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電気通信審議会電気通信事業部会第155回会合議事要旨(平成9年12月18日公表)





1 日時
  平成9年11月28日(金) 午後2時〜午後4時13分


2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)


3 出席者(敬称略)

 (1)委員
    園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、齊藤忠夫、
   醍醐聰、舟田正之

 (2)事務局
    渡辺信一審議会室長

 (3)郵政省
    谷公士電気通信局長 ほか


4 議題

 (1)諮問事項

  ア エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)に係る第一種電気通信事業の
   許可について

  イ (株)タウンテレビ習志野ほか2社に係る第一種電気通信事業の許可に
   ついて

  ウ 指定電気通信設備接続会計規則の制定について〔継続〕

  エ 指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定について〔継続〕

  オ 電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定について

 (2)「接続に関する議事手続細則」の一部改正について

 (3)報告事項

  ア 電気通信事業法施行規則の改正案に対する答申により講じた措置について

  イ トラヒックからみた電話等の利用状況について(平成8年度)


5 議事模様

 (1)諮問事項

  ア エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)に係る第一種電気通信事業の
   許可について
    エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)からの第一種電気通信事業の
   許可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から
   説明が行われた。
  ・申請者        エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)
              (代表取締役社長 藤田 聰)
  ・資本金        80億円
  ・電気通信役務の種類  専用/国際・固定
  ・業務区域       接続対象地域:全国
              取扱対地:アメリカ、イギリス、中国、香港、
                   台湾、韓国、シンガポール、
                   フィリピン、タイ、マレーシア、
                   インドネシア
                   (計11対地)
  ・事業開始予定日    平成11年(1999年)4月1日

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 審査基準中の「電気通信市場の公正な競争」の確保に関連して、申請者
   とNTTとの営業部門の独立について質問があり、郵政省から、本年10
   月22日に行った改正NTT法附則第14条に基づくNTTの申請者に対
   する出資認可にあたって、申請者に独立した営業部門を設けて、営業は自
   ら実施することを原則とし、例外的にNTTが申請者のサービスの仲介・
   取り次ぎを行う場合は、他事業者との同一性を確保することを条件として
   付したとの回答があり、今後、具体的な営業活動の中で、公正競争を阻害
   する行為が仮に生じた場合には、条件の見直し等により適切に対応してい
   く旨説明があった。

  ・ 米国と中国を結ぶChina−USケーブルについて、事業許可を得て
   いないNTTが建設契約を締結できるのかとの質問に対して、郵政省から、
   同ケーブル建設に関しては、未だNTTが覚書を締結したのみであり、正
   式な建設契約の調印は、申請者が事業許可後に行うことが予定されている
   との回答があった。

   審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。

 イ (株)タウンテレビ習志野ほか2社に係る第一種電気通信事業の許可につ
  いて
   (株)タウンテレビ習志野、名張二十一世紀ケーブルテレビジョン(株)
  及び八王子テレメディア(株)からの第一種電気通信事業の許可の申請(概
  要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。

 (ア)株式会社タウンテレビ習志野
  ・申請者        (株)タウンテレビ習志野
              (代表取締役社長 石原 俊一)
  ・資本金        10億円
  ・電気通信役務の種類  デジタルデータ伝送役務
              (インターネット接続サービス)
  ・業務区域       千葉県習志野市
  ・事業開始予定日    平成10年(1998年)10月1日

 (イ)名張二十一世紀ケーブルテレビジョン株式会社
  ・申請者        名張二十一世紀ケーブルテレビジョン株式会社
              (代表取締役社長 山中 克敏)
  ・資本金        4億9千万円
  ・電気通信役務の種類  デジタルデータ伝送役務
              (インターネット接続サービス)
  ・業務区域       三重県名張市(一部を除く。)
  ・事業開始予定時期   平成10年(1998年)11月1日

 (ウ)八王子テレメディア株式会社
  ・申請者        八王子テレメディア株式会社
              (代表取締役社長 西志村 光治)
  ・資本金        13億8,510万円
  ・電気通信役務の種類  デジタルデータ伝送役務
              (インターネット接続サービス)
  ・業務区域       東京都八王子市、あきる野市、日の出町
              (各一部を除く。)
  ・開始予定時期     平成10年(1998年)10月1日

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ (株)タウンテレビ習志野及び八王子テレメディア(株)について、全
   役員に占める監査役の割合等、役員のバランス及び現職の地方公共団体の
   役員が兼任していることについて指摘があり、郵政省から、本件に関して
   はCATVの許可に関する問題であるとした上で、第三セクターによる設
   立等の関係から自治体の関与した経緯があり、今回の八王子市の出資自体
   も、自治体として住民に対する情報をテレビジョン映像の普及といった地
   域振興的な観点によるものであり、CATV会社の役員がそのまま継続し
   て兼任しているとの説明があった。また、本件については、郵政省内部で、
   放送行政局に伝えるとの説明があった。

   審議の結果、それぞれ諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を
  行った。

 ウ 指定電気通信設備接続会計規則の制定について〔継続〕

 エ 指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定について〔継続〕

   指定電気通信設備接続会計規則及び指定電気通信設備の接続料に関する原
  価算定規則の制定案に対し提出された意見及び再意見の検討結果(概要は以
  下のとおり。)について、接続小委員会の齊藤主査及び事務局から報告があ
  った。

   指定電気通信設備接続会計規則の制定については、以下の事項に配慮した
  措置を講じた上で制定することは適当と認められる。

  ・ 例外経理の許可及び一般公表免除の許可に関する規定に関しては、情報
   の非対称性に対処するという接続ルールの趣旨に鑑み、十分慎重な運用に
   努めること。

  ・ 各設備区分における費用の直接把握の程度を明確にするため、設備区分
   別費用明細表に直課、ABC帰属(準直課)、従来型の配賦の比率を記載
   する欄を設けること。その際には、複数階梯の伝送路に共用されるケーブ
   ルの扱い等を念頭に置いて、接続会計における直課の定義等を十分検討す
   ること。

  ・ 指定設備利用部門が認可約款によらず指定電気通信設備を利用する場合
   の他事業者との公平性を確保するため、損益計算書に振替額(単価、総額)
   を注記すること。

  ・ 勘定科目表の項の細区分(目)の規定も含めて接続会計規則の運用通達
   (取扱要領)の策定に速やかに着手し、同通達を公表すること。

  ・ 試験研究費に関し、第4条第1号の規定に基づきインフラ系研究(応用、
   基礎)、ユーザー系研究(応用、基礎)及び純粋基礎研究の明確な判断基
   準を定めるよう、本省令の適用対象事業者を指導すること。
    また、接続料原価に含めることとしたインフラ系試験研究費について、
   約款審査段階で他事業者から研究内容の確認要求があった際には、費用の
   性格上一般公表が困難な場合であっても、研究項目リスト等により審議会
   に対して十分な説明を行うよう指導すること。

  ・ 指定設備管理部門が、指定設備利用部門に属する電気通信設備を利用す
   る場合の会計の整理のため、勘定科目及び損益計算書に所要の科目(振替
   網使用料(指定設備管理部門の費用及び指定設備利用部門の収益))を追
   加すること。

  ・ 設備区分への費用帰属計算が恣意的に行われることのないよう、設備区
   分別費用明細表の注において、一つの費目に複数の帰属基準を記載した部
   分について、対応関係の明確化を図ること。

  ・ 回線設定状況の把握に関して、未通知部分の回線数カウントの方法等の
   検討に速やかに着手すること。

   指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定については、以下
  の事項に配慮した措置を講じた上で制定することは適当と認められる。

  ・ 指定電気通信設備の管理運営に必要な費用からさらに不経済性排除し、
   指定電気通信設備との接続に関する接続料のより一層の低廉化を図るため、
   情報開示の徹底やプライスキャップ規制、長期増分費用方式の導入等の措
   置について引き続き検討すべきこと。

  ・ 第3条ただし書の本省令の規定によらない取扱の適用にあたっては、指
   定前の接続協定に基づき既に行われた網改造や既に設置された設備の存在
   等の過去の経緯等を勘案しつつ、慎重に対応すること。

  ・ 第8条の自己資本利益率の決定において、事業者の発行する社債券の格
   付その他の指標に照らして事業者と類似していると認められる者の自己資
   本利益率及び事業者の電気通信役務に関する料金の算定に用いられた自己
   資本利益率の勘案方法について、引き続き検討を行うこと。

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 「引き続き検討を行う」、「検討すべきこと」等とされたの項目につい
   て、いつまでに答えを出すことになるかとの質問に対して、郵政省から、
   長期増分費用方式の導入については、3年後と設定されており、自己資本
   利益率の勘案方法についても(接続約款の?)認可申請時までに判断基準
   を用意する方針であると説明があった。

  ・ 勘定科目表の項の細区分(目)の規定等、接続会計規則の運用通達(取
   扱要領)の策定にあたっては、省令と同様、公開、意見聴取による継続的
   な見直しのスキームをとるべきであるとの意見があり、郵政省から、通達
   策定に当たっては、グリーン・ペーパー方式を取ることを考えてはいない
   が、他の事業者等は、接続約款の認可の際に意見を述べる機会もあり、今
   後、継続検討を行うとした事項に関して、答申を受けて、行政として措置
   を講ずべきものについて整理していくとの説明があった。関連して、今後、
   通達の策定、省令改正に当たっては、簡素化した手続でよいので、事業者
   の意見を公開された形で聴取する機会を設けてほしい旨の意見があり、郵
   政省から、その趣旨を踏まえて今後検討していく旨回答があった。

   審議の結果、両省令案について、それぞれ接続小委員会報告書の内容を答
  申書に記し、それらの事項に配慮した措置を講じた上で、諮問のとおり制定
  することが適当である旨の答申を行った。
   なお、答申どおり必要な措置が講じられたことの確認を行うため、省令案
  の具体的な修文及び運用方針については、省令の施行日までに事務局から部
  会長に報告することとし、次回の部会でも講じた措置の内容について報告を
  受けることとされた。
   また、今後、接続小委員会から報告を受けた同小委員会における議論を取
  りまとめた議事概要を、当部会の議事要旨に記載することとされた(平成9
  年11月17日開催の接続小委員会の議事概要は、別記のとおり)。

 オ 電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定について
   電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定案につい
  て、郵政省から説明があった。

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 指定電気通信設備は、電気通信事業法では「電気通信回線の数のうちに
   占める割合が郵政省令で定めるものの割合が郵政省令で定める割合を超え
   るもの」と規定されているが、施行規則では固定端末系伝送路設備とされ
   ていることについて、移動系を含める見直しをする必要はないのかとの意
   見があり、これに対して郵政省から、移動系に関しては、固定系と地域寡
   占性(参入の容易さ)、不可欠設備性が著しく異なるとの観点から、移動
   系を除いており、また、携帯電話−携帯電話間の通話の全体に占めるシェ
   アは、3.47%と依然低い割合であるとの説明があり、了承された。

   審議の結果、本指定案については、「接続に関する議事手続細則」の規定
  に従い、報道発表するほか、インターネット等に掲載するなどして公告し、
  意見聴取を行い、接続小委員会による報告に基づき、審議を行い適切な答申
  を行うこととされた。

 (2)「接続に関する議事手続細則」の一部改正について
    開示すべき事項の規定上の明確化及び手続の簡素化を図るため、「接続
   に関する議事手続細則」の一部改正が決定された(改正概要は以下のとお
   り。)。

  ・ 審議会が意見聴取を行う際に諮問事項の案とともにその根拠等も公表す
   ることを規定上明確化すること(第2条第2項第1号)。

  ・ 指定電気通信設備との接続に関する接続協定(裁定によって定められた
   接続料及び接続の条件によるものを除く。)に関する認可及び部会長が適
   当と認める事項については、再意見の聴取を行わず、意見の聴取のみで足
   りることとすること(第2条第2項)。

 (3)報告事項
    以下について、郵政省から報告があった。

  ア 電気通信事業法施行規則の改正案に対する答申により講じた措置について

  イ トラヒックからみた電話等の利用状況について(平成8年度)



(別記)
       第4回接続小委員会(9.11.17)議事概要


1 指定電気通信設備接続会計規則案に対し提出された再意見について

(1)試験研究費について
   試験研究費の分類と接続会計上の整理について、インフラ系試験研究費の
  みを指定設備管理部門に計上し、純粋基礎研究費及びユーザー系試験研究費
  を除外する省令案を適当とする見解が示された。また、インフラ系試験研究
  費についても、接続(対象設備)との関連性のチェックのためになんらかの
  情報が提供されるべきであるとの意見があった。
   討議の結果、試験研究の内容を接続会計報告書上で逐一公開することは会
  計報告という目的からして適当でなく、約款審査段階で他事業者の意見にも
  接した上でチェックすることが適当であるとされた。その際には、当該費用
  の性格上、研究内容の一般公表が困難な場合であっても、研究項目リスト
  (公表については斟酌する)等により審議会に対して十分な説明を行うよう
  適用対象事業者を指導すべきこととされた。
   また、インフラ系研究、ユーザー系研究、純粋基礎研究が恣意的に区分さ
  れないよう、第4条第1号の規定に基づき明確な判別基準を定めるよう事業
  者を指導すべきこととされた。

(2)直課比率の記載について
   事業者の費用の直接把握努力を表わす指標(比率)を開示することは適当
  であるが、費用発生の実態に則して結合費用は結合的に把握されるという原
  則がより重要であるとの意見があった。直課した費用が帰属計算をした費用
  に性質上優っているというのは誤解であり、却って恣意的な直課を招くおそ
  れもあるとの見解が示された。
   特に、ABC的手法により因果性を考慮して帰属計算を行った費用は、従
  来の配賦対象費用と単純に同一視するのでなく、むしろ、「準直課」的なも
  のとして区別して扱われるべきであるという意見があった。また、物理的な
  ケーブルの費用を直接に把握しても、これを階梯・用途別の伝送路費用とし
  て割り付ける過程で、従来の直課の定義に収まらなくなってしまうという点
  も指摘された。
   これらを踏まえて、接続会計における直課の定義等を十分検討した上で、
  費用把握の類型を「直課」、「ABC帰属(準直課)」、「従来型の配賦」
  の3つに区分して、設備区分毎に構成比率を示すことが適当であり、また、
  接続料算定上は特段の格差を設けないとの見解が示された。


2 指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則案に対し提出された再意見
 について

(1)自己資本利益率について
   接続料の自己資本利益率について、NTTの利用者料金の報酬率の算定に
  用いられる自己資本利益率を上限とすべきという意見と類似企業の自己資本
  利益率を参考にすべきという意見が提出されているが、どちらか一方ではな
  く、両方とも参考とすべきという見解が示され、利用者料金の勘案方法につ
  いては引き続き検討すべきこととされた。

(2)将来予測方式について
   接続料の原価算定の際、将来予測方式で算定するものについては精算を要
  しないことについて、接続約款に記載された接続料と再計算した結果との間
  に大幅な乖離があった場合は、郵政省が接続約款の再申請を命ずることが可
  能なこと及び接続約款の認可の際に、将来予測の合理性の査定を行うことに
  ついて確認がなされた。

(3)経過措置について
   基本的機能としてアクセスチャージ化するものと経過措置により事業者が
  個別に負担するものとの間で、事業者の負担の公平性を考慮して経過措置の
  適用を判断すべきとの意見があった。

(4)ネットワークが有する基本的機能について
   基本的機能については、技術の発展等を考慮すると概念の定義が難しいこ
  とから、個別具体的に判断することとすべきという意見が出された。

(5)接続小委員会の議事の公開
   今回の意見及び再意見とそれに対する考え方の公開は相当程度開示が進ん
  でいるという意見と、資料の考え方を補うため、議論の大筋程度は部会へ報
  告してはどうかという意見があった。

(6)上限価格制について
   長期増分費用についての意見に関連して、郵政省が現在利用者料金の上限
  価格制について検討を進めていることを考慮して、プライスキャップ規制の
  検討についても記述してはどうかという意見があった。


 (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。)
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