会議資料・開催案内等

情報通信審議会 情報通信技術分科会(第23回)議事録


 

 
 
第1   開催日時及び場所
平成15年11月27日(木)  15時30分〜16時20分
於、総務省8階第一特別会議室

第2   出席した委員等(敬称略)
(1)   委員
齊藤 忠夫(分科会長)、川田 隆資、酒井 善則、清水 英一、高畑 文雄、土居 範久、土井 美和子、名取 晃子、中川 正雄
(以上9名)

第3   出席した関係職員
(1)   大臣官房 鬼頭 達男(技術総括審議官)
(2)   情報通信政策局 
稲田 修一(技術政策課長)、金谷 学(通信規格課長)
(3)   総合通信基盤局 
有冨 寛一朗(総合通信基盤局長)、竹田 義行(電波部長)、
鈴木 康雄(電気通信事業部長)、河内 正孝(電波政策課長)、
児玉 俊介(電気通信技術システム課長)
(4)   事務局 山川 鉄郎(情報通信政策局総務課長)

第4   議題

(1)   「電気通信事業における緊急通報機能等の高度化方策」について【諮問第2015号】

(2)   周波数の再編方針について

(3)   委員会の設置について


開会

齊藤分科会長  それでは、ただいまから情報通信技術分科会第23回会議ということで開催いたします。
  本日は委員15名中9名が出席しておられますので、定足数を満たしております。
  本日は公開して会議を行っております。傍聴者の方々は、申すまでもございませんが、留意事項をお守りいただきまして、静粛に傍聴くださいますようにお願いいたします。
  いつものとおりでございますが、本会議の模様はインターネットにより中継しているということでございますので、ご了承をいただきたく存じます。

議題

 
(1) 「電気通信事業における緊急通報機能等の高度化方策」について(平成15年11月27日諮問第2015号)

齊藤分科会長    それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいります。
  本日の案件でございますが、諮問案件が1件、報告案件が1件、委員会の設置が1件、合計3件でございます。
  それでは、まず諮問第2015号の「電気通信事業における緊急通報機能等の高度化方策」についての審議をいたします。
  総務省からご説明いただきたいと思います。
児玉電気通信技術システム課長    電気通信技術システム課長の児玉でございます。
  資料1の表紙を1枚おめくりいただきまして、2枚目の諮問理由等、こちらのほうをご覧いただきたいと思います。近年、携帯電話の普及に伴いまして、緊急通報全体の中に占める携帯電話からの通報の割合が急増してきております。具体的な数字を申し上げますと、110番の場合は昨年890万件の緊急通報があった。消防の119番の場合は約850万件です。特に110番の通報についてはこのうち半数以上になっておりまして、固定電話からの緊急通報を超えているという状況になっております。こうした警察、消防、あるいは海上保安庁のような緊急通報受理機関、こちらにとりまして初動態勢といいますか、迅速な対応を行うためには通報者の位置、これを把握することが極めて重要になっております。
  固定電話の場合につきましては、現在NTTの加入者データベースへのアクセスというものが緊急通報機関のほうからできまして、発信者の住所というものを特定できる仕組みになっております。しかしながら、携帯電話におきましては端末の位置が刻々と動くというようなことから、位置情報の通知というものがまだ実現されていない状況にあります。
  一般に緊急通報、110番とか119番を通報する人は気が動転していたり、あるいは地理に不案内だということで、通常の通話以上に位置情報というものが、通話による場合は非常に、満足に警察のほうに届かない場合があるということがあります。したがいまして、通話によるものではなくて、データとして自動的に位置を伝送する仕組みというものが必要だろうということで、携帯電話からの緊急通報における発信者の位置情報を通知する機能、これを早期に実現することが期待されているわけでございます。
  こういう状況を踏まえまして、実は今年の7月に、「電気通信事業における重要通信確保の在り方に関する研究会」で取りまとめていただきましたが、こちらの報告書の中でも、円滑な導入に向けて取り組むことが必要であるという提言が行われております。分科会の委員であります土居先生に一応ジャッジをやっていただいた研究会でございます。また、こういった状況を受けまして、「e−Japan重点計画−2003」においても、本施策が迅速かつ重点的に実施されるべきであるということがうたわれております。
  次のページに、図をご覧いただきたいんですけれども、これは全体の仕組みでございます。タイトルにあります、携帯電話からの緊急通報における発信者位置情報通知機能のイメージということですが、図の左のほうに携帯電話端末あるいは基地局がありますけれども、ここで、まず発信者の位置を測位する、この測位するときの方式、吹き出しの2)のところに書いてありますけれども、GPSによる測位方式、あるいは、基地局のほうでその端末の位置を測定するような方式、こういったものも考えられます。あるいはまた、測位精度というものをどの程度にするべきか、このようなことを、技術的な検討を行う必要があろうと思っております。
  そこで測位した情報というものを、データチャネルを使いまして携帯電話のネットワークに送るわけですけれども、携帯電話のネットワークのほうでは位置情報のサービスのプラットホーム、ここでは測位サーバという、図の中にありますけれども、ここに情報が行きまして、ここから、図の下のほうに緊急通報受理機関がございますけれども、警察、消防、海上保安庁のほうに、データチャネルを使ってそのデータが行く。
  吹き出しの3)のところをご覧いただきますと、どんな情報を送るかということ、あるいはどのようなデータフォーマットで送るかということを統一しておく必要があります。といいますのは、携帯事業者3社ないし4社から、いろんな方式で警察なり消防にデータが送られるということになりますと、警察、消防のほうの指令台がそれぞれの方式に対応しなきゃいけないということになりますので、ここの携帯事業者から緊急通報受理機関に行くところのデータの形式なりというものは、大体統一しておくことが必要だろうと考えられます。
  それから、もう一つ重要なポイントとしましては、左の通報者の図がありますけれども、通報者のところの括弧書きがございますが、位置情報というのは極めてプライバシーの高い個人情報に相当しますので、例えば捜査令状とか、何らかの違法性阻却理由があるときを除いては、本人の同意がないと、事業者が勝手にその情報を第三者に送ることはできないということが、現在の法令の枠組みの中で決まっております。したがいまして、本人がはっきり位置情報を通知するということに同意して送るということが必要ですので、そういった操作方法、もちろんそのときに簡便な操作方法というのが必要なわけでございますが、そういった視点から、どのような方法で送ったらいいかということもあわせて考えていただく必要があろうと思っております。
  以上のようなことで、全体、仕組み自体は簡単ですけれども、ある一定の標準化というものが必要なところがあるということで、検討をお願いしたいと思っております。参考までに、右上のほうに位置情報利用者というのがありますが、既にご案内のとおり、携帯事業者によっては位置情報を用いた付加サービスが行われておりまして、事業者によっては、特に警察に限らず、いろんなところに使う。むしろ今後はそういう展望というか、多様なサービスが出てくるだろうと思いますので、そういうものもにらみながら、ある程度技術的な方式というものを統一することによって、経済的なシステムを構築できるということもあろうと思います。そういう意味で、そういうことも視点に入れつつ検討していただきたいと思っています。
  1枚前に戻っていただきまして、以上のようなことから、2の「答申を希望する事項」の1)、「携帯電話からの緊急通報における発信者位置情報通知機能に係る技術的条件」というものをご答申いただきたい。3の「答申を希望する時期」としては、大体来年の6月ごろには本件についての答申をいただきたいというふうに思っております。
  それから、あわせましてもう1件、この諮問の中で検討していただきたいと思っている事項としまして、「1  諮問理由」の第3パラグラフの「また」以降ですけれども、また、今後IP電話など普及が見込まれるIPネットワークについても、緊急通報の効率的かつ確実な実施を可能とするための技術開発、あるいは国際標準化、これはインターネットのIETFのほうで主に検討が進められておりますけれども、こういった動向を踏まえつつ、必要な機能の実現方式、技術的な方式について展望するということがあわせて求められると考えております。
  具体的に機能として考えられますものは、IP電話というのは、発信元のIP端末の所在地というものがネットワーク側からわからないという本質的な問題がありまして、警察なら警察、消防なら消防、全国で合わせて約950カ所あるんですけれども、どこの警察署あるいは消防署に接続するべきかということをネットワークのほうで判断しなきゃいけないということから、最寄りの署への接続というものをどのように行うかということ、それからまた、さらに高度な機能としては、現在固定電話では実現できております回線の保留というもの、あるいはコールバック、それからまた、どんなに通信の規制が行われても110番、119番だけは優先的に接続すると、こういった機能についてもあわせて実現するための技術的な方式というものがどういうものかをご検討いただきたいと思っております。これにつきましては、2の「答申を希望する事項」の2)、「IPネットワークにおける緊急通報等重要通信の確保方策」ということで、ご答申いただきたいと思います。3の「答申を希望する時期」としては特に明示しておりませんが、大体来年の末を目途にご答申いただければと思っております。
  以上、最終的に4番ですけれども、「答申が得られたときの行政上の措置」としましては、今後の電気通信行政における重要通信の確保のための施策に資するということにしたいと思っております。
  以上、諮問したい案件でございますので、よろしくご審議のほうをお願いします。
齊藤分科会長    ありがとうございます。
  ということでございますが、何かご質問、ご意見はございますか。
  ちょっと私、質問させていただきたい。プライバシーというのは非常に重要だと思うので、いろんな配慮をしなきゃいけないと思っての質問で、徘回老人システムなんてありますよね。あれは自動的に位置を出すんですよね。徘回老人だからいろんなことはできないから、自動的にする必要がある。インターネットITSなんていうのは、今どこをどの速度で走っているというのを出しますよね。ああいうのは、プライバシー保護の解釈はどうなっているんですか。法令に何と書いてあって、どうならばそれが法的にやっていいと認められる場合は、何か。
児玉電気通信技術システム課長    個人情報保護に関するガイドラインについてちょっとご紹介いたしますと、これは平成10年の旧郵政省の告示でございますけれども、位置情報につきましては、電気通信事業者は情報主体の同意がある場合、それから、裁判官の発布した令状に従う場合、あるいは、逆探知の一環として提供する場合、その他違法性阻却理由がある場合を除いては、位置情報を他人に提供してはならないということがあります。したがいまして、本人の同意があればいいわけですので、徘回老人であれば、個別のサービスに加入するときに、おそらく加入者が、どこに対して情報提供するかということを合意した上で契約をするということになっているのではなかろうかと思います。あとは、常にそれを包括的に知らせていいよとするか、それに加えて、さらに呼ごとにこれは送る、送らないということを決めるか、それもシステム的にはおそらくできることになっていると思います。
  いずれにしても、この情報については回線ごと、つまり加入者ごとにどちらにするかというのを選択できることが1つ、それからもう一つは、呼ごとに送る、送らないということを選択することが1つという2つの条件が満たされなければならないということになっています。
齊藤分科会長    そうすると、徘回老人システムみたいなものとの類似でいけば、私は110番したらいつでも知らせていいよというふうに契約しておけば、ボタンを押さなくてもいいことになるんですか。
児玉電気通信技術システム課長    そこは、一つの例で言うと、端末を初期設定するときに、いつも自分は知らせていいよというふうに設定しておくというのが考えられます。ただし、それに加えて、このコールだけは送りたくないというときには技術的に意思を確認し、止める仕組みが必要になります。
齊藤分科会長    「184」みたいなね。
児玉電気通信技術システム課長    例えばそうです。そういうことでとめるという工夫を技術的にはやっておかなきゃいけないということです。
齊藤分科会長    それはあるでしょうね。ということだそうですが。どうぞ。
名取委員    緊急通報ということですけれども、携帯電話によっては、時々圏外で通じないという場合もあるかと思いますけれども、そういうときには、そこの地域に使えるほかの携帯電話のそれを通って緊急通報できるというようなことも可能なのでしょうか。
児玉電気通信技術システム課長    ちょっとよくわからなかったんですけど、ケンガイだと使えないというのは、ケンというのは都道府県じゃなくて、エリアの外ということですか。
名取委員    もちろんそうです。
児玉電気通信技術システム課長    電波の届かないところであれば、それは……。
名取委員    いや、それは携帯電話の契約するところによって、例えばNTTのドコモだと通じるけれども、ほかだと通じないというところもありますね。そういうような場合、例えば通じないところで緊急通報をした場合、契約を結んでいないところを経由して通ずることができるのかという質問です。
児玉電気通信技術システム課長    やはり契約した端末の基地局との間でしか通信ができませんので、それ以外の事業者のエリアに入っていても、そこは基本的には通信はできないことになっていますので、それは残念ながら無理です。
齊藤分科会長    そうしたいなら、この間マドリードでITSワールドコングレスというのがあって、そこでおもしろいアイデアを持っている人がいて、壊れてもいいからそのときだけ100ワット出す、出して壊れる、そういうふうなものをつくるべきだと主張している人がいました。いいアイデアだと思います。110番だけ100ワット出すというのはすごいと思うんだけど、そういうものをつくってくれる人がいたら、どうしますか。そういうこと、必要かもしれないね。そのかわり壊れる。
児玉電気通信技術システム課長    無線の混信等の問題がなければということですから。
齊藤分科会長    混信等の問題というより、とにかく緊急ですからね。ですから、全員がやり出すと困るけど、大地震の場合なんか困るけど、泥棒だとか火事だとかいう場合は、ほんとうはそういうことがあってもしかるべきだ、できるかどうかは別だけどね。そうあるべきだと主張している人がいた。すみません、私は大変難しいと思いますけど。これからいろんなアイデアが出てくるでしょう。そのかわり壊れるんですよ。それはそうだよね。
  ごめんなさい、余計なことを言いました。
土井委員    非常に重要なことだと思うのであれなんですが、一つ測位精度という点で、どの程度の測位精度であれば緊急のときの位置情報として有用なのかという、そのあたりの目安というのがついているんでしょうか。私もビジネスで道案内のサービスとかさせていただいたので、結構こういうところ、いろいろ歩いてみたんですけど、なかなか使えないという部分もあって、特にGPSとかは、ビルの陰に行くと衛星が見えなくなりますので使えないとか、場所によっていろいろあるので、そのあたり、どの程度の目安であれば使えるんでしょうか。
  すみません、ちょっと教えていただければ。
児玉電気通信技術システム課長    まさにそれも審議の中で、警察、消防、海上保安庁等の要求条件、これがどうなるかということによるわけですけれども、今我々が聞いているところによりますと、例えば警察官が現場に出て見渡せる範囲というのが大体30メートルぐらいのようなんです。そうしますと、やはり数十メーター程度の精度というものはどうしても欲しい。ただ、さらに精度のことを言うと、例えば救急車を派遣するときに、高速道路の上り車線か下り車線かまで識別するとなると、もっと精度がよくなきゃいけないんです。一方、消防庁とか海上保安庁には、実はそのあたりは詳しく聞いていないですけれども、おそらく火事であれば、もう少し遠くからでも見渡せるとか、海の上であればもっと見渡せるようですので、そういう意味では要求条件は多少違うと思います。結果的には警察が一番厳しいだろうなということで今のような数字があります。
  あと、ちなみに現在、auの場合は既にGPS対応端末がありまして、ほとんどの場合、数十メートルの精度でできているようでございますので、そういう意味では、実際の要求条件に合った形で、無理のない精度、数十メートルというのは可能ではないかというふうに考えております。
  それから、もう一点補足しますと、今おっしゃったとおりビル陰とか、あるいは屋内に入ってGPSが見えないということになりますと、これはもう基地局のほうで測位せざるを得ませんので、実際のシステムとしては、GPSと基地局のほうから測位するものとの併用でやらざるを得ないだろう。そうすると、GPSが3つないし4つ見えないようなところでは、どうしても精度が落ちるのは仕方ない。そういう意味で、数十メートルというのがある確率ではもっと広がったり、あるいはほんとうにいい状態であれば数メートル程度でも大丈夫となるように。大体そんな感じだと思います。
土井委員    どうもありがとうございます。でも、数十メートルというと、通りが数本ずれたりとかしますので、そういう点では、ちょっと心配しています。
  あと、もう一点よろしいですか。今、携帯電話ということですけれども、先ほどお話の中にありましたように、自動車というのもそういう意味で大事かと思うんですけれども、自動車に関しては今回は入らないんでしょうか。自動車の中にも結構いろんな端末、携帯電話ではないですけれども、ナビゲーション用の端末とか、入っておりますよね。そういうものを使うとかいうことで、対象にはならないんでしょうか。
児玉電気通信技術システム課長    あくまで110番、119番への通報をしたときに、その位置の情報を送るという仕組みですので、もし、自動車なら自動車の中に、例えばナビゲーションシステムがあって、そこから自動的に110番とかをするというふうなシステムを組み合わせてつくる。現在、ITSでいろいろと組み合わせて出てきていますけれども、そういうことになれば、同様の精度のものをナビゲーションシステムに入れていただくということになろうと思います。
土井委員    どうもありがとうございます。
齊藤分科会長    高畑先生。
高畑委員    この会議の前に測位関係の委員会に出席していまして、測位の専門家の先生から、ヨーロッパの、どこの国か忘れましたけれども、携帯電話に位置情報を送信する機能を具備することが法制度的に義務づけられているというお話をお聞きしました。その件はご存じでしょうか。
児玉電気通信技術システム課長    はい。では諸外国の状況を簡単にご説明しますと、まず、今お話に出た欧州につきましては、EU指令の中で、2000年の夏になりますけれども、おっしゃるとおり加盟国に対して義務づけがなされております。ただし、電気通信事業者が技術的に可能な範囲で実施してよいということですので、義務づけとはいうものの、技術的に可能な範囲ですから、例えば精度についても特に問わないということになっています。
  それを受けまして、実際に今、イギリスとドイツが具体的に動こうとしておりますけれども、やはり国内法令の中においても、技術的に可能な範囲で実施するということになっておりまして、実際にはイギリスで、ボーダフォンが基地局のセル範囲レベルでの位置情報を通知することを考えているというのが欧州の状況でございます。
  それから、あわせまして米国の状況ですけれども、もっと進んでおりまして、99年にFCC規則の中で義務づけがなされております。精度と、あとは実施の期限、これらが決められておるんですけれども、現実には非常にタイトなスケジュールということと、あと、設備投資の資金は基本的に事業者が出さなきゃいけないということもあって、相当遅れております。そのときに義務づけられた期限に比べればはるかに遅れていまして、ただ、徐々には進んでいるという状況でございます。
齊藤分科会長    よろしゅうございましょうか。
  アメリカも欧州もやっているんですから、多分日本もやらなきゃいけないと思いますが、諸般の事情から、多分何年後かは日本が一番進むんじゃないかというふうに期待もできるんじゃないかと思いますので、ぜひよろしくご審議いただければと思います。
  よろしゅうございましょうか。そうしますと、本件については説明を了承いたしまして、審議を進めるということにいたしたいと思います。
  後の議題で委員会の設置が提案されておりますが、委員会の設置が決定されれば、当該委員会において調査検討し、その結果を報告いただき、当分科会で審議の上、答申の議決をするという手順になろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
(2) 周波数の再編方針について(報告)

齊藤分科会長    次は周波数再編方針についての報告事項でございます。
  これもまた総務省からご説明をお願いいたします。
河内電波政策課長    電波政策課長でございます。
  資料は2でございます。周波数再編方針ということで、今年の7月に電波政策ビジョンということで、この審議会でご答申いただきましたけれども、それを受けまして、私どもで周波数の再編方針を策定し、さらには電波開放戦略ということで、その制度的な手当てということの検討を進めているというようなことのご説明でございます。
  資料2、1ページおめくりいただきまして、まずおさらい的でございますけれども、電波政策ビジョンの答申の概要が書いてございます。電波政策ビジョンでは、より快適で質の高い国民生活とか経済産業の活性化というようなことで、これから10年、電波の市場がどういうふうに伸びていくのかというご検討をいただいた上で、それを実施するために3点の中長期目標をいただいております。世界最先端のワイヤレスのブロードバンド環境を構築しようということとか、多様なネットワークによるナショナルセキュリティーの確保、国際競争力のあるワイヤレスIT産業の育成ということでございます。
  こういった目標を実現する中で、どういったワイヤレスブロードバンド環境が実現できるのかというのは、2ページ目でございますけれども、その実現イメージについてもご答申いただいております。公共スペースで電波のゲートを通れば座席の予約の通知ができるとか、あるいは情報家電でございますけれども、電子レンジ、テレビ等との連結による便利な家庭環境、ワイヤレスオフィス、それから、車の衝突防止、そういったシステムがこれから出てくるだろうということでございます。
  その実現によりまして、市場規模としましては、その次の3ページでございますが、現在、2000年段階で19兆円というものが、電波コア産業、狭義の電波産業としましては28兆円程度ですけれども、それが、船舶、航空だけではなくて、あらゆるものにICタグがついて流通に使われるというような、これからの電波利用の拡大というものを全体統計しますと、92兆円という大きな市場に発展していくというようなことが言われておりまして、こういった市場をぜひつくっていくべきだということでご提言いただいているわけでございます。
  一方、周波数の部分につきましても、4ページのところになりますが、これから周波数の急速な増大が図られると同時に、ブロードバンド化が進むということで、そのために迅速かつ大量の周波数の確保が必要になってくる。現在よりも高速の情報が必要になる動画像中心の段階になりますと、幾ら技術的に圧縮をかけてもやはり必要量は増えていくというようなことで、周波数確保ということが大きな課題になるだろうということでございます。
  ところが一方、5ページ目のところでございますが、特に移動通信等のために必要なというか、使い勝手のいい周波数帯というのは、ここの表にもありますように非常に込んでいる、既に多くの人が使われているという状況にある。周波数帯によってはだんご状に積み上がっているということでございまして、こういうところで周波数の需要にこたえていくためには、周波数を再編していく必要があるということでございます。このために、周波数の再編ということを進めていく必要があるということでございます。
  こういうような答申の中でご提言をいただきまして、それを踏まえて周波数の再編方針というものを私どものところでつくらせていただいたということでございます。その中身でございますが、6ページ目を飛ばしまして、7ページのところに、まずその概要が書いてございます。
  まず、基本的な考え方としまして、(1)のところですけれども、今後発展が期待されるような移動通信、無線LAN、地上デジタル放送、情報家電、こういった中核的なシステムに迅速に周波数を割り当てていくべきということです。そのために抜本的な周波数の割り当ての見直しを行おうということで、公的機関とか公益企業が使っているような、国も含めまして聖域なく周波数の見直しを行おうということで、調査・公表制度で実際の使用状況を調べるわけでございますけれども、さらには有効に利用されていないものは返していただく、それから、光ファイバー等に移れるものは移っていただくということで、短期間に迅速な周波数の再配分を行っていこうということでございます。そのために必要な制度というものも整備していくようにしようということでございます。
  具体的にどのような形で再編方針を出しているかということが、8ページにございます。やや細かくて見にくくございますけれども、真ん中のところに「今後中核となる電波利用システム」というものが出ております。移動通信システム、これは携帯電話の発展的なものになると思います。無線LAN、地上デジタルテレビジョン、電子タグ等々でございます。特に移動通信システムと無線LANにつきましては、今後10年で現在の四、五倍の周波数が必要になるということで、膨大な周波数需要が出るだろう。これを賄うために、右側のところにございます周波数、5年以内に例えば1.7、2.5にありますような周波数、ここのところを再編していくということで、各5年以内、5年から10年ということで、どの周波数帯をあけていくのかということが書かれております。多くは固定的な通信等、あるいはレーダーといった分野のものを周波数的にあけていく、あるいは新しい需要と共有を図っていくということになろうと思います。
  下の電子タグのところにつきましても、新たに950MHzメガヘルツ帯の周波数を割り当てていくことを検討するとか、あるいは一番下の情報家電のところにつきましても5GHzギガヘルツ帯付近で情報家電の周波数というのを割り当てることを検討するという形で、これから伸びていくものにどう再編、再配分していくのかということがうたわれております。
  これがいわば青写真、ビジョンになるわけでございますけれども、これを実際に実施していく上の制度といたしまして、9ページでございます、2つ掲げさせていただいております。1つは、広帯域の周波数を迅速に開放するために給付金制度というものを設けよう。それから、新たに入ってくる事業の展開をもっと自由にするために登録制を導入しようということでございます。
  最初の給付金制度のところでございますが、10ページでございます。そちらのほうにポンチ絵が出ておりますが、例えば無線LANとか情報家電というような新規の利用の方が出てきた。ところが周波数帯が込んでいて満席になっている。そのために、中継用固定局の例がありますけれども、残念ながらその中の方にそこを退席していただく。もっと高い周波数に移っていただくとか、あるいは光ファイバーにかわっていただく。従来は10年ぐらいかけて、設備が古くなった機会をとらえてやっていたことですけれども、ドッグイヤーの時代ですので、それを3年ぐらいでやろうということです。そうしますと、設備がまだ新しいということで損失が生じますので、給付金制度を導入して補償していこうということです。こういった補償をしてまであけた周波数を新たに使う方が利益を得るわけですので、その給付金、かかった経費の一定の割合を後で負担していただくといった制度を導入しようとしておりまして、これは次の通常国会の電波法改正の対象にしようと考えております。
  その次の11ページですけれども、これは給付金を後で支払っていただく場合に、携帯電話などのように免許人、免許の枠がしっかりしている場合は、これは免許の、後で入る方からいただけばいいわけですけれども、免許不要局の場合にどうするのかということでございますが、免許不要ですので実際に使われる方はわかりませんので、こういった無線LAN事業でサービスを受ける方にはそのサービス料金の転嫁とか、情報家電のようなネットワークにつながらないものは製品の価格に転嫁する、こういったメカニズムを電波法改正の中に入れていこうということです。ただ、これは給付金を払って立ち退いていただいた後に入ってくるケースだけの例でございますので、免許不要局の場合、一般すべてにこういった制度を入れるというわけではございません。それが給付金制度でございます。
  それから、もう一点の登録制、12ページでございます。現在、無線局につきましては免許制という制度を入れておりまして、左側になりますけれども、混信が起きないかということを事前に十分チェックする。それで、免許を与えたところについては排他的に、他人が入ってこないように利用していただくということで、それによって放送局等が妨害を受けないで使えるわけでございますけれども、今後、共同利用型の無線LAN、特に屋外等で使う高出力の無線LANなどがどんどん拡大していくということが期待されるわけでして、そういったベストエフォート型のものにつきましては、やはり混信が起きないように事前に時間をかけてチェックするというのはいかがなものかということで、事後チェック型の登録制というのを導入して、もっと自由な利用を図っていこうということでございます。
  こういった2つの制度で、さらに電波の再配分、開放を進めていきたいということでございます。
  最後は13ページ目でございますが、そういった有線につきましては、従来光ファイバー化とかADSL等、ブロードバンドというのが進んでおりますけれども、無線につきましても、今ご説明いたしました再編方針、広帯域周波数の拡大とか、あるいは登録制というような自由な電波環境をつくるということを進めまして、私ども、これを電波開放戦略と呼んでおりますけれども、電波の政策ビジョンのご答申に沿った形で着々と進めていこうとしているものでございます。それによりまして、有線と無線のブロードバンドを融合させる。世界最先端の無線ネットワークをつくって、経済の再生、夢のある豊かな社会、顔の見える日本というものをつくっていきたいということでございます。
  そういうことで、7月の答申を踏まえてこのような形で進めさせていただいているということをご報告いたします。どうもありがとうございました。
齊藤分科会長    ありがとうございました。
  今のご説明でございますが、何かございますでしょうか。
  どなたもおられなければ、世界最先端の無線ネットワーク、大変いいと思いますが、ぜひそういうことで、よろしくお願いしたいと思います。ついでにITSワールドコングレス、先週行ってきたばかりだから、ちょっと言うと、非常にはやっていたのは、2ページ目にある自動車・自動車、車車間通信で、車と車の間に、常に連絡しながらぶつからないようにする。今はぶつかっても風船とか車が衝撃を吸収するというので、そういうのが1970年ぐらいから非常に進展して、世界中で死者の数は3分の1になっていますよね。日本は1万6,000人から8,000人になっています。ただ、まだぶつかるんですよ。これ以下にするには、ぶつからないようにしないといかん。それはもう唯一この方法だというんですよね。
  そのためには、今アメリカではDSRCのバンドというので、ITSバンドというのはISMバンドじゃなくて、5.9ギガの専用バンドになっているんですよね。75メガしかないんですが、それを使ってどこまでできるかというのがヨーロッパでもアメリカでも国家プロジェクトになっていますよね。こちらでもそこら辺のところ、ITSで調査しておられると思いますが、世界一になるにはやっぱりITS用の専用バンドを、要するに安全で、8,000人をさらに半分にするにはそれしかないというのを、e−セーフティー、e−セーフティーというのはECのプロジェクトですけど、皆さんおっしゃっていることで、そういう方向ということは、あと10年ぐらいすると風船みたいに義務化されるということを言っている人が結構いた。
  ですから、そういうことも、電波に対する期待はますます高くなってくると思いますが、今アメリカはまだ4万3000人ぐらい死んでいるんですよね。それをアメリカでも半分以下にしたいということを言っていて、これはやはり世界中相当シリアスな問題ですので、技術的に可能であれば相当進む可能性もあると思いますので、ぜひそこら辺のところもご注目いただいて、電波政策上も適切に対処していただければというふうに思います。世界最先端というときにはやっぱりそこのところも見ておいていただきたい。アプリケーションの観点からも、ぜひよろしくお願いいたします。
  どうぞ。
中川委員    齊藤先生のお話で刺激されて、ちょっと発言したいと思います。ITSの、特に車車間を10年以上研究しているんですけど、当初は路車間じゃないかという感じが強くて、だんだん最近になりまして、特にヨーロッパは今、車車間が非常に盛んになっています。なぜかというと、ヨーロッパの中でも国がたくさんありまして、路車間にすると調整がなかなか難しい。路側というのはフィックスしたネットワークに接続するわけでありまして、そこが難しいらしいんですが、車車間ですと数社が合意をとれちゃうとできちゃうんですね。世界中で考えてみても五、六社合意がとれれば大体動いちゃうんじゃないかという気がします。そこをヨーロッパ勢は非常に目をつけておりまして、ダイムラーなんか一番リーディングしているんだと思います。多分ITSのコングレスの中でもそういうお話が随分あったんじゃないかなと思います。
  ちょっと補足になるかどうかわかりませんけど、すみません、よろしくお願いします。
齊藤分科会長    ありがとうございます。
  お願いします。
河内電波政策課長    こういったITSとか交通関係のシステム、私どもも非常に重要だと思っています。現在、自動車のレーダー関係につきましては、60GHzギガヘルツ帯でそういった周波数を用意してあるということがございます。それから、5.8GHzギガヘルツ帯においてDSRCという形で、車との間の情報交換というシステムを可能にしておりますけれども、これからもさらに、特に欧米との連携を深めて、アプリケーションも含めてITSにふさわしいシステムをどんどんつくっていくという形で努力してまいりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
齊藤分科会長    よろしくお願いいたします。
  どうぞ。
土井委員    大変よいお話だと思います。1点だけ心配があるんですけれども、給付金に関して11ページのところで、新規利用者から費用を徴収しますというお話が書かれているんですが。この絵では、各周波数帯に利用者が1名ずついるように描かれているので、例えば既存の利用者はお金を払わないのに、これから参入しようとする、どちらかというと規模の小さい利用者からお金を取るのかと、そういう誤解を受ける可能性もあると思います。実際には、各周波数帯に複数の利用者があり、新規周波数帯に参入する利用者は既存周波数帯を利用していてもいなくても使用料を支払うという点では全く同一の資格であるわけです。そのあたりをうまくPRしていただいて、ぜひ、最後のところに書いてあるような夢のある豊かな社会という、顔の見える日本というのを実現するんだよというところをアピールしていただければと思います。
齊藤分科会長    ありがとうございました。ほかには何かございませんか。
  よろしゅうございましょうか。報告でございますので、当部会として了承したということで、こういう方向でますます頑張っていただきたいというふうに思いますが、よろしくお願いいたします。
 
(3)

委員会の設置について


齊藤分科会長    それでは最後の議題で、委員会の設置についての審議でございます。事務局からご説明をお願いします。
山川情報通信政策局総務課長    委員会の設置でございますが、資料3をお配りしておりますので、ご覧いただきたいと思います。
  本件は、ただいま諮問のありました「電気通信事業における緊急通報機能等の高度化方策」の調査審議に当たりまして、事務局といたしまして、その調査審議が効率的に行われるためには、委員会を新たに設置することが適当であると考えまして、分科会決定第3号の一部改正を提案いたしたいと思うものでございます。
  これによりまして設置される委員会の名称は、上欄にございますが、「緊急通報機能等高度化委員会」でございます。所掌事務は「電気通信事業における緊急通報機能等の高度化方策に関する事項」でございます。
  よろしくご審議のほどお願いしたいと思います。
齊藤分科会長    ありがとうございます。
  ただいまのご説明でございますが、何かご質問はございませんでしょうか。
  先ほどご審議いただきました1件目の諮問案件でございます。もしよろしければ、この新規諮問の調査審議のために新たに委員会を設置するということにいたしたいと存じます。そのためには、当分科会決定第3号の委員会が並んでいるリストでございますが、それを改正するということになります。そういうことでいたしたいと存じます。
  そうしますと、設置が決定された委員会に所属する委員及び主査は、分科会長が指名するということになっておりますので、これに関係する方々、お手元の名簿のとおりに指名させていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  委員会は精力的に調査検討をお願いしたいということで、これは非常に重要な問題でございますので、よろしくお願いいたします。

閉会

齊藤分科会長    以上で、本日の用意した議題は終了でございますが、委員の皆様から何かございますでしょうか。
  事務局のほうからは何か。
山川情報通信政策局総務課長    ございません。
齊藤分科会長    よろしゅうございましょうか。そうしますと、本日の会議は、これですべての議題が終了でございます。
  次回でございますが、当分科会は12月17日水曜日午後2時から、この総務省8階第1特別会議室で開催するというふうに予定いたしておりますので、皆様、よろしくお願いいたします。
  以上で閉会です。どうもありがとうございました。
―― 了 ――


 本分科会にて配付された資料をご覧になりたい方は、総務省にて閲覧及び
貸し出しを実施しておりますので、下記までご連絡をお願いいたします。

  担当: 総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島
  電話 03−5253−5694
  FAX 03−5253−5714
  メール t-council@soumu.go.jp

 





 

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