかるべきだと総務省さんにもお願いしております。
【大塚構成員】  ケイ・オプティコムさんは戸建てにFTTHのサービスをされているということなんですけれども、通常、例えばNTTさんの場合ですと、マンションなんかですと7戸とか8戸がそろえばサービスを提供するよとやられていると思うんですが、光の場合、工事の面でいいますと、同軸ケーブルなんかに比べて、例えば引き込みの作業費が高いだとか、そういう面があるかと思うんですが、戸建て向けのサービスというのはもうペイできるようなレベルまで、工事費とかあるいは機器の値段がそういった面でかなり落ちてきていると考えてよろしいんでしょうか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  コスト面は、もう数年前に比べたらかなり落ちてきております。まだ会社全体としてはやっと昨年単黒になったんですけれども、FTTHではまだ赤です。ただ、今年末か来年ぐらいで、予測どおりのお客さんがとれれば、何とかペイするんじゃないかなというところまでは近づいていると思っております。
【多賀谷座長】  そのほかにございますでしょうか。どうぞ。
【森構成員】  現在までのサービスの中で、IPマルチキャストという格好での回線運用はまだなさっていないと理解してよろしゅうございますか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  全くやっておりません。ネットワークのバックボーンを変える体力は今のところございません。アクセス、光のほうに投資が集中しております。今の段階でバックボーンを変えられない弱みがあるので、先ほどちょっとIPマルチキャストをやや責めているんですが、どっちが正しいかというのは、我々は標準CATV方式を、今、適用したほうがユーザーサイド面からは有利じゃないのかなという考えは変わっておりません。けれども、IPマルチキャストもいつかはしなければならないんだろうと思います。
【多賀谷座長】  そのほかにございますでしょうか。どうぞ。
【山下構成員】  6ページの加入者の推移なんですが、聞き漏らしたのかもしれませんが、これは電話サービスの加入者ということですか。それとも・・・・・・。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  FTTH、ネットサービスの加入者数です。ネットサービスを100とすれば、そのうち80が光電話も同時に入られます。また、30人はテレビも同時に入られますということです。
【山下構成員】  そうすると、38万という加入者の中には、いわゆるネットだけの人と、それからネットプラス何かの組み合わせの方と。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  そうです。38万は、下に書いておりますが同時申し込み率と書いていますので、サービスした時点が違っておりますので、最初はネットしか入っておられない。だから、今は38万で、実際光電話は累積としてこのうち21万です。それから、光テレビは3月末で3.1万です。サービスをしているエリアの中での申し込みの同時率というとらえ方をしていますので。
【山下構成員】  そうすると、光テレビについては、先ほども何かケーブル会社との提携があまり・・・・・・。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  結局2社だけになってしまいましたということです。
【山下構成員】  そうすると、もともと潜在的にみんなが入るパイも小さいわけですよね。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  我々としましては、FTTHのユーザーに付加価値として光テレビをご提供したいと思っておりますので、100メガのFTTHを欲しいお客さんで、テレビも欲しいというお客さんがおれば、我々に入っていただけると、HFCHFCのインターネットがいいという方は、既存のケーブルテレビのサービスを受けられるという構図です。だから、あくまでもFTTHのネットサービスの方が良いという形で選択されるのが多いと思います。
【多賀谷座長】  ということは、ネットサービスに加入する方に、付加的に映像伝送サービスも提供すると。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  プラスでお勧めするということです。
【多賀谷座長】  逆の映像伝送というか、光放送サービスだけを単体で提供するということはされないんですか。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  一応、メニューとしてありますけれども、非常に高いです。ケーブル局さんのHFCのテレビのほうがはるかに安いです。だから入る人はいない。ただ、光とセットにしたら、共用部分とかいろいろあるので、先ほど言いました2,000円弱をトータルから引きますということで、そこでやっと競争条件が整ったということになり、それで、FTTHHFCかという選択肢にやっと入るということになります。
【中村構成員】  お願いします。IT戦略本部では、2011年ごろに日本全体でブロードバンド化していこうという一応報告が出ておりますが、御社のテリトリー、営業エリアの中では、現在のカバー率はどれくらいでしょうかということと、未カバーエリアに対してのもし方針がございましたら、お聞かせください。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  7ページに近畿2府4県の92%と書いています。これはほんとうにサービスできるエリアです。うそ偽りのない92%。だから、ある市の中でサービスできないエリアがあれば、その分は対象世帯数からカットしております。そういった意味で92%は確保できます。あとの8%は、我々がどうもがいても単独ではいけないということで、先ほど言いました自治体さんの地域イントラでいろいろ支援とか、借りていただけるとか、そういったことでいろいろお話し合いの中でエリアカバーを徐々に広げていく事例はあります。けれども、一挙にどんという形は今のところちょっとできかねています。
【多賀谷座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
【土森(株式会社ケイ・オプティコム)】  どうもありがとうございました。
【多賀谷座長】  それでは、次の議題に入ります。IPTVの動向について、財団法人マルチメディア振興センターの専務理事、安成様と、三菱総合研究所の主席研究員、中村様からご説明いただきたいと思います。どうぞ。
【安成(財団法人マルチメディア振興センター)】  ただいまご紹介にあずかりました財団法人マルチメディア振興センターの専務理事の安成でございます。本日はこのような場で我々が行いました調査研究の成果を報告させていただくというチャンスを与えていただきまして、本当にありがとうございました。それでは、座ってから説明させていただきます。
 先ほどからも議論がございますように、特に最近のブロードバンドの急速な普及、整備に伴いまして、いわゆるインターネット方式といいますか、IP方式によってデータ通信あるいはIP電話など電話サービスとか、そういうもののサービスが行われていたわけですけれども、最近になって特にブロードバンド化に伴いまして、IP方式でテレビまで送ってしまうIPTVサービスというものが、日本だけではなくて、特に欧米諸国あるいはアジア、中国とか、あるいは香港とか、そういうところで急速に進展しているということでございます。当センターとしましても、マルチメディアサービスの普及促進を図ると、こういう観点から、このIPTVサービスにつきまして非常に関心を持ち、いろいろ調査をしてみたいなということで、ここに同席されております三菱総研の方にご相談したところ、快くお引き受けいただけたということでございます。調査期間も実は非常に無理を言って、今年の1月から3月の間、わずか3カ月の間で、しかも十分とはいえない予算でやってほしいということでお頼みしたんですが、非常にお忙しい中、広範囲にわたる調査をしていただいたということでございます。
 この調査結果につきましては、本日、皆様方のお手元に配付しております「IPTVの動向に関する調査研究報告書」にまとめております。後ほど三菱総研の中村主席研究員からご説明いただきますけれども、大きく中身を分けますと、まずIPTVといってもいろいろな定義がございます。まずIPTVというものはどういうサービス概念あるいは分類というものに分けられるのかということを分析しました。それからその後に、日本、それからアジア、欧米諸国におけるサービスの動向について調べております。また、特にIPTVサービスを実現する上で技術的な標準化の動向ということが非常に重要だろうということで、国際的な標準化の動向について調査しました。さらに、IPTVの将来展望というようなことについても検討や調査を行ったということでございます。
 それでは、時間も限られておりますので、実際に調査を行いました三菱総合研究所の中村主席研究員からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中村(株式会社三菱総合研究所)】  皆さん、こんにちは。三菱総合研究所の中村でございます。よろしくお願いいたします。恐縮ですが、着席の上、説明させていただきたいと思います。
 本調査は財団法人マルチメディア振興センター様から受託させていただきました。ちょうどこの調査期間の後半で、アメリカの西海岸及び、ロンドンでIPTVの大きなコンベンションがございまして、そこの調査も含めましてなるべく最新情報でまとめさせていただきました。しかしながら、動きの速い分野でございまして、口頭で若干補足させていただきながら、ご説明させていただきたいと思います。
 このサービスの定義は難しいんですが、IPTVという形で最近呼ばれるようになっていると思います。IPは、ご存じのとおり、インターネットプロトコルです。IPTVの厳密な定義は見つからない状況ですが、とりあえず世界のIPTVと呼ばれているサービスのカテゴライズ試みると、意外かもしれませんが、インターネットの大海原を経由してウェブで見るようなものは、世界的に見るとちょっとマイナーな存在でありまして、閉域のIP網でセットトップボックスにつないでテレビ受像機で見るサービスを、IPTVとして定義するのがよいのではないかとこの報告書では結論づけております。
 分類すると2軸ぐらいで整理できると思います。1つ目の軸は映像コンテンツの種類ということで、テレビ放送をほぼ同時に再送信するものと、異時再送信という追っかけ、あるいは時間差で見られるというものと、それから自主番組、ビデオオンデマンド、ダウンロードで見るようなポッドキャストのようなサービスが整理されます。もう1つの軸は伝送路で分けるということで、クローズドのIP網で地域限定ものと、それから全国向けのものと、それからオープンのIP網とで分けられると思います。今ごらんいただいております表の中に、IP再送信、IPTVの同時再送信プラス独自サービス、独自サービス中心、それからインターネットテレビ、ダウンロードサービスとプロットされます。日本で最近話題になっておりますGyaOというのは、この4番のインターネットテレビというようなところに分類されると思います。
 今のオープンIP網、それからクローズドIP網、それから下のほうに書いてあります同時再送信、異時再送信、自主番組、それからVOD、ダウンロードといったようなところを分類しますと、再送信と言われている一番左下の分類から、必要なビデオコンテンツをダウンロードして、iPodの中に入れて、通勤時間中に見るとか、そういうサービスのポッドキャスティング系の右上のサービス、それらが両極にありまして、この間にIP網の類型やコンテンツの配信方法の類型で整理されていくと考えられます。日本は4つほどIPTVに類型されるものがあると思います。Yahoo!をクローズドというかはちょっと難しいところだと思いますが、4th MEDIA、オンデマンドTV、光プラスTV、ここら辺はいわゆるISPの中に閉じたサービスと分類しております。
 次の2ページは世界のIPTVの事業者の動向です。こうやって見ていきますと、英国、フランス、イタリア等、メジャーなテレコムキャリアがやっているというものが多いです。フランスでFrance Telecomが始めているものやIliadによるものがありますが、ここら辺がいわゆるADSLテレビということで急激に普及し始め、IPTVの先鋒役ということになります。イタリアではFastWebが有名で、こちらは日本からもかなり隠密に調査が入ったサービスとして有名です。ドイツはDeutsche Telekomだけ書いてありますけれども、ハンゼネットというTelecom Italiaの配下にあたるところが5月に始めました。それから、オランダではKPNが、やはり、5月にIPTVを始め、こちらはいわゆるネットワークDVR、日本では裁判によって敗訴してしまいましたけれども、デジタルビデオレコーダーがネットワークの向こうのハードディスクに100時間分あるというサービスが用意されています。実はアメリカでは、ケーブルビジョンが同じようなサービスをやろうと計画したところ訴えられたということで、今日のアイティメディアで報道されていると思います。ということで、かなり揺れ動いているサービスが錯綜しながら市場拡大しているのがIPTVといえます。
 それから、香港のPCCWもフランス、イタリアのADSLタイプと並んで世界で双璧をなすサービスと言われております。中国でも上海等で始まっております。韓国では、現在、KTが計画中と聞いております。アメリカでは放送関係で言うとブロードキャストフラグ等が話題となっていますが、ケーブルオペレーターが非常に強大な力を持っていて、どちらかというとテレコムキャリアが弱いような関係もあり、ちょっとまた特殊な動きを見ることができます。アメリカの場合、まだまともにIPTVサービスは始まっていないといえます。Verizonと書いてありますが、テレビはQAMでやっている状況です。
 1国ずつ簡単にかいつまんでいきますと、日本の場合は4事業者となります。特に一番下の行にありますオンデマンドTVでは、H.264のコーデックで6〜7Mbpsくらいの帯域で、HDTVのオンデマンドサービスを6月から正式サービスインする予定です。こちらはBフレッツ上ということでNTTの閉域網となります。BBTVはかなり歴史も古いですけれども、昔からやられているサービスということで、CATV事業者ということでやられています。
 イギリスの場合は、Kingston Interactiveがあり,IPTVの先駆けだったんですけれども、どうも加入者が伸びないということで、この4月にサービスを停止されたようです。そのほか、ロンドンでも始まっております。
 フランスはFrance TelecomとIliadとNeuf Cegetelの3社で始まっています。ADSLテレビという呼び方ですが世界最先端のIPTVの国で、最も普及していると評価されます。
 イタリアではFastWebが有名で、既に契約16万となっています。いろいろ資本も行ったり来たりしておりますけれども、もともと電力会社さんのダークファイバーを持たれていたこともあって、ADSLだけではなくて、FTTHでもサービスされています。
 その他の欧州ということで、ドイツではDeutsche Telekomがドイツ国内のケーブルのほとんどを持ってますので、一風変わった状況になっております。
 香港、中国、韓国ということで言うと、香港がPCCW、NOW Broadband TVということで、既に44万の加入です。それから、中国の黒竜江省で2005年後半から始まっています。韓国は、IPTVサービスは法律上の枠組みも未定となっており、最新の情報では、一応CATVと同じ扱いにするというような情報も来ています。現在、確認中ですが、いずれにしても、今まさに動いている最中というところでございます。
 米国は訴訟問題もあり、地上デジタル放送とCATVとテレコムキャリアと激しい動きになってます。特にAT&TとBellSouthが一緒になってしまうなど、いろいろな動きがある中、基本的にケーブルオペレーターが非常に強い力を持ち、かつて電話サービスにも参入し、テレコムキャリヤの収入を奪ったという捉え方があります。そこで、今度は、テレコムキャリアがテレビをやらせていただこうという論調で、お互いにサービスを競い合っています。IPTVのこれらの動きに対しては、テレビ3大ネットワークは、コンテンツの販路が開けるということで競争を歓迎する傾向もあるようです。
 IPTVに関連する技術の分類で、コンテンツのところはさておき、伝送路、端末という分け方ができます。詳しくは報告書をごらんいただければと思いますが、放送コンテンツサーバーは同時にマルチキャストで出すような、同時に視聴しているリアルタイム視聴のようなストリームの出し方で、VODについては違うコンテンツをそれぞれさばくというような出し方です。それにメタデータ、それから顧客管理、これにDRM関係の技術でいろいろ出てきています。それから伝送路については、事業者のバックボーン、配信プラットフォームという言い方があり、、あとはアクセス網という分け方ができると思います。それから、端末はIPのセットトップボックスという見方をしています。
 それぞれ標準化団体が幾つか出ています。残念ながら日本ではなかなかこういう団体とやりとりしているところは少ない感じがします。どちらかというと、IPTVの世界では若干日本が取り残されているかもしれません。上からISMADVBATIS、それからDLNADLNAはホームネットワークということで日本の企業が主導的な役どころです。そのほかにIPDR等がIPTVの課金や伝送方式等の標準化で動いています。ただ、IPTVについては、どちらかというと海外でも大手というよりは結構ベンチャー系がいろいろ頑張っていて、彗星のごとくスターダムにのし上がるベンダーもいるようで、ちょっとおもしろい技術の競い合いになっていると思います。
 トランスポート・レイヤーではRTP等で流れていたり、MPEG2TSのパケットで出していたりとかします。先日の総務省実験では、MPEG2TSIPにくるんで、そのまま地上デジタルテレビの端末の近くまで持っていって、IPをひもといてTSに戻すと、そのままデジタル放送が見られるというような実験をNHKが実施しています。
 それから、放送再送信コンテンツのサーバー系では、送信アドレスの対応づけでありますとか、マルチキャストアドレスの処理が行なわれており、特に、マルチキャスト対応ルータでは、日本が一番進んでいると言っていいと思います。総務省実験でIPv6を使って数千という同時再送信能力を有するマルチキャストルータの実証が行なわれております。これからまだまだ改良が必要だと思いますが、世界的にも最先端の技術です。
 それから、VODコンテンツ・サーバーでは、RTSPというストリーミングプロトコルの一般的な利用から、さらにファイル・フォーマットについていろいろな標準化が今まさに行われています。
 メタデータについてはなかなか定まらないという状況ですし、顧客管理という形でいうと、特にCAS――コンディショナルアクセスが難しい状況です。IPTVについてはアメリカとかヨーロッパのベンダーがいわゆるIPCASを出してきています。端末にハードウエア要するにカードを挿すのではなくて、IPレベルで純粋ソフトウエアでCASをやろうというような技術です。
 大きな動向を3つに集約しますと、機器のインターオペラビリティというところともう1つは、メタデータも含めての標準化の推進が必要だというところ等が、なかなかまとめるという状況になり難いです。伝送路の多様化、EPG、ユーザーインターフェース等についての新しい課題、それから、そもそもIPTVにしてどんな新しいビジネスモデルがあるのかといったところも含めて課題になっていると思われます。
 最後に、将来展望ということで3枚ほどスライドをご説明させていただきます。
 インフラ面から見ると日本だけではなくて、アメリカもヨーロッパもデジタル放送を推進しておりまして、ほとんど世界同時競争状態です。例えばアメリカが2008年にアナログ停波しますが、それに伴ってデジタル放送をどうやって国民に届けるかというときの1つの補完措置の手段としてIPTVが位置づけられています。こちらの方面から進む可能性があります。もう1点は、ワイヤレスブロードバンドのほうも進んできておりますので、アクセスについてはこれで送るということも出てきそうだというのがトレンドとして見られます。
 それから端末面では、日本でもワンセグが4月から始まりました。これは日本だけではなくて、韓国ではデジタルマルチメディアブロードキャスティングといってDMBという端末方式が登場しています。韓国も携帯電話とのセットについては慎重でしたが、この間、日本と同じようなタイミングで出しまして、ドイツのワールドカップサッカーでは、大臣みずからがそれを1万台売り込みました。今度のワールドカップサッカーでは、1万人の記者の方々がそのDMB端末を使います。一方、ヨーロッパではDVB−Hという携帯受信方式がありますし、アメリカからはメディアフローというような方式で、IPを絡ませながらいろいろな端末が出てきます。最近ですと、PSPでコンテンツを見るとか、いわゆるゲーム機で映像を観る可能性が高まっており、こちらも非常に大きな動きで、アメリカのゲームショーでも任天堂の端末Wiiがものすごい注目を浴びました。さらに、ゲーム端末間でコンテンツを移動させたりとか、権利関係の難しいところに課題がありながら、いろいろなものが出てきそうです。
 タイムシフトからTPO、すなわち、時間と場所と状況によって見方がどんどん変わるだろうという予測から、コンテンツの拡大、伝送路の多様化、それから端末もどんどん多様化し、この端末の多様化はかなり影響が大きいと思います。4番の利用シーンの多様化についてもかなり影響を及ぼすと思われます。
 サービス形態の多様化ですが、ワンセグについては、まさしく今年いろいろな実験が始まると思います。広告モデルの定着というのは、GyaOのある程度の成功に見られるとおり、IPTVの世界でもこれが1つの展開を行っていると思います。
 簡単にまとめますと、一番左端の上にプレーヤーで番組制作のプロダクション、放送局、それからアグリゲータというような3つぐらいのプレーヤーを想定してみました。真ん中のほうにはポータルサイト、日本で言うとYahoo!とかいったところです。それから、インターネットサービスプロバイダーとしてのISP、ブロードバンド接続事業者というのを入れてあります。ISPと分けて書いてあるのは微妙な取り扱いですけれども、どちらかというとNTTのBフレッツなんかはこちらのほうに入ってくるだろうなというカテゴライズをしております。それから、機器メーカー、セットトップボックス、PVR、それから、テレビ、PCと広がりが予想されます。
 図にIPTVサービスというのがあって、大きく上の段に無料コンテンツ、下の段に有料コンテンツということで、GyaOでありますとか、電通とか、大手企業がつくったプレゼントキャストといったところの動きから目が離せません。それからイギリスのBBCではiMPを今まさに実験をやっておりますが、2006年中にサービスインしようとしております。
 こういったところで、端末が、モバイルも含めて広がるでしょう。伝送路で言うとワイヤレス化、広告モデルがIPTVでもいきますというようなところで動きが出てきそうです。それから、有料コンテンツで言うと、ポッドキャスティングとか、iTunes Music Store等、ビデオの配信も含めてダウンロード系できたりと、利用シーンがリアルタイムでテレビを見るだけではなくて、いろいろなところでIPTVで配信されるコンテンツを見るようになるんじゃないかと広がりを見せると思われます。
 最後になりましたけれども、IPTVを第1世代、第2世代、第3世代と分けてみました。第1世代がヨーロッパ、イタリアのFastWeb、それからフランスのADSLテレビと、香港のPCCWといったようなところで注目されたIPTVです。第2世代は、アメリカが今まさにIPTVをどんどん活発にやろうとしております。こちらは多分ハイデフィニションが主流となり、アメリカのFTTHを使ってやっていくという辺がポイントとなって第2世代が来るものと考えられます。第3世代は、まさしく端末、携帯端末、それから録画サービスといったような、遠隔サービス、それからポッドキャスティング。ここのときに初めてCASの標準化や、DRMの標準化と伴って、第3世代が来るのかなと思います。こういった分け方を、今回、FMMCの調査でやらせていただけた結果、最後のまとめとして整理させていただきました。
 以上でございます。
【多賀谷座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明につきましてご質問がありましたら、ご自由にご発言願います。どうぞ。
【山下構成員】  広告によるのが主であるというお話だったんですけれども、これはやはり個人で課金していくのが難しいというような、そういう理由があるのか、どうして広告が主になるのかなと思ったんですけれども、どうなんでしょうか。
【中村(株式会社三菱総合研究所)】  すいません、私の説明の仕方が間違っていたのかもしれませんけれども、19番目のスライドを見ていただきますとおり、広告が主というわけではなくて、無料コンテンツ、有料コンテンツ、要するにペイパービューの有料コンテンツも両方出るというのがここでの結果でございます。
【山下構成員】  すいません、私が聞き間違えたようです。
【中村(株式会社三菱総合研究所)】  ご参考までに、日本のユーザーにアンケートをとりますと、広告を見せられてもいいから、ただで見たいという方と、1回1回払うから広告を見たくないという方と、結構半々いらっしゃるので、サービスモデルとしては両方用意する必要があります。分析すると海外でもこういう結果になるんじゃないかと思います。
【石橋構成員】  テレビの場合、特に視聴者にとってはやっぱり画質というのが極めて重要なんです。日本の場合、特にテレビの画質はいいというのが決まっていますから、全然議論になっていませんが、今回はいろいろと外国の事例もご調査されたようなので、外国で品質保証といいますか、こういうサービスはベストエフォートですよと、このサービスはこれだけの映像品質を保証しますよとか、そういうような動きになっているのかどうなのか。受け手で運の悪い人はしようがないですよというのが依然続いているのか、その付近をちょっとわかっていたら教えていただきたいなと。
【中村(株式会社三菱総合研究所)】  定量的なデータがなくて、ちょっと感覚的なことしか言えなくて大変申しわけないのですが、フランスのADSLテレビが急に普及した原因は、2つくらい言われていまして、1つは建物の構造もあるんですけれども、CATV同軸をぐさぐさ入れたりとかという工事ができなかったとか、町の美観を損ねるためにパラボラをつけられないとかの意識もありました。そこに、電話のツイストペアでテレビが見られるといったら、それはいいじゃないかということになり、やっぱり主にサッカーのコンテンツが少々画質が悪くても普及したというふうに言われています。我々も現地のフランス人の方に聞いたときには、日本は特別に画質が良いという話で聞いているので、多分そういうことだろうと思います。それを提供者がどこまでギャランティーをしているかというのは、まず、苦情に対して個別に対応していくのが重要です。視聴者は、少々落ちても、これはテレビだと思って見ているという状況が現地からは報告されています。これから出てくるものについては、どこまでその画質を提供者側がうたうのかというのは、ちょっと動向を見なければわからないかなと思います。
【多賀谷座長】  ほかにご質問等はございますでしょうか。後藤先生、何かありますか。
【後藤座長代理】  大変広い範囲を調べられていると思います。先ほど話題となったビジネスモデルにおける広告に関しては、その事業主体がどういったものなのか、かつ、事業の上で競合する相手があるかどうか、というような事情が世界の各地で違うのかもしれません。例えばイタリアの有名なFastWebですが、私がミラノの市役所の人の説明を聞いたときには、電力公社が一つの主体で、それにベンチャー企業が参加した形態だと思いました。ミラノにはいわゆるケーブルテレビはなかったということで、かなり市の肝いりもあった。私が見学に行ったときにはまだ加入者は殆どなく、始まった直後でした。市役所がサイバーカフェみたいなのをつくってデモをしていました。それで、典型的な加入者宅を見たいということで、非常に古い石造りの建物に配線したところを見学しました。先ほど言われたように、古い建物にどうやって配線するのかなと思って、私は興味深かったです。つまり石造りの家だったので心配したら、問題ありません。石でもドアのところは木でできていますので、そこに穴をあける訳です。なるほど石の建物に配線するときでも穴をあけられるんだと思って感心して見ておりました。このように、非常にその地域地域の事情がある。今の中村さんのご説明の中にもありましたように電話会社が事業をやるのか、それともケーブルの会社がやるのか、それとも今のように比較的に新しい形態、たしかミラノの場合もベンチャーと市公社との合弁みたいな会社の構造があります。先に説明されたようにちょっと複雑なこともある。私も完全に理解していないんですけれども、各地で多岐にわたるようなので、比較するのも難しいかと思いました。ただし技術的に見れば、実現技術に割り切って見ると、先ほど整理されたようなところがポイントだと思います。そういう意味でこれはサーベイされて整理されているので、大変説得力のある資料だと思って拝見した次第でございます。
 ちょっと追加のようなことを申し上げます。話が複雑になるという意味では、さっき話題になった話題、あまりここで対象になっていないオープンという意味で比較しますと、韓国では一時期テレビ会社が競って通常のインターネットに出してきたり、台湾では、もともと国営であった中華電信が、ハイネットというインターネットを運営しています。テレビ番組を2時間遅れぐらいで提供したりしていた。それで評判がどうなのかというと、海外にいる人はそれでも十分、先ほどの画質の議論ですけれども、全く見えないのに比べれば、少し遅れて届く従来のアナログのビデオテープに比べれば、2時間遅れでもリアルタイムに近く見えるというので十分いいんだ、という説明がありました。先ほどのご説明の中にもありましたが、オープンのほうまで範囲に含めると際限がないところがあるんですけれども、国によってはそういったものの受けとめ方が多少違っている。先ほどの比較において、その比較項目として、オープンなものが比較的に盛んな国と、あるいは一時は盛んだった国と、そうでない国というのでは、違いがあるのかどうかという関心があります。確かにこれだけ比較されるのは相当大変なことだなと思って、大変感服して拝見した次第でございます。
【多賀谷座長】  そのほかにご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題全体につきまして、今のご説明を含めて、ご質問とかコメントとかはございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会いたしたいと思います。では事務局、次回の会合の予定等について、ご説明をお願いします。
【梅村地域放送課課長補佐】  本日はありがとうございました。次回は6月30日金曜日、午後2時からの開催を予定しております。時間の確保をお願いできればと存じます。場所は総務省内の会議室を予定しております。次回の議題等につきましては、また座長ともご相談の上、別途ご案内させていただきます。
 事務局からは以上でございます。
【多賀谷座長】  それでは、本日の会合はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

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