第4章 今後の検討課題


 マルチメディア時代に向けて、ユニバーサルサービスの範囲を拡大し、これを確保
していくために、今後更に以下の点について検討する必要がある。

 ? 国民のコンセンサスづくり
   ユニバーサルサービスが国民生活に密着したサービスであることに留意し、その
  範囲の拡大や確保の仕組みについて、国民のコンセンサスを形成していくことが必
  要である。

 ? 対象となるマルチメディア・サービスについての検討
   マルチメディア・サービスについては、現時点では必ずしも詳細が明確になって
  いないことから、当面、遠隔医療、遠隔教育、マルチメディアによる公共サービス
  等、生活に密着したサービスについての取り組みを先行させ、サービスの普及状況
  等を踏まえて、今後段階的にユニバーサルサービスの対象に加えることについて検
  討する必要がある。
   また、米国のパイロットプロジェクトにおいては、マルチメディア・サービスの
  端末機器について、地方自治体が教育機関に補助を行っている。我が国においても、
  マルチメディア・サービス確保については、関係省庁や地方自治体等との幅広い協
  力の可能性を検討すべきである。



 (当面の課題)
 ? NTTにおける費用情報の開示
   既に述べたように、ユニバーサルサービスの制度を構築していくためには、現在
  NTTが提供しているサービス地域に関する詳細な費用情報が開示される必要があ
  る。例えば、地域内に都市部と農村部の双方が存在するような場合には、費用情報
  の開示はそれぞれの費用がわかるようなレベルで行われることが望ましい。例えば、
  OFTELの費用に関する試算では、市内通話区域がその算定単位となっている。

 ? ユニバーサルサービス基金の詳細な検討
   今後、我が国の電気通信市場において競争が一層促進されると、ユニバーサルサ
  ービス基金の必要性が高まる可能性が高い。
   また、ユニバーサルサービス基金の検討は、仮にNTTの在り方に変更が加えら
  れ、競争が一層進展する際のユニバーサルサービス確保の手段として重要である。
   したがって、ユニバーサルサービス基金の詳細な検討が必要である。