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現状からみて、ＩＴ人材のミスマッチについては議論する必要がある。例えば、経済産業省のＩＴスキル標準でいえば、人材のだぶつき感があるのはＩＴスペシャリストの部分で、不足しているのは上流行程のレベルの高い部分である。人材の質的転換をしなければ対応できないという意味では、ミスマッチが起きているといえる。 |
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従来から、プロジェクトリーダーにはアプリケーション開発の経験者が多いが、プロジェクトマネジメントにおける高度な人材と、アプリケーションスペシャリストやアーキテクトとは異質である。また、スーパーＳＥとは、プロジェクトマネジメントもアーキテクチャもできる人材であると考えられる。 |
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最新鋭のＩＴ技術を駆使してシステムの作りこみをする人が日本からいなくなると技術の空洞化が起こってしまうので、こうした人材の育成は重要。 |
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中級レベルの人材においては、プログラミングの中でも人材が足りないところと、そうでないところがある。どこの部分が足りないのか明確にする必要がある。 |
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例えば、WindowsはＯＳだけでなく、プログラム言語もあればデータベースもある。今伸びているのはデータベース系であり、データベースの管理などでは人材が不足している。また、Windowsを基幹業務の全てに使っているところはほとんどなく、８割以上は他のＯＳとの混在環境。こうした混在環境をマネージできる人材は圧倒的に不足している。 |
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ＩＴ人材の中でセキュリティの観点を持っている高度な人材がセキュリティ人材として位置付けられる。高度なＩＴ人材にセキュリティの能力を付加して、セキュリティ人材として使うことはあるため、セキュリティ人材は高度なＩＴ人材ということができる。 |
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現在、ＩＴ技術者全員が常識として幅広くセキュリティ知識をつけるという考えの一方で、実際に事件、事故があったときに、実際に動けるセキュリティ人材の不足がある。ＩＴ人材、セキュリティ人材の両方が不足しているといえる。 |
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セキュリティ技術は、安全性（クラッキング・ハッカー対策）・可用性・利便性に分かれるが、中間報告書（案）では未整理である。セキュリティ対策というと、いかに「高度に」するかという議論はされるが、いかに「上手に」やるかという議論が抜けている。実際のビジネスで一定の線で折り合いをつけて、ビジネスモデルも確保するという技術者はかなり少ないだろう。ＳＥでもプロジェクトマネジャーでもなく、運用管理の技術者というものが、おぼろげながら生まれてきており、その職種をうまく定義できればと思う。育成すべき人材像と、その人材が持つべき技術要素をどこかで示さないと、非常に投資効率の悪いセキュリティ技術者の育成になってしまう。 |
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ＯＳ混在環境におけるデータベースの健全性の確保といった研修は、ベンダーにはない。ＯＳの側からもネットワークの側からも、全般を扱う技術はなかったと思う。要素技術がどこにあってどこにあるべきか、触れると難しい問題だが議論していく必要がある。 |
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最近はサービスマネジメントを見直さなければならないという動きもあるので、もっと運用管理について触れてもよいのではないか。例えば、サービスレベルの設定やサービスを実際に維持していくためにどのような体制をとるのか等。運用サポートとして、コールセンターを設置してどのようにそこでサービス提供していくか等について、これまでは体系的に捉えられてこなかった。 |
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物作りのできる開発技術者を大学で教育して、メーカーで採用して物作りで使っているという流れがある。既にある物をどう組み合わせて、実際のサービスとしてどう実現していくのか。セキュリティの問題が端的な例だと思うが、最終的にはビジネス要件から見たとき、どういう技術を取捨選択して、コストの中で統合していくのか、そういった人材の育成について、従来日本が積極的に目を向けていなかったということがある。その結果として、製造業の中での開発技術者と、そういうものを使ってサービスを提供していく技術者の不足という意味でミスマッチが発生している。 |
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情報セキュリティについては破られれば終わりであり、破られないようにするためには、少数精鋭の人材が必要。情報セキュリティ人材は、専門的高度ＩＴ技術者としてセキュリティをガードする人材と特化して定義できるのではないか。 |
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ある技術に関する英語の本が出版されると、英語圏の人はそれに早く対応できるが、日本の場合は、まず誰かが日本語に翻訳してから教育を行い、教わった人が現場で使うまでに時間がかかる。その頃にはすでにその技術は陳腐化しており、技術を習得するインセンティブが働かない。 |
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社団法人情報サービス産業協会の調査で、ＩＴセキュリティ人材不足の大きな要素の中に、アップデート技術が激しくてついていけない、アップデートの技術に対する教育の機会がないという回答が４４％あった。つまり、今の人材の不足感よりも、これからの変化にキャッチアップするためのアクションの不足感が大きい。セキュリティ技術のうち、プロセデュア（プログラムの処理手順・手続等）な部分や運用の部分はライフサイクルの長い技術であり、サーバ管理に関する技術などはアップデートが激しい技術。教育ベンダーが新しい技術にキャッチアップする上での、組織上の遅さというのがネックになっている。
上級技術者に対する技術は、日本語化している間に内容が変ってしまうので、英語のまま教えることがよくある。日本語化して、日本語環境で動作の検証をして動くようにするとコストもかかる。ライフサイクルの長い技術と短い技術があって、特にライフサクルの短い技術の方のキャッチアップをいかにリーズナブルにやっていくかは、最終報告に向けて議論をしていく必要がある。
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セキュリティ技術には、技術スキルと組織的業務スキルがある。技術スキルの話では、ソースコードの開発に関与していなければ、英語の技術の後追いになってしまう。英語の壁が問題となるのは、技術仕様に関していえば、ソースコードの開発を日本ではやれなくなり、日本の技術がなくなりつつあるということに起因していると思う。製品を使うだけの場合は、英語圏の技術者が、英語力のない人でも読めることを意識して書いてくれれば、それほど困らない。明らかに日本が遅れていると感じるのは、技術的スキルではなくて、組織的業務スキルの方である。 |
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必ずしも英語の技術が進んでいるというわけではなく、ＩＴ技術は複合化しており、日本の方が進んでいる技術もある。例えば、オラクルの製品を使う技術者の多くはJavaも使えるし、それを運用する環境はLinuxでもWindowsでもある。ＯＳの動く環境が、1ベンダーの技術でなくなってきている。 |
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英語で情報をハンドリングできる人と日本語圏だけでやっている人では明らかに越えられない壁がある。それも中級と上級を分ける一つの見方である。 |
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ＯＳの混在環境でのアーキテクト、プログラマをどう育成していくかが重要。アーキテクトは首都圏など産業の中心で育成される。また、地域のプログラマをどう育成していくかは地域のＩＴ企業にとっては死活問題である。 |
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アーキテクトについては２種類あり、業務のアプリケーションのアーキテクチャを決める人、ＩＴのインフラを決める人がいる。設計者の上位の人がアーキテクト。 |
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製品としての機能をデザインする人は設計者とはいわず、アーキテクトという。ＳＥをアプリケーションエンジニアとはいわないので、ＳＥというとアプリケーション寄りで、アーキテクトというとシステム寄りということになる。 |
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プロジェクトリーダーがプロジェクトの失敗をしているのは、アーキテクトがいないため。プロジェクトが止まってしまった場合は、役割分担がはっきりしていないことから、プロジェクトマネジャーの責任になる。根本的な問題はアーキテクトであり、アーキテクトがプロジェクトでしっかり選択をして、性能、レスポンス、容量などを保証してデザインされていれば、実際は問題が起こらないケースが多い。プロジェクトマネジャー、アーキテクト双方の育成が必要。 |
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現状では、技術スキルの高度化の流れが強過ぎる。もっと早い段階での組織的業務スキルの高度化への流れが必要である。海外のソフトはパッケージングが早かったので、全体の仕事の流れを念頭に開発されている。日本は仕様書を作ってその通りに個別に開発してみて、組み合わせるとダメということになる。 |
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地方で研修を開催することができないから人材が育たないのではない。例えば、国が補助して研修事業者が地方で研修をやったからといって、必ずしも受講者が集まるわけではない。地方における技術者が必然的に必要になるような仕掛け作りをすべき。一方では、地方には人材がいないからニーズがないという側面もある。 |
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ボランティアによる講座開設は、今のところボランティアベースでやらざるを得ないのが現状。決して地方だからといって需要がないということではない。予算があればやってもいいという地方のＳＥ企業もある。補助率等のスキームの問題もある。セキュリティのレベルを高めておかないと、生き残れないということも地方は自覚している。
研修をした後の資格の問題をどうするのか。大学生やＳＥの資格をもっていながら職にあふれている人たちに対して、インターンシップなどの新たな仕組みをどう作っていくのか。 |
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確かに地方の事業はあまり採算性がない。ハコとか建築材料に比べて、サービス・教育は県庁や省庁でも値ごろ感がなく、製品としての一般的認識が出来上がっていない。例えば、こういう仕事の人を何人作るから教育が必要だというように、先に仕事をつくらないと教育に入れない。こういう人が何人必要になるからというと教育に入れる。地方で高度なセキュリティの技術を駆使して、ビジネスを成り立たせることができるのかということと同じこと。 |
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大都市でＩＴ化をやろうとすると色々な考え方があってなかなか進まないが、地方は県知事や市長が旗を振ればすぐやれるので、大都市圏よりも早く進む場合がある。地方は県が大企業であり、そういうところと人材の適正とうまく結びつけると、比較的早くＩＴ化の流れができるだろう。 |
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例えば、技術士試験などでは、資格をポイント制にして、毎年一定のポイントを稼いでいかないと資格を剥奪するというような取組みが行われようとしている。ＩＴ資格についても一度とったら終わりにしないという仕組み作りが必要。 |
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資格のメリットとして、技術的な流れだとかを認証をする以外に、安心して任せれられるという責任制という面もある。また、技術面では更新制を用いても更新要件をいつまでもリフレッシュしていけるのかという問題もあるので、難しい部分もある。例えば、監査などは客観的評価やジェネラルな手法を比較的長い年次で持つことができる。中間報告書（案）では技術的側面での資格制度が中心なので、別な側面が必要。その一つの切り分けが監査面である。 |
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人材の不足をどう危機的に感じるか。確かに人材が足りないから補充しなければならないという現状があるが、さらにその先を考えたときに、技術変化はリスクが大きいという他に、周辺他国の問題との関係が足りない。多額の費用を使って育成するのであれば、社会的に見て、日本がそこにこだわるのが本当に良いのかどうかといった視点が必要である。
中級レベルのスペシャリストについては、ある程度いるという議論もあるが、それが先への対応という技術面からではなくて、他国との競争ということからいうと、そういうことについて、上位だとか上流だとか本来日本が技術者を育成していく上での大事な部分を考えなければいけない。 |
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最終報告へ向けて、1)教える側の問題、2)大学教育機関や研究機関における人材育成の在り方、3)資格制度に対する支援のあり方、4)若い人材の就職支援といった課題について議論を深めていきたい。中間報告までの議論を深めながら、かつ残された課題についても議論していく。これ以外に論ずる論点があれば、適宜加えていきたい。
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