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[ 総論 ]










1 電気通信事業法について

  (1)

電気通信事業法(以下「法」といいます。)は、電気通信市場の全分野への競争原理の導入に伴い、電気通信事業を規律する法律として昭和60年4月1日より施行されました。

  (2) この法律は、電気通信事業の公共性に鑑み、その運営を適切かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともに、その利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とするものです。

  (3) 具体的には、通信の秘密の保護、利用の公平、重要通信の確保のほか、電気通信事業の登録・届出、電気通信事業者の業務運営、電気通信設備の技術基準適合性の確保、土地等の使用等についての規律が定められています。


2 本マニュアル中の用語の定義について

     本マニュアルにおいて、次に掲げる用語の定義は、それぞれ次に定めるところによります。

 
(1)光ファイバ等
     光ファイバ、同軸ケーブル、アンテナ等、電気通信を行うための機械、器具、線路その他の通信資材をいいます。

(2)設置
(法第9条等)
     光ファイバ等を電気通信が可能な状態に構成した上で、電気通信を行う主体が継続的に支配・管理すること(「所有」の有無を問いません。)をいいます。

(3)電気通信設備
(法第2条第2号)
     電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいいます(すなわち、光ファイバ等が「設置」されている状態にあるものです。)。

(4)IRU
     破棄し得ない使用権(indefeasible right of user)のことをいいます。破棄し得ない使用権とは、契約(契約以外の協定等の形式を含みますが、本マニュアルでは「契約」と総称します。)によって定められ、関係当事者の合意がない限り破棄又は終了させることができない長期安定的な使用権のことです。
  他者の所有する光ファイバ等についてIRUの設定を受けた事業者は、当該光ファイバ等を継続的に支配・管理している状態にあると認められます。

(5)伝送路設備
(法第9条)
     送信の場所と受信の場所(隔地間)を接続する電気通信設備をいいます。

(6)電気通信回線設備
(法第9条)
     伝送路設備及びこれと一体として設置される交換設備並びにこれらの附属設備をいいます。

(7)電気通信役務
(法第2条第3号)
     電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいいます。

(8)利用者
     電気通信事業者から電気通信役務の提供を受ける者をいいます。電気通信事業者が、他の電気通信事業者から卸電気通信役務の提供を受ける場合は、当該事業者も「利用者」に該当します。

(9)一般利用者
     利用者のうち、電気通信事業者たる利用者を除く者をいいます。「エンドユーザ」ともいいます。


3 ネットワーク構築の方法について

     現在、電気通信事業者において一般的に採用されているネットワーク構築の方法には、おおむね、次のようなものがあります。電気通信事業者の多くは、これらの方式を柔軟に組み合せて、自らのネットワークを構築しています。

 
(1)「設置」方式
     自ら伝送路設備を設置して、利用者に電気通信役務を提供する方式

1)「線路敷設」方式
     自ら光ファイバ等を敷設・所有し、伝送路設備として設置する方式

2)「IRU」方式
     他者の所有する光ファイバ等についてIRUの設定を受け、伝送路設備として設置する方式


(2)「卸役務」方式
     他の電気通信事業者から卸電気通信役務に基づく電気通信役務の提供を受けることにより、他者の設置する電気通信設備を用いて電気通信役務を提供する方式

(3)「接続」方式
     自らの電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備を相互に接続し、それぞれの事業者が、利用者に対し、自らの電気通信設備に係る電気通信役務を提供する方式

  なお、電気通信業務の一部を他者に委託する業務委託制度は、平成16年4月1日に施行された改正電気通信事業法において廃止されたため、現在は「業務委託」方式を採用することはできませんが、上記(2)のように他の電気通信事業者から卸電気通信役務の提供を受けることによって、「業務委託」方式とほぼ同様にネットワークを構築することが可能です。



電気通信事業者のネットワーク構築イメージ

〜電気通信事業者が特定区間の光ファイバを調達する場合〜

(1)1)「線路敷設」方式
(1)2)「IRU」方式
(2)「卸役務」方式
(3)「接続」方式



4 回線設備を設置する区域の範囲と必要な手続について

  (1)  電気通信事業を営もうとするに当たっては、電気通信回線設備を設置する区域の範囲に応じて、次のように2つの種類の手続が定められています(法第9条、法第16条第1項、電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号。以下「施行規則」という。)第3条第1項)。

電気通信事業 ⇒ 登録を要する電気通信事業(登録制)

⇒ 届出を要する電気通信事業(届出制)


  (2)  具体的には、総務省令で定める下記の1)又は2)のいずれかの基準を超える電気通信回線設備を設置(IRUにより設置する場合を含みます。)して電気通信事業を営もうとする者については、登録(法第9条)を要することとしているところです。(※)
  1)   端末系伝送路設備(端末設備又は自営電気通信設備と接続される伝送路設備をいいます。)の設置の区域が一の市町村(特別区を含む。政令指定都市にあっては、「区」又は「総合区」)の区域にとどまること。
  2)   中継系伝送路設備(端末系伝送路設備以外の伝送路設備をいいます。)の設置の区間が一の都道府県内の区域にとどまること。
  ※   ただし、上記1)又は2)のいずれかの基準を超える電気通信回線設備を設置する場合であっても、当該電気通信回線設備が電波法第7条第2項第6号に規定する基幹放送に加えて基幹放送以外の無線通信の送信をする無線局の無線設備である場合は、登録ではなく届出を要することとなります。

  (3)  これに対し、
  (イ) 上記(2)の1)及び2)に掲げる基準の双方を満たす電気通信回線設備を設置して電気通信事業を営もうとする者 (ロ)電気通信回線設備を自ら設置せずに電気通信事業を営もうとする者については、届出(法第16条)を要することとしているところです。
  (ロ) 電気通信回線設備を自ら設置せずに電気通信事業を営もうとする者
については、届出(法第16条)を要することとしているところです。

  (4)  また、電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する電気通信事業者は、登録・届出の別を問わず、法第117条の規定に基づき総務大臣の認定を受けることができます。認定を受けた電気通信事業者(以下「認定電気通信事業者」といいます。)は、一定の要件の下で、他人の土地等について使用権を設定することができるなどの特権が認められています(詳細については、〔各論〕1.線路敷設の項を参照下さい。)。



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