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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会(第12回会合)

平成19年4月26



【多賀谷座長】  それでは、定刻ですので、ただいまから2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会の第12回会合を開催いたします。構成員の皆様、ご多忙の折、ご出席いただきありがとうございました。
 それでは、最初に資料の確認をお願いします。
【井上地域放送課課長補佐】  それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。資料は、座席表、議事次第のほか、資料12−12010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」報告書(案)でございます。資料の最後に、前回会合の議事録をつけさせていただいております。なお、傍聴の皆様には、議事録は割愛させていただいております。あと席上には、「前回資料からの変更履歴」という資料も配付させていただいてございます。資料に不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。
【多賀谷座長】  それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 本研究会では、これまで11回にわたり議論を重ねてまいりましたけれども、大分長くかかりましたけれども、本日は、いよいよ報告書の最終案を取りまとめたいと考えております。よろしくお願いします。
 それでは、事務局から報告書(案)を説明願います。
【井上地域放送課課長補佐】  それでは、お手元の資料12−1の報告書(案)で、特に前回から変更された点を中心に、「前回資料からの変更履歴」を見ながらご説明させていただきます。
 まず1ページおめくりいただきまして、「はじめに」のところで、中ほどに、本研究会の非常に大きな雑駁とした結論を挿入させていただいております。ケーブルテレビにつきましては、大容量・双方向のインフラを活用して、多チャンネルだけでなく地域密着のコンテンツまで提供する総合情報通信メディアである。その特性を十分に生かすことによりまして、少子高齢化とか、安心・安全な社会の確立等、2010年代の我が国が抱える諸課題に対してICTを活用してさまざまな解決策を提供できる。ケーブルテレビは、地域で求められるニーズ・要望等を十分に把握して、適切なサービスを迅速かつ円滑に提供していくことが期待される旨の大きな結論を入れております。
 続きまして、大分飛んでしまいますけれども、26ページは、光化・広帯域化の状況ということでございまして、これまでFTTHの実績が入っておりませんでしたが、このたび改めて追加させていただきました。光ファイバの低廉化が進んだことから、ケーブルテレビ事業者におけるFTTHの導入も進んでおり、2007年3月末現在、84施設において導入されておる。FTTHを導入することによりまして伝送可能な帯域が拡大することから、同軸では困難であった1GHzギガヘルツ帯の周波数を使用するBS−IF等パススルーも可能となる。このBS−IF等パススルー伝送は、地方公共団体等が整備したケーブルテレビ施設においても既に導入が始まってございまして、2007年3月末現在、FTTH導入施設の約2割に当たる17施設で導入されておるという記述を追加させていただいております。
 さらに飛びまして、35ページ、5)といたしまして、ケーブルテレビ無線利活用促進協議会の設立という項を立てております。これにつきましては、去る4月に設立されておりましたので、その旨、追加しております。2007年4月、ケーブルテレビ無線利活用促進協議会が設立された。協議会は、ケーブルテレビ事業者、学識経験者、地方自治体、関連団体等から構成されており、今後、ケーブルテレビ事業者における無線利活用のための情報共有、需要把握、事例紹介、技術面や事業化における課題の抽出及び解決策の検討等の活動を行うこととしているとの旨、記述させていただいております。
 37ページ、ケーブルテレビのサービス等の変化の潮流の2)のBtoBとしての専用サービスのところに、現時点で行われているサービスを追加させていただいております。「また」以下でございますが、収益構造の強化を図る観点から、BtoBサービスを拡充する事業者も見られる。例えばJ:COM等では、主にSOHO向けに電話、インターネット、ホスティングサービスをパッケージ化して提供したり、デジタルSTBにより収集した視聴率を番組供給事業者に販売するなどの取り組みを行っている。こういった動きを挿入させていただいております。
 次のページ、もともとインターネット接続サービスのところにあったものを、場所を移動して追加させていただいております。3パラグラフ目以降でございますが、ケーブルインターネットにつきましては、電気通信事業者の提供するインターネットサービスの高速化、FTTHの拡大に伴い、インターネットサービスも高速化が求められている。このため、1チャンネル当たり30から40DOCSISモデム、チャンネルボンディングを行い、上り下りともFTTH並みの120から160メガのDOCSISワイドバンドモデムによる高速インターネットサービスを提供する事業者もあらわれている。また集合住宅等では、c.LINKと呼ばれる技術を用いたサービスも提供されている旨、追加させていただいております。
 さらにちょっと飛びまして、51ページ以降、変化の潮流の中の技術開発の状況の1)のIP放送への対応のところを、若干、表現を変えさせていただいております。51ページからIP放送への対応が始まりまして、次のページ、52ページの中ほどのパラグラフ以下でございますけれども、現在のケーブルテレビ事業者のネットワークとの連続性を考えた場合、放送するチャンネルをなるべく多く同時に各加入者宅まで伝送することが求められる。技術的には、伝送効率、運用性などの観点から、異なる特徴を持つ複数の方式が考えられる。代表的なものとしましては、現在のIPマルチキャスト方式、ヘッドエンドからすべての加入者宅まで、選択の有無にかかわりなく全チャンネルの伝送を行うIPブロードキャスト方式などの技術も想定される。例えば、送り側で最大1ギガの伝送容量を要するFTTH網を想定した場合、全容量のうち200メガ程度の容量をIPブロードキャスト方式による放送に割り当てますと、HD画質で10チャンネル程度をすべての加入者に対して同時に伝送することが可能となる。この場合、仮に視聴者宅に10台のテレビ受信機があっても、すべてのテレビで上記10チャンネルのうち任意のチャンネルを視聴することができる。また、残りの容量、例えば800メガ程度につきましては、VODサービス等のサービスを提供することも可能となる。
 次のページに行きまして、一方、このようなサービスを提供するためには、送出側にIPブロードキャスト方式に対応した機能が必要となるとともに、加入者側においても、従来のONUの出力インターフェイスを、100メガEthernetのものから1ギガに対応するなどの変更も必要になる。さらに宅内部分の機能も、これに対応したものが必要になると考えられる。いずれも技術的には可能でございますが、IP伝送方式による放送を希望しない加入者にとりましては、インターネットサービスのスピードの低下を招くデメリットもありまして、IPによる多チャンネル伝送等のニーズ及び伝送路の高度化に必要なコスト等、実運用上の課題もあると記載させていただいております。
 続きまして、58ページ、我がほうで野村総研に委託しましたケーブルテレビの市場規模について、第2章でまとめておりますが、前回の研究会の中で、前提条件を明記すべきというご意見を賜りましたので、今般、改めて定義・前提条件等を追記させていただいております。
 前提条件のところを、特にご意見がございましたので、ご説明させていただきますと、前提条件の丸のところを見ていただきたいのですが、シナリオの構築に当たっては、5年以上先に影響を及ぼすと考えられる要因は現時点で不確実であることが多い。2011年を検討の断面として、2006年から2011年までの間の業界に影響を及ぼす要素を抽出し、シナリオを構築し、2015年の市場規模の予測については、2011年時点の傾向を4年間延長して行う。その加入世帯数・市場規模の予測に当たりましては、我が国の総世帯数予測について、人口問題研究所の人口予測に基づきまして算出いたしまして、ホームパスの整備の進展については、ケーブルテレビ、電気通信事業者等のそれぞれについて、ホームパスの伸びの直近の傾向及び各事業者の計画に基づき予測を行って、我が国の経済状況などの消費者の需要動向に関連するさまざまな事象についても、現在の傾向がこのまま続くという仮定を置いたということを明記しております。
 次のページ、なお地デジの放送の有線放送による再送信サービスについては、視聴者への負担がないという前提で算出しております。
 さらに62ページ、こちらは、その前提等を新たに精査した結果、数字に若干変わりがございますので、数字を変えております。真ん中ほどの文字のところでございますが、2015年には多チャンネル・非多チャンネル有線放送を全部合わせて、最大で4,110万世帯、最低で3,272万世帯の加入が見込まれる。下の文章のところでございますが、ケーブルテレビの市場規模については、VOD等サービスを含めて、2015年度には最大1兆40億円、最低8,049億円規模となることが予想される。前回は、最大のほうが1兆7,000億円程度、最低でも1兆2,000億円でございましたが、精査した結果、以上のような数字になっております。
 続きまして、第3章以下に入りますが、2010年代のケーブルテレビのあるべき姿のところでございます。ケーブルテレビの位置づけのところでございますが、まず(3)で地域のニーズに基づき発生してきた地域性を有するメディアというところで、なお書きで、前回の研究会でご指摘いただきましたように、自主放送を行うケーブルテレビ事業者につきましては、放送番組審議機関を設置することが義務づけられておるが、これにとどまらず、地域住民の意見を十分に取り入れて、より広く、一層の地域性を発揮することが考えられると追記させていただいております。
 それから、(4)「公共的役割」を果たし得るメディアでございますが、前回は課題のところに掲げさせていただいておりましたが、今般、前回の研究会のご指摘を踏まえまして、こちらの項に掲げさせていただいております。
 書かれている内容といたしましては、基本的には前回のものをこちらに挿入した形にしてございまして、ちょっと変わっているところといたしましては、66ページ、まず1)の地方公共団体と連携して地域住民に行政サービスを提供する役割で、地方公共団体と連携するときの2通りのかかわり方があるということで、地方行政の主体として、地域における課題やニーズに応じて行政情報等を提供する立場での連携と、みずからが直接ケーブルテレビ事業に出資または運営する立場での連携の2通りと。後者の出資または運営する立場のところにつきましては、また後述する形としております。
 それから3)のところで、地域・コミュニティに対して、誰もがアクセスできるオープンな「場」を提供する役割のところでございますが、これにつきましては、前回の研究会でも、パブリックアクセスチャンネルの取り組みを明記すべきというご指摘をいただきまして、67ページ、ケーブルテレビにおいても・・・コミュニティチャンネルにおいて、地域住民に出演者として参加を求めるだけでなく、パブリックアクセスチャンネルモデルのように、地域住民と共同して制作することも考えられる。このような表現を挿入させていただいております。
 当面の課題と諸方策のところにつきまして、主に変更した箇所をご説明させていただきます。77ページ、コミュニティチャンネルの充実ということでございまして、1)でコミュニティチャンネルのアーカイブ化の推進としてございましたが、それにつきまして、事業者間での交換・交流を促進することが重要ではないかという認識に基づきまして、修正させていただいております。タイトルにつきましても、コミュニティチャンネルのデータ化・整理及び事業者間での交換・交流の推進という形にさせていただいております。
 最初のパラグラフでございますけれども、もともとコミュニティチャンネルは、歴史的、文化的価値を持つものである。ケーブルテレビ事業者が、これらの価値を有する番組を事業者間で交換・交流して円滑に二次利用できるようにすることが、地域の活性化等にとっても役に立つとしております。
 次のパラグラフ、しかしながらケーブルテレビ事業者の中には、資金力、技術力が不十分なため、放送した番組をデータ化・整理をせずにそのまま放置しているなど、死蔵している状態になっておる。またデータ化・整理するに当たっても、著作権の処理が困難であるということで断念しているケースもあるとしております。コミュニティチャンネルのデータ化・整理及び事業者間での交換・交流につきましては、個々にケーブルテレビ事業者が取り組むことも考えられますが、これまで見ましたように、資金力、技術力、交渉力が不十分なケーブルテレビ事業者が単独でやることは非効率と考えられることもございますので、例えば県単位で共同して地域番組交流ネットワークを構築・運用するといったことによりまして、地域番組の交流ネットワークを講じることも必要なのではないかとしております。
 続きまして、82ページ、ネットワークDVRへの対応ということでございまして、前回の研究会でも、ネットワークDVRにもいくつかのやり方があるというご指摘を踏まえまして、こちらで調査したもの、米国において取り組まれている状況について追記させていただいております。82ページの下のほうから、米国においては既に導入されておって、Cablevision社とTime Warner Cable社で異なる形態でサービス提供をしている。Cablevision社のサービスは、ヘッドエンドに設置したハードディスクを各加入者に割り当て、加入者の操作により番組の録画・再生を行うものである。一方、もう一つの類型であるTime Warner Cable社につきましては、番組が放送されている時間内であれば、番組の初めから視聴を開始できるサービスを提供しておりまして、いわば「見逃し視聴」に対するニーズにこたえるため、著作権者の承諾を得た番組について試験的に実施しているものということでございます。
 最後のところで、NHKのほうで、「NHKアーカイブス」の取り組みをされているということでございまして、こちらについても追記させていただいております。
 続きまして、85ページ、無線の有効活用等柔軟なネットワークの構築の項でございますが、次のページ、先ほども触れさせていただきましたように、ケーブルテレビ事業者の中にはケーブルテレビ無線利活用協議会が設置されておる。現在、ケーブルテレビ事業者による無線システムの利活用の促進を図ることとしておりまして、この協議会では、WiMAXの事業化に向けた取り組みに加え、ケーブルテレビの伝送路を活用した無線共聴システム、23GHzギガヘルツ帯無線システム及び電子タグ等の無線システムについて、利活用促進のための情報共有や需要把握、さらに技術課題の抽出等を行うこととしており、ケーブルテレビ事業者は、ケーブルテレビの有線のネットワークとあわせて、無線システムの利活用を通して地域に密着した小回りのきくサービスを図っていくことが重要であるとしております。
 続きまして、89ページ、シナジー効果が期待される他の地域メディアとの連携ということで、最初にコミュニティFMとの連携を掲げさせていただいておりまして、「また」以下のところで、これまでも触れておりましたが、周波数に関する条件を掲げさせていただいております。ケーブルテレビ事業者が無線を柔軟に活用してサービスを提供するに当たっては、有線テレビジョン放送という制度自体を含め整理を行う必要があるが、地デジの円滑な移行に支障を与えないことに十分に留意した上で、周波数の利用可能状況等を踏まえて、限られた市区町村区域でコンテンツの配信を行う、通信・放送に限らないコミュニティコンテンツ配信事業等が可能となることも考えられる。可能性といたしまして、本研究会でも、中村構成員や石橋構成員からありましたように、言及させていただいております。
 続きまして、95ページ、横断的課題といたしまして、競争的、弾力的事業展開に係る環境整備ということで、現在の外見上見られるケーブルテレビの地域独占性の数字を単にまとめさせていただいておりますが、これにつきまして、前回の研究会でもご指摘があり、95ページの下に追記させていただいておりますが、その際には、単に参入事業者数のみで評価するのではなく、地域の単位とかレイヤーごとについて合理的な範囲を設定し、市場の画定を適切に行わなければならないという旨、記述させていただいております。
 次のページに、図表4.10といたしまして、コンテンツとプラットフォームとネットワークと切り方はいろいろございますけれども、非常に雑駁ではございますが、簡単に鳥瞰できるような図を挿入させていただいております。
 97ページ、マスメディア集中排除原則の見直し等といたしまして、出資に関する記述を入れさせていただいております。
 98ページ、EUの放送の概念が相対化しているということを前回、研究会でご指摘いただきましたので、その旨、追加させていただいております。EUにおきましては、放送コンテンツに関するいわゆる「国境なきテレビ指令」を見直す「視聴覚メディアサービス指令案」を検討中である。これにつきましては、従来型の放送だけでなく、IPTVを含むリニアサービス全体について、社会的影響力の観点からテレビ放送と位置づける内容となっており、伝送路等の違いに基づく規律の差異を設けない方向性が打ち出されている。我が国においても、このような観点から、マス排の規定の見直しについて検討することも有益であるとさせていただいております。
 その後で、以前、ケーブルテレビの公共的役割に含まれておりました地方公共団体とケーブルテレビの出資の在り方について、こちらに記載させていただいております。書かれている内容は、前回と同様でございますので、説明は割愛させていただきたいと思います。
 99ページに、2)といたしまして、施設区域の基準の見直しのところで、クリームスキミングの話がございましたので、こちらについて改めて精査しております。2つ目のパラグラフでございますが、有線役務利用放送事業者、有線テレビジョン放送法の規制緩和であったり、再送信でなく自主放送を中心にしたモアチャンネル、さらにみずからネットワークを整備するのではなく、他の電気通信事業者が提供する電気通信役務を利用して放送するという前提ということを掲げさせていただいております。
 次のページ、2パラグラフ目の中ほど以降でございますけれども、また有線役務利用放送事業者については、有線テレビジョン放送法の世界では、基本的には行政区域全域に業務を提供することになっていますが、仮に有線役務利用放送事業者に対しまして、その行政区域全体に提供する義務を課すこととなれば、当該行政区域のうちFTTHとブロードバンド・サービスがない地域についても、みずからネットワークを整備しなければならないということになってしまうと、この役務利用放送法の趣旨・目的から外れてしまうものになる。一方で、有線役務利用事業者が、単に採算性の問題から、もうブロードバンドがなされているところにおっても人口集中部しかやらない場合には、クリームスキミングが発生することも考えられる。2010年にはブロードバンドの環境が整うということでございますので、当分の間、国は有線役務利用放送事業者にクリームスキミングがあるかどうかといったことを実態を把握して、公正かつ有効な競争環境の整備に関する必要な措置を検討することが適当であるとしております。
 最後でございますが、109ページ、これにつきまして、個人情報保護の関係で、前回の研究会でご指摘いただきましたように、放送事業者の中でも漏洩したケースがいろいろ出ていますが、特にケーブルテレビ事業者につきましては、加入者と個別に契約してサービスを提供するなど、個人情報を取得する機会が一般の放送事業者に比べて多い。このような事情も十分に踏まえて、ケーブルテレビ事業者においては、個人情報の適正な取り扱いについて、社内体制、社員訓練等を整備すべきであるとしております。
 大変早口でございましたが、以上が、前回ご議論いただいたものからの修正点でございます。以上です。
【多賀谷座長】  それでは、ただいまの報告書(案)について、ご質問、ご意見等、ご自由にご発言いただきたいと思います。
【寺坂構成員】  62ページなんですけれども、ケーブルテレビの市場規模についてのシナリオということで、最大がI1とIV4ということになっているんですけれども、そのあたりがちょっと理解ができないんです。つまり、I1とIV4というのは、いわゆるI1はケーブルが進む、IV4のほうはアンテナでの受信が進んでいくということのように思ったんです。それから、グラフを見る限り、一番伸びる場合のシナリオはI1であって、一番伸びない場合はVI6のような形が考えられると思ったんですけれども、このI1とIV4を掛け合わせている、あるいはIII3とVI6を掛け合わせているというところの意味を教えていただきたいと思います。
【野村総研(安藤)】  先ほどのご質問に答えさせていただく意味も兼ねまして、59ページのシナリオの表を見ていただくのが一番早いかと思っております。今回、予測させていただく上で、3パターンのシナリオを用意いたしました。その中で、上に書いている部分、トリプルプレイとIP−STBが多チャンネルの市場に影響を与える部分です。縦の部分は、地デジ移行でのケーブルテレビを選択するのか、それともアンテナを選択するのか、こちらが非多チャンネル放送と呼んでいる部分に対して影響を与える部分です。
 今回、市場規模を出した部分に関しましては、多チャンネル放送の市場ということになっておりますので、こちらの上の軸のみを使っておりますので、パターンが3つになっております。
【寺坂構成員】  つまり、この2.1の図表で、縦の部分しか見ていないということですか。
【野村総研(安藤)】  そうです。横のほうは非多チャンネルの加入世帯数の予測に用いておりますので、そちらは6パターンになっております。
【寺坂構成員】  そうはいっても、グラフの部分はきちんと6パターンに分けておられるんですよね。この市場規模というか、いわゆる加入世帯が多くなれば、当然、市場規模は拡大するというのが一般的な考え方ではないかなと思うんですけれども。
【野村総研(安藤)】  市場規模は、今回、多チャンネルケーブルテレビの加入世帯数から算出したものです。ですので、多チャンネルケーブルテレビの加入世帯数の予測は3パターンになっているかと思います。なので、市場規模のほうも3パターンです。I1とII2を分けて記入することもできますが、数字は同じですので、今回はまとめて載せさせていただいております。
【寺坂構成員】  加入世帯の違いがあっても、市場規模は同じとなるという考え方ですね。そういうことになりませんか。
【野村総研(安藤)】  市場規模を算出する上で用いたものは、多チャンネルケーブルテレビの加入世帯数になっております。多チャンネルケーブルテレビの加入世帯数は、3パターンのみです。なので、市場規模も3パターンになっています。非多チャンネルケーブルテレビに関しては6パターンですので、でも、そちらは市場規模には関係ない部分ですので、今回は3パターンです。
【寺坂構成員】  そうすると、つまり図表があって、その説明として記述があると、何かちょっとそこが誤解を与えるんじゃないかなと思うんです。上は6パターンあって、I1・IV4が市場規模が最大なんですというのが、何か結びつかないように思うんです。
【野村総研(安藤)】  ちょっと記述のほうが、わかりにくかった部分があるかと思います。
【井上地域放送課課長補佐】  記述については、ちょっと工夫させていただきたいと思いますが、端的に言うと、非多チャンネルのほうは、加入者数の増減には影響があるんですけれども、前提として無料であることから、市場規模の面では関係ないものとして算出しておりますので、こういった形になっております。
【多賀谷座長】  改めて通しで読んでみました。特に4章のところで、2010年までの当面の課題と諸方策というのを、大分、一生懸命書き込んでいただいたんですけれども、その反面、3章のほうがやや弱いというか、浮いているとまではいわないが、何となく位置づけがはっきりしてきていないような感じが正直言ってしました。
 第3章は、ケーブルテレビの位置づけという形で、先ほどの公共的役割を果たし得るメディアというものも含めて4つの項目から成っているわけですけれども、その後で、2010年代(2015年)のケーブルテレビのあるべき姿として、白丸で4つのあるべき姿像というものが書かれているわけですけれども、そこのところが、読んでいて何となくやや印象がいまいちだという感じがしました。68ページですが、例えば白丸の2つ目が、ICTの活用により、高齢者等を含め誰もが安心・安全に生活できる社会の確立におけるケーブルテレビの役割、第3がICTの活用により、地域・コミュニティが元気に頑張っている社会の確立におけるケーブルテレビの役割と2つ書いてあるわけですけれども、具体的取り組みのところを見ると、両方とも地域密着サービスの提供という形になっていて、その後の説明は微妙に違うんですけれども、その両方の位置づけがはっきりしていないところがあります。要するに、私のイメージでは、後者は地域の話であり、前者はリテラシーといいますか、高齢者等利用する能力が不十分な方に対しても利用しやすいということを書かなければいけないんでしょうけれども、そこら辺がまだ十分に書き切れていないような感じがします。
 それから、特に3章の1で、ケーブルテレビの位置づけのところに公共性という言葉が入っているわけですけれども、2のあるべき姿のところで、白丸の4つ目のところでも、やはり公共性がどうなのかということが全然触れられていないわけです。つまり2015年のところで、ケーブルテレビの公共性はどうなるのか。おそらく、公共性を担うものとしてケーブルテレビを位置づけるということになると思うんですけれども、そこも書いていないので、もうちょっとパワーアップして、第4章ではなくて第3章についても、もう少し書いていただければと思います。全体のトーンはいいのですが。
【中村構成員】  ページで言いますと106ページです。これは、104ページの事業規模の拡大・アライアンスの推進という(2)のところになるのですが、ケーブル事業者が大手のMSOから小さいところの事業者まで多種多様であるというところが、この業界として一つ大きな課題であります。この問題に対して、合従連衡という考え方をもう少し前面に出したかったなと、全文を通して読みましたときに、そう思ったということが1点であります。
 それと、具体的な話としては106ページの3)、小規模なケーブルテレビ事業者に関する経営手法の選択肢の確保というところが、今後、非常に大きな問題になってくると予想されますが、私が、二、三、聞いておるところでは、指定管理者制度を誘導するような話もありますが、そうじゃなくして、もちはもち屋だということで、近隣のケーブル事業者に譲渡するという話も聞いております。この報告書を見た場合には、この研究会としては、指定管理者制度を誘導するのが好ましいとか、推奨するというふうにも読み取れるのですが、そこあたりの感覚は、どんなものだったのでしょうかという質問であります。
【井上地域放送課課長補佐】  ここで書いた趣旨は、選択肢を提供するということでございまして、どちらか一方に導くというよりも、譲渡するというパターンもございますでしょうし、指定管理者制度という手法を用いるところもあるかと思います。したがいまして、研究会としては、いろいろな選択肢が柔軟に円滑に確保できるような選択肢を提示していくことが重要ではないかと、そういうつもりでここについては掲げさせていただいております。
【中村構成員】  もう一つお願いいたします。110ページから111ページであります。110ページ、頭に第5章まとめとして、国は云々と、こういうふうに取り組むべきであるというところでありますが、このページの一番下に、(4)国産技術の世界展開というところがございます。次世代STB・・・、次のページに行きまして、ケーブルテレビ事業者が必要とする項目に関する研究開発というところの文言ですが、この文章を読んだときに、国がそういう調査研究をやっていくということはよろしいのですが、私の立場からしますと、民間の活力を活用していきたいというときには、私自身、ケーブル事業者がどういう技術開発が必要かということは、自分の問題として取り組んでいきたいと考えております。そういう意味で、例えばケーブル事業者が必要とする技術開発に対して国が支援するのだというような文言にしていただきたいというお願いであります。
【多賀谷座長】  それは、これで言えば91ページから92ページにかけてのところの文章と対応するわけですね。一応、92ページの下から6行目か7行目のところに、支援とは書いてあると思うんです。単独ではできないだろうから支援であると。
【中村構成員】  そうです。
【多賀谷座長】  そういう趣旨だと思うのですが、一番最後のところにも、そういう文章を入れろということですか。
【中村構成員】  はい。
【多賀谷座長】  じゃ、検討させていただきます。
 あと、さっきの中村構成員のご意見を聞いていて、何となく印象として感じたんですけれども、公共性の話は前に持っていったんですけれども、最後の話といいますか、横断的課題のところ、あるいは「おわりに」のところに、公共性的な要素がどの程度入っているのかなという気が、あるいは、まとめの政策提言のところが、生かし切れているかなということをちょっと、もう一回、事務局も最後見ていただきたいと思います。例えば、先ほどおっしゃった小規模ケーブルテレビの今後の在り方という問題についても、そこでの書き方は、専ら経営的な合理性からPFIにするのかどうかということが書いてあるわけですけれども、当然そこにおいては、ローカルな場における小規模なケーブルテレビが住民の唯一のインフラであるならば、それを何らかの形で保持するということが目的だということですね。やっぱり一応、書いておいたほうがいいような感じがしますね。公共性という意味で、しかし経済的な合理性にも対応するような話。
【山口構成員】  2点ほど申し上げたいと思います。1点は御礼と報告ですけれども、本研究会では、昨年、西会津町の行政と一体となったケーブルテレビの運営状況や、私どもが構成しております全国有線テレビ協議会の現況を紹介する機会をいただきました。そして、本報告書(案)にも相当の記載をいただいたことにつきまして感謝を申し上げます。
 西会津町では、総務省様のご支援をいただきまして、周波数変換による地上波、BSCSのデジタル放送再送信を行うことができました。今後は、少子高齢化、地域活性化などの行政課題への対応や、自主放送のデジタル化を含む放送のデジタル化への完全移行を行うためにも、伝送路の光化、広帯域化を計画しておりますので、引き続き関係機関のご指導を賜りたいと思います。
 幸い内閣府の地域再生計画の認定を受けることができましたので、各省庁、地方支分部局のお知恵を受けながら進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 2点目でありますけれども、周辺町村との連携についてであります。条件不利地域においては、公設公営型のケーブルテレビが担う役割が、今後ますます増大してくると思います。本報告書(案)によりますと、73ページの1)、地上デジタル放送の再送信に対応する施設設備の着実な推進の記述があります。さらに、85ページの(2)でありますが、情報格差の是正・条件不利地域への普及でのブロードバンド・ゼロ地域が隣接する場合、当該地域の地方自治体と協議して参入の可否について検討することが望ましいとの記述があります。西会津の周辺町村にも、地上デジタル放送への対応やブロードバンド・ゼロへの対応に苦慮しているところがありますので、ケーブルテレビ導入の検討を話しかけ、可能であれば施設の共用化を図りながら、ともに課題解決に当たりたいと、現在、努力中であります。この点についても皆様のご支援をお願いしたいと思います。また、このような状況をぜひ現地調査していただければ幸いであります。
【多賀谷座長】  そのほか、ご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、もう11回ということで、ご意見が出尽くしたということだと思いますけれども、本日、若干、書き方とかトーンとか、ご意見をいただきました。そのご意見等を反映させて最終案をつくらせていただきますけれども、今後の修正は、私、座長にご一任いただきたいと思います。
 それでは、今後の取り運びの在り方について、事務局からご説明をお願いします。
【井上地域放送課課長補佐】  本日はありがとうございました。座長ともご相談の上、本日のご議論を踏まえまして、報告書の最終案を作成してまいりたいと思います。その後、意見募集を行いまして、それにつきましては、一月程度を考えてございます。その結果等を踏まえまして、次回会合におきましては、最終報告書を取りまとめさせていただきたいと考えてございます。日程につきましては、座長ともご相談させていただいた上、別途、ご案内させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【多賀谷座長】  それでは、本日の会合はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

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