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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会(第6回会合)

平成18年9月22


【多賀谷座長】  それでは、ただいまから2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会第6回の会合を開催いたします。皆様ご多忙の折ご出席いただき、ありがとうございました。
 それでは、まず最初に、本日の配付資料の確認をお願いします。
【梅村地域放送課課長補佐】  本日の配付資料の確認をさせていただきます。資料は、座席表、構成員名簿、議事次第のほか、資料6−1としまして研究会の今後の進め方についての(案)でございます。6−2といたしましてケーブルテレビの地デジ放送対応ロードマップについて、6−3といたしましてケーブルテレビ平成17年度経営状況について、6−4としましてIPマルチキャスト放送についての著作権問題の検討動向につきまして、資料6−5でございますが、ケーブルテレビの技術動向について、資料6−6、ケーブルテレビをめぐる諸課題、資料6−72010年代初頭におけるケーブルテレビの姿の7点でございます。資料の最後に前回会合の議事録をつけております。
 なお、傍聴の皆様方の分につきましては議事録を割愛させていただいております。資料に過不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。
【多賀谷座長】  続きまして、人事異動に伴う構成員の変更がございます。日本CATV技術協会 藤咲構成員からごあいさついただきたいと思います。
【藤咲構成員】  CATV技術協会に8月に参りました藤咲でございます。今回初めて出席させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【多賀谷座長】  よろしくお願いします。
 また、人事異動に伴い、総務省側の出席者に変更がありましたので、ご紹介願います。
【鈴木局長】  情報通信政策局長の鈴木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【中田審議官】  同じく官房審議官になりました中田と申します。よろしくお願いいたします。
【大西地域放送課長】  事務局をしております、地域放送課長になりました大西と申します。よろしくお願いいたします。
【多賀谷座長】  この研究会では、これまで5回にわたり事業者等のヒアリングを実施してまいりましたけれども、いよいよ今回より論点の整理に入っていくこととしております。前回会合の6月から約3カ月が経過しておりますので、まず、事務局から今後の進め方の案についてご説明をお願いします。
【大西地域放送課長】  それでは、私のほうから「2010年代におけるケーブルテレビの在り方に関する研究会」の今後の進め方(案)につきましてご説明をさせていただきます。資料6−1、1枚紙でございますが、見ていただきたいと存じます。
 本研究会につきましては、2月から始まりまして、これまで5回開催をいたしております。その間、現在のケーブルテレビの概況でありますとか事業者の概要、技術動向並びに諸外国の状況あるいはIPTV等新たな映像配信の現状、地域情報の発信と地域に密着した取り組みの現状等を、それぞれの事業者の方あるいは関係者の方からヒアリング等を行いますとともに、事務局から発表させていただいたところでございます。
 今後、具体的な課題についてのご討論、議論をいただくということになるわけでございますが、大きく分けまして、1番に書いております当面の検討内容といたしまして、2010年代というものを、その初頭の時期、始まりの時期と、それから10年代後半ぐらいに分けさせていただきまして、まず、2010年代の初頭(2010年〜2011年)に向けまして解決すべき課題とその方策を具体的な課題を提示していただきまして、それぞれについてご議論いただき、方針を出していただきたいというふうに思っております。もう1つ、(2)といたしまして、それよりさらに先、今から10年後以降ということになろうと思いますけれども、2010年代後半におきますケーブルテレビの展望といったものを、そのときに想定される情報通信社会の姿――なかなか想定は難しいと思いますけれども、いろんな関係者の方々に大胆に想定をしていただきまして、その上で、そこにおきますケーブルテレビの在り方・役割といったものについて考え方なりを示していただきたいというふうに考えております。大きく分けましてこの2つを具体的にご検討いただきたいというふうに考えておるところでございます。
 今後のスケジュール案ということで2番に書いておりますけれども、本日第6回開催いたしまして、次回10月の第7回のこの2回につきまして、ケーブルテレビをめぐる諸課題について、中心は上に示しております検討内容(1)の2010年〜2011年に向けて解決すべき課題とその方策ということになろうかと思いますけれども、その諸課題についての具体的なご議論をお願いしたいと。それから、11月の第8回ぐらいでさらなる先ということで、2010年代後半におけますケーブルテレビの展望についていろいろご議論をいただきたいと。12月の第9回以降で最終的な取りまとめを行っていただいてはどうかというふうに考えておるところでございます。
【多賀谷座長】  本研究会においては、今後、このようなアジェンダに基づいて進めていきたいと思いますけれども、進め方等につきましてご意見、ご質問等がありましたら、ご自由にご発言願います。ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議論に先立ちまして、最近のケーブルテレビに関する行政等の動向について事務局から報告がありますので、ご説明をお願いします。
【大西地域放送課長】  それでは、事務局のほうから何点か、最近の動向等、発表資料等に基づきましてご説明をさせていただきたいと存じます。
 資料6−26−36−4を私のほうから説明させていただきまして、6−5を本間企画官のほうから説明をさせていただきます。
 まず、資料6−2でございますけれども、ケーブルテレビの地上デジタル放送対応のロードマップというのをつくっております。これは7月の末に記者発表したものでございます。これは、ケーブルテレビの地上デジタル放送の対応の促進を目的といたしまして、全国のケーブルテレビの加入者がいつの時点で地上デジタル放送を視聴できるようになるかを容易に把握できるように、ロードマップとして策定をいたしたものでございます。本年4月には日本ケーブルテレビ連盟のほうで連盟加盟社のアンケート調査結果に基づいてロードマップを策定していただいておるところでございますけれども、さらに、連盟に加盟していない事業者につきましても総務省のほうでアンケート調査を実施いたしまして、全国の530社のケーブルテレビ事業者がいつまでにデジタル対応になるかといったもののロードマップを作成し、本年7月28日に報道発表をしたところでございます。
 中身の詳細は省略させていただきますけど、例えば2ページあたりを見ていただきますと、ロードマップは、各都道府県別にそれぞれの域内の各地域がいつまでにデジタル化対応になるかということ、その対応時期を色別に示した進捗マップをつくっております。日本全体の地図は2ページでございますけれども、あと細かな地図といたしまして4ページあたりを見ていただきますと、各県ごとに各市町村のそれぞれの地域でいつまでにデジタル化が対応可能かといったことを色別に示した地図もつけさせていただいております。また、5ページに新潟県の例を出しておりますけれども、各市町村単位でそれぞれデータリスト、帳票によりまして具体的な数値等を書き込んで、いつまでにデジタル化対応にどの程度なるのかというのをお示ししておるというものでございます。
 このロードマップ策定の対象事業者530社の今後のデジタル化の進捗見込みといたしましては、1ページにありますように、2006年末は94%程度ですけれども、2008年末には97%、最終的に2010年末には約99%で進捗するということでございます。残りの1%もデジタル化しないということではなく、このアンケート調査によりますと、一応検討中という事業者が1%程度あったということでございます。したがいまして、ほぼ100%、2010年末までにはデジタル化対応可能というふうに考えておるところでございます。今後、このロードマップを定期的に改定することによりましてさらに充実させて、いまだ検討中とされている事業者につきましては、可能な限り早期に地上デジタル放送の対応を進めていただくように要請してまいりたいというふうに思っております。
 それから次に、資料6−3でございます。ケーブルテレビ事業者の平成17年度の経営状況を取りまとめましたので、ご報告いたします。
 1ページをあけていただきたいと思います。全体のケーブルテレビ事業者の経営状況ということでまとめておりますが、総じて経営状況は堅調に推移をいたしております。17年度決算で見てみますと、前年に引き続き全体としては黒字。それから、対象としております311社中245社、78.8%、ほぼ8割の事業者が単年度黒字となりまして、過去と比べますと経営はかなり改善される傾向にあります。特に単年度黒字は8割ぐらいですけれども、3ページを見ていただきたいと思いますが、それぞれ過去5年間あたりのケーブルテレビ事業者の経営状況の推移を見てみますと、まず、単年度黒字は今言いましたように78.8%ということで、5年前の63.5%から比べてもかなり改善してきております。また、累積の黒字の事業者が17年度大きく増えておりまして、5年前に比べて26.5%から49.2%ということで、累積黒字の事業者も大幅に増加しておるということでございます。逆に、いまだに単年度赤字で、かつ累積赤字の事業者という比率は減少しておるということでございます。赤字事業者は20.3%になっておるというような状況でございます。
 4ページ、若干それを数値的に17年度の状況を書いております。経過年数と経営状況で見てみますとおわかりのように、やはり経過年数がたって開局後10年以上の事業者ほど非常に経営状況はいいということでございます。単年度黒字あるいは累積黒字の事業者の割合なんか見てみますと、3年未満よりは3年〜5年あるいは5年〜10年、それから10年以上の事業者のほうが非常に経営状況はよくなっているというのがうかがえるということでございます。
 それから次に、資料6−4IPマルチキャスト放送についての著作権問題の検討動向ということでお話をさせていただきたいと思いますが、1ページには、いわゆるIPマルチキャスト放送とは何ぞやということを書かせていただいております。一番下に書いておりますように、IPマルチキャストとは、ネットワーク上に配置されたIPマルチキャストルータにおいてコンテンツを複製しながら、指定した複数の利用者に対してコンテンツを配信する技術ということでございますけれども、役務利用放送法の施行後、このIPマルチキャスト放送による放送サービスというのが4事業者により提供されているところでございます。ただ、役務利用放送法上は放送事業として扱われているわけでございますけれども、〇の3つ目に書いておりますように、著作権法上は、ブロードバンドサービス等を用いて受信者がコンテンツの提供を求めることにより初めて自動的に送信されるものというような扱いでございまして、基本的には通信の扱いに今のところはなっておるということでございます。放送には当たらず、自動公衆送信に該当するということで、著作権法上は通信として扱われているということになってございます。
 これにつきまして、放送と同様に扱うべきというようなご意見等もございまして、検討がされておるわけでございますが、その扱いの違いというのは2ページに一括して一覧表にさせていただいております。左側が放送でございまして、右側が通信。放送の中で真ん中あたりにございます、地上放送を有線放送で同時再送信する場合と、いわゆるケーブルテレビの再送信の場合の著作権法上の扱いをそれぞれ書いておりますが、今言いましたように、IPマルチキャスト放送の場合は、著作権法上はここには当たらずに右側の通信の範疇に当たるということで、大きな違いは真ん中から下のところです。レコード製作者並びに実演者につきまして、地上放送を有線放送で再送信する場合には基本的に著作権者の許諾不要ということなんですけれども、通信として扱われる場合、IPマルチキャスト放送の場合には、それぞれについて許諾が必要というような扱いになっておるということでございます。
 それにつきまして3ページ、この6月に報告書が出ました通信・放送の在り方に関する懇談会におきましても、そこに下線を引っ張っておりますが、「電気通信役務利用放送全体が著作権法上も放送として扱われるよう」、つまりIPマルチキャスト放送も含めて、「著作権法上も放送として扱われるよう、速やかに対応すべきである」という報告が出ております。
 また、政府の知的財産戦略本部の「推進計画2006」の中でも、そこに下線を引いていますように、「IPマルチキャスト方式により地上放送を同時再送信することについて、著作権法上『有線放送』と同様の取扱いにするため、2006年度中のできるだけ早い国会に著作権法の改正案を提出するとともに」ということで、IPマルチキャスト放送を有線放送と同様の取り扱いにすべきというような方向性が示されておるわけでございます。
 これ等も受けまして、文化庁のほうで、一番下に書いておりますように、文化審議会の著作権分科会のほうでこれについての検討がなされました。それの報告が8月24日になされておりますけれども、それの中を見てみますと、抜粋をつけておりますが、IPマルチキャスト放送であっても、「『放送の再送信』部分については、地上デジタル放送の同時再送信が平成18年末にも開始されることにかんがみ、早急に『有線放送』と同様の取扱いとする」というような方向が出されております。ただ、(2)にございますけれども、自主放送の部分につきましても放送と同様に扱われてないわけですが、「『自主放送』部分については、権利を制限される実演家等の理解を得るために十分な準備期間を設けた上で検討する必要があること」等によりまして、3行目にあります「引き続き検討を行った上で結論を得る」ということで、若干結論が先延ばしにされたということでございます。少なくとも同時再送信の部分については放送と同様の取り扱いにするということにされたわけです。ただ、(3)にありますように、現行、有線テレビジョン放送の再送信につきましては報酬請求権的なものもないわけですけれども、それについては、IPマルチキャスト方式によるものも含めて、「現行法では権利を持たない実演家及びレコード製作者に対し、報酬請求権を付与」すべきというような報告がなされておるというものでございます。
 聞いておるところによりますと、この分科会の報告を受けまして、文部科学省のほうで法改正等について検討がなされるということです。真ん中にございます知的財産戦略本部のほうで「2006年度中のできるだけ早い国会に」というふうに書いておりますので、遅くとも通常国会にはこの法改正が出されるのではないかというふうに考えておるところでございます。
【本間地域放送課技術企画官】  では、続きまして、資料6−5「ケーブルテレビの技術動向について」に関しまして私からご説明させていただきます。内容的には2点ございまして、1つは、情報通信審議会の諮問について、もう1つがITU−TSG9会合についてというものでございます。
 1点目について、まず2ページをごらんいただきたいと存じます。これは、ケーブルテレビ関係で有線テレビジョン放送法及び電気通信役務利用放送法に技術基準が規定されておるのでございますけれども、最近の技術進歩や放送の新しいサービスに対応するために、その技術基準を見直すべく、情報通信審議会に「ケーブルテレビシステム高度化のための技術的条件」について9月28日に新たに諮問しようというものでございます。内容的には、具体的に2つのものを想定しております。1点目が、FTTH施設におけるBS−IF伝送方式の技術基準についてというもの、もう1つが、CSデジタル放送のハイビジョン化に伴うケーブルテレビの大容量伝送についてというものでございます。
 1点目のFTTH施設におけるBS−IF伝送でございますけれども、ケーブルテレビの従来型のシステムというのは、幹線は光ファイバーで、そこから各家庭に引き込む部分は同軸ケーブルでというハイブリッドの構成が一般的でございますけれども、近年、このFTTHの技術が普及してまいりまして、各家庭までの部分すべて光ファイバーで構成する、いわゆるFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)という形態が徐々に整備できております。施設数で言うと全国で50施設を超えておりまして、ケーブル事業者の数からいたしますと1割弱の事業者が既に何らかの形でFTTHを取り入れてきているという状態でございます。
 中身が、今、3ページの図がモニターに映っておりますので、そちらでご説明させていただきますと、左の上が従来の同軸ケーブルなのでございますけれども、同軸ケーブルは周波数の帯域をあまり広くとることができませんで、基本的には地上のテレビ放送で使われております90770MHzメガヘルツの周波数を送るようになっております。ところが、衛星放送(BS放送)の場合には、パラボラアンテナのところで1214GHzギガヘルツいう高い周波数でこれを受信しまして、それを中間周波数――これをIFと呼んでおりますけど、中間周波数でパラボラアンテナからテレビ受信機までの間を1GHzギガヘルツ付近の周波数に落としてテレビ受信機に送っております。ただ、この1GHzギガヘルツ付近の周波数というのは同軸ケーブルでは送ることができませんので、従来型のケーブルテレビですと、これを低い周波数に変換し、かつ多チャンネル伝送に適した変調方式に変換して送っております。
 そうしますと、3ページの右の上の図のような構成になるんですけれども、周波数変換・変調方式を変換されたBS放送の信号というのは、テレビにつなぎますSTB(セット・トップ・ボックス)の中でテレビに受信できるような映像信号に直されまして、吹き出しの中にあるように、STBからテレビの外部入力端子に接続されて衛星放送を視聴するということになります。この場合、衛星放送のチャンネルの切りかえはSTB側で行うことになりますので、ご家庭に2台目、3台目のテレビがある場合には、そのままではアンテナ線をBSチューナーの端子につないでも見ることができません。その場合にはSTB2台目、3台目を新たにお金を払って契約していただくか、あるいは個別にまた衛星放送のパラボラアンテナを立てないと視聴できないという不便がございました。ケーブル事業者側からしますと、2台目、3台目の契約をしていただけるという点で営業上はこの方式にメリットはあるのでございますけれども、住民の方々、視聴者の方々からするとちょっと便利がよろしくないということなので、自治体が直接やっておりますケーブルテレビとか、あるいは三セクなんかの場合には、住民サービスの観点から、そのままBS信号をスルーで流したいというニーズがございました。
 これに関しまして、今度は左の下の図になるんですけれども、光ファイバーを導入いたしますと送れます周波数がぐんと拡大いたしまして、大体3,000MHzメガヘルツ(3GHzギガヘルツ)ぐらいまで拡大いたします。そういたしますと、BS放送の中間周波数というのはそのまま伝送することができるようになります。この光ファイバーで家庭の入り口まで送って、そこから光信号を電気信号に変換して、家庭の中の各部屋に通じております同軸ケーブルにつなぎ込むことによりまして、各家庭の2台目、3台目のテレビのBSチューナーのところにこのアンテナ線をつなぎ込んでいただければ、パラボラアンテナやSTBの追加がなく衛星放送を視聴できるというものでございます。これによりまして視聴者の視聴環境を向上し、また、衛星放送もより多く楽しんでいただくことができるということで、こういう新しい技術が導入できるような技術基準を整備しようというものでございます。
 もう1つが、4ページ目の図をごらんいただきたいんですけれども、こちらはCS放送、具体的にはスカイパーフェクTV!が124度/128度という軌道の衛星で現在CS放送を行っておるんですけれども、こちらは現行のテレビの画質、SD相当の画質で放送をやっております。これに対しまして、最近のBSデジタル放送あるいは地上デジタル放送はハイビジョン(HDTV)の画質でやっておりまして、見劣りがしてしまうということでございますが、ただ、スカパーのCS放送の場合は送れます周波数の帯域が衛星のトランスポンダの関係であまり広くないということでございまして、新しい映像の圧縮方式でありますH.264というものを導入しましてハイビジョン放送を可能にしようということで、CSの電波の放送の技術的条件というものが先般まで情報通信審議会で審議されておりまして、7月にそのH.264を用いた124度/128度のCS放送のハイビジョン放送につきまして答申をいただいたところでございます。この放送自体は2008年ごろに開始されるという見通しでございますけれども、ケーブル事業者におきましては、新しい放送サービスが出たらそれを再送信したいというニーズが出てまいりましたので、それに対応した新しい技術基準を制定しようというものでございます。
 具体的な内容は2点ございまして、まず、従来のケーブルテレビでは、デジタルの画像圧縮方式としてH.264というものを想定しておりませんので、H.264を前提とした映像伝送が可能になるようにというもので技術基準を整備するというのが1点目でございます。もう1点は、これに伴いまして、送るべくチャンネル数が従来よりまた増加するということがございまして、また、ケーブルテレビは通信サービスも行っておりますけど、そちらのほうでもどんどんブロードバンドに対応していくというニーズがございますので、多チャンネルサービスに用いられております64QAMという変調方式、これをさらに高速化して256QAMとか、さらには1024QAMとか、そういった高速のものも導入可能にしようとするものでございます。これは、例えば64QAMですと、現在、テレビの6MHzメガヘルツの帯域の中で30Mbpsぐらいの情報が送れるんですけれども、256QAMにしますと、それが40Mbpsぐらい送れるようになるということでございまして、新しい画像圧縮の方式、また、新しい伝送方式をあわせて導入してケーブルテレビの高度化を図ろうというものでございます。こちらは9月28日に諮問いたしまして、来年の2月ごろに答申をいただくという予定でございます。
 以上が技術基準の関係でございます。
 2点目が、5ページ以降にございますITU−T SG9全体会合の日本開催についてでございます。
 6ページをごらんいただきたいんですけれども、まず、ITUというものは何かということなんですが、国際電気通信連合の略でございまして、これは、通信関係の標準化ですとか周波数割り当てですとか、そういったものを国際取り決めする国際機関でございます。その中でも、主に有線の通信の標準化を担当しておりますのがITU−Tという部門でございまして、その中にはいろいろ課題ごとにスタディグループ(SG)というものがございまして、その中でも有線上の映像伝送、具体的にはケーブルテレビですとか放送許可の番組素材伝送などの標準化を行っているものがSG9でございます。ほかのSGは、プロトコルとか品質とか個別の課題でぶつ切りになっているのに対しまして、このSG9というのはケーブルテレビ網のようにエンド−エンドを扱っているという点が一つの特徴でございます。
 これの会合を日本で開催しようということでございまして、内容は7ページにございますけれども、10月2日から6日の1週間、東京の京王プラザホテルで内外100名程度の出席者を想定いたしまして、日本でこの会合を開催するというものでございます。従来、このSG9会合は、ITUの本部がございますスイスのジュネーブあるいは米国で開催されてきておりましたけれども、アジア地域では全く開催しておられないということで、地域的な偏りがございました。また、SG9に対しましては、従来から日本がKDDIの方が副議長を務めておりまして、また、日本はハイビジョン伝送ですとか、あるいはIPマルチキャスト放送ですとか、そういった映像関係の技術が進んでおりまして、日本からの多数の寄与を行ってきたということで、日本でもぜひ開催してほしいという期待が高まっておりまして、今回、日本でもそれにこたえて、この会議を日本に招聘したということでございます。SG会合が日本で開催されること自体が6年ぶりということで、久々に日本で大きなITU関係の国際会議が行われるということでございます。
 主なトピックス、8ページ目以降にありますけれども、1点目はIPネットワーク伝送技術と書いてありますが、最近の言葉で言いますとIPTVという、インターネット上でテレビを送ると、そういう関係の標準化のうち、基本的なネットワークの構成ですとか信号の監視条件とか、そういったまず標準化できる部分から標準化をしていくということでございまして、日本から提案をしておるものでございます。もう1つは、次世代STBというもので、これは先ほど言いましたような光ファイバーを用いましたケーブルテレビに用いられるSTB、こちらについても日本から提案して標準化を目指そうというものでございます。
 もう1つが、9ページにありますような大画面映像技術というもので、これは平たく言いますと、現在のハイビジョンの2倍とか4倍の高精細のハイビジョンの技術でございまして、日本のNHKNTTが開発しているものを提案いたしましたところ、昨年の会合でそのまま日本の技術が国際標準勧告になったというものでございまして、今回、それをさらにフォローアップしまして、この大画面映像伝送に関する画像圧縮の方法等についても追加で提案をしていくというものでございます。そのほかにも、ホームネットワークとかケーブルモデムなどについても日本から提案を行う予定でおります。
【多賀谷座長】  それでは、これらにつきましてご質問等ございましたら、ご自由にご発言願います。どなたかありますでしょうか。
【石橋構成員】  質問でも意見でもないんですけど、ご案内させていただきたいと思うんですが、先ほどSG9のお話がありましたけれども、アメリカのほうからこの会議のために専門家がかなりたくさん参ります。、ケーブルテレビ連盟と技術協会、それからラボ、3者の共催で、29日に朝から夕方までセミナーを開催するようになっております。これは、ケーブルインターネットの新しい技術DOCSIS3.0と、それからOCAP(オープン・ケーブル・アプリケーション・プラットフォーム)という次世代のものですけど、それらについての状況を彼らから聞こうということでやりますので、ご興味あればぜひご参加いただきたいと思います。
【多賀谷座長】  そのほかございますでしょうか。
【竹岡構成員】  既に発表がございましたように、ケーブルテレビシステムの高度化のイメージというところでチャンネル数の増大のお話がございました。この中で私どもCSの画像の問題について、現在は標準画像のSDのチャンネルがほとんどでございますが、私どももBSデジタル、地上デジタルと同じ方向性、ハイビジョン化を目指しておりまして、このような検討をいただくのは非常にありがたいと考えております。ただ、現在、CSの中で数チャンネルがハイビジョンの放送を始めておりますが、衛星だけではなく地上のファイバーを用いた伝送網を既に利用しておりますので、それもあわせてご検討いただければ非常にありがたいと考えておりますのでよろしくお願いをいたします。
【多賀谷座長】  それでは、いよいよ本日の本題に入ります。ケーブルテレビをめぐる諸課題につきまして皆様にアンケート形式でご意見を伺ったところでありますけれども、その結果やこれまでの研究会での議論を踏まえまして、事務局に諸課題について資料をまとめていただきましたので、ご説明願います。
【梅村地域放送課課長補佐】  それでは、資料6−6に基づきまして説明させていただきます。
 ケーブルテレビをめぐる諸課題ということでまとめておりますが、これはケーブルテレビの放送の部分のみならず、通信などほかのサービス等々につきましてもまとめさせていただいているものでございます。構成としましては4つの段落に分けておりまして、1つ目に全般的なもの、2つ目に放送あるいは映像配信、そういったものを含めまして映像配信サービス関連ということの課題をまとめています。次のページに参りまして3つ目でございますが、映像配信以外、つまりインターネット等のサービス関連ということで課題をまとめています。最後に3ページですが、横断的課題といたしまして、技術面、制度面、振興面、その他ということで資料を構成させていただいております。
 それでは、最初のほうから説明させていただきます。
 まず、全般につきましてですが、(1)2010年代、特に2015年あたりをターゲットにしてほしいという構成員からのご意見もございましたが、2015年におけるケーブルテレビのあるべき姿・役割の検討ということで、2010年代におきまして、デジタル化したケーブルテレビが他業界との競争の中で、その特長を生かしてどのようなサービスを提供し、ビジネスモデルを構築できるのか、どのような役割を果たすのかを明確にすべきというものでございます。
 2つ目でございますが、映像配信サービス関連としまして、(1)地上デジタル放送の再送信への対応。こちらにつきましては、ケーブルテレビの地デジ対応を着実に遂行すべきと。あるいは、地デジ放送を受信できない条件不利地域等において、ケーブルテレビが貢献できるような方策を検討すべき。あるいは、少数チャンネル地域におきましてケーブルテレビの果たす役割について検討すべきと、こういった意見が出されております。
 2つ目、放送新サービス(CSデジタルハイビジョンやBSデジタル放送の新チャンネル、サーバー型放送等)の再送信への対応ということでございます。こちらにつきましては、放送新サービスを提供する他事業者との協力関係の構築を前提としまして、新サービスの提供を進めるべきと。あるいは、地上アナログ放送停波後のケーブルテレビの空き帯域での有効活用の観点から多チャンネル化を推進すべきということでまとめております。
 3点目、ケーブルテレビのコミュニティチャンネルの充実でございます。こちらにつきましては、ケーブルテレビの特色でもございます地域情報発信メディアという特質に関しまして、コミュニティチャンネルのデータ放送の導入ですとか、あるいは広域連携をすることによって広告媒体としての価値向上をするとか、そういったことで強化を図るべきだということでの意見が出されています。またほかに2つ、パブリックアクセスチャンネルの普及など地域密着型の情報のさらなる充実策を検討すべきですとか、ケーブルテレビの自主放送に関して、昨今のケーブルテレビの普及や位置づけの変化に対応して、放送としての公共的な役割が十分に果たせるよう業界としての取り組みを進めていくべきと、そういったことでまとめております。
 4点目でございますが、IPマルチキャスト放送(IPTV)と従来型ケーブルテレビとのイコールフッティングの確保ということで整理しています。こちらにつきましては、先ほど大西からもありましたように、IPマルチキャスト放送につきましても、従来型のケーブルテレビと同様、著作権法上、有線放送として扱われるよう整備していくべきという議論もございますし、構成員の中から、IP映像サービスの標準化作業が行われる際には、ケーブルテレビ業界として積極的に参加し、HFCでもIP映像伝送サービスというのができるようにしていくですとか、STB機能の他メディアとの共用などを図るべきと、そういった意見も出されております。
 3段落目でございますが、インターネット等のサービス関連でございます。
 1つ目は、ケーブルテレビインターネットサービスのさらなる高速化(超高速化)ということでございます。こちらは、HFCの高速化技術、c.LINKですとかDOCSIS3.0とか、そういったものの実用化ですとか、NGN活用の検討あるいはFTTHや無線などを組み合わせた合理的なネットワーク構築手法の検討を行うべき。あるいは、設備の高度化に関して、ネットワークのブロードバンド化のためのロードマップですとか、高度化のためのさらなる政策支援、そういったものを検討すべきという論点を書いてございます。
 (2)でございますが、プライマリーIP電話サービスの提供促進ということで、他業界との競争上、こういったサービスの取り組みというのを業界としてやるべきではないかという意見も出されております。インターネット等のサービス関連で言いますと、放送以外でトリプルプレイと呼ばれているのはインターネットサービスと電話サービスでございますが、(3)以降はさらにそれに追加されるサービスというようなイメージで何点か挙げております。
 (3)は、STBの共通プラットフォーム化ということでございます。宅内情報化サービスの実現に向けた環境整備の観点から、ホームネットワークの中核設備としてSTBを高度化するということですとか、あるいは柔軟なサービス提供を図るための次世代STBの共通プラットフォーム化を推進すべきというもの。あるいは、ケーブルテレビと宅内ネットワークを組み合わせた効果的なシステム開発やサービス提供を実現すべきというご意見。あるいは、新しいサービスを速やかに展開するためにも、柔軟に対応可能なSTBや、業界で共用のCASの導入を図るべきと、こういった意見もございます。
 4点目ですが、「地域情報化」サービスなど地域に役立つサービスの提供ということでございます。電子自治体と行政との連携ですとか、あるいは地域産業の活性化、あるいは、最近、防犯・防災などの安全・安心サービスと、そういった観点からのサービスも少し進み始めておりますけれども、そういったもの、あるいは沿革教育・沿革医療サービスの提供、こういったケーブルテレビの公共利用の推進というのを図るべきではないかという論点。地域情報を扱うコミュニティFMとケーブルテレビとの連携を図れるようにしていくべきという論点もございます。
 (5)でございますが、企業や自治体への回線貸し、SOHOサービスなどのB to Bサービスの導入と。B to Cというサービスがこれまでのケーブルテレビ事業ではメインでありましたけど、そういったところにもサービスを拡大できるのではないかという論点でございます。
 最後の段落で横断的課題でございますが、技術面の課題をまずまとめています。ア)のネットワークの高速化というのは再掲でございます。イ)は、FTTHによるケーブルテレビの国際標準化ということで、FTTHのケーブルテレビといいますのは、技術面・サービス面で日本が国際的にも先行しているということで、国際標準化を通じて国産技術の世界展開を図るべきという論点でございます。ウ)につきましては、ケーブルテレビにおける無線システムの有効活用でございまして、効率的なネットワーク構築、新サービスへの対応を図るため、移動体との融合サービスの実現あるいはギャップフィラーやWiMAXなどの無線システムの活用を検討すべきという論点でございます。エ)でございますが、ケーブルテレビ設備の製造を行う国内メーカーの技術力の維持という観点でも論点を書いてございます。
 (2)制度面の課題でございますが、ケーブルテレビ事業者がより弾力的な事業展開を行えるような環境の整備ということで、許認可手続をより簡素化すべきじゃないかとか、そういった議論もございました。また、イ)の有線テレビジョン放送法と電気通信役務利用放送法の規定内容の整合化という論点もございます。こちらは有テレ法と役務法の規定内容で、例えば義務再送信制度ですとか裁定制度といったものが有テレ法にはあって役務法にはないと。あるいは、業務区域の考え方につきましても、有テレ法につきましては原則として難視聴対象対策のケーブルテレビを除けば自治体の行政区域を面的に整備するというのが原則になっておりますので、こういったところで違いがあるのをどう考えるかという論点を書いてございます。ウ)でございますが、VOD等の映像伝送サービスのコンテンツ規律の在り方で、これはかなり長期的な課題になってくると思われますが、今のVODからより進んだ形になりますと、番組スケジュールに基づいて配信内容が決定されるような方式というものも出てくることは考えられます。その場合、同時刻で見ている人は同じ映像を見るということになりますので、現行の「放送」に近い「社会的影響力」を持つものがあらわれることも想定されるということで、将来的には、こういったものに対しての視聴者保護の観点からの規律の必要性の有無というのも検討すべきではないかということで書いてございます。
 (3)でございます。振興面の課題でございますが、映像配信市場における公正な競争環境の確保という点で1点目を整理しています。例としてはNGNのインターフェース条件の検討にケーブル業界として関与していくですとか、そういったことを書いてございます。イ)でございますが、情報格差の是正・条件不利地域への普及ということでございます。これは地デジの難視聴解消という観点もございますし、ブロードバンド環境の提供手段としても、ケーブルテレビの条件不利地域への普及策というのを推進すべきという論点でございます。2点目は、国民のメディアリテラシー、これはいわゆるメディアの特質等を学びまして、メディアから与えられる情報の受容能力等を高めていくという考え方でございますが、そうした観点から、ケーブルテレビにおける特にパブリックアクセスチャンネルというものは活用できるのではないかと、そういう論点でございます。
 最後に(4)でまとめておりますが、1つ目、事業規模の拡大・アライアンスの推進でございます。ヘッドエンド共用というものはかなりの事業者で行われていると思いますが、それにとどまらない事業者間連携、番組の共同購入も含め、コストメリットを追求した事業者間連携というのをより推進していくべきではないかという論点でございます。また、ケーブル事業者間同士ではなくて、他事業者とのアライアンスによって新しいサービスの提供というのも検討すべきではないかという議論でございます。イ)でございますが、違法チューナー問題への対策推進ということで、不法に放送番組を受信する違法チューナー問題に対しては、業界の取り組みを講じていくべきじゃないかというものでございます。ウ)は、個人情報保護のための取り組みの強化ということで、昨年度から放送におきましても個人情報保護の指針というものが制定されて運用されておりますが、年間、3040件の個人情報の漏えい事案というのが発生しているということで、その保護のための取り組みの強化ということで論点を書いております。最後に、ケーブルテレビ関連データの充実化ということで、ケーブルテレビにつきましては、政策立案ですとか事業戦略の立案に資するデータというのは、他業界に比べると不足しているような状態がございます。例えば多チャンネル放送の加入者数のデータ、そういったものは行政としても把握していませんし、業界団体としても把握できていない状況にございます。そういったことから、こういったデータについて充実を図るべきではないかと、そういう論点でございます。
 以上でこの資料の説明を終わらせていただきます。
【多賀谷座長】  この資料は、冒頭に紹介しましたように、皆様のご意見と、それから事務局のほうがまとめたという、いろんな要素が入っていて、特定の方向にまとめているものではございませんけれども、これにつきまして、今日できるだけ議論をして、論点の補足等あるいは掘り下げをさせていただきたいと思います。議論の整理上、2つに分けて、最初に1から3まで、映像配信サービス、インターネット上のサービス関連についてご議論いただき、後半として横断的課題について議論させていただきたいと思います。
 それでは、まず前半部分について、補足なりご意見なり何なりとご自由にお願いします。
【石橋構成員】  全体的には、大体、現在考えられる課題ということはここにリストアップされているというふうに私は思います。何点か補足的に、これは検討の段階でやっていただくことになると思うんですけれども。まず、2の(1)の地上デジタル放送の再送信への対応ということで、先ほど横断的というところでも既に出てきておりましたが、条件不利地域で、ケーブルが頑張るということで、さらに、その際に、無線を使ってやるということも合理的な場合もあると思いますので、この点も検討の段階でご議論いただいたらどうかなというふうに思います。
 それから、次の(2)の放送新サービスというところ、「他事業者との協力関係の構築を前提とし」ということですが、CS、それからBSも新しいものが出てくる。さらに放送の方式も変わってくる、圧縮も変わってくると、いろいろございますので、我々としては、既存のアナログ受信機を保護するということもありますので、そういう新しい方式に変わる場合にどういうふうにケーブルで対応していくか。私としては、一つの思いつきですけれども、ある限られた期間はヘッドエンドで細工をして視聴者のほうに流せばある一定期間だけは、現在の受信機を使えることになります。だらだら続けるというのは、問題がありますので、そういうトランジット期間についての在り方という点もご議論いただいたらどうかなというふうに思います。
 それから、2ページ目の一番上の著作権の問題ですが、ケーブルにIP側が合わせるというのは、これは仕方ないなと思いますが、逆にIP側にケーブルを合わせられるということになると大変なことになりますので、その付近は当然ないと思っていますけど。
 それからあと、2ページ目の3の(2)のプライマリーIP電話サービスの提供促進というところで、業界としての取り組みを促進するということなんですが、電話だけに限らず、これから先、いろいろな新サービスのときに、それぞれの一ケーブル事業者ではとても経済的に成り立たないということもありますから、これを取り上げる場合の基本的な最低基準というようなものがあるのかないのか。連携するということで、我々も過去何年間か連盟の中で言ってきているんですが、それほど進んでいません。現在もIP電話については、例えばKDDIさんにお任せしてアクセスラインをお貸ししているというような感じになっているところもあります。これはこれで一つの経営の考え方だからいいんですが、ケーブル業界として本格的にこれに取り組むということになれば、やはりある程度固まりにして、それなりの経営資源、人的資源も含めて考える必要もございますので、業界として取り組むことについて、皆さんにまたいろいろとご議論いただいたらというふうに思います。
【山下構成員】  3の(3)以降にかかわることになりますが、公共的なほうにケーブルがシフトしていくべきか、それとも商業的ないわゆる経済原則に基づいた商業としてケーブルテレビがこれからやっていくのかという、そのあたりが3の(3)、(4)、(5)ぐらいのところで混在しているような感じがいたします。それはいろいろなご意見が出されたことを列挙しておられるからだとは思うんですけれども、果たしてそれがすべて同時に実現できるのか。やはりどちらかに方向性というのは収れんしていかなければうまくやっていけないのではないかというような気がしております。そのときに、では、実際にどちらに向かうのかということです。具体的には公共サービス、いわゆる自治体等のサポートをするというんでしょうか、地域の情報を発信したり、コミュニティチャンネルなり、そういうものを振興したりと、そういうことは商業ベースではやれないことでございますし、一方で、B to Bで回線を貸すとか、もっともっと新しい技術でたくさんチャンネルを見られるようにするとか、そういったことというのは地域情報云々からはまた別に、もっとグローバルなビジネスの中での話だと思うんです。その両者を同時にケーブルというものが達成できるのか、あるいは方向性を追い求める中でどちらか1つに決めていくべきかと。
【多賀谷座長】  事務局のほうとしては混在した形での意見を出しているわけですけれども、要するに、商用サービスになるためには全体としてハイビジョン化・高度化に対応する形の方向にCATVも行かなければいけないと。それなりにかなりのコストがかかると。他方において、公共的なサービスという場合には、これはダークファイバーとまでは言いませんけど、現在のSDの部分でもある程度利用できるという、その両方を望むのかと。あるいは、ケーブルテレビの中でも、都市型の場合には商用のほうに進んでいくという形では多分行くでしょうけれども、ローカルレベルで、山下構成員が言うように公共のほうにシフトする、要するに非営利でもやっていくという、そういう戦略をとることはあるのかという、そういう投げかけだというふうに私は受けとめます。
【中村構成員】  ちょっとすいません、今のことについて。公共性の話が出ましたので、それについて私も、今、説明をいただいて最初に気づいたのは、ケーブルテレビ事業とは、今おっしゃっておる公共性に軸足を置くのか、商業サービスもやっていくのかというところについてどういうスタンスで考えていくんだろうかという問題意識を持ちました。私はケーブルラボに今おりますが、同時に富山のケーブル会社にもおります。富山のケーブル会社の経営方針としては明らかに明記してあるんですが、公共性に軸足を置くと、基本方針で取締役会で決めておるという事実がございます。これは、ケーブル事業が都市型で生きる会社と、それからローカルで生きる場合には、やはり市民権を最終的には得たいという考え方、それから、過去に総務省、郵政省時代から多額の補助金をいただいてインフラを整備してきたという事実がございます。そんなようなことから、公共性に軸足を置いてということだけではないんですが、その二面性でもって事業を進めていこうというふうな考え方で現在進めておるということであります。そういう意味で、ここの問題を抽出するときに、要するに地方自治体とケーブル事業者が一体的にどういう仕事をしていくべきなんだろうかと。例えば全く視聴率に関係のない、「青色申告は皆さんしなきゃならないんですよ」と。これは民放ではやらない。けれども、ケーブル会社ではどんどんそういうものを放送しておるということも大切じゃないかというふうな考えを持っております。地方自治体、特にMPISと言われる自治体運営のケーブル会社が多くあります。そことの関係をどうしていくかというのが一つの大きな課題じゃないかというふうに思いました。
【小池構成員】  2(1)の「地上デジタル放送への再送信の対応」というところで、デジタル化が進むということであればBSデジタルも進むと思います。NHKでも独自でBSデジタル化の状況を調べていますが、それによると、インフラは拡大をして、16年度末と17年度末を比べると受信できる世帯は倍増していますが、しかし、都市型ケーブルテレビではかなりBSのデジタル化が進んでいるという反面、それ以外のケーブルテレビ局、例えばMPISやその他中小のケーブルテレビ局はデジタル化がなかなか進んでいないという実態があります。地デジと同時にBSのデジタル化も一つ考えておくべきことかと思います。それが1点です。
 それから、確認したいことがありまして、(2)の放送新サービスのところで、「アナログ放送停波後の空き帯域の有効利用の観点から多チャンネル化を推進すべき」という表現がありますが、ここのアナログ停波後の空きチャンネルというのは、VHF帯も含まれているのではないかと思います。VUの跡地については、総務省さんが今後の展開をどうするかというのをお決めになるわけです。そのときに特にVHFが一番問題になるかと思いますが、新規の事業者に入ってきたチャンネルに既にケーブルテレビが流していて、そこに混信を与えるというような場合に、どう対応していくかということです。今は、ケーブルテレビが新規で始める場合には、混信があるような、チャンネル周波数は使わないということですが、後から入ってきた場合には、場合によっては放送事業者のほうが何らかの補償というのか、対応を考えるということも聞きます。仮にVHFの跡地に放送関係の事業者が入ってきて、混信を与えた場合はどういうことになるのか。その新規の事業者が考えなければいけないのかをお聞きしたいと思います。
 それからもう1点は、ケーブルテレビのコミチャンの充実ということで、これについては、充実そのものについて私は異論はありませんが、今、地上デジタルで、いわゆるOFDMの地上チャンネルのデジタルコミチャンについては、ケーブル連盟と放送事業者の間でその運用について、リモコンキーIDについてどうするかということを含め、ガイドラインを決めています。それに従い、各地域の放送事業者とケーブル連盟支部で話合いをしてリモコン番号を決めています。充実という表現の中に、中身の充実以外に多チャンネル化というようなものも含まれるのかどうかが知りたい。そういうことになると、例えばリモコンキーIDは今は1つですが、さらに要求されるのかどうかということもお聞きしたいと思います。
【本間地域放送課技術企画官】  事務局でございますけど、今のご発言のうち後半の2つの点、アナログ放送停波後の空き帯域と、それからコミチャンの充実について、補足説明させていただきたいと思います。
 まず、アナログ放送停波後の空き帯域、具体的には、今、Vの話が出たので、わかりやすくVHF帯の話をいたしますと、今までのこの研究会のご審議でもケーブルラボなどからアナログ放送停波後の考え方についてプレゼンテーションがございまして、例えば空いた部分で放送の新サービスを再送信する場合もあり得るし、あるいは例えばブロードバンドサービスの広帯域化のためにその帯域を使いたいというニーズもあるという話がございました。ですから、どのようなサービスが出るのかによって、その空き帯域をどう使うかというのはそのときにまた考えられるべき問題だとは思います。それから、制度的な観点で申しますと、電波法の世界では、無線局が無線局に影響を与える場合には、それはちゃんと影響を与えられた側の無線局の利益を保護しなきゃいけないんです。つまり、影響を与えたほうの無線局がちゃんと対応しなければいけないということになっておるんですけれども、無線が有線、ケーブルテレビに妨害を与えるような場合については、ケーブルテレビ側は法的には守られないということになります。ですから、一方的にケーブルテレビが障害を我慢しなきゃいかんということになるんですけれども、ただ、従前のパターンでいきますと、例えば東京地方で14チャンネルで放送が始まったような場合に、一部のケーブルテレビでその14チャンネルに影響が出たと。そういうような場合には、対策費を放送事業者側が負担するというような場合もあったやに聞いております。その部分は民・民の話し合いとして当事者間でそういうような合意が行われたということになりますので、前例に照らしますと、当事者間、新しい放送サービスを始めた人がケーブルテレビに仮に障害を与えてしまって、その場合に放送局側が大所高所に立ってその障害についても費用負担をするんだという合意に達すれば、そういうことになるのかなと。ただ、制度的にいえば、そういう責務を負わされるものではないということにはなろうかと思います。
 それから、もう1点のコミチャンを充実する場合に多チャンネル化が含まれるや否やというのは、これもケーブル局側のお考えであって、行政としてというか、あるいはこの研究会として、最初から間口を狭めるものではないと思うんですけれども、これもさきのこの研究会での中海テレビのプレゼンテーションがございましたが、その場合は、例えばコミチャンをアナログ放送で6つやっておるということでございますので、一般論としては、複数のコミュニティチャンネルを提供すると、そういう意味での充実を図るというのは現に行われているというふうに思います。一方では、リモコンチャンネルがどうなるかという問題はあるんですけれども、現在、コミチャンのデジタル化に関しましてはケーブル連盟のガイドラインでは地域ごとに1つのチャンネルに調整するというような運用になっておって、それは2つ以上のリモコンチャンネルが欲しいですと言ってきている人がまだいないから、そこがはっきりしていないということかと思うんですけれども、その部分についても基本的には制度的にどうこう決まっているものではなくて、放送局とケーブルテレビとの話し合いで決まる部分がございますので、今後、複数チャンネルのコミュニティチャンネルを現にやっていらっしゃる会社がデジタルのリモコンチャンネルを取得するときに、当事者の間でどういうふうな話し合いが行われるかということで決まってくるのかなというふうに思います。
【山口構成員】  西会津町長、山口ですが、全国有線テレビ協議会の会長ということもありますので、先ほどの山下先生のお話でありますけれども、商業ベースといいますか、都市型のケーブルテレビにポイントを置くのか、公設公営のケーブルテレビにポイントを置くのかというお話でありますけれども、我々としては、とにかく公設公営のケーブルテレビにポイントが置かれないような状況になれば大変だなと、こう思うわけであります。西会津町の例をとりますと、とにかく保健と医療と福祉の連携を強化したまちづくりといいますか、トータルケアのまちづくりを今までやってきたわけであります。その啓蒙作業にケーブルテレビが大きな役割を果たしてきたということがありまして、その結果でありますけれども、医療費の削減ですね。今、全国の老人医療費の増高が言われておりますけれども、西会津町の場合、1人当たりの老人医療費の額でありますが、全国平均よりも141,000円余安くなっているわけであります。これに国保の関係の老人を掛けますと大変な額になるわけでありますし、その結果として全国平均の1人当たりの税額が2万1,600円余安くなっているわけであります。これも会員が、入っている人が5,000人ぐらいおりますので、これも大変な数になると思うのでありますけれども、これだけ公設公営のケーブルテレビが地域社会に貢献しているということでありますので、とにかく商業ベースでケーブルテレビが運営されるほうがいいということになりますと、我々はやっぱり、今後、まちづくりもやっていけないというような状況になろうかと思いますので、ご理解をいただきたいなと思います。
【寺坂構成員】  2の(1)のデジタル放送の関係なんですけれども、認識としては確かにこうなのかもしれませんが、考え方としては、まずこの前の情報通信審議会にもありましたけれども、デジタル放送完全移行だと。最初からデジタル放送を受信できない条件不利地域を前提として考えるんじゃなくて、まず地上デジタル放送は完全移行するんだと。その上で、ケーブルの果たす役割というのは多分補完的な役割、どうしても放送事業者さんのほうで対応できない部分をきちんと情報開示していただいて、その上での補完的な役割をケーブルが担うんだというような視点で行くべきじゃないかなと思うんですよね。最初から条件不利地域があるからというような、結論的には一緒かもしれませんけれども、方法論としては、考え方としては先ほど申しましたような方向でとらえるべきじゃないかと私は思うんですけれども。
【石橋構成員】  今のご意見について。検討委員会では、どうしても行かないところはあらゆる補完手段を使ってとにかく届けるとなっています。その中の一つとしてケーブルも挙がっているということで、多分、ここにはそういう意味でケーブルが貢献するというふうに書かれているんじゃないかなというふうに私は思いますが。
【多賀谷座長】  それでは、よろしければ、時間の関係もありますので、後半部分、横断的課題についてご意見をお願いしたいと思います。どうぞ。
【山下構成員】  私は2つ申し上げたいことがございますが、1つは料金のことです。これは私が多分消費者代表のような形で申し上げなければならなかったんだろうと思っています。というのは、料金問題というか、それは将来像として全く出てきていないからです。おそらく入るとしたら、4の(3)というんでしょうか、振興面の課題というところに出てくることになろうかと思いますが、現行の料金体系なり、それからトリプルプレイにしたときの料金制度なり、そういったものが適正かどうかというようなことです。実際に地上系あるいは衛星系ですね、こういったところで多チャンネル化が進んでいて、実際にはそういうところは無料で見られるようなものがすごくたくさん出てきています。それから、IP系でも、やはり無料のケーブルに似たようなサービスというのがどんどん出てきている中で、ケーブルが現行の料金体系のままでやっていくことが実際にできるかどうかということとともに、視聴者にとって、視聴者保護なり視聴者にもっと好きになってもらうといいますか、視聴者に十分な需要を喚起するために、このままでやっていけるものかというような意味です。
 実は、これが第1の点ですけれども、第2の点というのは、この紙を昨日、一昨日ですか、拝見してから気が付いたんですが、料金と似てはいるんですけれども、ネットワーク化の中でのケーブルというんでしょうか、そういうようなことです。将来というと、おそらくホームネットワークの中でケーブルが中心的な役割を果たす。その中でSTBがどんどん高度化するというような像が描かれていると思うんですけれども、そうなると、一旦ケーブルに加入すると視聴者としてロックインされるというような言い方があるんですけれども、逃れられなくなると。そして、そのときにケーブルというのは地域に1つでございますから、代替的な手段がないと。それがホームネットワークですから、エアコンとか何かいろいろなものにつながっているわけですね。そうなると、ケーブルにとってはいいのかもしれないんですけれども、非常にそれによって選択肢が狭められる局面が視聴者にとって出てくるだろうというふうに思います。それが2点目です。
【多賀谷座長】  2つ大きな論点を提起されましたけれども、その話についてご意見でもいいし、あるいはほかのことでもよろしいですけれども。2点目のほうの話は、前半のところのSTBの標準化の話とも絡む話なんですけれども、ただ、実際上、STBをケーブルテレビ加入者が自宅に置いた場合に、それが実際上のボトルネックとなって、すべてそこから経由していろんなサービスが受けられることになるかというと、ちょっとそこら辺は正直言ってわからないといいますか、他方においてはインターネットサービスのほうがブロードバンド化して、そこの両方がどうなるかとか、見えないところはあると思います。場合によると、ケーブルのSTBFTTHのほうと両方併存するような家も出てくるでしょうし、まさに二重に存在するということになるのかもしれませんし、あるいはもっとほかのシステムが出てくると。多端末現象みたいなのも出てくるような気もいたしまして、ちょっとそこら辺はわからないですが、ほかの方ももし感想あるいはご意見があれば。
【音構成員】  最初のほうの山下先生の前半のほうのご意見と、それから今のご意見と、両方に重なるようなところだと思うんですけど、まさに座長がおっしゃったように、まだ現時点ではちょっと見えないところもあるかと思います。ただ、逆の言い方をすると、事業者の側からすれば、当然のことながら利用者の囲い込みをすることのほうがビジネス的にはいいであろうということになるんでしょうから、当然のことですけど、ある種、規模の経済のような流れの中で、事業者間の再編みたいなものが起こっていく可能性があるでしょうし、それから、自分のところのサービスエリアの中での視聴者の取り込みということを一生懸命やっていくことは間違いないんだと思います。そのときに視聴者の側の選択肢があるのかどうなのかというところが非常に微妙なところで、私自身は、日本のケーブルテレビ産業、やっぱりもう少し大きくなっていくことは可能だというふうに思っておりますが、ただ、その過程においてはある種の再編成ということが行われていく可能性があるというふうに思うんですけど、もう片方で、そのときに、先ほどの前半の話と重なるんですけれども、やはり今までの日本のケーブルテレビの歴史を見ると、ある種のエリアにおける公共的な機能をきっちり担ってきたわけです。それから、地上放送のある種の補完的機能というところから発展してきましたので、この後の展開を考えたときに、先ほどの山下先生のご意見とちょっと違うのかもしれませんけど、どちらかというよりは、やっぱり両方やらなくてはいけないのではないのかなと。つまり、商業的な部分の展開をどう考えるのかということと、もう片方で、ある種のそのエリアにおけるユニバーサルサービスといいましょうか、公共的な機能の両方のバランスをやっぱり両方仕込みながら制度的な枠組みみたいなことも含めて議論していかなくちゃいけないんじゃないかなということを思いました。そこがだからこそ難しいんじゃないのかなと思います。
 それから、それに絡めてですけれども、先ほどの山口構成員、山下構成員のお話にございましたように、私などから見ていても、やはり日本のケーブルテレビは二重構造になっていて、都市型といいましょうか、MSO型と、それからもう片方で公益ケーブルと、やっぱり相当ビジネスモデルが違うであろうと。加えて、MSO型がこの後どんどん大きくなっていくと、番組提供ということでいえば、例えばスカパー!のようなプラットフォームとある種の競合関係になっていくと。オプティキャストみたいなものもございますけれども、じゃ、そのときの視聴者の選択というものがどういうふうな形で担保されるのか、そのあたりも一緒に考えなくちゃいけなくて、それはこの研究会からやや離れるところになるかもしれませんけど、やや横断的という意味では、もっと横断的な話の中でそこも視野に入れながら議論しないといけないのではないかなというふうに思うんですが。
【森構成員】  横断的課題の中の制度面の課題のウ)にVOD等の映像伝送サービスのコンテンツ規律の在り方というところがございまして、ここでは、私は、VODがどんな形態にこれから変化していくのか、どの程度放送的なものになっていくのかの情報をはっきり持っていないんですが、常識的に考えますと、VODというのはあくまでもWIPOの条約上も通信の分野に入るメディアでありまして、こういったビデオ・オン・デマンドをあえて放送の規律の中に今後入れていくという考え方をこの研究会の中でとるのか、資料6−6の中にも映像配信サービスの(4)IPマルチキャスト放送と従来型ケーブルのイコールフッティングの確保ということで、これは両方とも放送にしていくという方向づけをはっきり示しているんだと思うんですが、果たしてここまで現時点で割り切ってこれから進めるべきなのかどうかということについて、もう少し、「必要の有無」とこちらには書いてありますけど、そういう余地をまだ残すべきではないかというふうに思います。というのも、私も文化庁の審議会の委員に入っているわけで、先ほどご紹介ありましたように、地上波の再送信についてまでは有線放送並みに扱うという結論を出して、自主放送については今後さらに検討するんだという状態であちらのほうは終わっておりますが、何ゆえそちらでそういうふうに自主放送には踏み込まなかったかという議論は、多分に著作権法上のバリアの高さを皆さん知っているがゆえにそういった結論になったというふうに思いますので、そういったところとの整合性も含めて、ここの研究会でも少し議論をした上で方向性を決めたほうがいいのではないかなと私は個人的に思います。
【多賀谷座長】  これは非常に微妙な話ですけれども、おっしゃるように、このVODサービスは著作権法上は放送ではないわけです。要するに、自主放送といいますか、オン・デマンドで受けるということになりますから、放送ではないわけです。その意味において、著作権という番組ソフトを財産として守るという、知的所有権として守るという、そういう観点から明確に切り分けられていると。ただ、それに完全に放送法制、放送通信法制が合わせるかどうかということは一つの論点でありまして、私の見解で言うと、放送法制というのは、基本的に公法であって、それと知的所有権にかかる私法とが多少ずれているということは、それはそれとして一つの在り方かなという気がします。というのは、この場合においては、VODサービスが提供される番組の中身、ソフトの中身について、それの内容が違法であるか、あるいは有害であるかという、そういう品質のレベルの問題について放送類似の規律をかけると。規律をかけるというよりは、私のイメージでは、そういうレベルのサービスを提供するという感じで、放送事業者あるいは放送事業者に準ずるものが出てくるという、そういうことはあり得ると。それは著作権法上の取り扱いとはまた別の話だろうという気がいたしますけれども。両方必ず合わせるという必要はないだろうと。全く背反してしまうと、それはまた分離してしまうと問題だと思いますけれども。
【中村構成員】  私、ラボにおる立場で、今後、こんなふうなことをやっていきたいと思っていることをちょっと説明させていただきます。今までの日本のケーブル業界、先ほどの収支の面では、放送の再送信からインターネット事業をやってきたという効果が大きいわけなんですけれども、そこには、DOCSISという米国ラボのスペックをそのまま輸入してやってきております。これから将来のことを考えますと、日本のケーブルラボは、今までは米国のキャッチアップの時代だったんですけれども、今後はやはり日本から世界に発信していかなければならない。特に日本が先行しておりますFTTH、光、これをベースにした技術力を高めていかなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。なかなかケーブル事業者は所帯も小さいですし、資金力のみならず技術力も非常に低いんですけれども、それを高めていくべきだろうというふうに考えておるということをちょっと思っておりますので、ちょっと紹介させていただきました。
 それから、先ほど山下先生から、ケーブルで事業がロックインされるんじゃないかというお話しがありましたが、ほんとうにそうなればいいなというふうに思っておるんですけれども、実態は、放送の電波の映像といいますのは、やはり通信技術をベースにした形でだんだん移行していくんだろうというふうに思いますと、現在もそうですし、ますます黒船が日本中に押し寄せて来ておるわけなので、大変厳しい時代になっていくだろうというふうに思っております。
【多賀谷座長】  次の議題に移りたいと思います。続きまして、現在及び2010年〜2011年におけるケーブルテレビの姿について、事務局作成資料の説明をお願いします。
【梅村地域放送課課長補佐】  それでは、資料6−7に基づきまして説明させていただきます。
 こちらの資料につきましては、先ほど資料6−1で研究会の今後の進め方について大西のほうから2点申し上げました。2010年代初頭に向けて解決すべき課題とその方策という検討と、もう1つは2010年代後半におけるケーブルテレビの展望、在り方・役割、そういったものを取りまとめたいということでございます。この資料につきましては、2015年といったところをターゲットに入れまして、ケーブルテレビがどのような姿となっているか、サービスをしているか、そういったことを見きわめていきたいということなんですが、まずは、いきなり2015年という検討は難しいということもございますので、現在の競争環境がどう変わっていくか、あるいは技術がどう変わっていくか、そこら辺の状況をある程度見据えられる2010年〜11年、まず2010年代初頭のケーブルテレビの姿というのを今回取りまとめてみまして、まず、これについてこういったイメージでよろしいかとご議論をいただきまして、さらにその先の2015年というところの議論のたたき台にしていただきたいと、そういう趣旨で出させていただいております。
 目次にありますように、ケーブルテレビの姿、2010年代初頭にこういったことをやっているだろうということで、5つに分けてまとめております。映像配信サービス、インターネット等の映像配信以外のサービス、端末、ネットワーク、最後に経営環境・その他ということでございます。
 それでは、資料1ページからでございます。まず、映像配信サービスのうち放送サービスについてまとめてございます。
 左側に現在、右側に2010年〜11年ということでまとめています。点線で書いてございますのは、ケーブルテレビ以外の外部の環境がどうなっていくということを示したものでございます。実線で書いてある点線より下の部分はケーブルテレビの枠内の話、これは一番下にIPマルチキャストの話も入れていますけれども、従来型ケーブルテレビとIPマルチキャストも含めたケーブルテレビということでまとめております。
 ここの放送サービスにつきましては、現在、地デジが全国で開始されつつあるということですが、2010年〜11年におきましては、アナログ放送が終了しまして、サーバー型放送等々の放送も実施されている環境にあろうということでございます。それに対してケーブルテレビが、現在、地上アナログ/デジタル放送の再送信、BSアナログ/BSデジタル放送の再送信を実施しておりまして、CSデジタル放送の再送信・多チャンネルサービスというのも提供していますが、CS多チャンネルにつきましてはほぼSD画質で行われているということです。これが2010年〜11年になりますれば、地上/BSデジタル放送の再送信が実施されていて、新しい放送サービスも再送信されているのではないかと。また、多チャンネルサービスのハイビジョン化が進展するだろうということでまとめています。
 その下の地域情報のコミュニティチャンネルに関してですが、こちらもデジタル化されるということで、データ放送を含むデジタルコミュニティチャンネルの提供が進展するだろうということで書いております。
 一番下でございますが、IPマルチキャスト方式を用いた役務利用放送事業者というものは、現在、CSデジタル放送の再送信・多チャンネルサービスといったものをSDで提供しておりますが、今後は、地上デジタル放送の再送信もIPマルチキャスト事業者が行っていくだろうということでまとめています。
 2ページ目でございますが、放送以外の映像伝送サービス、いわゆるVODですとか、そういったところはどうなっているのかと。現在、ISPですとか、あるいは放送局自身によりましても放送類似サービス、PCで視聴するようなVODといったものが普及し始めてございます。ケーブルテレビにおきましても、実線の中にありますように、例えばJ:COMグループ各社ですとか大分ケーブルテレコムはRF方式でVODを提供しております。また、役務利用放送事業者のビー・ビー・ケーブル、KDDIあたりはIP方式でVODを提供してございます。これが2010年〜11年になりますと、VODサービスが本格普及してくるだろうと。また、そのHD化も進んでくるのではないかということでまとめています。RF方式でケーブルテレビを行っている事業者についても、IP方式のVODを一部導入するという動きも見られるのではないかというふうに予測しております。
 その他でございますが、その符号化の方式が、MPEG2からH.264につきましてもケーブルテレビの自主放送等々で採用されていくのではないかということでまとめております。
 3ページ目からはインターネット等のサービスということで、ブロードバンドの契約数が現在2,330万件ということで、FTTHがその中で546万件となっています。これが2010年〜11年は、ブロードバンド環境といいますと、ブロードバンドゼロ地域が解消する、あるいはブロードバンドサービスが3,5003,700万件に普及すると。これは総務省の中の次世代ブロードバンド構想でまとめられているところでございます。
 ケーブルテレビにつきましては、現在、30Mbpsレベルのインターネットサービスを提供していて、契約件数としては330万件程度となってございます。これが、ケーブルテレビも今後のFTTHの普及に対応して、FTTHのケーブルテレビあるいはc.LINKDOCSIS3.0、そういったものによりまして超高速のインターネットサービスが提供されるのではないかということでまとめております。
 4ページ目に参ります。その他サービスの中で多様なサービスの提供というくくりで書いてございます。ここは、テレビ、インターネット、電話をあわせたトリプルプレイサービスが現在本格化しているということでございます。これが2010年〜11年になりますと、無線サービスなりホームネットワークあるいは地域情報化サービスと、こういった複数のサービスが追加されるのではないかと。トリプルプレイ、クワドロプルプレイかその先に向けて動いていくだろうということでまとめております。
 5ページ目に参ります。ここから端末ということでまとめております。STBの高度化ということでまとめております。現在、ケーブルテレビでは、アナログのホームターミナルからデジタルのSTBへという移行が進んでいるところでございます。録画可能なハードディスクドライブ内蔵のSTBが導入されつつあるということでございます。ケーブルテレビラボで仕様が標準化されたSTBの普及、マルチベンダー化の進展というのが進みつつあるというところでございます。CAS方式は複数存在していまして、ケーブルテレビ事業者、STBのメーカーごとにアプリケーションが異なるという状況に現在ございます。これが今後、すべてがデジタルSTBになっていくだろうと。また、多数チューナー・大容量HDD内蔵STBの導入の進展、また、共通のアプリケーションプラットフォームというものが導入されれば、STB上のアプリケーションのマルチベンダー化も進展していくのではないかということで整理しております。
 6ページに参りまして、ネットワークにつきましてまとめております。現在、FTTHにおきましても、同軸ケーブルで伝送可能であった770MHzメガヘルツまでの伝送をしていると。64QAMという方式での伝送を行っているということですが、今後は、FTTHにおきましては3ギガ程度の帯域までは伝送帯域を拡大できると。またあわせて、256QAM512QAM1024QAMによる伝送ということで、伝送帯域の拡大と高能率伝送の進展ということで、伝送可能帯域がさらに増えていくと。現在、3Gbps程度と言われておりますが、それが12Gbps程度ということで拡大していくのではないかとふうにまとめております。
 7ページでございますが、ネットワークのその次でございますが、無線の有効活用ということでまとめております。現在、ケーブルテレビにおきましては、地上波のケーブルテレビのヘッドエンドまでの受信点からの伝送ですとか、あるいは河川横断等で用いられている部分がございますが、これ、対向型のポイント・トゥ・ポイントのみで、現在30局程度で利用されているということでございます。今後、河川横断等のための幹線での無線利用に加えて、条件不利地域のアクセス回線での無線利用というのも増加が考えられるのではないかと。あるいは、FMCサービスの進展、有線・無線連携サービスの高度化。あるいは、ホームネットワーク等々におきましてその無線の利用と。また、地デジでのギャップフィラー設置におけるケーブルテレビ網の活用ということも考えられるのではないかということでまとめております。
 8ページに参りまして、IP伝送の拡大ということで整理しております。現在、ケーブルテレビ事業者は、TS伝送、一部の電気通信役務利用放送事業者はIP(マルチキャスト)伝送ということになってございます。幹線に光ファイバーを導入した自主・許可施設というのは69%、HFCの導入は410事業者、FTTH導入は56事業者となっております。地上・CS放送につきましては、アナログ/デジタル双方で帯域を利用しているということで、伝送路のイメージ図がかいてありますが、こういったイメージになってございます。今後は、アナログ放送、NTSCの部分がなくなってくるということで、IP伝送へより伝送の余裕が出てくるということでございまして、右側には、幹線は基本的に光化、HFCの高度化ないしFTTH化が進展、アナログ放送停止に伴って同帯域の有効活用が可能となり、VODサービス等でケーブルテレビ事業者もこういった部分を活用してIP伝送を採用してくるのではないかということで予測させていただいております。
 最後の項目の経営環境・その他でございます。こちらは、左のほうにはケーブルテレビの加入世帯数1,913万世帯、世帯普及率は約38%と。また、経営データ、市場規模のデータ、こちらは先ほど発表したデータより古いのを用いてございますが、大体単黒が8割、市場規模も三千数百億円といったところにございます。ただ、今後の経営状況を左右する要素としまして、真ん中に幾つか雲でまとめていますけれども、普及が一巡してきて、新規開局/エリア拡張というのが鈍化してくるだろうと。また、地デジに伴う難視聴対策の収入の減少と設備投資額の増加という問題もございます。また、映像配信サービスにおいては、IPマルチキャストによる地上波の再送信あるいはインターネットによるVODなどの非放送サービスの普及、こういったところで競争が激化するだろうと。また、通信サービスにおける競争ということでいいますと、FTTHの進展によりまして、このまま行きますとケーブルインターネットの優位性が低下するのではないかという問題もございます。また、根本的に少子・高齢化、人口減少の進展ということで、潜在的利用者というのも減少してくるだろうということで、特色あるサービスの提供ですとか、経営の効率化、事業規模の拡大、こういったことが求められてくるのではないかということでまとめております。
 最後のページは、事業者間連携ということでまとめておりますが、ヘッドエンド等の施設の共用化、MSO化、合併等々、ケーブル事業者間の連携がかなり進みつつあるところだと思います。これが2010年〜11年になりますと、合併・MSO化も含めまして、事業者連携はさらに進展するだろうと。また、通信事業者など異業種との連携・合併というのも進展するのではないかということでまとめております。下に、参考までに、日本のケーブル事業者トップ10とアメリカのケーブルテレビ事業者トップ10ということでシェアをまとめておりますが、アメリカのほうがシェア的には非常に寡占化が進んでいるというデータを書いてございます。
【多賀谷座長】  それでは、ただいまの2010年代初頭におけるケーブルテレビの姿につきましてのご説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたら、ご自由にご発言願います。どうぞ。
【寺坂構成員】  8ページなんですけど、確認なんですけれども、現在の部分のところで加入者系の光ファイバーの整備84%とあるんですが、先般出ました次世代のブロードバンド戦略でいきますと80%というような表現もあったと思うんですけど、これの違いって何かあるんでしょうか。
【梅村地域放送課課長補佐】  このデータはおっしゃったものと違うものを利用していると思いますので、確認させていただきたいと思います。
【石橋構成員】  この資料では、それぞれの観点で現在と2010年〜11年、どういうふうに変わっているかということが示されているわけですが、私としては、こういういろんな観点でこういうふうに変化すると、それらの結果として、ケーブル事業会社がどういう様な姿になりそうだという様なところまで議論を深めていただければありがたいという気持ちがあります。
 それともう1つ、2010年〜11年といいますと、もうあと4年ですから、実際にはかなり絵がかけてないとまずいような部分もありますので、そういうようなところもご検討いただきたい。ただ、そのときに、先ほどからも出ております都市部の通信事業者との競争が激烈になっていく事業者と、そうじゃない地方の公共的役割が比較的高いというところとは、おのずから違うと思います。そこのところはやはり区別して議論しないと、ごっちゃになってしまってあまりよくわからないというようなことになりそうな気もします。私としてはに分けて議論したほうがいいんじゃないかと思います。もちろん、ケーブル事業として共通する部分はあります。公共性というのは別に都市部がないわけでもなくて、都市部も非常に公共性が高い部分がございますので、そういう点は共通部分として、違う部分はどういうふうに違うんだというようなことまでご議論いただいたらいいんじゃないかなというふうに思います。
【山下構成員】  この将来像として書かれていることが、このまま何もしなくも進んでいくとこういうふうになるという姿なのか、こういうふうに進まなければならないというのか。特にやっぱり技術のことなどは私には全くわからないので、こういうふうに持っていかなければいけないのか、こうなることは決まっているのか、どっちなのかなというような気がいたしました。ですから、先々、何かおまとめになるときに、先ほど石橋委員もおっしゃったように、私としても、区別をしてといいますか、こうなるべきだというようなところはそうであるということがわかるようになっているといいなというふうに思います。
【多賀谷座長】  4ページのところで、2010年〜11年として、従来のコンシューマー向けサービスに加え、B to B的なサービスが進展するというふうに書いてありますけれども、これはケーブルテレビのネットワークの今後の在り方として、ダイレクトにB to Cでハード・ソフト一体型のサービスを提供する場合と、B to Bというのはある意味において回線、ハードを提供して、その上に乗るサービスは、別のソフトについては別が入ってくるという、そういうシステムなんですね。おそらくそれは場合によると、ローカルの場合においてはある程度B to B的なものが入ってくる可能性があるという気がいたしますので、将来の像も一つの予測がここには書いてあるというふうな気がいたします。
 そのほか、最後の資料だけではなくて、本日の議題全体についてのご意見でもよろしいですけれども、何なりとお出しください。
【中村構成員】  ちょっと今日的な課題なんですが、市町村合併がちょっと落ち着いた結果、ローカル、市よりも昔の町村のケーブル会社、これは自治体もありますし、三セクもありますが、それらの会社が1つの行政に3つもの4つもの事業主体が動いておるという事実がございます。現在は、それを指定管理者制度としてやっていくのか、いかないのかというのが地方での課題になっておるということであります。そこで、当地方のほうでは指定管理者になじまないんだという考え方が少し支配しつつあるんですが、この点、どちらの方向に行くかによっては、この経営問題として大きなありようが検討されるんじゃないかなというふうに思います。
【梅村地域放送課課長補佐】  指定管理者制度に関しまして、自治体の活用したいケーブルテレビとその管理ができるかということですが、これは、自治体でやっているものはそうあるべきとか、そういうことではなくて、そういうものも活用して事業を運営できるという形で我々は対応させていただいておりますので、特になじむ、なじまないというよりは、そういった形態をとるところもあれば、とらないところもあると思いますので、一律に考えられる問題でもないのかなという気がしております。
【多賀谷座長】  指定管理者というのは、通常、公の施設等の利用について、従来は地方自治体の職員あるいは第三セクターが管理していたのを、入札によって民間の参入も認めるという形になっているわけですけれども、ケーブルテレビの場合、それは基本的にケーブルテレビのインフラ自体が地方公共団体の所有になっているということでしょうかね。そして、例えば合併によって1つの大きな市ができた場合に、そこに2つとか3つのケーブルテレビがある場合に、それが併存しているとややこしいから、もう入札で場合によると1つの業者に任せてしまおうとか、多分そういう話があるんだろうと思いますね。だから、指定管理者の制度でそれを決着つけるというのはやや乱暴な話のような気がいたします。
【竹岡構成員】  資料の10ページに2010年〜11年の事業者間の連携ということで表を出していただいておりますが、アメリカの場合は6,500万世帯余り、日本の場合は1,800万世帯余りということで、世帯数の比率でいいますとアメリカのほうがかなり浸透率・普及率が高いということがございますので、2010年なり11年になりますと、アメリカまでの普及率は多分難しいかと思いますけれども、例えば今現在の2倍の産業規模になることも可能性としては非常に大きいと私どもは考えております。その場合には在り方についても非常に重要なことであると思いますが、そういう規模的なものもぜひ私どもは一つの視野に入れて議論をさせていただきたいと考えております。私ども衛星放送協会の各社は、コンテンツの制作であるとかコンテンツの調達等に非常に力を入れておるわけですが、やはりケーブル各社様の規模が大きくなれば、それだけ我々もそういうところに出資をしていくということが可能になってきますので、ぜひそういった大きな像についてもご一緒に検討をさせていただきたいと考えております。
【音構成員】  9ページ目の一番最後のところでご説明をいただいた、2010年〜2011年のケーブルテレビサービスが非常にバラ色で、今以上によりクオリティーの高いものに、または産業規模も大きくなっていくというふうな形が、視聴者・利用者にとって非常に豊かなサービスが提供されるというふうになればいいというふうに私も思うんですけど、ここに出ている、先ほどご案内があった雲の部分というのは、すごく大きな問題を抱えているのではないのかなと。このあたりのところに関してのある種の方策というものがどこまでできるのか。実際問題上、前回の研究会と今回の研究会の間に、例えばケーブルウエストが吸収をされていくというようなご事情もありますし、もう片方で岩手のテレビ都南がアナログ停波と同時に事業をやめられるというようなことが報じられるというような、全体状況を見るとそんなに楽観できないのではないのかなという印象を私自身はすごく持っております。だからこそ、こういう研究会ができたのかなと思うんですけれども、若干、先ほどの山下先生と同じように、私も利用者の視点というんでしょうか、利用者にとってどれだけサービスがより豊かになるのかというあたりのところと、それから、当然のことですけれども、それとリンクする形でのケーブルテレビ事業者のある種の発展といいましょうか、そこをうまく引っ張れるような形での政策提言みたいなものが必要になってくるのかなと。ここでは代表的に雲を5つ書いてくださっていますけど、ひょっとするともう少し問題点があるのかなというふうな印象を持ちまして、そのあたりをぜひ議論していただければと思います。
【多賀谷座長】  その点は今後の研究会等でも引き続き議論していきたいと思います。
 よろしければ、これで議論を閉めたいと思います。ありがとうございました。
 本日は、ケーブルテレビの諸課題、2010年代初頭のケーブルテレビの姿について整理をしてまいりましたけれども、これを踏まえまして、事務局においては資料の補正や精緻化を引き続き行っていただきたいと思います。
 また、今後、2010年代後半、2015年ごろにおけるケーブルテレビの在り方・役割についても議論をしていきたいと思います。これについても構成員の皆様方のご意見をお聞きしたいと思いますので、よろしくご協力をお願いいたします。この点につきましては事務局から個別にご連絡いたします。
 それでは、本日はこれで閉会したいと思いますけれども、次回の会合の予定などについて事務局からお願いします。
【梅村地域放送課課長補佐】  本日はありがとうございました。次回は10月の開催を予定してございます。次回の議題及び日程につきましては、座長ともご相談の上、別途ご案内させていただきます。
 また、先ほど座長からお話のありました2010年代後半、2015年ごろにおけますケーブルテレビの在り方・役割の取りまとめにつきまして、別途、事務局からメールにてご連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【多賀谷座長】  それでは、本日の会合はこれにて終了します。ありがとうございました。


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