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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会(第10回会合)

平成19年1月26



【多賀谷座長】  ただいまから2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会の第10回会合を開催いたします。皆様、ご多忙の折ご出席いただき、ありがとうございました。
 それでは、まず最初に資料の確認をお願いいたします。
【井上地域放送課課長補佐】  それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 資料は、座席表、議事次第のほか、資料10−1といたしまして「『2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会』報告書素案の概要」、資料10−2といたしまして「『2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会』報告書素案」の2点でございます。
 資料の最後に前回会合の議事録をつけさせていただいております。なお、傍聴の皆様分については議事録を割愛させていただいております。資料に不足等ございましたら事務局までお願いいたします。
【多賀谷座長】  よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入ります。
 本日の会合では、本研究会の報告書について事務局作成の素案に基づいて議論してまいりたいと思います。
 それでは、事務局からご説明願います。
【井上地域放送課課長補佐】  それでは、お手元の資料10−1と資料10−2「2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」の素案に基づきましてご説明申し上げたいと思います。
 まずは資料10−1A3のほうを見ていただきたいと思います。これまでの研究会における議論を踏まえまして事務局といたしまして報告書のたたき台を作成させていただきました。本日フリーなディスカッションをいただきまして、後ほどご説明させていただきますが、1カ月程度、相当の期間を置きまして委員の皆様から再度ご意見を賜りたいというふうに考えてございます。そのご意見を踏まえまして次回の研究会においてさらにブラッシュアップしたもとでさらに議論させていただきたいと思います。
 それでは、資料10−1についてご説明いたします。これは全体の報告書の構造について概観しておるものでございます。まず現状認識といたしまして、通信・放送を取り巻く環境としてブロードバンド化の進展、放送のデジタル化の進展といった一般についての状況を取りまとめ、それを踏まえた通信と放送の融合の加速の状況、それからそれに対する国の政策展開、政府として取り組んでいるIT新改革戦略、それから総務省としても取り組んでございます通信・放送分野の改革に関する工程プログラム、それから現在やっておりますICT国際競争力懇談会の検討等、国の政策展開をまとめてございます。
 その中で今研究会の対象でございますケーブルテレビの現状について取りまとめてございます。加入世帯数、経営状況、光化・広帯域化と高度化の話、それから制度上、現在認められている一部の無線利用の状況、それから取り巻くIPTVの動向というのを取りまとめた上で、ケーブルテレビの変化の潮流、過去のケーブルテレビの存立の歴史等も振り返りつつ通信・放送の多様なサービスの現在の提供状況、それから双方向性を活用した地域との連携の話、それから技術開発の動向、それからMSO、公設公営等の経営体の状況をまとめてございます。
 なお、今回の素案には盛り込まれてございませんが、皆様に今現在アンケートでお願いしてございます外部に委託している2010年代のケーブルテレビの市場規模の調査研究の成果をこの報告書の中でも盛り込んでまいりたいと考えてございます。
 これら現状認識、それからシンクタンクの外部委託している研究成果を踏まえまして今後ケーブルテレビのあるべき姿に向けた課題と諸方策というものをまとめてございます。
 まず(1)といたしましては、前々回の研究会でも議論いただきましたケーブルテレビの位置づけをまず明確にして、それについてどうするかということを考えてございます。これまでの議論を踏まえまして特性といたしましては1つ目は、ケーブルテレビとしてはインフラからコンテンツまで上から下まで提供する総合情報通信メディアであり大容量の情報伝送を可能とするネットワーク、地域のニーズに基づき発生したメディアであり地域密着型のメディアである、こういった特性を踏まえましてケーブルテレビが果たす役割、位置づけといたしましては、大容量情報伝送を可能とするインフラを生かしたフルデジタルサービスの安定的な提供、家庭内外の大容量ネットワークの構築によるユビキタスネットワーク社会の基盤の提供、それからICTを活用した地域住民のニーズを踏まえたサービスの提供、人的なサポート等も含むものを可能とする役割、果たすべき位置づけというものを考えてございます。
 その上で将来の2010年代のケーブルテレビはどうあるべきかということでございますが、1)でケーブルテレビ以外、そもそももっと大きな社会環境として2010年代の我が国のあるべき姿はどうなっているのだ、1つにはICTとしてはオールデジタル化によるユビキタスネットワーク社会ができているし、社会環境としては高齢者を含めだれもが元気に生活・社会参画できている社会、コミュニティーの再構築によって各地域が元気に頑張っている社会、国際競争力を発揮し、経済が持続的に成長している社会というものが我が国として目指すあるべき姿ではないか。2)のところといたしましては、現状認識にも触れますIT新改革戦略、政府として取り組んでおることでございますが、これらについてはこのような社会を築くためにはICTを十分に活用することが重要であるという認識のもと、(1)で触れたケーブルテレビの位置づけ、役割の中からケーブルテレビとしては2010年代、どういうようなあるべき姿をサービスを提供していくかということをまとめてございます。
 個別に言えばフルデジタル映像サービスの提供ということで地上放送等々の放送の再送信、それからHDレベルのVOD、それから自主放送であるコミュニティーチャンネルの高度化、それからネットワークインフラ部分ではユビキタスネットワーク社会の基盤を提供して、超高速インターネットアクセスの提供、それから事業展開に応じた柔軟なネットワークの構築、地域密着サービス、アプリケーション、さまざまな地域事情に応じたそれを解決するためのICTのアプリケーションを含めたさらなるサービスの提供、それから国産技術の世界的展開、ケーブルテレビ特有のホームネットワークの中核的役割を担うSTBの普及等々を果たすべきではないか、またこういったサービスを提供するために横軸的に手段とか結果の話ではございますが、その他といたしまして映像分野における公正競争の促進による健全な発達、経営体力の維持という観点ではMSO、広域連携といった合従連衡の話、それから結果としての1兆円産業化ということをあるべき姿として考えるのではないかととらまえてございます。
 そういった10年後の2010年代、2015年のケーブルテレビのあるべき姿に向けて当面2010年までにケーブルテレビとしてどういうような課題を解決し、そのためにはどういうような方策をとっていくべきかということを(3)の2010年までの当面の課題と諸方策としてまとめてございます。それぞれ個別に具体的に落としておりますが、フルデジタル映像サービスの提供といたしましては、ケーブルテレビの地デジの再送信への対応、ケーブルテレビの着実な対応もさることながら、条件不利地域における活用等々、それから2つ目のポツでは、地デジ以外のBSCS、それから放送分野のVOD等々のサービスへの対応ということが必要ではないか。それから、コミチャンの充実ということもやっていくべきではないか等々まとめてございまして、そのために方策として現在でもつくっております地デジ対応のロードマップの更新等、5つ目のポツになりますが、コミチャンを活用したパイロットモデル事業とかコミチャンのアーカイブ化の支援等々をやるべきではないか。
 2つ目の大きなユビキタスネットワーク社会の基盤としては、インターネットサービスをさらに高度化してやる、それから情報格差の是正・条件不利地域への普及、それから補完的な意味での無線システムの有効活用ということが必要ではないか。それに向けた実証実験、既存の補助金を活用した整備の促進ということも考えられるのではないか。
 3つ目は、地域密着サービスといたしましては、地域の活性化に貢献するサービス、さまざまなアプリケーションを提供したり、他の地域メディアとの連携等を課題として掲げ、そのためにはパイロット事業による水平展開や、それから地域メディアであるコミュニティー放送局との兼営に関する規制の緩和等が必要ではないか。
 それから、国産技術の世界展開ということではホームネットワーク、これから普及が見込まれますが、STBの国産技術の普及、それから我が国が進んでいるFTTHのケーブルテレビの技術の国際化、国内メーカーの技術力の維持等々が必要であり、そのためには実証実験や我がほうでやっている国際競争力懇談会等に働きかけていくことも必要ではないか。
 その他、横軸的な話でございますが、競争的、弾力的な事業展開に係る環境の整備、それから事業規模の拡大・アライアンスの推進、それからケーブル事業者以外の他業種の方とのアライアンス、それから今、BtoC、消費者向けになっていますが、そこをBtoBに広げていったり資金調達力、問題になっています違法チューナー、個人情報保護、それから経営戦略を練るためのデータ収集の充実ということが課題としてあって、そのための諸制度の改正、補助金等を活用した支援策、データの収集等が必要ではないかという全体の構成になっています。
 それでは、資料10−2、本体のほうでかいつまんでご説明させていただきたいと思います。なお、本資料は大部にわたってございますので駆け足になりますが、その点ご了解いただきたいと思います。なお、本件、参考資料の添付等はこれからブラッシュアップして、これまであった研究会の資料等を現行化するなどして盛り込んでまいりたいと考えてございます。
 それでは早速ではございますが、最初、目次等でございますので7ページ目を開いていただきたいと思います。まず現状認識といたしまして通信・放送を取り巻く環境ということで、まずはブロードバンド化の全体の状況を見てございます。ブロードバンド化につきましてはIT新改革戦略にあるとおり2010年度までにブロードバンド・ゼロ地域を解消するということでございまして、現在では約5,000万世帯のうちブロードバンド契約数は2,500万件、その中では現在ではFTTHが導入の件数の伸びが非常に顕著な状況でございます。次のパラグラフでございますが、一方で過疎地等の条件不利地域でブロードバンド・サービスが利用できないところが254万世帯以上あるということで、今後もデジタル・デバイドのないインフラ整備が必要である。
 一方で、放送のデジタル化の状況でございますが、これまでCSBS、地上放送等をやってございまして、丸のところに言ってありますが、地上放送のデジタル化の進捗状況をまとめてございます。200312月1日に始まって、昨年12月1日にはすべての県庁所在地で始まりました。全世帯に対する地上デジタルテレビビョン放送の視聴可能世帯数の割合も84%となっておりますし、受信機器の出荷台数も増えているなど着実に進展しているところでございます。
 次のページ、(3)のところを触れさせていただきますが、通信・放送の融合の加速の状況でございます。それぞれ融合のフェーズがございますが、それぞれに分けて説明してございます。1つ目はコンテンツ・サービスの融合ということでございますが、パラグラフの中ほどあたり3行目程度にありますように、放送番組の2次利用としてキー局等の一般放送事業者の方もインターネットの映像コンテンツの配信を行っていたり、著作権法上の問題はございますが、YouTubeのように映像を配信されるサービスもできている。また、次のパラグラフでございますが、米国では音楽関係ではiPodのダウンロードの販売が急成長しておりまして、ネットワークを通じた音楽のコンテンツ配信が急速に進んでいるところでございます。一方、映像コンテンツにつきましてもケーブルの最大手であるコムキャスがVODに本格的に取り組み始めたところであり、それからインターネット通信機器のシスコについてもケーブルテレビのメーカーを買収するなどして今後VODサービスの本格的な普及が見込まれているところでございます。
 伝送路の融合といたしましては、96年に武蔵野三鷹ケーブルテレビがケーブルインターネット接続を始めて、これまでもケーブルテレビネットワークを通じて両方を提供している者が増えているところでございます。一方で、通信・放送の融合の伝送路も対応いたしまして、2001年には電気通信役務利用放送法が成立いたしまして2002年より施行されてございます。この法律におきましては、事業者が自ら施設を設置することなく、通信事業者からネットワークを借りて放送サービスを提供することが可能となっておるところでございます。
 次のパラグラフでございますが、特にIPマルチキャスト放送につきましては昨年の臨時国会におきまして著作権法上の措置について所要の環境整備が行われたところでございまして、地デジの補完措置としての役割も担うこととされているところでございます。
 端末の融合という観点からは、携帯電話、パソコンでも通信・放送、両方できるといった状況が増えてございまして、これらを踏まえた連携によるサービスが今後出てくるものと期待されるところでございます。
 事業体の融合といたしましても、電気通信事業者の方がMSOの株式を取得したり、通信・放送分野の兼営とか資本提携を行う動きが活発化しておりまして、テレビ・電話・ネットのいわゆるトリプルプレーに当たりまして電気通信事業者との業務提携を行っていたり、それから、電気通信事業者自らが電気通信役務利用放送事業の登録を受け放送サービスを行っているなど事業体の融合も進展しているところでございます。
 次のページ、国の政策展開でございますが、まず政府全体といたしましてはIT新改革戦略を策定いたしまして一丸となってIT化に取り組んでいるところでございます。1つ目のパラグラフの最後のほうでございますが、ICTの力を最大限に利用して、利用者・生活者の視点に立って改革を進めることとしております。具体的にはパラグラフの中ほどでございますが、少子高齢化とか環境問題とかそういったものについてICTを活用して問題を解決していくということを取り組むとともに、デジタル・デバイドのないようインフラ整備を行うこととされてございます。
 その関係でブロードバンド・ゼロ地域の解消ということもIT新改革戦略でうたわれてございまして、3行目で、総務省では次世代ブロードバンド戦略2010を策定いたしましてブロードバンド・ゼロ地域の解消に取り組んでおるところでございます。
 次のページ、通信・放送分野の改革に関する工程プログラムに取り組んでございます。これは2006年6月の「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」に基づきまして通信・放送分野の改革を現在着実に進めておるところでございます。放送分野につきましては、1つ目のマスメディア集中排除原則の緩和ということでございまして、3行目にございます200610月まで総務省でデジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会を開催いたしまして、パラグラフの最後でございますが、現在マスメディア集中排除原則の具体的な見直しの検討が行われているところ。それから、次のパラグラフでございますが、衛星放送の分野におきましても衛星放送の将来像に関する研究会を開催しまして、プラットフォーム事業者の規律について検討されておるところでございます。
 次のポツでございますが、コンテンツの外部調達もありまして、これについても昨今コンテンツ取引市場を形成する必要性が指摘されており、コンテンツの取引の透明性、流動性の向上ということから、総務省といたしましてもコンテンツ取引市場の形成に関する検討会を開催して現在、検討しているところでございます。
 次のページ、融合関連でございまして、これについてもご案内のことと存じますが、2つ目のパラグラフの中ほどでございますけれども、総務省におきましては2006年8月から通信・放送の総合的な法体系に関する検討会を開催いたしまして検討を進めておるところでございます。
 それから、通信関連の分野におきましては公衆交換電話網から今、IPのほうに進みつつあり、それを踏まえまして、また政府与党合意も踏まえまして今、公正競争ルールの整備について検討されているところでございます。総務省におきましても電気通信市場において一層の競争促進を図って、かつ利用者利益の保護を図るため、2010年初頭までの公正競争ルールの整備を実施しておりまして、新競争促進プログラム2010というのを昨年9月に策定いたしまして、これに基づき競争ルールの整備が着実に進められておるところでございます。
 それから、現在取り組んでおりますICT国際競争力懇談会におきます検討でございますが、1つ目のパラグラフの3行目にありますようにグローバル市場でのネットワーク関連機器などの我が国のシェアが必ずしも高いと言えない問題意識に基づきまして、いかに国際競争力を確保するかという観点から懇談会を開催してございます。
 次のページの最初のパラグラフでございますが、本懇談会におきましてはIPネットワークワーキング、ワイヤレス、デジタル放送、新ビジネス基本戦略といった4つのワーキンググループを設置し議論を行っているところでございまして、今週、中間取りまとめが公表されたところでございます。パラグラフの最後のほうでございますけれども、具体的な取り組みの方向性といたしましては、IPネットワークの分野については国際的なパイロットプロジェクトの推進、国際標準への取り組み強化、永続的な人材育成の推進、デジタル放送の分野についてはデジタル放送方式の国際普及、産・学・官が一体となった体制の整備等の方向性が打ち出されているところでございます。
 それから、放送に関連します著作権法の関係でございますが、これにつきましてもIPマルチキャストを用いた放送対象地域内の地上波の再送信ということで、昨年の臨時国会におきまして著作権法の一部を改正する法律が成立いたしまして、現在IPマルチキャスト放送につきましては有線放送と同様の取り扱いがなされたところでありまして、さらにIPマルチキャスト放送の自主放送のところにつきましては、現在としては自動公衆送信とされてございますが、文化審議会、我がほうの情報通信審議会におきましてもIPマルチキャスト放送の自主放送の著作権法上の取り扱いについて検討が行われているところでございます。
 次のページ、こういった通信・放送を取り巻く環境の変化、それから国の政策展開等をかんがみまして、まず現在のケーブルテレビの現状について触れてみたいと思います。(1)につきましては加入世帯数等の現状をまとめてございます。最初のパラグラフにつきましてはケーブルテレビの状況をまとめてございまして、5行目程度にございますが、加入世帯数・普及率はケーブルテレビ全体、年々増加傾向にございまして、自主放送を行う許可施設の加入世帯数は約2,000万世帯、世帯普及率も4割に近い状況となってございます。次のパラグラフでございますが、一方で電気通信役務利用放送につきましても現在17事業者が登録されてございまして、パラグラフの最後でございますが、IPマルチキャスト方式による放送の事業者の加入世帯数も増加傾向にございまして、現時点では131,000世帯となっておるところでございます。
 (2)で経営状況について触れさせていただいておりますが、2つ目のパラグラフの最後のほうを見ていただきたいのですが、2005年度のケーブルテレビの経営状況につきましては、最後でございますが、単年度黒字・累積黒字の事業者数の割合が2001年度の約28%から2005年度には約48%になるなど、全体的に好調、上向きな傾向になっておるところでございます。一方で、次のページをごらんいただきたいのですが、次のページの2つ目のパラグラフにありますように一方で岩手県のテレビ都南のようにデジタル化投資の負担ができないということから廃業する事業者も出ているという状況でございます。
 (3)でネットワークの光化・広帯域化の状況でございます。ケーブルテレビの幹線の光化につきましては、3行目にございますが、約74%が幹線に光ファイバーを導入しておりまして、総延長に占める距離の中でも約3割が光ファイバーになっている。HFCFTTxの導入が着実に進展しておるところでございます。また広帯域化の状況でございますが、次のパラグラフでございますが、約7割が770メガヘルツ以上の帯域を確保しておりますが、その一方で500メガヘルツ未満の施設も約3割程度ございまして、今後、放送サービスの充実を図る上ではさらなる広帯域化が望まれるところでございます。
 とりわけケーブルテレビの地デジの対応でございますが、連盟と総務省で公表しておりますロードマップによりますと2006年末で93.9%、2010年末では98.8%となっておりまして、地デジへの対応を着実に進める必要があると考えてございます。
 次のページでございますが、有線テレビジョン放送、有線ではございますが、制度上、補完的な意味として現在、無線利用が認められてございます。パラグラフの7行目ほどでございますが、ケーブルテレビにおきましては無線システムを補完的な活用というのが考えられるところでございまして、1998年9月に無線システムの利用というのが可能になってございます。現在のところ、河川等の横断とか離島への伝送で1対1に接続する無線局PtoPのものは全国でおよそ30局利用されているところでございますが、一方で、制度上可能となっている集合住宅への伝送等につきましてはまだ実績がない状況でございます。その一方で米国や韓国のほうではケーブルテレビのヘッドエンドから光ファイバーを通じて基地局まで送られてきたものを無線で伝送する仕組みが講じられていたり、一方で我が国の動きといたしましても、放送波が届かないと予想される三重県とか大分県のところで無線を活用した実験が行われているなど、今後ケーブルテレビと無線の利用の可能性について検討されておるところでございます。
 続きましてIPTVの動向でございますが、IPTVと呼ばれるサービスが登場してきております。これは広義にはIPネットワーク上で提供されるテレビジョン放送に類似した動画の配信が一般的にIPTVと呼ばれておりまして、放送に関するIPTVについて言いますとIPマルチキャストがそれに該当するものでございます。これにつきましては、ことしの1月から1事業者によりましてIPマルチキャスト放送による地デジの再送信が行われる予定でございます。
 次のページ、VODも広い意味ではIPTVになりますが、IPマルチキャスト業者のところにおきましてもVODサービスで提供されておるところでございます。一方、通信分野、USENGyaOYahoo!のTVバンクなどのように一般のオープンなネットワークでのVODの映像配信というのが行われておりまして、オープン・クローズ問わずさまざまなところVODIPTVの取り組みが行われておるところでございます。こうした動きを受けまして運用技術に関しましてコンセンサスを得るべく国内外で関係者が検討を行う場を設置する動きも出てきておりまして、国内では情報通信審議会の第3次中間答申を受けましてIPマルチキャスト放送による再送信の運用技術について意見交換を行う場として200610月よりIPTVフォーラムが開設されたり、それからこのパラグラフの最後でございますが、200610月には放送事業者が電気通信役務利用放送事業者の再送信同意申請を審査する審査会を設置しておるところでございます。
 一方で、国際的な動きといたしましては、国際標準化についてITUの中にIPTVフォーカスグループが設置されまして、昨年4月に第1回、10月に第2回会合が開催されたところでございまして、5行ほど飛んでいただきまして第2回の会合ではIPTVに関する定義が合意されたところでございます。
 次のページ、さらにその次のページで、こういった通信・放送の現状、改革の状況、ケーブルテレビでも変化の動きが出てございますので、ケーブルテレビの変化の動きをとらまえて考えていきたいと思います。その際、一たん歴史なども振り返りつつ変化の流れを見てみたいと思います。放送サービスのほうにつきましてはもともと1955年6月に再送信ということで群馬県でサービスが開始され、パラグラフの最後でございますが、1963年には岐阜県で自主放送が初めて開始されたところでございます。次のパラグラフで、1972年に有テレ法が制定されまして、さらには1987年には初の難視聴対策ではない都市型のケーブルテレビが開局して、大規模化、多チャンネル化が進展してきているところでございます。繰り返しになりますが、役務利用放送法も整備されまして、役務利用放送でも17事業者のサービスが放送サービスを提供しているところでございます。
 次の丸、下のほうでございますが、BtoBとしての専用役務、通信サービスの提供の状況でございますが、そもそもケーブルテレビ事業者が第一種電気通信事業者になるときは最初、水道メーターの自動検針ということでございまして、最初はポイント・ツー・ポイントのデータ専用サービスというのを行っておりましたが、その後はインターネット接続として通信サービスを提供するものが増加してきてございます。
 インターネット接続サービスの提供につきましては、96年に武蔵野三鷹ケーブルテレビが商用サービスを開始いたしまして、2行ほど飛んでいただきまして、2000年以降、ADSLと競争環境にございましたが、ケーブルテレビのインターネットの安定性、高速性のことからケーブルテレビインターネットの接続の加入者が増加してきている状況でございます。一方で、次のパラグラフにございますように集合住宅比率の高い都市部におきましては解約率が13.7%から15.1%と高くなっているなど都市部におきましてはADSLFTTHの事業者等の競争が非常に激しくなっていると考えられます。
 次がプライマリー電話サービスでございますが、97年にジュピターテレコムがプライマリー電話サービスを提供され、3行ほど飛んで2005年にはKDDIがケーブルテレビ事業者向けにプライマリーIP電話サービスの卸売を始められまして、今もケーブルテレビ事業者の多くも電気通信事業者と連携することにより多くのトリプルプレーサービスを実現しているところでございます。
 次のページ、モバイル電話サービスにつきましてもクワドゥルプルプレー、グランドスラムプレーということにおきまして、例えばJ:COMにおかれましては株式会社ウィルコムと提携して実際にサービスの提供が始まっておるところでございます。
 それに加えましてVODサービスの提供も行われているところでございまして、2004年にトーカイ・ブロードバンド・コミュニケーションズがIP方式によるVODを提供してから、その後、VODサービスを提供している事業者が徐々に増加しておりまして、現在では30事業者が提供しているところでございます。一方、IPマルチキャスト放送の事業者におきましても全社でVODサービスが提供されておるところでございます。先ほども触れましたが、米国においてもケーブルテレビ大手がVODに本格的に乗り出しているという状況でございますし、我が国においてもさまざまなところでVODサービスが行われている。我が国のレンタルビデオ市場も4,000億円程度あるということを踏まえますと、ここのVODサービスというのも市場規模としては重要なところではないかと考えます。
 さらにDVR、デジタルビデオのレコードサービスにつきましても、ハードディスクを内蔵したセットトップボックスが一部の事業者により現在、提供されてございまして、既に18年末では約20万台が出荷されておるところでございます。
 こういったサービスの変化の潮流に加えまして、さまざまな地域密着型として地域との連携サービスも行われているところでございます。
 次のページ、さまざまな分野での連携が行われておりますが、例えば医療・福祉というところでは西会津町のほうにおかれましてこういった血圧・脈拍等のデータ記録サービス、健康管理システムが導入されておるところでございます。その他、防犯・防災、行政サービス等につきましてもさまざまなところでサービスが提供されておるところでございます。
 (3)の技術開発の状況でございますが、既存のHFCを高度化して高速化するということでさまざまな技術開発が行われておりまして、DOCSICのモデム仕様を拡張いたしましてチャンネルボンディングを使って120から160メガのサービスというのもHFCの中でサービスが提供されておりますし、一方で最大1.2ギガを実現するようなDOCSIS3.0の技術の仕様も検討されておるところでございます。
 (4)のところでMSO、公設公営等経営体の状況でございますが、これも研究会でお示しさせていただきましたとおり営利法人と第三セクターの株式会社で全体で6割、一方で地方公共団体のほうでは2割強というところでございます。加入者数に見ますと営利法人と第三セクターのものがほとんど9割以上を占めておりまして、地方公共団体のほうで2.5%になっているということで、地方公共団体の事業者数の割合に比して加入者数の割合が低いという状況になってございます。MSOのマーケットシェアにつきましては、昨年の総加入世帯数の上位10社のうち6社がMSOに属するケーブルテレビ事業者となっているところでございます。
 MSOの個別の話でございますが、1つ目は制度の背景等でございますが、パラグラフの最後にございますように1993年に地元事業者要件が緩和され、複数の市町村の区域を施設区域とすることが全面的に可能になり、次のページをおめくりいただきたいと思いますが、その2パラグラフ目でございますが、1995年にはタイタス・コミュニケーションズが設立され、ジュピターテレコムも設立されました。その後2006年9月にはこのMSO2社が経営統合され現在、日本最大のMSOとしてジュピターがあるところでございます。
 一方で、公設公営型でございますが、パラグラフの4行目でございますが、人口過疎地域等、収益が見込めない地域で民間企業の算入ができないということから、地方公共団体が自らサービスを提供されておるところでございますが、ただ、規模という観点からしますと全国有線テレビ協議会会員のうち1,000から3,000世帯が半分程度を示しておるというところでございます。経営の観点からは、その財務状況のことから財務の構造的な問題からその財源の確保がこれから問題になるものと考えられます。
 事業者間連携、事業者同士の連携でございますが、次のページにございますようにデジタルヘッドエンドの共用とローカルコンテンツの相互活用が行われて、ケーブルテレビ事業者独自でやられているものもあれば、県の整備するネットワークを活用して連携を図っているもの、そういった事業者間連携の動きが見られるところでございます。
 次のページ、報告書の段階ではこれらの変化の潮流も踏まえつつ2015年のケーブルテレビの市場規模がどうなるかといったことにつきまして、今後、民間のシンクタンクの研究成果をこちらに挿入したいと考えてございます。
 次のページ、いよいよ本題でございますケーブルテレビのあるべき姿と課題と諸方策ということでございまして、これらの現状、歴史的経緯を踏まえまして2010年代のケーブルテレビとしてどうあるべきかということを検討してまいりたいと思います。まずはケーブルテレビの位置づけということを考えてございまして、(1)といたしましてケーブルテレビの特性をまとめてございます。最初の特性といたしましてはインフラからコンテンツまで上から下まで提供する総合情報メディアということが言えるかと思います。インフラからコンテンツ、上から下までありますし、ネットワーク自体もケーブルテレビ事業者で運用されておりますし、コンテンツ面につきましても放送のコミチャンを使ってきめ細かい情報提供しておるところでございます。
 2つ目の特徴といたしましては大容量・双方向の情報伝送を可能とするネットワーク、現在のHFCでも、これから整備されるFTTHでも広帯域のポテンシャルを有するネットワークでございまして、地デジ、BSCS、それらのデータ放送を含むフルサービス、それから3行ほど飛んでいただきまして、通信につきましてもインターネットの超高速が可能でありまして、そういった放送と通信を組み合わせることによりまして通信・放送融合のサービスを提供できるメディアになるということができると思います。また、施設的にもお茶の間の真ん中にセットトップボックスがありまして、これを活用すればホームゲートウェーのセンターサーバーとして活用することも可能である。
 3つ目の特徴といたしましては、地域のニーズに基づき発生してきたメディアということが言えるかと思います。1つ目は、もともと伊香保のように地域住民が自主的に共聴組合を組織し共同受信アンテナをつくったとか、自主放送につきましても学校からの連絡とか地域に密着したコンテンツを地域住民がボランティアで放送番組を制作していたといった歴史的経緯からも自然発生的にその地域住民のニーズに基づき地域住民の手でやられた地域密着型のメディアであり、現在でも人的なパスを通じまして地域住民のニーズを酌み取りやすい体制となってございます。
 これらの特性を踏まえましては、ケーブルテレビとしては以下の3つのサービス意義を有しているものと考えました。1つはフルデジタル映像サービスの提供を安定的にできること、家庭内外の大容量ネットワーク構築によるユビキタスネットワーク社会の基盤を提供できる、それからICTを活用した地域住民のニーズを踏まえたさまざまなサービス、それには人的サービスも含めたサポートが可能であると考えてございます。
 次のページ、こういったケーブルテレビの特性を2010年代にはどういうふうに生かしていくか、どういうあるべき姿が望まれるかということをまとめてございます。(1)ではそもそも我が国の社会状況、これからの状況でございますが、少子高齢化というのは行われますし、それからICTというのはこれから重要であり、諸問題を解決するためにも重要でございまして、そのための基盤、ツールとしてインフラが整備されていくものと考えます。我が国といたしましてはツールという意味ではオールデジタル化によるユビキタスネットワーク社会が構築されますとともに、諸問題を解決し克服した社会という意味では、高齢者の方も含め、だれもが元気に生活・社会参画できる社会、コミュニティーの再構築により地域が頑張っている社会、国際競争力を確保して、経済が持続して成長している社会ということを我が国として目指すべき社会として掲げるべきではないかと考えてございます。
 (2)では先ほど触れましたIT新改革戦略の中でも国としてもさまざまな諸課題をICTを活用してやること、それからICT自身も発展して、国際経済力を確保するということがうたわれてございます。説明は省略させていただきますが、そういった我が国の2010年代のあるべき社会、(2)に掲げましたIT新改革戦略にうたわれていますようにITを活用した諸問題の解決、それからICTの発展という観点からケーブルテレビが、先ほども触れた特性を生かしてどういったことをやっていくのか、大きな柱を考えてございます。
 まずユビキタスネットワーク社会の確立、ICTの発展という観点からはフルデジタル映像サービスを提供している、ユビキタスネットワーク社会の基盤を提供する、放送、VODいずれでもそういったサービスを提供する、それから、さまざまな地域の抱える問題を解決するということから地域密着サービスを提供する、それから国際競争力を解決するという観点からは国産技術の世界展開というのを図っていくことがケーブルテレビの役割としては重要ではないかとまとめてございます。
 (4)では、こういったそれぞれの役割の中をもうちょっとブレークダウンしまして、2010年代、2015年にケーブルテレビはどういうサービスを提供しなければならないか、そのための環境はどうなるかということをまとめてございます。まずフルデジタル映像サービスということでは、地デジ等々のデジタルハイビジョンの再送信が行われ、放送ではございませんが、映像サービスとしてHD画質のVODが充実される、フリー・オン・デマンド、エブリシング・オン・デマンドということでEODサービスというのが提供される。それから、独自コンテンツとしても地域コミュニティーの活性化という意味から、コミュニティーチャンネルの高度化ということが望まれます。それから、ユビキタスネットワーク社会の基盤の提供ということ、これは超高速インターネット接続サービスが既存のネットワークを活用したりFTTHを導入したり全国どこでも使えるようにすること。それから、事業展開に応じた柔軟なネットワークとして有線、無線、限らずさまざまなネットワークを活用すること。地域密着サービスといたしましては、地域が抱える諸問題を解決するさまざまなアプリケーションを提供することが考えられる。国産技術の世界展開といたしましては、ケーブルテレビの我が国で開発された技術が国際標準となってさまざまな国際競争力を確保していくということがあるべき姿ではないか。
 これらを達成するための横軸的な環境といたしましては、公正競争の促進による健全な発達、それからMSO化等、合従連衡ということが必要ではないか。その結果といたしましてケーブルテレビ産業の規模としても1兆円産業になるということが望まれる姿ではないかということでまとめてございます。
 さらに3の中では、これら2010年代、将来の10年後、ケーブルテレビのあるべき姿に向けて当面5年間、どういったことを達成していくか、どういった課題に対してどういった具体的な諸方策をやっていくかということについてここにまとめてございます。フルデジタル映像サービスの提供という観点からは、まずは地デジの放送の再送信への対応ということが重要でありまして、1つにはケーブルテレビの地上デジタル対応の施設の観点で着実な投資・推進が必要でございます。3つ目のパラグラフ、「具体的には」で始まるところでございますが、規模の大きな事業者につきましてはロードマップを作成いたしまして対応を着実に進めるとともに、3行目ほど飛びまして、難視聴解消対策の共聴施設、小規模な施設につきましては施設管理者や受信者に焦点を当てまして、その地デジ対応の必要性を周知広報を推進するべきであるとまとめてございます。
 次の丸でございますが、条件不利地域におけるケーブルテレビ施設の活用でございます。2つ目のパラグラフでございますが、まず条件不利地域におきまして、ケーブルテレビ自身が補助金等を活用しながらインフラ整備を行うとともに、地デジの中継局の全国整備は基本的には放送局の責務であるという方針のもとで行われておることでございますが、地上放送事業者と連携しながらさまざまなギャップフィラー等々補完的な役割というのも果たしていくことが考えられるとしてございます。
 地デジの再送信の協議ということにつきましても、パラグラフの2つ目でございますが、2006年8月の情報通信審議会の答申の中でも、2011年のアナログ放送停波・全面移行の確実な実現ということから、可能な限りあらゆる手段を介してすべての視聴者にデジタル放送を送り届ける環境を整備することが必要といったこと。それから、2行後に飛びまして200612月には県庁所在地で開始されましたので視聴者の期待も高まっているということで、再送信に関する同意を誠意をもって協議を行うことが重要である。国は再送信同意の協議の促進を図るべきでございますし、その際には視聴者の利益の保護についても十分に配慮する必要があると考えてございます。
 2)といたしましては地デジ以外の新サービスの再送信への対応でありますが、1つ目の丸は、放送新サービスの再送信の着実な対応ということでございまして、次のページの2つ目のパラグラフにございますように現在、情報通信審議会の情報通信技術分科会の委員会におきまして、CSデジタルハイビジョン等の新サービスの伝送方式についての技術検討がなされておるところでございまして、これらを踏まえましてケーゲルテレビ事業者は民間の標準化を実際に進めていくべきであると考えてございます。
 次の丸でございますが、こういった大容量のコンテンツを伝送するためにはアナログ放送停波後のケーブル内の空き容量を有効活用するということが重要でございまして、ケーブルテレビ事業者といたしましては、電波利用システムとの両立性について十分な配慮のもと、有効活用を図るため、事業の多様化を検討することが必要ではないかということでございます。
 また、視聴者の利便性の確保という観点からは、DVRが一部導入されてございますが、米国ではネットワークDVRというものが導入されておるということでございまして、それについても検討していくべきではないか。ただ、一方、この問題につきましては著作権法上の問題もございまして、米国におきましても現在、著作権法のことで係争されておりますので、我が国において導入するときにおいても、そういった米国の状況等を踏まえて検討するべきではないかとしてございます。
 次のページ、コミチャンの充実ということでございますが、コミチャンを活用したパイロットモデル事業を実施するということを掲げてございます。ケーブルテレビ事業者はこれまで独自コンテンツといたしましてコミチャンをやっていただいておりますが、さらに高度化も踏まえた強化を図るべきではないか。連盟のほうにおまれましては、例えば今でもケーブルテレビのコミチャンのベストプラクティスを収集いたしまして、他の事業者への水平展開、それから国といたしましても、これまで国はインフラ面の整備に注力してきたところでございますが、地域が抱える諸課題を解決するといったことにも積極的に支援するべき、例えば地域再生とか防災等々の安全・安心といった地域が抱える社会的問題を、コミチャン、インターネット、さまざまな手法を使ってそれらを組み合わせる応用技術、ビジネスモデルというのを確立するためにも国としてはその実用化を支援する、全国への伝播を促進する方策を講ずるべきではないかとしてございます。
 それから、コミチャンのアーカイブ化の推進でございますが、次のページの2パラグラフ目でございますけれども、コミチャン自身は地域の歴史的資産となりますし、それからケーブルテレビ事業者同士で交換することもコミチャンの充実につながる。さらにVOD等で出れば我が国のソフトパワーの発揮にもつながっていく。一方でコミチャンのアーカイブ化には権利者の把握等コストがかさむものでありまして、ケーブルテレビ事業者の自主的な取り組みに任せていたのではなかなか進展が遅いということでございまして、国はインセンティブを付与するための財政的支援を行うことが適当であるとしてございます。
 さらにパブリックアクセスチャンネルの導入の検討でございます。2つ目のパラグラフでございますが、これまでも議論に出ましたように米国ではパブリックアクセスチャンネルが導入されておりまして、わいせつな内容等がない限りはケーブルテレビ事業者には編集責任がないこととされてございます。
 次のページ、我が国においてもこういったものを導入しようとする場合には、制度面の話もさることながら実際に米国においてどのような運用がなされているか、そういったことも判断した上で制度化を検討する必要があるということであり、まずは米国の制度の中身、どういった運用状況がなされているかということを調査すべきではないかということでございます。
 4)のVOD等の映像伝送サービスのコンテンツ規律のあり方につきましては、現在、通信・放送全体の重要な課題として検討されておることでございまして、この中の3パラグラフ目にありますように諸外国におきましてもさまざまな規律のあり方がなされておるところでございます。米国におきましては、開放型のインターネットはVODについては規律は課されない一方、閉域網のものはリニア・ノンリニアにかかわらず規律が課された。EUのほうにおきましては、リニアのVODサービスの場合はテレビ放送として位置づけられておりまして規律が課せられている。我が国におきましても検討する際にはそういった諸外国の状況を勘案して検討することが適当であるとしてございます。
 次のページ、ユビキタスネットワーク社会の基盤の提供ということで、インターネット接続サービスのさらなる高速化ということで、技術開発による高度化ということでございます。今でも小セル化、c.LINK等の新技術が検討されてございますが、加えてさまざまなNGNFTTHおよび無線システムを活用したネットワークの構築に関する検討を行うということが必要ではないか。我が国といたしましても国際競争力、イノベーション促進という観点から、過去のアナログ時代には米国追従、米国の技術をそのまま導入しておりましたが、デジタル放送時代には国際的にもまさに標準化市場が競争環境になっておるところから、我が国としても積極的にアピールしていくべきではないかというふうにしてございます。
 それから、2つ目のロードマップ等の策定による全国的な高度化・高速化の推進でございますが、2つ目のパラグラフの中でケーブルテレビ事業者の中には今後の高度化・高速化に関する目標を有していないというところはございますが、国としては2010年までにブロードバンド・ゼロ地域をなくすということで、必要条件としてのケーブルテレビの高速化・高度化のブロードバンド整備に係るロードマップを作成するとともに、ケーブルテレビ事業者が他の事業者との競争環境、競争の中で勝っていくためにも自らでさらなる高度化に関する目標を掲げることが望ましいのではないかとしてございます。
 2)は情報格差の是正・条件不利地域への普及でございますが、これにつきましては引き続き財政・金融・税制上の支援を行って整備を進めるべきではないかとしてございます。
 3)のIP映像サービスに関する標準化でございますが、先ほどの現状で触れましたように現在、IPTVに関する国際的な検討がなされておるところでございまして、我が国のケーブルテレビ事業者といたしましてもIPTVの標準化に積極的に関与すべきではないかとしてございます。
 次のページ、無線の有効活用等柔軟なネットワークの構築ということでございますが、ケーブルテレビ事業者、通信の分野につきましては電気通信業務用の無線局免許を取得して可能であり、現在でも無線タグによる子供見守りシステム等がなされておるところでございますが、今後、付加価値を高めていくためにも無線の有効活用を検討すべきでないかということでございます。
 次のページ、地域密着サービスの提供といたしまして地域の活性化等による地域への貢献ということで、先ほどのコミチャンの活用等でもございましたように地域の抱える諸問題につきましてケーブルテレビが通信・放送を融合させたさまざまなサービスを提供して地域再生とか地震速報等、防災の観点でのパイロットモデル事業というのを実施して、それの全国展開を伝播する方策というのを国としても講じるべきではないかとしてございます。
 2つ目の丸といたしましては、地域密着の人的なサポートのところでございますけれども、2つ目のパラグラフにございますように中海テレビのように地域住民と一緒にコミチャンをつくって、それが地域コミュニティーの育成、それからコンテンツの充実ということにもなってございまして、ケーブルテレビ事業者も住民と共同して制作するコンテンツを充実させていくべきではないかとしてございます。
 次のページ、シナジー効果、他の地域メディアとの連携を図るべきではないかとしてございます。その一例といたしましてはコミュニティーFMとの連携でございます。1つ目のパラグラフの中ほどでございますが、有線テレビジョン放送事業者とコミュニティー放送事業者の兼営につきましては、今現在のところ有テレ法審査基準におきまして原則禁止でございますが、ほかに参入する者の見込みがないこと、地域の強い要望がある場合には有テレ放送事業者の参入を認めるという規制になってございまして、今後、具体的な問題点、ニーズがあるかというのを調査した上で必要に応じて制度改正を行うことが適当であるとしてございます。
 (3)の国産技術の世界展開ということでございますが、1)はホームネットワークの中核設備としてのSTBの共通プラットフォーム化としてございます。ケーブルテレビの宅内ネットワークを組み合わせた効果的なシステム開発やサービスを進めるべきということでございまして、セットトップボックスがホームネットワークの中核設備となって多様な周辺機器が接続できるような、そういった相互接続に関する実証実験に対して国としても国際競争力、イノベーション促進の観点から支援して、その成果を国際機関に対しても積極的にアピールしていくべきであるとしてございます。
 それから、FTTHによるケーブルテレビの国際標準化でございますが、FTTHベースのケーブルテレビの普及が進んでいるのは世界的に見ても日本ということでございまして、そういった研究開発の成果、技術を国産技術の世界展開、国際標準化の実現等で図るべきとしてございます。
 それに関連いたしましてそういったケーブルテレビ設備の製造を行う国内メーカーの技術力の維持ということでございまして、こういった研究開発を通じましてさまざまな特許等を取得して国際展開を図れるようにすべきではないかというふうにしてございます。
 最後、次のページ、その他というところをごらんいただきたいと存じますが、1)といたしましては競争的、弾力的な事業展開に係る環境の整備として掲げてございます。2つ目のパラグラフで、これまでケーブルテレビ事業者が弾力的に事業展開を行えるよう外資規制の緩和等々さまざまな規制を緩和してきたところでございますが、3つ目のパラグラフでございますが、今後とも公正な競争環境のもと、ケーブルテレビ事業者が切磋琢磨しながら視聴者・利用者の利便性の増進に資するような必要な環境を整備していくことが必要である。特にケーブルテレビの中でも有線テレビジョン放送事業者と電気通信役務利用放送事業者の規律の相違につきまして、各制度の趣旨等も踏まえつつイコール・フッティングを図ることが重要であるとしてございます。
 それぞれの個別の制度について見ますと、1つ目はマス排の見直しでございます。有テレ事業者につきましては一般放送事業者に関する規制といたしましては原則禁止・例外容認となってございますが、役務放送事業者につきましては放送対象地域では地上放送事業者は一切参入することができないという状況になってございます。これにつきましては、次のパラグラフでございますが、情報通信審議会の第2次中間答申におきましても、その引用のところ、最後のほうに飛びまして、早急に着手し2005年度内には結論を得るべきであるというふうにされてございます。
 制度当時はFTTHがまだあまり普及していないということで、1社が参入するとなかなか次の者が参入してこられないというような事情があってこの規律が設けられたものということになってございますが、昨今、FTTHが非常に普及しておるという状況を見れば、有線役務電気通信事業者のみ地上放送事業者が参入できないとする規律は、両者の均衡を図る観点から見直し、ケーブルテレビにあるように原則禁止・例外容認、放送の多面性を確保するためにも原則禁止・例外容認という規制を講ずることが適当であるとしてございます。
 次のページ、一方、ケーブルテレビにかかってございます地方公共団体の出資に関する規律でございますが、実態といたしましては、自ら有線テレビジョン放送事業者になっていたり出資しているケースというのがございます。もともとは言論機関としての中立性・自主性ということを確保するために行われてございましたが、現時点で大きな問題は発生していない、実態も踏まえれば地方公共団体の出資等に関する規制を緩和することが適当であるというふうにしてございます。ただ一方で、その場合には有線テレビジョン放送に係る番組審議会における審議につきましては、真摯に審査すべきであるものと考えます。
 次は施設区域の基準の見直しでございますが、施設区域についても両者で差がございます。有線テレビジョン放送施設者につきましては自然独占性が働いてしまう、人口集中部のみ整備されると、そのまま人口過疎部については参入することが事実上不可能になるということから、行政区域全体について整備することが有線テレビジョン放送法の審査基準において規律が課せられてございます。一方で電気通信役務利用放送事業者につきましては、そもそもの有線テレビジョン放送の規制緩和、それから再送信ではなく自主放送を中心とした制度設計になっておるということから、行政区域における業務提携に関する特段の義務的な規制はないところでございます。しかしながら、電気通信役務利用放送事業者につきましても著作権法の改正が行われるなどして、難視聴における再送信プレーヤーとしての役割が出されておるということもございまして、その辺についてはケーブルテレビと状況は近づいてきたところでございますが、施設区域に関する規制を設けない場合には、いわゆるクリームスキミングとして人口集中部のみに参入して、過疎地域での業務提供は行われず、結果として有線テレビジョン放送事業者の事業展開の経営の困難性に及ぶおそれがあるという意見もございます。ここで両者のイコール・フッティングを図る観点から均衡を図ろうとする場合には、仮に有線テレビジョン放送事業者に課せられている全般整備に関する規制を緩和すれば、さらに条件不利地域における整備がなされなくなり、一層のデジタル・デバイドが発生する可能性がある。有線電気通信役務利用放送事業者に対して規制をかければ、当該事業者の投資・経営戦略にも大きく影響を及ぼすことが考えられることから、当面は懸念の背景にあるクリームスキミングの実態を我々としても注視し、その状況を踏まえ、必要な措置を検討することが適当であるとしてございます。
 それから、参入・退出に当たっての規律の見直しでございますが、有線テレビジョン放送の場合には施設の場合には参入する場合、許可制でございますが、役務事業者の場合には登録となってございます。これらについてはそもそもの規律する対象範囲等が異なっていることから単純に比較することはできませんが、現在、通信と放送の融合体系の検討がなされておるところでございまして、それを踏まえて検討を行うことが適当であるとしてございます。また、退出時の規律につきましても参入時の規律の状況を見て、整合性を図るような規律を検討することが適当であるとしてございます。
 著作権法上のイコール・フッティングの話でございますが、IPマルチキャスト放送の自主放送につきましては現在、自動公衆送信となってございまして、有線テレビジョン放送事業者の場合には有線放送としてございます。次のページ、文化庁のほうでも審議会で議論されておるところでございまして、総務省においても情報通信審議会で検討されておるところでございまして、これらの状況を踏まえて必要な措置を講じることが適当であるとしてございます。
 次の丸は有線テレビジョン放送施設の電柱・管路等への共架の公正競争条件の確保でございます。電柱や管路を保有する公益事業者、電力会社や通信事業者がケーブルテレビ事業者に出資等の形で参入する形が増えてございますが、その利用に当たって出資している関係会社とそうでないところで不合理な取り扱いが仮に発生するとすれば、競争政策の観点からも看過できない。これまでに公式に把握しているものはございませんが、今後そういった状況があれば必要な場合には公正競争条件の確保に関するルールを検討することが適当であるとしてございます。
 次は無線利用に関するイコール・フッティングの確保ということでございますが、先ほど触れましたように制度上、今、有線テレビジョン放送事業者は無線を使ってポイント・ツー・マルチポイントができてございますが、システム構築に係る機器が高価であるため利用実績がない状況と。配線協議が不調に終わった場合とか、電気事業者が整備したケーブル以外に管路を敷設する余裕のない場合には、そこではケーブルテレビ、有線ではサービスが提供できないということでございますので、無線利用について検討するべきと。特に役務利用放送事業者の場合には電気通信事業者の有線回線を使ってサービスを提供するということが可能でございますので、事業者のコンテスタブルな競争環境の整備、住民の選択機会の拡大の観点からも、また諸外国の導入されていることから機器がこれから低廉化するということから、そういったものの導入も見込まれるということが考えられます。
 一方で、そういった有線テレビジョン放送のほうで無線が非常に使われるようになってくれば、電気通信役務利用放送のほうにもイコール・フッティングの観点から、現在は電気通信役務利用放送は人工衛星の分、衛星の無線局しか使えないことになっておりますが、その条件を踏まえてイコール・フッティングの観点から地上の無線局についても活用できるかどうかを検討すべきではないかとしてございます。2)で事業規模の拡大・アライアンスの推進ということでございますが、事業者同士の合併につきましては、2つ目のパラグラフにございますように制度上はもう既に整備されておるところでございますが、補助金の関係で合併するときには承認が必要になっているもの、サービスがそのまま引き続き提供される場合には届け出とするなどの規制緩和が必要ではないかとしてございます。
 次は事業者同士の連携ということでございますが、ケーブルテレビ、既に事業者同士で連携がされてございますが、コミチャンの相互交換というのもこれから充実させるべきということでございまして、これにつきましても制度上はチャンネルリースという形で相互連携が図れることとなってございます。このページの下のほうでございますが、国は単独の中小企業規模のケーブルテレビ事業者ではさまざまなプライマリー電話サービスとかそういった高度なサービスを提供することがなかなか難しい場合には、そういった事業者間同士の相互接続によるネットワーク化を支援するべきではないかとしてございます。
 本研究会でも議論になりました小規模なケーブル事業者に関する今後の対応でございますが、1つ目のパラグラフの中ほどでございますが、研究会でも議論がございましたように財務手法といたしましては国庫補助金とか市町村からの財政支援により行われているところもございますが、デジタル化投資の破綻の問題から今後、問題に対応できるのかといった問題がありますし、現に廃業されているところもございます。そういった公設公営でやられているような条件不利地域でそういった事業者が撤退した場合にはブロードバンド・サービスもあわせて提供されなくなり情報格差が一層拡大するおそれがある。そのためには視聴者・利用者の利益の保護を考えることが重要である。
 公設公営型のケーブルテレビ事業者等小規模な事業者については、その経営体力の観点から、これまでも指定管理者制度というのが導入されているところも一部にはあるようでございますが、民間のノウハウを活用するという意味での指定管理者制度の導入ということをより柔軟にできるようにするために、国としても指定管理者導入に当たってのガイドラインを作成することが適当である。また、事業者間同士の合従連衡を円滑化するため、既にある補助金等を活用して事業者間の連携に関するシステム導入費とか改修費等に関する支援策を講じてやるべきではないかというふうに考えてございます。
 さらに、こういったさまざまな指定管理者制度による経営体力の増加、他事業者との連携を図ったとしても経営体力がなくて撤退するような事態が恐れられますので、特に条件不利地域とか難視聴地域、そのケーブルがなくなってしまえばテレビも見られないし、インターネット等も使えなくなるような場合には、その場合の経営再生に係る公的措置の必要性とか実現可能性、スキームについて今後検討することが適当であるとしてございます。
 3)は他業態とのアライアンスの推進ということでございますが、これまでもいろいろなサービスが他業者と連携されてございますが、3パラグラフ目でございますけれども、一方で条件不利地域においては単独のケーブル事業者では採算性等の観点からなかなかさまざまなサービス、異業種と連携することができないということでございまして、そういった合従連衡を促すような支援策を講じるべきであるとしてございます。
 4)のところはBtoBサービスということでございまして、今まさにインターネット接続ということでBtoCが増えてございますが、これからは法人向けのサービスも提供したり、それからケーブルテレビ事業者は顧客情報も有してございますが、個人情報に十分配慮した上で課金をワンビリングで行うといったプラットフォームビジネスの検討についても行うべきであるとしてございます。
 次のページ、資金調達力の向上でございますが、これもこの研究会でも議論がございましたようにさまざまな資金調達チャンネルを設けるなど財務面でのさまざまな取り組みを進めていくことが重要であるとしてございます。6)の違法チューナー問題への対応でございますが、これについても違法チューナー問題が発生してございまして経営的にも影響を及ぼしている状況でございまして、この最後のパラグラフの一番最後でございますが、違法な受信状況が発生しているかどうか実態の把握等を行って、特に検討を進めるべきであるとしてございます。
 個人情報保護につきましては、次のページ、最後でございますけれども、ケーブルテレビ事業者が放送事業者として個人情報の認識を改めていたしまして、適正に取り扱うよう再認識するべきであるとしてございます。
 最後にケーブルテレビの関連データの収集の充実化ということでございますが、現在のところでも有料多チャンネル契約者数がどれほどかといったようなデータを連盟としても総務省としてもとっていないということでございまして、今後ケーブルテレビが1兆円産業、大きな産業としていくためには、そこで経営戦略をとるためのデータの収集というのも重要であるということでございまして、まずは連盟が中心となってデータの収集に努め、事業戦略に努められることが強く求められるとしてございます。
 長々と申し上げましたが、以上でございます。
【多賀谷座長】  ご苦労さまでございました。ただいまの報告書素案につきましてご質問、ご意見等をお願いいたします。
 それでは軽いところから、私のほうからですけれども、一番最初のところでケーブルテレビの状況みたいなところをいろいろお書きになっていますけれども、そこで例えば現在のFTTHがどれぐらい普及していて、ケーブルテレビはどのぐらい普及しているというようなことで書いていますけれども、そこをもう少し実際の地域に即して書けないかなという気がいたします。すなわち例えばFTTHとケーブルテレビが併存し得るような地域、それからケーブルテレビがなくてFTTHのみが普及し得る地域、そして当面FTTHが来そうもなくて、これは時間とともに変わってくるでしょうけれども、来そうになくて専らケーブルテレビ、既存のケーブルテレビ、あるいはケーブルテレビがちょっと努力すれば普及が可能なような地域がどれぐらいあるか、そもそもFTTHもケーブルテレビも存在しないような地域というような形で幾つかカテゴリーみたいにしてインフラ環境というものをもう少しはっきり書いていただければと思います。最初の話を聞いていて印象です。
【石橋構成員】  資料を昨日いただいていて、実は今朝少し読んだぐらいでまだ読めていませんので、内容につきましては先ほどもご案内があったとおり、あと1カ月ぐらいの間で意見を出させていただきたいと思います。何点か気がついたところでということで、ページはいろいろなところに同じことを書かれているものもありますが、とりあえず27ページのところで、最初のケーブルの特性というところで、「一の事業者が施設区域において各家庭まで整備しネットワーク全体を運用しているのは、NTT以外では、ケーブルテレビだけであるとも言い得る」、これは事実だろうと思うのですが、これをもう少し踏み込んだ形で、有線系アクセスラインとしては現在NTTに次ぐものはケーブルしかないということ、それから我々もブロードバンドロードマップというのをこれからつくってまいりますが、地上デジタルでいけば2010年には4,000万世帯にともかくコネクトということになるわけでございますので、そういう意味でアクセスラインとして国民にとって必要不可欠なものである、またそういうようになる責務がケーブル業界にもあるのだ、事業者にもあるのだというような趣旨のことを少し書いていただいたらどうかなと思います。
 それから、イコール・フッティングのところは私も概略このとおりだろうと思います。ただ、著作権だけがひとり歩きされるとまずいので、今日もご説明がありましたとおり規律上相当違う、ということは事業内容も相当違うということになっております。たまたま地上デジタル化のために条件不利地域における同時再送信について同じように取り扱おうという議論の中でその分については国策に沿った形で我々としても当然協力すべきであるということで了解していますが、自主放送については全く違った考えを持っております。ですから、今日ご説明があったような役務利用放送事業者と我々がほんとうに規律面でもイコール・フッティングになるというのであれば、それはその時点で議論すればいいので、現状は違いますので、そこのところを書きぶりをそういう趣旨でお願いしたいなと思います。
 それから、最後に、合併ということでこれはやはりどう考えてもかなりのところで必要になってくるだろうと思われますので、できればそれを促進するという意味で何か合併インセンティブみたいなものが必要ではないかと個人的には思っていまして、この報告書の中でそこまで踏み込むというのは無理だろうと思いますが、そういうような方向性についても今後検討するということを盛り込んでいただければと思います。
 以上3点です。
【多賀谷座長】  今の石橋委員の第2の点ですけれども、この報告書は大体4月か5月ぐらい、最終的にはそのぐらいに出る。そして、今のところ著作権法制の見直し、地域限定型同時再送信については見直しがされましたけれども、皆さんご存じのように政府のほうとしてはそれだけではなくて異時についても何らかのできるようにしろというようなことを知的財産戦略本部で言っております。また、昨年度の政府与党合意でNHKに対してアーカイブの開放をしろということを言っていて、それは規定方針として出てくると思います。そうすると、おそらく今年中に総務省もそうですし、それから文化庁の今、著作権部会ですか、文化審議会のもとにおいても多分異時の話が出てくるだろうと思います。そこでそこの議論にこの報告書がどういうスタンスで書くかということは、当然そこの議論でも参照されると思いますので、それを十分意識されて皆様、必要なコメントをお出しいただければと思います。ただ単にノーと言うだけでは済まないような状況が多分出てくるだろうと思いますので、どういう状況か、先はこれはまだ正直言って見えない状況だと思いますので。
【石橋構成員】  わかりました。
【山下構成員】  今の座長のお話に関連するかと思ったので手を挙げたのですが、最初の例えば14ページあたり、ケーブルテレビの現状という記述があるのですが、もう少しこのあたりかこの前に、この報告書がカバーするケーブルテレビのカバレッジといいますか、定義というか、そういうことが明示されていてもいいのではないかと思いました。といいますのは、実は大体有線テレビジョン放送法に基づくケーブルテレビについて記述があるように思えますけれども、一方、役務利用放送の関係のことも、ケーブルテレビとして時々並列になっていて、そして時々は何か競争関係にあるような書き方といいますか、位置づけになっているように思います。そこでカバーするものといいますか、そこが最初に明らかになっているといいのではないかなと思ったのですが。
【多賀谷座長】  それは、要するに役務利用放送が出てきたので著作権法で新たな問題になったわけですけれども、VOD的な、あるいは異時再送信的なサービスはケーブルテレビ自体によっても行われる可能性が多分あるのです。そうするとケーブルテレビが何かという定義をしても、現実にはケーブルテレビも競争してそっちに行ってしまう、そういうややこしい話になるという状況だろうと多分思います。そして、狭い意味でのケーブルテレビのほかに例えば共聴設備みたいなようなところ、そこはどうなるかとか、おそらくいろいろな要素が出てくるので簡単ではない。確かにこれ、私もきれいには整理されていないという感じは何となく思うのですけれども、おっしゃることはわかります。
【中村構成員】  どこの何ページということではないのですが、現状認識の中でケーブルテレビ事業の役割として公共性に軸足を置いておるところが結構あるということであります、もちろん公設公営も。この前半の現状認識の中で、現在、地方自治体がケーブル事業をどう認識しておられるだろうかということの思いが少し不足しておるのではないかということです。今後の事業展開において、電子自治体とのつなぎが非常に大切になってくるのではないか。例えば防災、津波・地震などの行政上のデータを使って住民に安心・安全を出していくということがこれから大切ではないかと、そんなような思いもありまして、全体の流れの中に公共性というフィーリングが薄いのかなという感じがいたしました。
【多賀谷座長】  それは要するにハードのレベルではなくて、むしろソフトのレベルでの公共性を含むという話ですね。
【中村構成員】  はい。もう一つなのですが、先ほど石橋さんから合併のインセンティブという話がありまして、私もこの業界にタッチした7年前から合従連衡という単語と770メガヘルツまでの広帯域化というのはお題目のように言われてきたという事実がありますが、この7年たってその当時と比較した場合になかなか改善されてきていないという事実があります。何かそこに大きなマネジメント的なものがなければここに書かれておる諸課題が解決しにくいというのは実態だろうと思っております。
 合併のインセンティブについては少し時間がありますので、何とかもし書き得るとすればどういう方策が5W1Hの中に出てくるのだろうかということも私なりには考えてみたいなとは思っております。
【森構成員】  民放連の森でございます。私もあまり時間がないのでよく読んではいないのですが、ずっと読みまして、前半のほうは非常に客観的に漏れなくよく整理されて現状をご説明いただいているように読ませていただきました。問題は3章以下の今後のどういうふうに対応していくかというところの章のところになるのですが、具体的に気になる点を二、三、申し述べさせていただきたいと思います。
 第1点は35ページなのですが、地上デジタル再送信の対応というところで、下のほうの段落で「また、IPマルチキャスト放送事業者においては、地上デジタル放送の補完措置として」云々とこういう文章が5行ほど書いてあるところですが、ご承知のようにIPマルチキャストを導入するということについて議論したところの一番の我々、時間を使って議論したポイントがここだったのですが、この表現が極めてあっさりと書かれ過ぎている気がいたします。IPマルチキャスト放送による地上デジタル放送の再送信につきましては、「2011年完全デジタル化」に向けた補完措置として、条件不利地域における難視聴解消を第一義として行うものである旨を明記していただきたい、という点が1点です。
 それから、「地上放送事業者と連携して」と書いてありますが、「地上放送事業者と十分協議して」やるのだというようなトーンのほうが私どものとらえ方、感じ方としては表現としていいのではないかなというのが1点です。
 それから、次に37ページのネットワークDVRへの対応というところですが、私ども、ネットワークDVRという言葉はあまりなじみがないものですから、これはほかのページにも同じような言葉が出てきているのでありますが、どういうふうにネットワークサービスをこれからやっていくのか、インターネットとパソコンを組み合わせたいわゆるダウンロードサービスとこのサービスとはどう違うのかというようなことも踏まえて、もう少し何か説明を加えて書いていただいたほうが、ここのネットワークDVRの対応というようなことに対する問題意識がわかってくるのかなというふうに考えます。ここは少し言葉を足していただければありがたいと思います。
 それから、44ページと53ページ、2カ所出てくるのですが、いわゆるケーブルテレビによる無線利用という言葉が出てきております。、ケーブルテレビが無線をどう使うかというのは、川を渡ったり、なかなかケーブルを引きにくいところで無線を使ってやるというのは大いに私は考えてもいいと思うのですが、そこを飛び越えて、言ってみれば別に地上波放送と同じような放送局を立てて、そこから無線でサービスをやるのも今後考えていくべきではないかというような提言が44ページにあり、53ページには役務利用放送事業者もイコール・フッティングの見地からそういうことをやらせるべきだというようなことがあわせて書いてあるのが、議論していないポイントかなと思います。果たしてそんなことがほんとうにケーブルテレビにとって望ましい形態なのかどうかというのも私としても疑問に思いますので、そういう言及をしたところについては削除していただいたほうがいいのではないかと感じています。
 私が気づいたところは以上の3点でございます。
【小池構成員】  今の森さんの発言を受けて関連の意見です。IPのマルチ再送信についてですけれども、民放さんとNHKIP再送信の同意条件については審査会をつくりました。いわゆる技術的条件をそこで審査してもらい、同意条件の内容や適用手続きについてできる限り透明性を確保していくことにしています。審査会という言葉が報告書案にあったので、そういう位置づけであるということを書き込んでいただきたいというのが1点です。
 それから、36ページの再送信のところですが、再送信に対する協議の促進というところがあります。多分これは区域外再送信のことを、その言葉がないのですけれども、書かれているのかなと思います。再送信に当たって非常に問題が起こっているような感じがここには書かれています。NHKだけ1人いい子になるつもりはないのですけれども、再送信については、NHKは原則を作り、その原則に基づいて対応しています。ですから、いきなり協議というのが言葉がひっかかります。もし何か課題があれば協議するという表現であればいいのですが、協議を進めるべき、誠意をもって協議を行うとなっているので、それが気になりました。
 もうひとつ、無線利用のところですが、森さんは削除という話をしていましたけれども、末端の無線共聴の部分は、多分これから地上デジタル放送を100%普及させていくためには、私は必要なことだと思っております。こういうものがないと多分無理ではないかなと思います。一方、その無線共聴設備は一体だれのものか、だれが免許を持って、だれがお金を負担していくかというところが非常に難しい問題があります。一般的に電波でテレビを受けるというのは、そのためにお金を払ってはいません。NHKの受信料はもらいますけれども。しかし、無線共聴は共聴設備ですから、設備維持のためのお金が必要になります。一般的に電波を受けるのが無料なのに、無線共聴の電波を受けている場合、設備維持のため有料という形になると思います。このことを視聴者にどう理解してもらうかという問題があるかなと思います。このことは受信料にはね返ってきまして二重払いはしたくないと視聴者から言われる場合も予想されます。公的なところにもある程度期待しているところもあり、このことについても何かお考えがあれば報告書に書いていただきたいと思いました。
【多賀谷座長】  DVRの話については確かに、アメリカでどういう形で問題になっているかということをお書きいただいて、多分ネットワーク上で固定するというのが著作権法上どうなるかという話にかかわると思うので書いていただければと思います。
 それから、無線の話は私のかわりに小池さんがもう話してしまったのですが、削除というのはいかがなものかと思います。現実に、先ほど言いましたように現在の有線のケーブルテレビもFTTHも最終的には無線の可能性を書いておかないと、こういう報告書としてはそれは書かざるを得ない。ただし、小池さんがおっしゃったようにいろいろな問題がまだ検討課題であるので、そこは検討課題について残しておく。場合によるとそれは公的といいますか、地方自治体がかかわってくることになるのかもしれませんけれども、そういう形で開いた形の議論にしていただければと思います。
【森構成員】  今、議論されている条件不利地域における小さなパワーの無線共聴をやめろとか、そういうことでは全然ありません。これについては我々も特に異論を挟む余地はありません。しかし、例えば44ページの最後の5行には、伝送路に関する規律と放送のコンテンツに関する規律、いわゆるハードとソフトを分離して、ケーブルテレビ事業者が無線放送を行うように読めます。そこまで踏み込んで無線利用を行うということは、ケーブルテレビにとって自ら首を締めることになるのではないかとさえ思います。有線テレビジョン放送というのは自分で施設を作り、番組も作って一貫してやるのが有線テレビジョン放送の特性だと書いてある部分もありますので、その精神に戻ってどうあるべきかということを書くべきであって、ここはそういう意味では逆のことを主張しているように思われます。また同様に、53ページでは「イコール・フッティングの観点から人工衛星に開設する無線局を用いないで行うもの」というのは多分地上放送局を使うということだと解釈するのですが、そういうものを導入すべきだというふうにここに書いてあるように読めますので、少し筆が滑り過ぎているのではないかと考えます。
【竹岡構成員】  37ページの上のほうでございますけれども、「衛星放送の委託放送事業者のコンテンツ」でございますけれども、役務というのもございますので、2つ書いていただければと思います。
 それから、IPTVについて状況、動向ということでございますけれども、今これは日本の動向ということで述べられておりますけれども、それが適切かどうかは私も判断がつきかねますけれども、海外の動向ももし入れられればより技術の将来像といいますか、そういったことも参照できるのではないかなと思っております。
【藤本構成員】  一般論に戻りますが、30ページと31ページの構成を見ていただきますと、30ページでまず「2015年における我が国を取り巻く環境」という項目がございまして、この中に、目指すべきものとして4つの記述があり、これをどうやって解決していくかにつき、31ページ(3)の4点記述されています。例えば、30ページの「オールデジタル化」については、31ページの「フルデジタル映像サービスの提供」あるいは「ユビキタスネットワーク社会の基盤の提供」が対応しています。目指すべきこの4点の中では、私は特に、「高齢者等を含め、誰もが元気に生活・社会参画できる社会」「コミュニティの再構築により各地域が元気に頑張っている社会」の2点が、ケーブルテレビにとり非常に大事なところだと思います。しかしながら、先ほど中村さんがおっしゃったことと重複するのですが、この2点に対応している記述が、31ページの「地域密着サービスの提供」の、このわずか3行だけなのです。事務局の方の話を全体を通して聞いていますと内容は非常によくわかりますし、完成度が高いと思うのですけれども、構成としては、ケーブルテレビの独特の意義があちこちに散りばめられているものの、肝心の対応する部分では、この3行に集約されてしまっている。高齢者社会の中で地域に密着することによって、どこまで社会がやさしくなり得るのかという点においては、例えば、コミュニティーをつくろうとした場合には、場所・きっかけ・それを広く報知する手段あるいは意見を交換する手段が要る。この点については、ケーブルテレビが非常に大きな役割を果たすだろうと思うので、この辺りをもう少し、たとえ重複してでも、このページに潤沢に書いていただいたほうが、ケーブルテレビのあるべき姿が明確になるのではないかという気がいたします。
 もう一点ですが、先ほどから合従連衡のインセンティブというお話が出ています。これに該当する53ページから55ページまでを読みますと、一つ目に、53ページの「事業規模の拡大・アライアンスの推進」との項目があり、二つ目に、55ページになりますと「他業態とのアライアンスの推進」との項目がある、こうした構成になっているのですが、この「他業態とのアライアンスの推進」の中で「国は、他のケーブルテレビ事業者との合従連衡によるサービス提供が可能となるよう、『地域情報通信基盤整備推進交付金』等を活用した合従連衡に係るシステム導入費・改修費等に係る支援策を講ずるべきである。」と記述があります。この部分は、二つ目の「他業態とのアライアンスの推進」の中のみにおいて記述されるべきではなくて、一つ目の「事業規模の拡大・アライアンスの推進」の内容にも対応すべき1つの提言だと思います。これが多分インセンティブの1つの例なのではないかと思いますので、ここは全体にかかるよう、記述を工夫されたらなお一層よいのではないかという感じがいたしました。
【多賀谷座長】  今の藤本構成員、先ほどのお話は公共性の話なわけですが、これは何となく全体として確かに公共性のところがやや軽くなっているという感じがいたします。せっかく総務省になって旧自治省と郵政省と一緒になったわけですから、もう少し自治体とのつながりのようなところをある程度強調していただきたいような気がいたします。特に地域性というのは基本的にケーブルテレビの場合にはバーチャルなネットワーク上のつながりと物理的空間におけるデリバリーを含めた、あるいは人のつながりとの両方がセットで存在しているということはおそらくケーブルテレビの特性だと思いますので、そのことをもう少し、例えば医療とか福祉とか要するに介護システムや何かとの関係等も少し書き込むべきだろうと思います。
 それから、その場合に書き込むときにある程度メリハリをつけなければいけないのは、全国一律的な形で書くのは難しいだろうと思います。要するに大都市の場合とか地方中核都市の場合とか、それからほんとうの農村地域、おそらく地域とのつながり方はそれぞれ違うので、大都市の場合、書き方は難しいでしょうが、それをある程度区別を踏まえて書いたほうがいいだろうという気がいたします。
【中村構成員】  地域密着の内容をもう少し充実したいという思いがありまして、ここに、ケーブル事業者は地域密着でどういうサービスをしようとしているのかというイメージ図を持ってきております。この資料を事務局へ置いていきますので、少し充実していただければと思っております。
【寺坂構成員】  細かい点ですけれども、先ほど再送信の話がありまして、36ページのところになると思うのですけれども、これまでも昨年10月1日に向けての事業者の方とケーブル事業者の方でのいろいろ話を聞く中で、これをすっと読んだ感じを見ますと、再送信のパラグラフのここの下から5行目です、「ケーブル事業者が放送事業者と再送信に係る同意について誠意を持って協議」という、感覚的にはどちらかといいますと放送事業者の方のほうがパワーを持っていて、きつい言い方になるかもしれませんけれども、いわゆる放送事業者の方の胸三寸みたいな感じが端で見ているとあるものですから、ここはやはり一番下の、いわゆる視聴者の利益の保護を踏まえながら両者がきちんと協議をするようなイメージのほうが、これまでいろいろ課題があるところ、あるいはこれからの部分もありますので、ここが気になったところです。主体がケーブル事業者ではなくて放送事業者の方のほうではないかなと思った次第です。細かいところですけれども。
【竹岡構成員】  57ページに「ケーブルテレビ関連データ収集の充実化」ということがございます。これは私どもも非常に必要ではないかと考えております。いろいろな種類のデータがあって、どれが一番正しいのかよくわからないということもあると思います。このあたりもう少し具体的に明示いただければありがたいかなと考えております。
 それからもう一点、ケーブルテレビ、現実問題として各地域で非常に重要な地域インフラになっていると思います。ある地域では非常に独占的な地位を持っておられることもあると思いますので、公共性というところを強調してお書きいただく、そうすると当然その地域でどういう機能を果たすのかということをある程度明示していただくほうが事業者の立場とすれば非常にやりやすくなるのではないかと思っております。具体的な内容は今まで皆さん方で議論されておりますので、そういったことも地域にとっての必要性および公共性およびそのファンクションをどう果たすかということもデータのことも含めて検討いただけたらありがたいなと考えております。
【山下構成員】  どういう課題があるかということ、あるいはこれは当面の課題だというのは例えば35ページに出ておりますし、その前の33ページには果たすべき役割とか、その前にはあるべき姿とか意義というふうにずっと出てくるのですけれども、そのときにだれにとっての課題なのかということが少し重複をしているというのでしょうか、政府にとっての課題というものとケーブルテレビにとっての課題というものと、それから有線テレビ放送事業者、また同じことを言いますが、にとっての課題等が、幾つか錯綜しているように思われます。例えば34ページを例えばの話で見ていただきたいのですが、ケーブルテレビの果たす具体的な役割で、その前まではこれはいわゆるケーブルテレビがこういうふうにすべきだ、再送信すべきだとかチャンネルの高度化をすべきだになっていまして事業者自身の課題だと受けとめられますけれども、34ページの「その他」のところに行きますと公正競争の促進ということで、これはどちらかというと政府の課題であろうかと。競争状況が今、独占という話が出ましたけれども、不公正な競争になっていないように監視しようというようなことだと思いますし、それからその次の合従連衡に行きますと、今度は果たしてそれは視聴者である一般国民にとって利益なのかどうかというのがなかなかつながりにくくなってくるように思います。つまり国民にとっての利益というのは競争を通じて得られるというのが一般的な認識ですので、むしろみんなで水平的につながって大きくなろうということとなかなか相容れないところがあると思います。
 それから、さらにこの3つ目の1兆円産業化になると、今度はやはりまたこれはケーブルテレビ業界なりの中の問題になってくるのではないかと。つまり国民全体あるいはケーブルテレビを利用する視聴者にとって1兆円産業化することがプラスかマイナスかというと、なかなか言いにくいものだと思うのです。もし単純に視聴者の数、加入者の数が増えずに1兆円産業化するということは、加入料が倍になるといいますか、そういうことでございます。あるいは視聴者が倍増して、今、月額の支払いが増えないで加入者が倍増したら一体だれに何のメリットがあるかといいますと、やはり視聴者には特にメリットがない。これは業界の話になってしまう。ということで、一体だれにとっての課題かということが少し視聴者にわかるようにといいますか、国民にわかるようになるといいなと思いました。私が申し上げるのも僣越ですが、以上です。
【多賀谷座長】  1兆円というのは、そのサービスで何が行われるかということで、単に既存のサービスでもってそれで高い負担をするというわけではおそらくないのだろうと思います。要するに携帯電話がこれだけ市場を増やして、今まで単に電話をするという以外のサービスがそこでついてきたから、そこでそこまで増えてきたわけですが、ケーブルテレビの場合にもただ単に定額の料金を上げるという話では多分ないだろうと思います。
【石橋構成員】  多分通らないです。
【多賀谷座長】  だから、ある種の従量的なサービスが行われるかどうかという多分そういう話だろうと思います。
 そのほか、私もそのほか、全体の構成として一番最後のところの「その他」というところが、実は皆さんご存じのように一番重要なことが書いてあるのが「その他」が変だなという感じがして、項目を事務局のほうとして考えてください。特に競争環境の整備という話や事業規模の拡大というのは、ちゃんとした節として起こして当然の話だろう気がいたします。
 それから、先ほど来の話で気になるのは、特に競争という場合に競争がどのレベルでどの分野で行われるのかというのがややあいまいに書いてあって、私は基本的に競争はソフトの話になってくるだろうと思います。場合によるとハードのレベルでも競争するのかもしれません。イコール・フッティングの話もあまりぎすぎすやると大変なのですけれども、例えば現実にFTTHとケーブルテレビが同じ地域で取り合いをしているのも競争になのかもしれませんけれども、そういうのを含めていろいろな問題があるということを、整理するといいますか、用語をもう少し注意されていろいろな論点があるということで注意してください。
【音構成員】  私も時間がなかったものですから細かく読んでいないのですけれども、非常に労作だなと思いました。何人かの構成員の方々がおっしゃった通り、「公共性」の部分はもう少し強目に書かれたほうがいいのではないかという印象を持ちました。そのお考えは先ほどもご説明がございましたけれども、一方ではケーブルテレビの産業的な成長というものを目指すということと、もう片方では今までのある種の社会的機能というものを充実させようという、特にその部分では地域社会にとっての公共的役割というところなのであろうというふうに認識をしております。公共的役割、機能というところです。それで言いますと、ある種の可能性みたいなところをそこで書かれているのかなということで言いますと、先ほどの森構成員のご意見と若干私は違う見方をしておりまして、先ほどの46ページになるのでしょうか、コミュニティーテレビジョン放送という電波を使ってという部分に関しては将来的にというふうな書き方をしておりますので、私はあえて消す必要もないのではないのかなと思いました。つまり地域社会においてより一層公共的な役割が果たし得る装置としてケーブルテレビがあるのだとすれば、まさにそのコミュニティーの情報にアクセスしやすい環境づくりをすること自体に意味があるのであって、とすると、ある特定の部分に関しては、それは回線だけではなくて電波があっても十分なり得るであろうし、そのことによってそこに住んでいる方々が地域の情報にアクセスできるのであれば、それはそれでいいのではないのか。
 加えて、これは若干今回のことにかかわるのかどうかはあれなのですけれども、マスメディア集中排除原則の見直しによって全く同じような形で地域メディアとして現時点で機能しておりますコミュニティーFMとのある種の連携という、または合併ということをしやすくしましょうという話がございましたけれども、私も状況的にはそれは1つの選択肢として可能性があるのではないかという認識をしております。ただ、研究対象としてコミュニティーFMを調べていることもあるものですから申し上げると、コミュニティーFMの存立状況もなかなかいろいろさまざまな問題を抱えておりますので、そのあたりのところを考えますと、ややケーブルテレビ事業に振り回されてしまうコミュニティーFMになってしまうのもまた問題であろうというのを思った次第でございます。そのあたりのところはややソフトな書きぶりといいましょうか、またはそのあたりを今後検討するという形で、コミュニティーFMのほうの政策も検討するという形で進めていただくほうがいいのかなと思いました。
【多賀谷座長】  大分皆様からご意見がありましたけれども、そのほか何かございますでしょうか。
【鈴木情報通信政策局長】  事務局に属する私が言うのも変なのですけれども、今までご指摘いただいた中で、最初のご意見の中では業界、例えばケーブルテレビ連盟として書けばいいという内容みたいなのをこの中で書けというのはやり過ぎだというところもあるので、その辺はまた十分ご自覚を願いたいというのが1つと、1点だけ気になりますのは、この会合に私も途中から夏から参加しているのですが、地方公共団体との関係のところがあまり整理されていなくて、ケーブルテレビの持つ地域性なり特性、それとさっきも先生からご指摘のあった物理的なあるいは空間的な特性というものと、あるいは山口町長や寺坂さんから行政側から見ての要望と期待というのは出ていると思うのですが、伝統的な行政といいますか、法的な行政法的な感覚からすると国家の行政権はケーブルテレビを含む放送のようなものに介入をしないというのを原則としてずっとつくってきているわけです。現在、国家の行政権をできるだけ地方に譲り、かつ最終的には道州制みたいなことを考えている、そういうときに従来と同じような考え方でずっとやっていいのかということは一度議論しなければいけないだろうと思っておりまして、今まであまり議論していないところで急にこういうペーパーを出すのもどうかと思いますが、そこは今でもご要望のお話が出ていますので、座長の先生のように行政もご専門の方もその辺を頭に入れながら、どう考えていったらいいのかというのをご指導いただきたいと思っております。
【多賀谷座長】  その点は確かに最近ケーブルテレビでローカルの選挙放送まがいのことが出てきたということで、皆さんご存じだろうと思いますけれども、やはりそれは基本的にケーブルテレビの機能ということで通信と放送と両方あわせてきて、今は通信的な例えば福祉ビジネスとか福祉サービスとか、そういうところについてケーブルテレビの役割は強調しているわけですけれども、局長がおっしゃったようにまさに言論にかかわる部分については国家権力と同じような問題を持っているところがあって、それは十分注意しなければいけないということはおっしゃるとおりだと思います。それは地方公共団体とのかかわり方のところの議論となります。しかしかといって一切かかわらなければ、そういう過疎地のケーブルテレビは死滅してしまうわけでしょうから、そこをどう切り分けていくかということを出さなければいけないということになると思います。基本的にNHKみたいな話になるのですね。国とNHKの話、ある種の公共放送的なものになってしまいますね。
【小池構成員】  そうですね。
【多賀谷座長】  その他よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。本日は報告書素案について検討してみました。皆様からさまざまなご意見がありましたけれども、多分まだ十分読み切っていないということで、まだご意見たくさんあると思いますので、先ほど事務局が言いましたようにこれは2月いっぱいぐらいですね、ご意見をどしどしお出しください。また事務局においてもそれを踏まえて文章構成等、必要な情報、例えばアメリカのさっきのシステムの話とかDVR、さらに精査していただきたいと思います。
 それでは、本日はこれで閉会したいと思いますけれども、次回の会合の予定などについて事務局からお話しいただきたいと思います。
【井上地域放送課課長補佐】  本日はどうもありがとうございました。今後、事務局にて報告書の本日いただいた修正、精緻化を行ってまいりますが、座長からございましたように構成員の皆様におかれましては意見がございましたら2月末、2月いっぱいに事務局までお寄せいただきますようお願いいたします。皆様からごちょうだいしたご意見と、触れました外部に委託しております調査研究の結果を盛り込んだものを、また再度3月に開催させていただきましてご議論いただければと考えてございます。日程につきましては座長ともご相談の上、別途ご案内させていただきます。事務局からは以上でございます。
【多賀谷座長】  それでは、本日の会合はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

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