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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会(第7回会合)

平成181020


【多賀谷座長】  ただいまから2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会の第7回会合を開催いたします。ご多忙の中ご出席いただき、ありがとうございました。
 まず最初に、本日の配付資料の確認をお願いします。また、人事異動に伴い、総務省側の出席者に変更がありましたので、あわせて自己紹介願います。
【井上地域放送課課長補佐】  梅村の後任で参りました、井上と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の配付資料の確認をさせていただきます。資料は、座席表、構成員名簿、議事次第のほか、資料7−1といたしまして、「ケーブルテレビの将来展望を考えるための課題」。
 資料7−2といたしまして、「ケーブルテレビをめぐる諸課題に対する諸方策(案)」。
 資料7−3は、「ケーブルテレビの法制度面における現状と課題(案)」の3点でございます。
 資料の最後に、前回会合の議事録をつけさせていただいております。なお、傍聴の皆様分については、議事録は割愛させていただいております。資料に不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。
【多賀谷座長】  続きまして、構成員の変更がございますので、KDDI株式会社藤本構成員代理木原様からごあいさつを願いたいと思います。
【藤本構成員代理木原ケーブル事業推進室副室長】  ただいま多賀谷座長から紹介いただきましたとおり、KDDIでございますが、これまで森田が委員として参加させていただきましたけれども、今回からケーブル事業推進室長の藤本が参加させていただきます。本日、藤本は、前々からの予定がございまして、欠席させていただいております。代理で私、ケーブル事業推進室の副室長の木原が参加させていただきました。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
【多賀谷座長】  第7回である本日の会合では、音構成員からのプレゼンテーション、次いでケーブルテレビをめぐる諸課題とその対応方策、また、ケーブルテレビの法制度面における現状と課題について議論してまいりたいと考えております。
 まずは、メディア全体から見たケーブルテレビの位置づけや期待される役割、今後の展望などについて、メディア論がご専門の音構成員にご発表願いたいと思います。
【音構成員】  音でございます。よろしくお願いいたします。こういう場でお話をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
 最初に一言だけ個人的なことを申し上げさせていただきます。思いますれば、20年前、私は大学院生をやっていたんですけれども、当時は新聞研究所という名前でしたが、東京大学の新聞研究所にいらっしゃった高木教典先生のゼミで、ケーブルテレビの将来像に関しての勉強をやっておりました。当時、高木先生が、郵政省にありましたケーブルテレビの将来像を考える研究会のメンバーをされていらっしゃって、その資料をもとにしながら、日本のケーブルテレビはどうなるのかという議論をしたことを覚えております。
 当時からすると、ケーブルテレビ産業は相当大きくなったように思うんですけれども、ますますの発展を考えていく上で、私が日ごろ考えていることを少しご報告させていただいて、ご議論の参考になればと思いまして、本日はご用意させていただきました。よろしくお願いいたします。
 まずは私なりの、メディア論からの視点として、今のケーブルテレビに対する状況認識を少し整理させていただきます。ご承知のとおり、日本のケーブルテレビは、地上テレビ放送の補完システムとして発展してきた経緯がございます。そのことから申し上げますと、現在、日本において、2011年までに地上デジタル放送への完全移行が進められているわけですけれども、まさにケーブルテレビの一つの重要な機能としては、この地上デジタル放送の補完システムとしての機能があると思います。このことが、第一義的なケーブルテレビの役割だと言うこともできるかと思います。
 当然のことですけれども、テレビ放送はアナログからデジタルへ移るわけですから、ケーブルテレビもそれに合わせた形でのサービスをどうしていくのかは、ロードマップ等でご努力されていらっしゃることはもちろん認識しております。
 第2点目は、日本においては、ケーブルテレビは、情報インフラとしての評価が既に定着していると私は認識しております。当然のことですけれども、電気通信事業になりますと、まさに電話サービス、ユニバーサルサービスとしての公共的な役割、使命が付加されるわけでございます。この評価が定着していることとともに、公共的使命をいかに担っていくかがポイントかと思います。もう片方で、この検討会でもJ:COMの森泉さんがご報告になりましたように、このサービスの多様化によりまして、ここのところ、事業の将来性が強く語られているのはご承知のとおりでございます。
 3点目。日本のケーブルテレビが地上テレビ放送の補完から多チャンネルの担い手となっていきましたのは、1990年代以降と私は認識しておりますけれども、まさにこの多チャンネルの担い手としての役割も広く人々に周知され、評価されているところかと思います。ただ、もう片方で、日本のメディア環境全体を見てみますと、この多チャンネルの有力な担い手としては、CSデジタル放送がございます。当然のことながら、衛星政策とのある部分の調整が必要になってくるかと思いますし、ケーブルテレビの多チャンネル化の番組供給サイドとしての事業者は、衛星放送事業における委託放送事業者と重なっている部分が非常に多うございます。当然のことながら、サプライヤーの振興をあわせて検討する必要があるでしょう。
 それから、日本のケーブルテレビ事業でしばしば比較対象の事例として取り上げられますのはアメリカのケーブルテレビでございます。アメリカのケーブルテレビに関しまして、そのケーブルテレビ事業者、MSOの位置づけは、アメリカでいいます衛星放送事業のプラットフォームに当たります、ディレクTVとセットで語られることが多うございます。例えば、アメリカのMSOのランキングの中に、タイム・ワーナー・ケーブルと一緒にディレクTVが並べられているというのは、まさにそのことをあらわしているのかと思います。今後の多チャンネル化の担い手の議論をしていくときに、衛星との関連を検討する必要があるであろうというのが3点目でございます。
 4点目は、「事業・サービスの多様化」でございます。先ほどの情報インフラとしての評価が定着する中で、今後の光化、回線容量の拡大の中で、サービスはどんどん多重化していくことが今後も期待されるわけでございますけれども、技術的に多様なサービスが提供できるということと、それが利用者たちにどれだけ受け入れられているのかというあたりの検討が、まさに今、大きく変化していく中で、もう一度見直される必要があるのではないかと認識しております。
 この研究会の中ですと、山口構成員が西会津町の具体的な事例をご紹介してくださいましたけれども、まさに地元住民にとって非常に支持されている多様なサービスがある一方で、もう片方では、そのサービスの中で――技術的には非常にうまくいっているのかもしれませんけれども、そのエリアの人々からあまり支持されていないというものもあるやに聞いております。そのあたりの整理の中で、ケーブルテレビの機能を検討する必要があるのではないかというのが私の認識でございます。
 もう一つは、今度は産業構造的な現状に対する認識でございます。第1点目でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、事業・サービスの多様化が進んでいく中で、当然のことですけれども、回線容量が広がりまして、サービスが多重化していきますと、その中で事業者は、ある種、事業の拡大を当然考えるかと思います。それがサービスエリアの拡大につながっていくかと思います。現に、この数年の日本のケーブルテレビ事業の様子を見ますと、まさに連携や再編成が大きく進んでいっていると言うことができるかと思います。本年度になりましても、先のJ:COMとケーブルウエストの合併が、この具体的な事例として挙げることができるかと思います。
 他方におきまして、ややサイズの小さいケーブルテレビ事業者間の広域連携も進んでいるかと思います。ただ、全体状況を見てみますと、確かに先ほど20年前のお話を申し上げましたけれども、20年前からいたしますと、日本のケーブルテレビは産業規模も明らかに大きくなりましたし、プレーヤーも大きくなってきたとは思うんですが、世界的に見てみますと、しばしば日本のケーブルテレビの比較対象とされます米国のケーブルテレビ産業からしますと、まだまだ日本のケーブルテレビ産業はサイズが小さいと言わざるを得ないと思います。
 そのことを政策的にどう見ていくのか、ある種政策誘導的な、または産業振興的な期待がまだまだこのケーブルテレビ業界の中にはあるのではないかと思います。もちろんのことですけれども、先ほどのMSOの拡大、先ほどちょっと言いそびれましたけれども、通信事業との連携ということで、今後もある種の可能性はあるかとは思いますが、より一層の政策的な支援、誘導が必要なのが日本のケーブルテレビの現状なのではないかというのが私の認識でございます。
 他方におきまして、これは私が最も気にしているところなんですが、前回のこの研究会でも議論になりました、今のケーブルテレビ事業をどう見るのかでございますが、これは私の私見でございますけれども、二極分化、正確に言うと三極化がこの10年でより進んだと認識しております。一方では、やや自由競争の中で巨大化していくMSO型。もう片方で、公営型、農村に多いMPISのようなケーブルテレビです。この2つをなかなか同一に議論できないのではないのか、メディア論的に言えば、別なメディアとして検討する必要があるのではないかと思います。
 ただ日本のケーブルテレビのことを考えてみますと、地方都市で言うなればそれぞれの地元の有力者、どちらかというとメディアに非常に興味、関心が強かった方がケーブルテレビを興されて、地域社会とある種連携をしながら進んでいったケーブルテレビが日本の発祥だと言うことができるかと思うんですが、ここで言いますと、真ん中になると思うんですけれども、その中からMSO型に展開し、またはMSO型のところに吸収されていったところがあるかと思います。もう片方で、先ほどの公営型があるとすると、この真ん中の地方都市型の今後も、実は相当問題が多いのではないかというのが私の認識でございます。
 論理的に言えば、MSO型と公営型の2つのメディアを別なメディアとして考えて、その将来像を検討することが重要かと思うんですが、もう片方で、その中間にあります地方都市型のケーブルテレビが、MSO型の中に吸収されていくような構造でほんとうによろしいのかどうかなのかも、各論で検討する必要が非常にあるのではないかというのが私の認識でございます。
 そのような現状認識にのっとりまして、検討すべきケーブルテレビの方策というもので、3点挙げさせていただきます。ケーブルテレビ事業自体の一層の成長政策を、政策誘導をしていく必要があるのではないかというのが1点目でございます。ケーブルテレビの今までの歴史的な経緯からしますと、社会的機能を十分に担ってきたことはご承知のとおりでございますし、それがますます発展することによって、利用者の生活の豊かさを拡大していくことにつながる可能性を十分に秘めているメディアであることは言うまでもございません。とするならば、どういう形での成長が最もよいのかを検討し、ある種、理念をもう一度確認し、その中で成長政策を提示すべきだというのが私の考えでございます。
 第2点目でございますが、とは言いましても、まさに20年前とは随分メディア環境は変化したように思います。一言で申し上げれば、多メディア、多チャンネル化の中で、ケーブルテレビの担うべき部分は何なのかという確認が必要かと思います。メディア環境の変化に対応したケーブルテレビの進むべき事業展開のための制度整備、つまり、ケーブルテレビに特化した形での制度整備が必要だと認識しております。
 3点目でございますが、というような、一方でのやや産業政策的な側面とともに、もう片方で、ケーブルテレビがこれまで果たしてきた社会的機能の担保、発展の方策を検討すべき時期に来ているんだというのが私の認識でございます。
 日本のケーブルテレビの歴史を振り返ってみますと、やはり日本のケーブルテレビは、先ほどの例に挙げましたアメリカなどと比べましても、地域的機能を非常に重要視してきた歴史があるかと思います。これは、旧郵政省の政策を拝見いたしましても、ケーブルテレビの地域性を重視した経緯がございます。その中で日本のケーブルテレビは発展してきたわけでございます。多チャンネル化、多メディア化が進み、なおかつそのサービスの多様化が進んだ中でも、このケーブルテレビの地域的機能を改めて確認することが必要なのではないかというのが、私の認識でございます。
 この研究会の中で、まさに日本のケーブルテレビのトップランナーでございますJ:COMの森泉さんが、今後のケーブルテレビのあり方の中で重視すべき役割は何かということとして、地域的機能をおっしゃっていたのが、私の心の中に非常に印象に残っております。言いかえれば、市場競争の中でもケーブルテレビの地域的機能を改めて制度の中、また、政策の中でも確認する必要があるのではないかと思います。
 そういう認識から、大きく2つに分けて、大規模型のケーブルテレビと公営型(農村型)のケーブルテレビの今後について、幾つか気にすべきポイントを申し上げたいと思います。まずは大規模型のケーブルテレビでございますけれども、「規制緩和による事業再編の促進」は、今後もより続けるべきだと私も認識しております。ただ、そのときに、規制緩和によって、地域の情報インフラとしての公共的役割をどういうふうに維持するのかというバランスを注意する必要があるのは言うまでもございません。
 次に、既存のMSO、電力会社、電話会社などによる大型の再編の可能性も今後ますます高まってくるかと思います。MSOの発展に伴いまして、地域的機能の低下に対する懸念は、しばしばこれまでも語られてきたところでございます。その方策、つまり、規制緩和による事業再編を促進し、より大規模化、つまり規模の経済によるケーブルテレビの発展をこの後も進めるのであれば、そろそろ地域的機能の低下に対する懸念を払拭する方策を用意する必要があるのではないかというのが、私の認識でございます。
 先ほどから20年前ということを申し上げておりますけれども、まさに20年前に私が勉強しておりましたのは、アメリカの1984年ケーブルテレビ法でございます。ご存じのとおり、84年法では、一方でケーブルテレビの大幅の規制緩和をしながら、もう片方で地域的機能の低下に対するある種の方策がとられたわけでございます。具体的には、パブリックアクセス・チャンネルとか、パブリックチャンネルの整備、義務化が84年法では定められました。日本におきましては、パブリックアクセスに関しては、この検討会でもご報告いただきました中海テレビさんなどでは、開局当初からパブリックアクセスのサービスをやっておりますけれども、制度上は、現状におきましては、特に規定はございません。
 パブリックアクセスを制度的に定めることがいいことなのかどうなのかは、議論の別れるところなのでございます。正直、私もこの20年の間、日本ではまだ早いのではないかと思った時期が非常に長かったのでございます。より一層の規制緩和による事業再編を目指すのであれば、この公共的なチャンネルの存在に対しての、ある種の制度的な仕組みを作る時期に来ているのではないかというのが、申し上げようと思ったところでございます。
 もう1点は、長距離電話等の参入やBtoBサービスが、ケーブルテレビのインフラを使って拡大することが今後とも予想されますけれども、そのときに起こり得る事業評価の変化の可能性を、検討しておく必要があるのではないかと思います。2000年に、アメリカのAT&Tのアームストロング会長のもと、ケーブルテレビに大きく参入し、当時、結果的にAT&Tの再分割がなされましたけれども、そのときに、特に株価の問題で、ウォール街からAT&Tの事業に対する評価として示されましたのは、エンド・ユーザー・サービスがAT&Tの事業の足を引っ張っているのではないかというものでございました。結論から言うと、エンド・ユーザーのサービスをできるだけ切り離すべきだということを当時の経営者は議論し、決定したという経緯がございます。
 つまり、BtoBサービスがどんどん大きくなっていきますと、そちら側の評価が非常に高まることによって、本来ケーブルテレビが担っておりましたエンド・ユーザー・サービス――エリアの中での住民とのキャッチボールのサービスが、経営論的に言うと、どうも後ろに追いやられる危険性が常につきまとうことのいい事例なのではないかと思います。事業の拡大に関しては、私は非常に積極的にやるべきだと思う立場なんですが、もう片方で、そのサポートをどうするのかを、そろそろ検討すべきなのではないのかというのが趣旨でございます。
 次に、公営ケーブルの今後に関してでございます。これは私の認識でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、大型ケーブルと公営型のケーブルは、その成り立ちから見ても、どうもメディアとして違うのではないのかというのが私の認識でございます。そのことから言いますと、完全な市場競争にはなじまない部分がどうしても内在されていると。公営ケーブルも市場競争の中で努力しなければならないことはもちろんですが、もう片方で、その成り立ちから考えますと、その地域社会から付加された役割が市場競争の中での大型のケーブルとは、随分違うところがあるというのが実態だと言うことができるかと思います。
 現状におきましては、ケーブル事業者間の競争が、以前以上に激しく、厳しくなっている状況の中で、公営ケーブルの中では広域化をして、ある種、規模の論理によって事業の展開を図ろうとしているところがございますが、前回にもご紹介させていただきましたとおり、例えば盛岡のテレビ都南の事例で見られますように、広域化で救えるところと救えないところが生じているのは明らかでございます。問題は、その救えないところをどうするのかということでございます。また、近年の自治体合併により、ケーブルテレビの存続に支障が出てきているところをどうするのかと。やや口幅ったい言い方でございますが、首長さんの思惑の中で、ケーブルテレビの位置づけが、その地域の情報インフラや地域情報政策のなかで、場合によっては一貫性を欠くような事例も多く見受けられるように思います。
 ただ、日本全体が2011年に向けて、地上放送のデジタル化、そして完全ブロードバンド化を目指している中で、情報インフラの整備が後退することが起こるのは、日本全体にとって非常にマイナスになるのではないかと思います。そのあたりのところを、政策的に何らかの対応をしていく時期に来ているのではないかというのが、この3点目でございます。
 4点目は、当然のことですけれども、大規模のケーブルテレビでは、光ファイバー化がどんどん進んでおりますが、公営ケーブルにおきましては、これは非常に大きな問題として今、直面しているところであることは、言うまでもございません。というようなことから考えますと、公営ケーブルに関しましては、大規模のMSO型のケーブルとは違った形での制度的な支援なり政策的な支えの検討を、より一層急いでする必要があるのではないかというのが私の認識でございます。
 このケーブルテレビの検討会から少し話がそれるところなのかもしれませんけれども、先ほど衛星政策との連動ということを申し上げましたけれども、ケーブルテレビ向けの番組供給事業者の今後も、あわせて検討しておく必要があると私は認識しております。現状におきまして、番組供給事業者、衛星で言いますと、委託放送事業者になりますけれども、その競争激化は非常に進んでいるところでございます。私、昨日、最終報告が発表されました衛星の研究会にも参加させていただいていたのですけれども、ご承知のとおり、現状におきます委託放送事業者の中での事業採算は、相当厳しいところもございます。ところが、もう片方で日本の多チャンネル化を担っているのは、まさにこの委託放送事業者、番組供給業者であることも間違いございません。
 とすると、日本の映像コンテンツのパワーをどう強めていくかを考えていくときには、当然のことながら、このケーブルテレビ向けの番組供給事業者の今後を、表裏一体として議論する必要があるのではないかということでございます。もちろんのこと、それは面積が広がれば、1チャンネル当たりの接触量は下がる。それによって、それぞれのコンテンツの制作費が圧縮されるということではなく、もう少しトータルな形での番組流通システムの検討が必要になってくるのではないか。または、そういうものを政策的に進めていく必要があるのではないかというのが私の認識でございます。
 たびたびアメリカの事例を出させていただいて申しわけないのですけれども、1970年代に、シンジケーションマーケットを、ある種、政策的に進めたというアメリカの事例もございますので、その意味におきましては、ある種の多チャンネル政策としてケーブルテレビを見ていくとすると、この番組供給事業のことも、あわせて議論、または検討していく必要があるのではないかと思います。
 加えて、このケーブルテレビにおける広告市場も検討する必要があるかと思います。現状におきましては、インターネットの急進を受けて、総体として、既存の4マス媒体の広告費は厳しい状況になっております。ケーブルテレビの広告に関しましても、相当うまくやっていかないと、成長せずに、逆にあまり伸びないという状況になっていく危険性を常にはらんでいるというのが、私の認識でございます。民民の問題の部分が多いかと思いますが、広告媒体価値向上のためのシステム化、広告展開のための方策をする必要があるかと思います。CABジャパンさんのような形の展開はもちろん、それ以外にもある種のシステム化が、より一層早く検討される必要があるのではないかと思います。
 それから、「プラットフォーム」と書きましたけれども、ケーブルテレビ事業者と番組供給事業者との公正な取引関係がより一層整備されていくべきことは、言うまでもございません。
 片方でやや短期的なタームのことを申し上げましたけれども、もう少し長期的なお話をさせていただきます。2010年以降の発展のためのということで、少し論点を整理させていただきました。検討しなくてはいけないのは、1つは、当然のことですけれども、放送環境が大きく変わっていくであろうと。今の日本のメディア環境の10年後を考えてみましても、放送環境に関しましては、地上放送を中心にしつつ、多メディア、多チャンネル化が進んでいくことは間違いないかと思います。総務省が、条件不利の地域を含めた情報ネットワークの整備とその高度化を積極的に進めていることは、ご存じのとおりでございます。
 そのような中で、じゃあ2010年以降にどんなことが起こっているのかということでございますけれども、私が非常に気にしておりますのは、1つは、IPTVの問題。もう1つは、この後、無線ブロードバンドが普及、伸長していくことは間違いないのではないかと思います。例えば、アメリカのグーグルが、その本社のありますマウンテンビュー市で、無線ブロードバンドのサービスを始められたのは、ご承知のとおりでございます。グーグルの報道発表などを拝見いたしますと、近々にカリフォルニア州すべてでこういう形でやっていきたいと。言うなれば、三次元型の無線ケーブルテレビみたいなものがこの後広がっていくというのが、この10年の後に起こっていくのではないかと思います。当然のことながら、日本でも同様のことは起こり得るであろうと言うことができると思います。
 では、そのときにケーブルテレビは、メディアとしてどういう位置づけになるのかを検討する必要があるのではないかと。そのときに、じゃあ、ケーブルテレビの寄って立つところは何かというと、地域メディアとしてのエリアの利用者とのある種のコラボレートしていくことが、寄って立つ部分なのかなと思います。現状におきましても、エリアの利用者のケーブルテレビに対する期待度は高いと私は認識しておりますし、加えて、これは社会心理学的なメディア調査の研究の一つの知見でございますけれども、この半世紀をロングレンジで見てみましても、メディア利用者の能動性は明らかに高まっていると言うことができるかと思います。それに対応した形でのメディアシステムの準備が必要なのではないか。その中で、ケーブルテレビを位置づける必要があるのではないかと思います。
 ということで、最後に、若干長期レンジにての問題提起をさせていただいて、終わりにさせていただこうと思います。ケーブルテレビの社会的機能をもう一度見直し、確保することが必要なのではないか。繰り返しになりますけれども、地域を起点にした多様なメディアサービスの提供を積極的に進めるべきでしょうし、それをもとにした政策を提言していくべきなのではないのかというのが私の認識でございます。それから、もちろんのこと、それには先ほどご紹介させていただいたようなパブリックチャンネルのようなものを確保していくことを、制度的にそろそろやるべき時期に来ているのではないかと思います。
 3点目でございます。地域情報インフラとして、実用性というところがポイントだと思うんですけれども、実用性のある多様なサービスの提供、または活用策の提示を研究し、示していく必要があるのではないかと思います。
 4点目は、制度的というよりは、ひょっとすると研究者の仕事なのかもしれませんけれども、ある部分、地域貢献度の指標化がなされる必要があるのではないかと思います。つまり、事業規模に応じた地域貢献の目標設定を検討することも必要なのではないかというのが、私が考えているところでございます。ご存じのとおり、諸外国を見ておりますと、今の放送の多様性に関して指標化し、それを政策に戻していくという政策科学の成果を活用しているところも幾つかございます。その意味で言いますと、地域貢献がそれぞれのケーブルでどれぐらいなされているのかを、ある種、数量化していくと。場合によってはそのことを一つの目標数値として設定を求めたりとか、ある種の提言、または要請をしてはどうかというのが最後の提案でございます。
 以上でございます。
【多賀谷座長】  それでは、ただいまのご発表につきまして、ご意見、ご質問等ございましたら、自由にご発言願います。
【山下構成員】  音構成員の説明は、私もそのとおりだなと思うことと、ああ、こういう視点もあるかと、お聞きして感心しているところなんですが、三極の話がございますね。それと、後ろのほうに、IPTVとか無線ブロードバンドとの競争の話があるんですが、結局、ケーブルを3種類に分けるとして、IPTVとの競争相手をどこら辺に今、設定しておられるのかと。それとも、すべてのケーブルが競争すると考えるのかということが1つ。もう一つは、地域という言葉が括弧つきでたくさん出てきて、どういうふうに意識しておられるのかと思うんですけれども、いわゆる放送の地域性というときの地域と、ケーブルが与えられている地域がございますけれども、そういった意味の地理的な地域が同じ意味で語られるのか、それともまた、ケーブルには別の地域なりの使命があるのかということを教えていただきたいと思います。
【音構成員】  前者に関しましては、私はMSO型といいましょうか、大規模型、地方都市型、公営型のケーブルに関しましても、どこにもその波は来ると認識しております。つまり、IPTVとかブロードバンドが、それぞれのケーブルテレビの事情を全然気にせずに立ち向かってくるという状況、またはその中で連携なりをしていく状況が起こってくるんだろうと思っています。場合によっては、それらの事業者と一緒にビジネスをやるという状況も出てくるであろうと。そのことを私は別に悪いとは思っておりませんでして、そうすることによって、利用者がより豊かなサービスを手に入れることができるのであれば、それはそれでいいのではないかというのが認識でございます。
 ただ、問題になりますのは、少なくともこれまでの日本のケーブルテレビが担ってきた社会的役割がそれによって損なわれていく、または、ケーブルテレビに対する期待をそれで失ってしまうことに対する危惧でございます。つまり、自由競争の中で、どんどんケーブル事業が大きくなって発展していくことに対しては、私は大賛成でございますけれども、もう片方で、先ほど、一番わかりやすいので「地域」という言い方をしましたけれども、それぞれケーブルテレビが当初、日本の中で成立したとき、先ほどの三極で言うと、地方都市型に近いところから大きくなっていったという経緯があるわけですけれども、そこで担っていたものが大きくなることによって薄れていく、消えていくことはまずいであろうとすれば、それを担保しながら大きくなっていってくれよという仕掛けを制度的につけるべきなんだというのが、私の認識でございます。
【石橋構成員】  2点ご質問なんですが、一つは、規制緩和による事業再編の促進ということが記載されているんですけれども、これは具体的にはどういう規制があって、それをどういうふうに緩和して再編を促進するという、何かイメージ、例示みたいなものがあれば、教えていただきたい。
 もう一つは、政策を使っても産業規模はもう少し大きくすべしであるということで、私どもは、関係者としても、全くそういうふうに思っているんですが、例えば、放送業界との関連とか通信業界との関連、あるいは日本の産業としてという中で、最低限、例えば2015年でどれぐらいの規模にならないとだめなのか。
 いろいろな考え方があると思うんですけれども、例えば、売上高で業界としてどれぐらいの規模が必要だという具体的なものが、もしおありであれば教えていただきたい。
【音構成員】  後者に関しまして、目標数値設定の明示は、微妙な問題をたくさん含んでいるだろうなと思います。私のほうから申し上げることではないのではないかと思います。
 ただ、少なくとも、メディア発展史という視点で申し上げると、アメリカのケーブルテレビの80年代の伸びと日本のケーブルテレビの伸び、つまりそのカーブをずらしてかぶせてみると、日本のほうがどうもスピードが遅いことは明らかかと思います。日本にそれだけの市場がないのかというと、そんなこともなさそうである。一部のケーブルテレビ事業者が相当ビジネスとして成功しているところもありますので、まだまだ可能性を含んでいる市場なのではないかと思います。
 前者は、そのことと絡めてですけれども、この1年、2年の間で、「通信・放送の融合」という言葉が世間的にも非常によく知られるようになったかと思うんですが、日本の中で、それぞれのメディアが個別独立したものという認識が、非常に強かったのではないかと思います。今日のこの後の資料を拝見させていただきますと、そのあたりのところを細かく書いてございますけれども、それぞれのメディア事業がもう片方のメディア事業に展開するに当たって、まだまだハードルはあるのは明らかかと思います。
【多賀谷座長】  音さんは、BtoBサービスがあったとしても、エンド・ユーザー・サービスの尊重を担保しなければいけないとおっしゃっているんですが、その場合のケーブルテレビ産業が果たすべきエンド・ユーザー・サービスは、動画像の提供を意味するのか、それとも例えば、トリプルプレー等の場合における、要するに、アクセス網の提供という面と、どっちを指しているかをお伺いしたいんですけれども。
【音構成員】  エンド・ユーザー・サービスをもともと行っている――動画像の提供、電気通信サービスをやって、その回線を使ってそこからBtoBサービスを提供していったときに、後者のほうのビジネス効率が非常に高くなっていく中で、前者のサービスの中身が容易に低下させられるような状況が危惧されることを申し上げております。つまり、それは何らかの形で残していかなくてはいけない。別にそれは別会社になって構わないと思うんですけれども、別会社になった場合には、エンド・ユーザー・サービスを持ったほうのところが、それまでのサービスは維持できるような仕掛けをする必要があるであろうと。そうしないと、それらのサービスがある種、空中分解してしまう、または利用者にとって負荷が高まっていくような状況が生まれると。
【多賀谷座長】  エンド・ユーザー・サービスは、その場合には、番組供給を行う事業者が、場合によってはケーブル網とは離れる可能性がある。離れてもそのユーザーは、そのサービス事業者とは必ず何らかの関係を保って、ミニマムをそこに置いて、一定水準のレベルのサービスが提供されるように義務づけるということですか。
【音構成員】  はい。
【多賀谷座長】  それでは、次の議題に入ります。ケーブルテレビをめぐる諸課題につきまして、前回の会合で議論いただいたところですけれども、それらに対する方策として、資料2にあるとおり、事務局でたたき台の資料を作成いたしました。また、諸課題に関連いたしますケーブルテレビの法制度面における現状と課題についても、資料7−3にあるとおり、事務局で取りまとめました。
 それでは、この2つについて事務局から一括して説明していただき、その後、議論に入りたいと思います。
【井上地域放送課課長補佐】  資料7−2をごらんください。
 座長からございましたように、前回の第6回で議論しました、2010年代初頭までの諸課題(明朝体部分)のところにつきまして、事務局で、それに対する諸方策(案)の方向性(ゴシック体部分)を作成させていただきました。本日は、本案をたたき台といたしまして、ご議論をいただきたいと思います。
 また、今後の研究会における2010年台の半ば、2015年度のケーブルテレビの姿のご議論を踏まえまして、本件につきまして具体化、ブラッシュアップを図れればと考えております。なお、座長からございました、資料7−3につきましては、資料7にある課題の制度に関するものであるため、あわせて説明させていただきたいと思います。
 まず、資料7−2でございますが、順番にご説明いたします。「1 全般」ということで、2010年代におけるケーブルテレビのあるべき姿・役割の検討ということでございます。課題といたしまして、2010年代(2015年)において、デジタル化したケーブルテレビがどのようなサービスを提供し、ビジネスモデルを構築できるか、どのような役割を果たすのか明確化すべき。方策といたしましては、この研究会におきまして、2015年ごろにおけるケーブルテレビのあるべき姿・役割について、今後、議論を行うことが適当ではないかと思っております。
 「2 映像配信サービス関連」でございますが、最初の課題といたしまして、「地上デジタル放送の再送信への対応」でございます。1つ目の課題として、ケーブルテレビの地上デジタル放送対応を着実に推進すべき。対応の方向性といたしましては、ケーブルテレビ事業者は、地上デジタル放送が開始される時期を踏まえまして、地上デジタル放送対応のための施設整備等を着実に行う。また、国は、「ケーブルテレビによる地上デジタル放送対応ロードマップ」を定期的に更新するとともに、対応時期が決まっていないケーブルテレビ事業者に対して早期の対応を促すことが適当ではないかと。
 2つ目。地上デジタル放送を受信できない条件不利地域等において、ケーブルテレビが貢献できるような方策を検討すべき。方策といたしましては、地上デジタルにつきましては、基本的には、デジタル親局及び中継局の全国整備は、放送事業者の責務であるという方針のもと整備が行われておりますが、ケーブルテレビ事業者も、引き続きデジタル化に対応した施設の整備を行うとともに、地上放送事業者と連携しながら必要な方策を検討する。また、国は、条件不利地域等におけるインフラ機能整備に関する財政・金融・税制上の支援を行うことが適当ではないかと。
 3つ目。少数チャンネル地域におけるケーブルテレビの果たすべき役割について検討すべき。少数チャンネル地域等におきましては、ケーブルテレビはこれまで地上放送の区域外再送信を行うことにより、地域住民の要望にこたえてきております。今後も引き続き住民のニーズを踏まえたサービスを提供することが期待されておりまして、ケーブルテレビ事業者は、地上放送事業者と再送信同意について協議するとともに、国は必要に応じ、ケーブルテレビ事業者と放送事業者の間の協議を促進する。
 課題の(2)は、放送新サービスの再送信への対応でございます。1つ目の課題といたしましては、「放送新サービスを提供する他事業者との協力関係の構築を前提として、新サービスの提供を進めるべき」。CSデジタルハイジビョン等の放送新サービスのケーブルテレビにおける伝送につきましては、現在、情報通信審議会で検討を行っておりまして、検討が終了次第、ケーブルテレビ事業者は、ラボや技協等におきまして、連携協力して、民間の標準化を進める。また、サーバ型放送につきましても、ケーブルテレビ事業者は、連携協力して、サービスの仕様が固まり次第提供できるよう準備を進めることが適当ではないかと。
 次の課題といたしましては、「アナログ放送停波後の空き帯域の有効利用の観点から多チャンネル化を推進すべき」と。方策といたしましては、アナログ放送停波後、ケーブル内のアナログ放送で使用していた帯域が空き帯域となることから、その有効活用を図るため、ケーブルテレビ事業者が連携いたしまして、これもラボや技協等でケーブルテレビ事業の多様化等の検討を行うことが適当ではないかと。
 続きまして、(3)の課題でございますが、ケーブルテレビのコミュニティチャンネルの充実でございます。コミチャンについては、データ放送の導入等を通じて、その強化を図るべきではないかと。対応の方向性といたしましては、コミチャンについては、地域のニーズを踏まえたデータ放送の導入と、その強化を図るよう努める。国はコミチャンの充実について、地域再生とか、再チャレンジ支援に資する取り組みを支援するような方策を検討することが適当ではないかと。また、コミチャンにつきましては、地域の世相、風俗等を反映した歴史的記録となる制作番組でございまして、ケーブルテレビ事業者はアーカイブ情報の提供等による共有化の推進を図ることなどによりまして、コミチャンのさらなる充実を図ることが適当ではないかと。
 次の課題といたしましては、「パブリックアクセスチャンネルの普及など、地域密着型情報のさらなる充実策を検討すべき」と。音先生のプレゼンにもございましたように、コミチャンの一部のコンテンツ充実策の一つとしては、米国等で行われているパブリックアクセスチャンネルがあると。我が国において、放送番組の編集責任は、あくまでもまだケーブルテレビ事業者にあるため、その点で米国とは事情が異なっていると。そのため、まずはパブリックアクセスチャンネルが進展しております米国等のケーブルテレビ事業者における実態、制度の運用状況等について調査を行って、その調査の結果を踏まえて検討を行うことが適当ではないかと。
 続きまして、ケーブルテレビの自主放送に関しましては、昨今のケーブルテレビの普及や位置づけの変化に対応して、放送としての公共的な役割がさらに十分果たせるよう、業界としての取り組みを進めていくべきではないかと。既に、有線テレビジョン放送の番組規律につきましては、有テレ法におきまして、公共的な役割を考慮した枠組みが規定されているところではございますが、特に第三セクターや地方公共団体直営のケーブルテレビ事業者は、連携協力して、公共的な役割をさらに発揮できるよう、必要な取り組みを検討することが適当ではないかなと。
 続きましては、「IPマルチキャスト放送と従来型ケーブルテレビとのイコールフッティングの確保」。IPマルチキャスト放送につきましては、従来型のケーブルテレビと同様、著作権法上、有線放送として扱われるよう整理しておく。文化審議会著作権分科会におきましても、地上放送のIPマルチキャスト放送による再送信部分については、有線放送と同様の取り扱いをするよう報告書が出されておりまして、著作権法が改正される予定でございます。
 また、IPマルチキャスト放送の自主放送につきましては、同報告書において引き続き検討を行った上で結論を得るとされておりまして、関係省庁間の連携のもと、速やかな検討を行い、必要な措置を講ずることが適当ではないかと。
 次の課題につきましては、IP映像サービスの標準化作業が行われる際に、ケーブルテレビ業界としても積極的に参加し、HFCにおけるIP映像サービスの提供、STB機能の他メディアとの共用などを図るべき。対応の方向性といたしましては、IP映像サービスに対応するため、既存のHFCの高度化として伝送に関する技術によるネットワークの構築等の検討を行いまして、また、多様なアプリケーションに対して迅速に対応、または適応する環境を整えるため、次世代STBの形態を見据えながら、多くのケーブルテレビ事業者で使用可能な共通プラットフォームの仕様化及び実用化等に関する検討を行いまして、この検討結果をIP映像サービスの標準化が行われる際に、業界として積極的に提言することが適当ではないか。
 続きまして、大きな課題といたしましては、「インターネット等のサービス関連」ということでございます。中程度の課題といたしまして、ケーブルテレビのインターネットサービスのさらなる高速化。細かい課題に移りますが、ケーブルテレビのインターネットサービスの高速化に向け、HFCの高速化技術の実用化やNGNの活用等、合理的なネットワーク構築手法の検討を行うべき。ケーブルテレビ事業者は、ラボや技協等で連携協力して、ケーブルテレビのインターネットサービスの高度化に向け、HFCにおいては小セル化、新技術の検討を行って、その他NGN等々のネットワークを組み合わせた、構築に関する検討を行うと。また、国は、国際競争力の確保、イノベーションの促進の観点から必要な方策を検討することが適当ではないか。
 次の課題は、「設備の高度化に関する目標・ロードマップの設定や、高度化のためのさらなる政策支援を検討すべき」。対応の方向性といたしましては、国は、次世代ブロードバンド戦略2010のとおり、2010年度までにブロードバンド・ゼロ地域の解消、超高速ブロードバンドの目標達成に向け、引き続き、財政・金融・税制上の財政的支援を行うことが適当ではないかと。
 中レベルの課題としまして、「プライマリーIP電話サービスの提供促進」。プライマリーIP電話サービスの提供が他業界との競争上不可欠であり、中小事業者にも配慮した、ケーブルテレビ業界としての取り組みを推進すべき。対応の方向性といたしましては、ケーブルテレビ事業者――現在でも多様なサービスを提供しているところでございますが、例えば、プライマリーIP電話サービス等、住民ニーズにこたえるサービスを提供できるよう、経営戦略等を踏まえて主体的に検討することが適当ではないかと。
 中程度の課題といたしまして、STBの共通プラットフォーム化。ホームネットワークの中核設備としてのSTBの高度化や、柔軟なサービス提供を図るための次世代STBの技術の共通プラットフォーム化を推進すべき。課題の対応の方向性といたしまして、ケーブルテレビ事業者は、ラボ等で連携協力して、STBがホームネットワークの中核設備となり、多様な周辺機器設備が可能となるよう、次世代STBの仕様化、実用化等に関する研究開発を行う。また、国は、国際競争力、イノベーションの観点から必要な方策を検討することが適当ではないかと。
 続いての課題は、宅内ネットワークとケーブルテレビを組み合わせた効果的なシステム開発やサービス提供を実現する。対応といたしましては、ケーブルテレビ事業者は、連携協力して、STBと宅内ネットワークを組み合わせ、多様なサービスが提供可能となるよう、効果的なシステム等に関する検討を行う。国は、国際競争力等の観点から必要な方策を検討することが適当ではないかと。
 次の課題も、STBや業界共用CASの導入を図るべき。対応の方向性といたしまして、ケーブルテレビ事業者は、ゲームソフト、オーナーショップ等の事業者ごとに異なるサービスの提供が可能となるような共通プラットフォーム、共通APIについて、仕様化、実用化開発の検討を行うことが適当ではないかと。また今後、一定のハード上ですべてのソフトで実現するSTB等の検討を行うと。また、国は、必要な方策を検討することが適当ではないかと。
 続きまして、地域情報化サービスの地域に役立つサービスでございます。電子自治体の推進等、ケーブルテレビの公共利用の推進を図るべきと。ケーブルテレビは、地域密着性が高く、もう既に一部の事業者でもそのような取り組みがなされておりますが、特に第三セクターや地方公共団体直営のケーブルテレビ事業者については、公共利用の推進について一層検討すべきと。また、国は、地域再生、再チャレンジ支援という観点から支援する方策を検討するとともに、ケーブルテレビ施設の整備に対して、引き続き財政上の支援を行うことが適当ではないかと。
 コミュニティFMとケーブルテレビとの連携につきましては、今、有線テレビジョン放送法審査基準等々におきまして、一定の制限がございます。国は、具体的なニーズがあるか等を調査した上で、必要があれば、両審査基準を見直すことも含め、検討することが適当ではないかと。
 続きましては、企業や自治体のBtoBサービスの導入でございますが、これにつきましては、対応の方向性といたしまして、法人向けのサービスにつきましては、ケーブルテレビ事業者が自身の経営戦略等を踏まえ、主体的に検討することが適当ではないかと。
 「4 横断的課題」でございますが、まず、技術面の課題について申し上げます。ア)は再掲でございまして、イ)のFTTHによるケーブルテレビの国際標準化でございますが、FTTHにつきましては、日本が国際的にも先行しているということで、国際標準化を通じて国際展開を図るべきと。FTTHベースのケーブルテレビは、世界的にも日本が最も進んでいると。ケーブルテレビ事業者は、我が国において積極的に研究活動を行い、国産技術の世界展開を図ることが適当である。
 ウ)ケーブルテレビにおける無線システムの有効利用。移動体通信との融合サービスの実現や、ギャップフィラー、WiMAXなどの無線システムの活用を検討すべきと。ケーブルテレビ事業者は、無線技術の利用の可能性につきまして、引き続き検討を行うことが適当ではないか。
 エ)ケーブルテレビの設備の製造を行う国内メーカの技術力の維持。研究開発の抜本的評価を図るべきとの課題につきましては、先ほど触れていましたように、FTTHサービス、ケーブルサービスの関連の特許をはじめ、研究開発の強化を図って、国際競争力を高める検討が必要ではないかと。
 それから、国内メーカーの技術力を維持するため、収益の確保策を検討すべきと。これにつきましては、ケーブルテレビ事業において、新たな市場、収益を確保するため、海外市場へのサービスを見据えた事業展開を検討することが適当ではないかと。
 続きまして、制度面の課題でございます。ア)ケーブルテレビ事業者がより弾力的事業展開を行えるような環境の整備。課題といたしましては、事業者が弾力的に事業展開を図れるよう環境整備を検討すべき。対応の方向性といたしましては、ケーブルテレビ事業者は、多方面で競争が激化していて、より弾力的な事業展開を可能にするような環境整備について、国は、事業者のニーズを踏まえた上で、必要に応じて検討を行うことが適当ではないかと。
 イ)有テレ法と役務法の規定内容の整合。これらの法の規定内容の整合性について検討すべき。方向性といたしましては、これらの法の規定内容の整合性につきまして、情報通信審議会等の審議状況を踏まえまして、引き続き検討していくことが適当ではないかと。
 ウ)VOD等の映像伝送サービスのコンテンツ規律のあり方につきましては、放送と同様の社会的影響力を持つVODを持つものがあらわれるということから、視聴者保護の観点から規律を設けることの必要性の有無について検討すべきと。いわゆるVODサービスにつきましては、放送に近い社会的影響力を持ったサービスが実用化されると予想されるところ、諸外国の状況及び視聴者保護の観点を踏まえた上で、議論を行うことが適当ではないかと。
 振興面の課題につきましては、ア)映像配信市場における公正な競争環境の確保。NTTNGNのインターフェース条件の検討にケーブルテレビ業界として関与するなどいたしまして、映像発信市場における公正な競争環境の確保に努めるべき。対応の方向性といたしましては、ケーブルテレビ事業者は、NGNに関して、電気通信事業者のネットワークにおけるインターフェース条件の検討に関与すべく、積極的な対応を行うとともに、必要に応じてインターフェース条件のさらなる開示の要請等を行うことが適当ではないか。
 次に、イ)情報格差の是正・条件不利地域への普及につきましては、地デジ放送の難視聴地域解消、ブロードバンド環境の提供手段として、条件不利地域への普及策を推進すべきと。対応の方向性といたしましては、ケーブルテレビは再送信のみならず、ブロードバンド環境の提供も可能なメディアであり、情報格差是正の手段として普及が望まれているものであり、国はこれらサービスが提供されていない条件不利地域へのケーブルテレビ事業者による施設の整備に対し、引き続き財政・金融・税制上の支援を行うことが適当ではないか。
 また、ケーブルテレビ事業者は、再送信を行うことにより、難視聴地域解消のための一定の役割を果たしてきたところでありまして、地上放送事業者と再送信同意について協議するとともに、国は必要に応じ、ケーブルテレビ事業者と放送事業者の間の協議を促進すると。
 次の課題といたしましては、メディアリテラシー向上の観点から、ケーブルテレビにおけるパブリックアクセスチャンネルを普及することを検討すべき。対応の方向性といたしましては、地域住民が番組制作にかかわることは、住民のメディアリテラシー向上のためにも有益であると考えられると。先ほど触れましたように、まずは米国等のケーブルテレビ事業者における実態、制度の運用状況の調査を行い、その調査を踏まえた検討を行うことが適当ではないかと。
 (4)その他。ア)事業規模の拡大・アライアンスの推進。1つ目の課題といたしましては、ヘッドエンド共用にとどまらない事業者間連携の推進について検討すべきと。対応の方向性といたしましては、既に一部の事業者においてはコンテンツの共同購入とか、事業者間でのネットワークを接続してコミチャンを相互交換する等の取り組みが行われていると。ケーブルテレビ事業者は、(2)の先進事例等を参考にしつつ、主体的にこれらの取り組みについて検討するべきではないかと。また、国は、ケーブルテレビ事業者のMSO化、市町村合併等による新市町に複数のケーブルテレビ事業者が存在している状況にかんがみまして、その事業者間の合併等も円滑化に資する必要な環境整備について、先ほど触れた、弾力的な事業展開との検討とあわせて、こちらも検討することが適当ではないかと。
 さらにあわせまして、ケーブルテレビ事業が廃止される事例が生じている状況を踏まえまして、国は、視聴者、利用者保護の観点から、必要な方策について検討することが適当ではないかと。
 次の課題は、他事業者とのアライアンスによるMVNOFMCサービスの提供等、他業界との連携強化などを検討すべきと。対応の方向性といたしましては、一部の事業者でこういったFMCサービスの提供が行われておりますが、このほかにも現在、いろいろ検討されております。他事業者とのアライアンスにより、新サービスの速やかな提供、コストの低減等々につながるものと考えられ、事業者は自社の経営戦略等を踏まえ、検討することが適当ではないかと。あわせまして国も、国際競争力等の観点から、必要な方策を検討することが適当ではないかと。
 それから、イ)違法チューナー問題への対策推進。違法チューナー問題につきましては関係業界、団体による対策を引き続き講じていくべき。対応の方向性といたしましては、不正視聴を目的とした違法チューナー問題については、ケーブルテレビ事業者、メーカー等、関係者が連携して対策を推進することが適当ではないかと。
 ウ)個人情報保護のための取組みの強化につきましては、ケーブルテレビにおきましても、個人情報漏えいの事案が発生していることをかんがみまして、この取り組みを強化していくべき。方向性といたしましては、個人情報保護法、「放送受信者等の個人情報の保護に関する指針」に基づきまして、個人情報の保護に関してケーブルテレビ事業者に対して、より適切な取り組みを国から要請するとともに、ケーブルテレビ事業者は、改めて個人情報の重要性を確認することが適当ではないか。
 最後でございますが、エ)ケーブルテレビ関連データ収集の充実化でございます。ケーブルテレビについては、政策立案や事業戦略立案に資するデータが不足しているため、その充実を図るべきと。対応の方向性といたしましては、事業者側でも事業戦略立案に資するデータが不足しているため、業界等で連携、協力して、データベースの充実を図ると。あわせまして、国も政策立案に当たって必要なデータ項目について、改めて精査することが適当ではないかということでございます。
 引き続きまして、資料7−3の「ケーブルテレビの法制度面における現状と課題(案)」について説明させていただきたいと思います。1ページが概要で、その後が、「ケーブルテレビに関する法律一覧」でございます。業務側の規律と施設側の規律が書かれておりまして、有線テレビジョン放送法につきましては、業務側の規律、施設側の規律、両方規律するものであります。一方、電気通信役務利用放送法につきましては、原則として、業務側の規律に関するものということでございます。
 次は、「有線テレビジョン放送法の概要」でございます。法の概要につきましては、有線テレビジョン放送の施設の設置及び業務の運営を適正なものとし、受信者の保護、有線テレビジョン放送の健全な発達を図ることなどを目的といたしまして、昭和47年に制定、昭和48年1月から施行されたものでございます。
 一定規模を超える有線テレビジョン放送施設を設置して、有線テレビジョン放送を行おうとする場合、施設の設置について、総務大臣の許可を必要といたしておりまして、設備側について規律するとともに、有線テレビジョン放送業務を行おうとする場合には、総務大臣への届出を必要として、別途、業務側についても規律することとしております。具体的な記述等につきましては、下に掲げてあるとおりでございます。
 次に、「電気通信役務利用放送法の概要」でございます。法の概要といたしましては、通信と放送の伝送路の融合の進展に対応し、ケーブルテレビ等の設備利用の規制緩和を行うことを目的といたしまして、平成13年6月に制定、平成14年1月から施行されたものでございます。これによりまして、ケーブルテレビにつきましては、従来の有線テレビジョン放送法では、許可に基づきソフトを提供する者がハードをみずから設置して放送を行うものが原則でございましたが、本法の適用によりまして、登録に基づき、ハードの全部、または一部を、みずから設置することなく、電気通信事業者の設備を利用して放送を行うことが可能となったものでございます。
 次に、現在の電気通信役務利用放送事業者の登録状況でございます。平成14年1月から施行されておりまして、1712月末現在で、16事業者が有線役務利用放送を行う事業者として登録されております。そのうち4事業者につきましては、IPマルチキャスト方式を用いたサービスとなっております。
 次に、最近の制度改正を掲げさせていただいております。有線テレビジョン放送事業の地元事業者要件の廃止、サービス区域制限の緩和、外資規制の緩和等々をこれまでに遂行しております。
 引き続きまして、「個別の論点」に入らせていただきます。有線の規律ということで、最初に、「有線テレビジョン放送法と電気通信役務利用放送法の業務規律における規定の比較」がございます。有線テレビジョン放送法の有線テレビジョン放送施設者、施設を設置する者が参入する場合には「許可」となっております。これは、ケーブルテレビが地域独占性を有する施設を設置するというものでありますから、許可制をとっております。一方で、電気通信役務利用放送法については、参入について、「登録」になっております。ご案内のとおり、こちらは施設を設置するものではございませんが、その一方、放送を提供することになりますので、放送を行う者としての適格性を図るため、登録という手続をとっております。
 最後でございますが、「業務区域に係る基準」でございますが、有線テレビジョン放送施設者につきましては、原則として行政区域全域になっております一方、役務利用放送法につきましては、特段の規定がないところでございます。2つ目の「義務再送信」、「再送信同意に係る裁定制度」につきましては、有線テレビジョン放送法にございますが、役務利用放送法にはないのが現状でございます。
 次に、「再送信制度」の現状でございます。再送信同意制度、裁定制度、義務再送信制度がございます。再送信同意制度といたしましては、有線テレビジョン放送事業者は、放送事業者等の同意を得なければ、その放送を受信し、再送信することができない。これは役務利用放送事業者も同様でございます。
 裁定制度につきましては、有線テレビジョン放送事業者は、再送信の同意につき、協議が調わなかった場合、総務大臣の裁定を求めることができるとなっております。
 義務再送信制度につきましては、テレビジョン放送の受信障害が相当範囲にわたる地域で、有線テレビジョン放送を行う有線テレビジョン放送施設者に対し、当該放送の再送信を義務づけるというものでございます。義務再送信制度につきましては、過去において一度も発動されておりません。
 それから、裁定制度、義務再送信制度につきましては、有線テレビジョン放送法には規定されておりますが、電気通信役務利用放送法には規定が存在していないものでございます。
 次に、「番組規律の異同」でございます。有線テレビジョン放送事業者と電気通信役務利用放送事業者の番組規律の差異でございます。大きく申し上げまして、上の囲みにありますように、有線テレビジョン放送法、電気通信役務利用放送法は、番組規律について、放送法の規定を準用しておりますが、有線テレビジョン放送につきましては、自主番組が少なかったことから、例えば、第5条の放送番組の保存等、一部準用に違いが見られるところとなっております。
 続きまして、有線テレビジョン放送法の「マスメディア集中排除原則」についてご説明させていただきます。制度の現状といたしましては、有線テレビジョン放送事業者は、審査基準におきまして、一般放送事業者、その関係者(支配される者)、地方公共団体及びその関係者が申請者の場合には、ほかに施設を設置しようとする者がいないこと、当該地域の住民から有線テレビジョン放送施設の設置について強い要望がある場合などの事情があるときに限り、認められることとなっております。
 これらの趣旨の規定につきましては、「放送することができる機会をできるだけ多くの者に対し確保する必要がある」こと。それから、「その言論報道機関としての自主性・中立性を確保する必要がある」というような事情でございます。
 留意点といたしまして、制度の趣旨については、現在においても依然として妥当性があるものと考えられます。他方、現実には、平成18年6月時点で141の地方公共団体が施設者となっており、一般放送事業者みずからが施設者となった例はございませんが、一般放送事業者、地方公共団体が出資している会社も多く施設者となっているところでございます。
 次に、電気通信役務利用放送法のマスメディア集中排除原則でございます。有線役務利用放送事業につきましては、その所有規制としまして、地上放送事業者及びその関係者は有線役務利用放送を実施できないことと規定されております。具体的には、地上放送事業者はみずからの放送対象地域内において、有線役務利用放送を実施できない。地上放送事業者を支配している者は、その地上放送事業者の放送対象地域内での有線役務利用放送を実施できない。地上放送事業者または地上放送事業者を支配している者から支配されている者、兄弟会社は、その地上放送事業者の放送対象地域内での有線役務利用放送を実施できない。
 制度の趣旨につきましては、マスメディア集中排除原則で、基本的には、多数の放送事業者による自由な言論報道市場の形成伸張を制度的に確保するため規定されているということでございます。
 留意点といたしましては、規制改革・民間開放推進会議においても、この点については議論されることとなっております。
 続きましては、マスメディア集中排除原則で、ケーブルテレビとコミュニティFMとの連携でございます。有線テレビジョン放送法関係審査基準におきまして、一般放送事業者による有線テレビジョン放送施設の設置が制限されているため、コミュニティFMを業として行っている者は、原則として有線テレビジョン放送施設者になることができない。他方で、電波法審査基準におきましても、同様の規定によりまして、有線テレビジョン放送事業者によるコミュニティFM局の兼営が制限されているところでございます。
 留意点といたしまして、放送することができる機会をできるだけ多くの者に対し確保するという観点から、現在の審査基準には意味があると考えられますが、その一方、コミュニティFMは、市町村単位を放送エリアとするFM放送でございまして、一般放送事業者の中でもより地域に密着した番組を放送していることが特徴でございます。そのため、有線テレビジョン放送とコミュニティFMの兼営が一般的に可能になることによりまして、地域情報発信の担い手としての地位が強化されたり、経営基盤が強化されるという効果が期待されるとともに、コミュニティチャンネル等の地域の特性を生かした地域情報発信の活性化に資すると考えられるということでございます。
 次に、「業務区域に係る基準」でございます。制度の現状でございますが、有線テレビジョン放送施設を設置しようとする場合の施設区域につきましては、審査基準におきまして、受信障害解消のための施設を除き、市町村全域をカバーすることを原則としておりまして、全域が無理な場合は、人口集中地区の大半のカバー、施設区域とできない区域の扱いについての将来計画が求められております。
 制度の趣旨につきましては、施設区域に関する基準は、都市型ケーブルテレビが出現した当初、一部の地域のみの事業展開を許容した場合、ケーブルテレビ全体の普及が市区町村の中心部のみに限られる可能性があるということから設定されたものととらえられます。
 留意点といたしましては、同様のケーブルテレビサービスを提供している電気通信役務利用放送事業者につきましては、先ほど申し上げましたとおり、施設区域の制限がないということでございます。具体的な「生じ得る例」といたしましては、ケース1のように、有線テレビジョン放送施設が設置されているA市と施設がないB町、C村が市町村合併を行いD市となった結果、旧A市に施設を設置していた有線テレビジョン放送施設設置者は、審査基準上、D市のうち旧B町、旧C村の地域にも施設を設置せざるを得ない状況といったケースでの問題が生じることとなっております。
 続きまして、VOD等の映像サービスの規律のあり方でございます。制度の現状といたしましては、インターネットの通信規約の一種であるIPマルチキャストを用いて、公衆によって直接受信されることを目的として、一斉に番組を配信するサービスにつきましては、「放送」といたしまして、電気通信役務利用放送法の適用を受けております。
 一方、同じように、インターネットプロトコルを用いる場合でも、公衆によって直接受信されることを目的にせずに、いわゆるVODなどのように、受信者の求めに応じてその都度受信者に番組を放送している者は、「放送」ではなく通信サービスということで、放送法制上の規律を受けるものではないということでございます。
 留意点といたしましては、今後、リニア型、ライブ型のVODサービスなどにより、より「放送」に近い社会的影響力を持ったサービスが実用化されるのは予想されるところである。このような映像配信サービスの規律のあり方につきましては、各国によりさまざまでございまして、各国の政策動向等を注視して検討を行う必要があるということでございます。
 次のページに、参考までに諸外国の状況を掲げております。
 (3)その他の論点といたしまして、IPマルチキャスト放送の著作権上の取り扱いについて掲げております。現在は、IPマルチキャスト方式につきましては、「自動公衆送信」と記述されておりますが、文化審議会著作権分科会におきまして、IPマルチキャスト放送による地上デジタル放送の同時再送信につきましては、早急に有線放送と同様の扱いをする旨、提言されているところでございます。
 次に、過去の「通信・放送の在り方に関する懇談会」、「知的財産戦略本部」、「文化庁の検討状況」等の報告でございます。
 次は、「パブリックアクセスチャンネル」でございます。制度の現状といたしましては、有線テレビジョン放送法、電気通信役務利用放送法では、公共的なチャンネル提供の義務規定はないところでございます。住民に主体的に番組制作に関与させている事業者は存在しておりますが、その放送番組の編集責任は、制度上、あくまでもケーブルテレビ事業者側にございます。一方、米国におきましては、チャンネル容量の一部をパブリックアクセス用に割り当てた場合、こうしたチャンネルの編集責任も、ケーブルテレビ事業者側でなく、番組提供事業者側が負う仕組みとなっていると承知しております。
 留意点といたしましては、今後、放送のデジタル化とアナログ放送の終了により、ケーブルテレビの放送可能チャンネルが拡大することにかんがみまして、ケーブルテレビが住民のメディアリテラシー向上に寄与するパブリックアクセスチャンネルなど、公共的なチャンネルを積極的に提供することが期待されております。ただし、ケーブルテレビ事業者に対して、住民により制作された番組を提供することを奨励するとしても、編集責任をケーブルテレビ事業者側に全面的に負わせたままでは、こうした取り組みは広がっていかないのではないかという指摘もございます。そこで、米国等の実情や制度の運用状況を調査した上で、普及策の検討を行うことは有益であるという指摘もあるところでございます。
 最後でございますが、技術進歩の関係でございます。ケーブルテレビの無線利用につきましては、有線テレビジョン放送において、有線テレビジョン放送とは、公衆によって直接受信されることを目的とする有線電気通信の送信のことを指し、放送法及び有線テレビジョン放送法により、有線・無線の放送が区別されております。今後、効率的なネットワーク構築等のため、ケーブルテレビ事業者側でも無線の利用の可能性について需要が高まることが予想されます。
 技術基準のあり方につきまして、現在の技術基準は、出力端子の搬送波ごとのレベルを規定するなど、全体的に設計基準的な規定となっております。一方、MPEG2に対するH.264RF伝送に対するIP伝送のように、短期間で次々と新技術が登場してくる状況を勘案すると、技術基準は大枠の規定とし、技術進歩の激しい部分は柔軟に改訂可能な民間規定にゆだねることも考えられるということでございます。
 以上でございます。
【多賀谷座長】  いろいろな点についてご紹介いただきました。
 それでは、ただいまの資料2点につきまして、ご質問、ご意見、よろしくお願いいたします。
【寺坂構成員】  まず1点目ですけれども、資料7−2の9ページの(4)のア)のところで、ケーブルテレビ事業が廃止される事例が生じているという記述があるんですけれども、これについてちょっと教えていただきたいんですが、市町村合併に伴って、このケーブルテレビ事業が廃止されるというような意味合いなのか、その場合にどういった要因でこのケーブルテレビ事業が廃止されたのかという要因がわかれば、お教えいただけたらと思います。
 もう1点ですけれども、7−322ページのパブリックアクセスチャンネルのところで、アメリカではチャンネルの編集責任を番組提供事業者、いわゆるアクセスした側に負わせているということなんですけれども、これは何か法的に担保されたものがあるのかどうか、そのあたりをちょっとお教え願いたいです。
【井上地域放送課課長補佐】  1つ目の廃止される事例は、音先生のテレビ都南の事例でございまして、これはもともと都南村が直営していたんですが、盛岡市と市町村合併することになりました。アナログからデジタルに変えるときに、約17億円が必要ということで、合併後、盛岡市ともやってきましたが、盛岡市の厳しい状況では、その負担をすることは困難ということになりましたし、ほかの岩手ケーブルテレビジョン株式会社の一本化につきましても、協議を重ねた結果、うまくいかなかったということで、2011年4月24日をもってテレビ都南を廃止すると聞いております。なお、テレビ都南自身は難視聴地域ではなくて、受信ができる地域ということでございまして、盛岡市では、2万円を上限に、アンテナ購入、設置費用の補助制度を考えているということでございます。
 それから2つ目の、米国のパブリックアクセスチャンネルの状況でございますが、申しわけございません、ちょっと手元にございませんので、また確認させていただきたいと思います。
【森構成員】  前回、多少言い残してしまったところがあったかと思うんですが、今回、2点ほど発言させていただきます。1点は、1ページの一番下に書いてあります、いわゆる少数チャンネル地域におけるケーブルテレビの役割というところなんですが、現表現ですと、区域外再送信を行うケーブルテレビの役割というものが、無条件に礼賛されているような書き方になっておりますが、この問題は、既存放送事業者にとっては極めて大きな問題でございます。したがいまして、私どもとしては、ここでまず言わなきゃいかんのは、いわゆるケーブルテレビが区域外再送信を行うに当たっては、民放事業者との間で十分協議をして、同意を得た上でやらなきゃいかんということが、まず強調されるべき話だろうというのが一つ。
 もう一つは、少数チャンネル地域対策としてケーブルテレビの役割もここではうたっておりますが、少数チャンネル地域の問題というのは、何もケーブルテレビの問題だけではなくて、いわゆる大きな放送政策上の問題であろうと思いますので、その問題の解決については、もっと中長期的な視点に立って、その地域の状況、あるいは時代の状況等を踏まえて、ケーブルテレビだけではなくて、いろいろな手段の活用等も含めた解決策を検討すべきだという表現が適当ではないかと思います。その点が1点であります。
 もう1点は、7−2の8ページの上のほうに、有テレ法と役務法との規定内容の整合性に触れておりますが、ありていに申し上げれば、私どもは、この中の特に現行の有線テレビジョン放送法における裁定制度のあり方について、大変疑問に思っております。これは古い昔の時代のケーブルテレビジョンが、極めて零細な企業だった時代の一つの制度だと思っておりまして、時代の変化とともに、この裁定制度というのは、基本的に考え直してみる必要のあるものではないかと考えております。そういうことを踏まえて、ここにある情報通信審議会の状況等を踏まえて引き続き検討するという表現に加えて、新しい時代の新しい状況を勘案してさらに検討するとか、そういった表現が適当ではないかと思っております。
 以上であります。
【石橋構成員】  今の件で私も。
 ここで白熱するつもりはないんですが、森構成員のおっしゃっていることは、実は私ども何度も聞いております。一方で、我々も我々の立場がありまして、過去、アナログが始まって50年の経過の中で、波の数が3波以下のところもありますし、何よりも区域外というのは、最初はそれを歓迎されたという歴史もあるんです。波が少ないということもあってやってきていて、視聴者もそれは当然のことと思っていますから、ぜひ視聴者の観点を忘れないで、我々との協議にも臨んでいただきたいと思います。
 それが1点と、もう一つ、裁定制度。これは、事柄の性質上、紛争する可能性は極めて大でありますので、裁定制度は必要であると認識しております。
 以上です。
【小池構成員】  あまり民放さんとケーブルテレビさんとの間に割り込むつもりはありませんが、ちょっと今の関連で発言します。
 実は、NHKとしても、区域外再送信については悩みがあります。NHKは、区域外再送信の同意にあたっては、特別な事情がある場合に限り認めることにしています。特別な事情とは、当該地域相互の地理的、文化的、経済的な結合関係などを総合的に勘案して判断することとしています。事情があてはまれば、認めましょうということで、NHKは同意したいと思っていますが、ただ、最終的に、ケーブルテレビ局さんに区域外再送信への同意に当たっては、地域民放さんとの関係も勘案した上で判断しているのが実情です。ケーブルテレビ局さんと地域民放さんの間でうまく話し合いをしていただければ、NHKのこの考え方で進めることもできると思います。ぜひとも区域外再送信については、両者の溝は埋めていただきたいなと思っております。
【石橋構成員】  そこも含めて、協議を今、鋭意努力中でございます。
 1つよろしいでしょうか。資料7−210ページで、違法チューナー問題への対策推進と書いてある。これはご存じでない方も結構いらっしゃるんじゃないかと思うんですが、私ども、今、アナログでやっているコンバーターというのがございまして、一応視聴制限をかけているんですが、技術的に非常にレベルが低いということで、一たん使い始めたものですから、それでずっといっているのが現状です。外国でできたものが随分入ってきておりまして、これで特に、ここ二、三年、あるいは三、四年、非常に迷惑しているということです。
 我々としても、それの対策を考えようということで、協議会を設立したりしているんですけれども、その過程で、調べたら、法的にそういうことを取り締まる法律が日本にはないんです。結局、電気用品安全法ということで、ハード的に安全の基準を満たしているとか、あるいは認定を受けているとか受けていないとか、で取り締まって逮捕者が何人も出たというのがあるんです。
 一方アメリカでは、シグナル窃盗といって、いわゆる電気信号窃盗罪というものがあると聞いておりますので、そういうことも含めて、今後少し――DVDの海賊版の問題もありますけれども、直接的にネットワークから信号を盗まれるということもありますので我々として検討する必要があるんじゃないかなというのが実感です。
 以上です。
【多賀谷座長】  これは電気通信一般でも、利益窃盗について、犯罪にすべきだという議論について、刑法学者がなかなかオーケーを言わないんです。与党としては、その方向で法改正を検討していますので、そういうところで、あるいは長期的には解決するかもしれません。
【中村構成員】  資料7−2の5ページであります。5ページの上のほうの「(3)STBの共通プラットフォーム化」ということで、幾つかずっと、このページに書いてございます。ゴシック体のところの後段に必ず、「また、国は、国際競争力の確保及びイノベーション」云々といずれも書いてございますが、私、ケーブルラボを1年半ぐらいしておりまして、一番困っておりますのは、現にSTBは国産もありますけれども、ご存じのように、はっきり言いまして、韓国のメーカーのものが本当にシェアを拡大してきております。
 この傾向から行きますと、ますます国産のSTBは食われていくだろうと思っております。特に、新しい要求を出したときのレスポンスの速さは、とても国産は韓国のメーカーに太刀打ちできないというのが実態であります。物づくりの問題なものですから、これはいろいろ難しいので、ただ私どもはオペレーター、事業者として、いろいろな先進的なアイデアはたくさんありますし、要求仕様も書けるのですが、いざ試作、開発しようとすると、業界としての研究開発費がない、というのが実態であります。したがって、国の施策としてお願いしたいと思いますのは、研究開発は確かに基礎的な研究はやっていかなきゃならないんですけれども、そういう固有技術の実用化研究というところにつきましても、少し目を向けていただきたいということであります。
 以上です。
【多賀谷座長】  私から一つ聞きたいんですが、事務局の報告だけれども、回答は多分、音さんに聞いたほうがいいんじゃないかと思うんです。パブリックアクセスチャンネルの話ですけれども、音さんの報告にもありましたし、事務局の報告の中でも前向きな議論があります。ただ、一方において、インターネット上のブロードバンドサービスにおいては、ユーチューブのような、個人が自主的にホームビデオ的なもので撮ったものをどんどん上げているという実態があるわけです。
 それに対して、ちょっと質的に違うでしょうけれども、ケーブルテレビ上でパブリックアクセスチャンネルがそれに対抗して、どういうふうに今後展開していけるかということ。従前の、チャンネルの希少性があった場合はいいわけでしょうけれども、展開できるかと。
 特にアメリカの仕組みで言えば、パブリックアクセスチャンネルについての編集責任がケーブルテレビ事業者じゃなくて、番組提供事業者が負う仕組みになっている実態がある。確かにケーブルテレビがそれを負うのはきついでしょうけれども、じゃあ例えば、そのパブリックアクセスチャンネルについて、番組提供事業者が編集責任を負ってそれを提供する――もうからなくてもいいかもしれませんけれども、一応ペイするような形で番組提供する主体はどういうものと考えられていますか。
【音構成員】  座長のご指摘のとおり、アメリカにおきましても、このパブリックアクセスがどのぐらい使われているのかということに関しては、さまざまな報告があって、実際はあまり活用されていないんじゃないのかというレポートも、数年に1度は出るような状況もございます。
 ただ、地域社会の中で、住民参加ができるチャンネルが用意されていることに意味があるだろうと思います。パブリックチャンネルとパブリックアクセスチャンネルと2つあって、後者のパブリックアクセスチャンネルに関して申し上げれば、座長ご指摘のとおり、最近のユーチューブ等の動きはございますけれども、例えば、この研究会でご報告がございました中海テレビのようなところは、現行の有線テレビジョン放送制度のもとで自分たちの中で、番組のある種のスクリーニングと言いましょうか、この地域社会で必要な、またはこの地域社会で出してもいい番組を確認する作業をやられていらっしゃる。そのこと自体が、実は町おこしにうまくつながっているという事例になっているんじゃないのかなと思います。
 同様のことはインターネット上で、つまり、ケーブルテレビがないがゆえに、インターネットに地域のメディアを用意してやっているという熊本等での事例もございます。天草テレビとか、山江村でやっている「マロンテレビ」などです。言うなれば、コミュニティーとの関係の中で、このパブリックアクセスチャンネルがあるということだと思います。今の座長のご指摘は、ユーチューブは別な形の円と言いましょうか、そういうコミュニティーとは全然関係ないところでそういうものが出てくる。それは私は別に問題ないと思うんです。それはあっていいと思うんですけれども、私の先ほどのご報告にやや引きつけて申し上げると、どこにケーブルテレビが寄って立つのという話をしていったときに、「地域」に寄って立つという仕掛けで議論していくと、わりとすとんと話は落ちるかなと思って申し上げた次第でございます。
【多賀谷座長】  パブリックアクセスチャンネルも放送の一部なんでしょうか。
【音構成員】  はい。
 追加で、担い手みたいな話で申し上げると、現行において、うまくいっている例ももちろんありますけれども、最近、問題になった例も三鷹・武蔵野地区のケーブルテレビではございましたので、そういう意味で、私はやや躊躇しているところもありますがと先ほど申し上げたんです。
 ただ、全体的な日本のケーブルテレビの流れの中で言えば、このあたりでそろそろもう一度確認し、光を当てるべき時期に来ているんではないかと思っております。
【石橋構成員】  今、中海テレビが例で出ているんですけれども、あれはいわゆる視聴者の方、アクセス希望者が映像をつくって、ケーブル局に持ってきて、一応その中身をケーブル局で見た上で、これは適切であると確認し、それから流しています。ですから、明らかに放送だということで、責任はケーブルテレビ局にあるということです。ユーチューブ型というのも、おっしゃるとおり、全く別ものになってきます。
 私は、パブリックチャンネルもそれはそれであってもいいと思うんですが、インターネットを利用したユーチューブ型をケーブルにどういうふうに適用するかということになりますと、ある程度の規制が必要だろうと思います。規制をかけることが、ユーチューブの理念に反するじゃないかという議論になると思うんですけれども、いずれにしても、イメージ的にはそのケーブル局内の人で一応メンバー登録をしてもらって、その上で自由に自分のつくった映像をどんどん流すと。それをまた住民の人たちも見ると。これは放送じゃなくて、一応インターネットということになると思います。
 そういう形で、今音先生がおっしゃったように、社会に貢献する、これでもうけるというのは難しいだろうと思います。いくらそこに広告のバナーを入れたって、小さなマスではとてももうかるようなことにはなりません。むしろ、住民の方たちの中で、能動的にそういうことをやりたい人たちのために、そういう場を提供する。一方で、それを見て楽しむ方もいると。そういうイメージかなという気はしていますけれども、これからどうするかも含めて、我々としては、インターネット上での映像配信についてもあわせて――主体は現状の放送型が主体になると思うんですけれども考えていかねばという気がしています。
【多賀谷座長】  今おっしゃった、後者のサービスは、インターネットプロトコルでやるわけですか。
【石橋構成員】  そうです。
【多賀谷座長】  ということは、その当該村なり市町村の外の人も見ることができる形にするんでしょうかね。
【石橋構成員】  いや、一応それはしないように。ケーブルインターネットのクローズドでやるという。
【多賀谷座長】  ケーブルインターネットのクローズド、内部でやると。閉鎖網でやると。
【石橋構成員】  そうです。ですから、ほかのネットワークとつないでしまうと、もうだめだということになりますね。
【多賀谷座長】  おそらくその話が多分、ケーブルテレビの場合には、そういう形でやると。それがケーブルインターネットの内部での閉鎖網でインターネット化だよと。放送なのか通信なのかというのは、一般で言うと放送通信の区別の話とは多分違う話だと思うんです。それは閉鎖網の共同体内部での相互通信なので、そこには一般の通信のルールとは違うルールになってくるという。おそらくそれは、このシステムの放送通信融合型であっても、それは一般の開放型の場合の放送通信融合の話とは違う話になるんだろうと思います。ケーブルテレビが生き残るとしたら、それがおそらく最大の取り柄なんじゃないかと思いますけどね。
【中村構成員】  地域に基盤を置く電力、ガスで、我々は口をあければ地域密着とみんな言っているわけです。そういう中で、ケーブルの地域密着は何が違うのかというところが、ここの大きな課題だと思っているんです。
 一つ私は、富山の会社にいるんですけれども、やったことは、皆さん、町中にあるプリクラというのをご存じですね。あれをつくったんです。あれで、子供たちでも親でもいいんですが、どんどん上げてくるんです。例えば、お父さん、毎日お仕事ご苦労さんですとか、誕生日おめでとうとかというのが上がってきますし、写真で、うちの猫が迷子になったんだけれども、皆さん探してくださいとか、そういう地域に住んでいる人たちがケーブルテレビという、うちで言いますと33チャンネルなんですが、それ専門のチャンネルになっているんです。それを見ていただいて、映像の双方向サービスをやることによって、一つの差別化をやっていこうかと。このようなことを実施しております。
 ですから、もうけるとかそういうことは全く関係ありません。広告ももちろんやっておりません。
【多賀谷座長】  例えば、その閉鎖網の中で、仮にオンデマンドで商業ベースでの映像を流したときに、それが著作権法上、どう取り扱われるかと。
【中村構成員】  いや、うちのコミチャンと同じです。自主番組と。
【多賀谷座長】  自主番組でしょうけれども。ただ、著作権法上、それをインターネットでやられる場合とは、おそらく違うんだという議論があり得るんだと思います。
【中村構成員】  インターネットでやりません。
【多賀谷座長】  ではできないということですね。
【中村構成員】  そうですね。
【石橋構成員】  そこは具体的に整理しておかないと。
【多賀谷座長】  閉鎖網だからできる、しかしインターネットならできないという形にするというのがあるでしょうね。
【中村構成員】  有テレ法の範囲の中でやると。
【多賀谷座長】  有テレ法の範囲の中で通信的なサービスという形になる・・・・・・。
【中村構成員】  いや、それはあくまで放送で流しております。
【多賀谷座長】  放送で流しているにしても、オンデマンドでやっているわけですね。
【中村構成員】  いや、オンデマンドじゃないんです。ずっと垂れ流しでやっているわけです。
【多賀谷座長】  でも、場合によっては、閉鎖網の中で、オンデマンド的にやることもできるわけですね。
【中村構成員】  もちろんできますね。
【多賀谷座長】  そのときに、それは放送か、通信かという議論は、一般の場合とは違うんじゃないかということだと思うんです。
 後藤先生、何かありますか。
【後藤座長代理】  いやいや、大変おもしろい視点が提示されて。まさにそういったところの議論が出てくるのが、ここの意味だと思っております。ありがとうございます。
【石橋構成員】  ちょっと時間があるようなので、私も一つ、最近気になることを。
 今、ケーブルテレビというのは、今のようなパブリックアクセスチャンネルとか、あるいはコミチャンとかいうのがありますけれども、ほとんどは自分でつくっていないものが流れているケースが多いわけです。ここの関係者の皆さんもみんなご存じだと思うんですけれども、デジタル・ライツ・マネジメントというのが世界的に議論が沸騰しているという中で、我々も実は少しずつ余波を受けてきております。映像関係については自分でつくりますからまだいいんですけれども、音楽系、楽曲については、課題としてあります。
 だから、この中には、デジタル・ライツ・マネジメントについてどうだというのは出ていないので、その必要性がないのか、少なくとも、非常に重要な課題になってきているという認識だけは必要ではないかと思っています。
【多賀谷座長】  そうですね。さっき言ったような議論を前提として、多分、ケーブルテレビの中で一般の回線の中ではできないようなことがある程度できるといった場合、じゃあそのケーブルテレビの圏内で流されたデジタル映像を受けた視聴者が、インターネット回線で外へ流してしまうことになれば、それはできないということになりますから、まさにそこのところを、ケーブルテレビがトリプルプレーをする場合に、デジタル・ライツ・マネジメントをどのようにするかということは、おそらく重要な話だろうと思います。
 本日は、音構成員のご発表と、ケーブルテレビの諸課題への対応方策、法制度のあり方について、事務局からの発表をもとにして整理していただきましたけれども、この議論を踏まえまして、事務局においては、これ以上長くする必要はありませんが、より一層、資料の修正とか精緻化を行っていただきたいと思います。
 それでは、本日はこれで閉会いたしたいと思います。次回の会合の予定などについて、事務局からお願いいたします。
【井上地域放送課課長補佐】  本日は、ありがとうございました。
 次回は11月下旬の開催を予定しておりますが、議題及び日程につきましては、座長ともご相談の上、別途ご案内させていただきます。また、2010年代後半、2015年ごろにおけるケーブルテレビのあり方、役割につきまして、アンケート形式で構成員の皆様よりご意見を賜り、ありがとうございました。また、追加のご意見などがございましたら、引き続きお寄せいただきますようよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【多賀谷座長】  本日の会合はこれで終了いたします。ありがとうございました。

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