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第2回 地域メディアコンテンツ研究会

平成15年3月11日(火)
14時01分〜16時08分
総務省1101会議室




【小林座長】    定刻となりましたので、地域メディアコンテンツ研究会の第2回会合を開催させていただきます。
   まず、事務局のほうから総務省の人事異動に関係してご報告などがありますので、そちらからよろしくお願いいたします。
【清水政策統括官】    稲村の後任で参りました、政策統括官の清水でございます。今日はお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
   e−Japan戦略の関係もあり、ブロードバンドネットワークはできてきているのですが中身はどうするんだという話が盛んにされております。もうここ10年ぐらいになるのでしょうか、中身で何か流さなきゃいかんというときに放送分野でよく出てくる話が、これからは国際が重要なんだ、これからは地域が重要なんだなどいろいろと話が出てくる。それは多分、マスメディアに対する反発と今のテレビに対する反発、反発と言うと今日はテレビの方がおられるのでちょっとまずいのですけれども、そういうテレビ放映だけではこれからはいけないんだよというところから出ているものなのでしょうと思っていたわけです。
   省庁再編前の郵政省時代にニューメディアの推進だとかいろんなものを当時やっておりましたが、必ずしくじるんですね。どうしてかというと、実際のニーズとは別に今後人はこういうふうになるんですよなんて人間を無理やり理想形にして、その目指す理想形に向けて何か必ずニーズが出てこなきゃいけないというのは、なかなか難しい話が多いのだろうと思います。とりわけ最近は、自治省と郵政と一緒になって総務省になってきますと、どうしても地域というのを大きく取り上げる形になっております。この地域におけるニーズというのは、実は私は、本当にこの中でよくご議論いただいて、本当の地域の求めているもの、あるいはニーズとして存在するものを、ぜひ十二分につかんでいただきたいと思っているわけなんです。政府関係がよくやる新たな取組みで、3年ぐらいやってみました、地域におけるプロジェクトだとか実験的にはやってみました、国が丸抱えですから、これはそのときはやりますと。3年ぐらいたって地域の人たちに「どうですか、これ使ってみますか」と言うと、「まあ、ただで置いといてもらえるのなら使いますが、回線料の負担はちょっとできません」とか言われる。これではやっぱり本当に国としてちゃんとやってきたのかなというのが、郵政でいえば古く筑波CCISの時代から、もう20年、30年ですかね、あるわけです。
   そういう意味で今回、12月に第1回をやっていただきまして、地域のコンテンツという固有の切り口を検討していただくわけですから、本当にここでの成果を十二分に生かせる形で進まないと、本当に地域の人に申しわけないという気持ちを持っております。最初から無理やり高いハードルを申し上げると何なんですけれども、それだけのものが期待できるメンバーが揃っておりますからというふうに事務局からも聞いておりますので、ぜひいろんな知恵と新しい話と、それから実際上の実需にどうつながっていくのか、そこを含めて活発にご議論いただき、ご提言をいただけると思っておりますので、ひとつよろしくどうぞお願いを申し上げます。
   簡単でありますけれども、本当は簡単じゃないのですけど、ちょっと言いすぎましたけども、活発なご議論を賜ればと思います。よろしくどうぞお願いいたします。
【小林座長】    ありがとうございました。かなり本音ベースのご挨拶をいただいたというふうに思っております。今回、人事異動に伴いまして総務省の政策統括官が前任の稲村さんから、今ご挨拶いただきました清水さんのほうに交代したということでございます。それでご挨拶をいただきました。
   それでは続きまして、今回初めてご出席いただきました株式会社シー・ティー・ワイ取締役技術部長でいらっしゃいます塩冶構成員が本日ご出席でございますので、簡単に自己紹介をお願いいたします。
【塩冶構成員】    突然振られて、全然予定していなかったものですから、そう言えば前回欠席させていただいて今回が初めてだなというふうに今思っております。私は、三重県四日市にございますケーブルテレビで、株式会社シー・ティー・ワイというところで技術部長をしております塩冶と申します。3年ほど前から、東京のほうの日本ケーブルテレビ連盟の1つの組織で、標準化とかを今やっております日本ケーブルラボというところに出向といいますか、半分出向をしております。半身は四日市で仕事をしておるのですけれども、そういうようなちょっと二重の立場でずっと来ておりまして、いよいよデジタル化も何とかまとまりそうで、ケーブルテレビのほうは次のステップをどうしていくかということを今やっております。
   簡単ですが、以上です。
【小林座長】    ありがとうございました。
それでは続きまして、本日の配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【梅村補佐】    それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
資料1でございますが「議事次第」、資料2としまして「地域メディアコンテンツの担い手についての考察」、資料3といたしまして「ケーブルテレビにおける地域メディアコンテンツの現状と今後の展開」ということで高橋構成員様のプレゼンの資料、資料4といたしまして「地域インターネットコンテンツ発信についての取組みと課題」ということで株式会社コアラの尾野様のプレゼン資料、資料5といたしまして「地域メディアコンテンツの制作・流通に関するアンケート調査実施概要」、それ以外に「地域メディアコンテンツの制作・流通に関するアンケート調査」の原票を配らせていただいております。以上でございますが、不足等ございませんでしょうか。
【小林座長】    よろしゅうございますか。ありがとうございました。
   それでは、議事に入ってまいりたいと思います。当研究会はこれから何回かにわたり議論を進めていくわけですけれども、まず、地域メディアコンテンツとは何なのかというふうなことについての概念整理というのでしょうか、共通認識というのでしょうか、そういうものをいずれつくり上げていかなければならないというふうに思っております。委員の皆様方はそれぞれイメージをおもちかと思いますけども、共通認識をつくっていこうということで、事務局より1つの考え方というものを用意していただいておりますので、まずその説明をいただきまして、今後の議論を煮詰めていくための出発点にしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【梅村補佐】    では、資料2につきまして説明させていただきます。
   「地域メディアコンテンツの担い手についての考察」ということでございます。まずはこのペーパーを用意させていただいた背景を申し上げさせていただきます。今後、この研究会は、今回を含めまして4回ほど開催していく予定になると思いますが、限られた回数の中でどういう方をゲストスピーカーとしてお呼びするか、あるいは事務局でのヒアリングというのも想定しておりますが、どのような方にヒアリングを行っていくか。限られた時間と回数の中で、なるべく広範囲な主体の方からお話を伺い、それによりまして、地域メディアコンテンツの現状ですとか課題の把握を網羅的に行っていきたいというふうに考えております。ですので、今回まず、その担い手というのはどういう方がいらっしゃるかということを整理するために、あくまでも一考察として本資料を用意させていただいたということでございます。研究会の議論のたたき台になればということでございます。
   内容に入ります。地域メディアコンテンツ、ここでは地域に特化した映像コンテンツや放送番組というふうに整理しておりますが、この現状を見ますと、制作・配信の主体の担い手というのは企業、これは主としてメディア企業だと思いますが、それと行政、住民・NPOといった3分類できるのではないかというふうに掲げさせていただいております。
   企業、メディア企業としましては、自主放送番組等いわゆるコミュニティチャンネルを行っているケーブルテレビといったもの、あるいは地上ローカル放送、あるいはコミュニティFM放送、インターネット上のポータルサイト等のウェブ事業者、こういった主体がいらっしゃるかと思います。続いて行政に関しましては、都道府県あるいは市区町村という主体、場合によっては広域連合ですとか連携した主体というのもいらっしゃるかと思います。3つ目が「住民・NPO」と書いておりますが、例えばケーブルテレビ等の地域番組の制作を自主的に行っているNPOさんですとか、あるいはコンテンツ制作者支援を行うボランティア団体、そういったものが地域の中で見え始めていると思います。こういうふうに3分類させていただいております。今回、後で報告させていただくアンケートにつきましては企業と行政を対象として行っておりまして、住民・NPOに関してはなるべく行政へのアンケートの中で、事例を把握していきたいというふうに考えております。
   下の図でございますが、それぞれ3つの主体が別々の情報を発信しているかというと重複する部分もあるということで、こういった画をかいております。具体的にはメディア企業と行政というところの間の重なっている部分につきましては、例えばケーブルテレビが自ら行政情報を積極的に流していくという場合があり、これは両方の主体が連携して出している情報です。あるいは地上ローカルテレビを活用して県とか市が県政・市政情報を流すというもの、これもその間に入っているものかと思われます。あるいは行政と住民との間で申しますと、市民電子会議室というようなものの場を行政が提供しまして、そこにいろんな情報、意見といったものを書き込むのが住民ということで、それが一体としての1つのコンテンツになっているような場合がございます。あるいはメディア企業と住民との連携ですと、今回、高橋構成員様にもお話しいただくようなパブリック・アクセス・チャンネルのような、地域住民の活力を活用した番組制作・発信といったものが入ってくるかと思われます。最後に3つ重なっているような部分、ここは企業、住民、行政といった間での連携ということで、例えばこの3者が協力してコンテンツ制作をしていくとか、あるいはクリエーター支援をしていくといった取組みが当てはまると思いますが、こうした取組みはすでに幾つかの地域で行われているというふうに考えております。
   今回、たたき台としてこういったものを用意させていただきましたが、報告書の作成までには十分な時間もありますので、いろんなご意見等を頂戴できればと考えております。以上でございます。
【小林座長】    ありがとうございました。
   事務局で既に行われているアンケート調査とは別に、今後、有識者ヒアリングというものが行われるわけですけども、個人的には、今お示し戴いたコンセプトは、概ね妥当ではないかというふうに思っておりますので、とりあえずこういう図式を念頭に置いて調査を続けていっていただきたいと思います。なお、その細目、あるいは図中の重なり合う部分にいろいろの注記が書いてございますが、そういうところにつきまして足りない視点等がありましたら、プレゼンテーションをお二方からいただいた後のディスカッションの中でいただいたり、さらにそれでも足りない場合は事務局のほうに、例えば連携の部分についてこういう側面もあるのではないかというふうなご意見があったらお出しいただきたいと思います。最終的には地域メディアコンテンツ及びその担い手とは何か、ということが報告書の中で謳われていくことになるだろうというふうに思っております。
   それでは、ご説明いただきましたことについての議論は、必要があれば後ほど、ということにいたしまして、早速、本日お招きしておりますお二方よりプレゼンテーションをいただきたいと思います。ご承知のように、前回は西興部村の日下さんのほうから、地方自治体における地域コンテンツに関して先進的な事例をご紹介いただいたわけですが、それは今の図式でいいますと、左下の主体の側で何がなされたかという話であったかと思います。今回は、ケーブルテレビ事業及びインターネットコンテンツ事業における、地域に密着した先進的な取組みをしておられるお二方にお話を伺おうということでございます。
   まず最初に、ケーブルテレビにおける地域番組等の制作や配信について、かなり以前より先進的な取組みをされておりまして、本研究会の構成員でもあられます高橋構成員のほうから、「ケーブルテレビにおける地域メディアコンテンツの現状と今後の展開」と題しましてご報告をいただきます。その後、引き続いて、これまた長年にわたり、インターネットビジネス、及びそれを介した地域コンテンツの提供ということで、先進的な取組みをしてこられておられます株式会社コアラの尾野代表取締役にお越しいただいておりますので、尾野さんのほうから大分県において1985年に開始された電子会議室プロジェクト以降、ISP事業とかADSL事業、あるいは地に着いた形での発信活動、あるいはネットワークビジネスの経緯、そこから浮かび上がってくることについてお話をしていただきたいと思います。
   それでは、各プレゼンテータの方から30分ずつご発表をいただいて、その後、予定では約30分ぐらいまとめてご議論をいただきたいというふうに思います。それでは高橋構成員、よろしくお願いいたします。
【高橋構成員】    サテライトコミュニケーションズネットワークの高橋です。よろしくお願いいたします。地域メディアコンテンツについてお話しさせていただくわけですが、サテライトコミュニケーションズネットワークとケーブルテレビというのが、会社名と地域の問題とちょっと違いますので、最初に私の個人的なことになるかと思いますが、映像を通して地域と関わってきたことのお話を前段でさせていただきたいと思います。
   私は学校を卒業しますと即、米子フォト工房というプロダクションを米子市に作りました。米子フォト工房というのは写真と16ミリでございまして、16ミリで民放さんのコマーシャルとか、あるいはフィラーとか、そういったものを制作しておりました。ところが昭和50年代になりますとフィルムからビデオに変換されていきまして、設備投資が大変大きな金額になってきました。そこで地元におります3つの民間放送と話し合いまして、新しいプロダクションを作ろうということで、山陰ビデオシステムという会社を民放3社と私どもとでつくりまして、以来、地元の行政あるいは地元の民間放送、東京キー局の番組を作ってまいりました。
   昭和55年に会社を作って以来やってきたわけですが、民放さんの下請けという形でやってきておりますとどうしても、地域情報というものが10%未満、悪く言えば7%前後しか推移していない中で、放送局としてローカルに東京・世界の情報をもってこられることには非常に貢献しておられるのですが、地域に貢献されているということについてはなかなかそうはいっていないなということから、高度情報化社会という中でケーブルテレビというものがありそうだということで、ケーブルテレビを作ってきたというところでございます。
   今日は特にケーブルテレビの話をさせていただきたいと思いますが、では、そのケーブルテレビをなぜ作ろうかということです。この中で1つは、当時、民放は3つしか映らない田舎でございますから、多チャンネルにしよう、多くの映像が見れるようになったらいいなというのが1点です。もう1つは、地域情報を流していくことによって、地域の活性化とかをやっていくことが必要ではないかということでございました。もう1つは、後にCSという衛星ができまして東京からローカルに電波が流れてくるのを逆にすれば、ローカルから全国に行けるぞという期待感がありました。そして、1年間の勉強をした後に会社を作りました。その会社は、今の3つの目的を持って立ち上げようということになりましたけども、米子市あるいは境港市を中心とした企業家あるいは行政の方々に集まっていただいて、勉強会から株を集めようということで170の会社になりました。1社限定100万円ということで、1億7,000万円というお金が集まったわけです。これを原資としてスタートということで、後に増資をいたしまして今現在は4億9,300万円になりました。
   これはどういうことかと言いますと、今でいうNPOに近い形なんですね。要するに参加型ということで170社が、地域を良くしようということが1つです。その中で第1回の株主総会で私が説明させていただいたのは、ケーブルテレビはケーブルを張っていく関係上、コストがものすごくかかる、ソフトになかなか行けないということがありました。従って、10年たっても配当が出ないシミュレーションになるわけですね。そこで我々は株主の理解を得るために、お金という配当、キャピタルゲインはないのですが、この地域に文化という配当は出しますというお約束をさせていただきました。以前は5チャンネルの自主制作チャンネルをもっておりまして、今現在は4チャンネルです。地域に還元をしていくというのは、そういう地域情報を提供することによってやっていくのだという思いで、株主、役員そして社員一体となってそういうことをやろうじゃないかということになったわけです。
   中海テレビは今申し上げましたように、自主制作チャンネルを4チャンネルもっております。これをスタッフが12名程度(制作スタッフ)でやっております。あとは外部プロダクションがバックアップをしていくわけです。それと、見るテレビから、参加し、活用するテレビになりたいということが1つです。もう1つの理念は、ケーブルテレビをコアとして住民と住民の方、あるいは行政と住民、企業と住民、これらを“仲介”していく“中海”テレビというふうなキャッチフレーズで、仲介業ですということを1つの旗印にしようということが1つです。もう1つは、今を伝え、過去の米子の歴史を残していこうということが3つ目の柱でございました。
   それで、開局から「ニュース専門チャンネル」というのをもっております。24時間、ニュース専門チャンネルを放送しております。午後6時から30分間、生放送をいたしまして、それをリピートしていくやり方でございます。ただし緊急時になりますと、これが全部変わってくるわけです。このニュースが、後でお話しさせていただきますが、地域における影響というものが随分出てくることになります。それと「イベントチャンネル」で、ニュース以外の番組はすべてここに網羅をしております。それと「パブリック・アクセス・チャンネル」で、これは市民が主体性をもって協議会を作られて運営をしているチャンネルです。それから「テレビ伝言板」で、これは文字情報ですが、中でも「災害情報」というのがありますが、これは消防自動車が町中を走りますとサイレンが鳴るわけですが、そのときにすぐチャンネルを合わせていただきますと、その自動車がどこに向かっているかが分かります。ずっとそれを見ておりますと、消防自動車が現場から消防署に連絡をして、今どのくらい燃えているかというような情報が入ってきます。そうするとリアルタイムで、ケーブルテレビを通してすべてが分かります。これは鎮火まで全部、報道をすることになっております。ただ、文字情報でございます。
   これらの4つを放送しているわけですけども、中でもニュースはどのような形で放送しているかといいますと、先ほど言いましたように30分の中で、平均すれば8項目ぐらいのニュース枠があります。そして、そのニュースを作る体制はビデオジャーナリスト方式をとっておりまして、大体3カ月ぐらいでニュースが作れるように訓練といいますか、マン・ツー・マンでやってまいります。従って、企画を立てること、取材をする、編集、ナレーションもすべて1人で全部、完パケにして、完パケにしたものをデスクに持っていくというやり方でございます。
   それと有事の際の緊急対応体制が非常に重要でございまして、我々は速報性というものに最大限努力をしようということで、例えば、ご存じのように鳥取県で地震がありました。あのときにも、災害対策本部からライブカメラを入れるということでやりました。チャンネルがたくさんあるものですから、1つを速報性のやり方、もう1つは生活情報を流していくチャンネル、もう1つは、たまたま阪神大震災のときの地震防災マニュアル・ビデオテープというのがございましたて、例えばグラッと来たら3秒以内に何をするべきか、3分以内に何をするべきか、3時間、3日、3カ月というように、地震の場合は何年にも及ぶことになり、住宅なんかになりますと非常に長丁場になってまいりますが、そういったマニュアルビデオも1つのチャンネルで専用いたしまして流していきました。
   それから台風というのは、しょっちゅう皆さんのところに来るわけですけども、これらもすべて気象台と対策本部で、事前に台風の大きさに応じて緊急体制などを予知して配備をしております。
それから例えば事件・事故なんかでも、例えばこれも全国ニュースになりました赤ちゃん拉致事件というのが3年ぐらい前にありました。全国から報道の方が300名ぐらい来られた中で、その記者会見を中海テレビで、日曜日でしたけども午後8時からずっとライブで流していきました。そうすると、我々は視聴形態が分かるようになっておりますので、日曜日の午後8時過ぎでしたから大河ドラマとかゴールデンのいろんな素晴らしい番組がある中でも、視聴率は地域情報が断トツのトップになったという数値が上がってきています。
   ニュースというのは、やっぱり毎日、米子とか境港の町をスタッフが取材しております。ニュースを撮ってきますと必ず、続いてそれを続報してまいります。そうしますと特集ということで、ニュースの中に大体5分から7分枠の特集になっていきます。その特集が続いていきますと、特別番組を作ろうということになります。30分とか1時間、3時間の特別番組を作りまして、それを今度は毎月作ろうということになってきます。これは後でご説明いたしますが、原点は町のニュースから問題が提起されているというところで、ニュースは地域の情報の中ではやはり非常に大きなインパクトのある情報だと思います。
   次に「イベントチャンネル」ですけれども、コンテンツの例をたくさんここに挙げておりますが、この中で上から見ていきますと、「みんなで歌おう子どものうた」というのは、小学校の子供たちが今、童謡唱歌を歌わなくなりましたので、年に1回ぐらい、みんなで歌おうということでこういう企画を平成元年の開局したときからスタートしました。そのときから、来られる方は全員出るというやり方です。ですから予選がものすごく長引きますけども、とにかくケーブルテレビは最初に言ったように参加型ですから、できるだけ多くの方に出ていただくということで、これも14年続いてきております。
   「高校野球」は普通の民放さんと同じようなやり方です。
   「選挙」については、今年も間もなく地方選挙がありますけれども、選挙には大変力を入れておりまして、知事選挙から市議会までやっております。この「選挙」は私どもは当確も入れますが、全員の議員が万歳して抱負をしゃべるまで全部やります。例えば市会議員が38名ぐらいいるのですが、この皆さんの声、要するに選挙が始まる前の声と、それから始まってからの声と、万歳の声、これを全部セットにして入れるということをやっております。そうした中でテレビの視聴を見てみますと、例えば米子市長選挙、これは4年前にやった分なんですが、9時から放送しまして9時10分にいわゆる視聴率を、専有率ですけども見ていきますと、そのときは8.41という数値です。それで民放の日本海テレビさんというのが12.75、NHKさんが7.60、山陰放送が4.75、山陰中央テレビが6.92ということで、8.41というのはそんなに高くはないのです。時間経過によって、最大26%になりました。これは夜中の1時10分まで放送いたしまして、従って10時ごろから20%以上になっていきました。要するに市民は、やっぱり地方選挙には相当な関心があるということが分かったわけです。
   それから「全日本トライアスロン皆生大会」です。3つの目的の中の1つですが、全国に発信しようということで、トライアスロンというのは鳥取県の米子が日本の発祥の地なんですね。それが意外と知られていないということから、全国へ発信しようということで、10時間30分、衛星生中継をやりました。
   それから「知事と県民のホットライン」というのは、いわゆるコールインです。知事に直接電話をかけて、そしてその回答をいろいろいただくというやり方の番組です。
   それと「小学校6年生の30秒メッセージ」です。これは今の子供たちがなかなか夢がないというところから、小学校の子供、米子・境港市の両市の子供全員に30秒間の時間を与えまして、「10年後の私の夢」ということでテレビで発表して下さい、というやり方です。これは皆さん方に非常に関心をもっていただいておりまして、登校拒否の子供もこの番組に出るために来てくれたり、非常に反響を呼んでおります。我々は、ケーブルテレビに入っていないとこれは見られませんということではなくて、このテープを学校に寄附して、ケーブルテレビに入らない方はそれを学校で見ていただくという仕組みを作っております。そして10年後にもう一度、放送いたしますという約束を子供さんたちとしているというところです。
   また、中学生では「作文コンテスト」をやっております。これらはニュース以外の番組です。もう1つだけ、「chukai情報広場 パルディア」、これは毎週土曜日に放送している情報番組です。米子の町のいろんなトピックス等を提供している、ニュース以外の番組でございます。
   次に「パブリック・アクセス・チャンネル」というのがあります。この理念は、「メディアを市民の手に取り戻そう」というのが我々のキャッチコピーで、平成4年からスタートいたしました。平成4年からスタートして、かれこれ10年経ちました。ここに書いてあるのは、昨年の受賞作品でございます。「環境ニュース」というのは、小学校の子供たちと先生方が一緒になって、地域のリサイクルとかいろんな視点から「環境ニュース」ということを放送されました。この作品が大賞を取ったということです。
   それから日吉津小学校のこれも小学校の子供たちが作った番組でございますけども、これも素晴らしい番組でございました。これを見ていただきますと、学校とか団体、それから個人と、個人の方もこの「日野川源流の碑」を撮られた方は素晴らしい方でして、プロ顔負けぐらいにもうなりました。それから数日前ですか、日本ビクターかどこかで主催されているビデオコンテストの最優秀賞を取られたのも、我々に作品を出してこられた我々の郷里の方でした。10年間やってきまして、最初は本当になかなか見るに耐えない番組が多かったのですが、近年は非常にグレードが上がってきております。
   これらの4つのチャンネルを、我々が送り手としてやろうとしてもなかなかできません。そこで市民の皆さんと、それから企業、行政の方々と一緒になって作るというのが基本になっております。ただ、パブリック・アクセス・チャンネルもそうですが、番組の作り方というのはなかなか難しいところがあって、ハードルが高いわけです。カメラは皆さんお持ちなんだけども、編集ということで皆さん止まってしまうのです。それで行政機関にありますフィルムライブラリーとかそういったところを数カ所ピックアップして、そこを紹介して、そこで編集していただいたり、ケーブルテレビですから地元の電器屋さんとタイアップしております。そこの編集機があるところを紹介して、そこで編集をしていただいておりますけども、その編集等で手間取っておられて、作品がそんなに多く集まってきません。最初は年間300本ぐらいでしたけども、質は良くなりましたけども大体100本ぐらいになりました。
   そういった皆さん方と一緒になって番組をつくっていく中で、有線テレビジョン放送ですから番組審議会が義務付けられているのですが、これを形式的にやるのではなくて、3カ月に1回、議論をさせていただいております。これが2時間の予定がいつも延びてしまうのですが、何故かと言いますと、米子の町をどうしたら良くなるかという話が先に来て、では、どこどこに問題があるからこういう番組を作ったらどうだろうかという話になってしまうと、ものすごく幅が広がってしまいます。そういった関係で、この番組審議会の時間がいつもなくなってしまいます。一昨年の番組審議会は1年任期でしたけども、皆さんがどうしても意見を言いたいということで、それをそのまま番組にして流しました。そして解散をしないでOB会を作ろうということになりまして、二段構えの番組審議会で積極的な意見が出てくるようになってきたということです。
   「パルディア」というのは先ほど言いました情報番組なんですが、毎週木曜日の夕方までにファックスが皆さんから上がってきて、それを土曜日の番組に反映していくというやり方でございます。
   「パブリック・アクセス・チャンネル番組運営協議会」というのは、米子の市民を中心としておりますが、米子の町に商工会議所とかいろんな団体が170ぐらいありますけども、この中から老人クラブ、医師会、商工会議所青年部とか経済同友会とか、あと少年・子供野球大会のグループとか、そういったグループ34団体が集まりまして、この協議会を運営しております。これは、どのような番組を流していったらいいだろうかということの協議とか、流していいのか悪いのかを審議することもやられます。年1回、今月も23日にあるのですが、1年間の作品の中から優秀賞を表彰したり、あるいは大学の先生に来ていただいて勉強会をするといったことが行われます。こういうふうに市民の皆さん方が協議会を作っておりまして、ケーブルテレビがそれをバックアップしていくというやり方になっています。
   「コムコム・カンファレンス」というのは、ニュース専門チャンネルをやっておりますとやはり送り手側の論法になってしまいまして、社内で民放OBの方とかNHKOBの方や皆さんのチェックはいただいたりなんかもするのですけども、どうしても偏りがちになってはだめだということで、会社でいうと監査役みたいな形で、放送しなければならないのにしなかったとか、しなくてもいいのにしたとか、そういうようなことを中心としたニュースのチェック機関です。弁護士さんとか学校法人の理事長さんとか消費者団体の役員さんとか、そういった方が約10名集まりまして、これは2カ月に1回、会社に来ていただいて意見を言われます。そのときには会社の役員と社員と一緒に対面して、要望を聞きます。2カ月以内に改善することはカッチリしなければ随分お叱りを受けるということで、役員と社員が一緒になってそれを改善していくということです。そういった機能をもっておりまして、この番組審議会とモニター、バブリック・アクセス・チャンネル番組運営協議会、コムコム・カンファレンスの人たち、この人たちが我々の本当にファンになっていただけてきております。
   そういうことをやっておりますと、次のページになりますけども、地域コミュニティの育成になっていったり、それから行政に関心を非常にもっていただけるようになってきております。少しずつですが、町が変わってきているのではないかなと思います。例えば1つは、「中海物語」という番組を2年前にやりました。最初に言いましたように、ニュースをずっと続けてきていると、中海干拓中止というのが全国的に放送されて以来、市民がその中海に関心をもってきた。そのときに、では中海という海が観光資源として有効資源にならないだろうかというのが社内でもちあがりました。それでボランティアとか大学とか行政に取材に歩いてきますと、皆さんいろんなことをものすごくやっておられるのですね。ところが、束になっていなかったのです。そこで中海テレビが仲介をしよう、市民の皆さんと一緒になって番組を作ろうということで、1年間、毎月作りました。そうしたら、出演者が200名以上になったわけです。その出演してメッセージを送った人は、ものすごく積極的になって、それが大きな輪になって行政が動き出しました。そして今は企業が参加しまして、中海を何とかしようという運動になってきております。
   それで、10年後に泳げる海にしようという目標を立てました。これは市民の皆さんと一緒に立てた目標です。ところが、中海というのは結構大きな湖なんですけども、本当にできるかなと私どもは思っておったら、実は民放の長野放送さんのほうから「できるよ」と。「どういうことですか」と言ったら、あの諏訪湖がアオコで非常に悪い状況になったと。それが市民運動とメディアとが一体となって12年で泳げる海になったと言われて、それをメディアがずっと記録した映像を見せていただきました。そして、今年1月に我々は長野からその市民団体の方々に来ていただいて、米子でもう一度、10年という目標というものを再確認して、今も毎月、番組を作りながら市民の人たちとやっております。そういったところでございます。
   限られた時間の中でケーブルテレビのお話を大雑把にしましたけど、次に、サテライト・コミュニケーション・ネットワーク(SCN)という会社を平成5年に作りました。どうしても全国へ向けて発信しようということを考えていきますと、ケーブルテレビの力ではなかなかできないということが1つと、それから全国のケーブルテレビの皆さん方と話をしていくと皆さんにもそういったニーズがあると。では、皆で立ち上げようというのが、このSCNの動きでございました。今、全国のケーブルテレビ、北海道から宮古島までで141局のケーブルテレビの皆さんに、番組、コンテンツを流しているわけですけども、逆に皆さん方から放送してくださいと。
   次のページにありますが、私どもがこれをスタートして3年なんですが、これはその間に生でやった番組です。ビデオテープはたくさんあります。皆さん方が日頃お作りになっているコンテンツはたくさん来ますけども、ここに載せている例えば「さっぽろ雪まつり」、これは昨年もやりました、今年もやりました。2時間程度のライブを北海道から衛星で上げていただいて米子に落としていただいて、米子から141局のネットワークに番組を落としていくというやり方でやっております。皆さん方、これは本当にやりたがっておられます。ただ、経費がまだまだ非常に高いものですから、ハードルが高いものですから、全国各地からアップリンクがなかなかまだできない状況でございます。
   これ以外には、広告代理店さんのコンテンツ、テレビの番組を、地上局さんのコンテンツをケーブルテレビに供給したり、ケーブルテレビでお作りになった番組を供給したりやっております。
   それから我々が自主制作でやっているのは、ケーブルテレビが今後どのようにしたらいいのだろうかと、これは今週だったかな、総務省の地域放送課長さんに出ていただいて流しています。それから行政の方、各大学の先生方、それから経済界の方々で毎週15分の番組を発信しております。もう1つは、ケーブルテレビは全国にたくさんございまして、そのネットワークの141局を1局ずつ、今15分番組にして放送しております。各社どういった理念で地域情報をお作りになっているのか、どういった番組なのかというのを全国のケーブルテレビに紹介をしている番組がございます。それからもう1つは、業界情報でございます。今、ケーブルテレビはいろんな動きがあります。ケーブルラボの問題とか、そういった動きを東京で取材したものを米子までVTRで送りまして、米子から衛星を使って全国に放送しております。
   ざっとケーブルテレビとSCNの話をかいつまんでお話しいたしましたが、我々の鳥取県におきましての今後の展開なんですが、鳥取県の「鳥取情報ハイウェイ」が今年7月に開局いたします。これが本当に上手に使われていくのかということを、私は大変心配しております。先ほどもお話しいただきましたけども、全国各地でこういうハイウェイができていくわけですけども、本当に毎日、上手に使っている例が少ないような気が私はしております。そこで、我々もできるわけですから、できる以上は全面的に、全国のモデルになるように我々はコンテンツを流通させたいという意気込みで今頑張っておりまして、例えば鳥取県には6つのケーブルテレビがありますが、ここに制作だけで大体40名近くおります。ところが40名が結束しても、費用的な問題とか情報の問題で絶対にこれはできっこないだろうと思っております。そこで今、鳥取県には2つの大学がありますので、大学と高専の皆さんと県民カレッジというものを作ろうということで、今準備をしております。もう1つは経済界です。経済同友会とか、あるいは商工会議所連合会、例えば行政には産業機構とかいろんな外郭団体がありますが、それをいわゆるコンソーシアムして、みんなでやろうということが1つです。
   もちろんNPO、それから文化団体もあります。昨年、鳥取県で国民文化祭というのが開かれました。そのネットワークの企画運営委員会というのがあります。私もそのメンバーでしたけども、鳥取県知事が一過性に終わらせたくないということで解散をしないようになりました。私が申し上げているのはいわゆる舞台というステージだけではなくてブラウン管というステージで皆さん演じませんかということを提案しておりまして、このインフラを上手く使おうと。これはスポーツ団体もそうです。スポーツ団体、文化団体もその県民チャンネルに出たいと、そして番組に参加したいという要望をいただいております。いよいよそれが今年の7月に完成するものですから、その7月のセレモニーが終わった後に、こういった産・官・学・民で集まりまして鳥取県県民チャンネルコンテンツ協議会というのを設立をいたしまして、それを運営をしていこうという具合に考えております。今日、こういう場のチャンスをいただきまして本当にありがたいと思うのですが、今後、また皆様方のお知恵をぜひいただきながら、これを成功裏にもっていきたいというように考えております。
   もう1つ、パブリック・アクセス・チャンネルは個人の皆さん、団体であったのですが、近年、メディアリテラシーの問題で、10年間やってきて、そういうことを一緒になってやっていくとどんどん進歩していくということが言えると思います。そして今日、企業も行政の方々も、情報開示とか情報発信をしなければならないという、県民に対して適切な情報を与えなければならないという認識は皆さん共通していることなんですね。では、それをどう具現化して、我々が間に入ってご紹介できるような仕組みを作っていくかということが、私はこの実験場ではないかと思っております。そうした中で私は今まで、ケーブルテレビのコンテンツをカッチリやれば会社は儲かりますということを、ケーブルテレビの社長の皆さん方に申し上げてまいりました。儲かるというのは、中海テレビの事情を申し上げれば、多くの皆さん方の参画と、そして広告という収益とか加入比率、こういったものをトータルすれば儲かっているなということを考えます。
   最後に、時間がちょっとなくなりましたけども、東洋大学の先生と文教大学の先生が共同で、昨年の12月に「生活環境とメディアに関するアンケート調査」を米子市内でやりました。そのサンプリング数が1,300ぐらいの中で、回答数が600ぐらいでした。これは5月に文部省のほうから発表されるということですが、中間報告で整理されておりませんけども、これを見ていきますと、ケーブルテレビの信頼度といいますか、それが民放さんと同じようになってきているなというのが米子の場合は言えると思います。そして一番強いのは、ケーブルテレビの加入動機が地域情報だということでございます。これはやはり、ちゃんとしたコンテンツを送っていけば地元の人たちは納得していただいて、地域情報を見るためにケーブルテレビに入ったほうがいいよということを言ってくれております。そういったようなデータがあります。
   それともう1つだけ紹介させていただきたいと思いますが、「中海テレビが放送局として市民の話題をよく提供しているかどうか」というアンケートに対して、「そう思う」という方が19%、「ややそう思う」という方が46%、「どちらとも言えない」というのが25.7%、「そうは思わない」というのが3.1%のデータでございました。もう1つ「地域の防災向上や環境改善に役割を果たしているか」という質問には、「そう思う」が12.2%、「ややそう思う」というのが44.0%、「どちらとも言えない」が34%、「そうは思わない」というのが3.7%という数値でございました。これはよそと比較しないとわからないものですから、99年に横浜地区でやられたデータと比較してみたら随分開きがあったかなと思っております。このデータを整理したものが、また皆様のほうにお届けできると思います。
   以上でございます。
【小林座長】    ありがとうございました。
   いろいろお聞きしたいこと等もおありかと思いますが、引き続き尾野さんのほうから資料4に従いましてご発表いただき、その後、質疑応答にしたいというふうに思います。それでは尾野さん、よろしくお願いいたします。
【尾野氏】    尾野徹でございます。このたびはお呼びいただきまして、ありがとうございました。
   総務省に呼んでいただくのはもう2年半ぶりぐらいになりますかね。ちょっと前、98年から99年のころにはよく委員会に出させていただいていて、いろいろ議論をさせていただいたときは、実はADSLのこととか、eジャパンでいかにインフラを作るかということだったんですね。それで久し振りにお呼びいただいたらコンテンツの話でしたから、インフラは整ったのかなという気もして、ちょっとうれしいやら、ちょっと戸惑いながら出てきています。
また私自身、大変古くから皆さん方からお世話になりまして今日まで来ているのですが、その間に結構紆余曲折がありまして、ちょっとその概略のところだけを最初に少しお話しして、それから後に各論といいますか、個別のことを話してみたいと思うのです。

   コアラそのものは1985年、ちょうどNTTが民営化された年に、パソコンと電話線を勝手につないでいいといったことが許可されましたから始まったグループなんです。当時は単純にメールとか掲示板、そういったものから始まったわけですけれども、当時、それでもそのようなことがまだ何もなかったものですから、とても皆さん面白がって集まってきてくださって、この1ページ目のグラフで分かりますけれども、ユーザー数がゼロから1万人になるという数字がありますね。それがどういうふうな年数を経てふえていっているか、減っていっているかということをここで表したつもりなんですけども、最初はやはりメールと掲示板です。お互いの人数は少ないですけど、個人がこういったものを使っていいんだ、自由にモノを発信してもいいのだと。そういったときにわっと一気に人が増えました。つまり、そこにコンテンツがあったということになりますね。
   ところが、1990年ぐらいから急激に伸びなくなるのです。言うまでもない、全国大手のネットワークが大変力をもつようになりまして、ニフティさんとかPCバンなど、当時のネットワークが強くなって、地方でもそういったところに入って地域ネットには入らないといった時代が来始めたのです。それが結構続きまして、それを打ち破ろうとして、例えば地域ネットの連合体を作ろうと。
例えば北海道新聞とか仙台とか中日新聞社とか中国新聞社など、結構大型のブロック紙と提携をして全国を6つに割って連合を作ってやったのです。そうすると、それぞれが2,000人ぐらいでも5つ集まれば1万人だ、だから全国に負けないんだなんて言っていても、やっぱりだめだったですね。作ったときには2年ぐらいはよかったのですが、やはり即座に大手から押しやられてしまって、上手くいかなくなりました。

   困ったなといったときに、実は94年の7月に、東京以外では初めてだというふうに言われていますけれども、インターネットサービスを始めることができたのです。当時、ウェブがとても珍しくて、研究所とかアメリカとかああいったところにしかウェブがなかったので、私たちは勝手に書いていいのかなと恐る恐る書いたことがあるのです。誰かに怒られないだろうかと思いながら書いたことがありますけど、怒られなかったので今も進んでいるわけですけども、それぐらいの気持ちで始めたのが94年の7月ぐらいです。そうしたら、あっという間に人が増え始めまして、毎日、入会処理をしても追いつかないということで、夜も眠れないぐらいの動きになりましたけれども、そのときがインターネットの勃興期だったわけです。その頃NTTさんが大分の私たちのところに来られて、インターネットのことを勉強したいということで一緒になって地域実験を96年度にやりました。一緒になって地域実験をやっている最中に、NTTさんは実験でやっていたことをOCNサービスと名前を変えて本サービスを開始したといったようなことがあったわけですけれども、そういったときにはとにかくインターネットで自由度が広がったといったことでユーザが増えたのですね。自由度がコンテンツであったといったことではないかなというようなことも思います。

   ところが、そうやって私たちがインターネットをやったときに、地域の中にいろんな方々がおられますから、プロバイダーとしてこういったことができるんですよというプロバイダーの業務を教えてあげたわけです。実はコアラというのはずっとボランティアで、2000年まで全くボランティアでやっていましたし、それまでは私自身もコアラからお金を取ったことがなかったわけです。ボランティアでありましたから、地域のそういったISPのことを考える方々にはノウハウを教えてあげていました。当然、その中にはCATV事業者もいるわけです。そうして教えてあげたら、ついにCATVインターネットサービスを始めまして、良い悪いもないですね、地域ではCATVは絶対的ですから、高橋さんがおっしゃるとおりですから、コアラは1万人ほどユーザがいたのですけど、それをめがけてCATV事業者が会員獲得を積極的に仕掛けてきた。だから対抗上、こちらは日本で一番最初にADSLを実現した経緯からADSLをやりたいのですけど、やるお金がないということでやるにやれない。そういったことでコアラは草刈り場になってしまいました。ほとんどがCATVインターネットのほうに移っていくといったことで、私たちのユーザーの伸びが鈍化していくわけです。

   そうは言いますけれども、2000年にコアラを株式会社にして、200011月に福岡市でもADSLサービスを開始しました。コアラがボランティア方式から株式会社になった理由はいろいろあるのですが、それはさておき、株式会社でサービスするとなると、大分は先ほど言ったように第三セクターのCATVインターネットが主体になっており、いまさら株式会社でビジネスを行うのはそう簡単ではない。一方、九州は福岡の経済圏がたいへん強くなり、高速道路の開通などあって大分は福岡の経済圏に含まれてしまっているし、コアラは九州で最初にインターネットサービスを実現したことから、福岡にもユーザがたくさんいる。また、ADSLは都会型のサービスですが、九州ではなんといっても福岡がたいへん重要なマーケットですし、当時はNTTもまだADSLをやることに悩んでいた時代でして、多くの方々から「ぜひとも福岡でADSLサービスをやってくれ」と誘われ、そういう方向に行きました。
   さすがに、そこで会員が伸び始めるわけです。今度は高速であるという自由度が増えてユーザが増えていきました。ただし、株式会社にしたときに不良会員を整理しましたから、会員が減るといったこともありまして、紆余曲折があります。

   そういったことで今日に至っているわけですが、その個々の経緯を少しご説明したいと思います。
   1985年5月のスタートで、日本で最も古いと言われています。確かに当時、一緒にスタートしたのがアスキーネットですけど、アスキーネットももうなくなりましたし、当時の地域ネットもほとんどなくなったから、何となく一番最古になったような感じになって、ちょっと寂しいです。
一村一品運動としてやったわけですけども、最初からデータベースはしませんでした。データベースよりもコミュニケーションということですね。キャプテンがデータベース志向だったわけですけども、私たちはコミュニケーションということで、掲示板やメールというのに特化するという方向にいったわけです。
   そんなことが受けて、実は日本語の本格的電子会議システムをたいへん苦労して87年につくったのです。そうしたら、これがよく売れました。60セット近く売れたと聞きましたが、電子会議というコミュニケーションがコンテンツとして広く受け入れられた時代です。
   ユーザが増えると、どうしても通信料金のことが気になってくるんですね。特に東京と大分の間が電話代が高いということで大変気になってきて、実は当時から県外のユーザがとても多かったのです。ということで、その通信料金の壁を破るためにインテックにお願いして、日本で最初の個人利用のパケット通信網をつくってもらったのですけど、それだけではなくて大分県内に対しても、豊の国ネットといって、どこからでも市内料金で通信できるという情報道路を作ったのです。これはふるさと創生資金を使ってつくったのですけど、これがまた、県内の地方と県庁所在地の間を交流させるといったことでとても上手くいったのです。
そういったことから新しい地域社会が情報道路を作ることによって見えてくるということが分かったことから、実はハイパーネットワーク社会研究所というのができました。俗に言う、コアラがモルモットになってハイパー研が研究する、また、ハイパー研が研究した内容をコアラが実践するという、アメリカの研究と実践が両方あるというような形になりまして、とても面白かったです。

   こういうような形でやって、その中で実はインターネットのことをいち早く始めました。さっき言いましたけど、94年7月にインターネットサービスを始めました。そのときに、さっきも言いましたように、世の中のインターネットのホームページが英語のページしかない、写真もあまりない、真面目なものばかりしかないといったところに、私たちが書いていいのかどうかということで恐る恐る書いたことがあります。当時、わかりやすいページとしてホワイトハウスがあったのです。クリントンさん、ゴアさんがやっとこのころに出てきたのです。そのときに、ホワイトハウスが出ているから日本の総理大臣官邸のホームページをつくりたいと思ったのだけど、それは許してくれないでしょうから、当時、村山総理大臣だったのですけど、たまたまあの方は大分なんですよね。しかも、コアラの事務所から歩いて5分ぐらいのところなんですよ。だから、そこへ行って写真を写してくるのです。そこに「我が町に総理大臣誕生」という大きな紙が張ってあるから、まさに田舎の総理大臣が誕生したそのものなんですよ。コンテンツになると皆さん思うでしょう。
   そしたら、たった一人のスタッフで女性が、事務局にいたのですけど、その女性が面白半分に全部、英訳しちゃったわけですよ。実家というのを彼女は「リアルホーム」と書いていましたけど、合っていますでしょうかね。英語訳をしたから、世界じゅうからアクセスがあるわけですよ。ホワイトハウス対村山総理の実家というね、こんなことをしてもだれも怒られなかったです。そういったことを恐る恐るやった時代ですね。ということで、勝手にやっていいんだということが分かったものですから、ワンパーソン・ワンホームページということで、一人一人が個人のホームページを作りましょうと。一村一品がワンビレッジ・ワンプロダクト、アップル社がワンパーソン、ワンコンピュータと言ったのをもじって自分のホームページを作っていいじゃないかという運動をするわけです。だから個人がホームページ、個人がコンテンツだといったスタンスに変わっていくわけです。
   そんなことをやっていたらサントリーさんが出てきて、地域文化賞をあげるということで200万円いただきました。つまり、地域ネットであるコアラは地域文化だ、それも200万円の賞をいただけるほどの価値があったということで大変面白かったことがあるのですけど、そういうふうに地域にはネット文化があるのだ、ネットに文化があるのだということを初めて公式にというのかな、認めてもらったことだったのです。それまでは「パソコン通信とかインターネットとかは遊びだ」とか「おまえたちは何か趣味でやっている」といつも言われていたわけですよね。それがそういった形で、文化なんだよと。ものすごく嬉しかったですね。しかも、多くの方々がお祝いに来てくださった。これが勇気をもつ1つの経過です。
   そんなことをやっていたら、当時はインターネットをやっているなんていうのはあまりなかったものですから、たまたま通産省さんが先進的なアプリケーションの整備事業をやるということになって、第一号モデルとして、大分で地域のインターネット社会モデルをつくることに携わりました。
また、そのときにNTTさんが情報通信の実験をしたいと、大分で地域実験をやりたいと言ってきたのです。それでどんなことをやろうか、私は「情報コンセントが欲しい」などという話になりながら、では先進的なアプリケーション整備と一緒にやりましょうといったことでやったのが、実はこういった設計だったわけです。
   それで、今はデータセンターは当たり前になってしまいましたが、データセンターを作りましょうと。そこにインターネットの装置を全部集めてあげましょう、企業や県内の官公庁のも集めてあげましょうと、当時言っていたのです。かつ、その隣にインターネット放送専用のスタジオを作ったのです。これは本当に防音装置まで作った本格的な設備で、当然世界的にも始めてのことだ、とよく見学がありました。かつ、大分市内の中に光ファイバーを20本、貸してもらいました。20本借りて、アーケード商店街とかいろんなことを「光情報コンセント」として作りました。そしてその実験の途中でそれらが「OCNサービス」という名前に変わりましたから、そのOCNサービスを使って大分県内に第2次の豊の国ネットということで、昔はパソコン通信の情報道路だったわけですけども、今度はインターネットの情報道路を作ってしまうわけです。そんなことをやっていました。

   こうやっていたら、次がまた出てくるわけです。あっという間にOCNぐらいの128Kbpsだったらつまらなくなってしまって、ギガビットにしたいということで、今度は大分市から県南のほうにギガビットの幹線を引っ張ったわけです。「複数自治体間をまたぐ情報通信システムを設置する」という新しいスキームにより実現できました。当時は、光ファイバーを貸すという事業者がまだどこにもいなかったんです。九州電力とかも当時まだ貸すスキームはなかったものですから、よーし、自分たちで工事をしよう、というものでした。
これは、三年かかって今年の春に完全にでき上がるわけですけども、大分でやったら翌年、今度はパッと福岡が作ってしまいました。福岡は大分のように自設備工事でなく九州電力から借りたから、1年でできちゃったわけです。そしたら今度、それを見た宮崎県がまた行って、宮崎県は九電から借りたり他者から借りたりと、いろんなことをやって、翌年にやるわけです。大分から始まって、翌年には福岡が始まって、その翌年には宮崎までできて、ギガビットの東九州軸の原型ができちゃったわけです。ちなみに、新幹線は九州の中の東九州は全然通らないし、高速道路もないところなんです。だけど情報道路だけが高速道路としてとりあえずでき始めてしまったということです。
そんなころ、ある日突然のごとく、九州知事会が「知事会は九州ギガビット構想を提案する」との発表がありました。びっくりしました。つまり、九州じゅうにギガビットを通してしまって、それを結んでいって、その通った間の地域を情報化していこうじゃないかという構想ができ上がったわけです。とても素晴らしいことだと思います。ただし、まだ福岡も大分も宮崎もつながっていません。間を誰がもつかということが決まっていませんから、なかなか上手くいかないですね。

   でも、こういったことをやりながら、皆さん考えてみたらわかると思うのですけど、やはり福岡はとても九州の中で重要な地位にあります。九州電力が韓国と光ファイバーを結びましたしね。かつ福岡県から日本全国へ出ているルートもありますし、もう1つ重要なことは、僕がさっき言いましたように、各地方が何故CATVをやるかというと、福岡のテレビが見たいからなんです。単純なんですよ、福岡のテレビ局が見たいから各地域はCATVをやるのだと。そうしたら結局、CATV局はインターネットもやるでしょう、したがって私たち従来型のISPはルーラルなところでは商売ができなくなっちゃったわけですよ。全部、CATVが勝っちゃっている。私達従来型のISPはどこも負ける形になるわけです。私は自分でそういうふうな地域づくりをしてきたから文句も言えないのだけれども、でも既存コアラメンバーや地域のためにも生き残ることを考えねばならない。生き残るところといったら九州では大都市である、唯一集積が進みつつある福岡市しかなくなってしまいました。福岡市もCATVはやっていますけど、まだ人口が多いから、その分だけ何か生き残るチャンスがあるだろうということを考えて、コアラユーザや様々な方々からの要望もあって福岡でADSLをやることにするわけです。

   そのときにやったのは、福岡市内にNTTの局数が13局ほどありますけど、その13局のダークファイバーを借りまして、我々コアラそのものの、コアラ自身が持つギガビットのネットワークの幹線を作ってしまおうと。それと九州全体の幹線を結ぶわけですから、福岡市内のどこからでも九州ギガビットの幹線を通ることができると。そういったことを私たちが提供できると、そうなればコンテンツも福岡、あるいは我々の処に集まりやすくなるのではないかと。そうやって福岡に集めることによって九州内のどこにでも提供し、または韓国に提供すると。そういったことを作るのも面白いのではなかろうかと思ったわけです。そんなことから実は今、私たちはコンテンツ作りにもますます力を入れ始めているところなんです。
   そうやってやったのですけど、この辺はちょっと飛ばしますけど、結局は常時接続ですよね。常時接続で一番重要なことは、やはりP2Pではないかと思います。端末対端末というか、エンド対エンドがつながるということによる新しいコンテンツがあるはずだ、放送型だけではないはずだというようなことを感じますよね。
常時接続で何があるかということを考えていろいろやっていこうということで、例えばいろんなそういったことのサービスを考えてみたんですよ。最近では一番簡単なのはこれですね。これが受けていますけど、テレビ電話です。パソコンなしです。パソコンの操作は全く不要です。電話番号だけ押せばいいのだから、子供でも扱えますよね。そう思っていたら、電話番号も要らなかったんですね。ディスプレーに相手先が出てくるから、それをタッチパネルみたいに押すだけで済みますから電話番号さえ要らないという、非常に簡単なIPテレビ電話です。当然、通話料無料でしょう。これはパソコン要らずの新しいブロードバンドコンテンツというか、簡単なコンテンツということで、最近びっくりしていますが、これとこれをP2Pで結べば、おじいちゃんがお孫さんとという話も簡単になります。ビジネスにも使えますね。8万2,000円ですとかいって値段がだんだん出てきましたけど、そんなことも今、出始めています。
   そのほかにも幾つかP2Pを持っていますが、これがそうです。これは傑作なんですね。韓国のハナロ通信が大成功したということで、僕の友達の韓国の人が「尾野さん、ベンチャービジネスやっているんでしょう。私たちのP2Pの技術を使ってくれませんか」ともってきたのです。それでやることにしたのですが、Kiricoara(キリコアラ)です。Kiri(キリ)というのは韓国語で我々という意味です。どういうことをするかというと、この画がありますけど、インターネット放送を個人でやれるような仕組みがあるんです。個人で「これこれこういう放送をしますよ」ということをサーバーに登録しておきます。そうすると視聴者が「何かいい放送はないかな」と聞きに来ます。それで「あ、これを聞きたい」と選ぶと、実はサーバーは関係なくなって、放送者と視聴者がじかにパーンとつながっちゃうわけです。これがまさにP2Pになってしまう。こういうユーザがだんだん増えてくると、帯域が足りなくなりますよね。そのときには代理サーバーということで、もう一回、私たちのサーバーにつないでくれたら太い帯域を貸してあげますというモデルだったわけです。韓国では何万人も使っているらしくて、本当に大変な当たりを出したらしいのですけど、日本では全くだめでした。何故か。簡単ですね。韓国は著作権がめちゃくちゃでしたから、音楽とかを関係なく放送しているわけです。日本はそんなことをやったらいけませんよね。私たちは「音楽を使う場合は著作権に気をつけてください」というようなことをやっているものだから、だれもディスクジョッキーなんかしませんね。韓国では高校生あたりがディスクジョッキーでジャンジャンやっているといったコンテンツなんですけど、上手くいきませんでした。

   そんなことを言いながら、P2Pではないですが、実はインターネット放送もいろいろやっています。こういったテレビ風の画面を作って、チャンネルも選んでやってやると。福岡ですからRKBという地域放送局がありますけど、そこのローカルニュースも流せますし、JNN系の全国ニュースもすべて流せます。そういったこともできています。そういったこともある意味では、昔、96年からやっていたことですし、日韓首脳会議の記者会見も中継したりとか、いろんなことをやりました。
   そんなことをやっていたので、あるときに大分市から相談があって、ワールドカップがあるのでワールドカップ用に何か考えてくれないかと言われて「ネット・ピアッツァ」ということを提案したら、提案だけでなくてつくってくれと。つくったら今度は運営もしてくれと言われて何もかもやるようなことになっていますけど、「ネット・ピアッツァ」というワールドカップ用の広報施設で、インターネット放送を主体にしてやりました。ワールドカップそのものがよかったからでしょうが、大変な賑わいで、1つの名物のエリアになりました。これで大分市にインターネット放送設備が導入されたということになるわけです。ところが今、ちょうど大分市長選挙に今度入るので、今までの市長がもう立候補しないということになって、今誰も使っていないのです。新しい市長によってこれが生きるか生きないかということで、やっぱり行政というのはなかなか難しいというようなことを感じています。
 
   では次のページで、「ブロードバンドは音楽が熱い!」と書いてあるところがありますね。考えてみたら、皆さん方も音楽だけは何度も聞き直しますよね。他のものは、テレビでもニュースでもそんなに2回も3回も見ないでしょう。ところが音楽だけは、よかったら3回でも4回でも10回でも100回でも聞き直すじゃないですか。ということは、どうやら一番繰り返し頻度が高いものを作らないと上手くいかないのではないかということから、音楽に取り組んでみようかということになったわけです。それでコアラでは、DRUMという九州でも結構有数のライブハウスグループがあるのですけど、そこのグループと提携してライブハウスを毎夜中継しますとか、ミュージックシティ天神という福岡市の新しい事業があったわけですけど、そこでのフェスティバルを中継したりとか、いろんなことをやっていたのです。だけど結局こうやってやっても、これは結局はネットでそのホームページに見に行かなきゃいけないものでしょう。見に行かなきゃいけないものはそれほどは見てくれないですね。インターネットがいかに良いコンテンツを作っても、結局皆さんが一番使っているものといったらメールでしょう。いかに良いものをつくっても、先方から自分のパソコンに届けてくれるメールほどの威力はなかったのですよ。ということで、困ったなと思ったのです。
   ここからビデオをぜひともお見せしたいんですが、そもそもやりたかったこととして、1987年に作られたFRIEND21というプロジェクトがあります。これは通産省系のプロジェクトだったのですけれども、当時、どういった未来ができるだろうかということを議論したモデルで、その中にとても面白い、電子新聞というものがありました。ビデオメール、電子新聞、それから未来の放送という3つのパターンで、未来モデルみたいなことを見せてくれたんですね。とても面白くて、当時アップルが未来のパソコンをダイナブックとかいろんな形で出していた時代ですね。
   すみません。これを見てください。こういうふうに単純に新聞があって、新聞の写真をクリックしたら動画になります。当たり前そうに見えるじゃないですか。これが未来の電子新聞なんですけどね。こんなことをずっと見せられていたので、何とかそんなものをつくりたいと願っていました。15年経ってやっとそれを実現する皆が広く使えるプロトコルが現れたわけです。大体ウインドウズ・メディア・プレーヤーでよくなったとか、それからブロードバンドが当たり前になってきて、動画ライクなものでも送ったって何とかなるような時代になってきたといったことで、去年の夏に苦労して「インターネット動画新聞」というのを作ってみたのです。
ここに書いてあるとおりで、九州電力さんにお金を出してもらって、これは広告収入とかでは集めきれませんから西日本新聞社に編集指導してもらって、私たちコアラが取材し作るという形でやっているのです。具体的には、これが待ち受けアイコンで、こんなものが出てくるんですね。わかりますか、これが待ち受けアイコンですね。これをダブルクリックしたらビュアーが出てくるのですけど、こういったビュアーが出てきて、目次を押します。それでこういうような形に(目次や本文が)出てくるわけですけど、フラッシュあたりで軽くやっているわけです。動画レポートということで動画ボタンを押します。こういったのが出てきたら、こうやってやるとこういうように。たまたま今、卒業シーズンだからでしょうか、うちのスタッフが自分たちがモデルになって卒業式ファッションを披露したり、このような体験談をいつも作っているのですよ。こんなことをやったりとか、こちらなんかは傑作ですよ。これもびっくりしちゃったんだけど、これは新人研修です。これはベスト電器にうちのスタッフが体験入場をしているんです。それでスローガンを話すことをやってみたりとか、何かわからないけどかなりふざけたという感じかな。でもこんなことをいろいろやってみて、それをこういった記事と一緒に出していくということをちょこちょこやっているわけですね。結構これが受けて、まだそれほどユーザはいないのだけど、いろんな形で配られ始めています。
   これは配信するという形のものでしょう。そうするとある意味でメールと同じようなところがあるし、かつまた、メールであったらウイルスも運びますけど、こういったコンテンツを運んでもウイルスを運んでいるというイメージはないでしょう。そういうことから、今はいろんな方々から「こういうやり方もあっていいね」というふうに言ってもらえているということで、ちょっと今、これに関して一生懸命になりつつあります。
   ごめんなさい、次に行きましょう、急ぎましょう。こういったことで、隔週で出していたのを、今年の3月から毎週出すようにしたのですけど、さあ、だれがお金を見てくれるんだろうと思いながら、悩みながらやっています。
   そういうことだけでなくて、同じものでも、映像をせっかく作るわけですから、その映像をバルーンと呼ばれていますが、デスクトップ上に小さな窓を出して、そこにチャンネル的に、ながら族用に出すといったこともやってみたのです。でも、これは誰が使うのかなと思いながらやっています。しかも、これら番組編成をプログラムできるようにしていて、動画1から動画nまでずっと自由に編成できていて、途中、番組割り込み映像も挿入できます。だから、緊急放送もできます。しかも、これは1週間分のプログラムを組めて、1週間分、無人で運転することもできるというものを作っています。
   そういうことを考えたら、結局考えられるのは、電子動画新聞を出しながら、ながら族的な、またはインターネット放送を本格的にやりながらやるということで、それらには当然、広告をつけるべきではなかろうかと。だから当然ながら、広告を出すような形でやりましょうというようなことを考えるわけですね。広告を出すのですけど、双方向のコミュニケーションツールがたくさんありますから、それに対して意見交換をして、それを編集会議に活かしていくと。編集会議に活かして、それを広告やまたはコンテンツ制作にあらわしていくという、1つの大きなループができるのではないかと思うわけです。そのループを作るのですけど、それらを使いながらISPとしての事業収入を円滑化していくというようなことをやっていって、こういった制作するお金を出したいものだと思うのですけど、可能かどうかは今、一生懸命実験中ということですね。
   こういったことをやったら、いろんな方々が面白がって来てくださるので、そうか、こういったシステムをそのまま各自治体や企業や地域社会に提供してあげればいいんだと。
「作り方が分からない」「分かりました。では、どうぞコアラに人員を派遣してください。預かって、しばらく教育してあげましょう」というようなことを今話している最中です。
   そんなことを言ったら、たまたま福岡市が音楽ポータルサイトをやりますということを言い始められたのです。これはどういうことかというと、福岡市はいろんな有名なミュージシャンが次から次に出てきているわけですけれども、そういったことで音楽関連産業を考える価値があるのではないか、したがって音楽産業を振興するということを考えていきたいと。それにはいろんなことをやるけれども、例えばインターネット上からも、ブロードバンドがあるがゆえに音楽産業を振興できるような仕組みを作っていきたいと。それを提案コンペでやりたいと言ってきたわけです。大変多くの方々が提案されたのですけど、私たち提案させていただいたら、上手い具合にたまたま私たちが最後まで残りましてお仕事を作るようになったのです。
   どんなことを作ったかといったら、簡単に言うと福岡市の狙いというのは、音楽関連ビジネスは裾野が大きなコンテンツエンターテインメントビジネスだ、本市はミュージシャン輩出のメッカ的な都市だと。昨今のブロードバンド化は福岡の音楽関連産業のチャンスだ。本市の豊富な音楽資源を活かして、国内外、東アジアをマーケットとするエンターテインメント都市作りをやりたいのだ、というようなことで私たちが作るわけです。それをやって最終的には音楽産業都市をつくり、エンターテインメント都市に導きたいと。これは早い話が、市は狙いがあって、それを民間のノウハウでPFI的に、またはPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップのような形で受けとめて、運営ノウハウも含めて民間のノウハウで総合的に建設運営を請け負うということなんですよね。正に狙いは福岡が考え、それを民間のノウハウで構築して、地域社会の中にインフラを提供するという仕事だったわけです。だから、なるほど、コンテンツを作るというのもこういうやり方があるのかと。地域に新しいブロードバンドコンテンツのあり方として、またはコンテンツの方向性、文化のあり方としてこういうやり方もあるのかということを改めて感じたところなんですね。今、これを一生懸命やっています。具体的には先々週かな、先月の28日にオープンしたんですけど、当然、ビデオ映像を用意していますし、たくさんある音楽スポットのライブスケジュールデータベースとかいろんなものを用意して、ミュージシャンにとってみると使いやすいものをやっていこうというようなことをやっています。
   ワールドカップのときに大分市向けにインターネットスタジオをつくって、大分市民向けにコンテンツを作らなきゃいかんというのでいろんな人を募集したら、結局、採用したのがNHK大分放送局でアシスタントアナウンサーをやっていた女性の2人なんです。当然、彼女らはいつもニュースをつくっているから作り方も分かっていて、とってもいいものを作ってくれて、さすがと思ったものです。そこで今度は音楽サイトをやったら、今度はどういった人が入ってきたと思いますか?。歌手が入ってきちゃったりして。みずからミュージシャンで、ロンドンにライブに行きましたとか、韓国にライブに行きましたと。パンクロックなんですよ。しかも女の子ばっかりの3人のコスプレバンドなのでちょっと怖いという気持ちもするのですけど、でもそういう女性が入ってきて、このウェブを更新するということ、または自分たちがコンテンツを作るということをやり始めています。
   コンテンツの作り方がより専門化していって、それに相応しいというか経験をもった方々がネット産業というかブロードバンドコンテンツ産業に入りつつあるのだな、というようなことを感じますね。しかも、これは市から、1〜2年後には独立採算でやりなさいと言われているんですよ。これはなかなか難しいですよね。エスプレッソといい、こういうものといい、私のところには当面はどうも不採算のようなもがばかり集まるような気がしてしようがないのですけど、まあ何かやっていかなきゃいかんかなと。
   そういうふうなことをやりながら、ブロードバンドはどうしてもコンテンツ必要になりますから、実はデジタルハリウッドと協調して「ブロードバンド・ジャーナリスト講座」というのをやっています。デジタルハリウッドでやったらすごいですね、こういうのに30万ぐらいお金を取りますよね。それでも人が集まってくるのにびっくりします。かたや福岡県が福岡市でやったことは、NPOジャーナリスト協会というのがあるのですけど、去年の9月にそこに発注して、社員を30人雇いなさい、そして1カ月間でブロードバンドのビデオ映像を作る作り方を教えなさいと。そして来年3月までに福岡県内の観光ビデオを作りなさいと。緊急雇用対策ですよね。そんなことが実は流行り始めているのです。大分県でもちょっとあったのです。
   私たちは、そういったブロードバンドの人材が今手に入りつつある、またはそういったことを作らなければ本当のコンテンツができないという時代になっています。それはさっき言ったようなことにとても合致するでしょう。エスプレッソと呼ばれている、皆さん方のお手元に配っています小冊子で、それは印刷しただけですけど、そういったものに対して正に作る人材を育てるといったことになると思うのです。逆にまた、そういったことができると、ある意味では地域の中でいろんなコンテンツを作る人材になっていくというようなことも思っています。
でも、私はこれでまだ満足していなくて、ハイパーネットワーク社会研究所を作るときに「将来、何をしたいの。何を研究したいの」と言われたものですから、1991年にこのハイパーネットワーク・ルートマップを書いたのですけれども、それによると1991年から4年ごとに私たちはシステム、サーバーを変えていく、更新していくと。そうすると一番最後は2010年ぐらいになるのですけど、2010年にはバーチャルリアリティ通信をしたいという画をかいているのです。1991年に書いたときはまだインターネットとかが一般的でなかった時代ですから、どうなるかなと思いながら描いたのですが、今のところほぼ予定どおり来ていると自分では思っていますが、2010年に予定したいバーチャル通信をあきらめていないんですよ。そこでTAOの研究に応募して認めていただき、ワールドカップをテーマに4年がかりでバーチャル通信実験に取り組んでみたのです。大分にワールドカップ大会のスタジアムがつくられましたから、そこのスタジアムにカメラをたくさんつけて、そのカメラで撮った映像を計算合成して立体モデルをつくって、それを自由な角度から見ることができるというものを作りたいということを一生懸命やったんですよ。あれは去年の5月だったでしょう。何とかやりたいということで最後まで粘ったのですけど、やはり残念ながらワールドカップの撮影権が特にキルヒの破綻などもあってとれませんでした。だめだったら結局、民間からもお金が集まりませんからカメラも買えなくて、研究だけで終わってしまって大変残念だったと思っていますけど、こんなこともやっています。お見せします。
   この壮大な実験をやったおかげで私の未来計画において1つ面白い収穫がありました。この中心人物の1人で金出武雄さんというアメリカのカーネギーメロン大学の著名な先生がいますが、彼が2001年1月、一昨年の1月ですけど、CBSからお金を出させてスーパーボールで映画のマトリックスのような立体映像的にぐるっと角度を自由にして映像を見れることをやりました。我々のグループでそんなことがついに始まっちゃったなんて、すごいですね。いよいよだぞ、、、そして、それを小さなモデルでやろうとしているのがこれなんです。金出先生が少し絡んでいる会社なんですけど、Zaxel社というのがアメリカにありますけど、社長も日本人、金出さんも日本人、私たちも日本人です。アメリカの会社だけど全部日本人のような気がするのですけど、こういったある小空間でカメラをたくさん撮ってしまう。そしたら、こういうふうになるんです、見てください。こんなふうになるのです。自由な角度で見ることができるコンテンツになるのです。おもしろいですね。これを何かに使えませんかね。未来のバーチャル通信が垣間見えませんか?
   さっき音楽産業を取り上げましたが、僕はこれを、「福岡にスタジオつくりましょうよ。ここで撮影したらこういうふうになりますよ。こういったスタジオつくりましょうよ。」と一生懸命言っているんですけど。こんなスタジオを作るのもいいのではないかと。今のところ、このスタジオは世界に6つしかありません。あ、まだできていないから5つぐらいしかできないのかな。4つぐらいで、今、6つ目ができようとしているのかな。日本では慶応大学に1つだけ、今事例ができつつあります。でも非常に小さなものだから、もっと本格的なものを作りたいなと思っているのですけどね。これは当然、通信ができます。こんなことをやっていってもいいのではないかと思うわけです。

   そんなことをいろいろやっているのですけど、もう一回整理しますと、「地域にコンテンツをあふれさせるには」というのが今回の命題ではないかと思うのですね。地域にブロードバンドコンテンツを出したい、お手持ち資料の10番のところですけど。なぜそういうふうなことを思うのですか?。それは、ブロードバンドのコンテンツがあれば地域が活性化するからだ、ということだろうと思うのです。でも、活性化するということを、根本的に考えると、地域が(東京でなくても)、自ら主人公として生き生きと生活できる地域づくり、経済的にも。そういった地域を作ることが目的であり、それに対して地域にはブロードバンドコンテンツをあふれさせたいということなんだろうなということを私は思っています。
   それには2つの方向があるのではないかと思うのです。1つはボランティア型のもの、要するに利益を追求しないものです。もう1つは、ちゃんと産業としてというやり方があると思うのです。ボランティア型というかNPO型のものが、結局ネットは文化であるということに結びつき易いことをしっかり把握しなきゃいかんと思うのです。先ほどから言っているとおり、地域ネットはやはり文化ですよ。今はどちらかというと、ヤフーさんを初め皆さん方とても頑張っておられますけど、東京からの画一的で安価な大量生産型のネットが地方に押し寄せてきているわけですね。そこには地方の文化がなくなってきているわけです。東京の大量生産文化が押し寄せてきているわけですね。地方に本当の文化を作りたければ、地域ネットを作らなきゃいかんのです。そこに新しい文化、地域の文化ができるわけですから。そういった意味で「ネットは文化である」ということをしっかり意識づけして、地域のISPは地域のネット文化拠点であると。なぜISPかということは、簡単なことなんです。ISPのところには太い回線があります。そこには幾らでもサーバーを置くことができます。かつIDCまで持っていますから、そこには地域の人に提供できるいろんなものがたくさんあるのです。そこが一番、簡単にネット文化をつくれるところなんですね。
   そして、それはある意味では、CATV事業者もありますけど、CATV事業者は先ほどからお話ししているとおり、かなり対照的でしょう。やはり本来の放送をしようという方向にどうしても行きます。そちらのほうが映像が性能的にはいいですもんね。だから、どうしても行っちゃうんで、インターネットのことが少し後回しになる。かといって、地域のCATV会社が地域インターネットを大変うまくやっていますけども、そこだけではなかなか、今はもうブロードバンドのコンテンツってそういった意味でできないのではないかと僕は思っているのです。そうすると、やはり違う形のブロードバンドのコンテンツを作る人たちを、どうしても地域の中で育てていかなきゃいけない。CATV会社と協調するとかそういったことをやりながら、外部に作っていかなきゃいかんだろうという時代だと僕は思うのですね。大分県も地方でCATV局がいくつかあるのですけど、ブロードバンドのコンテンツを作っているところはほとんどないのですよ。テレビ局用のコンテンツは作っていますが。そこが違うのです。
   では産業としてやるかといったときに、これは2つの方法があるんですね。ベンチャー型でやるか、または既存メディアからのアプローチでやるかということだと思うのです。既存メディアからのアプローチは、これもなかなか難しいところがあります。さっきのCATVと僕は同じだと思うのです。既存のメディアを壊してしまいかねないことをやるわけですから、コンテンツ産業としてなかなか取組みにくい。しかもコンテンツ産業としてやったときには囲い込み型になりますから、正直なところ、本当の新しいメディアの誕生を促すかどうかというのは僕はちょっと疑問だと思っています。本質的にはどうしてもベンチャー型でやらざるを得ないのではないかと思っています。かといって、それをベンチャーでやるときには、利用者のある意味での自由度が増したときにネットが発展するというわけですから、これを今当てはめるならば、ビデオ映像を誰もが作れるということですね。練習した人ではなくて、誰でも作れる。そういったところまで何らかの形で発展があるならば、ある意味ではそれは市民参加型のメディアが1つ誕生するだろうと僕は思うのです。逆に実験的にアプローチする、自治体とかいろんなところで実験的に新メディアを作るんだといった気持ちでやることも可能ではないかと。そうすれば新しいベンチャー型のマルチ新メディアが誕生する。どちらにしても、そういったことをやりながら社会的な認知をさせなきゃいけない。新聞という1つの概念があったのと同じように、CATV局というのが新しい概念ででき上がったのと同じように、新しいメディアを概念として作らなきゃいかん時代が来ていると思うのです。そこにはどうしてもやはり地理的なことがありますから、自治体や行政の力がどうしても必要になってくるだろうと僕は思います。
   それからもう1つ、地方でそんなことをやっても上手くいかないことがたくさんあるんですよ。どういったものが地方のコンテンツかというと、110番情報とか病院情報とか行政情報、こういったものは必要なものだと思います。そして、金に糸目をつけずに欲しいものがあります。それは公開入札情報とかそういったものなんですね。売れるものは何かというと、(地方で作ったものではない)メジャーなエンターテインメント情報、またはプログラムとかそういったものですよね。ところが、地方にとって売りたいけど売れないものがあります。地方のエンターテイメント、すなわちマイナーなエンターテインメントです。それから、売れないけどあって欲しいものとして、地方の観光情報があります。必要度は低いが見せたいものとして、地方のPR情報とかこういったものがあります。でも、この黄色(地方のエンターテイメント、観光情報)で囲ったところが実は地方のコンテンツビジネス対象、ビジネスコンテンツ、地方のブロードバンドコンテンツになりそうですから、これではコンテンツ収入がないに等しいでしょう。でも、ここを何とかしなさいと皆さんから言われているわけです。なかなか難しいんですね。
   では、これをやるにはどうしたらいいかというと、ある意味では自治体の広報、または企業のPR費という、そういった形のものを何かとらなきゃいけない。または、他の本業からこういったところに突っ込んで両立を狙うとか、そういったことをやらざるを得ないのがどうしても実情ですよ。これを認めずして売れるものを作れと言ったときには、これはメジャーになっているということですね。だから、どうしてもこれはあり得ないのです。このあり得ないことを今私たちはやらなきゃいけないので、そこにはどういったことがあるかということを考えなきゃいけないわけです。それには規制緩和も必要でしょう。今の記者クラブも全然私たちは入れませんし、こういったことに対する規制緩和も必要でしょうし、ある意味ではインターネット放送局だけじゃなくてテレビ局、またはCATV局あたりと協調して新しい取り組みをするとか、そんなことまでいろいろと出てくるのではないかと思っています。

   何か最後に提案ということを言われたので、これは手前味噌になるからちょっと嫌だったのだけど、でも、やっていることは自分で信じているからやっているわけだから臆せずに自分で言うかなと。恥ずかしいんですけど、やっぱり考えるのはさっきから何度も言っていますけど、ネットは文化です。地域ネットは地域文化の拠点だということ。
量産安価型全国ネットは全国画一文化、それに対抗した地域文化をつくると。それには地域ISPを核にしなきゃいけないというか、することも1つのやり方です。これはコンテンツ事業が発生することですからね。これは手前味噌ですけども、やはり地域ISPの育成創造をやらなければいけない。例えば福岡県がインターネットデータセンターへのホスティングに対して助成をするとか、そういったことを作りつつありますが、そういったことも1つの手かもしれませんね、コンテンツを集まりやすいようにするとかですね。
   それからもう1つ、ブロードバンドコンテンツが流通しやすい新しいインフラ普及を支援すると。1つは、コンテンツ・デリというのを名古屋で業者がやっていますけど、これは世界じゅうのビデオコンテンツを探し出して、それを登録して、その登録されたデータを組み合わせて、メールでこういったのがありますよと送ってあげる。そうすると、それを再生することができると。これは自分でコンテンツをつくっていなくて、世界のコンテンツを相手にしているわけですが、これも流通の新しいやり方だと僕は思います。
   それからもう1つは、私たちがやっているように愚直といいますか、力仕事になるかもしれませんけど、地域のコンテンツを一生懸命作り続けていくと。新聞ライクな動画付きコンテンツ配信。
だって皆さん、未来の文書は必ずこうなるでしょう。絶対にこうなりますよね。未来の文書というのは必ず映像付きになりますよ。NHKでさえ以前研究所で提案していますよね、ISDBでしたかね。絶対に未来の文書というのはこういうふうに、文書とそれから映像と一体になったものですよ。何かやるとしても、マニュアルを作るにしても、必ずこういったことになるでしょうね。ということは、こういったものが必ず地域の中になくちゃいけなくなる時代が来るのです。だったら、こういった1つの動画新聞というプロジェクトをつくってあげて、こういうのが当たり前だよという概念を作ってあげる。それで一緒に教育もしてあげる。若い人たちに、こういったことを作りましょうと言ってあげる。そういったモデル事業的な推進をやってもいいのじゃないかと。昔、「ハイパー風土記」いうのが、これは通産省だけどありましたよね。あのときに全国一律、あちこちでマルチメディアを作るのが流行ったじゃないですか。そのときにいろんな人が育ったじゃないですか。それと同じように、電子動画新聞プロジェクトというのがあってもいいのかもしれないんですね。
   そういったことをすると結局、多くの新聞がたくさん発行する。たまたま私たちがやっているのは「天神エスプレッソ」といって、これは女性向けですけど、男性誌をつくるとか、技術専門誌をつくるとか、飲み屋街専門のものを作るとか、いろんなことが考えられるはずなんですよ。
いろんなベンダーがいろんな本を出していくと。そうすることによってユーザも拡大し、そういった中から自分が好きなものを選んで見ることができる、それがコンテンツだといったことをやっていくのも面白いのではないかと。
こういったことが1つのデファクトスタンダードみたいな形で日本で流行ってしまうならば、まだアメリカはこれはできないんです。アメリカはまだブロードバンドが全国に発達していないわけですから。日本だったら、韓国とは違う形でこういうことがいち早くできるかもしれない。韓国は「オーマイ・ニュース」のように投稿型でメディアを作っているかもしれないけど、私たちの場合は新しい流通のプラットフォームをつくって、これを世界の標準、共通の形なんだよというようなこともやってしまったならば、ある意味では私たちが新しいアプリケーション概念を社会に提案したことになる。
そういったプロジェクトをやってもいいのじゃないか、いやぜひともやるべきではないか、という気持ちで、私は個人的にはおります。でも、これを言いすぎると何か自分がやっていることをPRしすぎて、ちょっと恥ずかしいんですよね。
   そんなことをやっていますので、ある意味では九州で新しいことに挑戦できることが楽しいですよということを私は考えながらやっていますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っています。以上でございます。
【小林座長】    ありがとうございました。
   お二方の大変中身のあるお話を伺うことができたのですが、その分、時間がかなりオーバーしております。
   この後、アンケートの実施報告というのが約10分ありますが、これも若干端折っていただくとして、あまり時間がありませんが、質疑応答は15分ということで4時まででお願いします。極めて時間が限られておりますが、その反面、お聞きしたいことはいろいろおありかと思いますが、早い者勝ちでどうぞ。
【信井構成員】    高橋さんにお伺いします。大変素晴らしいことをやっておられまして、ケーブルテレビで成功されているものの1つだと思います。それで全国にケーブルテレビはいっぱいございますけれども、他にも同じような形で成功している事例があれば、2〜3挙げていただきたい。
   それから尾野さんでございますけども、この間の北海道の例でございますけれども、いわゆる補助金でとにかくスタートして成り立っている現状だと思うのです。それはいつかは止まるわけでございますね、いつまでも補助金に頼っているわけにいかない。そうしたときの展開もいろいろおっしゃいましたが、私も多少の経験があるのでございますけれども、実証実験のときは非常に上手くいくのでございますけれども、いざ事業化ということになりますと出資する人はほとんどいないのが現状で、いつの間にかしぼんでしまって、素晴らしい“実証実験”に終わる例が多いのでございますけれども、それに対して尾野さんもいろいろおっしゃいましたけど、何か展望があれば教えていただけると大変参考になります。以上でございます。
【小林座長】    それでは手短に、それぞれお答えいただきたいと思います。まず高橋構成員。
【高橋構成員】    地域のケーブルテレビで成功事例というのは何を指すのか、これはいろいろあると思うのですが、ただ、本当に地域のために頑張っておられるケーブルテレビは全国にたくさんございまして、どちらかというと地方都市のほうが多いのではないかなと思いますが、例えばきょうお越しの塩冶さんのところの三重県のケーブルテレビの皆さんも本当に頑張っておられますし、北海道地区でもおります。それから中国管内でもハイケーブルさんというのも非常に頑張っておられます。長崎のケーブルテレビも、佐世保も頑張っておられます。愛媛ケーブルさんも頑張っておられます。
   固有名詞で言えば、本当にたくさんあります。ただ、本当に頑張っておられる地域の番組を我々がそれを衛星で他地域に配信し、見ていただくことで、地方地方がみんな頑張っていけるようにしていきたいなと考えております。
【小林座長】    ありがとうございました。尾野さん、よろしく。
【尾野氏】    さっき私が言ったのは2つとも補助金ではなくて、九州電力さんのほうは九州電力さんが何かやりたいと相談があったので、ではこういったことをやったらどうですかという提案をおこない、彼らのお金でやることになった事業ですね。そして3年ぐらいたったら独自採算で運用できるよう事業化したいということで、まず最初の2年間を一生懸命やってみようと。それで今、1年目がやっと終わりつつあるという状況です。だから、これは共同プロジェクトでどこかで事業化していきたいと考えつつ取り組むので補助金打ち切りで継続できるかできないかは自分の努力しだいですね。
   それからもう1つ福岡市の場合は、これは福岡市がこういったことをやりたいといったことに対して、別に補助金ではなくてコンペですから、福岡市がやりたいことをお手伝いしていると。ただ、これもいずれは独自採算プロジェクトとしてやっていかなきゃいけない。そういった意味で、常に私の場合、数年間の助走つきで独自採算の方向性を出されていて、ある意味ではそうやって新しいコンテンツビジネスを作り出すチャンスをいただいている、と考えたい。ご指摘のように補助金がなくなったら止める、というのではなくて。
   ただ、簡単に言うと九州、特に大分の事例を言うと、例えばCATV局は最初の立ち上げ時の補助金額が大きく、第三セクターでスタートしてビジネスになっている。だから、本格的にブロードバンドコンテンツを地域でやろうと思うなら、そういったところはある意味でCATV局立ち上げと同じように大きな助成金がないとしようがないところかなと今思っています。かつ、自治体にとってみるとどうしても、インフラは作ったけどコンテンツがないということで、何かブロードバンドで作らなきゃいけない。そういったときにはこの電子動画新聞というのはちょうどいい簡単な事例かな、若い人たちも作れるからというようなことを思っています。
【小林座長】    ありがとうございました。どうぞ。
【井上構成員】    富山県の井上と申します。高橋様、尾野様、興味深い話を教えていただきましてありがとうございました。それを踏まえまして、資料2の「地域メディアコンテンツの担い手」ということで、ちょっと私が感じたことを申し上げさせていただきます。
   担い手として、殊に地域のメディア企業、行政、住民・NPOで重なっている部分がありますが、そこがいいコンテンツを発信する力があるところだと思うのですが、そこを、中海テレビさんもおっしゃっていたように仲介する、コーディネートする役割というのが非常に重要なところではないかと思っております。私は行政におりまして、尾野さんの資料にある「地方の矛盾」のところにあるように、必要度は低いが見せたいものということとして、県が発表する情報とかいろんな観光情報とかあるのですが、そういうのを企業さんと連携したり、住民の方と連携して、いいコンテンツとして世の中に発信する、そういう仕組みを作るコーディネートをしていただける役割というところが非常に重要だと思います。
   それともう1つは、コーディネートして実際にコンテンツができた後、そのプロモートをする役割というのが結構重要なのではないかなと思っております。富山県の中でもCATVさんと協力していろんなコンテンツを作って、インターネットにも配信しておるのですが、祭りとか良いものがあってもなかなかアクセス数は伸びません。どうしても行政がやったりすると、そのプロモート、宣伝という部分が非常に下手なところがありまして、いいコンテンツを世の中の人に見てもらうようなプロモートする役割というのも重要なのではないかなと思っております。以上です。
【小林座長】    ありがとうございました。この点については、高橋構成員のほうからご発言があるようですのでどうぞ。
【高橋構成員】    行政の方なんですが、実は鳥取県では行政、県とそれから地方の企業の方々と一緒になりまして、衛星とケーブルテレビを介してPRをやろうと。PRだけでは今まで各メディアもやられたわけで、それだけではなくて、簡単に言えばテレビショッピングみたいなもので、鳥取県に来ていただこうというのが1つの目的です。もう1つは、来られない人には物を買っていただこうという実験をやろうということで、鳥取県と、企業が10社程度集まりまして、2月1日から28日まで、全国のケーブルテレビで約600回、22局で放送を開始しました。結果が今、集計中でございますが、やっぱり相当売れていますね。今まで各行政の方は、デパートで何々県の産業フェアみたいなのをやられたと思うのですが、とりあえず新しいメディアで新しい試みをやってみようということでやってみました。これは1,000件近く売れたのですけども、一番高い商品は、松葉ガニが1万8,000円の商品です。こういったものが鳥取県産が結構売れたということです。
   ですから今回の実験は、まだこれはすべて細かく出ておりませんけども、メディアを使って上手く放送したということでの経済的効果というものと宣伝効果、これを今分析して、その数値を出していくというやり方をしております。これをやった関係で、今、数件の県から問い合わせをいただいております。そういったことが私どもの新しい媒体を上手く使っていく試みではないかなと思います。今後、各県が一生懸命になって、企業も広報の重要性というものは出てくると思いますし、自立ということが叫ばれている中で、そういうメディアも上手に使う仕組みというものを考えていかなければならんのじゃないかなと思っております。参考までに。
【小林座長】    ありがとうございました。どうぞ。
   ではあとお2人で締めるということで、では、どうぞ。
【二瓶構成員】    電通の二瓶でございます。尾野さんにお聞きしたいのですけれども、九州電力とか福岡市というのはまさに福岡という土地柄で、きっと絶対に出てくる分野だろうなということは想像できます。そういう中で今、井上さんのご指摘もあったような、例えば広告会社、あるいは放送事業者ですね。僕は今日、この話をとってもわくわくしながら、何かいろんなイマジネーションがわいて聞いていたのですけれども、たったこれだけの話だけで感じたのですけど、隣にいる地元のそういったプレーヤーたちの現状というのはどうなんでしょうか。
【鈴木(稔)構成員】    ちょっと関連しているのでいいですか。
   もう1つ、今のお話と関連するのですが、ブロードバンドコンテンツの制作人材で、これはケーブルテレビから求めても、ケーブルテレビは所詮はテレビの映像しか作らない、だからベンチャー型でやるのだと、私もよくわかるのです。そのベンチャー型の人材の育成について、お考えがあればお聞かせいただきたい。
【小林座長】    では、あわせて。
【尾野氏】    まず1つは、確かに九州電力と福岡市はうまく口説けたわけですね。福岡市に対しても提案したら、上手くいった。だから、さっき井上さんがおっしゃったように、どうやってPRするか、またどうやって仲介して仕事をするかといったことなので、福岡市にも九電に対しても、僕はこれだけでは儲けられませんから、しようがないからこのシステムを別のところに売ろうということでパンフレットまでつくりました。このシステムを売ることによって制作費を出すということをやらなきゃしようがないのかなと。または、幾つかの自治体が今、地域イントラネットで九州内でもできそうですから、そういったところに例えばこういったアプリケーションがありますよ、使ってみませんかということで、いろんな方々、メーカーとかの皆さんに配ってくれないかなと。私自身は配る暇はないので、そんなことを今思ったりしています。だから、ある意味では社会のインフラになることによって、そういった方々が落っこちてくるのではないかなと。
   それから、幾つかの企業、広告会社にも興味を持っていただいていますけど、まだ本格的にこれがメディアとして成り立つかどうかというのは彼らは怪しんでいます。なぜかというと、インターネットはちょこちょこ見たって1万、2万のアクセスも行かないです。ところが通常、広告雑誌、紙の媒体は、ちょっとしたフリーペーパーでも2万、3万部となるでしょう。そうすると広告を出して役に立つのですけど、1カ月に1万、2万ではどうかなと思うようなところがあるわけですね。ところが、まだこれはユーザーが数千ですから。そういうようなところを今からどうするかということで、このメディアそのものをPRしていかなければいけない時代だろうなと思っています。
   そういった意味で稼げていませんから、人材をたくさん用意できないんですね。今、例えばこの「天神エスプレッソ」というものを作っていますけども、これはビデオ班が3人に女性のコンテンツ制作者が5人ぐらい、大体8人ぐらいでやっています。8人でやったときに、計算してみたらお値段が大体分かるでしょう、とても採算が合うものではないと思います。でも、必ず未来があるものと。だって、あの漫画を見たでしょう。未来はああいうふうになるんですよ、と思いたいじゃないですか。また、そういったことを育てるのは面白いということで、人がじゃんじゃん集まってくるのです。入社希望を断るのに、本当に往生しています。でも、本当に採用したい人が次から次に来るんです。昨日来たのは、ジャズスクールでジャズやっていましたという女の子で、音の専門家なんですよ。音の専門家をこういうのに入れてやらせたら面白いと思いますよね。CMをずっと作っていましたという女の子が、フラッシュでCMを作りたい、こういうのを作ってみたいと来るんですよ。採用したいんですけど、お金がないんですね。
【小林座長】    大変残念なんですが、時間がありません。構成員の皆様方には、今日聞きたくて聞き得なかったこと等がございましたら、事務局のほうで集約していただいてお二方にぶつけるような、そういうチャンスを作ったらどうかなというふうに考えております。私の責任で、今日の話が更に盛り上がっていくような何か仕掛けを作りたいなというふうに思っております。
   今日はどうもお二方、大変刺激的なお話をありがとうございました。
   それでは、もう1つ議題が残っておりまして、既に行われておりますアンケート調査につきまして、とりあえずのご報告を事務局のほうからいただきたいというふうに思います。
【事務局】    では、手短かにご説明させていただきます。資料5のほうをご覧いただけますでしょうか。
   今回、この研究会に付属いたしましてアンケート調査を実施することになりました。先に議題の1にありました「メディアコンテンツの担い手」、これに基づきまして、今回のアンケートの対象としましてメディア企業の事業者の方と、それから自治体、この2つにアンケート調査を分けまして、それぞれ別の調査票を作成いたしまして調査を実施いたしました。
   「調査目的」にございますように、地域メディアコンテンツの発信、制作及び流通、その実態をそれぞれのお立場からお答えいただくという趣旨です。まず発信の主体者としての自らの取組みに加えまして、先ほどのプレゼンテーションの中にもありましたけれども、地域住民の参画であるとか、その地域ならではの特性といった、地域に根差したコンテンツのニーズを今後検討していくに当たっての素材となるような要因を、調査したいというふうに考えております。アンケートですから定量的なデータ収集というのが1つあるのですが、今回はこの研究会を今後につなげていくためにも、より具体的なご意見というのを、このアンケートの場を借りて生の声として取り上げたいと考えておりますので、自由回答のようなものを割と膨らませて企画しております。
   「調査方法」なんですけれども、郵送方式ということで実施しております。
   3番目の「調査対象」ですが、事業者のほうは約1,200、自治体のほうは1,400となっております。事業者のほうの抽出条件は表のとおりなんですが、それぞれの事業者さんに業界団体のところがございまして、そういったところをリストのもとというふうに考えさせていただきまして、加盟事業者さんを中心にサンプル抽出をさせていただきました。自治体のほうは都道府県及び市区町村となっておりまして、都道府県は各1県ずつで全数47、市区町村のほうは下の表にございますように、人口区分に則りましてなるべく平均して抽出するというふうに考えまして、1,339という抽出数とさせていただいております。
   2ページ目に参りまして「調査内容」でございますが、事業者のほうは冒頭の「目的」の中にもございましたが、情報発信について、まず大きく制作と流通の部分に分けて、制作についての掘り下げと流通についての掘り下げということで設定しております。地域メディアコンテンツの内容につきましてそのあたりを分けておりますのと、もう1つが今回、メディア企業さんをそれぞれ多彩に抽出させていただいておりますから、分析の過程におきましてはそういったメディアごとの違いというのを比較の重点に置いていきたいと考えております。それから地域の住民、行政との関わりの部分も、こういった制作・流通に当たってどのように取り組まれているかということを調査項目の中に入れ込むようにしております。
   事業者の4つ目のポイントのところに「インターネットの活用状況」というふうにありまして、このあたりはウェブ事業者さんはそれそのものが利用メディアに当たるわけなんですが、放送関係の事業者さんたちがインターネットを補足的あるいは第2のメディアとして活用されているかもしれないということで、このあたりも比較していきたいと思います。
   次に自治体のほうなんですが、私どもの調査の姿勢といたしましては、まず行政のお立場から、行政自らの情報発信をどうされているかというところを調査するというのが1つの目的と、もう1つが地域の代表として、地域全体の中で、上の事業者さんの発信も含めて、企業としての取組みがどんなふうになされているか、あるいはその地域の住民がNPOのような団体、もしくは個人が情報発信している状況がどうかといったあたりを、代表として地域全体でご意見を聞かせていただくという趣旨です。行政のお立場から各メディアをどういうふうに使い分けているか、それから地域の中でメディアがどのように活用されているかといったのを地域の代表としてお答えいただくと。そういった内容になっております。最終的には事業者さんのお取組みと自治体さんのご意見の部分を比較できるようにしていきたいと考えております。
   最後に調査の実施期間ですが、調査票を2月20日に発送という形でスタートしておりまして、現在、回収がそろそろ最終段階を迎えております。以上です。
【小林座長】    ありがとうございました。私が間違えておりまして、とりあえずの結果が出ましたと言いましたが、今、一生懸命実施しているということで、出てくる結果を楽しみに待ちたいと思います。
   これで一応、議事は終わりましたが、ちょっと私自身が焦りぎみで、お二方のご報告について私のコメントをつける機会がありませんでしたので、30秒だけ付け足しますが、いろいろ私も地域を回って、別にお二方をよいしょするわけではないのですが、コンテンツのみならず、地域の情報化が上手くいくかいかないかというのは、その下支えをする一般の人たちのメディアリテラシーの問題もありますけども、やっぱりお二方のようなある意味のいわば地域コミュニケーションリーダーというのか、メディアリーダーなのか、こういう方々がやはりそれぞれの地域に合った組織論に基づいて、焚きつけるところはうまく焚きつけ、尊重すべき意見には聞く耳を持ち、絶妙な差配で地域を組織化できたところというのが、結果的に具体的な実りある成果を上げることができているというのは私の経験からしても間違いないところでありまして、もっと50人、100人という形で、今日ご報告いただいたお二方のような方が育ってくることが待たれるわけです。しかし、それは突然変異ではやっぱりちょっと困るわけでして、今度はまたそういう方々を育てる組織論が必要なのではないかということを感じました。
   それでは、事務局のほうから何かご連絡事項がございますか。
【梅村補佐】    特にございません。4月の研究会はまた別途、スケジュール調整をさせていただきたいと思います。
【小林座長】    ありがとうございました。
   私の司会指揮がまずくて、大変消化不良というか、ストレスのたまる形で終わらざるを得なくなったことを心からお詫び申し上げます。本日はご多忙の中をご出席いただきまして、どうもありがとうございました。お二方とも、ありがとうございました。
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