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電気通信審議会電気通信事業部会第165回会合議事要旨(平成10年10月8日公表)





1 日時
  平成10年9月25日(金) 午後2時02分〜午後4時02分

2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)
 (1) 委員
   園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、齊藤忠夫、
   醍醐聰、林敏彦、舟田正之
 (2) 事務局
   小野寺敦子審議会室長
 (3) 郵政省
   天野定功電気通信局長 ほか

4 議題
 (1) 諮問事項
 ア (株)大田ケーブルネットワークほか3社に係る第一種電気通信事業の許可に
  ついて(データ伝送役務又は専用役務の提供)
 イ 第二電電(株)の電話サービス等に係る料金及び契約約款の変更の認可につい
  て(国際電話サービスの取扱開始)
 ウ ワールドコム・ジャパン(株)の国際電話サービスに係る料金及び契約約款の
  設定の認可について(国際電話サービスの取扱開始)
 エ 日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可について
  (機能及び接続形態等の追加)
 オ 電気通信事業法施行規則の一部改正について(改正電気通信事業法第31条
  第3項の規定による特定電気通信役務の料金に関する省令案)
 カ 電気通信事業法施行令の一部改正について(改正電気通信事業法に基づく特
  別第二種電気通信事業の電気通信設備の規模の基準に係る規定の廃止等)
 キ 事業用電気通信設備規則の一部改正について(改正電気通信事業法により第
  二種電気通信事業者が設置できることとなる伝送路設備の技術基準に係る規定
  の追加)
 (2) 決定事項
   電気通信事業部会決定第2号「諮問を要しない軽微な事項について」の一部
  改正について

5 議事模様
 (1) 諮問事項
 ア (株)大田ケーブルネットワークほか3社に係る第一種電気通信事業の許可に
  ついて

   (株)大田ケーブルネットワークほか3社からの第一種電気通信事業の許可の
  申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が行わ
  れた。

 (ア) (株)大田ケーブルネットワーク
  ・申請者  株式会社大田ケーブルネットワーク(代表取締役社長 鈴木 省一)
  ・資本金  13億4,750万円
  ・電気通信役務の種類  データ伝送役務
  ・電気通信役務の態様  国内電気通信役務(固定)
  ・業務区域       東京都大田区(一部を除く。)
  ・事業開始予定年月日  平成11年(1999年)4月1日
 (イ) (株)京阪ケーブルテレビジョン
  ・申請者  株式会社京阪ケーブルテレビジョン(代表取締役社長 中川 正憲)
  ・資本金  24億円
  ・電気通信役務の種類  専用役務
  ・電気通信役務の態様  国内電気通信役務(固定)
  ・業務区域       大阪府枚方市及び京都府八幡市
  ・事業開始予定年月日  平成11年(1999年)6月1日
 (ウ) 福井ケーブルテレビ(株)
  ・申請者  福井ケーブルテレビ株式会社(代表取締役社長 村上 中正)
  ・資本金  6億円
  ・電気通信役務の種類  データ伝送役務
  ・電気通信役務の態様  国内電気通信役務(固定)
  ・業務区域       福井県福井市(一部を除く。)
  ・事業開始予定年月日  平成11年(1999年)4月1日
 (エ) ケーブルテレビ徳島(株)
  ・申請者  ケーブルテレビ徳島株式会社(代表取締役社長 佐藤 滋)
  ・資本金  4億9,930万円
  ・電気通信役務の種類  データ伝送役務
  ・電気通信役務の態様  国内電気通信役務(固定)
  ・業務区域       徳島県徳島市(一部を除く。)
  ・事業開始予定年月日  平成11年(1999年)6月1日

   主な質疑応答は、以下のとおり。

  ・ ケーブルテレビの加入者のうち、どのくらいをインターネット接続サービ
   スの加入者と見込んでいるのかとの質問があり、郵政省から、事業者によっ
   て需要予測の方法は異なるが、例えば、インターネット白書におけるイン 
   ターネット普及率(8.05%)及びネットワークの展開率を考慮し潜在的加入者
   数を算出する方法や当該事業者が実施した利用動向調査に基づきCATV既
   加入、CATV未加入それぞれの加入意向率を一定の母数に掛けて算出する
   方法がある旨の説明があった。

   審議の結果、いずれも諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行
  った。

 イ 第二電電(株)の電話サービス等に係る料金及び契約約款の変更の認可につい
  て第二電電(株)(以下「DDI」という。)からの電話サービス等に係る料金
  及び契約約款の変更の認可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果につ
  いて、郵政省から説明が行われた。
  ・ 申請者 第二電電株式会社(代表取締役社長 日沖 昭)
  ・ 申請内容
    既存国際系事業者(国際電信電話(株)<国際第一種>、テレグローブ・サー
   ビス・ジャパン<国際特別第二種>及びC&Wジャパン<国際特別第二種>)と
   の相互接続により、国際電話サービスを提供する。
  ・ 実施予定期日 平成10年(1998年)10月22日(予定)

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ DDIは自前の国際回線を所有しないが、それでも第一種電気通信事業者
   であるのかとの質問があり、郵政省から、国内において所有している自前の
   電気通信回線と国際系事業者とを相互接続することによって、いわゆる国際
   電話アクセスサービスを提供するものであり、第一種電気通信事業者たり得
   る旨の説明があった。

  ・ 例えば、日本発アメリカ着の場合、日本から米国への電気通信役務につい
   てKDDとAT&Tが電気通信事業法第40条に基づく協定(以下「40条
   協定」という。)を締結しているが、DDIの場合はどうなのかとの質問が
   あり、郵政省から、本件はKDD及び国際特別第二種事業者が40条協定を
   締結するものであり、DDIは直接外国キャリアとの関係はなく、同協定を
   締結することはない旨の説明があった。

  ・ 「電話番号に関するQ&A」に関連して、国際第一種事業者が増えている
   ため、積極的に新規事業者に関する情報を掲載し、消費者の利便性の確保と
   公平な情報提供に寄与できるよう、適時適切に内容の改訂を行ってほしいと
   の要望があり、郵政省から、今後検討していく旨の回答があった。

  ・ KDDにとってDDIと相互接続協定を締結することにメリットはあるの
   かとの質問があり、郵政省から、国際通信市場においては新規事業者の数が
   増加し競争が厳しくなる傾向にあるが、KDDがDDIと相互接続しない場
   合は、DDIは新規事業者を含む他の国際事業者と相互接続して呼を運ぶこ
   とになり、その意味から、KDDは自己のネットワーク利用の点からプラス
   面がある旨の説明があった。

  ・ 利用者が発信する場合は、0078、001、0041などをダイヤルすることにより
   事業者を選択することが可能であるが、外国からの着信の場合の足回りにつ
   いては、NTTのルートで着信するしかなく、独占度が強いのかとの質問が
   あり、郵政省から、現在は着信部分については利用者に選択権がなく、その
   意味でいわば独占的な効果を持つ仕組みになっている旨の説明があった。
  ・ 呼がどの事業者のルートを通るかによって音質的に差が生じることはない
   のかとの質問があり、郵政省から、輻輳等を考慮すると第二種電気通信事業
   者経由よりもバックアップ回線による複数ルートを持っている第一種事業者
   経由の方が安定性・信頼性が高いと考えられるが、通常の電話利用について
   はどの事業者のルートでも遜色はない旨の説明があった。

  ・ AT&T、テレグローブUSAなどの外国事業者が日本側のどの国際電気
   通信事業者に着信させているかというトラフィックの流れについて、郵政省
   は把握しているのかとの質問があり、郵政省から、電気通信事業報告規則に
   基づき報告を受けることになっており、また、発信、着信のバランスが歪む
   片方向バイパスは禁止している旨の説明があった。

  ・ 日本のオリジナルな国際第一種事業者が全世界にネットワークを持って 
   サービスを提供するのは、いわゆるユニバーサルサービスと思われ、それは
   国の安全なり独立国としての国際網を持つという意味があると思うが、外資
   系事業者が続いて参入し国際事業者間の競争が進展することにより、日本の
   国際第一種事業者はどうなるのか、純粋な競争だと静観していていいのかと
   の指摘があった。これに対して郵政省から、国際的な競争の進展に伴い市場
   を外資系事業者に席巻されるおそれがないかという点については、市場動向
   を注視して適切な対応をとる必要があると考えているが、全体の流れとして、
   例えば、WTOの基本テレコム合意のように国際的競争の中で効率化や低廉
   な料金によるサービス提供がグローバルスタンダード化しているので、そう
   いう中で日本企業が頑張ることを期待している旨の説明があった。

   審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。

 ウ ワールドコム・ジャパン(株)の国際電話サービスに係る料金及び契約約款の
  設定の認可について
   ワールドコム・ジャパン(株)(以下「WCJ」という。)からの国際電話 
  サービスに係る料金及び契約約款の設定の認可の申請(概要は以下のとお  
  り。)及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
  ・ 申請者 ワールドコム・ジャパン株式会社(代表取締役社長 ウィリア 
   ム・シールズ)
  ・ 申請内容
    直通回線の設置及びワールドコム・コミュニケーションズ・ジャパン(株)<
   国際特別第二種>と相互接続により、国際電話サービスを提供する。
  ・ 実施予定期日 平成10年(1998年)10月1日(予定)

   主な質疑応答等は、以下のとおり。

  ・ DDIはシェアを約18%と予測しているとの説明だったが、WCJはど
   うかとの質問があり、郵政省から、約2%との予測であるが、同社はサービ
   スエリアを首都圏に限定しており、かつ、大企業を中心に営業活動を展開す
   る方針であり、一般消費者については個別に申出があれば契約に応ずるが、
   主たる対象とはしていない旨の説明があった。

  ・ 料金体系が秒換算により課金されるという秒課金であるにもかかわらず、
   料金表が分単位の表示となっているのは不適切ではないかとの指摘があり、
   郵政省から、料金表には端数は秒換算すると明記されており、また、ワール
   ドコムの慣習として分単位の示し方を採用している旨の説明があった。

  ・ 料金表示の形式は各社の判断に委ねられているのかとの質問があり、郵政
   省から、料金算定根拠が不明確である等の場合はともかく、正確に情報が伝
   われば良いと理解している旨の説明があった。

  ・ 消費者にとっては料金表示を秒換算にした方がわかりやすいのではないか
   との指摘があり、郵政省から、ワールドコムの方針としては、秒換算の表示
   では料金表が相当細かくなる上、日本の慣行では消費者は秒単位の料金では
   なく、1分単位程度で料金をイメージするであろうと考え、分換算の料金表
   示にしている旨の説明があった。

  ・ 最近、KDDのコマーシャルにより6秒1円という課金方法が浸透しつつ
   あり、今回新たに秒単位の課金方法が出現するため、消費者は料金比較をす
   る際に頭を悩ませることになる。ユニットプライシングの単位を何にするの
   か、どの時間帯の料金を採用して表示するのか等難しい問題はあるが、今後、
   消費者の選択を誤らせないよう、異なる課金方法による料金を同じ条件で比
   較が容易な換算方法を各種パンフレットに掲載するなど消費者に適切な情報
   提供を行ってほしいとの要望があった。

   審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。

 エ 日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可について
   日本電信電話(株)(以下「NTT」という。)からの指定電気通信設備に係
  る接続約款の変更の認可の申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果につい
  て、郵政省から説明が行われた。
  ・ 申請者 日本電信電話株式会社(代表取締役社長 宮津 純一郎)
  ・ 申請内容
    衛星系事業者が中継事業者経由でNTT網へ接続する場合に、加入者交換
   機で接続することを可能とすること、活用型PHSからの番号案内(10 
   4)接続について、センタ設備を経由せずに直接接続することを可能とする
   こと等に伴い、NTTの指定電気通信設備に係る接続約款を変更する。

    審議の結果、本件については、「接続に関する議事手続細則」の規定に従
   い、諮問された接続約款の変更案を報道発表するほか、インターネット等に
   掲載するなどして公告し、関係者から意見の聴取を行った上で、接続小委員
   会での検討結果の報告に基づき審議を行い、適切な答申を行うこととされた。
    なお、本件内容は、事業者からの接続要望によるものであり、新規接続事
   業者に与える影響は少ないと考えられること、また、迅速な処理を要するも
   のであることから、再意見の聴取は行わないこととされた。

 オ 電気通信事業法施行規則の一部改正について
   電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律
  (平成10年法律第58号)を施行するため、この法律による改正後の電気通
  信事業法第31条第3項の規定による特定電気通信役務の料金に関する省令委
  任事項を定める電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令案(概要は以下
  のとおり。)について、郵政省から説明が行われた。
  ・ 上限価格方式の対象である特定電気通信役務の範囲を定める規定を追加す
   る。
  ・ 基準料金指数の設定対象区分である特定電気通信役務の種別(バスケット
   及びサブバスケット)を定める規定を追加する。
  ・ 基準料金指数の算定方法を定める規定を追加する。
  ・ 料金指数の算出方法を定める規定を追加する。
  ・ 基準料金指数の通知期間を90日と定める規定を追加する。

   主な質疑応答は、以下のとおり。

  ・ NTTの番号案内サービスの別会社化を示唆する報道があったが、別会社
   となると当該設備は特定電気通信役務からはずれるのかとの質問があり、郵
   政省から、別会社ではなく外部委託であるが、仮に別会社となった場合、特
   定電気通信役務からはずれる旨の説明があった。

  ・ 基準料金指数について、事業者は料金を変更したい場合に事前に打診する
   のか、それとも事業者の料金変更の意図とは関係なく毎年発表するのかとの
   質問があり、郵政省から、後者である旨の回答があった。

  ・ 生産性向上見込率の見直しを3年ごとに行うことについて質問があり、郵
   政省から、上限価格規制方式はいわゆるインセンティブ規制方式のことであ
   り、現在の総括原価方式、すなわち、報酬率を規制する方式に比べ、上限価
   格規制では基準料金指数以下に料金を設定すれば、事業の効率化や生産性の
   向上による利益を確保できるようになる。生産性向上見込率の見直し期間が
   短すぎると事業者のインセンティブを低下させることにつながり、長すぎる
   と過剰な利益が発生したり、料金を値下げしなくてすむことにつながること、
   また、外国の例も3年程度が多いことから3年としている旨の説明があった。

   審議の結果、諮問のとおり改正することが適当である旨の答申を行った。

 カ 電気通信事業法施行令の一部改正について
   電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律
  (平成10年法律第58号)を施行するため、電気通信事業法第21条第3項
  の規定による特別第二種電気通信事業の電気通信設備の規模の基準に関する政
  令委任事項を廃止するため、電気通信事業法施行令の一部を改正する政令案 
  (概要は以下のとおり。)について、郵政省から説明が行われた。
  ・ 電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法
   律により電気通信事業法第21条第3項が改正され、特別第二種電気通信事
   業の要件に係る政令への委任がなくなったため、電気通信事業法施行令第1
   条の規定を削除する。
  ・ 電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法
   律による電気通信事業法の改正により、電気通信事業法施行令の規定の整備
   を行う。

   審議の結果、諮問のとおり改正することが適当である旨の答申を行った。

 キ 事業用電気通信設備規則の一部改正について
   電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律
  (平成10年法律第58号)を施行するため、この法律による改正後の電気通
  信事業法第41条第1項の規定による技術基準に係る事業用電気通信設備規則
  の一部を改正する省令案(概要は以下のとおり。)について、郵政省から説明
  が行われた。
  ・ 電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法
   律による電気通信事業法の改正により、第二種電気通信事業者が新たに設置
   可能となった伝送路設備の技術基準に係る規定の追加等を行う。

   審議の結果、諮問のとおり改正することが適当である旨の答申を行った。

 (2) 決定事項
   電気通信事業部会決定第2号「諮問を要しない軽微な事項について」の一部
  改正(概要は以下のとおり。)について、事務局から説明が行われた。
  ・ 料金が原則届出制となることに伴い、料金認可に関する規定を削除する。
  ・ 原則料金届出化に伴い、特定電気通信役務以外の電気通信役務に係る契約
   約款の設定及び変更の認可に関する事案を類型化軽微案件とする。
  ・ 接続約款の認可に係る事案のうち、個別認定軽微案件としての事例の積み
   重ねにより取扱いが定型化してきている事案について類型化軽微案件とする。

   審議の結果、案のとおり改正する旨決定した。


(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。)



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