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外資規制、間接規制であれ、直接規制であれ、これ自体を問い直すというのは、各国でもまだ動いていないのか。 |
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基本的には米国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、豪州、韓国はすべて、間接出資規制も含めて外資規制をやっている。英国では国内投資の促進という観点から、2003年にこの外資規制を外したが、いろいろと議論があり、一定のメディア企業の合併に際して、メディアの多様性についての公益テストをするという代替の手段を設けた上での撤廃。大勢としては、直接出資、間接出資含めて外資規制を行うというのが、今のところ、基本的な枠組み。 |
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外資規制は非常に古典的なドクトリン。マスメディア集中排除の原則とも並立し得るもの。一方においてマスメディア集中排除の原則がいろいろ議論になっているときに、外資規制がそのままということになって、いよいよもっと強化しろということだが、その辺のドクトリンと今後のあり方みたいなものは、ここの研究会の長期的な問題となるかもしれない。
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ドイツも外資規制そのものがあるようには思えないが、どんな代替的な手段を使っているのか。 |
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ドイツの場合には、独またはEU加盟国内の居住地要件がある例があるというのが一点。もう一つは、ドイツ番組、ドイツで制作された番組を流すということを免許の要件とし、そういう観点で実質的に外国製の排除というか、ドイツ文化の保護というか、そういったところを担保している。
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主要国の場合の外資制限ということに関しては、ベクトルはどちらを向いているのか。緩和の方なのか、ある特定の放送領域に関しては、むしろ、もう少し厳しくする方向なのか。 |
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同時に直接出資、間接出資を入れた国もあれば、比較的最近に至って間接出資を入れている国もある。一概にすべての国々で緩和の方向に向かっているわけではない。
もともと我が国の場合、直接出資規制で行っているが、ここ数年で外国法人の日本法人の株式を保有する割合が随分上がってきており、そういう状況の中で外資規制の実効を確保する意味からすると、間接出資のところを見なければならない。規制強化というよりは、規制の実質、もともとの政策目標の実質を確保するための制度的な手直し。
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直接規制と間接規制は、制度的にとにかく違うことは違うが、本質的にそんなに大きな変化なのか。 |
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規制をするという前提に立てば、それほど大きな変化ではないのだと思うが、規制をするかどうかという本質問題については、今回、特に議論をしていないということではないか。
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間接規制は、具体的にどういうふうにするつもりなのか。 |
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放送局の方で、主要株主として外国人がどの程度入っているかということについては、ご協力いただいてご報告いただく。また、大量保有報告等での把握等をあわせもって、放送局さんの方で状況を把握しつつ、名義書換等々に対応していただくというような形になろうかと思われる。
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英国については外資規制を外したのか。それとも最初からなかったのか。 |
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イギリスについては、外資規制はもともと存在したが、先ほどのような背景事情からこれを外し、一方においてメディア企業買収の際に多様性審査、公益性審査というものを行うという形になっている。また、イギリス国内におけるコンテンツの多様性、公共性を担保するための一定の審査が行われるという規定もあるようである。
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各国、上限ぎりぎりまで実際に外資規制、外国資本が入っているのか。また、そのときの外国資本というのは同業者なのか、それとも全然関係なく、利益、配当金を受け取るような会社なのか。 |
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データを持ち合わせていないので、別途、わかる範囲で調べ、説明させていただきたい。
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土地所有について外国人規制というのが日本でもかつてあったが、事実上、骨抜きになっている。放送分野においては、資本規制することによって目的を確保できるのか。 |
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電波は国際的に割り当てられている非常に有限希少な公共性の高い国民的財産であり、加えて、放送の場合には、一国の政治、経済、社会、文化、さまざまな分野に非常に大きな影響を及ぼすことにもなることから、基本は自国民優先という考え方に基づいて規律している。したがって、その所有について、議決権というものに着目した上で規制するということは、政策目的を実現する上で有効な手段であると各国でも考えられている。
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外国製の文化を排除しようというのはいろんなところでやっているが、日本が一番開けっ広げ。日本は放送政策について、そこをすぐ変えようという気持ちはないのか。 |
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外資についても、基本的に所有、主体規律というところでそれを排除し、番組の内容については、放送事業者さんの方の編集自律の中で対応していくのが基本というのがこれまでの考え方。そこについて現時点において変更するというような考え方は基本的に持ち合わせていない。
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次回会合は未定。