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「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」
第4回会合 議事要旨


1    日時
 平成16年10月20日(水) 18時00分〜20時45分

 場所
 総務省第1特別会議室(中央合同庁舎2号館8階)

 出席者
(1 )調査研究会構成員(敬称略、五十音順)
伊東晋、隈部紀生、小塚荘一郎、塩野宏、篠原俊行、新美育文、野村敦子、
羽鳥光俊、舟田正之、村井純(10名)
(2 )ヒアリング対象者
社団法人衛星放送協会:植村会長
社団法人デジタルラジオ推進協会:東海林専務理事
BS八社会:生井株式会社ビーエス・アイ代表取締役社長
株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ:重村代表取締役社長
社団法人日本ケーブルテレビ連盟
  :高橋企画委員会副委員長
  (横浜ケーブルテレビジョン株式会社代表取締役社長)
(3 )総務省側
堀江情報通信政策局長、福岡総務課長、安藤放送政策課長、浅見放送技術課長、井上地上放送課調査官、今林衛星放送課長、江村地域放送課長、
小笠原放送政策課企画官、今泉放送政策課課長補佐

 議事
(1) 開会
(2) 議題
  デジタル化への取組みと課題について
(3) 閉会

 議事の概要
(本文中の記号の意味は、以下のとおり。
   ●…構成員の発言 ○…ヒアリング対象者の発言 △…事務局の発言)

デジタル化への取組みと課題について
(1) 社団法人衛星放送協会からの発表及び質疑応答
  社団法人衛星放送協会植村会長より、専門多チャンネル放送の経緯と現状、課題や今後の取組み放送政策への要望について説明が行われた。
  続いて、当該発表に関する質疑応答が行われた。主な内容は以下のとおり。

番組供給者とケーブルテレビの力関係につき、ケーブルテレビの側の力が強くなり、買い手優位となっていると記憶している。両者の取引ルールをご提案されているが、現在の買い手優位の状況の中で、ケーブルテレビが優越的な地位を濫用し、番組供給業者に不当な要求をするといったようなことがあるのか。
ケーブルテレビ連盟と衛星放送協会の間で何かのルールを探ろうと今模索中である。また、優越的地位については、公取委の見解では番組供給業者こそ優越的地位にあるとなっており、どちらが優越的地位にあるのかは分からない。

最近の米国での衛星放送とCATVの競争状況をご教示願いたい。
アメリカでは約7000万世帯にCATVが普及しており、そこに番組供給業者が参入して10%のシェアを取ったとしても700万件となり経営が成立する点が日本と異なる。番組供給業者とCATVの摩擦は聞いていない。

(2) 技術の動向についてのヒアリングに関する質疑応答
  社団法人デジタルラジオ推進協会東海林専務理事より、地上デジタルラジオ実用化試験放送につき現状と課題について説明が行われ、同時に実用化試験放送のデモンストレーションが行われた。
  続いて、当該発表に関する質疑応答が行われた。主な内容は以下のとおり。

地上デジタルラジオ放送はアナログからの移行ではなく、モアチャンネルとあるが地上デジタルラジオ放送により、地上ラジオ放送市場は膨らむのか。その科学的根拠を含めて伺いたい。
広告という部分では少し膨らむ程度。それ以外のビジネスモデル、課金やダウンロードサービス等のモデルが考えられるが、それのやり方を研究している段階。

東京の方で行っている実験について、3セグならではの内容があれば教えていただきたい。
1セグでは、ステレオ音声、簡易動画程度ならば今の技術でも出来るが、スムーズな動画、音声のダウンロード等についてはなかなか難しい。5.1チャンネルサラウンド放送については、現状では3セグ放送でしかできない。

デジタルラジオはどのように受信すればよいのか。普通にアンテナで受信できるのか。また、デジタルテレビの場合はコピー制限があるが、デジタルラジオについても録音は制限されるのか。
一般的に固定受信を考えると、固定のアンテナ、窓際の室内アンテナ等で受信でき、一定の電界があれば、ハイクオリティなサービスがそのまま受信側で再現できる。コピー制限については、音声放送ではコピーワンスを採用している。これは、CSPCM時代に、音声放送において既にリニアのPCMでコピーワンスという制限をかけており、デジタルラジオはMPEGでの圧縮によってそれよりは劣化することから同程度のコピー制限でよいであろうという理解に基づくもの。

今デジタル音声放送については、1セグのチャンネルと3セグのものとがあるが、将来の制度、政策的なことは決定しているのか。
1セグ、3セグについては、実用化試験放送では免許方針の中で1セグのほか3セグ放送も可能性を調査することができることとされているもの。本放送についてはこれから制度設計の問題であり、実用化試験放送におけるニーズやビジネスモデルを総合的に勘案しながら、今後、検討していく課題であると考えている。

(3) BS八社会からの発表及び質疑応答
  株式会社ビーエス・アイ生井代表取締役社長より、デジタル時代の映像メディア環境、BSデジタル放送の現状と課題及び今後の取組みや行政への期待について説明が行われた。
  続いて、当該発表に関する質疑応答が行われた。主な内容は以下のとおり。

放送事業者と番組制作会社との関係につき、共同制作や放送権購入が増えていると伺ったが、ビジネスとして、共同著作権としてその一部を持つのと放送権のみを購入するのとではかなり違うのか。
放送権料だけしか払わない場合は、番組制作会社が権利を全て持つ代わりに、安くできる。番組制作に絡む場合は、その資金を出すのでコストが跳ね上がる。

国際的な競争力という意味で、今後デジタル化がどのように関わってくると考えるか。
アニメ、CGを使った番組等は国際的にもこれからも相当競争力の強いソフトであると言える一方、ドキュメンタリー等リアルなものについては、売り込むのが難しい。

競争力のある者がグローバルに、正当に評価されるマーケットがあるのか。それとも制度的に解決しなければならない問題があるのか。
マーケットそのものはグローバルに存在する。ただし、視聴者に支持されなければ売り込めない。基本的には内容の実力の問題。

行政への期待の点で、複数のメディアを保有する者について触れているが、詳しい説明をお願いしたい。また、以前放送政策研究会において、地上からBSへの出資比率を緩和するという報告書を出し、現状においてそういう運営がなされているが、当面はそれで大丈夫か。
複数のチャンネルを保有する者、というのは有り体に言えば地上キー局。沢山のプレーヤーがいるのは健全なことであるが、狙う所は同一方向に行く。地上波と上手く連携できれば、その編成表案をうまくばらけることができる。出資については、シビアな局面も今後考えられるが、今のところ50%の範囲内でやっている。

BSに民放が参入する際、キー局参入の必然性は、持っているソフトを積極的に投入できる潜在的能力があるという点が強調されていた。民放系のBSデジタルにおいて、NHKのように地上波の高カロリーの番組を先行して投入した事例があるのか。
BSジャパンで地上波に先行して放送している番組もあったと思う。BSで先行すると、NHKのように一体経営であれば問題ないが、民放の場合は商業放送であり、地上波の場合の値段が下がることも考えられることから難しい。また、1局2波であるNHKに比べ、我々は別会社であるため、例えば、キー局設備利用の際にも税法上それなりの対価を支払う必要があり、そうしたコスト等も大きい。

キー局が民放BSを実効支配していると言える以上、本当にBSデジタルを成功させたいならばカロリーの高い番組を投入するべきではないか。
キー局はBSを半分恐れている面がある。資本的には別会社なので非常に微妙な関係。

行政への期待については、こういう場合には政策評価の一つの手段でもあるので、もっとストレートに述べてもらった方が我々としては考えやすい。また、BS相互についても、だめなBSにはそのチャンネルを吐き出させ、一生懸命やっている所によこせという話しか。
そういう面も含んでいるが、そこまで干渉するつもりは全くない。ただし、だめなところはどんどん出ていってもいいんじゃないか、ということをただ言いたかっただけ。

(4) 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズからの発表
  株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ重村代表取締役社長より、CSデジタル放送の現状及び課題並びに今後の取組みについて説明が行われた。

(5) 社団法人日本ケーブルテレビ連盟からの発表
  社団法人日本ケーブルテレビ連盟高橋企画委員会副委員長より、CATVの現状及び課題並びに今後の取組みについて説明が行われた。

(6) (4)(5)に関する質疑応答
主な内容は以下のとおり。

前の放送政策研究会の中で、NHKとしては110°CSデータ放送に参入する意欲を持っていながら、法律を変えないとできないことであるということで果たせなかった経緯があるが、NHKが入るともっとたくさんの加入者を110°CSは獲得することができたのではないか。
私の立場で言うと、NHKが入ることに関しては何の異論もない。NHK肥大化論の意味合いの問題はちょっと別だと思う。ただし、110°CSの一番の大きい問題というのは、アンテナの問題である。三波共用機になって、受信機はCSまで見られるけれども、アンテナはアナログのものではCSが十分映らないというのが現状。これが地デジの部分がでてきて、UHFアンテナとディッシュを両方一緒に交換出来るという条件が出てきているところ。

CATVの方で、自主番組で地域密着の地域の役に立つような番組というのは最近作られる傾向にあるのか。それともだんだんそういうものからは撤退する傾向にあるのか。
基本的には地域にさらに密着していく必要があるのかなというふうには思っている。各市町村の自治体のデータとか、例えば、警察の方に直接出ていただいてオレオレ詐欺への注意を喚起するとか、あるいは横浜ですといろいろな美術館だとかそういうところの催しのご案内をするという意味では今まで以上に密着性を高めていくということだろうと思う。
地域の政治あるいは社会問題とマスメディアとがあまり密着しすぎると、あるいはワンストップサービスもやり出してだんだんCATVが行政機関の一つになってしまうと、また別の問題が起こるかなと思い質問した。

  次回会合は、平成16年11月4日(木)18時00分から。


以上


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