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情報通信審議会

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IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会
競争政策・ユニバーサルサービス委員会第10回会合 
議事概要


1 日時

  平成13年12月7日(金) 午後2時から4時

2 場所

  総務省 1001会議室(10階)

3 出席者
(五十音順、敬称略)

 (1) 委員及び専門委員
(委員) 醍醐 聰(主査)
(専門委員) 加藤 真代、酒井 善則、佐藤 治正、直江 重彦、藤原 淳一郎、山本 哲三
 (2) 総務省
鍋倉 総合通信基盤局長ほか

4 議事

 第二次答申草案(競争政策関連部分)について事務局より説明があり、これについて意見交換がなされた。その内容は以下のとおり。

(1)競争政策の「第1ステージ」と「第2ステージ」との関係について
 委員等より「現在の案では、8章の冒頭で、「第1ステージ」の競争政策により、「地域市場において競争が進んだ場合には「第2ステージ」に進むことがない」、という書きぶりで締めくくっておきながら、同章中の「第2ステージ」の内容について触れている箇所において、「第2ステージ」の必要性を強調していることは誤解を招きやすいのではないか。」との意見があり、これに対して、主査より「現在の案でも、当該冒頭における記述は「地域市場において競争が十分に進展しなかった場合」という条件が満たされた場合にのみ、「第2ステージ」に進むという流れを書いており、後述する記述と矛盾しないものと認識しているが、誤解を招くおそれがないよう修正する。」との回答があり、「第1ステージ」から「第2ステージ」へ移行する場合の流れについての記述は8章の冒頭に集約することとなった。

(2)競争政策における消費者行政について
 委員等より「競争政策を論じる上では、消費者問題は、単に「競争が進展すればその果実が消費者に還元されることとなる」といった程度の扱いであり、一つ章をたてるほどのものではないのではないか。」との意見があった。
 委員等より「「消費者は合理的な選択ができない」とよく言われるが、消費者が合理的に判断し、競争することの意義を理解してもらわなければならない。そのためには消費者行政について大きくとりあげることはよいのではないか。」との意見があった。
 委員等より「供給側にとっては都合のよいことかもしれないが、あらゆる分野で消費者が合理的に判断することが困難になってきており、消費者に合理的な判断力をつけてもらうべく取り組むのは当然のことである。」との意見があった。
 委員等より「事業者が競争の中において短期間に多くのユーザを獲得するため、誤った情報を提供することを防止するのも競争政策の重要な役割である。」との意見があった。
 委員等より「競争政策には、事業者間の競争条件整備という一面のほかに、公正に競争が行われるための環境を形成するための、事業者−ユーザ間の環境整備という一面もある。」との意見があった。
 この結果、「競争政策と消費者政策は一体となって推進することが不可欠」は「事業者間の公正な競争を創出する競争政策と、競争環境下において消費者が能動的役割を果たすための環境を実現する消費者政策は一体となって推進することが不可欠である」と修正され、また、消費者が「自己責任を取り得る」環境を構築すべき旨が追加された。

(3)消費者保護機関との連携強化について
 委員等より「消費者行政については内閣府国民生活局等で分野横断的に対処すべきであって、情報通信に限定して論じるべきではないのではないか。」との意見があった。これに対し、他の委員等より「消費者行政について、この審議会として消費者行政一般について提言することはできないが、通信分野に固有の問題に対処することはできる。また、答申草案の中では他の組織との連携の必要性に提言しており、これを機会に体制整備が進めば意義があるのではないか。」との意見があった。

(4)NTTの設備投資に対するインセンティブについて
 委員等より「現在の草案では、公衆網の再販、OSSの開放等、アクセス網を開放し、競争を起こそうということに重点が置かれているが、NTTの光ファイバ等の新たな投資に対するインセンティブをいかに高めるかといった議論がない。」との意見があった。
 委員等より「競争は投資を促進するのか、投資を抑制するのか、といった議論はあるが、競争を停滞させて投資を加速させるという選択肢はあり得ない。光ファイバについては、「ユニバーサル・アクセス」として捉え、競争政策とは別の政策として推進すべき。」との意見があった。
 委員等より「光ファイバを産業政策的に国主導で敷設するとはいえ、最終的には民間事業者が行うことであり、事業者にとって「うまみ」がないと光化は進まない。」との意見があった。
 委員等より「光ファイバについていきなりLRICを導入すると、NTTは採算が取れる地域以外は敷設しなくなるとの議論をしてきたが、積極的な投資を促す政策について検討する必要がある。」との意見があった。
 委員等より「NTTが公社時代から保有しているネットワークについてはできるだけ早くオープン化すべきであるが、光のアクセスについても同様に扱えば、どの事業者もNTTが敷設するのを待つ状況に陥ってしまう。」との意見があった。
 委員等より「国が資金援助もしないのに、NTTに対してユニバーサルサービスの確保と、光ファイバのオープン化を求めているが、これは競争の結果生み出されるものではない。NTTが自らこれらに取り組むような配慮が必要なのではないか。」との意見があった。

(5)東・西NTTの卸・小売部門の構造分離について
 委員等より「草案にいう「第2ステージ」の競争政策は、「第1ステージ」の競争政策が効を奏さなかった場合に「選択」すべき具体的な政策内容なのか、それとも単にその際「検討」することになることを予告するだけのものか不明確。」との意見があった。
 委員等より「「第2ステージ」にいう卸・小売部門の構造分離の議論はあくまでも選択肢の一つであり、「第1ステージ」の競争政策が上手くいかなくなったときに初めて検討すべきもの。現時点で予断をもって方向性を示すことはできない。」との意見があった。
 委員等より「この草案の中では一次答申で例示された資本の完全分離とは別の選択肢として、様々な構造分離策を検討すべき、と提言しているのであって、卸・小売部門分離が唯一の選択肢ではない。」との意見があった。
 委員等より「草案の中では、構造分離のデメリットについて「関係者の合意形成が困難」と断言しているが、今まで分離した事例がないのであれば、おかしくないか。」との意見があったことを踏まえ、「困難と予想され」と修正することとした。

 次に、東・西NTTの業務範囲拡大の認可に係る「公正な競争の確保に支障を及ぼすおそれ」のある場合等の考え方(東・西NTTの業務範囲拡大に係る公正競争ガイドライン)(案)」についての意見募集結果について事務局から説明があり、これについて了承された。


以上


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