電気通信審議会電気通信事業部会第154回会合議事要旨(平成9年11月14日公表)
1 日時
平成9年10月24日(金) 午後2時01分〜午後4時06分
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)委員
増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、醍醐聰、林敏彦
(2)事務局
渡辺信一審議会室長
(3)郵政省
谷公士電気通信局長 ほか
4 議題
(1)諮問事項
ア (株)城北ニューメディアに係る第一種電気通信事業の許可について
イ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について
ウ 電気通信番号規則の制定について
エ 電気通信事業法施行規則の改正について〔継続〕
オ 指定電気通信設備接続会計規則の制定について〔継続〕
カ 指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定について
〔継続〕
(2)報告事項
日本電信電話(株)によるエヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)へ
の出資について
5 議事模様
(1)諮問事項
ア (株)城北ニューメディアに係る第一種電気通信事業の許可について
(株)城北ニューメディアからの第一種電気通信事業に許可の申請(概
要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
・申請者 株式会社城北ニューメディア
(代表取締役社長 梅原 芳遠)
・資本金 19億2,000万円
・電気通信役務 デジタルデータ伝送役務
(インターネット接続サービス)
・業務区域 東京都台東区(全域)
・事業開始予定時期 平成10年7月1日
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 需要見込みが、経年に従って減少している理由について質問があり、
郵政省から、台東区内の事業所数(法人数)及び世帯数がここ数年減少
傾向にあることから、その傾向に基づき需要予測を行った結果である旨
回答があった。
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
イ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について
日本電信電話(株)から申請のあった、選択的グループ料金制(エリア
プラス)の導入に伴う電話サービスに係る料金の変更の認可申請(概要は
以下のとおり。及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
・定額料を支払うことにより、「隣接・20kmまで」のMA(単位料金
区域)の通話料金について、同一MA内通話と同様に昼間3分10円、
深夜早朝4分10円とする選択的グループ料金制(エリアプラス)を提
供する。
・料 金
定額料 200円/月・回線
通話料 「隣接・20kmまで」のMAの通話に区域内料金を適用
・10円でかけられる秒数
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区分
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通常
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エリアプラス
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昼間夜間
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深夜早朝
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昼間夜間
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深夜早朝
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区域内
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180秒(10円)
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240秒(10円)
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180秒(10円)
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240秒(10円)
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隣接・20kmまで
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90秒(20円)
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120秒(20円)
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180秒(10円)
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240秒(10円)
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注:( )内は3分間通話した場合の料金
・実施予定時期 平成9年12月上旬
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 毎月200円の定額料の使途について質問があり、郵政省から、電話
サービス全体の収支が償い、減収にならないよう徴収する料金であり、
基本料金ではなく、選択割引料金に係る通話料である旨回答があった。
・ 消費者が正しい選択をするために電話サービスに関する公正な情報提
供を行うアドバイザーを郵政省に配置してほしいとの意見があり、郵政
省から、NTTにおいてもコンサルティング活動を行うと聞いているが、
郵政省あるいは適当な法人・団体により実施可能か検討していく旨説明
があった。
・ このような選択割引料金の定額料を見直す際の料金算定の考え方につ
いて、導入当初どおり当該サービスのみを抽出して、ネットレベニュー
テストによる審査を行うのは適切か、料金改定時は違う物差しがあって
もいいのではないかとの意見があり、郵政省から、選択割引料金は大口
の利用者等への利便を目的としているため、他の一般ユーザとは切り離
してネットレベニューテストにより検証するのは、負担の公平性の確保
の観点からも適当と考える旨の回答があった。
・ テレチョイス等を利用している場合、今回のMA拡大により、登録が
不要になるケースもあり、サービスの多様化に対応して混乱の生じない
よう丁寧なコンサルティングを実施してほしいとの要望があり、郵政省
から、事業者にその旨伝えるとの回答があった。
・ 今回の選択的グループ料金制の導入は、対象範囲も広く、新しい料金
値下げの形態でもあり、競争の導入の成果として評価できるものである
との意見があった。
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
ウ 電気通信番号規則の制定について
改正電気通信事業法(平成9年法律第97号)の施行に伴う電気通信番
号に係る省令案について、郵政省から説明が行われた。
・制定の目的
改正電気通信事業法第48条の2に規定する電気通信番号の基準及び
同法の規定を施行するために必要とする事項を定める。
・省令案の概要
[1]電気通信事業者が適合させるべき電気通信番号の基準を規定
[2]電気通信番号計画を規定
[3]電気通信番号の指定等に係る手続を規定
・施行期日 電気通信事業法の一部を改正する法律の施行と同日(平成9
年11月中旬を予定)
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 今回の省令案は、将来の番号ポータビリティへの対応が可能なものと
なっているのかとの質問があり、郵政省から、番号ポータビリティへの
対応として個人通信サービスが含まれており、当面は対応可能であるが、
本格的な対応については、現在開催している研究会での検討結果を受け
て省令改正等により対応していく旨回答があった。
・ 消費者への情報提供という観点から、電気通信番号の重要性について
は広く一般に知らせる必要があり、電気通信番号の知識が得られる機会
を多様に設ける必要があるとの意見があり、郵政省から、その点につい
ては留意し、検討していく旨回答があった。
審議の結果、諮問のとおり制定することが適当である旨の答申を行った。
エ 電気通信事業法施行規則の改正について[継続]
前々回諮問された改正電気通信事業法(平成9年法律第97号)の施行
に伴う接続に係る電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令案に対し
提出された意見及び再意見の検討結果(概要は以下のとおり。)について、
接続小委員会の醍醐主査代理及び事務局から報告があった。
・ 指定電気通信設備に係る機能の細分化(アンバンドル)を促進するた
め、第23条の4第2項の表において定められている機能について、指
定電気通信設備にその電気通信設備を接続する他の電気通信事業者の要
望等に基づき、これらの機能を更に細分化すること及び表に規定されて
いない機能の追加が可能であることを明確にすること。
・ 接続に関する制度の施行時における事務処理を円滑に進めるため、本
年度に限り、第23条の8の認可接続約款の公表から実施までの期日を
可能な限り短縮すること。
・ 一般の手続により指定電気通信設備の機能の変更又は追加に関する計
画を届け出ることが困難な場合等もあるため、そのような場合には第2
4条の2第1項及び第2項に定める期限によらず届出ができるようにす
ること。
・ 番号案内機能の中には他事業者との接続に関係ないものもあることか
ら、第24条の4において、当該機能の変更又は追加に関する計画につ
いては届出を要しないこととすること。
・ 接続制度の透明性を高めるため、接続料の算定根拠を示す資料等を明
確化するとともに、指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者
に対し、管路の空き情報等接続の円滑化のために必要な開示情報をでき
るだけ拡大するよう指導すること。
・ 接続の円滑実施のため、「接続に関する議事手続細則」における手続
の簡素化等について見直しを諮る必要があること。
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 省令案の本質的な部分に関する意見はあったのかとの質問があり、接
続小委員会から、本質的に重要な事項について修正を求められたものは
ないと理解している旨回答があった。
審議の結果、接続小委員会報告書の内容を答申書に記し、それらの事項に
配慮した措置を講じた上で、諮問のとおり改正することが適当である旨の答
申を行った。
なお、答申どおり必要な措置が講じられたことの確認を行うため、省令案
の具体的な修文及び運用方針については、省令の施行日までに事務局から部
会長に報告することとし、次回の部会でも講じた措置の内容について報告を
受けることとされた。
おって、接続小委員会から報告された「接続に関する議事手続細則」の見
直しに係る具体的措置については、次回の部会において審議を行うこととさ
れた。
オ 指定電気通信設備接続会計規則及び指定電気通信設備の接続料に関する
原価算定規則の制定について〔継続〕
前回諮問された改正電気通信事業法(平成9年法律第97号)の施行に
伴う指定電気通信設備接続会計規則及び指定電気通信設備の接続料に関す
る原価算定規則の制定案に対し提出された意見の検討状況等について、接
続小委員会の醍醐主査代理及び事務局から主要な論点(概要は以下のとお
り。)の説明が行われた。
・会計規則における試験研究費に関し、純粋基礎研究、インフラ系基礎研
究の費用負担の在り方、区分方法
・原価算定における、第8条の自己資本費用の算定に利用する自己資本利
益率について、企業の範囲、ユーザ料金に利用された自己資本利益率の
勘案方法
・第14条の精算について、将来原価を基礎として複数年度の算定期間で
接続料を算定する場合の精算の必要性及び需要予測
・番号案内の赤字負担について、その費用負担方法
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 基礎的研究の帰属は、日本電信電話株式会社法ではどのように区分さ
れているのかとの質問があり、郵政省から、基礎的研究については持株
会社の責務とされているが、具体的にどういうものがそれに該当するの
かという各論については、法律の規定はないとの回答があった。
審議の結果、両省令案については、再意見の提出を待って、更に接続小委
員会で調査検討を行った上で、次回の部会で同小委員会から最終報告を受け
ることとされた。
(2)報告事項
郵政省から「日本電信電話(株)によるエヌ・ティ・ティ国際ネットワ
ーク(株)への出資」について報告があった。
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。)