電気通信審議会電気通信事業部会第136回会合議事要旨(平成8年4月11日公表)
1 日時 平成8年3月22日(金) 午後2時05分〜午後3時30分 2 場所 郵政省審議会会議室(郵政省12階) 3 出席者(敬称略) (1)委員 園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、新井明、加藤真代、 月尾嘉男、舟田正之 (2)事務局 佐村知子審議会室長 (3)郵政省 五十嵐三津雄電気通信局長 ほか 4 議題 (1)諮問事項 ア (株)伊豆急ケーブルネットワークの第一種電気通信事業の許可について イ 武蔵野三鷹ケーブルテレビ(株)の第一種電気通信事業の許可について ウ 関西シティメディア(株)の第一種電気通信事業の許可について エ 日本電信電話(株)の専用サービスに係る料金及び契約約款の変更の認 可について オ エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)ほか9社の携帯・自動車電話サービ スに係る料金の変更の認可について カ 国際電信電話(株)の国際総合ディジタル通信サービスに係る料金及び 契約約款の変更の認可について キ 事業用電気通信設備規則の一部を改正する省令の制定について (2)報告事項 電気通信事業会計規則の一部を改正する省令の施行について 5 議事模様 (1)諮問事項 ア (株)伊豆急ケーブルネットワークの第一種電気通信事業の許可について (株)伊豆急ケーブルネットワークからの第一種電気通信事業許可の申 請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行 われた。 ・ 申請者 (株)伊豆急ケーブルネットワーク(代表取締役社長 竹花 明孝) ・ 資本金 1億4800万円 ・ 電気通信役務 国内電気通信役務、固定電気通信役務 ・ 業務区域 熱海市、伊東市、下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町 主な質疑応答は以下のとおり。 ・ 電話役務提供の予定の有無について質問があり、既存の古い同軸ケー ブルを用いる(通常の音声通話品質の保持が困難)ことなどから当面は 専用サービスのみを提供すると聞いている旨の説明があった。 審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。 イ 武蔵野三鷹ケーブルテレビ(株)の第一種電気通信事業の許可について 武蔵野三鷹ケーブルテレビ(株)からの第一種電気通信事業許可の申請 (概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行わ れた。 ・ 申請者 武蔵野三鷹ケーブルテレビ(株) (代表取締役社長 高山 檀) ・ 資本金 16億円 ・ 電気通信役務 国内電気通信役務、固定電気通信役務 ・ 業務区域 武蔵野市及び三鷹市全域 主な質疑応答は以下のとおり。 ・ 需要見込みに比して供給計画が一割程度になっているのは、電気通信 設備が足りないということなのかについて質問があり、業務区域内の全 需要見込みに対し申請者が獲得を見込んでいる顧客数の見込みである旨 の説明があった。 ・ CATVと通信サービスの伝送路設備の共用比率について質問があり CATV用周波数550MHzのうち約4%にあたる24MHzを通信 サービスに使用する旨の説明があった。 また、道路占用料等の共用コストについては、利用比率に応分の負担 となる旨の説明があった。 審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。 ウ 関西シティメディア(株)の第一種電気通信事業の許可について 関西シティメディア(株)からの第一種電気通信事業許可の申請(概要 は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。 ・ 申請者 関西シティメディア(株)(代表取締役社長 森 茂) ・ 資本金 7億1,500万円 ・ 電気通信役務 国内電気通信役務、移動電気通信役務 ・ 業務区域 大阪府(大阪市等26市4町)、京都府(京都市等7市6 町)、兵庫県(神戸市等5市)、奈良県(奈良市等4市7町) ・ 携帯端末相互間のみならず、ホストコンピュータへの接続やFAX通 信が可能となるサービスを提供 ・ 1.移動体通信(データ通信)需要の増加、2.携帯端末の小型化、 3.伝送速度の高速化(9.6kbps→19.2kbps)を背景と して今回(関西地区において)事業化に至ったもの 主な質疑は以下のとおり。 ・ 関西シティメディアの(サービス利用者の)端末を東京にもってきて も利用可能か否かについて質問があり、利用可能である旨の説明があっ た。 審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。 エ 日本電信電話(株)の専用サービスに係る料金及び契約約款の変更の認可 について 日本電信電話(株)(以下「NTT]という。)からの専用サービスに 係る料金及び契約約款の変更の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結 果について、郵政省から説明があった。 ・ 衛星通信サービスにおいて、帯域分割[終日利用・時間利用(長期・ 短期)]サービス及び時分割(時間利用のみ)サービスの提供を開始 併せて、NTTが本サービスを提供開始するにあたり他の衛星通信事 業者(NCC、二種事業者)よりNTTの衛星帯域通信サービスに関す る公正有効競争確保の観点から意見・要望が提出されている旨の補足説 明があった。 主な質疑は以下のとおり。 ・ NCCがNTTの地域通信網(専用線)を利用する場合に、施設設置 負担金が両端にかかるというのはどういう意味であるかについて質問が あり、NCC地球局を設置するNTT局舎側とユーザ宅内側の両方に引 込線を設置するために各々に施設設置負担金が必要である旨の説明があ った。 更に、NTTが衛星系と地域通信網と一体型のサービスを提供する場 合でも同様のコストがかかるのではないかについて質問があり、NTT では、地球局を設置する局舎は衛星通信サービスの中継点とみなして施 設設置負担金は不要と整理している旨の説明があった。 ・ NTTが同サービス分野に本格的に参入するとNCC等へ与える影響 は大きいのかについて質問があり、NCC、二種事業者からNTTの本 格的な商用サービス進出には大きな危惧を持っている旨の意見提出が行 われているとの説明があった。 ・ VSATのようにユーザが自分で地球局を設置するのが一番効率的だ と思うが、今後も衛星通信サービスでは地上網との接続が(公正有効競 争上の)問題となるのかについて質問があり、大容量の映像伝送等には キャリアが設置する大きな地球局(集約した地球局)が必要となる場合 もあり、その地球局に専用線を接続する形態は今後も考えられる旨の説 明があった。 ・ NCC等からの意見・要望中、本サービス分野を主として提供してき た二種事業者から提出されているものは、提供するサービスで棲み分け を行うことにより公正競争環境の確保を担保する趣旨であるが、実効あ る措置は困難ではないかとする旨の、また、NTTが地域通信網と局舎 を持っているということだけで有利になるとすれば、それは競争条件と して問題ではないかとの意見があった。 更に、具体的な公平性確保の方策の有無について質問があり、局舎の 利用条件や専用線の施設設置負担金の扱い等により担保が可能となる旨 の説明があった。 審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。 なお、公正有効競争条件の整備を図る観点から、NTT局舎への地球局 の設置(コロケーション)、アクセス回線としての地上専用線の利用等の NTT地域通信網の利用において、NTT衛星通信部門とNTT以外の衛 星通信事業者との同等性を確保するよう務めることとの要望事項が付され た。 オ エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)ほか9社の携帯・自動車電話サービ スに係る料金の変更の認可について エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)ほか9社からの携帯・自動車電話サ ービスに係る料金の変更の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果に ついて、郵政省から説明が行われた。 ○ エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)グループ ・ 携帯電話発信、NTT加入電話着信及び携帯電話発信、携帯電話着信 通話料の値下げ ・ 「営業区域及び営業区域隣接県」以外の地域の160km内外の距離 区分廃止 ○ 日本移動通信(株) ・ 携帯電話発信、NTT加入電話着信及び携帯電話発信、携帯電話着信 通話料の値下げ ・ 160km内外の距離区分を廃止し、「同一県内」、「営業区域及び 営業区域隣接県」及び「それ以外の地域」の3区分とする 審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。 カ 国際電信電話(株)の国際総合ディジタル通信サービスに係る料金及び 契約約款の変更の認可について 国際電信電話(株)からの国際総合ディジタル通信サービスに係る料金 及び契約約款の変更の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果につい て、郵政省から説明が行われた。 ・ 通信料金の値下げ
64kbpsディジタル回線交換(加入契約) 約19.0%の値下げ 64kbpsディジタル回線交換(利用契約) 約20.0%の値下げ 384kbpsディジタル回線交換(加入契約) 約26.6%の値下げ ・ 全ての区分において、通信料金体系を3段階から2段階に簡素化 主な質疑は以下のとおり。 ・ 収入見込み中の国際計算額は発信超過なのかについて質問があり、現 在受信超過であるため日本側の受け取り(収入)になる旨の説明があっ た。 審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。 キ 事業用電気通信設備規則の一部を改正する省令の制定について 事業用電気通信設備規則の一部を改正する省令の制定(概要は以下のと おり。)について郵政省から説明が行われた。 ・ 一旦被災した場合に生じる機能支障が著しく大きな社会経済的影響を 及ぼす恐れのある設備(交換設備、電源装置、交換機相互間を接続する 伝送路設備等)については、高レベルの地震動を考慮したできる限りの 地震対策を、それ以外の設備については速やかな通信機能の復旧を図る ための対策(復旧用工具、予備バッテリーの配備等)を図ることを基本 に策定 ・ 本年度内に官報告示し、平成9年4月1日施行とする 主な質疑は以下のとおり。 ・ ハードウェア(設備)についてはこのレベルの基準で十分なのか、事 業者等関係者との話し合いの結果として得られたものなのかについて質 問があり、全く被害の出ない基準というのは困難であるが、予備電源の 2系統化や回線の2ルート化等阪神淡路大震災の被害状況に照らして、 十分効果的な内容となっている旨の説明があった。 ・ 当該基準は諸外国の状況を考慮して策定されるものなのかについて質 問があり、研究会等ではこの基準を策定するにあたっては、災害の実情 がそれぞれの国で異なることもあり諸外国との比較は行っていない旨の 説明があった。 ・ 本件は規制強化になる内容であるが、電気事業では保安設備について 規制緩和されたのではないかとの質問があり、昨年11月の防災基本計 画の改訂に合わせて他のライフラインについても安全対策の見直しを検 討中である旨の説明があった。 ・ その他、公共的な用途に電話を利用した場合の料金減免、ハードウェ アだけでなくソフト面の対応に対する要望があった。 審議の結果、諮問のとおり制定することが適当である旨の答申を行った。 (2)報告事項 「電気通信事業会計規則の一部改正」(専用役務の市内外収支の義務付 け)について報告があった。 (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)