電気通信審議会電気通信事業部会第144回会合議事要旨(平成8年12月4日公表)
1 日時
平成8年11月22日(金) 午後2時01分〜午後3時51分
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)委員
園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、醍醐聰、
林敏彦、舟田正之
(2)事務局
渡辺信一審議会室長
(3)郵政省
團宏明電気通信事業部長 ほか
4 議題(諮問事項)
(1)エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)ほか25社の携帯・自動車電話サー
ビスに係る料金の変更の認可並びに(株)デジタルツーカー北海道ほか2
社の携帯・自動車電話サービスに係る料金及び契約約款の設定の認可につ
いて
(2)国際電信電話(株)の国際電話サービスに係る料金及び契約約款の変更
の認可について
(3)日本電信電話(株)のオープンコンピュータ通信網サービスに係る料金
及び契約約款の設定の認可について
5 議事模様
(1)エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)ほか25社の携帯・自動車電話サー
ビスに係る料金の変更の認可並びに(株)デジタルツーカー北海道ほか2
社の携帯・自動車電話サービスに係る料金及び契約約款の設定の認可につ
いてエヌ・ティ・ティ移動通信網(株)ほか25社の携帯・自動車電話サ
ービスに係る料金の変更の認可並びに(株)デジタルツーカー北海道ほか
2社の携帯・自動車電話サービスに係る料金及び契約約款の設定の認可の
申請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明
が行われた。
ア 携帯・自動車電話サービス事業者26社の通話料値下げ等
NTTドコモ9社、IDO、セルラー電話8社、ツーカー3社、デジタ
ルホン3社及びデジタルツーカー2社が新規加入料を廃止するとともに、
通話料の値下げを行う。
(例)
NTT移動通信網(株)800MHzアナログ方式の新規加入料を無料
に、プランAの平日昼間3分間の料金を170円から150円に値下げす
る。
イ (株)デジタルツーカー北海道ほか2社の携帯・自動車電話サービスの
提供(株)デジタルツーカー北海道、(株)デジタルツーカー北陸及び
(株)デジタルツーカー四国が携帯・自動車電話サービスを開始する。
新規加入料は無料で、基本使用料は3社とも月額6,200円(ハイコ
ール型)
(例)
(株)デジタルツーカー北海道の場合、通話料は130円(営業区域内
及び営業区域隣接県の平日昼間3分間)
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 通話料の引下げは、アクセスチャージ導入によるコストの減少による
ものであることは理解できるが、新規加入料を無料にできる理由は何か
との質問があり、引き続き加入者増加の推移が好調であることから可能
となった旨の説明があった。
さらに、報酬率を引き下げたのではないかという質問があり、新規加
入料の廃止は、報酬率の引き下げによるものではない旨の説明があった。
・ 新規加入料を廃止するということには、一つの制度的な発想の転換が
あると思うが、これに関する郵政省の考え方はどうかとの質問があり、
従来より電気通信設備設置のコストの一部をまかなうという観点から新
規加入料を設定していたが、現状においては加入者の増加が好調である
ことから、基本使用料で回収するようにしたものである旨の説明があっ
た。
・ 加入者の好調な増加への対応として、学生などのあまり収入の無い人
が簡単に加入して、その後持ちこたえられない例がかなりあると推測で
きるが、健全にサービスの利用・維持ができるよう消費者教育、販売代
理店の指導が必要である旨の意見があり、販売代理店の中には、悪質な
勧誘(あたかも新規加入料等が無料であるかのように勧誘する、一定の
期間内の解約を禁止し、その期間内に解約した場合には例えば5万円の
違約金をとる等)を行う者が存在するのは事実であり、このような事態
を憂慮して事業者協会に対し改善措置を図るべく指導文書を発出したと
ころであること等、今後も長期的な視野にたって改善していく方針であ
る旨の説明があった。
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
(2)国際電信電話(株)の国際電話サービスに係る料金及び契約約款の変更
の認可について国際電信電話(株)の国際電話サービスに係る料金及び契
約約款の変更の認可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査の結果につ
いて、郵政省から説明があった。
・ 国際自動ダイヤル通話の料金値下げ
値下げ規模 総額93億円(平成8年度通期分)
値下げ率 平均5.1%
(平日昼間3分間での値下げ幅と対象地域)
50円〜60円
|
韓国、中国/香港等、シンガポール/フィリピン
ASEAN、その他アジア
|
70円〜250円
|
ブラジル、中南米、中近東等、西インド諸島、アフリカ
|
30円〜90円
|
米国、カナダ、英独仏、西欧、豪州、ニュー・ジーランド
|
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 値下げが可能となった要因について質問があり、一点目は報酬率を引き
下げる等経営的に厳しい中での引下げに努力したものであること、二点目
は6年度から7年度で約200名ほどの削減、ネットワークの運用体制の
効率化等といった合理化、効率化施策を行っていること、三点目は、電話
トラヒックの増加によるものである旨の説明があった。
・ 収支予測の中で、利益対応税が大きいとの指摘があり、法人税等による
ものである旨の説明があった。
・ 米国発・米国収納のトラヒックが急速に伸びているが、今後も同じよう
に推移していくのかについて質問があり、短期的には、コールバックサー
ビスの影響が大きいと思われるが、長期的には、このところの為替相場に
おける円安傾向やKDDの値下げ等、もう少し状況をみていく必要がある
旨の説明があった。
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
(3)日本電信電話(株)のオープンコンピュータ通信網サービスに係る料金
及び契約約款の設定の認可について
日本電信電話(株)(以下「NTT」という。)のオープンコンピュー
タ通信網サービスに係る料金及び契約約款の設定の認可の申請、オープン
コンピュータ通信網サービスに関する電気通信役務の種類等の変更許可に
係る答申に付された審議会からの要望事項への対応、本件に係る他事業者
からの要望事項等について、郵政省から説明が行われた。
ア NTTのオープンコンピュータ通信網サービスに係る料金及び契約約款
の設定
(ア)サービスの種類
1.第1種オープンコンピュータ通信網サービス
ルータと契約の申込者が指定する場所との間に電気通信回線設備を設
置して提供するオープンコンピュータ通信網サービス。品目は、6Mb
/s、1.5Mb/s 、128kb/s の3種類
2.第2種オープンコンピュータ通信網サービス
電話サービス、総合デジタル通信サービス等の契約者回線等と接続し
て提供するオープンコンピュータ通信網サービス。
(イ)料金案
1.第1種オープンコンピュータ通信網サービス
(1契約回線ごとに月額)
区分
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料金額
|
6Mb/s
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984,000円
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1.5Mb/s
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347,000円
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128kb/s
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37,300円
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加算額(1電子メールアドレスごとに月額)
2. 第2種オープンコンピュータ通信網サービス
区分
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料金額
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通信時間の月額累計時間が15時間までの部分
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月額 2,300円
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通信時間の月額累計時間が15時間を超える部分
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1分ごとに 9円
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イ 電気通信役務の種類等の変更許可に係る答申に付された審議会からの要
望事項への対応等
(ア)NTTは、オープンコンピュータ通信網サービス(以下「OCN」と
いう。)のための回線の使用等に関してNTTと他事業者との間の同等
性を確保することとし、網構成等の前提が同じ場合に、他事業者がOC
Nと同様の料金水準でも合理的な利益・営業費を積めること等を検証
(イ)NTTは、接続条件等を開示するとともに、説明会を開催し、他事業
者が意見を述べる機会を付与した。要望・意見については、今後の検討
も含め可能な限り対応
等
ウ 本件に係る他事業者からの要望事項
NTTの本件申請に関し、他事業者から以下の要望事項が郵政省あて提
出された。
(ア)NTTのOCN部門の回線コストは、二種事業者と同一とする
(イ)OCN部門と回線を提供する部門は、会計上明確に分離する
(ウ)ユーザ向けに品質に関する適切な情報提供を行う
(エ)事後的な料金見直しや、網構成の継続的チェックのメカニズムを確立
する
(オ)SLTのアンバンドル
等
エ NTTと二種事業者の主な意見の相違
NTTの申請内容と二種事業者の要望事項については、回線の提供料金
の同等性に関し、次のとおり意見の相違がある。
(ア)NTT
回線部分の料金算定は、従来どおり、OCN部門と回線提供部門とい
う区別はせず、物品費等からの積み上げで行い、同等性については、他
事業者がOCNと同様の料金水準でも合理的な利益・営業費を積めるこ
とを検証する。
(イ)二種事業者等
料金算定上も、回線提供部門からの提供料金(二種事業者と同額のも
の)をOCN部門の費用と計上すべき。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 需要予測に際し、どのようなアンケートを行っているのか、料金等の提
示はしているのか等使用した調査票も含め、詳細な説明を聞きたい旨の意
見が出され、別途説明が行われることとなった。
・ 料金算定方式Bにおける係数の根拠についての質問があり、網構成、対
象顧客の類似性等からデジタルデータ伝送役務の係数を使用している旨の
説明があった。
・ サービスの品質と料金の関係がはっきりしないと同等性の議論はできな
いのではないかとの質問があり、同等性に関し二種事業者等は、サービス
に必要な回線等のコストが同等であれば、その後は競争であり、サービス
の品質などによって利用者に対する料金に差が出ることは当然という考え
方である旨の説明があった。
主な意見等は次のとおり。
・ 料金算定方式Bとは、積み上げではなく、係数によって料金を算定する
ものであるが、OCNのような新しいサービスに他の既存のサービスの係
数を使用することに合理性はあるのか、疑問である。
・ 本申請にはアクセス回線の事業者向け料金が含まれていないが、これで
は前回審議会の要望である同等性を審査できないのではないか。
・ 事業者選択機能のある高機能ルータが導入できないのは、結局NTTが
ルータの設置を終えているからという印象を受ける。そのような高機能ル
ータが設置できればシステムとしての同等性が確保できる。NTTも県域
等ブロック単位においてエンドユーザを集約するサービスを検討するとい
っており、この機能が本件に該当すると思うので、NTTにもう一度検討
してもらいたい。
・ 同等性の検証に関するNTTの説明資料は理解できない。
・ 算定方式における、選択した報酬率の4.14%というのは非常に高い
のではないか。
・ 現在の契約約款の書き振りでは、NTTは国際通信を取り扱わないとい
うことを明らかにしたということにはならないのではないか。国際部分は
誰のサービスかわからない。審議会の要望をきちんと受け止めてもらえて
いるかどうか疑問なしとしない。インターネットに係る通信は国際と国内
には分けられないという認識であれば、NTT再編成を待つというのが筋
ではないか。一方、ルータに事業者選択機能を持たせれば、国際・国内の
区分も明確になる。そういう意味で、NTT再編成を待つか、事業者選択
機能をつけるかという選択ではないか。
・ NTTの同等性の検証は、結果の同等性を示している。競争条件をいう
ときの同等性とは機会の同等性、入口の同等性であり、それを判断できる
材料は本日の段階では得ていない。
・ 事業者向けの接続料金について、販売促進費以外にも接続に関係のない
費用があるのではないかということを接続の円滑化に関する特別部会で議
論中だが、今回、NTTはこの費用をどう扱う考えなのか。
・ 料金水準について、他事業者からみれば重大な脅威となる問題であるか
ら、当初から、もう少し平準化した収支となるような料金にはできないも
のか。
・ 本来的には、別会社でやらないと、他事業者との競争関係において市場
的に無理があるサービスではないのか。
本件については、本日の審議を踏まえて、郵政省で、NTTに詳細を確認
するとともに、二種事業者をはじめとする他事業者の意見も聴取し、次回審
議会に報告を行い、引き続き審議することとなった。
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)