《情報:電気通信審議会電気通信事業部会第１６９回会議議事要旨》

電気通信審議会電気通信事業部会第１６９回会議議事要旨

１　日時
　　平成１１年１月２２日（金）　午後２時００分～午後４時４５分

２　場所
　　郵政省審議会会議室（郵政省１２階）

３　出席者（敬称略）
 (1)　委員
　　　齊藤忠夫（部会長）、百﨑英（部会長代理）、醍醐聰、舟田正之、吉岡初子
 (2)　事務局
　　　小野寺敦子審議会室長
 (3)　郵政省
　　　天野定功電気通信局長　ほか

４　議題
 (1)　諮問事項
　ア　エヌ・ティ・ティ移動通信網（株）ほか８社の複数回線複合割引に係る料金
　　の変更を命ずることについて（電気通信事業法第３１条第２項に基づく料金変
　　更命令の発動）
　イ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て〔10.11.27諮問継続〕（接続小委員会の検討結果の報告等）
　ウ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て〔10.12.18諮問継続〕（接続小委員会の検討結果の報告等）
　エ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て（みなし契約事業者に対する宛名情報等の提供）
　オ　（株）テレグローブ・ジャパンに係る第一種電気通信事業の許可について
　　（音声伝送役務、データ伝送役務及び専用役務の提供）
　カ　プライマス ジャパン（株）に係る第一種電気通信事業の許可について（専用
　　役務の提供）
　キ　（株）ケーブルテレビ富山ほか４社に係る第一種電気通信事業の許可につい
　　て（データ伝送役務又は専用役務の提供）

５　議事模様
 (1)　諮問事項
　ア　エヌ・ティ・ティ移動通信網（株）ほか８社の複数回線複合割引に係る料金
　　の変更を命ずることについて（電気通信事業法第３１条第２項に基づく料金変
　　更命令の発動）
　　　電気通信事業法第３１条第１項の規定に基づき平成１０年１１月２４日付け
　　でエヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社ほか８社（以下「ＮＴＴドコモ」とい
　　う。）が届け出た自動車・携帯電話サービス及びＰＨＳサービスの「複数回線
　　複合割引」に係る料金に対し、同条第２項の規定に基づき料金の変更を命ずる
　　ことについての調査結果及び聴聞の結果について、郵政省から説明が行われた。

　　　主な質疑応答等は、以下のとおり。

　　・　現在、携帯電話とＰＨＳ事業を兼業しているのは、ＮＴＴドコモのみであ
　　　るが、他事業者が携帯電話に加えて、ＰＨＳサービスを開始する場合、公的
　　　規制はあるのかとの質問があった。これに対して郵政省から、携帯電話とＰ
　　　ＨＳは役務の種類としては同じ音声伝送役務（電気通信事業法施行規則第３
　　　条）に該当することから、電気通信事業法（以下「法」という。）第９条第
　　　２項第２号の役務の種類を変更する場合には当たらず、変更許可（法第１４
　　　条第１項）は不要となる。ＰＨＳの参入方針策定の際、郵政省では、地域網
　　　との間で公正有効競争条件を確保する必要があるとの観点から、地域網を有
　　　する事業者とは別の事業体で参入していただきたいとの方針を定めているが、
　　　今回のケースはこれに抵触するものではない。ＰＨＳ事業への参入が営業譲
　　　渡（又は合併）による場合には、郵政大臣の認可を必要とし、その認可に当
　　　たっては、役務の種類の変更と同様の基準（法第１０条）で審査を行うもの
　　　であり、ＰＨＳ事業への参入に当たっては、政策上、制度的制約はない旨の
　　　説明があった。

　　・　「電気通信分野における新たな料金制度の運用の在り方」（10.9.8新たな
　　　料金制度の運用等の在り方に関する研究会報告書。以下「報告書」とい
　　　う。）P１４では、「料金の不当性が明白であると判断される場合には、行政
　　　自らが申出によらず料金変更命令を発動することもあり得る」としており、
　　　今回は、事業者からの法第３１条第２項第２号（不当な差別的取扱い）に関
　　　する申出はあったものの原告適格性がなかったが、申出に基づく調査の結果、
　　　第２号の違反が判明したため、行政の自らの判断により命令を行うものであ
　　　ると理解する。報告書ｐ１９では、選択割引料金について、「少なくとも、
　　　増分収支検証を満たす選択割引料金であって、一定の利用態様に該当する利
　　　用者であれば誰でも利用可能なものであれば、『不当な差別的取扱い』には
　　　当たらないと考えられる。」としている。今回のケースでは、増分収支検証
　　　を満たすだけで十分であるとも考えられ、増分収支検証と不当差別の関係に
　　　つき整理を要するとの指摘があった。
　　　　これに対して郵政省から、意見申出については誰でも出来ることとなって
　　　おり特に法令に基づく利害関係は必要なく、また、報告書ｐ１５では、不当
　　　差別については「合理的かつ妥当な理由なく特定の利用者を優遇又は冷遇す
　　　ること」としており、「合理的かつ妥当な理由があるかどうかは、当該サー
　　　ビスのコスト・効用、公正競争条件の確保、社会政策上の観点、社会通念に
　　　照らしながら総合的に判断する」としている。今回のケースでは、将来３年
　　　でのネットレベニューテストはクリアしているが、他のサービスでは長期割
　　　引として割り引かれる分が、今回のサービスでは初年度から一律で割り引か
　　　れることについて、合理的かつ妥当な理由がないと判断したとの説明があっ
　　　た。

　　・　報告書に「少なくとも、増分収支検証を満たす選択割引料金であって、一
　　　定の利用態様に該当する利用者であれば誰でも利用可能なものであれば、　
　　　『不当な差別的取扱い』には当たらない」とあるのは、基本的には推定でき
　　　るという程度であり、それ以前に割引の合理性について問題があると解すべ
　　　きとの意見があった。

　　・　今回のケースは５年間で見ても累損が解消できないものであり、ネットレ
　　　ベニューテストをクリアしているとしても原価割れしているという点で内部
　　　相互補助があり、不当競争に該当するのではないかとの指摘があり、郵政省
　　　から、不当低料金については、「市場価格を下回り、かつ原価を下回る料金
　　　であることが一応の目安となる」（報告書ｐ１９）としており、累損が解消
　　　できないという点では原価割れをしているものの、市場価格を下回っている
　　　とは必ずしも言えないと判断したとの説明があった。

　　・　本件のように加入時から一律フラットという割引料金は、長期契約者から
　　　短期契約者へ内部相互補助を行うことにより、新規利用者に有利な条件を提
　　　示し、新規利用者獲得の市場において競争上優位に立とうとするものであり
　　　競争上問題ではないかとの指摘があり、郵政省から、市場価格より著しく低
　　　いと言えず、直ちに競争上問題があるとは断定できないが、利用者間の公平
　　　を損なうという意味での内部相互補助については、法第３１条第２項第２号
　　　（不当な差別的取扱い）に係るものであり、今回の料金変更命令の対象とし
　　　ているとの説明があった。

　　・　最近の航空会社の例でも、新規参入の路線について既存の航空会社が競合
　　　する時間帯に限って、新規参入事業者の料金の少し上のレベルまで料金を引
　　　き下げたことが、不当な差別料金に当たるのではないか、という問題が提起
　　　されている。
　　　　市場価格を基準とするのは原則であって、既存事業者と新規参入者の間で
　　　は、前者が後者の少し上の料金を設定しても「排除」効果を持つ。この観点
　　　から、完全な競争市場においては市場価格を目安とすることでよいが、市場
　　　支配力を有する事業者については市場価格を下回るという基準は厳しめに見
　　　る必要がある可能性があるとの意見があった。

　　・　ＮＴＴドコモは支配的事業者として市場で有利な地位にあることから、厳
　　　しく審査すべきであるとする意見申出者の立場と、移動通信は自由競争市場
　　　であり、なるべく審査は行うべきでないとするＮＴＴドコモの立場は、そも
　　　そもの議論の前提が異なる。今回のケースは、移動通信市場におけるＮＴＴ
　　　ドコモの優位性が背景になっているものであることは、文書にしないまでも
　　　共通認識を持つ必要があるとのコメントがあった。これに対して郵政省から、
　　　今回のケースでは、不当な競争を引き起こしているとの判断にまでは至らな
　　　かったが、移動通信については、今後市場の状況を注視していく所存との説
　　　明があった。

　　・　シェア５７％で圧倒的優位というのは、一般の消費者には理解するのが難
　　　しく、むしろ、新しい割引サービスを変更命令により規制したとの印象を与
　　　えかねない。規制緩和の流れの中、料金届出制に移行して最初のケースであ
　　　り、「不合理性が明白」という理由について、素人に分かりやすく説明する
　　　必要があるとの意見があった。これに対して郵政省から、ＮＴＴドコモのシ
　　　ェアは全体の中で見れば５７％だが、第二位の事業者のシェアが１３％とい
　　　う点から見てもドコモの地位は卓越したものである。また、変更命令の理由
　　　が分かりにくいとの点については、利用者の理解が得られるように行政の考
　　　え方を明確に示すとともに、割引原資は利用者に適切に還元するということ
　　　を基本原則とすべく事業者への周知にも努めていくとの説明があった。

　　・　独占か競争かは、程度問題であり、かつ流動的である。その具体的な認定
　　　は難しい問題である。しかし、今後の問題として、ＰＨＳと携帯の結合自体
　　　の当否、ＮＴＴドコモあるいはＮＴＴのサービスと結合したサービス、例え
　　　ば、携帯・加入電話と国際通話・長距離通話の間の複合割引などが許される
　　　のかについて、検討すべきとの意見があった。

　　・　今後の市場の状況を注視するための報告を求めるという今回の措置は、公
　　　正有効競争条件確保の観点からのものであるということを明確にする必要が
　　　ある。また、審議会が競争政策上の問題についても十分な議論を行ったこと
　　　を示すために、その旨を答申に加えるべきとの提案があり、了承された。

　　　　審議の結果、諮問のとおり変更を命ずることが適当と認められる旨の答申
　　　を行った。
　　　　なお、現時点では今回の料金設定が電気通信事業法第３１条第２項第３号
　　　に該当するとは断定できないが、今後のＮＴＴドコモとその他の電気通信事
　　　業者（以下「他事業者」という。）との間の公正有効競争条件の確保状況を
　　　注視していくため、ＮＴＴドコモにおいて以下の措置が講じられるよう配慮
　　　することを要望した。
　　　1)　本件複数回線複合割引に係る料金に係るサービス（変更前を含む。）の
　　　　四半期ごとの利用状況（契約数、契約回線数）及び年度ごとの収支状況に
　　　　ついて、サービス開始後３年間、郵政省に報告すること。
　　　2)　複合割引サービスに関する他事業者からの業務提携申込み及びそれへの
　　　　対応の状況について随時郵政省に報告すること。

　イ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て〔10.11.27諮問第５７号及び第５８号継続〕
　ウ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て〔10.12.18諮問第６３号継続〕

　　　イ及びウについて、接続小委員会から、接続約款の変更案に対し提出された
　　意見及び再意見の検討結果について、概要以下のとおり報告があった（接続小
　　委員会の議事概要は、別記１及び別記２のとおり）。

　　　諮問第５８号（公衆電話発信通話の料金回収手続費等）及び第６３号（無線
　　呼出し事業者の発信者課金導入）については、諮問のとおり認可することが適
　　当と認められる。

　　　諮問第５７号（接続料の改定等）については、日本電信電話株式会社（以下
　　「ＮＴＴ」という。）が指定電気通信設備に係る接続約款を変更することにつ
　　いては、諮問のとおり認可することが適当と認められる。
　　　なお、郵政省においては、ＮＴＴの次回の接続料の再計算までに、以下の措
　　置が講じられるよう配慮することを要望する。
　　1)　自己資本利益率の水準についての検討
　　　　次年度以降の自己資本利益率について、平成１０年度における算定結果を
　　　参考とし、ＣＡＰＭモデルの算定期間を含め、その適切な水準の在り方につ
　　　いて引き続き検討すること。
　　2)　作業単金の水準等についての検討
　　　　工事費等の算定に用いられる作業単金の水準等については、その水準や算
　　　定方法につき多様な議論があるので、ＮＴＴ及び接続事業者の意見を聞きな
　　　がら論点を整理した上で、作業単金をめぐる実態の把握、適切な水準の在り
　　　方、低減化策等を検討すること。
　　3)　将来需要・将来原価による算定の検討
　　　　今回の再計算においてＩＳＭ交換機能の網使用料の算定について採られた
　　　将来需要・将来原価による算定方式は、支払額が実績ベースから大きく乖離
　　　することを回避するための有効な手段であるので、その適用範囲の在り方に
　　　ついて検討すること。
　　4)　伝送機能における伝送速度区分の見直し
　　　　接続事業者が効率的なネットワークを構築することができるようにするた
　　　め、接続事業者のニーズを踏まえた区分とすることを検討すること。
　　5)　利用者向け料金・契約約款が準用される範囲の検討
　　　　端末回線の線端接続の条件については、接続料と利用者向け料金との対応
　　　する費用範囲の違いを踏まえるとともに、コスト面等で特段の理由がないの
　　　に接続事業者が不利益を被ることのないようにするとの考えのもとに、利用
　　　者向け料金・契約約款が準用される範囲について検討すること。
　　6)　預かり保守契約の在り方についての検討
　　　　預かり保守契約（コロケーション）の在り方については、ＮＴＴの通信用
　　　建物のボトルネック性に配意しながら、ＮＴＴが設置に応じるべき装置の範
　　　囲及びその設置条件を明確化するとともに、管路・とう道の利用条件の在り
　　　方について引き続き検討すること。

　　　　審議の結果、諮問第５８号及び第６３号については、諮問のとおり認可す
　　　ることが適当と認められる旨の答申を行い、諮問第５７号については、接続
　　　小委員会報告書の内容を答申書に記すこととし、それらの措置が講じられる
　　　よう配慮することを要望する旨付記し、諮問のとおり認可することが適当で
　　　ある旨の答申を行った。

　エ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て
　　　日本電信電話（株）からの指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可の
　　申請（概要は以下のとおり。）及び審査結果について、郵政省から説明が行わ
　　れた。
　　・　申請者　日本電信電話株式会社（代表取締役社長　宮津　純一郎）
　　・　申請内容
　　　　みなし契約事業者に対する新たな方式によるあて名情報等の提供

　　　　審議の結果、本件接続約款の変更案については、「接続に関する議事手続
　　　細則」の規定に従い、報道発表するほか、インターネット等に掲載するなど
　　　して公告し、関係者から意見の聴取を行った上で、接続小委員会での検討結
　　　果の報告に基づき審議を行い、適切な答申を行うこととされた。
　　　　なお、本件については、既に事業者間で合意している内容であり、接続事
　　　業者に与える影響は少ないと考えられることから、再意見の聴取は行わない
　　　こととされた。

　オ　（株）テレグローブ・ジャパンに係る第一種電気通信事業の許可について
　　　（株）テレグローブ・ジャパンからの第一種電気通信事業の許可の申請（概
　　要は以下のとおり。）及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
　　・申請者　　（株）テレグローブ・ジャパン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（代表取締役　リック・ニッコーネ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　代表取締役　青井　浩也）
　　・資本金　　１，０００万円
　　・電気通信役務の種類　　音声伝送役務、データ伝送役務及び専用役務
　　・電気通信役務の態様　　国際電気通信役務（固定）
　　・業務区域　　東京都江東区（相互接続により全国で通信可能）
　　・取扱対地　　米国、カナダ
　　・事業開始予定年月日　　平成１１年(1999年)７月３１日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（データ伝送及び専用役務）
　　　　　　　　　　　　　　平成１２年(2000年)１月３１日（音声伝送役務）

　　　審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。

　カ　プライマス ジャパン（株）に係る第一種電気通信事業の許可について
　　　プライマス ジャパン（株）からの第一種電気通信事業の許可の申請（概要は
　　以下のとおり。）及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
　　・申請者　　プライマス ジャパン（株）
　　　　　　　　　　　　　　（代表取締役社長　ティモシー・エス・ウィート）
　　・資本金　　１，０００万円
　　・電気通信役務の種類　　専用役務
　　・電気通信役務の態様　　国際電気通信役務（固定）
　　・業務区域　　東京都新宿区、神奈川県中郡二宮町
　　　　　　　　　（相互接続により関東１都７県及び静岡県（富士川以東）で通
　　　　　　　　　　信可能）
　　・取扱対地　　米国、カナダ、メキシコ、英国、ドイツ、豪州
　　・事業開始予定年月日　　平成１１年(1999年)４月１日

　　　審議の結果、諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を行った。

　キ　（株）ケーブルテレビ富山ほか４社に係る第一種電気通信事業の許可につい
　　て（データ伝送役務又は専用役務の提供）
　　　（株）ケーブルテレビ富山ほか４社からの第一種電気通信事業の許可の申請
（概要は以下のとおり。）及び審査結果について、郵政省から説明が行われた。
　(ア) （株）ケーブルテレビ富山
　　・申請者　　（株）ケーブルテレビ富山（代表取締役社長　谷　正雄）
　　・資本金　　１８億７，０００万円
　　・電気通信役務の種類　　データ伝送役務
　　・業務区域　　富山県富山市（一部を除く。）
　　・事業開始予定年月日　　平成１２年（2000年）１月１日

　(イ) （株）ケーブルテレビ神戸
　　・申請者　　（株）ケーブルテレビ神戸（代表取締役社長　永田　秀雄）
　　・資本金　　２０億円
　　・電気通信役務の種類　　データ伝送役務
　　・業務区域　　神戸市須磨区、垂水区、長田区、西区（一部）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　及び兵庫区（一部）
　　・事業開始予定年月日　　平成１１年（1999年）７月１日

　(ウ) （株）ジュピター関西
　　・申請者　　（株）ジュピター関西（代表取締役社長　清水　卓）
　　・資本金　　１億円
　　・電気通信役務の種類　　データ伝送役務
　　・業務区域　　兵庫県宝塚市、川西市及び猪名川町
　　・事業開始予定年月日　　平成１１年（1999年）４月１日

　(エ) 北ケーブルネットワーク（株）
　　・申請者　　北ケーブルネットワーク（株）（代表取締役社長　草野　杏平）
　　・資本金　　２０億円
　　・電気通信役務の種類　　データ伝送役務
　　・業務区域　　東京都北区
　　・事業開始予定年月日　　平成１１年（1999年）１０月１日

　(オ) 名古屋ケーブルネットワーク（株）
　　・申請者　　名古屋ケーブルネットワーク（株）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（代表取締役社長　古川　爲之）
　　・資本金　　２７億円
　　・電気通信役務の種類　　専用役務
　　・業務区域　　名古屋市（一部を除く。）、師勝町及び豊山町
　　・事業開始予定年月日　　平成１１年（1999年）５月１日

　　　審議の結果、いずれも諮問のとおり許可することが適当である旨の答申を
　　行った。


（別記１）

　　　　　　　　　第１１回接続小委員会(10.12.25)議事概要


１　日本電信電話(株)の接続約款の変更案（諮問第５８号）に対し提出された意見
　について

　　テレホンカード作成費用に関し、将来需要・将来原価販売額に応じて費用を計
　算していることについて、事業者から、テレホンカード作成は１枚毎に費用がか
　かるものであり販売枚数に応じて費用計算すべきとの意見が出され、事務局から、
　子会社にテレホンカード作成を委託する上で、販売額見合いで費用を支払ってい
　る旨の説明があり、これについて委員から、実際に枚数毎にかかる費用と販売額
　に応じた費用が発生していることから、申請内容が不当とは言えないという意見
　があった。

２　日本電信電話(株)の接続約款の変更案（諮問第５７号）に対し提出された意見
　について

 (1)　平成９年度精算用料金について
　　　平成９年度接続料の精算用の料金の算定に平成９年度の税率及び自己資本利
　　益率等を用いることについて、委員から、省令上は平成１０年度料金で精算す
　　ることとされているのに、平成９年度の比率を用いた理由について質問があり、
　　事務局から、平成９年度の接続料を精算するための料金の算定にその９年度の
　　税率等を用いることに合理性があるとの説明があった。

 (2)　ＩＳＭ交換機能の将来原価を用いた算定について
　　　今回ＩＳＭ交換機能の料金算定において将来原価を用いて算定したことにつ
　　いて、委員から、どのような場合に将来原価を用いることが認められるかにつ
　　いて明示すべきとの意見があった。これについて事務局から、将来原価算定を
　　認めるべきか否かについては、個別具体的に判断すべきものであるとの説明が
　　あり、委員から、可能な範囲で考え方を示すべきとの意見があった。

 (3)　ユーザ約款準用
　　　線端接続について、ユーザ約款の準用がなされる場合に、休止措置等一般の
　　ユーザに認められる条件が接続事業者に対しても適用されるべきとの意見につ
　　いて、委員から、更に検討すべきとの指摘があった。

 (4)　コロケーション
　　　ＮＴＴ局舎内における事業者同士の接続の可否について、委員から、前向き
　　な対応が可能となるような解決策がとられるよう、ＮＴＴに対して要望すべき
　　ではないかとの指摘があった。

 (5)　管路・とう道
　　　とう道の料金について、条数毎の料金が予め示されていない点については、
　　事業者の経営にとって問題ではないかとの指摘があり、事務局から、とう道に
　　おいては、収容ケーブル条数が一定ではなく、現状では条数毎の算定が困難で
　　ある旨の説明があった。

 (6)　ユーザ料金と接続料の関係
　　　ＩＳＤＮの接続料とユーザ料金の関係について、委員から、卸が小売りより
　　高ければ反競争的という議論も有り得ることから、詳細について更に議論する
　　余地があるとの指摘があった。

 (7)　作業単金
　　　作業単金の水準に関し、委員から、算定の根拠となっている人件費の他産業
　　との比較等、今後検証の余地があるとの指摘があり、事務局から、今後の検証
　　の方法については検討していく旨の説明があった。

 (8)　料金水準
　　　委員から、料金が大きく変動している項目について、その要因についての質
　　問があり、事務局から、ＩＣ交換機を地域事業部の資産としたことや、公衆電
　　話におけるトラヒック減といったことが考えられる旨の説明があった。


（別記２）

　　　　　　　　　 第１２回接続小委員会(11.1.20)議事概要


１　日本電信電話(株)の接続約款の変更案（諮問第５７号）に対し提出された意見
　ついて

 (1)　料金水準
　　　日本の接続料は他の市場の料金と比較して同レベルではないとの意見に関し、
　　委員から、諸外国との比較は一概には困難であるかもしれないが、行政当局等
　　において研究を行っていくことが必要であるとの指摘があった。

 (2)　作業単金
　　　外部委託の存在などを考慮すればＮＴＴの作業単金は割高であるとの意見に
　　関し、作業単金の在り方に関する明示的なルールは存在しないが、事業者から
　　指摘された論点について整理して検討することが必要であるとの指摘が委員か
　　らあった。

 (3)　コロケーション
　　　二種事業者の接続に必要な装置のコロケーションやコロケーションの利用目
　　的の制限の問題について、私的自治の原則により解決すべきとするＮＴＴの運
　　用は柔軟さを欠くと思われる面があり、より柔軟な形にルール化が図られるべ
　　きであるとの指摘があった。

 (4)　減価償却
　　　減価償却費用が操作されることのないよう、減価償却期間について、特に精
　　査すべきとの意見について、現在用いている耐用年数は、ＮＴＴの調査におい
　　て実態に即したものとの結論が得られたものではあるが、接続料における減価
　　償却費のウェイトは高く、常時その実態を注視する必要があるので、郵政省に
　　おいて、設備の効率的配置や耐用年数の適正化について調査していくべきであ
　　るとの指摘があった。

 (5)　利用者向け料金との関係
　　　利用者向け料金がネットワークコスト等を上回っていることを検証すべきと
　　の意見に関し、利用者向け料金の一部分をとらえて接続料と比較するのは適切
　　ではないが、利用者向け料金が全体としてコストを下回った競争阻害的なもの
　　になるべきではないとの指摘があった。

 (6)　中継伝送機能（専用型）
　　　同一局舎内に終始する中継伝送機能の伝送速度区分が、６Ｍｂ相当から５０
　　Ｍｂに料金が急激に変化する点について、システム対応上、当面はやむをえな
　　いが、次回再計算時までに見直すべきとの指摘があった。

 (7)　利用者向け料金の準用
　　　端末回線線端接続において利用者向け料金の準用を早期に改め、他の接続料
　　と同様の基準によって算定をするべきとの意見に対し、ＮＴＴから、一般契約
　　者と同一提供形態であるため利用者向け料金を適用しているとの再意見が提出
　　されたが、委員から、利用者向け料金が適用される範囲について検討が必要で
　　ある旨の指摘があった。

 (8)　将来需要・将来原価による算定
　　　番号案内サービス接続機能についても将来のコスト低減を合理的に織り込ん
　　で欲しいとの意見に関し、ＮＴＴから、番号案内トラヒックが激減状況にあり、
　　コスト未回収の危険性があるとの再意見が提出された。これに関して委員から、
　　将来需要・将来原価の適用の可否について、今後検討が必要であるとの指摘が
　　あった。

 (9)　管路・とう道
　　　全国一律の料金とすべきとの意見に関し、ＮＴＴから、指定電気通信設備を
　　持つ事業者が県域を単位に指定されていること等を総合的に勘案し、県域の料
　　金としているとの再意見が提出された。これに関して委員から、地域毎の資産
　　格差等を考慮すれば、当面地域毎の料金算定には妥当性が認められるが、公平
　　性の観点からも今後の在り方について検討すべきとの指摘があった。

２　日本電信電話(株)の接続約款の変更案（諮問第６３号）に対し提出された意見
　　について

　　事務局から、本件については、事業者間で合意がなされているが、将来的な希
　望を表明する意図から、エンド・エンド料金の設定、業務委託の解消等の要望が
　提出されている。これらの問題については、一義的には事業者間の協議に委ねら
　れるべきものであるとの説明が行われ、委員から、今回の申請案については認可
　することが適当ではないかとの指摘があった。


　　　（文責：電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。）