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接続料算定の在り方に関するヒアリング議事要旨(平成11年11月29日公表)






1 日時
  平成11年11月12日(金) 午前10時00分〜午後12時45分

2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)
 (1) 委員
   醍醐聰(主宰者代理)、岡野行秀、佐藤治正、藤原淳一郎  (以上4名)
 (2) ヒアリング対象者
   東京通信ネットワーク株式会社 代表取締役社長 岩崎克己 ほか1名
   米国競争的通信事業者4社グループ
    MCIワールドコム米国本社制度担当上席アナリスト
                         マーク・T・ブライアント
    MCIワールドコム・ジャパン株式会社
                   代表取締役社長 ウィリアム・シールズ
    KVHテレコム有限会社代表取締役社長 松本洋
    PGEジャパン株式会社代表取締役社長 北畑耕一
   ブリティッシュテレコミュニケーションズ
    BTワールドワイド政策・渉外担当副社長 ラリー・ストーン ほか1名
   ケーブルアンドワイヤレスIDC株式会社
              代表取締役社長 サイモン・カニンガム ほか1名
 (3) 事務局
   仲矢徹審議会室長
 (4) 郵政省
   天野定功電気通信局長、有冨寛一郎電気通信事業部長、田中栄一電気通信事
  業部業務課長、横田直人電気通信事業部業務課企画官

4 議事模様
 (1) 東京通信ネットワーク株式会社(以下「TTNet」という。)から、資料
  に基づき説明が行われ、その後質疑応答を行った。主な内容は以下の通り。

  ア 委員から、「NTTの再編について、既に配置を決定した現段階で人員配
   置の最適化を主張する意味は何か」、との質問があり、「営業関係でNTT
   長距離はNTT東西に委託している点、NTT東西における人員合理化をも
   っと進めるべきとの趣旨である」、との回答があった。
  イ 委員から、「接続料を下げないほうが、NTTのユーザ料金を安く提供で
   きる、ひいては、インターネットの発展によりつながるとの新聞論調につい
   てどう思うか」、との質問があり、「TTNetが自ら地域網を作ることは
   高くつくので、NTTの接続料を引き下げて競争を起こす方がスピーディで
   あり、早くインターネット普及が図れる」、との回答があった。
    この回答に対し委員から、「自分で地域網を作ることが高くつくというこ
   とだとすると、TTNetが自分でネットワークを作る時は、モデルの長期
   増分コストでは無理ということか」、との質問があり、「自らやると高くつ
   くかもしれないが、NTTは既にネットワークを持っていることから、既存
   設備を前提にすればコストは高くないのではないか」、との回答があった。
    この回答に対し委員から、「既存設備を前提にするのは、(トップダウン
   モデルの考え方で)フォワードルッキングコストにならない」、との指摘が
   あった。
  ウ 「き線点RTコストの帰属先がどうなってもユーザ料金のトータル・コス
   トは変わらない」、との主張に対し、委員から、「トータル・コストを基本
   料で回収するか、通話料、接続料で回収するかはユーザーの需要特性いかん
   で非中立的に作用する場合もある。現に、料金体系の決定にあたって、この
   点について社会的配慮がなされている」、との指摘があった。
  エ 委員から、「NTTの近年の接続料引き下げはどのようにTTNetの料金引
   き下げとして還元されているのか」、との質問があり、「市内は、接続料負
   担が重く下げられないが、市外・国際では料金引下げを行ってきている」、
   との回答があった。
  オ 郵政省から、「き線設備の光化により加入者線のトータル・コストは下が
   るはずだとの主張だが、これを裏付ける具体的な計数はあるのか」、との質
   問があり、「数字は持ち合わせていないが、加入者線光化によりトータル・
   コストは下がるはずである。基本料値上げのみにスポットをあてるのではな
   く、通話料部分の値下げにも着目すべきである」、との回答があった。

 (2) 続いて、米国系競争的通信事業者グループ(MCIワールドコム株式会社、
  グローバルワンコミュニケーションズ株式会社、KVHテレコム有限会社、P
  GEジャパン株式会社)から、資料に基づき説明が行われ、その後質疑応答を
  行った。主な内容は以下の通り。

  ア 委員から、「1接続料が下がるとNTTの設備投資が落ちるのではないか、
   2フォワード・ルッキング・コストに比較してNTTの接続料が高ければ、
   自前で光ファイバ加入者線を敷いて競争を挑めばよいではないか」、との質
   問があり、それぞれ、「1トラヒックが増加していないのは競争市場が確立
   されていないためであり、競争が市場の需要を喚起すると考える、2実際に
   自前の加入者回線敷設を行った競争が起きているが、線路敷設が難しい面が
   ある」、との回答があった。また、「線路敷設関係について、日本の場合は、
   建設のスピードも遅く、既設の管路利用やビル引き込みも困難。接続料の問
   題は氷山の一角、インターネット普及を果たすためにはケーブル敷設時の障
   害を除くべきである」、との説明があった。
  イ 委員から、「NTTの振替料金と他事業者の接続料金は公平であるから、
   その水準が高いという主張はありえても、反競争的であると主張するのは意
   味が分からない」、との質問があり、「日本市場に大型の参入がないのは、
   NTTの側に競争に対するアクションがないためである。LRICがその契
   機をもたらす。現在の接続料は、競争と新規参入を阻んでいる。それが、N
   TTのコスト高を助長させている。また、NTTの接続会計において、管理
   部門が3,000億円(注:正確には4,670億円)の黒字で、利用部門が二千数百
   億円(注:正確には2,340億円)の赤字となっており、管理部門の黒字額が
   多すぎる。この点において反競争的と言えるのではないか」、との回答があ
   った。
  ウ 一社から、「モデルのケースBを即時に導入してほしい。モデルの見直し
   を定期的に行ってほしい」、との意見があった。
  エ 委員から、「ニューヨークでは1つのビルに13社がサービス提供している
   という事例紹介があったが、それは永続的なものか」、との質問があり、「
   おそらく永続的だと予想している」、との回答があった。
  オ 委員から、「耐用年数の日米の違いは両国の会計制度の下での財務上の基
   準自体の違いに過ぎないのではないか」、との質問があり、「会計制度上の
   違いではなく、米国では3つの主体(事業者、FCC、州公益事業委員会)
   が関与して合理的な耐用年数を決めている」、との回答があった。これに対
   し委員より、「研究会モデルは実務者が協議して決めた経済的耐用年数を用
   いている。諸外国間でも米国とスイスでは違う。どちらが合理的かは一概に
   言えないのではないか」、との指摘があった。

 (3) 続いて、ブリティッシュテレコミュニケーションズ(以下「BT」という。)
  及びケーブルアンドワイアレスIDC株式会社から、資料に基づき説明が行わ
  れ、その後質疑応答を行った。主な内容は以下の通り。

  ア 委員から、「ケースBを直ちに導入し、LRICの段階導入やプライス・
   キャップは望ましくないとBTは主張しているが、BTは英国でプライス・
   キャップによる導入を受け入れているのではないか」、との質問があり、「
   英国においてはLRIC導入前の5年間で毎年15%ずつ低下していた。L
   RICはその後導入され、接続料は更に27ないしは28%下がった。この
   LRICはトップ・ダウン、ボトムアップの調整した結果に基づくもの。プ
   ライスキャップはその後で導入された。プライスキャップはLRIC導入後
   に実施されることが望ましく、利用者利益にも適う」、との回答があった。
  イ 委員から、「日本の資産の耐用年数は短すぎるというが、資料ではEU諸
   国の接続料水準はよく揃っている。EU諸国間での耐用年数の差異はどの程
   度であり、それは議論になっているのか」、との質問があり、「EU諸国の
   比較表は価格に関するものであり、コストに関するものではない。EUの価
   格はLRICによる国もそうでない国もある。現在、加盟国間で耐用年数に
   関する議論があるか否かは承知していないが、導入検討中の国では議論があ
   るだろう」、との回答があった。

 本ヒアリングにて配布された資料は次のアドレスをご覧下さい。
 「http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/telecouncil/iken/index.html」

                      (文責:電気通信審議会事務局)



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