総務省 情報通信政策局 情報通信利用促進課 委託調査 国内外における視聴覚障害者向け放送に関する調査研究 報告書の概要 2006年8月21日 株式会社三菱総合研究所 1 調査研究の概要 1の1 調査研究の目標 ・ 本調査は、今後、総務省としての新たな視聴覚障害者向け放送に関する施策立案等に資するために、基礎資料として、視聴覚障害者向け放送を取り巻く実態を把握することを目的に実施したもの。 1の2 実施内容 ・ 本調査で実施した内容は、以下の通り。 (1)国内聴覚障害者アンケート調査 (2) 国内視覚障害者アンケート調査 (3)国内中高年層アンケート調査 (4)米国の字幕放送等に関する調査 (5) 英国の字幕放送等に関する調査 (6)韓国の字幕放送等に関する調査 (7)中国の字幕放送等に関する調査 (8)国内における字幕放送等の今後の展望に関する調査 ・ なお、本報告における字幕放送とは、他に記述が無い限り、クローズドキャプション(CC)付き放送のことを指す。 2 聴覚障害者アンケート調査結果 2の1 アンケート調査概要 実施期間:2006年2月28日から2006年3月10日 対象地域:全国7大都市圏(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡) 配布対象者:聴覚障害者450名(聾唖者150名、中途失聴・難聴者300名) 配布方法:聾唖者について財団法人全日本聾唖連盟の依頼を受けて各地区の聾唖者団体が、また中途失聴・難聴者について社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の依頼を受けて各地区の難聴者・中途失聴者団体が、それぞれ回答者を選定し、各団体から各回答者に郵送または直接手渡しで配布。返送は郵送。 配布内訳:聾唖者、中途難聴者・失聴者の双方において、配布対象者は以下のようになるよう配布。 男女比=1:1 (全国の聴覚障害者の男女比に合わせて) 年齢構成:50歳未満が約15%、50歳以上が約85%となるよう(全国の聴覚障害者の男女比に合わせて) 地域別:上記7地域それぞれにおいて7分の1ずつ 回収数:213(回収率=47.3%) 2の2 回答者属性 (1)性別 男性:32%、女性:66%、無回答:2% (2)年齢 40代以下:30%、50代:23%、60代:30%、70代以上:16%、無回答:1% (3)所属団体 聾唖連盟:30%、難聴者・中途失聴者協会:68%、無回答:2% (4)PC活用状況 活用:59%、未活用:39%、未回答:2% (5)インターネット活用状況 活用:53%、未活用:42%、未回答:5% (6)テレビ方式 デジタル:19%、アナログ:65%(内CC受信機保有:20%)、無回答:1% (7)同居健常者の有無 有:73%、無:22%、無回答:5% (8)失聴年齢 10歳以下:45%、11歳以上:47%、無回答:8% (9)障害級数 1級から2級:72%、3級以上:21%、無回答:7% (10)普段の生活様式 在宅が多い・どちらかと言うと多い:26%、外出が多い・どちらかという多い:55%、どちらとも言えない・無回答:19% (11)音声・字幕依存度 字幕・手話のみ(音声には頼らず):41%、音声と字幕・手話を併用:46%、主に音声(字幕・手話は補助):9%、無回答:5% 2の3 一般的なテレビ番組の視聴状況 ・ 1日のテレビ視聴時間は、「1時間から3時間」見ている回答者が最も多い。(平日54%、休日42%) 1日4時間以上見ている割合は33%(平日)から39%(休日)となる。 ・ テレビ視聴時間帯は「午後6時から午前0時」に見ている回答者が最も多い。(平日79%、休日83%) ・ 良く見るジャンル(字幕/手話付きか否かは問わず)は、ニュース・天気予報(83%) バラエティ(59%) その他娯楽番組(ドラマ、アニメ等)(53%)等。 2の4 字幕・手話番組の視聴状況 ・ 見る番組の9割以上は「字幕か手話付き」という人=31%、見る番組の5割〜9割は「字幕か手話付き」という人=37%であり、字幕・手話付き番組は多くの聴覚障害者にとって、よく見られている。 (以下は、おびグラフの説明。字幕・手話番組の視聴状況について示したもの。) 全体(N=213) 見る番組のほとんど(9割程度以上の時間)は、手話付き番組か字幕付き番組である 31% 見る番組の大半(5割から9割程度の時間)は、手話付き番組か字幕付き番組である 37% 見る番組の中で、手話付き番組や字幕付き番組は半分以下(2割から5割程度の時間)である 16% 見る番組が、手話付き番組か字幕付き番組であることは、ほとんど無い(0から2割程度の時間) 8% 無回答 8% ・ 字幕と手話のどちらの番組を見ることが多いかという点については、視聴可能な番組の数を反映している面もあるとは思われるが、「字幕番組のみ(手話番組は見ない)」「字幕番組の方が手話番組よりも見ることが多い」という回答を合計すると88%に達し、字幕番組の方が多く見られている。 (以下は、おびグラフの説明。字幕と手話のどちらの番組を見ることが多いかを示したもの) 全体(N=196) 「字幕付き番組のみ(手話付き番組は見ない)」52% 「字幕付き番組の方が手話付き番組よりも多い」36% 「字幕付き番組と手話付き番組は同じくらい」3% 「手話付き番組の方が字幕付き番組よりも多い」3% 「手話付き番組のみ(字幕付き番組は見ない)」0% 「手話と字幕が両方付いている番組のみ」3% 「無回答」4% 2の5 字幕・手話番組と今後のテレビ視聴 ・ 字幕番組が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えると考える回答者は、全体の80%。 (以下、おびグラフの説明。字幕が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えると考える回答者の割合を示したもの。) 全体(N=213) 「かなり増えると思う」44% 「多少は増えると思う」36% 「どちらとも言えない」12% 「あまり増えないと思う」5% 「全く増えないと思う」3% 「無回答」0% ・ 手話番組が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えると考える回答者は、全体の25%。 (以下、おびグラフの説明。手話番組が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えると考える回答者の割合を示したもの。) 全体(N=213) 「かなり増えると思う」5% 「多少は増えると思う」20% 「どちらとも言えない」28% 「あまり増えないと思う」16% 「全く増えないと思う」14% 「無回答」17% ・ 字幕や手話を増やして欲しいジャンルとしては、ニュース以外の報道番組(ニュース解説、討論、ワイドショー等)、次いでニュース・天気予報、教育・教養番組を望む割合が高い。 (以下、棒グラフの説明。字幕や手話を増やして欲しいジャンルについて) 全体(N=213) ニュース・天気予報 42% ニュース以外の報道番組 51% 教育・教養番組 41% スポーツ中継 18% 映画番組 23% バラエティ番組 34% 上記以外の娯楽番組 29% その他 3% 無回答 13% ・ 字幕か手話を付与して欲しい番組ジャンルについて、字幕と手話のどちらを付与して欲しいかという点については、字幕を要望する割合が高い。 (以下、棒グラフの説明。字幕か手話を付与して欲しい番組ジャンルについて、字幕と手話のどちらを付与して欲しいかという質問に対する回答を示したもの。) 全体(N=213) ニュース・天気予報(全体N=90)字幕77%、手話16%、無回答8% ニュース以外の報道番組(全体N=108)字幕90%、手話6%、無回答5% 教育・教養番組(全体N=88)字幕%、手話%、無回答% スポーツ中継(全体N=39)字幕79%、手話13%、無回答8% 映画番組(全体N=49)字幕92%、手話2%、無回答6% バラエティ番組(全体N=73)字幕90%、手話5%、無回答4% 上記以外の娯楽番組(全体N=61)字幕95%、手話2%、無回答3% その他(全体N=7)字幕86%、手話14%、無回答0% 無回答 13% 2の6 字幕・手話の見易さ、判りやすさ ・ 字幕自体の見易さ(字の大きさ、明るさ、位置等)については、「満足」と「概ね満足」の合計が、全体の半数弱の46%という結果となった。 (以下、おびグラフの説明。字幕自体の見易さについての満足度を示したもの。) 全体(N=213) ほぼ満足している8% 概ね満足している38% どちらとも言えない26% あまり満足していない20% 全く満足していない1% 無回答7% ・ 不満足の理由としては、文字化け、途中で切れる、画面との関係で見辛くなる、字が小さい等の意見が挙げられた。 ・ 字幕の判りやすさ(表示されている文字は読み取れても、その意味が伝わるかという点)については、「満足」と「概ね満足」の合計は64%という結果となった。 (以下、おびグラフの説明。字幕のわかりやすさについての満足度を示したもの。) 全体(N=213) ほぼ満足している16% 概ね満足している48% どちらとも言えない21% あまり満足していない8% 全く満足していない7% 無回答0% ・ 不満の理由としては、内容が正確でない時がある、字幕がつかない部分が存在する、スピードが速すぎる、言葉の選択が不適当、誰の台詞か判らない、等の意見が挙げられた。 ・ 生放送の字幕のタイムラグが「非常に気になる」割合と「若干気になる」割合を合計すると53%という結果となった。 (以下、おびグラフの説明。生放送の字幕のタイムラグが気になるという割合について示したもの。) 全体(N=213) 非常に気になる16% 若干気になる34% どちらとも言えない23% あまり気にならない18% 全く気にならない2% 無回答5% ・ 字幕を要約せずにそのまま表示するケース(ニュース等の生放送番組で実施)と、ある程度要約してから表示するケース(生放送以外のほとんどの番組で実施)の、どちらが望ましいかという点については、「要約無し」「どちらかというと要約無し」の合計28%と、「要約付き」「どちらかというと要約付き」の合計が30%と、ほぼ並ぶ結果となった。 (以下、おびグラフの説明。字幕の要約の有り無しどちらが望ましいかという割合について示したもの。) 全体(N=213) 要約なし10% どちらかというと要約なし18% どちらとも言えない31% どちらかというと要約付き24% 要約付き6% 無回答10% ・ なお、この点についてクロス分析を行った結果、以下のようなことが判明した。 年齢が高くなると要約を望む割合が高くなる傾向にある。 失聴年齢が高いほど要約を望む割合が高くなる傾向にある 障害レベルが重いほど要約を望む割合が高くなる傾向にある。 ・手話付き番組の判りやすさについては、「満足」と「概ね満足」の合計が15%と、「あまり満足していない」と「全く満足していない」の合計25%を下回る結果となった。 (以下、おびグラフの説明。手話付き番組のわかりやすさについての満足度を示したもの。) 全体(N=213) ほぼ満足している3% 概ね満足している12% どちらとも言えない37% あまり満足していない19% 全く満足していない23% 無回答0% ・ 不満の理由としては、画面が小さすぎる、口語が付かないことがある、要約のし過ぎ、スピードが速すぎる、自分(回答者)の地方表現と違う手話が使われている、等の意見が挙げられた。 2の7 オープンキャプション・テロップについて ・ ニュース・情報番組では、64%の回答者が、オープンキャプション・テロップ(以下OC)により番組内容を「ほぼ理解できていると感じる」または「ある程度理解できていると感じる」と回答した。 (以下、おびグラフの説明。OCによりニュース・情報番組の番組内容を理解できているかという質問についての回答を示したもの。) 全体(N=213) ほぼ理解できていると感じる13% ある程度理解できていると感じる51% どちらとも言えない19% あまり理解できていないと感じる6% 全く理解できていないと感じる2% 無回答8% ・ なお、この点についてクロス分析をおこなった結果、以下のようなことが判明した。 年齢が高くなるとOCで満足する傾向が高まる 失聴年齢が高いほどOCで満足する傾向が高まる 同居健常者が居るとOCで満足する傾向が高まる ・ 娯楽やバラエティ番組では、54%の回答者が、オープンキャプション・テロップ(以下OC)により番組内容を「ほぼ理解できていると感じる」または「ある程度理解できていると感じる」と回答した。 ・ なお、この点についてクロス分析をおこなった結果、以下のようなことが判明した。 失聴年齢が低いほどOCで満足する傾向が高まる 同居健常者が居るとOCで満足する傾向が高まる (以下、おびグラフの説明。OCにより娯楽・バラエティ番組の番組内容を理解できているかという質問についての回答を示したもの。) 全体(N=213) ほぼ理解できていると感じる9% ある程度理解できていると感じる45% どちらとも言えない24% あまり理解できていないと感じる8% 全く理解できていないと感じる2% 無回答11% 2の8 緊急時放送について ・ テレビ放送中に緊急ニュースの第一報をテロップで見た後、より詳しい情報を知りたいと思ったとき、どのような対応を行っているかという点については、56%がそのまま(字幕等無しでも)テレビを見続けて情報を得ており、緊急時でもテレビが重要な情報源として利用されている傾向が伺える。 (以下、おびグラフの説明。緊急ニュースの第一報後の、情報収集方法について示したもの。) 全体(N=213) そのままテレビを見て(字幕なしでも)、情報を得る56% インターネットで情報を得る7% 健常者に(同居者等)にテレビを見てもらい、健常者から情報を得る20% その他2% 無回答15% 2の9 受信機について ・ 受信機の利用しやすさについては、「ほぼ満足」と「概ね満足」の合計が半数近くの47%に達する。 (以下、おびグラフの説明。受信機の利用しやすさについての満足度を示したもの。) 全体(N=213) ほぼ満足している15% 概ね満足している32% どちらとも言えない24% あまり満足していない15% 全く満足していない1% 無回答13% 3 視覚障害者向けアンケート調査結果 3の1 アンケート調査概要 実施期間:2006年2月28日から2006年3月10日 対象地域:全国47都道府県 配布対象者:視覚障害者600名 配布方法:社会福祉法人日本盲人会連合会(日盲連)にてアンケート票を点訳し、次いで、日盲連から各地区の盲人団体に同アンケート票を送付。日盲連の依頼を受けた各地区の盲人団体は、回答者を選定し、各団体から回答者に直接郵送や手渡し等でアンケート票を配布。返送は郵送。点字で返送されたアンケート票については日盲連にて通常の文字に変換。 なお、各地区において配布できる部数に制約があることから、配布地域については、聴覚障害者向け調査のように全国7大都市圏に限定せず、全国47都道府県とした。 配布内訳:配布対象者は以下のようになるよう配布を行った。 男女比=1:1 (全国の聴覚障害者の男女比に合わせて) 年齢構成:50歳未満が約10%、50歳以上が約90%となるよう(全国の視覚障害者の男女比に合わせて) 地域別:各都道府県均一になるよう。 回収数;267(回収率=44.5%) 3の2 回答者属性 (1)性別 男性:66%、女性:32%、無回答:3% (2)年齢 40代以下:25%、50代:29%、60代:33%、70代以上:9%、無回答:3% (3)PC活用状況 活用:63%、未活用:34%、未回答:3% (4)インターネット活用状況 活用:52%、未活用:43%、未回答:5% (5)同居健常者の有無 有:55%、無:39%、無回答:5% (6)視覚を失った年齢 10歳以下:39%、11歳以上:51%、無回答:10% (7)障害級数 1級:67%、2級:11%、3級以上:3%、無回答:19% (8)普段の生活様式 在宅が多い・どちらかと言うと多い:52%、外出が多い・どちらかという多い:34%、どちらとも言えない・無回答:15% 3の3 一般的なテレビ番組の視聴状況 ・ 1日のテレビ視聴時間は「1時間から3時間」見ている回答者が最も多い。(平日51%、休日53%) 1日に4時間以上テレビを視聴している割合は27%(平日)から28%(休日)程度である。 ・ 参考までにラジオについては、1日に4時間以上ラジオを聴取している割合は44%(平日)から34%(休日)であり、ラジオの方が利用されている。 ・ テレビの視聴時間帯は、「午後6時から午前0時」に利用している回答者が最も多い。(平日68%、休日67%) ・ ラジオの視聴時間帯は、平日は「午前7時から午後0時」に聴いている回答者が最も多い(42%)が、休日では「午後6時から午前0時」に聴いている回答者が最も多くなる(39%)。 ・ 良く利用するテレビ番組のジャンルは、ニュース・天気予報(81%)、ニュース以外の報道番組(ニュース解説、討論、ワイドショー等)(55%)、スポーツ中継(47%)等である。 3の4 解説番組の視聴状況 ・ 「利用する番組に解説が付いていることは、ほとんど無い」という回答が76%に上る。これは、実際に解説番組が少ないことを反映していると思われる。 (以下、おびグラフの説明。利用している番組に解説がついている割合について示したもの。) 全体(N=267) 利用する番組のほとんど(9割程度以上の時間)は、解説がついている3% 利用する番組の大半(5割から9割程度の時間)には、解説がついている3% 利用する番組の中で、解説が付いているのは半分以下である(2割から5割程度の時間)15% 利用する番組に、解説が付いていることは、ほとんど無い(0割から2割程度の時間)76% 無回答3% 3の5 解説付き番組と今後のテレビ視聴の関係 ・ 解説が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えるという割合は69%。 (以下、おびグラフの説明。解説が増えればテレビ視聴が増えるかという問いに対する回答を示したもの。) 全体(N=267) かなり増えると思う33% 多少は増えると思う36% どちらとも言えない14% あまり増えないと思う8% 全く増えないと思う6% 無回答3% ・ 解説を増やして欲しいジャンルとしては、ニュース・天気予報(55%)、映画番組(37%)等。 (以下、棒グラフの説明。解説を増やして欲しいジャンルについて示したもの。) 全体(N=267) ニュース・天気予報55% ニュース以外の報道番組31% 教育・教養番組33% スポーツ中継28% 映画番組37% バラエティ番組4% 上記以外の娯楽番組26% その他4% 無回答13% ・ なお、ニュース・天気予報番組への解説増加ニーズについては関連分析を後述。 3の6 解説の判りやすさ ・ 「満足」と「概ね満足」の合計が50%。 (以下、帯グラフの説明。解説のわかりやすさについての満足度を示したもの。) 全体(N=267) ほぼ満足している24% 概ね満足している26% どちらとも言えない26% あまり満足していない4% 全く満足していない3% 無回答16% ・ 不満足の理由としては、内容が不十分(想像つきにくい、描写の不的確など)、説明が細かすぎる、台詞と解説が重なる、等の意見が挙げられた。 3の7 通常番組について ・ 解説番組ではない健常者向け番組における、アナウンサー等による「これ」「あれ」等の指示語の多用や、外国人が話す場面で外国語が訳されないこと等について、改善を(強く/やや)望む割合は、82%。 (以下、おびグラフの説明。健常者向け番組に対する改善を望む割合を示したもの。) 全体(N=267) よくそう思う61% ややそう思う21% どちらとも言えない7% あまりそう思ったことはない3% 全くそう思ったことはない1% 無回答7% ・ なお、この「通常番組の判りにくさに対する不満」が、3の5節の解説を付与して欲しい番組ジャンルに「ニュース・天気予報」が挙げられていることに影響を与えている可能性が高い。 3の5節の解説を増やして欲しい番組ジャンルで、「ニュース・天気予報」を挙げた回答者は、全体では前述の通り55%であるが、「通常番組における指示語の多用や外国語が音声として訳されないことを改善して欲しいか」という設問に「よくそう思う」と回答した層の中では60%に達する。 3の8 解説番組の探し方 ・ 解説番組の探し方は、同居する健常者(26%)、視覚障害者団体からの情報(17%)等であった。 (以下、おびグラフの説明。解説番組の探し方について示したもの。) 全体(N=267) 視覚障害者団体等からの情報17% 健常者(同居者等)からの情報26% 放送事業者から(番組宣伝、PR番組、放送事業者インターネットでの案内など)14% その他28% 無回答15% 3の9 緊急時放送について ・ 緊急ニュース速報等の警告音に対し、それがどんな内容の緊急放送か(ニュース速報なのか、気象関係速報なのか)判断できずに不便に思ったことがある割合は、合計88%。 (以下、おびグラフの説明。緊急ニュース速報の警告音に対し、その内容を判断できずに不便に思ったことがある割合を示したもの。) 全体(N=267) よくそう思う76% ややそう思う12% どちらとも言えない1% あまりそう思ったことはない4% 全くそう思ったことはない3% 無回答4% ・ 警告音後の情報収集手段としては、ラジオ(37%)、健常者からの情報(29%)に次いで、テレビ(22%)であった。 (以下、おびグラフの説明。警告音後の情報収集手段について示したもの。) 全体(N=267) そのままテレビを見て(解説なしでも)情報を得る22% ラジオにより情報を得る37% インターネットで情報を得る3% 健常者に(同居者等)にテレビを見てもらい、健常者から情報を得る29% その他2% 無回答7% 3の10 受信機について ・ 受信機の使いやすさに対しては、「ほぼ満足」と「概ね満足」の合計が43%。 (以下、おびグラフの説明。受信機の使いやすさについての満足度を示したもの。) 全体(N=267) ほぼ満足している18% 概ね満足している25% どちらとも言えない29% あまり満足していない14% 全く満足していない5% 無回答8% ・ 不満の理由としては、副音声機能の使い方が困難、副音声のボリュームが調節できない、副音声に切り替わっているかが実際に副音声が流れるまで判らない、等の意見が挙げられた。 ・ リモコンの使いやすさに対しては、「ほぼ満足」と「概ね満足」の合計が40%。 (以下、おびグラフの説明。リモコンの使いやすさについての満足度を示したもの。) 全体(N=267) ほぼ満足している15% 概ね満足している25% どちらとも言えない20% あまり満足していない19% 全く満足していない8% 無回答12% ・ 不満の理由としては、ボタンが多すぎる(特にデジタルテレビ)/小さすぎる/区別できない、ボタンを押したときの反応音が欲しい、メーカーによってボタンの位置がバラバラ、等の意見が挙げられた。 4 中高年層向けアンケート調査結果 4の1 アンケート調査概要 実施期間:2006年2月28日から2006年3月3日 対象地域:全国7大都市圏(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡) 配布対象者:50歳代以上の男女 配布方法:インターネットアンケートにより実施。Goo Researchの会員から、上記条件を満たす会員にメールを送信し、予め設計した回答画面にて回答してもらった。 回答者が目標の200に達した時点で調査を終了した。(最終的な回答者数は219件) 4の2 回答者属性 (1)性別 男性:49%、女性:51% (2)年齢 50歳から54歳:45%、55歳から59歳:31%、60歳から64歳:9%、65歳から69歳:7%、70歳以上:8% (3)同居者の有無 有:89%、無:11% 4の3 回答者層におけるテレビの見易さ・聞き易さ ・ 今回の回答者層では、「普段から見辛い」または「見辛いことがある」割合は8%。 ・ 同様に、「普段から聞き取り辛い」または「聞き取り辛いことがある」割合は13%。 4の4 一般的なテレビ番組の視聴状況 ・ 1日のテレビ視聴時間は「1時間から3時間」見ている回答者が最も多い。(平日51%、休日38%) 1日に4時間以上テレビを視聴している割合は39%(平日)から57%(休日)程度である。 ・ テレビの視聴時間帯は、「午後6時から午前0時」に利用している回答者が最も多い。(平日84%、休日87%) ・ 良く利用するテレビ番組のジャンルは、ニュース・天気予報(79%)、ニュース以外の報道番組(ニュース解説、討論、ワイドショー等)(52%)、バラエティ番組(48%)等である。 4の5 視聴覚障害者向け放送の認知状況 ・ 字幕放送を知っていたのは47%、聞いたことがあるのは42%。 ・ 解説放送を知っていたのは13%、聞いたことがあるのは35%。 ・ (なお、以降では手話放送については質問しておらず。) (以下、おびグラフの説明。字幕放送及び解説放送の認知状況を示したもの。) 全体(N=219) 字幕放送を、知っていた47%、聞いたことがある42%、全く知らない12% 解説放送を、知っていた13%、聞いたことがある35%、全く知らない53% ・ 但し、字幕放送を知っていた回答者の中で、具体的番組名までを知っているのは、「良く知っている」4%及び「ある程度は知っている」42%の合計の、46%程度 ・ 同様に、解説放送を知っていた回答者の中で、具体的番組名まで「ある程度は知っている」のは54%。 (以下、おびグラフの説明。字幕放送及び解説放送を行っている具体的番組名まで知っている人の割合を示したもの。) 字幕放送(全体N=103)よく知っていた4%、ある程度知っていた42%、どちらとも言えない10%、あまり知らない36%、全く知らない8% 解説放送(全体N=28) よく知っていた0%、ある程度知っていた0%、どちらとも言えない54%、あまり知らない25%、全く知らない21% ・ また、字幕放送を知っていた回答者の中で、視聴方法(専門受信機の必要性等)までを知っているのは、「良く知っている」9%及び「ある程度は知っている」37%の合計の、46%程度。 ・ 同様に、解説放送を知っていた回答者の中で、視聴方法(副音声の必要性等)までを知っているのは、「良く知っている」25%及び「ある程度は知っている」46%の合計の、71%程度であり、解説放送のことを認知している場合は、利用の仕方まで認知されている傾向が強い。 (以下、おびグラフの説明。字幕放送を知っていた回答者の中での、視聴方法の認知状況を示したもの。) 全体(N=103 ) よく知っていた9%、ある程度知っていた37%、どちらとも言えない9%、あまり知らない24%、全く知らない22% (以下、おびグラフの説明。解説放送を知っていた回答者の中での、視聴放送の認知状況を示したもの。) 全体(N=28) よく知っていた25%、ある程度知っていた46%、どちらとも言えない7%、あまり知らない14%、全く知らない7% 4の6 字幕放送等の利用意向等 ・ 字幕放送について「今後視聴する可能性がある」と回答した割合は14%。これとは別の4%が既に視聴中。 ・ 解説放送について「今後視聴する可能性がある」と回答した割合は16%。これとは別の3%が既に視聴中。 (以下、おびグラフの説明。字幕放送及び解説放送について、視聴意向状況を示したもの。) 全体(N=219) 字幕放送 既に視聴4%、今後視聴する可能性がある14%、どちらとも言えない26%、あまり関心がない44%、全く関心がない12% 解説放送 既に視聴3%、今後視聴する可能性がある16%、どちらとも言えない27%、あまり関心がない41%、全く関心がない14% ・ なお、現在の視聴環境で字幕放送を受信できるのは、17%。 ・ 同様に、現在の視聴環境で解説放送を受信できるのは、43%。 (以下、おびグラフの説明。現在の視聴環境について示したもの。) 全体(N=219) 字幕放送 受信可能17%、受信不可74%、わからない10% 解説放送 受信可能43%、受信不可38%、わからない19% ・ 一方、字幕放送が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えると考えるのは、7%。 ・ 同様に、解説放送が増えればテレビ視聴が(かなり/多少)増えると考えるのは、9%。 (以下、おびグラフの説明。字幕放送及び解説放送が増えれば、テレビ視聴が増えると回答した人の割合を示したもの。) 全体(N=219) 字幕放送 かなり増える2%、多少増える5%、どちらとも言えない26%、あまり増えない37%、全く増えない30% 解説放送 かなり増える1%、多少増える8%、どちらとも言えない27%、あまり増えない39%、全く増えない25% 5 米国字幕放送等に関する調査 5の1 番組への字幕や解説付与の義務付け ・ 1990年のAmericans with Disabilities Act (ADA)制定以降、アメリカ社会では障害者への機会平等に対する認識が拡大、また障害者差別が厳しく禁止。放送関連では、公共の場でのテレビや映画等に字幕や手話、解説を付与することが義務付け。 ・ ADAの制定を受けて、放送分野でもTelevision Decoder Circuitry Actが同じ1990年に制定され、13インチ以上のテレビ受信機へのCCデコーダー内蔵が義務付け。 ・ 1998年からFCCは、各放送局等に対する以下のような字幕放送(対象:英語の番組)付与義務を開始。(但し、例外規定はある。) (以下、表の説明。新番組(1998年1月1日以後初放送)の四半期毎のCC付与義務を示したもの。) 放送開始時期:2000年1月1日から2001年12月31日最低450時間 放送開始時期:2002年1月1日から2003年12月31日最低900時間 放送開始時期:2004年1月1日から2005年12月31日最低1350時間 放送開始時期:2006年1月1日から100% (以下、表の説明。従来番組(1997年12月31日以前初放送)の四半期毎のCC付与義務を示したもの。) 放送時期:2003年1月1日から2007年12月31日30% 放送時期:2008年1月1日から75% ・ 手話放送と解説放送には付与義務は制定されていない。 ・ 解説放送への付与義務(週50時間以上の義務付け等)は2000年にFCCにより一度提案されているが、MPAA(Motion Picture Association of America)が「FCCにそのような権限は無い」と主張・提訴し、2002年に連邦上訴裁判所がMPAAの主張を認める判決。 5の2 字幕放送等の放送実態 ・ 字幕放送については、上記の付与義務が達成されている。 ・ 手話放送は、大統領の公共演説やシンポジウム等の番組で主催者が手話通訳を用意する場合や、地域社会のニュース等、一部で実施。 ・ 解説放送は、2004年3月時点で放送されているものとしてPBS系では16番組、CBS系で2番組、NBC系で4番組及び一部の映画、ABC系で一部の映画、FOX系で4番組がある。またNickelodeonをはじめとするケーブルチャンネルでも解説放送は実施されている。 5の3 字幕放送等に対する制度的支援 ・ 教育省がIndividuals with Disabilities Act (IDEA)を1997年に制定。これにより、教育番組やニュース、情報提供番組等への字幕付与を助成。 ・ IDEAは2004年に再延長(2011年まで)。この際に、付与されるものとして解説も追加。また付与対象としてテレビ番組以外にビデオ、DVD等も追加。 ・ IDEAの規模は、毎年1200万ドル程度。(字幕・手話の合計:両者への配分については不明) ・ 手話に対する政府助成はなされていない模様。 5の4 字幕等付与の実際 ・ 字幕制作はほとんどのケースで、専門業者への外注により実施。 ・ 字幕制作の外注業者として、聴覚障害者団体により公認されているのは全米37社。 ・ 字幕制作費は、内容や、生か録画かといった点にもよるが、概ね1時間当たり数百ドル。 ・ 字幕制作費の負担は、政府(助成の対象になる番組の場合)、スポンサー企業、チャリティー団体等、及び放送局や番組制作会社自身。 ・ 生字幕の場合、裁判所速記専門学校等で訓練を受けた人材が担当し、精度は98%以上。多くは、特殊キーボードを利用。こうした人材の団体として、National Court Reporters Association(NCRA)等があり、NCRAのメンバーは27000人に達する。 ・ 上記とは別に、リスピーク方式も一部で採用。 ・ 制作方法やスケジュール等は日本とほぼ同様。 ・ 解説の制作もほとんどのケースで、専門業者への外注により実施。 ・ 代表的な専門機関としては、WGBH(PBS系列のボストンの公共放送局)のMedia Access Group等。 ・ 解説制作費は、内容にもよるが、概ね1時間当たり数百ドル。 ・ 解説制作費の負担は、政府(助成の対象になる番組の場合)、スポンサー企業、チャリティー団体等、及び放送局や番組制作会社自身。 ・ 制作方法やスケジュール等は日本とほぼ同様。 5の5 字幕等付与のドライビングフォースと今後の展望 ・ CCについて、日本よりも付与が進んでいる背景には、制度的側面に加えて、以下のような社会的状況が大きく作用している事情があると考えられる。 英語の入力が日本語に比べると容易である点 じん口当たりの視聴覚障害者の数が多い点(聴覚障害者の人口比は、日本では公式統計で0.2%だが、アメリカではNational Center for Health Statisticsによると人口比0.2%から1.7%。同センターによると、「何らかの聴覚障害を持つ」人の人口比は3.5%。 障害者の情報アクセス保障に対する社会の意識が高く、差別と捉えられると訴訟を含めて社会的制裁を受けやすくなっている点。 ・ 今後については、字幕は質の向上が、また解説は量の拡大が、課題。字幕に全く問題ない番組の割合は、録画番組で64%、生放送番組で30%程度との調査結果もある。但し罰則などは無い。 5の6 緊急放送 ・ 通常番組を中断するような緊急ニュース放送では、緊急情報を主音声で伝えるのに加え、CC、OC、テロップ等で提供する必要がある。そうではない緊急情報(テロップで流すのみ)の場合、警告音を出すことが必要。 ・ 上記を順守しない放送局に対してFCCは罰金を課す。2005年は7局が罰金を支払っている。 6 英国字幕放送等に関する調査 6の1 番組への字幕や解説付与の義務付け ・ 2005年3月にOFCOMがCode On Television Access Servicesの中で字幕・手話・解説放送に関する10年間の普及目標(義務)を公表。BBCもOFCOMと締結したBBC Agreementにより同様の目標を制定。 (以下、表の説明。英国の字幕放送等の普及目標について示したもの。) 単位:対象除外とされなかった全番組の放送時間に占める割合(%) OFCOMが公表した普及目標 基準年後の年 1年目字幕10%解説2%手話1% 2年目字幕10%解説4%手話1% 3年目字幕35%解説6%手話2% 4年目字幕35%解説8%手話2% 5年目字幕60%解説10%手話3% 6年目字幕60%解説10%手話3% 7年目字幕70%解説10%手話4% 8年目字幕70%解説10%手話4% 9年目字幕70%解説10%手話4% BBCが制定した普及目標 2004年度「BBC1,2」字幕85%、解説6%、手話3%、「その他BBC」字幕60%、解説6%、手話3% 2005年度「BBC1,2」字幕90%、解説6%、手話3%、「その他BBC」字幕70%、解説6%、手話3% 2006年度「BBC1,2」字幕95%、解説8%、手話4%、「その他BBC」字幕80%、解説8%、手話4% 2007年度「BBC1,2」字幕97%、解説8%、手話4%、「その他BBC」字幕90%、解説8%、手話4% 2008年度「BBC1,2」字幕100%、解説10%、手話5%、「その他BBC」字幕100%、解説10%、手話5% ・ 但し、例外規定はある。 ・ なお上記目標の決定経緯としては、視聴覚障害者団体や放送局等と調整して決定。 6の2 字幕放送等の放送実態 ・ 2004年度の主な放送事業者の実績をみると、全ての局が目標達成。 (以下、表の説明。2004年における、主な放送事業者の字幕放送等目標値の達成度を示したもの。) BBC1「字幕」目標値85% 達成値90.4%、「音声解説」目標値6% 達成値6.7%、「手話」目標値3% 達成値3.1% BBC2「字幕」目標値85% 達成値92.1%、「音声解説」目標値6% 達成値6.2%、「手話」目標値3% 達成値3.1% BBC3「字幕」目標値60% 達成値70.6%、「音声解説」目標値6% 達成値13.0%、「手話」目標値3% 達成値3.7% BBC4「字幕」目標値60% 達成値62.9%、「音声解説」目標値6% 達成値7.3%、「手話」目標値3% 達成値3.6% CBBC「字幕」目標値60% 達成値67.6%、「音声解説」目標値6% 達成値5.3%、「手話」目標値3% 達成値3.3% CBeebies「字幕」目標値60% 達成値77.7%、「音声解説」目標値6% 達成値7.6%、「手話」目標値3% 達成値3.8% BBC News 24「字幕」目標値60% 達成値60.6%、「音声解説」適用除外、「手話」目標値3% 達成値3.0% 民放(民放の目標は改定前の旧目標値) ITV1(excl.GMTV)「字幕」目標値83% 達成値92.2%、「音声解説」目標値6% 達成値6.5%、「手話」目標値3% 達成値3.2% ITV2 「字幕」目標値39% 達成値44.0%、「音声解説」目標値6% 達成値7.9%、「手話」目標値3% 達成値3.6% GMTV1「字幕」目標値58% 達成値91.1%、「音声解説」適用除外、「手話」目標値3% 達成値3.1% GMTV2「字幕」目標値39% 達成値40.2%、「音声解説」目標値6% 達成値13.1%、「手話」目標値3% 達成値5.2% Channel4「字幕」目標値80% 達成値82.0%、「音声解説」目標値6% 達成値9.6%、「手話」目標値3% 達成値3.2% Five「字幕」目標値60% 達成値62.2%、「音声解説」目標値6% 達成値6.1%、「手話」目標値3% 達成値3.1% 6の3 字幕放送等に対するその他制度 ・ 字幕や手話、解説の品質について、OFCOMではガイドラインを制定。 ・ 例えば、字幕放送における文章の分割方法、表示スピード、時差等の基準を記載。他に、手話放送における手話通訳者の画面上の大きさや、解説放送における表現方法等が、詳細に記載。 ・ 時間帯としては、字幕と解説についてはプライムタイムに放送されることを奨励。手話についてはプライムタイム以外での放送を許容。 ・ 制度として、上述の義務付けやガイドライン以外のもの(例えば助成等)は行われていない模様。 6の4 字幕等付与の実際 ・ 字幕制作は生放送の場合、特殊なキーボードを用いた速記入力か、リスピーク方式を採用。 ・ また、BBCでは更なる効率化のための技術開発を実施中。 ・ 手話放送についてはCG手話や、クローズド化の技術開発を、また解説放送については音声圧縮やボリュームコントロールについての技術開発等をBBCが実施中。 ・ その他については、日本の場合とほぼ同じ。 ・ なお、自社制作と外注の双方が行われているが、字幕制作コストは1時間当たり250ポンドから300ポンド(1ポンド約210円)、解説は1時間当たり500ポンド程度と言われている。 6の5 字幕等付与のドライビングフォースと今後の展望 ・ CC等について、日本よりも付与が進んでいる点や、高い目標が掲げられた背景には、制度的側面に加えて、以下のような社会的状況が大きく作用している事情があると考えられる。 英語の入力が日本語に比べると容易である点 じん口当たりの視聴覚障害者の数が多い点(市場として、また 働きかける力として重要) 補足:聴覚障害者の人口比は、日本では公式統計で0.2%だが、英国Royal National Institute for the Deaf Peopleによると人口比14.9%。これは、英国における聴覚障害の基準が日本とは異なるため。視覚障害者についても、日本では人口比0.3%だが、英国ではRoyal Nationa Institute for the Blind Peopleによると人口比1.7%。同Instituteによると、「何らかの視覚障害」を有する人口比は3.4%。 6の6 緊急放送 ・通常番組を中断するような緊急ニュース放送では、緊急情報を主音声で伝えるのに加え、CC、OC、テロップ等で提供する必要がある。 7 韓国字幕放送等に関する調査 7の1 番組への字幕や解説付与の義務付け ・ 義務付けは無いが、近年の放送法施行令や放送評価規制の改正等において、字幕・手話・解説放送の増大を奨励するような制度改革が行われた。 ・ 現在は更に、これらの放送を義務付けるような放送法改正の動きが進展中。 7の2 字幕放送等の放送実態 ・ 字幕放送等の放送実態は以下の通り。 (以下、表の説明。各放送局の平均週間放送時間における字幕放送等の占める割合を示したもの。韓国放送研究院まとめ。) KBS-1 2001年度 総放送時間6820分 字幕放送2050分(30%)手話放送65分(1%)解説放送 空欄、2005年度 総放送時間7330分 字幕放送2750分(38%)手話放送35分(0.5%)解説放送70分(1%) KBS-2 2001年度 総放送時間6990分 字幕放送 空欄 手話放送 空欄 解説放送 空欄、2005年度 総放送時間7360分 字幕放送1745分(%)手話放送100分(1%)解説放送分290(4%) MBS 2001年度 総放送時間7513分 字幕放送1836分(24%)手話放送40分(0.5%)解説放送55分(1%)、2005年度 総放送時間7195分 字幕放送2360分(33%)手話放送40分(0.6%)解説放送295分(4%) SBS 2001年度 総放送時間7105分 字幕放送438分(6%)手話放送40分(0.5%)解説放送 空欄、2005年度 総放送時間7305分 字幕放送2410分(33%)手話放送20分(0.3%)解説放送326分(4.5%) EBS 2001年度 総放送時間6980分 字幕放送565分(8%)手話放送 空欄 解説放送分 空欄、2005年度 総放送時間7050分 字幕放送1090分(16%)手話放送90分(1%)解説放送 空欄 ・ 手話放送の2006年1月における週平均の放送実態は、総放送時間中0.8%の350分程度。 ・ 解説放送の2006年1月における週平均の放送実態は、総放送時間中3.6%の1480分程度。 7の3 字幕放送等に関するその他制度 ・ 受信機器の普及や、番組拡大の支援のために、国庫からの助成が行われている。2006年の助成金額は24億ウォン(およそ2.3億円)。 7の4 字幕放送等の制作の実態 ・ 字幕や解説の制作は専門業者への外注により行われるケースがほとんどであり、制作実務は日本とほぼ同様。字幕の正確さは98%、時差は4秒以内とのこと。 ・ 字幕制作費は1時間当たり21万ウォン(2万円)程度。 ・ 解説制作費は1時間当たり100万ウォン(10万円)程度。 7の5 字幕等付与のドライビングフォース ・ 障害者向け情報アクセス改善に対する近年の社会的関心増大 ・ ハングル文字の入力が比較的容易である点。(英語ほどではないが、日本語のように「変換」を要する漢字が近年はあまり使われなくなっている。) 8 中国字幕放送等に関する調査 ・ 2006年3月の北京における字幕(中国ではオープンキャプション)、手話、解説放送の放送実態は以下の通り。 (以下、表の説明。北京市の地上波テレビにおける字幕放送等の時間数と割合を示したもの。) (2006年3月7日から3月13日調査、対象:地上波6チャンネル) 視覚障害者向け番組の放送時間数、及び前放送時間中の割合(%) 字幕13955分(30.6%)、手話120分(0.26%)、解説0番組(0%) ・ このうち字幕番組のジャンル別割合は以下の通り。なお、手話放送は、毎日午前中に放送のニュース番組。 (以下、表の説明。字幕番組のジャンルの割合を示したもの。) 時事評論・ニュース 1660分(11.9%) ドラマ 4570分(32.8%) 教育 3625分(26.0%) 芸術 3225分(23.1%) アニメ 490分(3.5%) バラエティ 385分(2.8%) ・ 字幕制作方法は、通常のキーボードを用いた高速入力が行われているとのこと。 ・ 中国における字幕放送拡大のドライビングフォースとしては、以下が考えられる。 方言が使われる地域が多いため、標準語を推進する国家政策の一環と位置付けられている可能性 非常に安い人件費を活用した人海戦術が可能である点 少ない打鍵での入力が可能である点(部首入力) 9 国内における字幕放送等の今後の展望に関する調査 ・ 生放送への字幕付与の見通し:当面は、高速キーボード入力による方法が主流。一部、対応が可能な範囲についてはリスピーク方式が採用されるようになる。中長期的には、技術的ブレークスルーが起こればダイレクト音声認識が拡がる可能性。 ・ 但し、高速キーボード入力の課題として、討論番組等のジャンルへの対応が困難な点や、サービス提供事業者のキャパシティ不足の可能性、といった点がある。 ・ 録画番組への字幕付与:VTR納品が放送直前になるケースが増えているため、予め字幕を付けることが困難になりつつある。→ 生放送と同じ方法での字幕付与が増える可能性。 ・ 手話放送の見通し:上述の、VTRの直前納品という実態に対し、「後から手話を入れる」ことが困難になりつつある。CG化の研究開発は行われているが短期的な実用化見通しは立っていない。 ・ 解説放送の見通し:放送の2週間前に完成台本とテープが納品されていないと解説を制作できないため、納期・コスト面で困難になりつつある。原稿自動読み上げのような研究がなされているが、短期的な実用化見通しは立っていない。 以上 |