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「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」
第1回会合 議事録



  日時
    平成16年9月22日(水) 1000分〜1200

  場所
    三田共用会議所 第4特別会議室(4階)

  出席者
  (1) 懇談会構成員(敬称略、五十音順)
    新井修一郎、磯部悦男(代理出席 多和田博)、井村文彦岩浪剛太榎啓一金井宏一郎金子信幸亀渕昭信、後藤亘、佐藤重喜、塩見耕一、清水洋二白石重昭菅谷実
高橋誠、鶴田雅明、富塚國興、中島不二雄、西村嘉郎林敏彦松下康
松永真理、真野英明、森忠久、柳瀬璋吉田寿孝和崎信哉
  (2) 総務省側
    堀江情報通信政策局長、福岡総務課長、南地上放送課長安藤放送政策課長
浅見放送技術課長、江村地域放送課長、磯地上放送課課長補佐

  議事
  (1) 開会
  (2) 開催要綱(案)について
  (3) 座長の決定及び座長代理の指名について
  (4) 懇談会の公開について
  (5) 議題
   
1) ラジオ放送を巡る環境変化・デジタルラジオの経緯について
2) デジタルラジオの技術的特徴について
3) デジタルラジオ実用化試験放送について
4) ラジオの将来像に対する問題意識について事業者からの意見陳述
5) 今後の懇談会の進め方について
6) 実務者ワーキンググループの設置について
7) 討議
  (6) 閉会

  議事録
 
(1) 開会
磯課長補佐 それでは、まだおくれていらっしゃる方もおられるようですが、そろそろ定刻でございますので、ただいまから「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」、第1回会合を開会させていただきます。
  私、当懇談会の事務局を担当させていただきます、総務省地上放送課の課長補佐の磯と申します。座長が選出されるまで、進行役を僭越ながら務めさせていただきます。
  それでは、初めに当懇談会の開催に当たりまして、情報通信政策局長の堀江よりごあいさつ申し上げます。
堀江情報通信政策局長 おはようございます。私、情報通信政策局長の堀江でございます。7月に着任いたしまして、最初、まだ何日ですからとか、まだ何週間ですとか言っておりましたが、もう3カ月近くなるというようなことで頑張りたいと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。
  このたびは皆様、お忙しい方ばかりでございますが、本当に恐縮でございますけれども、「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」というものを開かせていただくということで、お忙しい方々にご出席をいただくということになりました。まことにありがとうございます。
  既に皆様ご承知のとおり、三大広域圏におきましては昨年の12月から、地上デジタルテレビの方の放送が開始されております。今年の7月に開催されました全国地上デジタル放送推進協議会の「2006年関係等合同会議」におきましては、このテレビにつきまして三大広域圏以外の地域における開始の時期について了承され、この考え方に基づきまして地上デジタル放送、着々と進んでいるということでございます。また、今後もますます進展していくものと考えております。
  一方、地上デジタルラジオ放送につきましては、本日ご出席していただいております、社団法人デジタルラジオ推進協会におきまして、昨年の10月から東京・大阪地区におきまして、実用化試験放送が始められているところでございます。私どもはこれに大きな期待を持っているわけですございます。何といいましても地上ラジオ放送というものは、受信機の価格が安い、それから携帯、簡単で持ち運びが自由、広い受信エリアを持っているといった大きな特性、重要な特性を持っております。その特性を生かして国民生活に密着し、広く普及してきたわけですけれども、とりわけ非常災害時のときには必ず、携帯ラジオを持っていこうとか、ラジオ持っていこうというようなぐあいで、必須のものになっている、重要な機能を果たしているわけでございます。
  しかし、この取り巻く環境ということで見ますと、近年の多くのメディアの発達、多メディア化の進展ということに伴いまして、地上ラジオ放送は現在進められています例えば携帯デジタルのテレビ放送ですとか、あるいは、衛星モバイル放送ですとか、移動体のデータ通信など、従来地上ラジオの放送の特性、強いところだといっていたようなところと、競合するようなものがいろいろとあらわれてきたということでございます。ラジオと携帯電話の連携といったことも言われておりますし、そういう市場のニーズをどうやって引き出すか、それにどうやって応えていくかといったようなことで、地上ラジオ放送をめぐる環境というものは、急速に変化している状況にあるということでございます。
  本日、お集まりいただきました皆様方には、このような環境変化を踏まえまして、いわばデジタル時代における地上ラジオ放送の基本的な役割、あるいは、ビジネスモデルなどの発展方策をはじめとしまして、今後の地上ラジオ放送の将来像などをご議論をいただき、ラジオ放送の一層の発達、それから、特に2011年以降になりますと、デジタルラジオ本格放送が開始されると見込んでいるわけでございますけれども、こういう課題・問題に関しまして、行政、ラジオの関係の方々、関連の事業の方々、これからどういうぐあいに取り組んでいくのかということで、一定の方向性が見出せればいいのではないかというぐあいに思っている次第であります。
  ビジネスモデルの話を省内でやりましたところ、いや、ビジネスモデルは役所が考える話ではないのではないかということを、私の同僚の局長クラスの人たちが言いましたけれども、私どもはもちろんそれは事業者の方々に考えていただくべきことではありますが、こういう場を設けまして行政と事業者の方々、メーカーの方々が一緒にそういうことについて議論し、行政においてもどういうことができるのか、どういうことをやらなければいけないのかということをこの議論の中で探し出していく。そして皆様にもなお一層の努力をいただくようなことが必要ではないかと思って、この会が有意義に進むように期待しているわけでございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。
磯課長補佐 ありがとうございました。
  それでは、第1回の会合でございますで、私の方から懇談会の構成員の方のご紹介をさせていただきたいと思います。座席順にご紹介をさせていただきます。
  なお、本日、トヨタ自動車の伊原構成員が所用にてご欠席ということで、代理としてITS企画部事業統括室長の多和田様にご出席をいただいております。また、TBSアナウンサーの小島構成員が所用のためご欠席ということになっております。
  それでは、ご紹介させていただきます。
  まず、アール・エフ・ラジオ日本の新井様でございます。
新井構成員 新井でございます、よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 トヨタ自動車の伊原様の代理として多和田様でございます。
多和田様(伊原構成員代理) よろしくお願いします。
磯課長補佐 株式会社J−WAVEの井村様でございます。
井村構成員 よろしく。
磯課長補佐 株式会社インフォシティの岩浪様でございます。
岩浪構成員 よろしくお願いします。
磯課長補佐 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの榎様でございます
榎構成員 榎でございます、よろしく。
磯課長補佐 中国放送の金井様でございます。
金井構成員 よろしくお願いします。
磯課長補佐 伊藤忠商事の金子様でございます。
金子構成員 よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 ニッポン放送の亀渕様でございます。
亀渕構成員 亀渕です。
磯課長補佐 エフエム東京の後藤様でございます
後藤構成員 後藤です、よろしく。
磯課長補佐 文化放送の佐藤様でございます。
佐藤構成員 よろしくお願いします。
磯課長補佐 関西インターメディアの塩見様でございます。
塩見構成員 塩見でございます。
磯課長補佐 株式会社TBSラジオ・アンド・コミュニケーションズの清水様でございます。
清水構成員 よろしくどうぞ。
磯課長補佐 札幌テレビ放送株式会社の白石様でございます。
白石構成員 白石です、よろしくどうぞ。
磯課長補佐 KDDI株式会社の高橋様でございます。
高橋構成員 高橋です、よろしくお願いします。
磯課長補佐 ソニー株式会社の鶴田様でございます。
鶴田構成員 よろしくお願いします。
磯課長補佐 株式会社エフエムサウンド千葉の富塚様でございます。
富塚構成員 富塚です、よろしくお願いします。
磯課長補佐 松下電器産業株式会社の中島様でございます。
中島構成員 中島です、よろしくお願いします。
磯課長補佐 朝日放送株式会社の西村様でございます。
西村構成員 西村でございます、よろしくどうぞ。
磯課長補佐 株式会社電通の松下様でございます。
松下構成員 松下です、よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授の菅谷様でございます。
菅谷構成員 菅谷でございます、よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 放送大学教授の林様でございます。
林構成員 林でございます、よろしくお願いします。
磯課長補佐 株式会社バンダイ社外取締役の松永様でございます。
松永構成員 よろしくお願いします。
磯課長補佐 日本ラジオ広告推進機構設立準備事務局長の真野様でございます。
真野構成員 真野でございます、よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 社団法人日本民間放送連盟常務理事の森様でございます。
森構成員 森でございます。
磯課長補佐 株式会社毎日放送の柳瀬様でございます。
柳瀬構成員 柳瀬でございます、よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 株式会社日経ラジオ社の吉田様でございます。
吉田構成員 どうぞよろしくお願いします。
磯課長補佐 日本放送協会の和崎理事です。
和崎構成員 和崎でございます。
磯課長補佐 あと、今回の具体的な調査研究のお手伝いをお願いしております、三菱総合研究所の磯部様でございます。
磯部構成員 よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 続きまして、総務省側出席者のご紹介をさせていただきます。
  まず、堀江局長でございます。本日藤岡官房審議官は所用のため欠席とさせていただいております。福岡総務課長でございます。
福岡総務課長 福岡でございます。
磯課長補佐 今回の事務局を担当させていただきます、南地上放送課長でございます。
南地上放送課長 南でございます、よろしく。
磯課長補佐 関係課の方からオブザーバーとして出席させていただいております。よろしくお願いいたします。
  それでは、この場で報道の方はご退出いただけますでしょうか。よろしくお願いします。
  それでは、議事を進めさせていただく前に、本日配付している資料の確認をさせていただきます。資料は座席表、議事次第のほか、まず資料1として「本懇談会の開催要綱」でございます。資料2といたしまして「懇談会の公開について」でございます。資料3−1といたしまして、まず事務局のプレゼン資料「地上ラジオ放送の現状・環境変化等に関する資料」でございます。資料3−2といたしまして「デジタルラジオの技術的特徴について」という資料でございます。資料3−3といたしまして、DRP様の「デジタルラジオ実用化試験放送の現状と課題」という資料でございます。パンフレットも配付しております。資料4−1といたしまして、ニッポン放送様の「ラジオの将来像に対する問題意識」に関するプレゼン資料を配付いたしております。資料4−2といたしまして、エフエム東京さんの「ラジオ放送に関する問題意識」として、プレゼン資料を配付させていただいております。資料4−3として、同様に「ラジオ将来像に関する問題意識」として、NHK様のプレゼン資料を配付させていただいております。資料5といたしまして、「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会の進め方」という資料でございます。資料6として「本懇談会の検討課題例」、資料7といたしまして「本懇談会の実務者ワーキングに関する構成員(案)」、以上の11点を配らせていただいております。
  特に過不足等ございませんでしょうか。
  よろしゅうございますでしょうか。

(2) 開催要綱について
磯課長補佐 それでは、引き続きまして、開催要綱の決定をお願いできればと思います。事務局の側で本案を作成させていただきまして、既に構成員の方々にはお送りしております。ご説明は時間の関係もございますので、省略させていただければと思います。この内容でお差し支えなければ、資料1を開催要綱として決定していただければと存じますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
  ありがとうございます。

(3) 座長の決定及び座長代理の指名について
磯課長補佐 それでは、開催要綱に基づきまして、構成員の中から座長をお選びいただければと存じます。開催要綱にありますとおり構成員の互選ということになっております。事前にご相談、お話しさせていただいたところ、林先生に座長をお願いしたらということで、どうかというふうに私ども考えておりますけれども、皆様、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
  それでは、林先生に座長をお願いできればと存じます。
  本来であれば林先生に座長席に移動していただくべきところでございますが、本日時間の関係もございますので、そのままのお席にてこの後の進行を、座長にお願いできればと存じます。
  それでは、林座長、よろしくお願いいたします。
林座長 ただいま座長を仰せつかりました放送大学の林でございます。
  この席に座らせていただいておりますのは、ただ単に私はラジオの多少とも関心を持っているということがその理由かと思います。ただ、デジタル放送については私も個人的に若干の思い出がございます。と申しますのは、地上デジタル波放送懇談会の委員をさせていただいておりましたときに、いろいろデジタル放送の日程・スケジュール等を議論する機会がございました。その懇談会で議論したスケジュールにほぼ沿いながら、既にご案内のようにデジタル地上テレビ放送が始っているところであります。
  その後、私は大阪大学から放送大学に転勤いたしました。放送大学に行ってみると、実はテレビのデジタル化というのは、我が大学もその渦中にあるということがわかりまして、今になってあのときの話はこういうことだったのかというのを、思い知らされているという事情がございます。今回のこのデジタルラジオ懇談会も、もしかしたらそんなことになるかもしれない、何分、放送大学はラジオ放送もやらせていただいておりますので、という気も半分しておりますが、しかし、デジタル化時代のラジオがどうなるか、国民の期待は非常に大きいと思いますし、私自身もわくわくする思いでこの懇談会に参加させていただいております。どうぞ、皆様の英知を結集していただきまして、すばらしいラジオ放送の未来が開ける、そんな会にしていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、次に開催要綱の規定に基づきまして、私の方から座長代理を指名させていただくという、手はずになっているようでございます。当検討会の座長代理は我が国で放送産業、放送文化について最もご見識の深い、そして、私がこれまで仕事の上でもおつき合いを通じまして、尊敬している慶応大学の菅谷先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  では、一言。
菅谷座長代理 慶応大学の菅谷でございます。
  今、座長から本当に身に余るご紹介をいただきましたけれども、これまで私どちらかというとテレビのことについては幾分か研究をしておりますが、実はデジタルラジオとの出会いといいますか、たしか一昨年だったかと思いますけれども、大学の方で学部生が卒業論文でイギリスのデジタルラジオについて調べまして、それを読む機会がありました。まさかその後にこのような大規模な懇談会で、このような席に座るとは夢にも思っていませんでした。今日の懇談会、本当に各業界のトップの方が参加されるということで、かなり大規模になるということは知っておりましたけれども、さらにその後ろ側に多くの方々が傍聴に来られてるということで、やはりこの懇談会に対する期待が、非常に大きいのではないかということを実感しております。力足らずかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
林座長 ありがとうございました。
 
(4) 懇談会の公開について
林座長 それでは、議事に従いまして、次に、懇談会の会議の公開について審議したいと思います。資料が用意されているようですので、事務局からご説明をお願いいたします。
磯課長補佐 それでは、資料2の「懇談会の公開(案)について」より、当懇談会の公開についてご提案申し上げます。資料を読み上げさせていただきます。
、会議について。
  本懇談会の会議は、原則として公開とする。ただし、公開することにより当事者または第三者の権利及び利益並びに公共の利益を害するおそれがある場合、構成員間の率直な意見の交換が損なわれるおそれがある場合その他座長が必要と認める場合については、非公開とする。
、会議で使用した資料について。
  取り扱いですが、本懇談会の会議で使用した資料については、原則として公開とする。ただし、公開することにより当事者または第三者の権利及び利益並びに公共の利益を害するおそれがあるもの、非公開の会議で使用したものその他座長が必要と認めるものについては、非公開とする。公開の方法。一般のアクセスが可能な総務省のホームページに掲載し、公開する。
、議事録及び議事要旨について。
  取り扱い。本懇談会の会議については、原則として議事録を作成し公開する。ただし、非公開の会議のものその他座長が必要と認めるものについては、議事録を非公開とする。また、総務省情報通信政策局地上放送課は、議事要旨を速やかに作成し、座長の承認を得て公表する。公開の方法。一般のアクセスが可能な総務省のホームページに掲載し、公開する。
  以上でございます。
林座長 ただいまの提案のとおりに決定したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
林座長 ありがとうございました。では、当懇談会の公開の取り扱いは事務局提案のとおりとさせていただきます。
 
(5) 議題
林座長 それでは、次に、ラジオ放送をめぐる環境変・デジタルラジオの経緯等について、事務局からご説明をお願いいたします。

1) ラジオ放送を巡る環境変化・デジタルラジオの経緯について
磯課長補佐 それでは、引き続き、事務局から説明させていただきます。
  事務局からは、地上ラジオ放送の現状・環境変化及びデジタルラジオをめぐる経緯について、資料3−1によりご説明させていただきます。ただ、これから関係者のプレゼンを予定しております。また、ぜひ皆様方からのご発言の時間を、十分確保したいと考えておりますので、ポイントのみのご説明とさせていただき、関係のデータ的なところについては、後ほどごらんいただければと存じます。
  まず、資料2枚めくっていただきまして3ページをごらんください。こちらの上段に地上放送事業者の現在の構成を記しております。テレビ事業者にはAM放送の兼営社も含みますが、こちらが127社に対してFM放送事業者様が53社、AM単営社様が12社という全体の構成になっております。そのほか、NHK様及び放送大学様を上記メディアで、チャンネルをごらんのように確保されている状況でございます。
  進みまして4ページをごらんいただけますでしょうか。こちらは特に右側の点線の枠内の円グラフになりますけれども、こちらで平成15年度の放送メディアの地上系民放の市場規模を、業態別に比較しております。地上系民放全体で2兆5,087億円という規模でございます。こちらテレビがその内訳として2兆3,464億円、93.5%を占めている。AM単営社さん及び短波を合わせまして759億円、これ全体の3%になります。FM様が864億円、全体の3.4%になっております。
  これを時系列でグラフ化したものが、ちょっと資料飛びますけれども、9ページになります。こちら平成14 年度にAM ラジオ放送・テレビ兼営社のグラフががくっと落ちてますけれども、こちらは実はこの年にTBS様がラジオを分社されたために、ラ・テ兼営社から、要するにテレビの方はテレビ単営社、ラジオの方はラジオ単営社に移っている、その関係でちょっと落ち込みということでご理解をいただければと思います。全体的にラジオの規模及び地上放送の占める単営社の比率、ラジオの単営社の規模については一番下の紫色のグラフです。比率については黒の点線の比率になりますが、少し緩やかに下がっているのかなというようなところは、見て取れるのかなと思います。
  これを広告費の側面から見たのが次の10ページでございまして、平成3年〜平成14年度まで、全体のメディアごとの規模を書いており、単位は億円でございます。こちら平成3年度にラジオは2,406億円であった広告費が、14年度には1,837億円と、全体に占める比率として、参考までに出してみたところですが、一番下にありますとおり4.3%から3.2%に推移しているといった現状にございます。
  さらに1枚めくっていただきまして、こちらの方で地上系民放各社の売上高営業利益率の推移を、業種別にグラフ化したものでございます。こちらの表を見てみますと、やはりテレビ単営社さんは非常に高い売上高営業利益率を確保されている。FM系さんの方は当初平成10年度ごろまでは、ほぼ同程度の利益率だったのが、最近少し低下しているような状況にあるかと思います。AM・短波系の方もこういった状況で、少し下がるかなという状況でございます。ただ、全産業の平均利益率をこちらの方のグラフにプロットしておりますが、それとの比較で見るとほぼ単営FM様とも、15年度で見れば同水準というような状況にございます。
  以上のところは地上ラジオ放送の現状でございまして、引き続きラジオをめぐる環境変化でございます。2枚めくっていただきまして、大きく申し上げればテレビのデジタル化、先ほど当方の局長から申し上げましたように、そのデジタル化の順調な進展及びラジオとの競合サービスの展開が進んできている。あるいは、通信と放送が連携して具体的なものが見えてきている。こういった3点が挙げられるかと思います。まず、1314ページに地上デジタルテレビ放送の進展状況を記述しております。三大広域圏で順調に進展している。14ページの方にグラフをつけておりますが、ちょうど本日関東で第2段階の地上デジタル放送の本放送に入るような状況にございます。また、13ページにありますように、その他三大広域以外の地域からも免許申請が、着実に上がってきている状況にございます。
  さらにテレビにつきましては、2枚めくっていただきまして、携帯デジタルテレビジョン放送、これについては1セグ放送の準備が進展しているということが挙げられます。特許問題は本年3月に解決し、平成17年度にも開始予定というふうに伺っております。こちらは現在13セグメント、周波数帯域6MHzメガヘルツ帯域ですが、こちらの帯域を確保しているテレビのセグメントを、携帯放送として活用するものでして、携帯電話との共用端末を想定されていると伺っております。これは今回冒頭にも申し上げたとおり、ラジオをめぐる議論の1つの契機といいますか、議論のポイントになるものだと認識をしております。なお、現行制度下では補完放送との位置づけであり、注釈に書いてありますが、固定受信端末向けの映像放送と同内容を放送するような形で、放送する見込みということでございます。
  また、このほかラジオと競合する新サービスとして、1枚めくっていただきまして16ページでございますが、衛星モバイル音声放送も挙げられます。こちら本年10月にサービスを開始するという予定でございますが、衛星から電波が届かないところは、ギャプフィラーと呼ばれる補助設備を使って、移動環境下での良好な受信を確保するといったサービスでございまして、サービス内容についても音声が中心である。データも併送できるという点で、デジタルラジオとも非常に似通っているのかなというものでございます。
  さらに1枚めくっていただきますと、通信系の方の状況でございますが、非常に広帯域通信ネットワークの普及が進んでいる。こちらブロードバンドの固定の方の契約数と、あと、第3世代携帯電話の契約数の推移を記しておりますが、どちらもほぼ1,500万契約に達する、あるいは、それを超えているといった状況にございます。こういった通信側の動きとして当然ブロードバンドということになれば、音声データも容易に伝送できる環境が、もう既に整いつつあるということでございますが、こういったことを踏まえてラジオとの競合のみならず、また連携という環境が整いつつあるということなのかなと思います。具体的にラジオとの連携の1例として、FMラジオチューナーの例を18ページに挙げておりますが、単に携帯電話にFMラジオを搭載したということだけではなくて、説明ですとか番組等のチェック、あるいは、気に入った曲を着うたとしてダウンロードできるといったサービスが可能になる、いわば通信放送連携サービスの1つの形をご提示いただいてるのかなと思います。こちらは2004年9月には累計契約数が100万台を突破したと伺っております。大体以上のようなところが、我々が想定しているラジオをめぐる競合関係の高まり、あるいは、連携の強化、通信との連携という1つの形としてなってきたのかなと思っております。
  最後に、デジタルラジオについてのこれまでの私どもを含めた議論の経緯について、ご説明させていただきます。20ページでございますが、こちら冒頭に書いております地上デジタル放送懇談会、これはテレビとラジオ双方を含む現在の地上デジタル放送の、推進方策の骨格が示された懇談会の報告書でございますが、こちらの中で地上デジタル音声放送、デジタルラジオでございますが、こちらは新規のサービスとして導入する。従来のアナログ音声放送は存続するということで方針が記述されております。使う周波数帯につきましてはテレビジョン放送周波数帯、今のVHF帯で地上デジタル音声放送を、実現すべきではないかというご提案をいただいております。さらに新規のサービスとして導入するということでございますので、新規参入を確保するということ、それと既存事業者の経営資源、ノウハウを活用する、この両立ということが記載されております。具体的なサービス開始については2000年から試験放送を含めて放送開始されることを期待するというような方針が書かれて、これが地上デジタル音声放送に関して、本懇談会の報告書で記載されてるポイントになろうかと思います。
  これを踏まえまして、周波数割り当ての具体的な検討に入ってわけでございますが、その結果、現在DRPさんの方に使用されている東京・大阪の周波数帯、7チャンネルタイプの方で割り当て可能との結論を得て、平成1211月に免許方針等を策定しております。こちらの方の流れの中で、同年12月に技術基準を確定し、翌年の平成13年9月に予備免許付与、社団法人デジタルラジオ推進協会様が平成1410月に設立されて、試験放送が翌年の1510月に開始されたといった流れになっております。ただ、こちらの方はまだ市販端末が販売されていないということが、ちょっと問題になっているのかなと認識をしております。
  1枚めくっていただきまして、デジタルラジオのメリット・海外の成功と書いておりますが、こちらは引き続き関係者の方々からプレゼンいただきますので、私からはもう簡単に説明させていただくだけにさせていただきたいと思いますが、技術方式のメリットとして、高音質な音声放送と多彩なサービスというのが1点、良好な携帯・移動受信が可能といった点が1点、さらに今の特に地上デジタルテレビとの共通性といいますか、方式の共通性ということは確保されている、こういった点が技術的なメリットとして挙げられると思います。海外でも方式は日本とは異なっておりますけれども、既にデジタルラジオについて一定の成功例が出ておりまして、特にイギリスでは去年のクリスマス商戦で、デジタルラジオ受信機が一番人気の贈り物になったと、こういった状況があると伺っております。こういった事情を背景として、我が国においてもデジタルラジオの期待感というのは、非常に高まっているのかなと認識しております。
  以上、雑駁ではございますけれども、事務局からの簡単な問題意識のご提示ということにさせていただければと思います。よろしくお願いします。
林座長 ありがとうございました。
  では、本日は時間もございませんので引き続き議事を進め、最後にご質問・ご意見の時間をとるという進行をとらせていただきたいと思います。
 
 
2) デジタルラジオの技術的特徴について
林座長 では、次に、NHK様よりご説明をお願いしたいと思います。
NHK黒田氏 今、ご紹介いただきましたNHKの黒田と申します。ちょっと座ってご紹介いたします。
  今日はプレゼンのここに書いてございますとおり、NHKというよりもARIB―電波産業会におきまして、デジタルラジオの方式選定にかかわってきた者の1人として、このデジタルラジオの技術的特徴について、ご紹介をさせていただければと考えております。
  こちらが当初、方式を公募してから現在に至るまでの、技術的なポイントとなる項目を年代別にちょっと挙げさせていただきました。今、事務局さんの方から懇談会というお話がございましたけれども、それと相前後をいたしまして電気通信技術審議会というところで、日本の地上デジタル放送の中でラジオの部分について、どういった放送方式をしたらいいのかということの公募を行いました。いろいろな要求条件等もございまして、結果的には4つの方式が提案をされたわけですけれども、後ほどこれについて現在の方式が決定された経緯については、ご紹介をさせていただきます。その後、順調に実験等々も繰り返しまして現在に至ったわけですけれども、私がこのARIBで取りまとめをしていたのは、ちょうどこの方式を策定をしていた時期になります。多くの時間を費やして議論を重ねてまいりましたので、いい方式ができたのではないかなと自負しております。
  まず、先ほど4つの方式と申し上げましたけれども、最終的なところでいきますと、大きくは2つの方式が最後まで議論として残されたかなと思っております。今、イギリスのクリスマス商戦のお話がありましたけれども、既にこの当時からヨーロッパのDAB(Digital Audio Broadcasting)と呼ばれる方式が、既に実用化をしておりました。それがやはり提案をされた大きな1つの候補でございます。それとISDB−Tと言われる現在の日本の方式が、2つ残されたという状況です。DAB方式は、既に実用化をしていて多くのメーカーさんの方が、既に受信機の製造に入っているところが、大きなメリットして挙げられたのかなと。もちろん移動体特性につきましては両者とも同じような特性で、なかなか比較が難しいところもございましたけれども、最終的に今の方式が決定されたかぎというのは、やはりこの下の2つの項目に集約されるのかなと思っております。
  まず1つ目が、先ほど日本のテレビジョン放送帯域で導入をするというお話がありましたけれども、まずはこの日本の周波数事情への親和性というのが1つ大きなポイントかなと思っております。このDABの方が当然ヨーロッパで開発された方式ですから、ヨーロッパのテレビチャンネルはご承知のとおり8MHzメガヘルツという、日本の6MHzメガヘルツに比べて広い帯域を使って放送しておりますので、その帯域にDABが4つ入れられるかなというところでつくられた方式ということで、なかなか日本の周波数事情に適するというところからいうと、ちょっと難しいポイントがあったかなと考えております。それに対して今の日本の方式はデジタルテレビジョンと同じ放送方式を使うという特徴がございますから、むしろ6MHzメガヘルツにもともと合っているようなことから、スタートをされたこの方式ということで、若干そういう点では有利になったところがございます。
  もう一つは、今、懇談会にありましたけれども、今のアナログラジオのデジタル化ではなくて、デジタルラジオという新しいメディアを、立ち上げるんだというような意気込みがございました。その結果といたしまして、当然音声放送をここでやっていくのは当たり前のことなんですけれども、データとか場合によって動画ということも含めまして、ここにありますようにマルチメディアへの展開が、極めて容易であるということが大きな要求な条件になったかと思っております。DAB側にとっては非常に不利な材料ということではあるんですけれども、ちょうどこの当時はデジタルテレビというのが、世界的に非常に検討が進められた状況にありました。そういった観点で言うとデータにせよ例えばハイビジョンにせよ、そういったすべてのものを1つのパッケージ、小包のような形で大きさも同じ、例えばその中に入ってるものは、こういうものが入ってますよという書く場所も同じという形で、パケット型にしてすべての情報を送ろうというMPEG−2という多重のシステムが、国際標準にちょうどなった時期に相前後しております。DAB側はそれより前に開発してしまったものですから、残念ながらそれのサポートができていませんでした。それから、ISDBはそれより後に検討が始まったということもございますので、MPEG−2の多重技術を採用しております。この大きな2つのメリットでもって、今の方式が採用をされてきたのかなと考えております。
  その音声放送の特徴ですけれども、今申し上げたとおり非常にテレビの構成と近い構成をとっております。近いというよりもむしろこのご承知の、先ほど例でもございましたけれども、セグメントの構成がテレビは13個、ラジオの場合には1つか3つということで、その1つのセグメントは全く共通の技術仕様にし、それを組み合わせる数が違うということで、ラジオとテレビの方式を分けているというのが、大きな特徴かなと思っております。ご承知のラジオの場合にはこの1セグメント形式というもの、それから、3セグメント形式というもの2つございますけれども、この核となる1つのセグメントだけで送るものを1セグメントと呼びます。3セグメントはいろいろ誤解もあるようですけれども、1つのセグメントを基本としまして両側に2つつけられるようなもの、要するに3個が一緒になってるというよりは、1つがあって両側に拡張セグメントがつけられるような形式のものを3セグメントと呼びます。これは当初から受信機の、あるいはその受信機を買ったものの保護ということで、例えば1セグメント受信機をお買い求めいただいた場合には、1セグメントは受けられますし、3セグメント放送の中央の1セグメント部分を受けられるということを技術的に担保しようということで、そういった方式になったということでございます。当然技術的にはこのセグメント構成はテレビと共通ですから、先ほどございましたテレビの1セグメントの携帯サービスというものも、この同じ1セグメントの受信機で受けられる技術的な土壌は、整っているかなと思っております。
  では、その共通性というのは受信機側から見れば何なんだろうと、今日メーカーさんが大勢いらっしゃる中で、私がこういう話をするのもちょっと恐縮なんですけれども、1つはアナログ時代の受信機の共通性というのは当然ありました。例えばラジオをお買い求めにいただくとAM放送と短波放送、FM放送、場合によってはテレビの音声まで聞こえるということで、これは共用機ですねという考え方です。これはこの図にございますとおり、それぞれFM変調であるとか、SSBであるとか、AMであるとかという技術的に違う方式が、言ってみれば1つの箱の中に入ってますねというような意味での共用受信機です。共通してると強いて言えばアンプだのスピーカーだの、そういうアナログの最終的なところが共通化されてるということでの1つの受信機で、点線の右の部分が共通化されているのかなと。
  最近話題のデジタルテレビの3波共用機というのがございます。これは何なんだろうと考えますと、やはりBSであれ地上であれ、そのデジタルの電波の送り方というのは全然違います。そこのためにここの頭の部分がそれぞれやはり違うものが1つの箱に入っている。ただ、デジタル放送の場合には先ほどのパッケージ化されたMPEGの多重であるとか、それから、ハイビジョンの圧縮の仕方というのは両者とも共通ですから、受信機の中では1つの構成というふうになっています。こういった意味で共通化することによるコストメリットというのがありまして、今、専用機をそれぞれつくるというよりも共用機という形で、大分価格も下がってきた状態ではありますけれども、そういった形で販売されているのかと考えております。
  最後が先ほど申し上げたテレビの1セグメントとラジオの1セグ、3セグメントの部分です。これはセグメントが全く地上テレビと共通ですから、デジタルの電波の送り方そのものも共通になっているということで、若干データの部分で工夫が必要な部分があるかもしれませんけれども、言ってみれば周波数帯を合わせる部分だけが違って、もともと一緒のものですよというようなもので、技術開発が進められたというところです。技術的に見れば共通化することのメリットというよりも、共通化しないことによるメリットというのを、見出しにくいぐらいの共通性が図られていると言ってもいいのかと思います。
  最後に諸外国の方式との比較でございますけれども、DABは先ほど既にご紹介したとおりでございますけれども、例えば韓国であるとか後発の国々がこのDABを採用するに当たりまして、やはり先ほどのMPEG−2の多重をDABにいかに適用できるかということが検討されてるやに聞いております。ただ、基本的にはDABという範疇の中で検討が進んでいることも事実でございます。それに対して今までご紹介しなかったアメリカなんですけれども、このアメリカのIBOCという方式はどちらかというと、アナログのデジタル化というところが焦点になっておりまして、この一番下の図にございますとおり、真ん中にアナログの例えばFMであれAMであれ、あった上でその両側にデジタル音声が付随されるということで、言ってみれば日本でいうところFM多重放送の、さらに発展形というふうにとらえられなくもないかなと思っております。最後に日本の方式はご紹介したとおりで、新しいメディアとして開発してテレビとの方式共通性ということを図ることで、コスト的にも有利な受信機だけではなくて、利用周波数帯についてもテレビとの整合性を高めた方式だと考えております。方式選定にかかわった人間の1人として、こういった技術的なメリットを最大限生かして、デジタル音声が発展をしていただくことを、期待しているところでございます。
  ありがとうございました。

3) デジタルラジオ実用化試験放送の現状と課題
林座長 ありがとうございました。
  それでは、引き続きまして、DRP様よりご説明をお願いいたします。
DRP東海林氏 それでは、デジタルラジオの動向、実用化試験放送の現状について、実際に今放送を行っておりますので、放送をお聞きいただきながらご説明をさせていただきたいと思います。私、デジタルラジオ推進協会の東海林でございます、どうぞよろしくお願いいたします。
  既に昨年1010日にデジタルラジオは実用化試験放送を開始しております。これからご説明する中で会社名に対します敬称は、時間の関係で省略をさせていただきますので、どうぞお許しをいただきたいと思います。先ほど事務局からご説明があったような懇談会後の免許方針に沿いまして、地上デジタル音声放送の実用化試験放送の実施とその普及推進を目的に、私どものデジタルラジオ推進協会、通称DRP20011023日に設立をされております。2年後の200310月1日に、デジタルラジオ実用化試験放送の免許が総務省から与えられました。免許の概要はお手元の資料3−3の表紙の次、1ページ目にございますので、ごらんをいただければと思います。
  デジタルラジオ実用化試験放送は免許方針にもございましたけれども、アナログテレビが現在主に使用しておりますVHF帯の7チャンネル、周波数でいいますと188MHzメガヘルツ〜192MHzメガヘルツの4MHzメガヘルツを使って行っております。この7チャンネル割り当て可能なのは、現在、東京と大阪ということでございますので、東京と大阪でスタートをしておりますが、東京は東京タワーから、大阪は生駒山から電波を発射しておりまして、それぞれ事務所を構えているという状況でございます。今、黒田さんからの説明にもありましたように、4MHzメガヘルツで最大利用可能なセグメント数は8つというふうになっております。その8つで1つの免許単位ということで、デジタルラジオ実用化試験放送は推進協会に免許が、唯一の免許人という形になっております。セグメントというのは地上デジタル放送の最小単位ということで、今もご説明あったとおりですが、デジタルテレビジョン放送は13セグメント、ラジオは8セグメントで放送してるということでございます。
  次のページに東京・大阪のチャンネル構成が書いてございます。東京では1セグメント放送、1つのセグメントで放送している放送が5チャンネル、それから、3つのセグメントを使って放送する3セグメント放送が1チャンネル、大阪では1セグメント放送8チャンネルで構成をされております。
  では、簡単に放送内容をご説明をさせていただきます。時間の関係で実際に場内に流します放送は、一部に限らせていただきますので、あらかじめご了承いただきたいと思います。なお、今お聞かせするこの受信機は第1号の試作機でございまして、今、お手元にお回しをいたしますが、放送開始前に当協会がソニーにお願いをいたしまして、制作をいたしたものでございます。あとそのほか受信機としては、今、試作機としてそちらにございますが、ピクセラがつくったPCカード型の受信機、それから、KDDIがやはりエフエム東京と一緒になって開発をいたしましたPDA型の試作受信機、そういったものが現在ございます。
  まず、左から参りますと、91チャンネルでございますが、NHKVICSが共同で運営をしておりまして、NHKVICSといっております。VICSはいわゆる道路交通情報システムセンターということはご案内のとおりでございます。このチャンネルはNHKが高品質の音楽を中心とするメーン音声放送を行っておりますが、そのほか時間によっては3つのサブ音声を使いまして複数の語学番組を選択する、あるいは、ローカル番組で茨城、水戸、群馬といったそれぞれのローカル番組を選択する、あるいは、ニュースを項目ごとに選択する、あるいは、天気予報を中国語・韓国語とかその他でやっているものも、選択するといったような多言語・多チャンネル放送も実施をいたしております。
  それでは、91チャンネルをちょっとお聞きいただきたいと思います。
(デモンストレーション)
  これがメーンの音声放送でございまして、音のよさを実感していただけると思います。
  なお、このチャンネルが放送しております、データ放送もごらんをいただきたいと思います。
(デモンストレーション)

  データ放送は前のスクリーンにございます。データ放送は先ほど申し上げましたPCカード型の受信機で受信をしております。91チャンネルの画面はごらんのように左にEPG、右側にデータの項目がございます。NHKデータ放送には番組連動と選べるニュースのデータ放送がございますので、選べるニュースを選択してみます。ジャンルごとに項目を選択できるようになっておりますので、ちなみに政治を選択します。3項目のニュースが項目が表示がされますので、1項目目のニュースを選んでみます。このようにニュースの内容、十何行にわたるニュースの内容と写真が表示をされるということで、ほかの項目につきましてもこういうふうに、ニュースが表示されるということになっております。
  では、最初のメニューに戻ります。VICSの交通情報を選んでみます。このように近県の一般道路及び高速道路などの項目が表示をされます。ちなみに首都高速を選んでみます。このように現在の首都高速の渋滞状況が図形で表示されるというふうになっております。91チャンネルの放送時間は11時〜21時の10時間でございます。
  次に、92チャンネルです。このチャンネルは愛称DR@TOKYO92ということで、FMヨコハマ、TBSラジオ&コミュニケーションズ、千葉のBAYFM、それから、ラジオ短波改めラジオNIKKEIの4社が運営をしております。放送時間は9時〜17時の8時間ということでございますので、92チャンネルをお聞きください。
(デモンストレーション)
  今、お聞きいただいているのは、高音質の音楽放送を中心としたメーンの音楽放送ですが、このチャンネルはサブチャンネルを放送しておりますので……。
(デモンストレーション)
  ちょっとこれでおわかりいただけると思いますが、これはラジオNIKKEIがサブチャンネルとして放送しております経済情報番組でございまして、何円高というような株式情報も、このサブチャンネルで放送してるということでございます。
  次は、簡単にチャンネルごとの構成をご説明をいたします。93チャンネルはデジキューン93といいまして、NACK5、文化放送、それにテレビ朝日が運営をしております。放送時間は平日が11時〜19時、土曜日と日曜日が11時〜20時までとなっておりまして、やはりこういう感じで高音質の音楽を中心に放送しております。右側に出ておりますのはそのチャンネルのロゴマークと、チャンネルの特徴を説明したデータ放送でございます。
  次は、94チャンネルです。このチャンネルの愛称はDAZ94といいまして、J−WAVE、メガポート放送、それにラジオ日本の3社が運営をしております。放送時間は9時〜22時までの13時間で、全チャンネルの中で最も長い時間放送しております。ここも団塊の世代をターゲットに、高音質の音楽放送を中心に放送を行っております。
  次は、95チャンネルです。このチャンネルの愛称はD95といいまして、商社である伊藤忠商事とメーカーのソニーの2社が運営しておりまして、放送事業者が全く入っていないということで、先ほどの免許方針にありましたモア・チャンネルということで、新規参入を認めているという放送であるということに、ふさわしいチャンネルと言えるかもしれません。ターゲットは20代、30代に設定して「世界の今を伝える」をコンセプトで、平日10時〜17時の7時間、日本を含めた世界各地の音楽を放送しております。
  最後は98チャンネルです。このチャンネルの愛称はDigital Radio98The Voiceといいまして、エフエム東京、ニッポン放送、それに株式会社ジャパンFMネットワーク―通称JFNCが運営をしております。このチャンネルは東京・大阪で唯一の3セグメント放送であります。メーン音声放送としてはニッポン放送とエフエム東京の制作する高音質の音楽放送を含め、このチャンネルならではの独自番組を3つ放送しております。番組に合わせて番組連動のデータ放送、静止画を放送しております。また、独自データとして、将来、ラジオでゲームに参加できるようなデータ放送も実験的に行っております。また、つい最近、H.264という新しい符号化方式を使いました簡易動画の試験放送、あるいは、5.1サラウンド放送という非常に高音質の放送の試験も行っております。放送時間は平日が12時〜22時の10時間、金曜日が12時〜21時間の9時間、土日が12時〜18時の6時間ということになっております。
  それでは、そちらの受信機でメーン音声放送をお聞きください。これは「またたびアワー」という放送で、家で留守番をしている都会派の猫のための放送です。(笑)
(デモンストレーション)
  右側にデータ放送が出ておりまして、猫の写真が出ておりますけれども。
  それでは、この3セグメントの2つのほかの音声放送もお聞きください。
(デモンストレーション)
  EPGは音声と同時にすぐ来るんですが、データだけがちょっとおくれるというふうになっております。
  では、次へまいります。
(デモンストレーション)
  これはいわゆるディスクジョッキー的な放送ということで、将来的にはダウンロードというようなことも考えておりまして、そういう項目も右側のデータ放送には入っているということになっております。
  以上が東京の放送のデモでございます。
  大阪も8チャンネル放送をしておりますが、こちらでは放送を受けられませんので簡単にご説明をいたしますと、NHKVICS91チャンネルを除いては、参加会員が共同で制作した1時間番組を各チャンネルごとに、ずらして放送をするという方法をとっております。例えばSLなどの非常に懐かしい日本の鉄道を、写真つきで紹介する「日本の鉄道アーカイブス」とか、京都の町並みを音と絵で紹介する「京都通り歩き、あっちこっち」などといった番組を放送しておりまして、これを大阪ではリッチコンテンツというふうに呼んでおります。
  ここで、デジタルラジオのメリットについて、簡単にお話ししたいと思います。先ほど黒田さんのお話でも多少触れましたけれども、まずCD並みの高音質ということで、ほとんどのチャンネルは音楽放送をやっているということでも、おわかりになると思いますが、私どものお手元のパンフレットは、できたてのパンフレットなんですが、キャッチフレーズを「音がいいと、見えてくる。新世紀ラジオ……」というふうにつくりまして、ともかく音のよさというのを最大の売り物にしております。ですから、音楽番組というのは圧倒的な臨場感を体験できるということで、もちろんでございますけれども、例えばNHKで語学の番組をやっているということで、今までのいわゆるアナログ放送に比べて、しっかりと音がクリアに聞こえるというのは、語学の勉強、発音なんかにも非常に有効であるということは言うまでもないと思います。それから、人の声が非常にクリアに聞こえるということで、例えばディスクジョッキーなんかについても、しゃべり手のいわゆるキャラクターが非常に目に浮かぶようになるということで、パーソナリティーに対する親しみやすさというのも、増すだろうというふうに思っております。
  第2の特徴は、従来のラジオよりもはるかに多彩な放送ができるということでございます。今ごらんいただきましたように、音声を補完するためのテキストデータとか静止画、それから、簡易動画を放送することによって、今までは想像もできなかったような、バラエティー豊かなコンテンツを放送することができます。また、1チャンネル内で複数の音声を放送することができるということもありまして、非常に豊かな放送ができるということです。
  それから、第3の特徴はモア・サービスだということでございます。テレビのデジタル化が基本的に移行ということなのに比べて、ラジオはモア・チャンネルという位置づけですから、テレビがサイマルということであるとすれば、デジタルは非常に自由度の高いコンテンツを、放送することができるということが第3の特徴です。第4の特徴は、もちろん携帯端末でもクリアな受信が期待できるということで、ラインで結ばれてないという軽便な無線メディアというのは、とても効果的、効率的でありますから、国民の生活にいろいろと役立つことは言うまでもないことでございますし、災害に特に威力を発揮するという役割は、アナログ時代に引き続いてデジタルでも発揮をしていくんではないかと思っております。
  5番目が、端末の種類によっては通信と融合して、双方向性というメリットを加えるということでございます。ラジオはパーソナル・メディアというふうに言われております。私たちの放送という感覚がテレビよりもはるかに強いのが、ラジオの特徴だというふうに思います。自分の部屋でひっそりとラジオを聞くとか、あるいは、通勤途上でラジオを聞く、車を運転しながらラジオを聞くという習慣が定着をしております。それから、電話とかはがきでリクエストをする、身の上相談をするということも、ラジオというメディアの方が活発に行われてきました。そういった機能をデジタルラジオでは携帯電話とかPDAとかパソコンという、より高度な情報通信手段を使って行うことができるわけでありますから、双方向性というメリットはさらに増してくるわけで、自分のための端末というような感じが強くなれば、もう携帯電話の例を見るまでなく、若者を含む広い層に普及をしていくことが、大変に期待をできるということでございます。著作権問題等もありますけれども、ダウンロードというような機能がつき、また、CDの購入、コンサートチケットの購入といったこともできるようになるということで、ますますパーソナル・メディアとしての価値が増すと思います。
  最後に、長くなって恐縮ですが、課題について簡単に触れたいと思います。資料の最後のページにございます。最大の問題は先ほど事務局の話にもありましたけれども、間もなく実用化試験放送開始1年になろうとしていますのに、まだ受信機の発売の具体的なめどが立っていないということでございます。その原因としては放送区域が東京と大阪に限定されていること、東京と大阪のエリアも十分でないことなどが挙げられると思います。現在、東京は1セグメント当たり100W、合計800W、大阪は1セグメント当たり30W、合計240Wで放送しておりますが、ぜひ送信電力のアップをお願いをしたいと思っております。
  それと、全国展開へ向けての将来ビジョンが明確でないことも、大きな原因として挙げられると思います。今のところ全国での放送開始というのは、テレビジョン放送が完全にデジタル化されてアナログ放送が停止をして、デジタルラジオ実用化試験放送を行っている7チャンネルを含むVHF帯が、完全にあくことが法律によって定められている、2011年7月25日以降ということになっております。しかし、これではメーカーさんも受信機の市販に容易に踏み出せないということは、想像にかたくありません。名古屋は言うまでもなく、できる限り早く、最低、政令指定都市を中心とした全国展開を、実施しなければいけないと思っています。その辺についてはこのデジタル時代のラジオの将来像に関する懇談会の議論に、大いに期待をしたいと思いますし、我が協会も会員社の協力を得てコンテンツの充実や、ビジネスモデルの開発ということに積極的に参画をして、受信機の普及促進に寄与したいと思っております。
  ご説明は以上でございます。ありがとうございました。   

4) ラジオの将来像に対する問題意識について事業者からの意見陳述
林座長 ありがとうございました。
  それでは、続きまして、ラジオの将来像に対する問題意識について、ニッポン放送様、エフエム東京様、NHK様の順で、それぞれ10分ずつご説明をいただきたいと思います。
  よろしくお願いいたします。
亀渕構成員 それでは、ニッポン放送の亀渕でございます。
  早速本題に入らせていただきます。私は本日中波ラジオの事業者の代表として、ラジオの将来像、デジタルラジオとそれから今抱えている問題点について述べるわけでございますが、その多くはこの後お話の出るFM事業者の皆様や、NHKの皆様とも共通することになるかと思います。その点ではAMというよりも、ラジオ界全体が今抱えている問題点にお話が及ぶと思いますが、お許し願いたいと思います。
  お手元の資料の4−1でございますが、その2ページ目に地上デジタル放送懇談会報告書で示された基本的な枠組みを、もう一度おさらいしてございます。先ほどもお話が出たわけでございますが、現在の地上デジタルラジオ放送及び地上デジタルテレビ放送は199810月に、当時の郵政省が地上デジタル放送の円滑な導入のために、延べ14回会合を通じてまとめられた地上デジタル放送懇談会―デジ懇の報告書の基本的な枠組みに基づいて、実施されてるわけでございます。そこでは地上デジタル放送について大前提としまして、地上デジタルテレビ放送、これは映像を中心に音声及びデータも提供できる地上デジタルテレビ放送、そして音声を中心にデータも提供できる地上デジタルラジオ放送、正確には地上デジタル音声放送となっておりますが、この2つの放送を実現することと明示されてるわけでございます。
  つまりデジタル時代になっても、ラジオとテレビがそれぞれのノウハウの蓄積のもとで、お互いに共存共栄していくことが、そこにうたわれているわけでございます。地上デジタルラジオ放送でもテレビと同じように、全国チャンネル・プランが1999年ごろに、策定される予定でございましたが、その後いろいろ検討によりまして、この報告書が示しているVHF帯では思うように周波数帯域が、確保できないということがわかりました。そのため当面このVHFの7チャンネルを確保することができる東京と大阪のみで、まずこの地上デジタルの実用化試験放送を行ない、全国展開は地上波テレビのデジタル化が完了する2011年以降に、実施しようというスキームが組み立てられたという経緯がございます。
  そして資料3ページでございますが、デジタルラジオのチャンネル・プラン、しかしながらこの技術進歩は大変に早いスピードで、あまりにも早く以前には考えられなかったよう新しいサービスが、次から次へデジタル放送では生まれているわけでございます。また、デジタル技術がテレビ及びラジオに導入されてることによりまして、今までのようなテレビとかラジオとかというふうには単純に区別できないような、極めて類似した新しいサービスも生まれてるわけでございます。そのような点を踏まえまして、ラジオとテレビをどのように区別して、また新たな共存を図っていくために、どのように制度に修正を加えていくかというのが、今求められてることではないかと考えるわけでございます。このような時代にラジオとテレビが共存を図るには、まず何よりもデジタルラジオの本格展開が可能になるように、一刻も早く全国チャンネル・プランの策定、制度化がなされなくてはなりません。まずテレビと共通の土俵に乗らずして、共存の枠組みを決めるということはできないからでございます。
  現在、デジタルラジオの実用化試験放送は、1セグメントの放送と3セグメントの放送が行われておりますが、1セグ・3セグを含めたチャンネル・プランの策定が大前提になると思います。すぐに全国展開が無理でも、せめて主要7大都市ぐらいからでも始めたいと思うわけでございます。既に制度のもとに2011年までの展開が見えているテレビに対して、地上デジタルラジオはまだ参画希望者が身銭を切って、実用化試験放送をやってる段階でございます。もちろん一生懸命やっております。先ほどの猫の好きな方のための放送ではございませんが、本当に知恵の限りを尽くしていろいろなことをやってるわけでございます。そして受信機の開発、市場での販売についても各メーカーと折衝を続けてきているわけでございます。しかしながらある程度のチャンネル・プランが見えてこないと、なかなかメーカーは受信機を一般には市販いたしません。現在地上デジタルラジオの市販受信機は、技術的にはもうかなりでき上がっていると聞いております。またそれに対応して我々送信側がいかに魅力的なコンテンツを送り出していくかということが、大きなテーマであることも十分に承知しているわけでございます。その点につきましては現在デジタルラジオ推進協会に参加しているAMFM、そしてメーカーさん、商社の皆さん、いろいろな方たちが参加してるわけでございますが、各社が力を合わせてこれまでにないノウハウや新しいアイデアを出し合って、鋭意努力を重ねております。しかしそれ以前にやはり制度ありき、チャンネル・プランありきではないかというふうに強く思う次第でございます。この点につきましてもぜひ皆様方のご意見を伺い、ご討議いただければと思います。
  また、資料4・5ページでございますが、これは大変に重要なことでございます。そういったデジタルテレビとデジタルラジオが置かれている、現在の環境的な違いのもとでは、テレビとラジオの放送のあり方についても、将来を見据えた上での一定のすみ分けが行われるべきではないかと考えます。例えばデジタルテレビの携帯向け1セグ放送は、再来年の初めごろからスタートする予定になっております。多くの方々がこれによりまして携帯端末でテレビを楽しむことができると、大変結構なことでございます。しかし、またこれはテレビがラジオの領域に入ってくるというふうなことも考えられるわけでございます。これまで携帯性、移動性、そして軽便性、ながらというようなラジオメディアにとって、大変に大きな特徴が幾つかあったわけでございますが、今まで固定受信が中心であったテレビが携帯でも、受信可能になるようなことになりまして、当然ラジオならではのそういった特質は薄らぐことになるわけでございます。
  しかし、また、デジタルラジオの方も画像や簡易動画を、送ることができるようになるわけでございまして、ラジオ事業者がもちろんテレビのように大画面で見るような画面は送れないわけでございますが、音声に付随した簡易な画像や文字データは、先ほどもスクリーンに映し出されましたが、送ることができるわけでございます。これは事によるとテレビの携帯向け1セグ放送というものと、抵触するということになるかもしれません。デジタルテレビの携帯向け1セグ放送に当たっては、地上デジタルテレビの免許方針で示されているように、テレビの携帯向け1セグ放送はあくまで固定テレビ向けのサイマル放送を基本として、一方、デジタルラジオはあくまでラジオですから、音声を中心に付随する静止画、簡易動画を補完的に放送するスキームというものが、当面維持されていくべきではないかと考えます。将来にわたるデジタルラジオのチャンネル・プランが見えないままで、テレビがサイマル放送の枠を越えたビジネスに踏み出すということは、これまたデジタルラジオの収入構造の構築が極めて厳しいものになると思います。
  また一部で言われておりますテレビの1セグメントフリー、1セグメント独自サービスということがございますが、将来にわたってその可能性を決して否定するものではございませんが、もともとハイビジョン放送サービスを実現するために与えられたデジタルテレビの帯域で、全く新しい独自サービスを行うということであれば、それはテレビ事業者、ラジオ事業者そして及び新規参入も含めて、全くの別免許というような新しい考え方が導入されるべきではないかと考えます。1セグメントが自由になることと、そこを既存のテレビ事業者がそのまま自由に使うこととは、全く別の問題であるというふうに考えます。 
  また別免許ということだけではなくて、その放送開始はデジタルラジオのチャンネル・プランが策定され、本放送が開始されるときと同じ時期であるべきというふうに考えます。デジタルテレビの帯域で新しい1セグ放送が先行してスタートしますと、当然、デジタルラジオの将来像は危うくなることも考えられるわけでございまして、新しい1セグ放送とデジタル放送はあくまでフェア、イコールフィッティングの環境で競争が行われるべきではないかとお話ししたいと思います。
  資料の6ページで帯域免許についての考え方もございます。さらに話を広げましてテレビ事業者が現在の13セグメントを、自由に使うというような帯域免許的な考えが、話題に上っておるわけでございますが、この考えが導入された場合には圧縮技術が進歩すると同時に、テレビ事業者は将来にわたって多くの電波という資産を、自動的に手に入れることになるわけでございます。これは当初のハイビジョン等のサービス実現を主目的としたような、デジタルテレビ免許の趣旨、目的を大きく踏み越えるものではないかと考えます。さまざまなサービスの可能性を決して否定するものではございませんが、やはり限られた電波という国民の資産は特定の事業者が独占するものではないと思います。電波はその事業者が行うサービスの性格や内容に応じて、そのサービスにふさわしい周波数帯域を与えるものだと考えます。
  最後に、現在のアナログラジオ放送についても一言述べさせていただきます。懇談会報告書ではアナログ放送につきましては、受信機の非常災害時の簡易性と、非常災害時の情報通信メディアとしての役割から、これからも存続するというふうになっております。デジタル時代に当たってAM事業者はデジタルラジオに取り組む一方で、現行のアナログ放送を万全の態勢で行ってるわけでございます。アナログ波は広いエリアにサービスが可能でございます。しかし、近年、都市部ではあちらこちらに本当に100メートルの山が急にできちゃうような、高層ビルがたくさんできております。また、地下街も大変に大きくなっているわけでございまして、さまざまなところで電波障害が起こっております。また、地方でも昔は県庁所在地だけが大きな都市だったんですが、最近はもう地方に開発が進みましていろいろなところに、いろいろ多くの方たちが住んでるような状況でございまして、そういった意味で山の陰とかラジオが聞こえなくなってる場所が随所にあるわけでございます。外国との混信、都市のさまざまな機器から発せられる電波によるいわゆる雑音、あるいは難聴といった、ラジオのサービスをうまく享受することができなくなっている現状に対しまして、我々なりにもさまざまな手段を講じて対策をとっておりますが、そういったことに対しましても現状をぜひご認識していただいた上で、討議していただければと思っております。
  これまで民放ラジオは50年にわたって放送法の精神の実現や維持によって、聴取者に愛される信頼を築いてまいりました。また、災害時に極めて役立つ情報メディアとして、大きな役割を果たしてきておりました。このたび基幹ラジオ事業者は総務省から指定公共機関に指定されております。このようなことも今までのラジオのノウハウの蓄積があってのことだと思いますし、それだけ大きな責任を背負ってるんだと考えますと、改めまして身の引き締まる思いでございます。同時にそのノウハウの蓄積というのはこれからのデジタル時代においても、生かされなければいけないものだと確信しておるわけでございます。
  以上、現在のラジオが抱える問題につきまして、AM事業者を代表して述べてまいりましたが、今後のご討議に当たってはぜひこのような現実を共通に認識された上で、ご討議をしていただくようお願い申し上げます。以上でございます。ありがとうございました。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、エフエム東京さん。
後藤構成員 それでは、エフエム東京の後藤でございます。
  ラジオという意味ではFMAMも全く同じ考え方に立っております。そういった意味で重複するかもしれませんが、若干視点を変えたところでお話を申し上げたいと思います。資料はそこに配ってあるとおりでございますので、それを斜め読みしていただければ、今まで大体ニッポン放送の亀渕社長が言われたことと、ほとんど同じではないかなと思っております。そういった意味でちょっと最初に、私はこの地上デジタルテレビが、本当に順調に推移してるなということで、これは非常に結構なことであり、またそういった時期に今こういうデジタルラジオが、ここでもう一回考えて、みんなで新しい策を練り出そうという提案を、国がしていただいたことに対しては、本当に深く感謝申し上げているわけであります。今をもってこのチャンスを逸したら、本当に我々のラジオの将来はどうなっちゃうかなと、非常な危機感があっただけに、本当にグッドタイミングでこういう会を持っていただいたことを、深く感謝申し上げます。
  最初にちょっとだけ修正を、私の意見がもし違ったらごめんなさいなんですが、NHKの黒田さんが言われた先ほどの受信機の中で、この資料の4ページの地上デジタル音声放送の特徴という図柄の中で、3セグメントの受信機のところに、テレビジョン放送の1セグメントが矢印がないのでございまして、これはこちらでも映りますよということで、矢印が1本必要ではないかなということでございます。すなわち地上デジタルテレビジョン放送の1セグメントの矢印は、1セグメントの受信機にだけ来ておりますが、これは3セグメントの受信機まで矢印が来なければならないと思いますので、これはちょっとしたミスだと思いますが、どうぞご訂正を申し上げたい。非常に3セグにこだわってるものですから、その面ではいろいろと皆さんがお笑いになるのも無理もないかもしれません。
  と申しますのは、ラジオがアメリカはこの10年の間に1兆円から2兆円に増えたということで、大変結構なことなんでございますが、アメリカの商業局はやっぱりざっと1万局ですから、1局当たりになるとラジオ局費というのは2億円の収入、2億円の収入の1局平均でございます。そうすると、月1,660万くらいでございますから、これは設備投資に耐えるものは何もない。ワシントンに行って彼らの関係者と、今年の5月も行きましていろいろ相談してきました。そうすると、やっぱり100万円を超える設備投資するのは、ラジオのアメリカは大変なんだ。確かにパイは大きくなった。しかし1局当たりの経営責任からいうと、設備投資が大変なのよといったことがあって、先ほどご説明があったようなIBOCという、まさに黒田さんがおっしゃったように、FMの多重放送に色が加わった程度のものでしかできないんだな、これがアメリカの現実かなと。これがアメリカのラジオ界の人の1つの苦痛というようなことを申しております。
  しかし、振り返ってみて我が国の場合は、まだまだというほどではないんですが、大変悪戦苦闘して、真野さんもいらっしゃいますけれども、在京5社で何とかラジオ強化委員会をつくって、ラジオの復権を図ろうとやってみたり、そしてまた、真野さんにお願いしてRABJという、日本のラジオ広告推進機構をつくるんだと。そんなことで何かラジオ、ラジオすなわちこれアナログの広告費の獲得に、経営的にも努力していこう。これがやっぱりデジタルの時代は必ず2010年くらいには来ると思います。しかし、それまでの間にやっぱり資源がなくなると、プロモーションができなくなりますので、何といってもアナログで、言葉は悪いんですけれども、アナログのFMAMで稼いで、それでデジタルに投資して、それで次のステージをつくっていこうという思いであります。そういったことで、一面ではアナログのFMAMの発展にどうやったら寄与できるか。まだまだやり方によっては、発展する可能性はあるんじゃないかということで、いろいろな実験、トライをやっているというのが現状でございます。
  そういった中で、まだ全国のラジオ社の場合はアメリカと比べると、平均で向こうは2億といいましたけれども、日本の場合だとアバウトですが、十六、七億くらいの平均の年商があるわけでございます。8倍強の売り上げはまだあるという状況ではございます。全くこれはペーパーなしでしゃべってるんで申しわけないんですが、そういう状況でありますので、今のうちならまだデジタルに向かっての、次のステージをつくる少し残された時間があるかなということで、今やらねばならんという思いが非常にあるということでございます。そういった意味でもう一つは、このデジタルラジオの将来図として、先ほど来いろいろな説明がございましたが、ことに私が思うのは、やはりテレビの問題とかいろいろございますけれども、やはりデジタルラジオの生きる道というのは、データ放送にしかないと思っております。データ放送が例えばBSのデータ放送が退却したとか何とかでいろいろありますけれども、マイナスもありますが、データ放送というのは日本の場合に、ああいう大型のBSとかなんかでやる問題よりも、もう少し身近ないわゆる人間の生活数メートル周辺の、身の回りの問題から入っていったときに、データ放送というのは成立する可能性がある。
  私はよく申し上げますのは、テレビジョンというのはどちらかというとハイビジョンになり、薄型テレビで50インチとか40インチの大型テレビジョンになり、非常にゴージャスなメディアになっていくであろう。もちろんモバイル的なこともあると思いますけれども、主力はそこに行く。しかし、単営の我々ラジオのデジタルは、ゴージャスに対して私はコンビニといってるんですが、コンビニエントな非常に利便性の高い、ゴージャス対コンビニエンスの1つのすみ分けかなと考えておりまして、100メートルごとにコンビニがあるように、我々のラジオのデータ放送というのは非常に利便性が高い。いろいろな生活情報、生活に必要な行動、自分のライフスタイルを決めていくことができる。これがデータ放送でございまして、データ放送というと必ずしも成功事例がないじゃないかとよく言われます。しかし、成功事例も結構あるんでございます。あんまり出てない、見えないんです。見えないデータ放送もあるということでございます。
  これがわからないと、電波の有効な活用がないのかなということでございまして、トヨタ自動車さんもいらっしゃいますけれども、1例だけ申し上げますと、トヨタさんと当社等でやった「見えるラジオ」という、本当に小さな周波数の本当の隅っこの電波を使って、デファレンシャルGPS、いわゆる衛星測位センターという会社を、三井物産さんと3社でつくった会社でございますが、これで要するに今はGPSが精度が上がってきました。ですから、誤差値をその当時の精度が悪い時代には、この底辺から電波を出してるFM波のデータと、モバイルの車の中のカーナビに誤差値を与えることによって、車の位置を非常に精度を高めた。これはメーカー課金という形でやらせていただいたものですから、ソニーの盛田さんに非常に感謝申された。「見えるラジオ」よりもそっちの方が、効果がありましたと言われましたけれども、そういうような成功事例もありますし、また、今、KDDIさんに最初につくっていただいたこのFM携帯、このFM携帯もこのデータ放送があって初めて、100万台を超える非常にいい店舗ができたと私は思っているんです。それは何かというと、やはりアメリカにこの間5月行ったときに、このグローバル・パスポートというKDDIさんのこの携帯を持って、ワシントンに行って向こうの連中に「ほら、日本の携帯はこうやってFM局が聞けるぞ」って、向こうのフリッツ会長に見せたりなんかしました。
  そうしたら、みんな104がいいとか98メガがいいとか言って騒いでるんですが、そのときには何の曲をやってるか全然出ないんです。ところが日本の場合は全国のFM局が全部データ放送やってますから、そうすると今放送中は何の曲である、誰々が歌ってるというのは全部窓に出てくる。これが全国で放送されてるのが本当にわずかなものでございますけれども、もちろんNHKさんもやってるわけでございますが、そういうデータ放送がやはり携帯文化の中で、1つの進歩があったなという確信をしますし、そのことによって今度「あ、この曲がいいから、じゃあ買おう」ということで、着うたとかダウンロードの世界へ入ってくる。非常に利便性を、そこでもまたコンビニエンスな提案ができた。こういったことがもう数えると、この間もある人から言われました。電力だとこの間1回実験やったんですけれども、これは電力の光を使うと言われたんで、それはしようがないなと思ったんですが、例えばの話、メーターをとりに行く人、ガスのメーターを毎月何キロ使いましたとか、メーターとりに各家庭に行きます。あれ的なことはデータ放送と組み合わせれば、一々訪問しなくてもできる。そのくらいの開発は十分できると私も考えております。これもやはりデータ放送の目に見えざる電波の活用の、放送の1つのデータ放送としての領域があるのではないか。そういう場面で考えますと本当にたくさんございます。そんなことを我々としてはぜひ皆様と一緒になって、次の世代に向かってそういう開発をやっていきたいということを、考えていると申し上げておきます。
  最後ですが、やはり先ほどAMを代表して言われたように、我々もできれば来年の2005年度中に、周波数チャンネル・プランをつくっていただけないものか、何とかなるんでしょうかというふうに思います。そして実行できる周波数のあいてるところがあれば、希望があればそこからもう進めていくという、具体的な行動計画を起こしていただければ、DRPの方の推進にも非常に加速がつくんではないかなという思いをいたしております。これはお願いとしてそういうことをお願い申し上げ、そしてまたもう一つのお願いごとは、これは先ほどアメリカの伸びた原因の中に、もう一つ見逃してはならないのが、向こうのいわゆるマスコミ集中独占排除の問題がある。アメリカの場合、NCCが前は600ぐらいはまではいいよみたいなことを言ってたんですが、最近は、全米のFM局七、八千ありますけれども、その中の1,300局を自分の傘下におさめたクリア・チャンネルというのがございます。このクリア・チャンネルがアメリカのミュージックのいわゆる音楽プロモーションの、大きな力を最近持ってまいりました。膨大な力でおそらくメディアランキングの中でも、クリア・チャンネルは非常に上位に、タイムワーナーとかいう中で比べると、第10位に入ってきたというクリア・チャンネルがございます。
  これは1,300社のFM局を全部まとめて経営をしてるということから、1つの新しいミュージシャンが生まれると、一斉にその新しいミュージシャンのプロモーションができる。そのことによってビジネスをまとめた形でよくなってきている。日本の呼び屋さんというか、外タレを呼ぶ方々は、今ほとんどクリア・チャンネルと話し合いしなければ、こちらに呼んでこれないような、そこまでプロモーションの力を持ってきたということもございます。これは1つの例でございますけれども、日本でもどうぞひとつその辺の緩和を含めて、もう一回、テレビと準ずるとラジオもなっておりますが、ラジオの特性から言うと集中独占排除の問題は、テレビと比べると非常に違うんじゃないか。そういった意味で新たなその辺のラジオに対する緩和の問題も、お考えいただければありがたいなということを、お願い申し上げまして終わります。どうも。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、NHK様、よろしくお願いいたします。
和崎構成員 NHKの和崎でございます。
  私はNHKといいますか、公共放送としてラジオをどうとらえているかということと、もう一つは、NHKはデジタルテレビも積極的に進めていますので、ラジオとテレビの両方のデジタル化を進めているという立場で、ラジオの課題をご報告できればと思っております。
  デジタルラジオの話に入る前に、まずアナログラジオ、現行のラジオをNHKはどうとらえているかということですが、ラジオは最も身近で親しみやすいメディアと言われています。それは具体的にはどういうことかというと、全国であまねく受信できるネットワークが、非常に効率よく作られているのが、アナログラジオだと認識しております。NHKの場合、具体的に申し上げれば、ラジオ第一放送は223局で全国の世帯の99.9%をカバーできる。これは本当に効率のいいネットワークだと理解しています。ちなみにテレビの場合は、総合テレビで申し上げれば、3,407局で98%強というカバー率ですから、いかに中波のアナログラジオのネットワークが効率的に全国をカバーしているかがわかりますし、それがゆえに安心ラジオ、あるいは、いざというときのラジオという役割を果たしているということが言えると思います。
  そういう意味で、今回の検討にあたって、デジタルラジオは新規サービスでああるということ、地上波テレビと基本的に違うのは、地上波テレビはアナログからデジタルに移行する、2011年7月24日をもってアナログをやめてデジタルに移行するのに対して、ラジオはモア・サービス―新規サービスとしてのデジタル放送を考える。このスタンスを確認しておく必要があると思っています。そんな中でNHKの現在のラジオで申し上げれば、アナログの第一ではやはり生活情報波という位置づけを、より鮮明にしたいと思っていますし、第二は生涯学習波でありますし、FMはその特性を生かした総合音楽波としての位置づけをより明確にする。そうした3つの認識の上で、では、デジタルのラジオは何をやるのかという、この現行のアナログの認識の上に立って、デジタルのサービス、モア・サービスというのは一体何なのかということを考えていきたいと思っています。
  その認識の上で、お手元資料の3ページ目に入らせていただきますと、デジタルラジオの発展に向けた課題というところで、最大の課題はやはりこれまでの事務局のご報告、あるいは、AM民放、FM民放さんからもご指摘がありましたように、1行目に集約されるのではないかと思っています。すなわち2006年の春には地上デジタルテレビで、携帯端末向けの1セグサービスが始まります。これのインパクト、あるいはこれの提起する問題が、ラジオ事業者にとっては最も重要な課題かなというぐあいに認識しております。それでは今、テレビの1セグはどういう状況かと申し上げますと、運用規定策定の最終コーナーに入っています。本来ならこの9月にすべてが決まる予定ですしたが、一部今年の12月までこぼれた要素があります。この運用規定が決まってから受信機の開発や放送事業者側の設備の開発に大体18か月かかります。受信機を開発する、あるいはキャリアの方が携帯端末に組み込んでいただく、あるいはメーカーの方がPDAなりノートパソコンでデジタルテレビの1セグサービスが受かるものを開発するのに大体18か月というのが、技術の専門家の今の見方です。
  そうすると、2006年の春、遅くとも春過ぎには全国の地上デジタルテレビで、NHK・民放含めて1セグのサービスが始まる。少なくとも2007年に入ったときには、北海道から沖縄まですべての民放さんとNHKで、1セグの携帯向けサービスが始まるということが、まず前提にあるということだと思っています。そして、これまでも指摘されましたように、当初は制度的な形としては1セグサービスはサイマル放送、すなわちテレビの主映像のサイマル放送ですよというたがが確かにはまっています。しかし、今メーカーの方あるいは消費者の方が何を期待しているかというと、どうこの携帯端末で新しいサービスをやってくれるのかということです。これは制度的にできるできないということではありません。そういう期待値なり問いかけというのが圧倒的に多いという現実も、やはり見ざるを得ないと思っています。
  そうしますと、2006年のスタート当初はサイマル放送で始まるとしても、2007年になれば北海道から沖縄までテレビの1セグ放送が始まる中で、より新しいサービス、より独自のサービス、より携帯端末にふさわしいサービスを、というプレッシャーは、我々がラジオの立場に立ってもいや応なく、視聴者からあるいは回りのさまざまなところからかかってくるだろうと見ています。具体的にどんな話が今さまざまなところで検討されているかというと、例えば行政とか自治体の防災サービスが、この1セグのサービスを活用してどんなことができるかなというようなこと。これは制度的にすぐできるできないではなくて、各地の行政の方々とのいろいろなキャッチボールの中から、そうした要望が次々と出てくる。そうすると、この大きな流れは止められないのではないか、止められないというのは、2011年まで待っていられないのではないか、というのが私の認識です。
  そうすると、そんな中でテレビとラジオがともにウイン・ウインの関係を維持していくためには、現行のデジタルラジオだけがあるたががはまったままでは2011年までもたない。NHKとしては、このまま実用化試験放送のままで、しかも先ほどからご指摘があるように、東京と大阪だけのサービスエリアの中で実用化試験放送をやっていくというのでは、もはやもたないのでないかという認識をしています。ということは、まず何を今やらなければいけないかというと、東京・大阪だけではなくて、少なくとも2006年あるいは2008年には、札幌から仙台であり、東海道メガロポリスであり、広島であり、福岡であり、デジタルラジオの新しいサービスができるチャンネルを、どんなことがあっても揺すって生み出してくる必要があるのではないか。同時に、2011年以降の全国のチャンネル・プランをできるだけ早く作る。ただし、それは2011年を待っていたのでは遅い。このテレビの需要あるいはテレビの1セグサービスに対する要求ということを考えると、それまで待っていられないというのが私の率直な感想です。
  そういう意味で、東京と大阪でスタートした実用化試験放送ですけれども、例えば名古屋ではなぜできないのかというと、名古屋ではどうもVHFの7チャンネルはCATVが使っているとて、そこの電波は出せないという。では、そのCATVはチャンネルを動かすことはできないのか。動かすことができないとすれば、UHF帯では本当にやる可能性はないのか。あるいは、名古屋がスタートすればメガロポリスの静岡はどうなのかというようなことを、やはり具体的に詰めていただく時期に来ている。それはなぜかというと、デジタルテレビの1セグサービスが2006年にはスタートし、2007年には全国に広がる。しかも、NHKだけではなくて民放もスタートするということを踏まえると、そこがまず非常に大きな問題かなと思っています。
  それと同時に、デジタルラジオのサービスは、先ほど黒田から「デジタルラジオの技術的特徴」のところでご紹介したように、テレビの1セグサービスと技術的には非常に親和性が高いとなると、今日もドコモさんがお見えになり、KDDIさんもお見えになっていますが、我々テレビ事業者は今一斉にキャリアの方々等と、どういう携帯端末が望ましいかという検討作業に入っているとすると、そこにデジタルラジオが乗らないという構図はとても考えられない。我々としてはデジタルラジオであろうが、デジタルテレビの1セグサービスであろうが、これは携帯端末にもあるいはPDAにもノートパソコンにも共通して入り、その中でテレビの特性のサービスとラジオが培ってきたサービスがどう競争するか、切り分けた行き方、切り分けたサービスをどうやっていくかというあたりが、最も問われているところではないかと私は考えております。
  そういう意味で、今NHKが取り組んでいるデジタルラジオのサービスの具体的な例を資料につけておりますけれども、冒頭DRPの方からもご紹介があったように、さまざまなことが可能だと思っています。まだ受信機がほとんどないのですが、例えば今NHKが実用化試験放送で行っているサービスの中で、多言語天気予報というのは相当話題を呼んでいます。NHKの場合、1セグの中で4チャンネルの音声番組を放送できますから、日本語で天気予報を放送すると同時に、英語とハングルと中国語という具合に、同じ時間帯に同じ天気予報を多言語で放送しています。韓国の方にはハングル語でお聴きいただける、中国からお見えの方には中国語の天気予報をお聴きいただくことができます。
  こうした多チャンネルのサービスを含め、サービスについては民放さん、NHK、あるいはラジオ放送事業者以外のさまざまな方と、いろいろな可能性があると思って開発に取り組んでいるのですが、まず何が今一番急がれるかというと、デジタルテレビの1セグサービスのスタートがもう時間との競争の段階に入ってきたということだと思います。
  18か月とすると、2006年春あるいは2007年という具体的なスケジュールが見える。そしてそれに向けてキャリアの方、  メーカーの方、テレビ事業者が一斉に今サービスを含めて取り組み始めている。その中で、デジタルラジオが東阪という限られたエリアの実用化試験放送では、2011年までもちこたえられない。NHKとしては、2つを同時にウイン・ウインの構図をつくるため、新たなチャンネルプランを含めた新たな展開を是非この懇談会でご検討いただきたい。私どもの意見を1点に集約するとそういうことでございます。
林座長 大変、皆様、ありがとうございました。
  多くの方々のご意見を伺ったわけですが、実は残り時間も少なくなってまいりましたので、あとご発言いただいてない方にほんのわずかばかり、この場ではご意見を伺いすることになろうかと思います。そこで、これまではどちらかというと、送り手の方々の問題意識についてお話を伺いましたので、ちょっと視点を変えまして、指名させていただいてまことに恐縮でございますけれども、ドコモの榎様、何かご意見ございましたらご披露いただけませんでしょうか。
榎構成員 突然ですので……。
林座長 いや、打ち合わせにはございませんが。(笑)
榎構成員 非常に携帯電話にラジオ・テレビ乗せることは期待はされておるんですが、結局、全機種かどうか別にしまして、乗せるということになると思うんですが、我々通信事業者としてどこで商売をすればいいのかというのが、最大の問題になります。例えばテレビ・ラジオにしましてもその機能を入れますと、必ず部品コストが上がりますのでコストは上がります。コストを上げたときに店頭でその値段で買っていただければ構わないんですが、現実には携帯電話の売り値というのは、キャリア別、機種別に大体お客様が認知してますから、その部分代理店手数料、すなわちお金をつぎ込まなければいけない。収入はない。放送事業者さんは視聴者が増えるのでハッピーである。すると通信事業者たる我々はどこかでもうけなきゃいけないというところを、どうしようかというのが最大の悩みでございます。
  方向としまして放送の機能が乗っていくという方向にはなると思いますが、そこが見つからないと通信事業者としては、携帯電話に乗せるのはなかなか加速しにくい。僕らももうかる、もちろん放送事業者さんが一番もうかるんですけれども、僕らもちょっともうけさせてほしいという携帯ができると、積極的に私どももKDDIさんもボーダーホンさんも導入をするので、ハッピーになるんではないかなというふうに思っております。
林座長 ありがとうございました。
  もう一方、打ち合わせにないんですけれども、新規参入という話もございますので、伊藤忠の金子様、いかがでございましょうか。
金子構成員 私ども放送というところに新たに参入したいなということで、皆さんとご協力やってきてるんですけれども、当初から2011年からということで、我々新規参入から見ますと、そんな先までどうしたらいいんだろうということで、実はそれだけの毎年毎年結構なコストがかかってるわけです。これは当たり前じゃないかと言われたらそうなんですけれども、片や先ほどお話出ましてように、テレビの1セグが出てくるという中で、ますます我々のビジネスにしていくというところのチャンスなり、時間的なフレームがこのままでいいんだろうかというところで、これはデジタルラジオに本当に新規参入として、取り組んでくるメリットがどうしたら出てくるんだろうかということで、皆さん、もう問題はいかに早く実用化をするか、それは全国展開もありますし、チャンネル・プランもあると思います。
  そこのところと、もう一つは、テレビの1セグをどういうふうにデジタルラジオとある種切り分ける、ある種そこで何か共存していくような道を、ぜひまた検討していただきたいなということでございまして、ちょうどこの時期こういう懇談会をやっていただきまして、ぜひその辺の2点の私はポイントに記されると思うんですけれども、そこのところを行政・民間含めて前向きな討議及び方向性が見出せればなと思っております。よろしくお願いいたします。
林座長 ありがとうございます。
  私としましては関西弁を聞かせていただいて大変うれしゅうございます。もう一人、関西というより、もう東京の会社かもしれませんが、松下電器の中島さん、機器の開発に関しても何かご意見ございましたら。
中島構成員 今、いろいろな方からお話出てまして基本的には同じなんですが、端末をつくるいう話でも具体的にどういうサービスで、どういうスペックでやるかというのが決まってこないんで、どうしてももうテレビの方ばかりに行くことになります。やっぱりデータ放送はどのレベルまで入れるのか、それから、通信のアップリンクの方を本当に入れるのか、著作権保護を入れるのかとか、全部ビジネスモデルに絡むと思いますけれども、それによって開発がまた全然違ってきたりしますので、その辺を1セグもそれでもめてるのも、ちょっとおくれてるのも、そういうところに原因あるんですが、やっぱりラジオはラジオで、テレビとは違うサービスでは何が必須で要るかとかいう問題を、早くぜひ決めていただきたいと思います。今、周波数使う場所ですら2011年以降、絶対大丈夫やという確証がない以上は、商品を出そうにも出せないものですから、この機会に大筋を決めるということをぜひやっていただきたいなと思います。
林座長 ありがとうございます。
  一応、放送の送り手の方々、それから、機器の開発、受信機、受信体制のあり方について伺ったんですが、もう一人、菅谷先生にもご意見伺いたいのは、実はこの席に視聴者の代表者がいらっしゃらないんです。ですから、やっぱり受け手の方が何を期待してるかというふうなあたりをちょっと、もしご意見ございましたらお願いいたします。
菅谷座長代理 受け手の意見になるかどうかわかりませんけれども、とにかく今日話をお聞きして技術的にボーダレスになってくる。そうするとテレビとの競争が入ってきて、さらにテレビが少し先行していくんで、時間との競争ということでラジオの方も、チャンネル・プランを早くしてほしいとか、さらにマスメディア集中排除の緩和とかというお話がありまして、この懇談会は3回か4回ぐらい予定されてるかと思うんですけれども、陸上競技で言えば1,000メートルぐらいで、今日は100メートルぐらい走って終わりかなと思ったら、何かお話聞いてますと短距離の100メートルで、もう今日は60メートルぐらい走っちゃったような感じで、非常にたくさんの意見が出てきました。
  我々視聴者としても、本当に使い勝手のいいといいますか、今ある技術をそのままサービスに生かしてもらえるような体制、さらに競争が進むことによって、そういうサービスがどんどん早くマーケットに出てくる、そういうものを期待していきたいということで、かなり行政側もすごい圧力を感じられてるんじゃないかというふうに感じました。
林座長 ありがとうございます。
  まだまだご意見伺いたいところですけれども、時間もございませんので、追加的なご意見につきましては、今週中に事務局にメール等でお寄せいただければと存じます。まだ議題が残っておりますので、恐れ入りますが次へ進ませていただきたいと思います。

5) デジタル時代のラジオ放送に関する検討課題例について
  次なんですけれども、今ご意見がいろいろ出ましたが、当懇談会の進め方、検討課題例について資料が用意されているようでございますので、事務局の方からご説明をお願いいたします。
磯課長補佐 それでは、資料5に基づきましてご説明させていただきます。
  一応、いろいろ検討の課題、問題意識出たところございますけれども、まず私ども1つのステップして、ビジネスモデルのまずあり方を検討した上で、どういった取り組みが必要かといった順序で、検討を進めてまいりたいと思っています。具体的に申し上げますと、1つは今日いろいろ出ましたラジオによる環境変化についてどうとらえるか、さらに、デジタルラジオの位置づけ・優位性についてどう考えるべきか、そういった基礎的な認識を深めていく。さらにその上でデジタルラジオの技術モデル、あるいは役割をどう考えていくか。具体的にいいますとコンテンツサービスイメージがどういうものか、あるいは、それが成立する端末プラットホームのあり方ですとか、あるいは、収入構造、広告放送としてのあり方等についてどう考えるべきか、あるいは、もう少し広く見てユビキタス社会の中で、デジタルラジオの役割がどうなっていくのかといった点を、まず押えたいと考えています。
  その上でビジネスモデルの展開を促すために、どういった取り組みが必要か。1つは今DRPさんが行われている実用化試験放送、これについては皆さん問題意識を持たれてると思いますので、ここについて今後のあり方をどう考えていくべきか。あるいは、こういったビジネスモデルを早期に確立していくために、国がどういった役割を果たすべきか。ロードマップの策定などといった例を挙げておりますが、ここは皆さん一番関心があろうかというところで考えております。さらにそれと相並行する形で、アナログラジオのサービスの内容・ビジネスモデル、あるいは社会的な役割といったことも考えてまいりたいと思います。また、ご指摘のありました地下街等における不感対策、ここは今のアナログにおいても既に問題があるとご指摘受けておりますけれども、こういった点についてもその必要性等についてご議論の場を設けたいと考えております。
  以上でございます。
林座長 ありがとうございました。
  ただいまの事務局からのご提案につきましては、本日いろいろとすばらしいご意見をちょうだいしておりますので、これも取り入れていただきつつ、また進めていただければと思います。どうしてもここで一言、言っておきたいというようなご発言がございましたら、お受けいたしますが、どうぞ。
金井構成員 送り手といえば送り手でございますが、ローカル局は今日出席をさせていただく者が大変少のうございますので、一言申し上げたいと思うんですが、実はラジオというのは極めて地域的な、ローカル的なメディアだということでございます。私はかねてからテレビの世界でも申し上げておりますが、情報の地方分権という言葉を使って、さまざまな形でのテレビのデジタル化やラジオのデジタル化が、地域情報の豊富さを失わせるようなことがあっては決してならないと申し上げております。テレビの世界でもさることながら、ラジオは民放で申しますと大体どの局でも、6割から7割ぐらいの編成は自社編成枠でございまして、しかもそれはほとんど生で放送しております。いざというときのNHKとさっきおっしゃいましたけれども、もちろんいざというときの民放ラジオも捨てたものではございませんで、さまざまなところでそれは実証例がございます。
  なかんずくふだんの聴取率という点で考えますと、失礼ながらNHKさんに負けずとも劣らず、広島地区等では常に民放がトップを走っております。そういうことでこのデジタルラジオを考えますと、コンテンツを出していく側からすると、これからの時代が一体どうなるんだろうか。だから、テレビのときも申し上げましたんですけれども、結局この地域のメディアとしてのラジオがその質を失うことがないように、そういう視点がぜひ必要だというふうに思っておりますので一言。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご意見の取り入れるような形で、課題を改めて事務局の方で整理していただきたいと思います。
  では、この件についてはそう取り計らわさせていただきますが、もう一点、事務局からご提案があるということでございますので、ご説明をお願いいたします。
6) 今後の懇談会の進め方について
磯課長補佐 それでは、今後の懇談会の進め方つきまして資料6に従いましてご説明申し上げます。1回目懇談会につきましてはもう今日進めたところでございますので、そこは割愛させていただきますが、今日のご指摘を踏まえ、また、今日ご提出した検討課題で今日のご議論を踏まえた形で修正した上で、これはまた後ほど申し上げますが、実務者ワーキングを設けて具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。
  まず、第1回懇談会から第2回懇談会の間に、サービスイメージですとか、いわゆるビジネスモデル関係のところ、あるいは海外事情等についてワーキングの中で討議した上で、第2回懇談会として、1124日を予定しておりますが、デジタルラジオのビジネスモデルについてまずはご議論いただくという場を設けたいと思っております。ここでは通信・放送連携のあり方ですとか、あるいは広告という視点、あるいは車という視点、こういったユーザー側の視点を踏まえて、関係者の方々からプレゼンいただいた上で、また今日のような形でフリーディスカッションをしていただければと考えております。
  その上で具体的にどういった論点があるのか、さらに、あるいは国としてどういった対応をしていくべきかといったことについて、ワーキングの中でご議論していただいた上で、第3回懇談会、2月上旬を予定しておりますが、こちらの方で一旦デジタル関係につきまして、中間取りまとめといったことを考えております。その際には例えば市場予測でございますとか、あるいは先ほど視聴者の方がいらっしゃらないというご指摘もありましたので、例えば視聴者アンケートを通じて、こういったところもきちっと反映する形で調査研究進めた上で、取りまとめを出していきたいと考えています。あわせましてアナログラジオにいて特化した議論を、第3回の場でやりたいと思っております。
  最終的には3月中旬に最終取りまとめという形で、具体的に取りまとめてまいりたい。
  一応、デジタルとアナログとちょっと分けた形で、懇談会の進め方を書いておりますが、そこは議論分けられないところがあると思いますので、あくまで双方を念頭に置きながら議論としては進めてまいりたいと考えております。
  以上でございます。
林座長 それでは、日程、進め方についてこのようなことで進めさせていただきたいと思いますが、もう一点、今ご説明いただいた懇談会の件についてはいかがでございましょうか。

7) 実務者ワーキンググループの設置について
磯課長補佐 それでは、実務者ワーキングにつきまして、既に関係者の懇談会にご参加のメンバーの方々には、こういった(案)でということでご相談し、また調整もさせていただいてるところでございますが、資料7にございますような構成員の方々で、具体的な今お出しいただいた論点につきまして、順々に議論を深めてまいりたいと考えております。この検討結果につきましては、林先生また菅谷先生にもぜひご相談させていただきたいと思っております。また、こういった会合を開く中で、個別に有識者の懇談会のメンバーの方にもご参加いただくといったような、特に例えば広告であれば真野様ですとか、そういったことでご参加いただきたいなと思っております。また追加分は別途個別にご相談させていただければ思っております。よろしくお願いいたします。
林座長 既にワーキンググループの構成員の方々については、ご内諾をいただいているというふうに伺っておりますが、非常に大事な会合、しかも、ひょっとすると数多く開いていただく必要もあるのかなと思っておりますので、精力的にご検討を進めていただきまして、その結果を懇談会での議論に反映させると、そういう形をお願いいたしたいと思います。
  以上の進め方等について何かご意見等ございませんでしょうか。
  よろしゅうございますでしょうか。
  それでは、そういうことで運ばせていただきます。
  では、事務局の方から何かございましたら。
磯課長補佐 それでは、次回のスケジュール等につきましてご説明させていただきます。第2回会合につきましては1124日(水)10時から開催を予定しております。場所はまだちょっと確定しておらないんですが、おそらくこちらの方の三田の会議室になるかなと思います。基本的に東京都内でということでご想定いただければと思います。よろしくお願いします。また、第3回、第4回の会合の日程設定につきましても、至急またメールでご相談させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  以上です。

(6) 閉会
林座長 それでは、会議をご予定いただきますようお願いいたします。テレビ会議で関西から参加するのはだめかと申し上げたら、見事に却下されまして、テレビの限界まだあるなと感じているところでございます。(笑)
  では、本日は大変長時間ご議論ありがとうございました。これをもって終わりにしたいと思います。
 
(以上)



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