第3章 情報通信政策の動向


第5節 郵便局ネットワークの活用の推進

  1. 郵便局ネットワークの開放・活用による国民生活への貢献
  2. (3) 安心の拠点

    ア 過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービス(ひまわりサービス)の実施
     智頭郵便局(鳥取県)において7年4月から実施していた高齢者を対象とした声かけ・買い物代行サービス(ひまわりシステム)をモデルケースとして、郵政省では、9年8月から、在宅福祉サービスを支援する施策「ひまわりサービス」を開始した。
     本施策は、過疎地域において高齢者が安心して暮らせる地域社会づくりを目的として、郵便局、地方自治体、社会福祉協議会等が協力して生活サポートシステムを構築するもので、9年度には45地域で、10年度には100地域で実施予定である。
     サービス内容は、原則として過疎地域において、70歳以上の一人暮らしの高齢者及び高齢者夫妻世帯を対象に、外務職員による郵便配達時の励ましの声かけ及び郵便物の集荷、生活サポート協議会と協力した生活用品等の注文受付及び配達、小学生等からの定期的な励ましのメッセージのお届け等となっている。

    イ 子育て支援郵便サービス(赤ちゃんゆうパックサービス)の試行
     郵政省では、10年度に、全国6地域において、都市部におけるゆとりある子育ての環境整備のため、配備されたカタログ中の子育て用品の配達サービス(赤ちゃんゆうパックサービス)を試行することとしている。本施策は、地元商店街等が組織する協力店連絡会と連携して展開される。

    ウ ケア・タウン構想の推進
     郵政省は、9年10月から11年3月まで、各都道府県1か所程度の50地域において、郵便局が市町村を支援し、地域住民に介護知識・技能の普及促進等を図り、高齢者にやさしいまちづくりを推進する「ケア・タウン構想」を実施している。
     本施策では、かんぽ健康増進支援事業のスキームを活用して介護知識の習得支援や介護機器の普及支援を行うとともに、郵便局職員を通じて地域の医療・介護関連情報の提供や外務職員による独居老人に対する健康情報誌の提供等を行っている。

    エ 全国郵便局等での臓器提供意思表示カード(ドナーカード)の配布
     郵政省では、厚生省からの協力要請により、9年12月から、全国の郵便局、事務センター、逓信病院において「臓器提供意思表示カード(ドナーカード)」(一か所当たり20〜90枚程度)及び「ドナーカードに関する周知用パンフレット」の配布並びに「臓器移植啓発ポスター」の掲出を行うこととした。
     これは、9年10月に施行された「臓器の移植に関する法律」の厚生省における取組に、郵政省としても、国の機関として、臓器提供者の確保のためのドナーカードの普及に協力するという趣旨で実施しているものである。

    オ 音声案内誘導装置の配備
     郵政省では、9年度から2か年計画で、港区(東京都)内の全郵便局に、視覚障害者向けの「音声案内誘導装置」を試行的に配備することとしている。この装置は、視覚障害者が所持するカードから発信される微弱電波に郵便局の入口に配備した受信機が反応し、音声メッセージにより視覚障害者を案内誘導するものである(写真1参照)、(写真2参照)。


    音声案内誘導装置

    (配備例)
    (4) 交流の拠点

    ア 国際交流の推進
     郵政省では、外国人が多く居住する地域に所在する郵便局に開設する電子郵便局において、新たに英語版のホームページを作成し、利便性の向上に努めることとしている。

    イ お年玉付年賀葉書等の寄附金による地域社会への貢献
     お年玉付年賀葉書(昭和24年開始)、年賀切手(3年開始)に付加された寄附金は、社会福祉の増進、がん等難病の治療研究、青少年の健全育成、地球環境の保全等の10分野の事業への配分を通じて地域社会に貢献している。
     10年用寄附金付お年玉付年賀葉書・年賀切手及び9年度に発行した寄附金付広告付葉書の販売を通じて集められた寄附金は372団体に対して約16億3,800万円が配分された(資料3−19参照)。
     また、郵政省は、9年2月から3月まで、「長野オリンピック冬季競技大会(寄附金付)郵便切手」を4,000万枚発行した。その寄附金は、財団法人長野オリンピック冬季競技大会組織委員会に3億4,916万円配分された。

    ウ 「ボランティアポスト」による社会貢献
     郵政省では、8年度から、広く国民参加によるボランティア活動を支援するため、郵便局の国際ボランティア活動等の情報拠点化を推進しており、主要な郵便局に設置したP−SAT(郵便局衛星通信ネットワーク)モニター、商用パソコン通信(NIFTY-serve、BIGLOBE(PC-VAN))、インターネット(アドレス http://www.volunteer-post.mpt.go.jp)を活用して、国際ボランティア貯金の概要や寄附金の活用状況、開発途上地域の現状、ボランティア団体の活動状況等の情報を提供している。
     また、集配普通郵便局約1,200局に「ボランティアコーナー」を設置して国際ボランティア活動等に関する情報提供や照会対応を行っている。さらに、中央郵便局等主要な郵便局では、定期的に「専門コーナー」を開設し、部外の専門家による国際協力やボランティア活動の専門的な対応を行っている。9年度には、「専門コーナー」を増設した。

    エ 国際ボランティア貯金による国際貢献
     郵政省では、国民参加による民間レベルでの海外援助の充実に資することを目的として、3年1月から国際ボランティア貯金の取扱いを開始している。9年度には、約10億6,000万円の寄附金を全国209団体が実施する239の援助事業に対し配分を行い、アジア・アフリカを中心とした世界50か国において、貧困や災害で苦しむ人々のための、医療・衛生指導や教育関係、自立を促すための職業訓練、農業等の技術指導、更には環境保全等の援助に役立てられている。

    オ 郵便貯金資金・簡保資金の運用を通じた貢献
     財政投融資の主要な原資として活用される郵便貯金資金及び財政投融資への協力を通じて活用される簡保資金は、全国約2万4,600の郵便局ネットワークを通じて集められ、社会資本の整備、国民生活の質の向上に重要な役割を果たしている(資料3−20参照)。
     このうち簡保資金は、豊かで安心できる地域社会づくりに役立てられるよう加入者の身近な分野へ運用されている。特に地方公共団体へは、地域の郵便局を通じて貸付けが行われており、小・中学校の建設や公園・下水道の整備、更には防災無線の施設整備等に役立てられ、豊かな町づくりに貢献している。9年度末現在の地方公共団体に対する貸付残高は、約15.3兆円で、10年度には1.6兆円の貸付けを計画している(資料3−22参照)。




第3章第5節第1項(1) へ 第3章第5節第2項 へ