電気通信審議会電気通信事業部会第149回会合議事要旨(平成9年6月6日公表)
1 日時
平成9年5月23日(金) 午後2時〜午後3時43分
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)委員
園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、齊藤忠夫、
醍醐聰、林敏彦
(2)事務局
渡辺審議会室長
(3)郵政省
谷電気通信局長 ほか
4 議題
(1)諮問事項
ア 沖縄通信ネットワーク(株)に係る第一種電気通信事業の許可について
イ 日本電信電話(株)の総合ディジタル通信サービスに係る料金及び契約
約款の変更の認可について
ウ (株)タイタス・コミュニケーションズの電話サービスに係る料金及び
契約約款の設定の認可について
エ 日本高速通信(株)のIPルーティングサービスに係る料金及び契約約
款の設定の認可について
(2)報告事項
ア エヌ・ティ・ティ中国移動通信網(株)に係るCRP事業の廃止について
イ 日本テレコム(株)のオープンデータ通信網サービスの実施に伴い講じ
られるべき措置について
5 議事模様
(1)諮問事項
ア 沖縄通信ネットワーク(株)に係る第一種電気通信事業の許可について
沖縄通信ネットワーク(株)からの第一種電気通信事業の許可の申請
(概要は以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が行
われた。
・ 申請者 沖縄通信ネットワーク(株) 代表取締役社長 宮城 幸信
資本金 1億円
電気通信役務 専用役務
業務区域 沖縄本島(8市11町14村)
主な質疑応答等は以下のとおり。
・ 沖縄と本土との間の通信は長距離NCCが行うのかについて質問があり、
沖縄本島と本土との間の通信は、国際電信電話(株)と長距離NCCが共
同で敷設するケーブルと沖縄本島に設置するアクセスポイントで接続する
ことによりサービスを提供する旨の説明があった。
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
イ 日本電信電話(株)の総合ディジタル通信サービスに係る料金及び契約
約款の変更の認可について
日本電信電話(株)(以下「NTT」という。)からの総合ディジタル
通信サービスに係る料金及び契約約款の変更の認可の申請(概要は以下の
とおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が行われた。
なお、本件について電気通信審議会会長あて要望書の提出があり、本部
会に報告された。
(ア)現行の第1種総合ディジタル通信サービス(INSネット64)に、
新規加入時の施設設置負担金の支払いを要せず、月々の基本料に一定額
を加算した契約タイプを新たに導入する。
契約別
条件
|
第1種総合ディジタル通信
サービス (タイプ1)
|
第1種総合ディジタル通信
サービス (タイプ2)
|
施設設置負担金の支
払い
|
要する(72、000円)
|
要しない
|
基本料
|
事務用
|
3,630円
|
4,270円
|
住宅用
|
2,830円
|
3,470円
|
利用休止・権利譲渡
|
可
|
不可
|
(イ)改定の考え方
インターネット利用の拡大等により利用が拡大しているINSネット
64について、新規加入時の初期費用負担を軽減し、マルチメディア時
代に向けてISDNの普及促進を図るため施設設置負担金の見直しを図
る。
主な質疑応答等は以下のとおり。
・ 通話料と基本料の組み合わせ方等が弾力的にあっていいと考えており、
本件についても選択的なメニューの追加であり良いことである旨の意見が
あった。
・ 施設設置負担金の支払いがない場合に増加するコストを算定して、その
額をタイプ1の基本料に加算してタイプ2の基本料を算定するとのことだ
が、施設設置負担金により取得された固定資産の減価償却方法について、
タイプ1は定率法のはずだがタイプ2は定額法であり整合性はどうなのか
との質問があり、わかりやすさから定額法を採用している旨の説明があっ
た。
・ 減価償却期間については過去の実績に基づいているが、将来の動向を考
慮すべきではないかとの質問があり、加入者回線のコストはここ数年ほぼ
一定しており、この傾向がしばらくは続くと考えられることから過去の実
績に基づいた算定を行っている旨の説明があった。
・ 電話加入権関係業界の要望の中に、タイプ2への基本料の妥当な加算額
として金利が加味された額が提示されているが、金利をどのように加味し
ているのかとの質問があり、報酬の中に一定の金利が加味されていること
から今回の算定方法には合理性があると考えている旨の説明があった。
・ タイプ1とタイプ2の基本料の差は、設備の減価償却期間の平均14年
をもとに算定していることから、タイプ1が72,000円支払うのは最
初1回だけであるのと比べて、タイプ2が未来永劫基本料のプラスアルフ
ァ分を払い続けるのでは、バランスがとれないのではないか、したがって、
タイプ2についても14年経過後は、タイプ1と同じ基本料にしたらどう
かとの意見があった。
・ 上記意見について、郵政省から、そうした場合個々の契約期間を管理す
るためのコストがかかる旨の説明があった。
・ 14年経過後は同じ基本料にするとした場合、14年以前で解約した場
合の残存期間の債権はどうなるのかといった問題が起こってくることから、
今回の案が簡便でいいと思うが、コスト面からだけでなく、平均的な電話
の所有権の移転までの期間等実態を踏まえた検討が必要ではないかとの意
見があった。
・ タイプ1とタイプ2の得失について情報提供されないと、利用者にとっ
て正しい選択ができないのではないかとの意見があった。
審議の結果、このような選択メニューを設ける方向性については異論はな
かったが、料金設定の考え方について、タイプ1との整合性も含め、更に整
理する必要があるため引き続き審議することとした。
ウ (株)タイタス・コミュニケーションズの電話サービスに係る料金及び
契約約款の設定の認可について
(株)タイタス・コミュニケーションズ(以下「タイタス」という。)
からの電話サービスに係る料金及び契約約款の設定の認可の申請(概要は
以下のとおり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が行われた。
(ア)基本料金 1,600円/月
(イ)通話料
セットアップ料金(1通話ごとの料金)+通話時間料金
[1]自網内通話
セットアップ料金
|
通話時間料金
|
(参考)3分あたり
|
0.5円
|
0.5円/20秒
|
5円
|
[2]NTT加入電話あて通話
距離区分
|
セットアップ料金
|
通話時間料金
|
(参考)3分あたり
|
区域内通話
|
1円
|
1円/20秒
|
10円
|
〜20km
|
2円
|
2円/20秒
|
20円
|
〜60km
|
3円
|
3円/20秒
|
30円
|
〜100km
|
4円
|
4円/20秒
|
40円
|
100km〜
|
8円
|
8円/20秒
|
80円
|
(ウ)相互接続通話(次の事業者等との接続通話が可能)
接続事業者等
|
通話の流れ
|
NTT
|
タイタス−NTT
|
国際事業者
|
タイタス−NTT−国際
|
長距離系NCC
|
タイタス−NTT−長距離系−NTT
|
依存網型PHS
|
タイタス−NTT−PHS
|
TTNet
|
タイタス←NTT←TTNeT(TTNetからの通話のみ)
|
自社他地域あて
|
タイタス(柏)−NTT−タイタス(相模原)
|
・ 携帯・自動車電話とは6月以降接続の予定
・ 接続型PHSとは7月以降接続の予定
主な質疑応答等は以下のとおり。
・ セットアップ料金に係る距離区分の差に関する質問があり、NTTの接
続料が距離区分に応じてセットアップ料金に差が出るものとなっているた
め、この接続料コストを見込んだ料金設定となっている旨の説明があった。
・ 区域内通話料金のNTTの料金との差に関する質問があり、NTTは1
回通話すると10円かかる体系としているのに対し、タイタスはきざみを
細かくした体系であることから生ずる差である旨の説明があった。
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
エ 日本高速通信(株)のIPルーティングサービスに係る料金及び契約約
款の設定の認可について
日本高速通信(株)(以下「TWJ」という。)からのIPルーティン
グサービスに係る料金及び契約約款の設定の認可の申請(概要は以下のと
おり。)及び審査の結果について、郵政省から説明が行われた。
(ア)サービス概要
IPルーティングサービスは、インターネットプロトコルによるルー
ティングサービス及びインターネットへの接続を可能とするサービスで
あり、接続形態により、以下の種類がある。
[1]他社接続回線利用型(α)
他事業者の専用線(α1種)又はNTTのOCNアクセス回線(α
2種)からIPルーティングのネットワークに接続する形態。
[2]ダイヤルアップ型(β)
TWJの電話網(β1種)又はNTTの電話網(β2種)からIP
ルーティングのネットワークに接続する形態。
[3]直収型(γ)
利用者がTWJのセンター内に設備を設置し、LANのインターフ
ェイスによってIPルーティングのネットワークに接続する形態。他
のネットワークとの接続が可能なもの(γ1種)と、接続ができない
もの(γ2種)の二種類がある。
(イ)料金
[1]他社接続回線利用型(α)
・ 他事業者の専用線利用型(α1種)
品 目
|
料金額(月額)
|
64kb/s
|
74,000円
|
128kb/s
|
124,000円
|
192kb/s
|
200,000円
|
256kb/s
|
275,000円
|
384kb/s
|
350,000円
|
512kb/s
|
425,000円
|
768kb/s
|
500,000円
|
1Mb/s
|
570,000円
|
1.5Mb/s
|
640,000円
|
3Mb/s
|
1,300,000円
|
4.5Mb/s
|
1,900,000円
|
6Mb/s
|
2,500,000円
|
利用者は、上記のほか、他事業者に専用線の料金の支払いが必要。
・ OCNアクセス回線利用型(α2種)
品 目
|
料金額(月額)
|
128kb/s
|
26,000円
|
1.5Mb/s
|
195,000円
|
6Mb/s
|
781,000円
|
利用者は、上記のほか、NTTにOCNアクセス回線の料金支払いが必
要。
[2]ダイヤルアップ型(β)
・ TWJの電話網利用型(β1種)
品 目
|
料金額
|
平日昼間(8時〜19時)
|
23円/1分
|
夜間(19時〜23時)・休日
|
13円/1分
|
深夜・早朝(23時〜翌8時)
|
12円/1分
|
・ NTTの電話網利用型(β2種)
区 分
|
料金額
|
通信時間の月額累計時間が20時間までの部分
|
月額 1850円
|
通信時間の月額累計時間が20時間を超える部分
|
9円/1分
ただし、15,000円を
上限とする
|
利用者は、上記のほか、NTTに通話料金の支払いが必要。
[3]直収型(γ)
・ 他のネットワークとの接続が可能なもの(γ1種)
品 目
|
料金額(月額)
|
10BASE−T LAN接続
|
200,000円
|
FDDI LAN接続
|
3,000,000円
|
・ 他のネットワークとの接続ができないなもの(γ2種)
品 目
|
料金額(月額)
|
10BASE−T LAN接続
|
50,000円
|
FDDI LAN接続
|
650,000円
|
主な質疑応答等は以下のとおり。
・ 債務超過であるTWJの報酬率の設定の仕方について、他人資本比率
が100%を超えている点について質問があり、債務超過というTWJ
の特殊性を勘案した設定方法であり、従前と同様である旨の説明があっ
た。
なお、今後、郵政省において、そうした方式について十分に研究する
よう指摘があった。
・ NTTのOCNサービス認可の際の審議会答申を踏まえ、日本テレコ
ム(株)のオープンデータ通信網サービスの実施の際に、サービス品質
等に関する情報を利用者に提供すること等の行政指導を行ったとのこと
だが、TWJに対しても同様の指導を行うのかとの質問があり、その予
定である旨説明があった。
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
(2)報告事項
郵政省から以下の報告があった。
ア エヌ・ティ・ティ中国移動通信網(株)に係るCRP事業の廃止につ
いて
イ 日本テレコム(株)のオープンデータ通信網サービスの実施に伴い講
じられるべき措置について
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)