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電気通信審議会電気通信事業部会第156回会合議事要旨(平成10年1月12日公表)





1 日時
  平成9年12月19日(金) 午後2時〜午後4時14分


2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)


3 出席者(敬称略)

 (1)委員
    園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、醍醐聰、
   林敏彦、舟田正之

 (2)事務局
    渡辺信一審議会室長

 (3)郵政省
    谷公士電気通信局長 ほか


4 議題

 (1)諮問事項

  ア 日本イリジウム(株)に係る第一種電気通信事業の許可について

  イ (株)シティテレコムかながわ及び豊中コミュニティーケーブルテレビ
   (株)に係る第一種電気通信事業の許可について

  ウ 電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定につい
   て〔継続〕

  エ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について
   (長距離通話料金の値下げ)

  オ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について
   (番号案内料の改定)

 (2)報告事項

  ア 日本電信電話(株)の再編成に関する基本方針の策定について

  イ 指定電気通信設備接続会計規則及び指定電気通信設備の接続料に関する
   原価算定規則の制定案に対する答申により講じた措置について


5 議事模様

 (1)諮問事項

  ア 日本イリジウム(株)に係る第一種電気通信事業の許可について
    日本イリジウム(株)からの第一種電気通信事業の許可の申請(概要は
   以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
  ・申請者   日本イリジウム(株)(代表取締役社長 安田 芳治)
  ・資本金   260億円
  ・電気通信役務の種類  電話役務及び無線呼出し役務
  ・業務区域  全国
  ・事業開始予定年月日  平成10年(1998年)9月23日

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 宇宙物理科学者の意見の中で、人工衛星から降り注ぐ周波数によって、
   宇宙からのメッセージが届かなくなるといった懸念を示すものもあり、1
   999年に予定される周波数割当の見直し等、衛星システムの開発に当た
   っては、政策として宇宙環境保全の視点を持って取り組んでほしいとの意
   見があった。これに対して、郵政省から、電波天文等、宇宙研究のための
   周波数は、ITUの中でも確保されており、新たに確保の必要性の見込ま
   れる周波数帯の新規割当や共用に関する検討が行われているとの回答があ
   った。

  ・ 申請者には衛星システムの所有権があるかとの質問に対して、郵政省か
   ら、所有権はないが、IRU(破棄し得ない使用権)と同等の強度な利用
   権及び経営参加権があることから、実質的な支配管理権を有していると考
   えられ、電気通信事業法上(同法第6条第2項)の「(電気通信回線設備
   を)設置して」に該当するものと判断しているとの回答があった。これに
   関連して、リース契約の会計処理の際にも、実質的な支配管理権を有する
   場合には、バランスシートに載せるという整理がされていることから、整
   合性のある解釈であるとの意見があった。

  ・ 静止軌道衛星については、どの衛星が日本に属するか明確だが、非静止
   軌道衛星については明確でないとの意見に対して、郵政省から、本件につ
   いては、[1]イリジウムLLCとの契約には期限がないこと、[2]イ
   リジウムLLC側からは契約の解除ができないこと、[3]システム設計
   上、常時衛星が日本領域を照射し、安定的なサービスが確保されることか
   ら、66個の衛星システム全体について強度な利用権を有するものと解釈
   しているとの回答があった。

  ・ 国際通話に係る料金精算について、着信は無料であることから、発信国
   のみ収益を得ることにならないかとの質問に対して、郵政省から、現段階
   で詳細は未定であるが、通話料から一定額をシステム全体として徴収し、
   残りを各関係地球局の運営費に充てることから、一度プールされた収入を
   配賦するものと考えられ、従って、料金精算の概念は発生しないものと想
   定されるが、今後の研究課題とする旨の回答があった。

   審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。

 イ (株)シティテレコムかながわ及び豊中コミュニティーケーブルテレビ
  (株)に係る第一種電気通信事業の許可について
   (株)シティテレコムかながわ及び豊中コミュニティーケーブルテレビ
  (株)からの第一種電気通信事業の許可の申請(概要は以下のとおり。)及
   び審査結果について、郵政省から説明が行われた。

 (ア) (株)シティテレコムかながわ
  ・申請者  (株)シティテレコムかながわ(代表取締役社長 小山 治彌)
  ・資本金  12億円
  ・電気通信役務の種類  デジタルデータ伝送役務
              (インターネット接続サービス)
  ・業務区域  神奈川県大和市、座間市、海老名市、綾瀬市及び横浜市瀬谷区
  ・事業開始予定年月日  平成10年(1998年)10月1日

 (イ) 豊中コミュニティーケーブルテレビ(株)
  ・申請者  豊中コミュニティーケーブルテレビ(株)
        (代表取締役社長 内谷 二朗)
  ・資本金  15億円
  ・電気通信役務の種類  専用役務(ホームセキュリティサービス)
  ・業務区域  大阪府豊中市(一部を除く。)
  ・事業開始予定年月日  平成10年(1998年)10月1日

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ (株)シティテレコムかながわ及び豊中コミュニティーケーブルテレビ
   (株)について、全役員に占める監査役の割合等、役員のバランスについ
   て指摘があり、郵政省から、(株)シティテレコムかながわについては、
   会社設立時には、常勤監査役1名、非常勤監査役2名で開始したが、その
   後、事業展開の円滑化のため、地元の企業から役員を招いた結果、現在の
   構成になったという経緯があり、これは、豊中コミュニティーケーブルテ
   レビ(株)についても同様であると聞いている。郵政省としては、事業の
   効率的な経営の観点から指導することは可能であるが、役員の人数等を制
   限するのは適当でないと考える旨回答があった。

   審議の結果、それぞれ諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を
  行った。

 ウ 電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定について
  〔継続〕
   電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定案に対し
  提出された意見の検討結果(概要は以下のとおり。)について、接続小委員
  会の醍醐主査代理及び事務局から報告があった。
   電気通信事業法第38条の2第1項に基づく電気通信設備の指定について
  は、以下の事項に配慮した措置を講じた上で指定することは適当と認められ
  る。
  ・ 指定電気通信設備の範囲については、随時、関係事業者等からの要望を
   踏まえつつ、必要に応じ見直しを行うこと。なお、その際「接続に関する
   議事手続細則」に基づき、利害関係者等から聴取した意見を参考とするこ
   と。
  ・ 指定の基準となる回線数については、毎年度末適正に回線数が把握でき
   るよう電気通信事業報告規則の見直しを行うこと。

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 電気通信事業報告規則の見直しについて、報告義務のある対象事業者の
   範囲について質問があり、郵政省から、アクセス回線を有する全事業者に
   回線数が把握できるような報告の提出を求めるよう同報告規則を改正する
   ことを予定している旨回答があった。

   審議の結果、指定案について、接続小委員会報告書の内容を答申書に記し、
  それらの事項に配慮した措置を講じた上で、諮問のとおり指定することは適
  当である旨の答申を行った。
   なお、答申に基づく必要な措置事項について、事務局から運用方針の説明
  があり、了承された。
   また、前回決定されたとおり接続小委員会から報告を受けた同小委員会に
  おける議論を取りまとめた議事概要を当部会の議事要旨に記載することとさ
  れた(平成9年12月15日開催の接続小委員会の議事概要は、別記のとお
  り)。

 エ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について(長
  距離通話料金の値下げ)
   日本電信電話(株)からの電話サービスに係る料金の変更の認可の申請
  (概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われ
  た。
  ・ 平日昼間の100km超の市外通話料金の値下げを行う。(3分間通話
   した場合で20円の値下げ)
  ・ 160km超の夜間及び深夜・早朝の市外通話料金を値下げし、100
   〜160kmと同一料金とする。
【新旧料金比較】  (10円当たりの秒数)
距離区分
現行
昼間
夜間
深夜・早朝
100
〜160km
 16.5秒
(110円)
 22.5秒
(80円)
   30秒
 (60円)
160km超
  18秒
(100円)
  22.5秒
 (80円)

改定後
昼間
夜間
深夜・早朝
☆ 20秒
(90円)
 22.5秒
(80円)
   30秒
 (60円)
☆22.5秒
(80円)
☆  30秒
 (60円)
 注:☆印は、今回改正する部分。( )内は、3分間通話した場合の料金。
  ・ 値下げに伴う減収額は、約800億円
    改定区間のダイヤル通話収入に対する値下げ率は約16%
  ・ 実施予定時期  認可後速やかに実施(平成10年2月1日予定)

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 本件は料金が安くなるので歓迎するが、次の事案であるがNTTでしか
   提供していない電話番号案内の料金をセットで値上げするのでは歓迎でき
   ないとの意見が複数の消費者団体から寄せられている旨指摘があった。

  ・ TTNet(東京通信ネットワーク(株))では、既に一部例外のある
   旨の脚注を付した上で、全国一安い通話料金である旨広告しているようだ
   が、これは、認可料金をベースとして比較しており、各種割引料金等を勘
   案していないため、消費者の混乱を招くおそれがある。消費者が正確な料
   金情報により比較・選択を行うことができるよう、行政として、利用者利
   益の保護の観点から情報公開の在り方を含め適切に対応してほしいとの意
   見があった。これに対して、郵政省から、広告に関する事実関係等を調査
   の上、対応したいとの回答があった。また、独占分野における料金規制に
   関しては、「マルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研
   究会」において、独占的な分野における料金についてはインセンティブ規
   制に基づく認可、それ以外は届出といった枠組みを検討しているとの説明
   があった。最後に、本件については、条件を付して答申するといった性質
   のものではないことから、今後、郵政省に対して、事業者の広報の適正化
   ・公正化及び国民への情報提供の在り方に関する研究を依頼してはどうか
   との提案があり、その旨郵政省に対して依頼することとされた。

   審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。

 オ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について(番
  号案内料の改定)
   日本電信電話(株)からの電話サービスに係る料金の変更の認可の申請
  (概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われ
  た。
  ・ 番号案内業務の経営改善を図るため、番号案内料の改定等を行う。
  ・ 料金
   (1)手動案内(オペレーターによる案内)
   
区分
現行
昼間・夜間
月1案内目
30円
月2案内目〜
60円
深夜・早朝
60円
公衆電話
30円

改定後1年間
  50円 
  80円 
 120円 
 100円 

1年経過後
  60円
  90円
 150円
 100円


   (2)自動案内(自動検索方式による案内)
   
昼間・夜間
(深夜・早朝)
3分10円
(4分10円)

3分(4分)10円
+15円/案内料
     注:( )内は、深夜・早朝の料金。
    ※公衆電話利用の自動案内は、現行料金据置き(昼間夜間:1分10円、
     深夜早朝:80秒10円)

  ・ 自動案内の利用促進
   [1]パソコン通信方式に加え、プッシュホン電話機利用による新検索方
     式を導入
   [2]現在、1回当たり2検索までとしている検索回数の制限を廃止

  ・ 「ふれあい案内」(無料案内)対象者の拡大
    対象者を従来の「視覚・上肢等障害者」に「知的障害者及び精神障害者」
   を追加

  ・ 実施予定時期 認可後準備でき次第速やかに実施(NTT希望:平成10
   年4月1日)

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ 申請内容によると、自動案内サービスを促進することとしているが、自
   動案内の手順になれていない利用者の場合には、番号案内を受けるまでに
   相当の時間を要するものと考えられ、通話料も含めると、場合によっては
   割高になるおそれがあるとの指摘があった。

  ・ 需要見込みの方法について、過去の実績等を単純に引き延ばすのではな
   く、料金改定案をインフォームドされた人に対するアンケート調査等の利
   用意向調査が必要ではないかとの意見があった。

  ・ 利用回数別の利用状況について、月2回以上の利用者の分布について詳
   細にした資料及び事務用・住宅用別の利用状況に関する資料を提出してほ
   しいとの要望があり、郵政省から、次回の会議において提出する旨の回答
   があった。

    審議の結果、本件は、国民生活と密接な関係を有する重要な事項であり、
   郵政大臣からの求めもあったことから、広く国民利用者の意見を聴くため、
   平成10年2月10日(火)に郵政省会議室において、公聴会を開催し、
   その結果をも踏まえて引き続き審議を行うこととされた。
    なお、平成5年7月の公衆電話料金改定に際しての答申において、当審
   議会から「国民生活と密接な関係を有する重要な料金改定を行う場合にお
   いては、申請者において認可申請後又は公聴会の開催決定後速やかに、認
   可申請の概要及び参考となる情報を利用者が入手しやすい方法で公開する
   よう努めること。」という要望をしているところであり、本件はこれに該
   当する料金改定であると認められることから、申請者であるNTTにおい
   て、この要望の趣旨に沿った情報公開が行われるよう、郵政省に対して要
   望があった。

 (2)報告事項
    以下について、郵政省から報告があった。
  ア 日本電信電話(株)の再編成に関する基本方針の策定について
  イ 指定電気通信設備接続会計規則及び指定電気通信設備の接続料に関する
   原価算定規則の制定案に対する答申により講じた措置について
    なお、アについて以下の質疑応答があった。

  ・ 長距離会社から地域会社への販売業務委託に関連して、同等性確保の観
   点から地域会社は他の事業者の情報提供も行うことが望ましいとの指摘が
   あり、郵政省から、今後、NTTにおける実施計画作成作業の中で十分注
   視していく旨回答があった。


(別記)
        第5回接続小委員会(9.12.15)議事概要


1 指定案に対し提出された意見及び事業部会への報告案について

 (1)指定電気通信設備の見直しについて
    指定電気通信設備の見直しについて、電気通信回線の割合の計算を毎年
   行うべきという意見について、NTTではなくNCCが主張していること
   から把握の時期を定め、NTTの様子を正確に知りたいという趣旨と考え
   られるので、NCCのISDNなど今回は県単位で正確に把握できず、み
   なし的に計算した部分について、より正確に把握すべきこととされた。

 (2)ISMについて
    接続が見込まれないため指定の対象外となっているINS−P用(高速
   モードについても同様)のISMについて、費用配賦の明確化の観点から
   指定の対象とすべきという意見について、費用配賦を接続会計で手当てす
   ることになっており、恣意性の排除はそこで担保されるので、考え方のと
   おりでよいとされた。

 (3)UCの扱いについて
    UCの扱いについて意見が出されているのは、UCでの接続要望がある
   ということかとの発言に対し、UCの費用の帰属を明確化してほしいとい
   うことの意見のようであるとの発言があり、GCから先は指定端末系伝送
   路設備であり、UCがある場合はそこから先が指定端末系伝送路設備とな
   ると理解することとされた。

 (4)経過措置について
    ここで言う経過措置の対象について、長距離系事業者が行っている番号
   案内費用の負担を数年でなくすことと交換機の改造費の両方が対象とされ
   るとともに、指定の対象となるからといって、個別負担がなくなるわけで
   はなく、個別負担とアクセスチャージ化については、NTTからの接続約
   款の申請を受けて検討することとされた。
    なお、過去の分をきちんと精算するのは難しい面があるが、それを引き
   ずると切り替えができないので、ある程度概算的な精算処理等により対応
   する方法があるとの発言があった。

 (5)NTT再編成後の設備について
    現在ある中継交換機は県内通信も扱っているため全て指定の対象となる
   が、NTT再編成後は長距離会社の設備となる県間通信のみ扱うZCが出
   てくる点について、その場合は県内通信を行う設備ではなく、簡単に言え
   ば今NCCの持っているGSの機能を長距離会社のZCが持つということ
   であり、指定の対象外となることとされた。

 (6)県間をまたがる通信を扱うPHS用NSPについて
    NSPを使用する県間をまたがる通信を扱う設備は、指定の対象外とな
   るが、それにより問題が生じない扱いとすること、すなわち区域内と同様
   に扱うべきということが明確であればよいこととされた。ただし、区域内
   通信と区域内で終始する通信との違いについては、法律の考え方として、
   一定の区域を決めて区域内の設備とその中での通信を対象としていたため、
   指定案のような案文になった旨事務局から説明があった。

 (7)報告案について
    報告案に記載する2点の配意すべき事項の中で、特に指定案の案文を変
   更して対応すべきことはないとされた。

 (8)「意見に対する考え方」の扱い
    「意見に対する考え方」は、審議会の意見であり、原則としてこれを踏
   まえた上で運用していくことになると考えられるが、意見に対する考え方
   のままでは指針として弱いので、別途、必要に応じ運用通達集等の形によ
   り対外的に示していくべきとされた。


2 接続会計規則・原価算定規則についての答申条件に対する措置事項について

 ・直課比率について
  接続会計導入により、直課比率はだいたいどのくらいになるのかとの発言に
 対し、直課の比率は直課をどう定義するかによって変わること、また、効率化
 のための設備の共有度合等を考えると直課比率の高低で接続会計の成果を単純
 に判断することには疑問があること及びBTにおいては直課にABC手法を使
 用したものも含まれているのではないか等の指摘があり、直課の定義について
 更に検討を行うべきとされた。


3 議事概要の公開
  議事内容は、議事をそのまま公開すると議論が整理されておらずわかりにく
 いため、2〜3枚程度に取りまとめた議事概要を部会に報告することとされた。
  なお、電力関係及び経済企画庁の審議会は実名入りで議事録を公開している
 と聞いているが、小委員会まではともかく、どのレベルまでどの程度公開する
 のか検討が必要ではないかとの発言があった。


(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。)
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