電気通信審議会電気通信事業部会第159回会合議事要旨(平成10年3月10日公表)
1 日時
平成10年2月27日(金) 午後2時〜午後4時27分
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)委員
園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、醍醐聰、
林敏彦、舟田正之
(2)事務局
渡辺信一審議会室長
(3)郵政省
谷公士電気通信局長 ほか
4 議題(諮問事項)
(1)日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について
〔継続〕(番号案内料の改定)
(2)ワールドコム・ジャパン(株)に係る第一種電気通信事業の許可につい
て(国内・国際の電話・専用・デジタルデータ伝送役務等の提供)
(3)日野ケーブルテレビ(株)ほか2社に係る第一種電気通信事業の許可に
ついて(デジタルデータ伝送役務の提供)
(4)エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)に係る電気通信役務の種類等
の変更許可について(電話役務の追加等)
(5)東京通信ネットワーク(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可に
ついて(中継電話サービス料金の値下げ)
(6)端末設備等規則及び事業用電気通信設備規則の一部改正について(アナ
ログ電話端末等の技術基準の改正)
(7)日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の設定の認可に
ついて〔継続〕(接続約款案に対し提出された意見の検討状況)
5 議事模様
(1)日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について
〔継続〕
2月10日に開催された公聴会について、事務局から報告があり、公聴
会の議事録については、郵政省官房秘書課審議会室においては部会終了後
(2月27日)から、各地方電気通信監理局及び沖縄郵政管理事務所にお
いては3月3日から閲覧できるよう準備を進める旨説明があった。
なお、本件に関する電気通信審議会あての請願書について、事務局から
報告があった。
さらに、郵政省から追加資料等について説明が行われた。
主な意見等は、以下のとおり。
・ 赤字を解消することは良いが、値上げ幅が大きい。特に深夜・早朝の
値上げ幅が大きく、受容可能な数字ではない。低廉な自動案内も高齢者
には利用困難であり、また、配布される電話帳は掲載地域が限定されて
いるため、結局、手動案内に頼らざるを得ない。現在、ガスや電気など
多くの料金が値上げを抑えており、その中で値上げはいかがなものか。
また、4月は各種料金が値上げされる時期であり、NTTも値上げとい
うのは避けるべき。よって、賛成しかねる。
・ 現状ではこの案しかないと考えられるので、納得して賛成。NCCと
の公正な競争を確保する観点からも、NTTは各役務毎に収支相償を図
るべき。個人ユーザとしても、サービスを受ける場合には当然対価を払
う必要があるが、当該サービス以外のコストも負担するというのは不公
平である。今回の申請内容は、政策的配慮がなされた料金体系となって
いるが、将来的にはコストベースの利用者に公平な料金体系とするよう
努力すべき。
・ 今回の案に賛成だが、NTTの電話番号データベースは、将来的には
番号情報データサービスとしてNTTから切り離され、そこに他事業者
が参入してサービスがより充実し、質的にも料金的にも競争原理が導入
され、審議会の議論の対象とならないようになっていくのが望ましい。
・ 利用者のニーズを調査し、電話帳の始めのページに、緊急時に必要な
病院、交通機関等の公共機関の電話番号を掲載してほしい。
・ プッシュボタン電話機から利用する自動案内については、使い方がわ
からない場合の問い合わせ先を設けてほしい。
・ 料金体系について、コスト主義と負担力、利用の偏在といった政策的
配慮との間の整合性が不十分である。政策的な料金であるならば、事務
用・住宅用の区分による料金体系や、更に細分化した利用回数(5回以
上、10回以上など)による料金差を設ける料金体系を考えるべきであ
り、要望事項を付した上でも賛成しがたい。
・ 要望事項を付した答申を受けて認可した場合、一定期間経過後、郵政
省として事業者に対してどういう指導をしたのか、事業者においてどう
いう改善措置が講じられたのかなどについて、審議会に報告するなど適
切なフォローアップをしてほしい。
・ アメリカ西海岸の地域電話会社の番号案内料の現状について、当初調
査できなかったことを踏まえ、今後、電気通信の担当者を西海岸にも配
置し、情報収集に努めるとともに、現地における消費者保護制度につい
ても調査してほしい。
審議の結果、反対意見もあるため採決を行い、その結果、出席委員6人
のうち、賛成4人、反対2人の賛成多数により、認可することが適当であ
る旨の答申を行った。
なお、郵政省が認可を行うに当たっては、NTTにおいて以下の措置が
講じられるよう配慮することを要望した。
[1]利用者に対して、番号案内料の改定の趣旨・内容、新たに導入され
るプッシュボタン電話機から利用する自動案内サービスの利用方法、
新たに番号案内料が免除されることとなる利用者の範囲等についての
周知を徹底し、そのための十分な周知期間を設けた上で実施すること。
[2]番号案内が非常災害時の災害救援活動において重要な機能を果たす
ものであることに配慮し、関係機関と調整の上、罹災者の安否情報等
を提供する機関の電話番号を無料で案内すること等を検討すること。
[3]緊急時あるいは日常生活においてかける頻度の高い公共機関等の電
話番号については、電話帳から簡便、かつ、迅速に引けるよう、その
掲載方法について一層の改善を図ること。
[4]番号案内サービスの今後の利用動向や利用者ニーズを踏まえ、一層
のサービス改善、費用削減に努めること。
おって、その他の質疑応答等は、以下のとおり。
・ 本件に関する審議の透明性を確保するため、企業秘密に関わるもので
あっても、申請者の同意が得られれば、基本的に審議会に出された資料
すべてについて、一般利用者が閲覧等できるよう公開すべきではないか
との意見があり、郵政省から、NTTが支店・営業所等において公開し
た「番号案内料の改定の認可申請に関する資料集(平成10年1月)」
については、当然公開可能であるが、その他の省側作成の資料等につい
ては、申請者と調整の上、検討する旨回答があった。
・ 審議の透明性確保の観点からは、各委員がどういう意見を述べ、どう
いう議論を交わしたかというプロセスも含めて公開するのが基本ではな
いかとの意見があった。
・ 議事要旨の公開について、2週間以内にインターネットのホームペー
ジに掲載してほしいとの要望があり、事務局から、努力する旨回答があ
った。
(2)ワールドコム・ジャパン(株)に係る第一種電気通信事業の許可につい
てワールドコム・ジャパン(株)からの第一種電気通信事業の許可の申請
(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行わ
れた。
・申請者 ワールドコム・ジャパン株式会社
(代表取締役社長 池内 健浩)
・資本金 1,000万円
・電気通信役務 国内/国際電気通信役務 電話役務、専用役務、デジ
タルデータ伝送役務、その他(総合デジタル通信役務)
・取扱対地 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、
オランダ、スウェーデン
・業務区域 東京都千代田区、中央区、港区、品川区、新宿区の各一部
・事業開始予定年月日 平成10年(1998年)12月1日
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 資金の調達方法について質問があり、郵政省から、親会社である米国
のワールドコム社からの借り入れでもって大半を措置している旨回答が
あった。
・ ワールドコム社の子会社であるワールドコム・コミュニケーションズ
・ジャパン社(特別第二種電気通信事業者)の概要について質問があり、
郵政省から、平成8年7月に登録、同年12月に事業開始し、現在16
対地にて事業を展開している旨回答があった。
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
(3)日野ケーブルテレビ(株)ほか2社に係る第一種電気通信事業の許可に
ついて
日野ケーブルテレビ(株)ほか2社からの第一種電気通信事業の許可の
申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が
行われた。
ア 日野ケーブルテレビ(株)
・申請者 日野ケーブルテレビ株式会社(代表取締役社長 井原純雄)
・資本金 15億2千万円
・電気通信役務の種類 デジタルデータ伝送役務
(インターネット接続サービス)
・業務区域 東京都日野市及び八王子市の一部
・事業開始予定年月日 平成10年(1998年)10月1日
イ (株)チャンネルウェーブあまがさき
・申請者 株式会社チャンネルウェーブあまがさき
(代表取締役社長 高崎譲)
・資本金 12億円
・電気通信役務の種類 デジタルデータ伝送役務
(インターネット接続サービス)
・業務区域 兵庫県尼崎市(一部を除く。)
・事業開始予定年月日 平成11年(1999年)4月1日
ウ (株)トーカイハイウェイネット
・申請者 株式会社トーカイハイウェイネット
(代表取締役社長 藤原明)
・資本金 12億5千万円
・電気通信役務の種類 デジタルデータ伝送役務(インターネット接
続サービス及びセルリレーサービス)
・業務区域 静岡県三島市、御殿場市、裾野市、沼津市、富士市、富
士宮市、清水市、静岡市、焼津市、藤枝市、島田市ほか
9町(それぞれ一部を除く。)
・事業開始予定年月日 平成10年(1998年)10月1日
審議の結果、いずれも諮問のとおり許可することが適当である旨の答申
を行った。
(4)エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)に係る電気通信役務の種類等
の変更許可について
エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク(株)からの電気通信役務の種類等
の変更許可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政
省から説明が行われた。
・申請者 エヌ・ティ・ティ国際ネットワーク株式会社
(代表取締役社長 藤田 聰)
・電気通信役務の種類 電話/国際・固定
・業務区域 接続対象区域:全国
・取扱対地 アメリカ、中国、韓国、フィリピン、シンガポール
(計5対地)
・事業開始予定年月日 平成11年(1999年)10月1日
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 新規参入事業者が売上げの多い対地のみについて提供し、売上げの少
ない対地については提供しないということでは料金が下がらないのでは
ないかとの質問があり、郵政省から、競争の進展により全体的に料金が
下がっていくだろうと期待できる旨回答があった。
審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。
(5)東京通信ネットワーク(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可に
ついて
東京通信ネットワーク(株)からの電話サービスに係る料金の変更の認
可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説
明が行われた。
・申請者 東京通信ネットワーク株式会社(代表取締役社長 岩崎克己)
・申請内容 100km超〜170kmまでの平日昼間及び170km
超の全時間帯における通話料金の値下げ
例:平日昼間3分間の100km超料金を72円から63円
に値下げ
・実施予定時期 平成10年(1998年)3月1日
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 各種割引サービスなど料金の多様化により単純な料金比較ができず、
消費者は、どの事業者の料金が一番安いのかわからない。比較方法等に
関する消費者への適切な情報提供の在り方について、考えていく必要が
あるとの意見があった。
審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
(6)端末設備等規則及び事業用電気通信設備規則の一部改正について
端末設備等規則及び事業用電気通信設備規則の一部改正(概要は以下の
とおり。)について郵政省から説明が行われた。
・ アナログ電話端末の技術基準に関して、アナログ電話用設備のデジタ
ル化といったネットワークの高度化等に対応して、基準の緩和、諸外国
の基準との整合を図ることを基本に改正。
・ 平成10年4月1日施行とする。
・ 所要の経過措置を設ける。
主な質疑応答等は、以下のとおり。
・ 省エネの観点から考慮した場合、今回の改正はどのような影響がある
のかとの質問があり、郵政省から、端末の送出電力については5倍まで
緩和しようとするもので、電力が増える方向にあるが、ミリワットとい
う非常に小さな単位の世界での増加にすぎないので、それほど影響はな
いと考える旨回答があった。
審議の結果、諮問のとおり改正することが適当である旨の答申を行った。
(7)日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の設定の認可に
ついて〔継続〕
前回諮問された日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款
案に対し提出された意見の検討状況等について、接続小委員会の醍醐主査
代理及び事務局から主要な論点及び議論のあった点(概要は以下のとおり。
別記接続小委員会議事概要を参照)の説明が行われた。
・ 経過措置について、対象機能の範囲、経過措置の期間の考え方。
・ MDF接続とxDSLとの関係。
・ 自己資本費用に対する自己資本利益率の在り方。
審議の結果、接続約款案については、再意見の提出を待って、更に接続
小委員会で調査検討を行った上で、次回の部会で同小委員会から最終報告
を受けることとされた。
なお、平成10年2月25日開催の接続小委員会の議事概要は、別記の
とおり。
(別記)
第6回接続小委員会(10.2.25)議事概要
○ 日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款案に対し提出された
意見について
1 経過措置について
・ 経過措置の対象とされている平成8年12月以前に接続の申込みのあった
機能についても基本機能とすべきではないかとの意見があった。これに対し、
基本機能であるか否か、基本機能とした場合に経過措置を置くか否かの二段
階の問題があり、当該機能は基本機能として整理されているものを経過措置
の対象とするものであり、経過措置を置くことについては接続ルールの答申
でも認められているとの事務局の説明及び委員からの意見があった。
・ 経過措置で個別負担する方法と、基本機能として網使用料で回収する方法
のいずれの方法でもNTTは費用の回収ができると思われるので、急激な費
用負担の変動の回避以外に経過措置の合理的理由が必要ではないかとの意見
があった。これに対し、アクセスチャージで回収する場合は、NTTだけで
なくその機能を直接利用していない他の事業者もその機能のための改造にか
かった費用を負担することになるため、NTTだけでなく他の事業者の負担
の変動も回避するためであるとの事務局の説明及び委員からの意見があった。
・ 平成13年3月31日の経過措置の期限を短縮できないかとの意見があり、
事務局から、平成12年度の接続ルールの見直しに合わせており、それ以前
に見直した場合はその際に検討することもあり得るとの説明があった。
2 併合型IGSの減価償却費の控除について
・ 併合IGSについては、IGS部分のみの残存価額の把握が困難であり、
耐用年数経過後も定額で払うこととなっているが、この方法では減価償却費
の残額を証明するインセンティブがないので、額が不明の場合は払わないと
いう考えもあるのではないかとの意見があったが、これに関連して、正確な
額の把握方法について検討する前に控除することのみを決定するのは早計で
あるとの考え方もあるとの意見があった。
・ NTTが算定方法を検討するインセンティブが働く仕組みを郵政省は考え
るべきではないかとの意見があった。
3 保守単金について
・ 典型的な保守のパターンについては実額を決められないのか、また、保守
単金位は約款に記載できるのではないかとの意見があり、これに関連して、
全ての保守作業を定型化するのは難しいと考えられるが、保守単金ならば実
額記載が可能ではないかとの意見があった。
4 ソフト開発会社との他事業者の費用交渉について
・ NTTに、ソフトウェア開発費用の低減のインセンティブがないため、ソ
フト会社にNCCと直接交渉出来る余地があるということを約款に書けない
かとの意見があった。
・ NTTに費用を削減させるようなスキームが必要ではないかとの意見があ
った。
5 網改造料の按分について
・ 網改造料の按分方法について、その基準を回線数、通話回数、通話量等に
よりNTTが指定することになっているが、基準の選択には幅があるため、
按分方法を約款で決めてしまうことはできないのかとの意見があったが、こ
れに関連して、基準の選択には設備の特性に従いある程度技術的に定まると
いう意見があった。
6 自己資本利益率について
・ ユーザー料金と接続料に現実に適用された報酬率を比較という議論があっ
てもよいのではないかとの意見及び今後の検討課題であるとの意見があった。
7 MDF接続について
・ xDSLとは別にMDF接続については、接続の要望があるなら約款に載
せるべきではないかとの意見及び今後の検討課題であるとの意見があった。
8 標準的接続期間について
・ 「概ね」という表現は曖昧なのではないかとの意見があり、事務局から、
余りに厳格に規定すると期日違反を恐れる余り、調査をもう少し行えば可能
な接続も不可能と判断してしまう恐れもあるとの説明があった。
・ フレームリレーでは接続に7年かかったという過去の経緯があるので、余
りに長期に延長されないようにすべきとの意見があり、これに関連して、そ
のような場合には約款に違反していると言えるのではないかとの意見があっ
た。
9 番号案内に係る経過措置
・ 接続料の金額について、算定方法について議論の余地はあるとの意見があ
った。
10 接続料の割引きについて
・ 日本の接続料には昼・夜の区別も大口割引もなく、BTの様に多様な接続
料の形態があってもよいのではないかとの意見があったが、その場合、現在
の計算方法に従えば、例えばオフピーク料金を作ると今より昼間の料金が上
がることとなるため、それがよいのかどうか検討する必要があるとの意見が
あった。
11 将来予測による原価算定について
・ ISDNは、従来から提供されており、過去原価で計算され精算されてい
る実績があるから、前年度の会計結果を基礎として算定する方法を採用して
いるのかとの質問があり、事務局から、そのとおりであるが、他にも将来予
測で算定するとNTTの恣意性が入る可能性があり、実績を基に算定し、事
後に精算することとなったという経緯について説明があった。
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。)