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日時：平成１６年６月１７日（木）１５時００分～１７時００分 |
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場所：三田共用会議所 第四特別会議室 |
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出席者（敬称略）
主査：辻井情報セキュリティ大学院大学学長 主査代理：黒川法政大学教授
五十嵐ボーダフォン株式会社常務執行役経営企画本部長、伊藤ＫＤＤＩ株式会社取締役執行役員専務技術統轄本部長、上田日本経済団体連合会産業本部情報グループ長、甲藤早稲田大学教授、金子社団法人電子情報技術産業協会専務理事、髙取株式会社鷹山代表取締役社長、築山東京電力株式会社顧問（築舘取締役副社長代理）、竹馬株式会社東京放送常務取締役、丸山株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモネットワーク本部電波部長（津田代表取締役副社長代理）、中林全国消防長会事務局次長、西尾ジェイサット株式会社執行役員技術企画本部本部長代行（磯崎代表取締役社長代理）、橋本日本放送協会理事、橋本朝日放送株式会社常務取締役、東マイクロソフト株式会社執行役（経営戦略担当）、村山株式会社ニッポン放送取締役技師長、若尾社団法人電波産業会専務理事、渡邉消防庁防災情報室長、跡部情報通信ネットワーク産業協会サービス部長（池田専務理事代理）、井坂社団法人全国漁業無線協会業務部長（大井専務理事代理）、鈴木宇宙通信株式会社運用本部副本部長（木村代表取締役副社長代理）
《総務省出席者》
有冨総合通信基盤局長、竹田電波部長、稲田電波政策課長、炭田電波政策課企画官、渡邊基幹通信課長、富永移動通信課長、山内衛星移動通信課長、田中電波環境課長、喜安審理官 他
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配布資料
資料 電波利用料のあり方見直し報告書骨子素案
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議事等 |
（１）開会
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（２）電波利用料のあり方見直し報告書骨子素案 |
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事務局より、資料について説明が行われた後、以下のような質疑応答が行われた。
（構成員）１２～１５ページの携帯電話の格差是正事業について、携帯電話事業者としては、基地局を維持するために伝送路を整備するコストなど、ランニングコストの負担が大きいことを認識いただきたいと思います。
（総務省）実質上、事業者にとっては運用経費が大きな負担となっていることは良く認識しております。以前、他の携帯電話事業者の構成員からも同様のご発言いただいたと認識しております。
（構成員）携帯電話のユニバーサルサービスのあり方については、様々な議論があると思いますが、電波利用という側面からのみユニバーサルサービスを議論するのはいかがかと思います。例えば、携帯電話事業者が基地局を設置する際には、そこまでの伝送路等多くの設備等が必要となります。そうしたことも含めて考えますと、電波利用料という観点のみから検討するのは時期尚早と感じます。
（総務省）携帯電話にユバーサルサービス義務を課すべきとの趣旨ではございません。一つの意見として、携帯電話にユニバーサル義務を課すということもあるのではないかという意見もあることをご紹介したものです。この点については、以前他の構成員からも、携帯電話にユニバーサルサービス義務を課すことには慎重であるべきだとのご意見も頂きました。ただ一方で、起草委員会の中でも、電波は国民共有の資源であるので、今まで以上により多くの国民が電波を利用できるような努力をする必要があるのではないかとのご意見がございました。それに対して、現在の移動鉄塔整備事業が年間約５０基というペースで行われていることについても、ご議論いただきたく存じます。
（構成員）たしかにこうしたサービスが広く、遍く提供されるべきだという点に関しては、私共も一致しています。ただし、サービス間の競争といった今後の変化を考えましても、ユニバーサルサービス義務を課すことについては慎重に考えるべきと考えています。
（構成員）１０ページに電波利用者が負担する電波利用料を財源とする施策と一般国民が負担する税を財源とする施策とが対比されていますが、この一般国民が負担している税とはどの程度の規模になるのでしょうか。それから、今後電波利用料で負担する部分を拡大させていくとすると、何％程度の拡大を想定されているのでしょうか。
（総務省）有線無線を含めた情報通信分野全体の研究開発費用は、現在、約７５０億円となっておりますが、その中で将来の電波利用者の受益となる未利用周波数帯の開発やナロー化技術の開発となりますと相当小さい割合になります。何％の拡大を想定しているのかと言う点につきましては、現在はあくまでコンセプトを整理している段階でございますので、その整理がなされた上で、支出の効率化と合わせて検討いただければと思います。なお、格差是正に対する現在の支出額は約１７億円となっています。
（構成員）携帯電話のユニバーサルサービス義務について、米国やＥＵでの情報はございますでしょうか。
（総務省）一例として、フランスでは携帯電話をユニバーサルサービスとして定義しています。金額について詳細な数字は頂戴していませんが、日本の格差是正事業とは異なり、鉄塔や土地の費用については自治体が負担し、設備については事業者が共同で設置するというスキームが設けられています。
（構成員）電波利用料の使途として研究開発を考えますと、資金を提供する側の立場からすると、ある特定の者の利益となるような研究開発分野はあまりそぐわないのではないかと考えます。資金を拠出する者が、共通してその恩恵を受けることができるものを第一義的に考えるべきと思っております。今回紹介されている研究開発はこの趣旨に合致していると思いますが。
（構成員）格差是正が国として非常に大切な政策課題であるとは思いますが、新たに電波利用料をそのために支出することについては、格差是正に直接は関係しない電波利用者の負担にもなりますし、そのために必要な額もはっきりしないので、なかなか判断が難しいのではないかと考えます。それから、有線系のユニバーサルサービスについても大きな課題があると思いますが、それとの整理については何かございますでしょうか。
（総務省）目下、加入電話や公衆電話がユニバーサルサービスとなっております。有線ブロードバンドについては、別途、総務省として検討を開始したところであります。有線の方は、普及率がまだまだ低い一方、携帯電話についてはすでに加入者数８７００万と言うように、高い普及率となっており、まだ加入していない、あるいは加入できない人が少数となっております。従って、有線系ブロードバンドについては、これから過疎地域においてどのように発展させていくかが課題となる、一方、無線系については、残った人たちをどうして行くかということがポイントになるかと思います。
（総務省）政治の世界から見ますと、ここまで携帯電話が普及している今の時代においても、非常に便利なツールである携帯電話が使えない地域がある。これが果たして国のかたちとしてよいのか。事業者が自らインフラを敷設する有線系と違い、電波という有限な資源をつかってビジネスを展開している以上、何がしかそれを還元するような努力があってよいのではないかというというご意見が強くあります。では、税でやればいいのではないかと言うことになりますと、予算を査定する財務省の理論からしますと、そもそも民間主導が原則であるのであるのだから、ユニバーサルサービス義務をかければよいのではないか、あるいは民間同士でお金を出し合えばよいのではないかとのことになります。総務省としてはこうした意見の中で、電波利用料を負担していただく方々と、どのように折り合いを付けていっていただければよいか苦心しているところでございます。そのような点を念頭においてご議論いただければと思います。
（構成員）１６ページに共益費用の部分については、全無線局の均等負担とするとの説明がありますが、これは１ページの「原則、無線局数で均等割りという、有効利用の逆インセンティブの是正」という目標と若干矛盾するような気がするのですが、この点いかがでしょうか。
（総務省）今回の電波利用料制度の見直しは、経済的価値を勘案することによって有効利用を促進しよう、あるいは無線局数均等割りの逆インセンティブを解消しようという目的をもって出発したものです。ただし、経済的価値を勘案すると言っても、ヨーロッパのオークションのように徴収額が高騰したらどうするのか、使途の歯止めが必要なのではないのか、量的要素を入れるとしても簡明な必要がある、安定的な電波利用環境を維持するための共益費用としての性格は依然としてあるのではないかなど、様々な意見があります。その中で、電波監視等については現在の考え方を残し、技術試験事務等については量的要素、経済的価値を反映することで、様々な意見の折り合いをつけようとしたものです。それぞれの立場のご意見からいたしますと、物足りないと言うこともあろうかと思いますが、またそれぞれの立場のご意見を反映したものでもあると考えております。
（構成員）１６ページに技術試験事務等、アナアナ変換等とありますが、具体的にどこで線引きするかについては、これからの議論と理解してよろしいのでしょうか。
（総務省）どちらに振り分けるかについては完全には整理しきれておりませんので、今後の検討課題ということになります。
（構成員）１６ページに「電波資源拡大のための研究開発」とありますが、これは９ページの「電波有効利用に必要な研究開発」の全体にあたるのでしょうか、それともその一部にあたるのでしょうか。
（総務省）９ページの「電波有効利用に必要な研究開発」の全体を意味しております。ただし、９ページに挙げられている全ての研究開発を電波利用料で賄おうというものではなく、一般財源に電波利用料も加えることで拡充していこうというものです。
（構成員）ワーディングとしては、「電波有効利用に必要な研究開発」と統一した方がよろしいのではないでしょうか。
（総務省）おっしゃるとおりでございます。ありがとうございます。
（構成員）現在の総額５８０億円を、１６ページにあるように組み替えた場合には、それぞれの部分がどの程度となるのかについての感触を教えていただけませんでしょうか。
（総務省）現在の電波利用料の歳出は、１６年度予算では電波監視に７２．３億円、無線局データベース運用に１３０．０億円、アナアナ変換に２０２．２億円と全体の７割程度、技術試験事務が８４．５億円で１５％程度、その他が８０．２億円で同じく１５％程度となっております。それが今後どのようになっていくかについてですが、まず効率化については、現在検討を行っている最中で、無線局データシステムについてもホスト系のレガシーシステムを、サーバー系のオープンシステムにすることによる効率化を検討しているところです。研究開発については、電波資源拡大のための研究開発をリストアップしたものが、８，９ページでございます。例えば、周波数共用技術が出来ることによって、再編がスムーズに行われるということも考えられれます。そういった便益を考えながら、電波資源拡大のための研究開発を全体として額をまとめていくことになるかと考えています。格差是正事業については、現在、予算約１７億円、年間５０箇所程度のペースで進めておりますが、これについてもスピードアップを求められているところでございます。また、施設整備とは別に運営経費をどう負担するのかといった点については十分に検討し切れていないところもありますが、こういった研究会での議論を受けて、より詳細を詰めていくことになります。
（構成員）３１ページの国・地方公共団体の箇所についてですが、前回、前々回の部会でも申しましたが、予算査定等を通じて有効利用インセンティブに寄与するのではないかとのことが述べられていますが、消防・救急あるいは防災無線については、他に代替手段がなく、割当周波数も最小限の割当となっております。さらに周波数の有効利用を促進するためにデジタル化によって狭帯域化を進めるべきとの指摘もあるかと思いますが、実際には地方公共団体がこうしたデジタル化投資を行っておりまして、財政状況の厳しい中、国の補助金が是非とも必要だとの要望も出てきている状況であります。そこに、さらに電波利用料を賦課していくことになると、デジタル化推進への支障となることもあるのではないかとも思われます。是非とも、そうした点も勘案いただきたいと思います。なお、給付金制度については、今のところ国・地方公共団体は適用対象とはなっていませんが、どうしても早期の周波数移行が必要な際には、国・地方公共団体も対象としていただくよう検討いただく必要があるのではないかと考えております。
（総務省）今ご意見を頂いた点については、必要な行政サービスの水準維持の必要があるとの観点で、次回に向けた骨子案を具体化させていく中で反映させていきたいと考えております。
（構成員）国・地方公共団体あるいは免許不要局の扱いについては、両論併記という形で報告書をまとめることになるのでしょうか。
（総務省）事務局といたしましては、出来ればコンセンサスを得て、一本の意見にまとめていただけますよう最大限の努力をしてまいる所存ですが、ただ何が何でも一本にまとめていただくと言うよりは、パブリックコメントの前の段階では両論併記のかたちとして、その後国民の皆様のご意見を頂いた後に、最終的には一本にまとめるという手法も考えられるかと存じます。
（構成員）３３ページに免許不要局ついてのこれまでの議論の整理がまとめてありますが、前回、前々回も申しましたとおり免許不要局からは徴収すべきでないという意見をもっております。これまで総務省が行ってきた電波有効利用への努力は高く評価いたしておりますが、３５ページに挙げられている電波再配分の場合は、立退き料ということで、徴収金額・徴収目的が明確であることを前提としてこうした徴収の仕組みが出来たわけです。今回の場合は使用料ということで立退き料の議論とは根本的に異なります。メーカーから徴収することになると、果たしてインセンティブが働くのか疑問です。使用料ということになりますと、使用権が発生しますし、使用者が特定されない限りおかしな議論になるのではないでしょうか。諸外国でも、小電力無線局については非徴収としておりますし、自由な電波利用環境を維持することを基本とすべきであると思います。一般の不特定多数の者からお金を徴収する、税に近いような仕組みについては慎重に検討すべきです。
（総務省）事実関係として２点だけ申し上げたいと思います。１点目は、使用料をとると使用権が発生するのではないかという点についてですが、電波有効利用政策研究会にも御出席いただいている、使用権の問題にも詳しい法律の専門家にご相談したところ、最高裁の判例をふまえても、使用料を徴収することと、使用権が発生することは別の問題であるとのことです。使用料の金額が非常に大きい場合には、事実上、使用権を法的に観念すべきであるとの学説もあるとのことでございますが、いずれにしろ金額の多寡の問題となりますし、今回の場合は無線局１局あたりにしてもそれ程大きな額を取るという話ではありません。もう１点、立退き料徴収の場合についても、多くの者に広く負担頂くことになるのですが、非常に小さな額を幅広く徴収するための徴収のコストを考慮して、基準認証と言う制度に着目し、あくまで税ではなく電波利用料という制度の中で成立しているものです。必ずしも税の世界に近くなると言うご指摘は当たらないのではないかと考えます。
（総務省）現在、情報家電に関する議論が民間でも進められていますが、立退き料を払わなければならないために、出来る限り使用周波数帯を小さくしてスタートしようということをすでに技術者が考え始めているそうです。まさに、お金を払わなくてはいけないと言うことを通して、周波数を節約して使おうというインセンティブは働き始めていると認識しています。
（構成員）現在のところ、免許不要局の代表例である無線ＬＡＮの端末と携帯電話の端末では、実は電力は殆ど変わりません。こうした殆ど類似のものが電波という同じ公共財を使うにあたり条件が異なるというのは、やはり不公平であると思います。従来の共益費用だけを考えましても、例えば電波監視や技術試験事務、電波の安全性確保のための支出による恩恵を、免許不要局も受けています。免許局と免許不要局の間で金額の差はあるかもしれませんが、やはり公平性の観点、応分の負担をするという考え方から徴収を考えても良いかと思います。
（構成員）３８ページに免許局と免許不要局が電波を共用している絵がありますが、何もせずに共用できるのであれば、電波有効利用のためにお金を徴収する必要はないでしょう。しかし、研究開発によってはじめて共用が可能になるというような場合は、まさに電波有効利用のために国が取り組むべき研究開発分野といえるでしょう。（免許不要局についても）やはり何でも徴収すればよいというということではなく、（他の無線局への）影響がないものついてはなるべく徴収しないで、影響が出てきたものについては徴収すべきであると思います。徴収するか否かについて、資料に示すとおり、免許不要局の電力の大小を勘案するのも一案だと思います。
（構成員）昨年６月に免許不要局のあり方について（免許不要局からの電波利用料徴収は）現実的ではないとの意見を出させていただきました。一番の理由は、免許不要局の受ける利益は反射的であるという点です。免許不要局の場合には、ユーザーは電波を使うと宣言しているわけではなく、電波を使うか使わないかわからない、また、使うとしても電波の空きを見てから使う共用型の利用となっています。今後出荷されるパソコンについては、殆ど全て無線ＬＡＮ機能を有するものになる方向とも聞いています。また、情報家電にも無線機能が付けられると思いますが、必ずしも全ての家庭が無線機能を使うとは限りません。そうしますと、使った電波の量に対して使用料を要求するという考え方が成り立ってくると思います。電波を使うことを宣言している免許局については定額制がなじむと思いますが、免許不要局については従量制の考え方になると思いますが、果たして個々の使用者の電波使用量を把握できるかは疑問です。免許不要局の受益は反射的であるという点について、ユーザーの理解を得られる仕組みであるべきです。もう一つ、表示貼付者からの代行徴収については、あくまで給付金の補償として徴収額、徴収期間が決まっている場合について成り立つと考えています。徴収額、徴収期間が予め定まらない場合に、果たして代行徴収が可能かどうか、その点も検討いただければと思います。
（構成員）今後予想されるサービスの展開を考えましても、殆ど電力も変わらない、提供しているサービスも殆ど同じであると言うものに対して、異なる制度を作るのは、公平性の観点からするとおかしいと思います。
（構成員）電波環境を整備するために、みんなで何らかの形で負担をするというのが、基本であると思っています。ただし、徴収金額と徴収コストの関係は考慮しなければなりませんが、精神として負担するのは当然と考えます。
（構成員）基本的な考え方はしっかりさせる必要はあるかと思いますが、日本の情報通信産業をひっぱっていく立場として、諸外国並みに広い立場で検討いただければと思います。
（構成員）１２～１５ページは、１６ページの使途の候補例にあるデジタルディバイドの解消に向けた説明と見てよろしいのでしょうか。
（総務省）使途として研究開発については、これまでの研究会の議論で方向性についてコンセンサスが得られてきておりましたので、それの具体化を含めた作業部会を設置いたしました。一方、格差是正については、ユニバーサルサービスとすることについては慎重な議論が必要との意見を頂いていましたが、市場原理の中でインセンティブを厚くしていく方策については、この研究会の場では必ずしも十分ご議論いただいていなかったと思います。それを踏まえて、今日この場でご議論いただきたいとの趣旨で資料を用意したものです。
（構成員）今日の議論はここまでといたします。本日の議論も踏まえまして、次回の部会で報告書の概要案を取りまとめたいと思います。起草委員会、作業部会の方々におかれましては、引き続きご協力お願いいたします。
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６ その他
次回電波利用料部会は、７月１日（木）開催予定。 |
