電気通信事業法(抄)

(目的)
第一条  この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとすることにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。
(事業の種類)
第六条  電気通信事業の種類は、第一種電気通信事業及び第二種電気通信事業とする。
2 第一種電気通信事業は、電気通信回線設備(送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備及びこれと一体として設置される交換設備並びにこれらの附属設備をいう。以下同じ)を設置して電気通信役務を提供する事業とする。
3 第二種電気通信事業は、第一種電気通信事業以外の電気通信事業とする。
4 第二種電気通信事業者(第二十二条第一項の規定による届出をした者及び第二十四条第一項の登録を受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、その設置する電気通信設備(伝送路設備を除く。以下この項において「第二種電気通信事業用設備」という。)の在る地点と利用者(電気通信事業者との間に電気通信役務の提供を受ける契約を締結する一の者であって、電気通信事業者以外のものをいう。以下この項において同じ。)の電気通信設備の在る地点との間におけるその電気通信役務の提供に用いる電気通信回線については、当該第二種電気通信事業用設備を介して自らの電気通信役務の提供に用いる他の電気通信事業者の電気通信回線に接続されることとなるものであり、かつ、当該利用者が通常回線(それらの地点の間において当該第二種電気通信事業者が自らの電気通信役務の提供に用いる他の電気通信事業者の電気通信回線をいう。)の利用に代えて選択した場合に提供するものである限りにおいて、自ら設置した伝送路設備をその電気通信役務の提供に用いることができる。
(第一種電気通信事業の許可)
第九条  第一種電気通信事業を営もうとする者は、郵政大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、郵政省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を郵政大臣に提出しなければならない。
氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
郵政省令で定める区分による、電気通信役務の種類及びその態様
業務区域
電気通信設備の概要
3 前項の申請書には、事業計画書その他郵政省令で定める書類を添付しなければならない。
(許可の基準)
第十条  郵政大臣は、前条第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の許可をしなければならない。
その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
その事業の計画が確実かつ合理的であること。
その他その事業の開始が電気通信の健全な発達のために適切であること。
(許可の欠格事由)
第十一条  郵政大臣は、前条の規定にかかわらず、次の各号の一に該当する者に対しては、第九条第一項の許可をしてはならない。
この法律又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)若しくは電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
第十九条第一項の規定により許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
法人又は団体であつて、その役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
(事業の開始の義務)
第十二条  第九条第一項の許可を受けた者(以下「第一種電気通信事業者」という。)は、郵政大臣が指定する期間内に、その事業を開始しなければならない。
2 郵政大臣は、特に必要があると認めるときは、電気通信役務の種類若しくは態様又は業務区域を区分して前項の期間の指定をすることができる。
3 郵政大臣は、第一種電気通信事業者から申請があつた場合において、正当な理由があると認めるときは、第一項の期間を延長することができる。
4 第一種電気通信事業者は、その事業の開始前に、第九条第一項の許可に係る電気通信設備(郵政省令で定めるものを除く。)が第四十一条第一項の技術基準に適合することについて、郵政大臣の確認を受けなければならない。
5 第一種電気通信事業者は、その事業(第二項の規定により電気通信役務の種類若しくは態様又は業務区域を区分して期間の指定があつたときは、その区分に係る事業)を開始したときは、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。
(第二種電気通信事業の種類)
第二十一条  第二種電気通信事業の種類は、一般第二種電気通信事業及び特別第二種電気通信事業とする。
2 一般第二種電気通信事業は、特別第二種電気通信事業以外の第二種電気通信事業とする。
3 特別第二種電気通信事業は、電気通信設備(専ら符号又は影像を伝送するためのものとして郵政省令で定めるものを除く。)を不特定かつ多数の者の通信の用に供する第二種電気通信事業であって当該電気通信設備が、自らの電気通信役務の提供に用いる他の電気通信事業者の専用通信回線(利用者(電気通信事業者との間に電気通信役務の提供を受ける契約を締結する者をいう。以下同じ。)が指定する区間において電気通信事業者が設定する電気通信回線であって、専ら当該利用者の用に供するものをいう。)を介して公衆通信回線設備(第一種電気通信事業者が設置する電気通信回線設備であって、交換設備を含むものをいう。)を相互に接続して電気通信役務を提供できるように構成されているもの及び本邦外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する第二種電気通信事業とする。
(一般第二種電気通信事業の届出)
第二十二条  一般第二種電気通信事業を営もうとする者は、郵政省令で定めるところにより、次の事項を記載した書類を添えて、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。
氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
郵政省令で定める区分による電気通信役務の種類及びその態様
2 前項の届出をした者(以下「一般第二種電気通信事業者」という。)は、同項第一号の事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。
3 一般第二種電気通信事業者は、第一項第二号の事項を変更しようとするときは、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。ただし、郵政省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
(特別第二種電気通信事業の登録)
第二十四条  特別第二種電気通信事業を営もうとする者は、郵政大臣の登録を受けなければならない。
2 前項の登録を受けようとする者は、郵政省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を郵政大臣に提出しなければならない。
氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
郵政省令で定める区分による電気通信役務の種類及びその態様
電気通信設備の概要
3 前頃の申請書には、事業計画書その他郵政省令で定める書類を添付しなければならない。
(登録の実施)
第二十五条  郵政大臣は、前条第一項の登録の申請があった場合においては、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除き、次の事項を特別第二種電気通信事業者登録簿に登録しなければならない。
前条第二項各号に掲げる事項
登録年月日及び登録番号
2 郵政大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第二十六条  郵政大臣は、第二十四条第二項の申請書を提出した者が次の各号の一に該当するとき、又は当該申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
この法律又は有線電気通信法若しくは電波法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
第二十八条第一項の規定により登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
法人又は団体であって、その役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有しない者
2 郵政大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、文書によりその理由を付して通知しなければならない。
(指定電気通信設備との接続)
第三十八条の二  郵政大臣は、郵政省令で定めるところにより、全国の区域を分けて電気通信役務の利用状況及び都道府県の区域を勘案して郵政省令で定める区域ごとに、その一端が利用者の電気通信設備と接続される伝送路設備のうち同一の第一種電気通信事業者が設置するものであつて、その伝送路設備の電気通信回線の数の、当該区域内に設置されるすべての同種の伝送路設備の電気通信回線の数のうちに占める割合が郵政省令で定める割合を超えるもの及び当該区域において当該第一種電気通信事業者がこれと一体として設置する電気通信設備であつて郵政省令で定めるものの総体を、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続が利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に欠くことのできない電気通信設備として指定することができる。
2 前項の規定により指定された電気通信設備(以下「指定電気通信設備」という。)を設置する第一種電気通信事業者は、当該指定電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、当該第一種電気通信事業者が取得すべき金額(以下この条において「接続料」という。)及び接続の条件(第四項に規定する接続料及び接続の条件を除く。)について接続約款を定め、郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 郵政大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。
次に掲げる事項が適正かつ明確に定められていること。
他の電気通信事業者の電気通信設備を接続することが技術的及び経済的に可能な接続箇所のうち標準的なものとして郵政省令で定める箇所における技術的条件
郵政省令で定める機能ごとの接続料
指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者及びこれとその電気通信設備を接続する他の電気通信事業者の責任に関する事項
イからハまでに掲げるもののほか、指定電気通信設備との接続を円滑に行うために必要なものとして郵政省令で定める事項
接続料が能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして郵政省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものであること。
接続の条件が、指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者がその指定電気通信設備に自己の電気通信設備を接続することとした場合の条件に比して不利なものでないこと。
特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。
4 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、指定電気通信設備との接続に関する接続料及び接続の条件のうちその内容からみて利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に及ぼす影響が比較的少ないものとして郵政省令で定めるものについて接続約款を定め、その実施前に郵政大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
5 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、第二項の規定により認可を受け又は前項の規定により届け出た接続約款(以下この条において「認可接続約款等」という。)によらなければ、他の電気通信事業者との間において、指定電気通信設備との接続に関する協定を締結し、又は変更してはならない。
6 前項の規定にかかわらず、認可接続約款等により難い特別な事情があるときは、指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、郵政大臣の認可を受けて、当該認可接続約款等で定める接続料及び接続の条件と異なる接続料及び接続の条件(第二項に規定する接続料及び接続の条件に該当するものにあっては、第三項各号(第一号イ及びロを除く。)に適合しているものに限る。)の指定電気通信設備との接続に関する協定を締結し、又は変更することができる。
7 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、郵政省令で定めるところにより、認可接続約款等を公表しなければならない。
8〜14 (略)
(電気通信設備の接続に関する協定)
第三十八条の三  第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、他の第一種電気通信事業者又は特別第二種電気通信事業者と電気通信設備の接続に関する協定(指定電気通信設備に関するものを除く。)を締結し、又は変更しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。ただし、次項の規定により認可を受け若しくは同項ただし書の規定により届け出た接続約款により当該協定を締結し若しくは変更しようとするとき又は当該協定の当事者の双方が、特別第二種電気通信事業者であって本邦外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する第二種電気通信事業を営むもの以外の者(以下「国内特別第二種電気通信事業者」という。)であるときは、この限りでない。
2 第一種電気通信事業者は、当該第一種電気通信事業者の電気通信設備(指定電気通信設備であるものを除く。)と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関する当該第一種電気通信事業者が取得すべき金額及び接続の条件について接続約款を定め、又は変更しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。ただし、その取得すべき金額及び接続の条件が前条第四項の郵政省令で定める接続料及び接続の条件に該当するものであるときは、郵政大臣に届け出ることをもって足りる。
3 第一種電気通信事業者は、前項の規定により認可を受け又は同項ただし書の規定により届け出た接続約款により他の電気通信事業者と電気通信設備の接続に関する協定を締結し、又は変更したときは、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。
4〜5 (略)
(電気通信設備の維持)
第四十一条  第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、その電気通信事業の用に供する電気通信設備(以下「事業用電気通信設備」という。)を郵政省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
2 前項の技術基準は、これにより次の事項が確保されるものとして定められなければならない。
電気通信設備の損壊又は故障により、電気通信役務の提供に著しい支障を及ぼさないようにすること。
電気通信役務の品質が適正であるようにすること。
通信の秘密が侵されないようにすること。
利用者又は他の電気通信事業者の接続する電気通信設備を損傷し、又はその機能に障害を与えないようにすること。
他の電気通信事業者の接続する電気通信設備との責任の分界が明確であるようにすること。
(管理規程)
第四十三条  第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するため、郵政省令の定めるところにより、事業用電気通信設備の管理規程を定め、事業の開始前に、郵政大臣に届け出なければならない。
2 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、管理規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を郵政大臣に届け出なければならない。
(電気通信主任技術者)
第四十四条  第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、事業用電気通信設備工事、維持及び運用に関する事項を監督させるため、郵政省令で定めるところにより、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者のうちから、電気通信主任技術者を選任しなければならない。
2 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、前項の規定により電気通信主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
(審議会への諮問)
第九十四条  郵政大臣は、次に掲げる処分等をしようとするときは、政令で定める審議会(以下この条において「審議会」という。)に諮り、その決定を尊重してこれをしなければならない。ただし、審議会が軽微な事項と認めたものについては、この限りでない。
第九条第一項の規定による第一種電気通信事業の許可
二〜二十一
(略)