電気通信審議会電気通信事業部会第142回会合議事要旨(平成8年10月28日公表)
1 日時
平成8年9月27日(金) 午後2時00分〜午後4時04分
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)委員
園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、林敏彦、
舟田正之
(2)事務局
渡辺信一審議会室長
(3)郵政省
谷公士電気通信局長 ほか
4 議題
(1)諮問事項
ア 日本電信電話(株)に係る電気通信役務の種類等の変更許可について
イ (株)タウンテレビ金沢の第一種電気通信事業の許可について
ウ 東京ケーブルネットワーク(株)の第一種電気通信事業の許可について
エ (株)タイタス・コミュニケーションズの第一種電気通信事業の許可に
ついて
オ 日本電信電話(株)の電話サービス等に係る料金及び契約約款の変更の
認可について
カ 東京通信ネットワーク(株)、中部テレコミュニケーション(株)及び
大阪メディアポート(株)の専用サービスに係る料金及び契約約款の変更
の認可について
キ 東京通信ネットワーク(株)の電話サービスに係る料金及び契約約款の
変更の認可について
(2)報告事項
ア 電気通信事業に関する行政監察の結果(勧告)に対する改善措置状況の
報告について
イ 日本電信電話(株)の「番号案内事業の抜本的な経営改善計画」について
5 議事模様
(1)諮問事項
ア 日本電信電話(株)(以下「NTT」という。)に係る電気通信役務の
種類等の変更許可について
NTTからの電気通信役務の種類等の変更の許可の申請(概要は以下の
とおり。)について、郵政省から説明が行われた。
・ 電気通信役務(その他)に新たに「オープンデジタル通信」を追加
電気通信役務の種類
|
態様の区分
|
オープンデジタル通信
|
国内電気通信役務
固定電気通信役務
|
・ 業務区域 全国
・ オープンデジタル通信役務は、1.インターネットプロトコルを用い
たエンドエンドのルーティングサービス(IPパケット伝送サービス)、
2.インターネット接続サービス及びアクセス回線の提供による他の通
信事業者との接続サービスを提供
主な意見等は以下のとおり。
・ オープンデジタル通信は、エンドエンドの通信とあるが外国のユーザ
と接続する場合、NTTはどの区間を提供するのかについて質問があり、
NTTはエンドユーザと接続事業者(国際一種事業者、特別二種事業者)
との間の区間を提供することとなろうが、現在、NTTは接続形態・提
供条件を検討中である旨の説明があった。
・ アクセスラインの提供は、NTTが通信を行うのか接続事業者が行う
のかについて質問があり、NTTは専用線タイプの役務として接続事業
者との接続点との間の通信を行い、当該区間での契約当事者はNTTと
エンドユーザである旨の説明があった。
・ 本件は、確かにインターネット料金の低廉化に資する内容であり、短
期的にはいいことであるように見えるが、長期的にみれば、NTTの独
占につながる懸念がある。この点について、NTTの料金算定根拠はど
のようになっているのかとの質問があり、本件は、役務の種類の許可の
段階であり、料金算定根拠については別途料金の認可申請が出た段階で
精査することとなるが、どういう構造で料金設定を考えているのかにつ
いて更に調べる旨の説明があった。
・ 本サービスの事業部制収支の中での位置づけについて質問があり、事
業部制収支は市内外で分けておりそうした区別はないが、役務別損益の
中ではその他役務の中に入り、その他役務の中では10%を超えるもの
についてのみ特別に計上している。現状ではISDNのみだが、オープ
ンコンピュータネットワークサービス(以下「OCNサービス」という。)
については、どの程度の規模になるかで特別計上の対象になるかが決ま
る旨の説明があった。
・ 接続事業者のサービスを経由する通信とNTTのOCNサービス経由
のインターネットまでの通信の流れの差異について質問があり、従来の
接続事業者経由のサービスはNTT等の専用線・電話・ISDN網から
接続事業者のルーターを経由してインターネットに接続し、OCNサー
ビスを利用する場合はNTT網からインターネットに接続するものや新
しい形態として接続事業者がOCNのアクセス回線を利用してインター
ネットに接続するような形態が出現することとなろうとの説明があった。
・ 米国におけるAT&T社のインターネットサービスの提供状況につい
て質問があり、米国では1,500を超える提供事業者(日本の二種事
業者に相当)があり、これらの事業者は規制対象外の扱いとなっている。
一方、AT&T社を分割したBOC社は、LATA間通信が制限されて
いるため、ある面で日本より厳しい規制が課されることとなる旨の説明
があった。
・ エンドエンドのルーティングサービスというのは、利用者からみれば
国内国際一体のサービスを提供するということになるのではないか、そ
れは結果としてNTTの在り方に関する電通審答申において提言してい
るKDDの国内通信業務進出より早くなるということではないかとの意
見があった。
・ 従来、専用線料金で支払っていた分がOCNサービスのアクセスライ
ンではどうして安くなるのかについて質問があり、例えば15kmの近
距離専用線でA地点のユーザとB地点のユーザを結ぶ場合、A地点から
A地点と同一MA内に所在する電話局を経由してB地点と同一MA内に
所在する電話局に入りB地点につながるというようにコの字型ネットワ
ークの構成となるのに対し、アクセスラインはA地点からA地点の電話
局との間の従来の3分の1の構成で足りるため安くなるとの説明をNT
Tから聞いている旨の説明があった。
・ 現在、接続の円滑化に関する特別部会において接続の基本的ルール案
を審議中の段階で、NTTが接続に係るアンバンドルのルールを先行的
に策定することとなるのは申請が時期尚早なのではないか、また、他事
業者からの要望については、審議会へ意見を提出してもらうことにより、
透明性の確保が図られるのではないかとの意見があった。
・ 従来の国際通信の国内網の位置づけは相互接続ではなく業務委託によ
るものであり、NTTのOCNサービスについて、これと同じ意味でエ
ンドエンドサービスという整理ではNTT法との関係を含めて問題があ
るのではないかとの意見があり、国内と国際の区分についてはなしくず
しにするものではなく、ニーズに対応できていないというならば、どこ
が問題となっているのかについて検討している段階である旨の説明があ
った。
・ 公正有効競争の問題は、料金及び契約約款の審査の時点で検討してき
たこともあるが、本件については許可の段階できちんと審査すべきであ
る旨の意見があった。
本件については、中継系NCCや第二種電気通信事業者からの意見を踏
まえて、次回引き続き審議することとなった。
イ (株)タウンテレビ金沢の第一種電気通信事業の許可について
(株)タウンテレビ金沢からの第一種電気通信事業の許可の申請(概要
は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が行われた。
・ 申請者 (株)タウンテレビ金沢(代表取締役社長 鵜野 洋治)
・ 資本金 20億円
・ 電気通信役務 専用役務・デジタルデータ伝送役務
・ 業務区域 神奈川県横浜市金沢区
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
ウ 東京ケーブルネットワーク(株)の第一種電気通信事業の許可について
東京ケーブルネットワーク(株)からの第一種電気通信事業の許可の申
請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が
行われた。
・ 申請者 東京ケーブルネットワーク(株)
(代表取締役社長 林 有厚)
・ 資本金 32億円
・ 電気通信役務 デジタルデータ伝送役務
・ 業務区域 東京都文京区、豊島区(一部)
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
エ (株)タイタス・コミュニケーションズの第一種電気通信事業の許可に
ついて
(株)タイタス・コミュニケーションズからの第一種電気通信事業の許
可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から
説明が行われた。
・ 申請者 (株)タイタス・コミュニケーションズ
(代表取締役社長 木暮 浩明)
・ 資本金 45億円
・ 電気通信役務 電話役務
・ 業務区域 千葉県柏市(一部)、東京都東久留米市、小平市、田無市、
保谷市(各市一部)、神奈川県相模原市(一部)
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
オ 日本電信電話(株)の電話サービス等に係る料金及び契約約款の変更の
認可についてNTTからの電話サービス等に係る料金及び契約約款の変更
の認可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省
から説明が行われた。
・ 電話サービス又は総合デジタル通信サービスの契約者回線を、専用線
の両端において接続することを可能とする。
・ 「公−専」片端接続後の利用状況を踏まえた、接続付加料の改定を行
う。
回線数
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旧
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新
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1〜 5回線
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2,300円
|
1,000円
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6〜10回線
|
4,100円
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11〜20回線
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5,700円
|
21〜40回線
|
7,100円
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41〜70回線
|
8,000円
|
71回線〜
|
9,100円
|
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
カ 東京通信ネットワーク(株)、中部テレコミュニケーション(株)及び
大阪メディアポート(株)(以下「申請3社」という。)の専用サービス
に係る料金及び契約約款の変更の認可について
申請3社からの専用サービスに係る料金及び契約約款の変更の認可の申
請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が
行われた。
・ 申請3社で専用線の相互接続を行い、ユーザが設置するDSU−DS
U間(超高速品目については端局−端局間)の距離に基づくエンド・エ
ンド料金を設定し、東名阪間で専用サービスを提供する。
・ 利用者は契約を申請3社と行うが、端末のある業務区域でサービスを
提供している事業者の一方が代行し、料金の回収・各種問い合わせ等の
対応を一元的に行う。
・ 料金
(ア)高速品目
提供品目
|
120kmまで
|
120km超20km毎
|
64kb/s
|
114,000円
|
1,600円
|
128kb/s
|
147,000円
|
2,900円
|
192kb/s
|
312,000円
|
4,400円
|
256kb/s
|
343,000円
|
5,900円
|
384kb/s
|
389,000円
|
8,800円
|
512kb/s
|
435,000円
|
11,900円
|
768kb/s
|
519,000円
|
16,700円
|
1Mb/s
|
637,000円
|
25,200円
|
1.5Mb/s
|
780,000円
|
32,100円
|
3Mb/s
|
1,330,000円
|
56,500円
|
4.5Mb/s
|
1,675,000円
|
76,100円
|
6Mb/s
|
2,011,000円
|
91,300円
|
(イ)超高速品目
提供品目
|
120kmまで
|
120km超20km毎
|
50Mb/s
|
3,566,000円
|
345,000円
|
150Mb/s
|
9,263,000円
|
936,000円
|
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
キ 東京通信ネットワーク(株)(以下「TTNet」という。)の電話サ
ービスに係る料金及び契約約款の変更の認可について
TTNetからの電話サービスに係る料金及び契約約款の変更の認可の
申請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明
が行われた。
・ TTNetがNTTと県間中継について相互接続を行い、TTNet
発信電話の着信エリアを、関東圏内から全国に拡大する。
料金は、現在のNTTとの相互接続通話料金の160km超のみを改
定し、適用する。(平日昼間160km超:現行3分120円を110
円に改定)
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
(2)報告事項
以下について郵政省から報告があった。
ア 電気通信事業に関する行政監察の結果(勧告)に対する改善措置状況の
報告について
イ 日本電信電話(株)の「番号案内事業の抜本的な経営改善計画」について
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)