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携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会(第8回) 議事要旨


1  日時
    平成17年2月3日(木) 1030分から12時00


2  場所
    総務省 9階 第3特別会議室


3  出席者(敬称略)
   座長 :  土居 範久
  構成員 :  荒木 純道、黒川 和美、関口 和一、高田 潤一、多賀谷 一照
長田 三紀、三谷 政昭、村上 輝康、吉田 進
  総務省 :  有冨総合通信基盤局長、竹田電波部長、稲田電波政策課長、吉田事業政策課長
  事務局 :  児玉移動通信課長、竹村移動通信課推進官、松井(俊)移動通信課課長補佐、
松井(正)移動通信課課長補佐


4  議事
   (1)   開会
  (2) 配付資料確認
  (3) 議事
 「意見の要旨(案)の検討」
  (4) その他
   (5) 閉会


5  議事の概要
   (1)    配付資料の確認
   事務局より、配付資料の確認がなされた。

  (2)   前回議事要旨案の確認
  座長より、資料8-1の前回議事要旨案について、特段の意見等がある場合は、事務局に連絡して欲しいとの要請があった。

  (3)   第1回から第4回までの議事要旨案の確認
  座長より、資料8-2-1から8-2-4までの第1回から第4回までの詳細な議事要旨案について、特段の意見等がある場合は、事務局に連絡して欲しいとの要請があった。

  (4)   前回の議論に対する意見
  構成員から、前回の議論に関連してコメントがあった。コメントの内容は以下のとおり。
  2点コメントさせていただきたい。
  第1はMVNOについてである。前回、周波数の免許を受けたMNOに対してMVNOへの開放を義務付けてはどうかという議論があったが、諸外国の例を見ると、確かに香港では義務化しているが、その他の国では検討中、場合によってはやめたという例もある。
  また、何がMVNOであるかについて詳細な詰めをしないまま今まで議論してきたのではないかと考えている。先日、インターネットでMVNOを検索したところ、付加価値サービス的なもの、インターネットでいえば日本通信、セコムの関連会社の位置情報サービス、またトヨタのG-BOOKMVNOの一例とされていた。このように、もともとMVNOは、付加価値的なサービスの概念として捉えられていたが、前回の議論はむしろ周波数の一部の利用、周波数を利用できる携帯端末の一定台数を割り当てるといった、よりベーシックな部分の話になっている。ベーシックな部分を義務化するということは周波数の分割に近い議論であり、最初に話が戻ってしまう。MVNOを付加価値的なサービスとして定義するのではなく、周波数の割当てを事実上含むような形で義務付けるということは、若干問題があるのではないかと考える。
  本来、MVNOは付加的なサービスでありMVNOにより需要がそれなりに拡大すれば、ネットワークオペレータの利用も拡大する。基本的に有線も同じであって、NTT回線において付加価値サービスの議論があったように、ネットワークオペレータが付加価値サービスの参入を除外するような動きをしたら、規制官庁がその段階で規制するということだと考える。
  いずれにしろMVNOの定義を詳細に議論していない段階で、それを義務化するという議論をすることは時期尚早であると考える。
  第2に、前回、1.7GHzギガヘルツ帯の新規参入について議論があったが、今日携帯電話がこれだけ普及したのは、80年代、90年代にかけて、自動車電話、あるいはポケベルの時代からここまで発展した間、事業者が切磋琢磨して競争したという面もあるが、それよりも技術革新により需要が拡大したという面が大だと考えている。
  ユニバーサルサービスというわけではないが、携帯電話の普及は8,000万台以上になり、ほとんど全ての国民が所有しているのに近い状況になってきている。これ以上の需要増、端的な台数の増加は望めないのではないか。したがって、既存事業者が行っているサービスを、より安く新規事業者が参入したとしても、パイの食い合いである。それは1つの競争状況ではあるかもしれないが、無線の利用について、かつての自動車電話から比べ需要が拡大してきたのは、基本的に競争という面より技術革新といった面である。今後も新規参入を認めるのであれば、従前の音声とデータという形での参入するのではなく、より新たなニーズ、例えば本当の意味でのMVNO、付加価値的なサービスといったもの、新たなサービスを国民に示し、新たなニーズ、将来的にはおそらく物理的空間で行われている行為がネットワーク空間で行われると思うが、そのネットワーク空間で行われる行為に不可欠な媒体として電波が利用される方策が考えられるべきである。
  その点では、既存の移動体事業者も音声とデータに安住するべきではない。事業者のヒアリングにおいて、電波が足りないとか、端末当たりのデータのトラフィックをますます増やすといったことを言っていたが、結局そういう形で増やせば既存の2事業者で全ての周波数を満たすことになりかねないものであり、これもいかがなものかと考える。
  基本的に既存事業者も新規事業者も既存のサービスだけではなく、例えば無線LANとの組合わせやMVNOとの組み合わせといった新たなニーズを生み出すような方向で進んでいただきたいと考える。
  また、新規事業者に対して周波数を割り当てる場合には、技術革新を行う可能性がある事業者に対して、周波数帯を割り当てて参入をさせることも考慮にいれてはどうか。その場合、周波数帯の幅については、技術の動向によって分からないが、従前の音声+データに必要な周波数幅とは限らず、もし狭い形での参入が可能であれば、それも1つの可能性であると考える。

  (5)   資料8-3及び8-4「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会における意見の要旨(案)」について、座長から、「はじめに」について説明後、内容について事  務局から説明。その後、意見の要旨案について議論を行った。意見の要旨案については、今回の議論を踏まえ修正・追加をし、構成員に照会した上で、改めて事務局から公表することとなった。議論の内容は以下のとおり。
  1.5GHzギガヘルツ帯に関して何回か発言しているが、意見の要旨案にない。1.5GHzギガヘルツ帯で第3世代の方式を使用することに関して、制限がないのであれば利用する可能性もあるということを入れていただきたい。
  事務局
  11ページ、ウの6)で、NTTドコモとボーダフォンから1.5GHzギガヘルツ帯について検討すべきとの旨の意見が書かれている。確かに構成員も発言していたので、修正させていただく。
  2.5GHzギガヘルツ帯については記述がないのか。
  事務局
  2.5GHzギガヘルツ帯は特に検討会の中で大きな議論になっていないので、入れていない。
  前回、発言したと思う。
  事務局
  議事要旨を確認して、修正させていただきたい。
  11ページのウの3)であるが、「オークションにより事前に最適な状態を決めるよりも事後的なチェックアンドレビューの仕組みを埋め込むことが必要」とあるが、オークションにより事前に最適な状態が決まるとは思っていない。「オークションにより事前に市場メカニズムを働かせようとするよりも、事後的なチェックアンドレビューの仕組みを埋め込むことが必要」とした方が私の趣旨にかなうので、修正いただきたい。
  事務局
  修正させていただく。
  周波数の割当ての時期だが、今春公表予定の電波の利用状況調査を踏まえる形がいいという話が構成員から出ており、私も発言している。割当て時期は、その結果を踏まえる形で進める方が、公正性、透明性の観点からもいいと思う。
  事務局
  修正させていただく。
  最初のところで、競争政策とか市場の評価とかは一般論として書いてあるが、他の国と比べて日本の今の携帯というのは、明らかに技術水準も高く、利用の量も大きく、他の国を断然引き離して先端的にある。しかも、多くの人に行き渡っている。そのような状態で限られた者が事業を行っており、そこに新しい事業者が入りたいという環境にあり、そのため今割当てをしなければいけないというマーケットの状況を、どこかできちんと書いてもいいのではないか。
  私がこれまで発言してきた議論は、携帯電話事業は、装置産業の話であり、5年くらいの時間をかけて成熟化していかなければいけないこともわかっているが、現状の電波の使用され方について、5年計画で割り当てられたものがどういう状況になっているかをきちんと確認できる状態とか、どれくらいの利用水準になっているかということをきちんと知らないと、一度割り当てられてしまえば、それで我慢できてしまう。5年経つまでにどういう状況になっているか、利用の分布がどうなっているのかわかっていない。最後の部分でぐっと上がっていくのか、それとも徐々に収束するのか、リニアに上がっていくのか、どういうスタイルで動いていくのかわからない。5年おきに、電波の利用状況がある時は微量で、ある時は逼迫していて、それを平均するとどれくらいの水準となっているかということと、我々の置かれている状況は、全く違う。あえてこの時期に苦労してでも割り当てて、いろいろ競争の促進をしようとしていること、この検討会が生まれた事自体そういう環境にあり、今、置かれている状態を踏まえて、システムを考えないとまずいのではないかという意識に立って、一般論として競争政策を言わなければならない。
  そのことと技術論は全く別だが、一般的に置かれている環境というか、供給サイドの意見はいっぱい聞かされているが、電波の利用に関する正確なデータとか、5年でどう推移したかがわからない。それは経営者や事業者の判断になっている。
   この間隔がいいかどうかということが今回の検討会でほとんどそこの部分が問題となっているのではないか。そこで、I1の冒頭に、おかれている環境と、議論とすべき理由、検討会が重たいものになっている理由、その種の意味付けをきちんと書くべき。経済学者はいつもデマンドサイドに立って議論するのが基本なので、一般に競争促進ということではなくて、できれば消費者サイドに立って問題を見るという側面、それをどこかに書いて欲しい。その部分は薄く出ているが、今議論に出てきていた背景についての評価を書いてもいいと思う。
  座長
   基本的には意見の要旨として、とりまとめたものであり、そういうことに関しては抜けている。しかし、最後に言ったこと、片側ではなく両者の主張は書いてバランスをとる必要がある。なんらかの工夫をする。各社からいろんな膨大なデータを提供いただいているので、それをどのように咀嚼するのは悩ましいが、頭に書くか、参考につけるか、なんらかの形で工夫してみる。ただ、難しいことは確かである。
  確かに今の意見のように、全体の研究会の位置づけがないので、多少なりとも書いた方がよいのではないか。今の発言では技術的なことも配慮していただいたが、これまで構成員が言ってきたことを踏まえて、可能であれば作成していただきたい。
  事務局
  座長とも相談して作りたい。
  座長
  工夫して作成したい。最後は構成員にも相談もすると思うがその際はよろしくお願いする。
  技術系の立場からすると、意見の要旨案は、文章ばかりでありデータや表が一切なく非常に奇異に感じる。言葉で利用率が高い低いとするよりも、定量的にもう少し説得性を持つデータの取り込みを工夫していただきたい。
  検討会の位置付けの話と関連するが、最初の話だと、将来2.5GHzギガヘルツ帯や700/900MHzメガヘルツ帯も開放されるということであり、これらも含めた議論を行う予定であったと理解している。結果的に今回は1.7GHzギガヘルツ帯、2GHzギガヘルツ帯が重点的に出たが、将来的なビジョンを睨んだ中での議論として取りまとめをお願いしたい。
  一つは既に書き込んでいただいているが、無線LANがある。5年後の周波数再編方針としては、むしろ無線LANの方に多くの周波数が割り当てられている。したがって、無線LANの位置づけは重要である。また、携帯も2.5GHzギガヘルツ帯、700/900MHzメガヘルツ帯を含め相当増える。そういうことも踏まえて、この検討会の位置付けを書き込んでいただきたい。
  これまでの意見に関連するが、第5回の質問で、現在の携帯電話市場の置かれている状況についての私の考え方を質問の前提条件で出した。その時強調したが、利用者から見ると技術革新の側面、サービスメニューの質が日本のマーケットでは極めて大事な側面として出ている。今、なぜ新しい配分かということを考えるかというと、質の側面をもっと上げていかなければいけない。そして同時に、価格の側面と、量の側面も考えなければいけない。価格に訴求するようなサービスを強く求めている利用者に対しては今の状態で十分なのか。量という面では、検討会の当初は、国民が等しくこのサービスを受けられるだけの周波数が配分されているかということに関して関心を持ったが、これは十分配分されているようなので、量はいいとして、価格という側面と質という側面の両方に利用者が関心を持っていると思う。先ほどの意見で、技術革新を重視という発言もあったが、同時に今の配分されている周波数で、十分価格の競争が起こるような量が配分されているかという視点も重要なのではないか。今回の1.7GHzギガヘルツ帯の配分は、私はそういう側面も持っていると考える。新規参入者には、革新的なサービスがないと生き延びていけないと思うが、同時に価格面に訴求することもあり得る。両方に利用者は関心を持っている。もし、立脚点についての議論を入れるのであれば、その側面も入れていただきたい。
  今の意見に賛成である。技術革新は、日本のこの業界をリードしてきたものであり必要だと思うが、我々からすると、今必要ではない料金も含めて支払っているという側面もある。したがって、新規事業者が入ることにより、より高い技術だけが求められると、その傾向がますます強くなってしまう。国民がなにを望んでいるかに視点を必ずおいて議論していただきたいし、その過程、政府の見解についてもわかりやすい視点で行われなければいけないと思う。そうでないと非常に国民に密着しているものであるにもかかわらず、遠いものとなってしまうと感じた。
  座長
  これは意見の要旨であるが、なぜこんな意見が出たかということと、今回の意見を何らかの形で取りまとめた上で最終的なものにすべきであると考えている。工夫して、今の意見を踏まえたものができるようにしたい。
  先ほど修正の要求も出たので、これらを修正・追加をした上で構成員に照会したい。照会後、とりまとめたものを事務局を通じて公表したい。
  この検討会はあくまで検討の場であり、決定権を持つものではないとのことである。読んでみれば結論もにじみ出ているところもあるが、これまで全部言ったとこを言い尽くしたというところで終わっている。これに対して、検討会としてこうすべきであるというまとめ方をする必要はないのか確認したい。
  座長
  何度か言っているが、皆の意見が集約されてまとまっていれば書くが、それぞれ意見が異なっていれば併記する。読み手としては、方向付けがあれば望ましいし今後もやりやすいのだろうが、多様な意見もあり、また意見陳述人の意見もあるので、総くくりにするにはいかない面もある。そういうことをやろうとすると、また長時間やらなければならなくなる。この際は、両論併記としたい。
  もう一つは「こういう意見があった」と書いてあるが、その意見がマジョリティかマイノリティかといったものが出ていない。マジョリティであっても一つの意見として同列に並んでおり、本当にどっちを言いたいのかわからない。議論をするつもりではないが、私の印象はそうである。
  具体的な詰めの議論は進まなかった。したがってできるだけ多くの意見をのせる。また、全体としての抽象論レベルでは一応議論はしたので、その部分で、全体の方向性を出すしかない。そういう形で判断して欲しいと思う。
  この検討会の共通の意見だと思うが、検討結果を「迅速に」情報通信行政の展開に活かしていただきたい。「はじめに」のところに「今後の情報通信行政の展開においても」とあるが、「今後の迅速な情報通信行政の展開において」とした方がいい。コンセンサスもあったと思うので、スピードを強調していただきたい。
  最大公約数的なところ、例えば電波の有効利用を図るためには新規参入が望ましいとか、新規参入に当たっては、新技術を導入した方が望ましいとか、まとめることはできるのか。
  座長    
  今となっては難しい。ひとつひとつ「よろしいか」という議論はしていないので、何がマジョリティか、何がマイノリティかを判断してようとしても、その確認をとっていないので、それをやるならまた数回やる必要が出てくる。座長に振られても独断と偏見になってしまう。その意味では、先ほどの意見のとおり、背景の部分に説明を多少加える程度しかない。後はそれぞれの意見ということにならざるを得ない。
  事務局
  先ほどの意見であるが、複数の者から同様の意見があったところは、「多数の意見があった」としているように、議事録を洗い出して出来る限り記述している。

  (6)   閉会
  閉会に当たって、有冨総合通信基盤局長から以下のとおりコメントがあった。
  この検討会の開催に当たり、多忙のところ参加いただき、実りある意見交換ができたのではないかと思う。いろんな意見を聞いてきたが、もともと検討会をお願いした趣旨は、今後、我々として免許方針を策定するに当たり、どのような点に配慮したらいいのかについて、従来は事業者からのヒアリングや、案を作成してから議論をしてきたが、今回は、総務省の案を作成する前に、どういうことに留意して作成したのか、あるいは異なる意見があった場合に、皆がオープンの場でどういうふうに認識しているのかを聞けた。総務省としては、最終的には1つの意見に決断しなければならないので、多少整理をしなければならないが、そう考えている。
  今回もいろいろなご意見をいただいており、従来よりかなりいい検討素材がいただけたと思っている。今後の手続きは、関係審議会に正式な手続きで諮ることになる。検討会では、まだまだ詰めが甘い部分もあるとは思うが、これらは正規な手続きの中で、改めて補完しながら最終的な意思決定をさせていただきたい。
  大変幅広い意見もいただいたし、関係の事業者からもバラエティに富んだ意見とともに、主張する根拠のデータも十分に出していただいた。また、今後の手続きで改めてお願いすることもあるし、こういった議論を踏まえて、改めて自分達の主張やデータも見直していただけると思う。
  また、今回の検討会は周波数の割当てだけでなく、携帯電話事業の競争をどうやって促進するのかとか、無線LAN等の新しい技術をどういうふうに利用していくのかとか、周波数の割当てを行った後の電波の利用状況をどう評価していくのかとか、本当に幅広いいろいろな観点からの議論があったと思っている。多少色はついたが、きちんと整理したよりも、幅広い意見があったという形にとどめた形にはなっていると思う。
  これらを踏まえて今後の総務省の責任において意思決定、政策展開を行っていきたい。今後とも、行政の推進に取り組んで参りたいので、引き続きよろしくお願いしたい。



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