（構成員）ＰＨＳを例にとって、パワーに応じて電波利用料は徴収すべきとおっしゃったものと理解しましたが、先ほど、むしろ微弱な電波ほど監視が大変なので、多く取っても良いのではないかといったことをおっしゃったと思います。その辺りがそもそも論として大事な視点ではないかと思いますので、再確認させていただきたい。なぜなら、親会の電波有効利用政策研究会のもとで、我々が何をするかという視点が非常に重要と思われるからです。
（構成員）いわゆる同報機能を中心とする衛星と、双方向のいわゆるユビキタス接続のようなワイヤレス双方向と、これが一義的な基準で捉えられるのかという点に疑問を持っておりまして、放送で一斉同報を行うものと、双方向でユーザが電波の独占や空間的な占有を決められるものとは少し違うのではないかと感じております。
（構成員）私からは特にございません。受益者負担ということを申し上げたいということであります。
（構成員）説明で、資料の６ページに「国、地方公共団体の開設する無線局についても・・・・・・」とあって、その下に「その受益の程度に応じて徴収すべき」との説明がなされました。それは文字どおりですからよく理解できます。その際の説明で、最初から国や地方公共団体の部分を除いてしまうと、それをどこかに上乗せする場合に配分が変わってしまうと聞こえたのですが、その配分が変わってしまうというのはどういう意味でしょうか。
（構成員）これは仮定した上で述べたのですが、共益費を支払う対象として、国が免許人の局は電波利用料を払わなくて良いのではないか。なぜなら、受け取るほうも国だからという議論がありました。もし、そういう議論であれば、電波利用料を負担するときに、国の無線局が入って一部分担される場合と全然分担されない場合では、その他の徴収される者の支払う額が変わってくることを申し上げたのです。
（構成員）確かに支払う額の量が違ってくると思います、金額が変わってくるのはわかりますが、先ほど私が受けとめたのは、配分が変わってくるというところに疑問を持ったのです。要するに、コップ１杯の水を皆で平等に分けるのか、あるいはコップ２杯の水を分けるのかの話はありますが、それを構成するところに比例配分していく、比例配分という表現が良いのかはわかりませんが、量が多くなるかどうかは別として、配分の比率はそれほど変わらないのではないかという疑問を持ったのです。
（構成員）量が多くなる、ならないということは全く関係なく、量というのは電波利用料、つまり共益費用の使途が決まっていて、どれだけコストがかかるかはコップ１杯と決まっているわけです。それをどのように分担するかの話であります。
（構成員）そのコップ１杯の水を１０とすると、国や地方公共団体が２使っているとすると、その２を除くと残りが８になりますね。それをどのように配分していくかは、１０のときと８のときの配分比率は同じであって、量、お金の額が違ってくるだけと理解したのです。先程の説明では、配分の比率が変わってくるという説明でしたので、あえて質問をさせていただきました。量が変わってくるのはよく理解できます。
（構成員）額が変わってくるということであります。
（構成員）２点ほどお伺いしたい点があります。１１〜１２ページで、共用が重要とおっしゃったと思いますが、例えば１２ページの図を拝見しますと、衛星通信と地上のシステムとの間で様々な監視の問題が生じるので、逆に電波監理の観点から見ると、かえって共用によってコストが余分にかかることもあり得るのではないかと思われます。先ほどの受益の観点に基づいて徴収すべきというご意見ですが、共用によって、もし仮にその監視費用が余分にかかるようになると、かえって共用によって安くなるといったお話との間で少し矛盾が生じてくるのかなということをお伺いしたい。
   もう１点は、それと関連しますが、昨年、英国で通信法の草案が出まして周波数アクセス認知制度が提案されていると思うのですが、これについては御社ではどういった対応やお考えをお持ちなのか、併せてお伺いしたいと思っております。
（構成員）実際に私どもの周波数のところで、電波監視のどのような恩恵を受けているかというのは、あまり他と比較しては存じ上げておりませんが、おっしゃるとおり、電波監視の恩恵を非常に強く受けているということであれば、電波利用料においてその部分は多く負担することになるのは当然と思います。定量的には申し上げられませんが、他の周波数帯、市民バンドなど様々なものがあるかと思いますが、そういったところとの比較の問題になると思います。
   それから２点目については、具体的にどんなことを求められているのか説明していただけるとありがたいのですが。
（構成員）特段、衛星のダウンリンクだけを目的にしたものではないと英国は言っているようですが、電波を発信するということに着目して課金するというシステムですと、例えば、衛星の場合は上から電波を発信することになりますので、結局、課金できません。一方で、地上系システムと周波数が共用するようなケースですと、その辺りの調整が必要になってくるので、特に衛星のダウンリンクだけをねらったものではないのですが、衛星のダウンリンクについて周波数の利用を認知するということで、そのカウンターパートに対しても課金してはどうかという提案がなされているわけです。
（構成員）衛星のダウンリンクについては国際的な規模でチャージしましょうという答えになろうかと思います。しかし、ダウンリンクだけではなくアップリンクもありますから、家賃を取る場合には、その領土を管轄する主官庁がそのアップリンクの分はチャージする。家賃だけではなく共益費の場合でもそうですが、そういう考え方もあろうかと思われます。
（構成員）おっしゃっているのは、共用帯域等では監視等の行政経費が増えるから、共益費用である電波利用料の範囲だけで考えると、電波の有効利用にならないのではないかということですか。
（構成員）そこまで踏み込んではいないのですが、先ほど、共用することを少し評価して値段も少し勘案していただきたいとおっしゃった部分について、かえって共用すると監視のコストがかかってくるのではないかという疑問の中でお尋ねさせていただきました。

（構成員）先ほどからの説明において、国際的なレギュレーションの話が出てきているのですが、今回、この場で有効利用を考えるにあたっては、国際的なレギュレーションはもう下地として通過した後の段階として考えるのか、これも含め、いろいろな有効利用の政策を考えるということになるのでしょうか。
（総務省）非常に難しいご質問ですが、電波というものは国内に閉じたものではなく、当然、国際的に連携しつつそれぞれの国内において有効利用を図っていくべきものと考えております。したがって、国際的な連携・枠組みを抜きにして、国内だけの有効利用というものは電波の世界ではなかなか難しいと思います。国際的な枠組み、レギュレーションといったものも視野に入れた有効利用方策を基本的には考えていくべきであると考えております。
（総務省）補足的に申し上げますと、総務省としては、ＷＲＣの場で、例えば無線通信規則が改正されて、国際的な周波数の利用が決まりますので、国際的にも周波数が有効利用されるようにという意味では、国際的なものがまず重要だという認識でして、国際的な場に周波数を有効利用できるような提案もしています。
（構成員）電波法が制定された時の狙いは、電波の公平かつ能率的な利用と公共の福祉を守ること。その法律の中で、国あるいは地方公共団体の場合は法律の適用外としている。それから市町村の消防のようなものは料金を免除している、あるいは一部負担としている。この適用外にした考え方はどこにあるのでしょうか。
   さらに同じように国民ないしは住民の生命・身体・財産あるいは社会の秩序の維持といった業務を行っているときに、それを法律によって除外したものと、一応唱えたけれども料金を免除したものとでは、結果は同じですが、全然違ってくるのですね。そこを説明していただきたいと思います。
（総務省）電波法を制定するに際し、電波利用料の性格は、受益者負担金ともいわれますが、基本的に国に支払う対価としての手数料という性格になっております。手数料という位置付けにおきまして、電波法だけではなく、すべての行政作用法における手数料のこれまでの会計上の位置付けとして、国の行う申請行為等に対する手数料については、そもそも国の会計から出ていって、国の会計に戻るという観点で、同じ財布から出て同じところに戻るということで、手数料は免除されるという仕掛けになっております。したがって、国の行政行為の対価については、日本政府全体の方針に沿って免除されているということになろうかと思います。
   次に、地方公共団体については手数料としてお納めいただくのが原則ですので、他の無線局の免許人と同様、全額電波利用料を支払うこととなっております。ただし、一部の防災用の無線局は半額という特例措置が設けられており、さらに消防や水防といった国の無線局と一体となって防災活動として使用されるものについては全額免除ということになっております。
   なぜ、地方公共団体の一部の無線局について半額免除又は全額免除となっているかと申しますと、国の無線局として一体となって使用される場合、実施主体は地方公共団体であるが、場合によっては国費を支出しても、その作業をやっていただく必要があるといった問題を勘案し、先ほどの国の手数料と同様、国の財布から出て同じ国に戻ってくるものと一体とみなすことが適当なものとして、半額又は全額免除としているのが制度創設時の基本的な考え方です。
（構成員）確かに、電波法が昭和２５年にできておりますし、消防は昭和２３年に組織法ができて、現在五十有余年の歴史があるわけで、そういった制度ができたときのことを考えますと、消防の場合、例えば、市町村長が消防管理として責任を持って、そして負担しているということですから、当時は、その市町村内に発生した災害に対して消防無線等を活用して災害を防止しているという観点が大部分なのです。ところが、平成７年の阪神・淡路大震災から、淡路だけの消防力では足りないということで、東京からも何百台も何日間も行っています。現在、同じ東京区内ですが、三宅島にもう２年近くなるのに今でも毎日東京消防庁から行っています。災害が広域化し、広域な対応が必要となっている現状に照らし、従来の考え方で良いのかということを感じるのです。
   今、消防組織法の改正がかなり進んでおりますが、その考え方は、阪神・淡路大震災の際には、緊急援助隊が法律に根拠がなく、要項により必要ということで設置して今も運用しており、有珠山の災害や鳥取災害など、全て対応しております。しかし、それでは本当に有効な対応ができるのかということで、今回、緊急援助隊を消防組織法に根拠を置いた組織にしようということになっているわけです。このように災害が単に市町村の一地域だけでなく複数の府県に及んだり、一地域、東海地震や南関東など考えたときにどうだろうかということを考えると、利用料の減免等についても、国も地方公共団体も地方分権が進んで、上下関係から対等という形で進んでいますから、そういったものを見越した対応をしていくべきであると思います。
（構成員）様々な論点があるかと思いますが、まず、一番、根本的に議論すべき点は、電波利用料の範囲にとどめるべきか、使用料まで拡大すべきかということです。そこで質問したいのですが、全体のトーンが代表的に表れているのが、資料４の３ページですね。共益費用とする現行の考え方が適当な理由として、負担と使途の関係が明確化する。２番目として、使用料を合理的に算定する方式の策定は困難、やや消極的な理由であると言えます。もし、きちんと計算できるのであれば良いのでしょうか。
   使用料に拡大することについては、親会でも議論があり、よく整理していくことが大切だと思います。まだ結論を急ぐ必要はないので、じっくり議論し、国の電波利用についても、公共性も考えてどうなのかといった議論をしていただければと思います。
（構成員）資料４の５ページにあります徴収対象の問題ですが、例えば、電波有効利用を考える際、ｅ−Ｊａｐａｎ重点計画等にありますように、いかに高度情報通信ネットワーク社会を実現するかという立場で検討すべきだと思っております。また、そのために民間事業者の活力をどのように活用していくかという観点から検討すべきであると思います。そのような観点から考えますと、どこからたくさん取れるのかということより、いかに取らないで済むか、不必要なものは取らないでいくかという観点から考えるべきではないかと思います。
   ５ページに、免許不要局について、免許不要局も受益があるので徴収対象とすべきとありますが、何か具体的な根拠があって言っておられるのか、あるいは一般論なのか、あるいは高度情報通信ネットワーク社会の実現のために民間事業者はいかに活用していくかという観点から、どのように考えられているのかといった意見をお聞かせいただければと思います。
（構成員）大変難しい課題であるということが前提ですが、考慮すべきものとして、ＩＴのこれからの振興策、周波数の共用、一定の技術基準の策定等はこれから進めるべきと私どもも思っております。そういった意味で様々な配慮をした上で、やはり電波を使うという受益は原則的にあるのではないかということで、徴収対象とすべきという意見を述べさせていただきました。ただし、下に書いてありますとおり、公平で徴収が容易な方法を検討すべきでありますが、具体的にどういう徴収方法、どういう形が望ましいかは、私どもはまだ結論が出ているわけではございません。ただ、電波を活用するという原則的な話として、このように述べさせていただきました。これも、場合によっては国際規格に対する考え方も全部整理した上での話とも思っております。
（構成員）具体的事例として、実際に輻射等が発生しないような、非常に製品の特性が保障されたツールがあり、電波監視の対象でないといった割り切りができるものがあれば、ここも議論の対象になろうかと思います。しかし、現実問題として、ブースター等電波輻射を伴うものはいろいろあります。非常に接近した場合にはやはり影響を与えるようなものが個々に散見されると思います。したがって、一般論として、そういったものがある間はやはり議論の対象とすべきではないかと考えております。
（構成員）ユビキタス社会にとか、将来電波をより利用するようになるだろうということはほぼ皆さんが了解をしていて、しかも、これは税のようなシステムではなく、電波の利用者が一種の組合になっていて、皆で一番使いやすくするように負担をしましょうということですね。しかも、新しい技術も、新規参入者も様々に出てくる可能性があることなどを前提とした上で、改めてどのような方法が良いかについて、ゆっくり考えましょうということです。
   電波を最も有効に使うということであれば、これまでの経緯とは全く関係なく、国と地方も関係ないし、公も民も関係なく、利用者が一番使いやすい方法を国際的な制約の中で考えようということですね。そのプロセスをまず全体で共有しないといけません。電波をこれから使う人、それから将来使おうと考えている人のことも念頭に置きながら、皆で上手に使っていく組合の問題だという感覚、その意味での共益費という感覚であれば、皆さんが非常に良い認識をしたと言えるのです。
   ところが、これまでの使い方や既得権ということを考慮してしまったら、新規参入者についてなかなか考えられなくなってしまいます。原則として、皆で電波を有効に使っていくための、皆で考えるシステムであることを前提にした上で、その後の問題については、従来のことから激変してしまうことは非常に困るから、少しずつ調整しながら、組合的な精神は維持して、基本的に必要なものをきちんと調達していくシステムをどう考えるかということだと思います。その場合、既得権という議論もないかもしれないし、最も有効に使うためには、今まで利用している人にどう動いてもらわなければいけないかという問題も起こってくると思います。それも共益費という概念の中に入れるのかと言い始めた途端に使用料というコンセプトが入ってしまいます。電波の需要が逼迫していることはわかっていて、それを技術的に有効活用していくための様々な研究開発も必要であることもわかっていますし、この共益費の概念は少し踏み込むと非常に大きくなります。しかも、そこで使っているのは、国が使っている場合でも、明らかに機会費用がかかっているわけです。だから、非常に重たい行政がやっているといっても、本当に効率的にやっているかどうかを皆で監視しなければいけませんから、その官民という概念もおそらく外れなければいけません。
   ただし、その効率的に官のほうが使っているかについて、民が疑っているような状態のときには、常にチェックが働いていなければならず、そのチェックを行うシステムに関する費用負担も考えなければいけないわけで、従来のように公は確実にきちんと有効活用をしているに違いないというわけでもありません。原則のところまで立ち返り、まず共通認識しなければいけないのがどの基盤かについて確認しなければ、共益費の世界でできるだけ徴収の部分は小さくするという議論にもなり、そうなった途端に既得権を守る方向に動いてしまいます。非常に難しいですが、多くの人が集まっていて、納得のできる範囲で基盤をつくっていく、しかも、一番抽象的な点で合意しておかなければこの議論は進まないと思います。
   今日、感じたのは、共益費という概念であれば良いという議論には、今、話したような大原則は認めた上で、共益費は組合のような形で電波利用者全員が参加しているところでお互いの負担の仕方について民主的に議論することを原則とするという概念と考えてよいのかということです。
（構成員）私どもは、共益費である電波利用料の範囲については、現行制度は妥当というところからスタートしています。したがって、使用料という概念、例えば経済的価値といったことを除いた形での共益費が原則であるというベースから今日は説明させていただきました。
（構成員）今おっしゃられたことは非常にもっともな話だと感じました。今日も共益費に充てるという受益者負担の考え方、これは前回、説明させていただきましたのと全く同じで、基本的には共益費用、受益者負担については共通認識がかなりあるのではないかという一方で、今おっしゃったように、そこにそれぞれニュアンスの違いがあるような感じもします。
   その一例としまして、資料３の１６ページの関係でコメントさせていただきたいと思いますが、まず配分の問題で、具体的に受益者負担、共益費といったときに、局数に比例する部分と、それから全体に対して均等に配分するものと、つまりＡとＢとがあるという考え方が基本です。そうしたときに、過去はこうだったからということでずっといくのか、それを見直すのか。つまり、ＡとＢとの比例配分、現在は９対１ぐらいになっていて、ほとんどが局数比例になっています。例えばですが、私どもからは、かなり見直す必要があるのではないか、そういった各論では様々な議論が出てくるのではないかというのが１点です。
   もう一つは、放送の関係ですが、局数比例の部分がかなり占めるのも良いのですが、それと同時に、やはりマンションの管理費と同じで、帯域幅とか送信電力、これをどのような形でどの程度加味していくかとか。あまりにも簡単にものを考え過ぎ、完全に割り切り過ぎた場合、今述べたところが加味されなくなるのではないでしょうか。原則的にはやはり共益費用で受益者負担ですが、率直に言いまして、総論賛成、各論反対のところにいかなければならないかなと思うのですが、いずれはそういう議論が必要ではないかとコメントさせていただきます。
（構成員）今、電波利用料の基本的性格が１つの大きな論点となっていますが、もう少し大きな点で見ますと、実は国の負担は一体どうするのかということがあるのです。例えば、国の無線局の問題も出ましたが、国には一般財源というものがあるわけです。それから、もう一つのカテゴリーとして目的税というものがあります。その並びとして使用料、それから共益費の４つのカテゴリーがあって、現実的には一般財源とか目的税は非常に実現困難なものだろうとは思いますが、せっかくこういう研究会があるのですから、一応その基本的な考え方の整理を、報告書が出るとすれば、やっておく必要があるだろうと思います。その中で、若干、本来は一般財源で負担すべき部分があるのではないか、目的税と使用料と比較した場合にどういうメリット、デメリットがあるのか、そういう議論をせっかく学識経験者の方もおられますので、ぜひ整理していただけると今後の議論が有意義なものになるのではないかと思いました。
（構成員）まず、共益費という言葉は同じですが、細かい点では、それに対する印象は違うだろうということについては全く同感です。したがって、そういうところをこれから時間かけて擦り合わせを行うのだろうと思っています。
   それから、マンションの間取りの話がよく出ますが、広いマンションを持っているから多く払うべきだと言われますが、親子３世代住んでいる人と、一人で住んでいる人では、また違うのだろうと思います。
（構成員）提案ですが、利用料の歳入についてはどの免許人からどのくらい払われているかは明確ですが、前回部会において弊社から推定値として出したように、歳出が受益として各免許人にどう振り分けられているか、今後の議論の原点として、試算することはできないでしょうか。私どもは、それを推定して１５％しか受益を得ていないとしているのですが、他の方から見て、自分の受益分は負担費用に対して幾ら得ているのかを試算するということです。我々から見ると、歳入のほとんどを携帯電話に依存し、それに見合う受益を得ていないという実態は、歴史的経過の中で、明らかに歪んでいると認識しているのですが、その認識が皆さん方に全く違うと言われると、これからの議論が噛み合わない気がします。そもそも今どのように使われていて、その分は負担した分との関係ではどうなっているかについて、各社で出せないのでしょうか、あるいは総務省でわからないのでしょうか。
（総務省）前回の研究会の資料で出された１５％という推定値は、免許人として実質的にどのぐらいの受益になっているかということで受けとめられた数値と理解しております。基本的に電波利用料の使途は、電波法の中で基本的な部分が法定されているわけです。基本的に無線局免許人全体に受益がある形でないと使えない形になっております。濃い、薄いというものはあろうかとは思いますが、それぞれ歳出をするにあたっては、基本的に無線局免許人全体に受益があるものに使っているということで頭の整理をしております。
   ただ、実質的に免許人の受けとめ方として、これは非常に濃く感じる、薄く感じるというのは、現実問題としてはあろうかとは思います。
（構成員）携帯電話１台の負担分は、包括免許の場合、毎年５４０円ですが、１台ごとに必要となる具体的な費用として何があるかというと、現実にはあり得ない話です。トータルとして、監視・管理だとかいろいろなシステムに使われていることは事実ですが、占有帯域幅とか、出力とか、無線局数などを考慮して受益を配分するとどうなるか試算してみることは必要ではないかと思われるのです。費用はトータルで共益費として使っているというのでは、議論が前に進まないような気がします。
（総務省）物事の考え方といたしまして、電波利用料の場合、まず使途ありきでございます。したがって、３年間で電波監視をこれだけやっていかなければいけない。研究開発をこの部分はやっていかなければいけない。そういう中で、まず、例えば３年間で１５００億、年間５００億があって、その配分の仕方として、先ほどから、総論賛成、各論で問題になっている受益の程度に応じて配分をする方法として、これらはすべての無線局にとって安定的に通信をできるという点ではすべて同じではないかと考えて、今は均等配分しております。均等配分した結果、すべての無線局について、その帯域とか出力に関わらず、結果として、携帯電話１台当たり５４０円となっております。したがって、おっしゃられた話は使途の問題というよりは、使途も勘案しながら、受益の程度をどう考えていくのかということではないかと思います。
（構成員）私は、誰がどれだけ受益しているのかという議論はする必要がないと思うのです。第一に、わからないことを議論しても仕方がない、もっと言えば、わからなくても良いのではないかと思うからです。なぜなら、そもそも電波利用料や使用料には２つの側面があって、経済財としての電波を購入するための価格とするのであれば、誰が受益しているかは全然議論する必要がなく、要するにマーケットメカニズムで決めれば良いのです。オークションを仮にできないとしても、オークション類似のものを考えれば良いのです。購入者が最終的な受益者のエージェントとして振る舞うわけですから、それで全然かまわないわけです。通常のマーケットメカニズムが働きます。電波は非常に良いことに、権利が最初に国に一元的に完全に帰属していますので、経済学でいうコースの定理がほぼ完全に働くことのできる大変にエフィシェントなマーケットに理屈の上ではなるはずです。実際にはならないことはわかっていますが、抽象的なレベルでは、非常にエフィシェントなマーケットが働くはずですので、誰がどれだけ受益しているかは議論しなくていいのです。財の購入対価という面での電波使用料という点では議論しなくて良いのです。
   次に、そうは言っても、混信その他の外部不経済が生じ、それがマーケットメカニズムでは解決できないものですので、それは一種の公共財として電波監視その他をしなければいけないことになるはずです。これがおそらく共益費用ですが、マンションの共益費というのは、かなりウェットなことを言うと何となく複雑になるのです。これがもし公共財だとすれば、これも費用は非常に簡単であって、少なくとも抽象的なエコノミクスの議論で言う限りは、それは限界費用価格形成原理で算定すれば良いのです。つまり、追加的な一単位、公共サービスを供給するために必要な費用を価格だとすれば、最適な資源配分になるのは、これは経済学の最も初歩的な教科書に書いてあることですので、私は原理的には簡単なことを議論していると思うのです。もちろん何度も申しますが、だからといって、最後に誰か具体的にどのように負担するか、それはコマーシャルのスポンサーに負担させるか、コギャルに負担させるか、必ずそういう問題になることはわかっていますが、原理的なところを明確にするのであれば、私は比較的簡単なことを議論しているのではないかという気がします。
（構成員）一応、言葉の定義としまして、利用というのは共益費であると、使用というのは、オークションまではいかないけれども、今おっしゃったような経済原理も少し加味するということで、一応この場で区別してよろしいでしょうか。共益費といっても様々なものがありますが、利用料・使用料というのは、ここではそのように定義しておきます。
   先ほど申し上げたように、なぜ使用料ではいけないかというところが計算できないからという理由だけでは弱いと思うので、何かその辺りの理論的な討論を少し行う必要があるのかなと思います。それはできるだけおっしゃったような定量的な分析に基づいてということになるのでしょうか。
   アナアナ変換、デジタル化の問題は、これは非常に大規模ではあるが、過渡的な面があります。また、１００ＭＨｚ程度空くわけで、そこを誰が受益するかという問題はもちろんありますから、過渡的な問題とも言い切れない面もあるということもあります。それからナショナルセキュリティ、社会安全の面、これをどのように別途考慮するのかという点もあると思います。それから、もう一つは、将来の放送と通信の融合です。これは通信業者といっても、最後の何十メートルかは第４世代になると、かなり放送的なこともなさるのではないかという気もします。そういった少し将来的なことも含める必要があるのかなということで、次回以降、議論していきたいと思います。