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発表日  : 2000年 2月 9日(水)

タイトル : 「接続料算定の在り方について」−答申−











            接続料算定の在り方について


                 答 申








              平成12年2月9日
               電気通信審議会


                 目 次 第I章 接続料の現状   1 算定方法   2 接続料の推移 第II章 長期増分費用方式導入に向けての取組みの状況   1 「接続の基本的ルール答申」における提言   2 政府における取組み 第III章 検討に当たっての基本的視点   1 長期増分費用方式導入の意義   2 利用者料金、ユニバーサル・サービスに及ぼす影響の検討   3 経営に及ぼす影響の検討 第IV章 東・西NTTの経営への影響   1 東・西NTTによる経営予想   2 ケースAによる影響の評価   3 ケースBによる影響の評価   4 グループ全体での影響の評価について 第V章 利用者料金、ユニバーサル・サービス、インフラ構築への影響   1 経営への影響の波及   2 ユニバーサル・サービスに関する我が国の現状   3 ケースBの問題点   4 今後の検討の視点 第VI章 長期増分費用方式の当面の具体的な導入方策   1 適用モデル   2 実施期間   3 適用領域   4 モデルの適用除外   5 付加機能使用料の調整   6 モデルの見直し   7 利用者への還元の期待等について
第I章 接続料の現状 1 算定方法  現在の接続に関する制度においては、指定電気通信設備(各都道府県において端 末回線数の2分の1を超える規模の固定伝送路設備及びこれと一体として設置される 概ね都道府県内の電気通信設備をいう。)を設置する事業者(現状では東日本電信 電話株式会社及び西日本電信電話株式会社が該当する。以下「東・西NTT」という。) に対して、接続に関する会計の整理や約款の作成等を義務付けている。これは、当 該設備との接続が他事業者の事業展開上不可欠であり、また、利用者の利便性の確 保という観点からも当該設備の利用が確保されることが不可欠であるという理由に よるものである。  この指定電気通信設備の接続料の原価は、指定電気通信設備接続会計規則の規定 に基づいて整理された当該設備の管理運営に実際に要した費用(以下「実際費用」 という。)を基礎として算定されている。 2 接続料の推移  東・西NTTの接続料は着実に低廉化しており、中継交換機接続の場合の接続料で見 た場合、平成6年度には19.78円/3分(当時の3分課金制料金を現在の秒課金制料金 に換算した場合)だったものが、平成10年度には11.98円/3分と、約40%低下して いる(別紙1)。  しかしながら、これを国際的に比較すると、定額制接続料の有無等の条件の差異 は国によりあるものの、米英等に比してなお相対的に高い水準にあり(別紙2) 、その更なる低廉化の実現が課題となっている。
第II章 長期増分費用方式の導入に向けての取組み状況 1 「接続の基本的ルール答申」における提言  東・西NTTの接続料は毎年低下してきているものの、NCCの収入に占める接続料の 割合は依然として高いとの指摘もあり、例えば、平成10年度の長距離系3社(KDD、D DI、JT)の収入に占める接続料の割合は38.7%となっている(別紙4)。  東・西NTTの地域通信網に接続する事業者にとっては、接続料が低廉化すれば、自 己の通信料金を引き下げることが可能となることから、その一層の低廉化を求める 声が強い。平成8年12月の接続の基本的ルールに関する本審議会答申案に対する意見 招請においてもこうした意見が多く、また、接続料の一層の引下げの具体的な方策 として、「特定事業者の過去の不可欠設備運営の不経済性により生じた費用が接続 料原価に算入されることがない」等の理由から長期増分費用方式の早期導入を求め る意見も多数寄せられた。これを踏まえて同答申において、平成12年度を目途とし た接続ルールの見直し時期までに、郵政省において、事業者、有識者等の参加や意 見も得て、  1 外国で使われているモデルの解析  2 設備に関するフォワード・ルッキングなコスト・データの収集  3 技術モデルの構築  等の作業を行うことが提言された。  (注) 上記答申においては、「指定電気通信設備」については「不可欠設備」   の呼称が、また、当該設備の設置者については「特定事業者」の呼称が用いら   れている。 2 政府における取組み  上記の提言を受けて、郵政省において長期増分費用モデル研究会が平成9年3月に 設置され、平成11年9月に長期増分費用モデルが公表された。同モデルにおいては、 表1に示すとおり、現行の料金制度・接続制度を前提としたケースAと、現行の制度 の前提を変更して、き線点RTコストを加入者交換機から端末回線に付け替えたケー スBの2つが選択肢として示された(図1参照)。  この調査研究が進行する過程で、政府においては、規制緩和推進3か年計画(平成 11年3月30日閣議決定)において、長期増分費用方式の導入のための法改正案を平成 12年春の通常国会に提出する方針が定められた。  なお、平成10年5月の日米共同現状報告においても、政府は同趣旨の意図表明を行 っているが、その際には、ユニバーサル・サービスの確保、既存の地域電話会社の 利用者料金及び経営に適切に配慮することが付記されている(別紙5)。          表1 長期増分費用モデル研究会試算結果  ケースAのうち、加入者交換機コストに算入されているき線点RTのコストを端末回 線に付け替えると、2のケースBとなる。加入者交換機のコストが低下する一方で、 端末回線コストが上昇する。
 
 
 
 
 
現行接続料
 
 
   1ケースA   
 
 
 
    2ケースB
(き線点RTを加入者交換機
から端末回線のコストに付
け替えた場合)
  中継交換機  
  接  続  
 11.98円
    
   5.11円 
  (▲57.3%)
     3.69円
   (▲69.2%)
加入者交換機接続
 
 5.81円
    
   4.84円
  (▲16.7%)
     3.42円
   (▲41.1%)
  端末回線  
  (PHS用)   
 1,631円
 
   1,400.6円
  (▲14.1%)
    1,741.8円
   (+ 6.8%)
注1 平成9年度トラヒック・平成10年度接続約款の報酬率を用い、付加機能コスト
  控除を行わない場合の数値
注2 中継交換機接続・加入者交換機接続については3分あたりの料金
注3 端末回線については1回線あたりの月額の料金
注4 ( )内は現行接続料との対比


   現行接続料におけるき線点RTコストの帰属の図

 現行接続料においては、き線点RTのコストは加入者交換機(GC)コストに含ま
れている。

(注)き線点RT:き線点に設置し、端末回線に通常メタルケーブルを使用する電話、
ISDN等を多重化し交換機までの区間を光ファイバで伝送する装置。

        図1 現行接続料におけるき線点RTコストの帰属


第III章 検討に当たっての基本的視点 1 長期増分費用方式導入の意義   昭和60年の電気通信制度改革以降、競争原理の導入と推進により料金の低廉化  やサービスの多様化・高度化等が実現し、利用者の便益の向上に大きな成果を挙  げてきた。競争の促進は、このように利用者の利益の向上につながることから、  今後とも積極的に取り組んでいくことが必要である。   接続料の引下げは、競争を促進していく上で大きな役割を果たすとともに、通  信料金の引下げの可能性を生む。このことは、基本的に国民利用者の利益につな  がるものであり、これまでの低廉化の進展を今後も引き続き促進することが必要  であると考えられる。今回導入を検討する長期増分費用方式は、ネットワークを  現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提でコスト  を算定するものであり、独占的な地域通信網の提供における不効率性を排除した  競争価格の水準を示すものと経済理論上は解されている。その導入を図ることは、  基本的には、接続料引下げを促進して、競争を通じた利用者の利便向上を実現す  る重要な意義を有すると考えられる。 2 利用者料金、ユニバーサル・サービスに及ぼす影響の検討   長期増分費用方式の意義は上記1のとおりであるが、その導入を図る上では、  以下のような点に配慮する必要がある。  (1) 競争の進展の中で、従来は東・西NTT及び持株会社(以下「NTT3社」と総称す    る。)によって確保されてきたユニバーサル・サービスの維持が困難になりか    ねないといった新しい政策課題も惹起されつつある。  (2) こうした背景の下で、新しい競争時代に向けて、競争政策の一つである長期    増分費用方式を導入するに当たっては、利用者間の負担変動、ユニバーサル・    サービスへの影響等が生じる可能性もある。そのような場合には、それらにつ    いての国民的なコンセンサスを形成した上で、政策を実施していく必要がある。  (3) このようなコンセンサスの形成が十分図られていない当面の状況下において    は、長期増分費用方式の導入が、一部の料金の引上げや料金の大きな負担変動、    ユニバーサル・サービスの低下につながることは、回避するべきである。 3 経営に及ぼす影響の検討   長期増分費用方式の導入によって、効率的な経営を以ってしても事業体の投下  資本回収が行えなくなるような事態が生じると、東・西NTTの経営に悪影響が生じ、  ひいてはユニバーサル・サービスの確保、利用者料金、インフラ構築に悪影響を  与えるおそれがあることから、こうした事業体の経営や投下資本の回収に関する  懸念についても、適切な配慮を行う必要があると考えられる。
第IV章 東・西NTTの経営への影響 1 東・西NTTによる経営予想  (1) 平成11年度の中間決算時における東・西NTTの経常損益の通期見通しは、表2    にあるとおり、東NTTが290億円の利益、西NTTが700億円の損失、両社合計で41    0億円の損失と厳しい経営予想となっている。    表2 東・西NTTの平成11年度中間決算における経常損益の通期見通し
                           (単位:億円)
        
   東NTT   
   西NTT   
   合計   
  経常利益  
   290    
   ▲700   
   ▲410   

 (2) 研究会モデル(以下「モデル」という。)のケースAの数値を平成10年度にそ
   のまま適用した場合には、東・西NTT両社で約4,300億円の減収になる。両社が
   平成12年度から3ヶ年かけて実施する中期経営改善施策によるコスト低減が実
   現し、かつトラヒックの増加が生じるとしても、平成14年度において、なお約
   1,000億円の減収が生じると予想されている(表3)。

   表3 研究会モデルを適用した場合の収入変動額(東・西NTT試算)

                                  (単位:億円)
  研究会モデルを適用した場合の収入変動額(東・西NTT試算)の図表


2 ケースAによる影響の評価
 (1) 東・西NTTは、現在、接続対象設備の中核となる加入者交換機(GC)については、
   中期経営改善施策を講じた後は、平成15年度においてはモデルのケースAのコ
   スト水準(平成9年度トラヒックベースの付加機能使用料控除前)を達成でき
   るとの見通しを示している。但し、それ以外の設備(例、ZC接続に用いられるZ
   C、ZC-GC間伝送路)については、モデルのケースAのコスト水準を達成し、投
   下資本を回収するために、なお一層の経営の効率化に努めることが必要である
   (図2)。

  中期経営改善施策実施後の接続料の水準(東・西NTT試算)の図

 (2) このような事情を踏まえると、一定の条件が確保されると、ケースAであれば
   東・西NTTの経営に破壊的な影響を回避しつつ導入を図ることは可能と予想さ
   れる。
 (3) なお、上記の中期経営改善施策は、固定電話から移動体、データ通信へと市
   場構造が急激に変化する中で、NTTグループとしての事業構造の転換を図って
   いくために、東・西NTTの経営を改善することを目的として平成11年11月に策
   定されたものである。この施策の実施により、東・西NTTは今後の採算を確保
   することを想定しているが、その際の試算には今回の接続料への長期増分費用
   方式の導入及び特定電気通信役務への上限価格規制方式の導入の影響は織り込
   まれていない。
   したがって、上述の新制度の導入に対応するため、東・西NTTは中期経営改善
  施策の着実な実行に合わせて、今後のトラヒック増加を図る増収施策を考案す
  る等して、更なる経営の向上に努めることが期待される。
 (注) 上記制度の導入については、それぞれ平成10年5月の日米共同現状報告及
  び平成9年3月の規制緩和推進計画においてその方向性が示されていたものであ
  る。

3 ケースBによる影響の評価
 (1) 一方、ケースBは、き線点RTコストがいわゆるNTSコストであることを踏まえ
   て、当該コストを従量制のGC接続料で回収しないこととする考え方である。こ
   のケースBの減収額は、端末回線を付け替えたき線点RTコスト(モデル上約2,7
   00億円)が、基本料の値上げ、あるいは定額制接続料の新設等なんらかの形で
   東・西NTTにより回収できた場合には、上述したケースAと同等となる。
 (2) しかしながら、「第V章 ユニバーサル・サービス、利用者料金、インフラ
   構築への影響」で後述するように、基本料引上げの懸念等からき線点RTコスト
   の回収が困難となれば、東・西NTTの経営への影響額はケースAよりも最大2,70
   0億円拡大し、破壊的な影響を回避し得ないおそれが強い。

4 グループ全体での影響の評価について
  本章では、指定電気通信設備を設置する主体が東・西NTTであることから、長期
 増分費用方式導入に伴う両社の経営への影響に関して評価を行った。これに関連
 して、1東・西NTTの経営環境が厳しいとしてもNTTグループ全体としては余力が
 あり、その影響はNTTグループ全体で吸収可能ではないか、2接続料の引下げが東
 ・西NTTの経営に悪影響を与えるとしても、その一方ではNTTコミュニケーション
 ズやNTTドコモといった他のグループ企業には好影響を与えることとなるため、東
 ・西NTTの経営への影響を評価する際には、これらグループ企業からの接続料収入
 の影響は除外して考えるべきではないか、との指摘もある。このような指摘は、
 東・西NTTの経営への影響をNTTグループ全体で評価すべき、との意見に集約され
 る。しかしながら、グループ全体で評価すべきとの考え方は、グループ内部での
 相互補助につながり、グループ内の各事業会社それぞれの利用者の利益を阻害す
 るおそれや公正競争上の問題があることから、不適当であり、採用できない。ま
 た、NTTグループ内の各事業会社は独立した経営責任を株主に対して負っている会
 社であり、グループ内部での相互補助が行われると、株主に対する経営責任の所
 在があいまいになるという問題も生じる。


第V章 利用者料金、ユニバーサル・サービス、インフラ構築への影響 1 経営への影響の波及   「第IV章 東・西NTTの経営への影響」でみた試算を前提とすると、一定の条件  が確保されなければ、ケースAにせよ、ケースBにせよ、東・西NTTの経営への影響  は大きいと予想され、その結果、  1 不採算地域を含めた全国の地域ネットワークを安定的に維持するユニバーサ   ル・サービスの確保に影響が及ぶこと  2 サービス水準が低下したり、減収分を補うための利用者料金の引上げが生じ   ること  3 我が国の情報通信の発展のために不可欠なネットワークの広帯域化、端末回   線の光化等、地域通信網のインフラの高度化に悪影響を与えること  等が懸念される。 2 ユニバーサル・サービスに関する我が国の現状   上記11との関係でユニバーサル・サービスに関する我が国の状況を述べれば以  下のとおりである。  (1) 我が国では、NTT法第3条の規定に基づき、NTT3社が「国民生活に不可欠な電    話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保」の    責務を負っている。  (2) ユニバーサル・サービスの確保に関し、米国ではこうした全国における公平    な役務の提供という観点に加え、低所得者に対しても、「ライフライン・サー    ビス」として、ユニバーサル・サービス基金により補助を行っている。このよ    うなスキームを持つ米国においても、NTSコストの回収を従量制のアクセス・    チャージ(州際通信に係る接続料)から定額制の利用者料金へと移行するのに    1984年のAT&T分割以降長い期間を要している(たとえば、加入者アクセス・チ    ャージについてみると、事務用複数回線は1996年7月時点で6.0ドル/月・回線    であったものが、1999年7月には8.13ドル/月・回線にまで引き上げられたが、    住宅用1回線目は3.5ドル/月・回線に据え置かれている)(別紙6)。  (3) これに対し、我が国では上述のとおりユニバーサル・サービスの確保につい    て、米国のような経済的弱者に重きを置いたライフライン・サービスという考    え方を採らず、特殊会社であるNTT3社にユニバーサル・サービス提供の責務を    課し、電電公社時代から今日に至るまで、料金政策の面においてNTSコストの    一部を従量制で回収して全加入者に対する基本料を安く設定することにより、    我が国の電話ネットワークへの加入を可能な限り低廉な形で国民全体に保障す    るという考え方が根強く定着してきているところである。  (4) なお、ユニバーサル・サービスの中核ともいうべき電話加入のコストを賄う    基本料については、電電公社時代から一貫して不採算と認識されてきたが、平    成6年度の基本料値上げを経て翌7年度にようやく(営業損益ベースでみて)採    算化した(表4)。この基本料値上げの際にも、き線点RTコストについて議論    があり、これを基本料原価に含めて全加入者に定額負担を求めるのを避けると    いう判断が下された経緯がある。               表4 基本料の営業利益の推移
                              (単位:億円)
 平成元年度 
 平成2年度 
 平成3年度 
 平成4年度 
 平成5年度 
     ▲1,615 
     ▲1,899 
     ▲1,554 
     ▲1,485 
     ▲1,648 

 平成6年度 
 平成7年度 
 平成8年度 
 平成9年度 
 平成10年度 
     ▲1,221 
        201 
        588 
        506 
        167 
注 平成10年度の基本料の営業収入:1兆4,970億円

 (5) 従来、このような考え方に基づきユニバーサル・サービスの確保が図られて
   おり、現在もこのような政策に対する要請は根強いものと考えられることから、
   当面はこうした料金政策上の経緯を考慮する必要があり、NTSコストを定額制
   の料金で回収すべきという考え方に基づくケースBを直ちに適用することにつ
   いては懸念のあるところである。
 (6) 他方で、今後は、地域通信市場における競争の進展や移動体通信との競争の
   本格化、さらには、新たな競争政策の展開によって、ユニバーサル・サービス
   の提供を特殊会社であるNTT3社の経営努力のみによって対応するだけでは構造
   的に確保できなくなったり、競争に歪みを生じさせるおそれもあるので、こう
   した競争の進展に対応した新しい状況下でのユニバーサル・サービスの概念や
   その確保の新しい在り方等の問題についての広範な議論が必要であると考えら
   れる。
 (7) 既にこの点については、平成8年12月の本審議会の答申「接続の基本的ルール
   の在り方について」において、「地域における競争の進展状況を踏まえ、ユニ
   バーサルサービス確保のための方策について検討する必要がある」との提言を
   行っており、これを受けて、平成10年6月にマルチメディア時代に向けた料金
   ・サービス政策に関する郵政省の研究会報告「ユニバーサルサービスの新たな
   確保の在り方について」が取りまとめられているものである。また、平成11年
   3月の規制緩和推進3か年計画において、「ユニバーサル・サービスの問題につ
   いて、平成10年12月の規制緩和委員会第1次見解を踏まえて、平成11年度の接
   続料への長期増分費用方式導入の検討及び地域通信市場の競争の進展の状況を
   注視しつつ、事業者間の競争に影響を与えず、透明な手続き、基準により管理
   ・運営される制度の在り方を検討する」旨が閣議決定されており、今後の政府
   の取組みの進展が待たれるところである。

3 ケースBの問題点
 (1) 利用者料金との関係では、ケースBについては、上記12の経営の影響から波
   及する利用者料金の引上げのほか、以下の点も考慮する必要がある。
   1 NTSコストを定額制で回収する方法としては、直接利用者から基本料金と
    して定額制で回収する方法と、東・西NTTの地域通信網に接続する新規事業
    者(以下「接続事業者」という。)から定額の接続料で回収する方法とがあ
    るが、前者はNTSコストが利用者に新たに直接的に転嫁されることとなり、
    後者については米国の例にみられるように接続事業者が定額制で利用者に間
    接的に転嫁するおそれがあること(別紙8)
   2 仮に、接続事業者から定額の接続料で回収する方法を検討するにしても、
    その基盤となる優先接続制度の実施が平成13年中に予定されていることから、
    それまでは導入することができないこと
   3 米国でも、TSコストを含む市内通信料金が定額制とされてきたこと、長期
    間にわたってNTSコストが従量制接続料で回収されてきた歴史があることか
    らも分かるように、NTSコストは定額制で回収し、TSコストは従量制で回収
    するという考え方は必ずしも徹底されてきていないこと

 (注1)1 NTSコストを基本料に転嫁して回収するとした場合のコストアップの
      額は、モデル上のコスト(長期増分費用)と実際費用のどちらで評価
      するかにより異なってくる。
     2 モデルでは、コストを最も低廉化するとの観点から端末回線の約5割
      に光ファイバのき線ケーブルが採用されることを前提としており、き
      線点RTコストを基本料コストに含めた場合のコストアップは、350円程
      度になると試算される。
     3 現実には、現時点ではモデルで想定する程には端末回線の光化は進
      展していないため、実際費用でみたコストアップは350円以下の水準に
      とどまるが、今後の光化の進展により必然的にモデル上のコストアッ
      プの水準に近づいていくことになると考えられる。
     4 また、モデル上のGCコストに含まれているき線点RT以外のNTSコスト
      (仮にき線点RTのほか、交換機・局設置RTの加入者ポート、交換機〜
      き線点RT間光ファイバ、LXM、MDF等が該当するものと想定した場合)
      も基本料コストに含めた場合のコストアップは、モデル上800円程度、
      実際費用では600円程度と試算される。
     5 なお、これらのコストアップを基本料値上げのみでは十分に回収し
      得ない場合には、その分を定額制の接続料により回収を行うなどの別
      の回収方法を採らないと、事業体の投下資本の回収が行えないことに
      なると考えられる。
 (注2) 州際アクセス・チャージに定額制の接続料(PICC:Presubscribed Int
     erexchange Carrier Charge)が採用されている米国においては、優先
     接続における登録加入者数に応じて接続料が負担されている。

 (2) 以上の点については、少なくとも現時点においては、その導入に伴う基本料
   引上げの可能性を容認するような社会的なコンセンサスは形成されていない。
   このような状況の下で、仮にケースBを採れば、き線点RTについては投下資本
   の円滑な回収が行えないこととなる。

4 今後の検討の視点
  接続料の引下げがユニバーサル・サービスや利用者料金へ与える影響について
 の検討に当たっては、経済的弱者に限定せず国民全体の電話加入を確保するとい
 う従来の観点の見直しも視野に入れて行われる必要があると考えられる。


第VI章 長期増分費用方式の当面の具体的な導入方策 1 適用モデル
 今回の長期増分費用方式の導入に当たっては、ケースAを適用する。
 ケースBについては、今後の検討課題とすることが適当である。    
  上記についての考え方は以下のとおりである。
 (1) モデルは「ネットワークを現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備
   と技術を利用する前提で算定する」という長期増分費用方式の考え方に合致し
   た適切なモデルと考えられ、長期増分費用方式の導入に当たっては、当該モデ
   ルを接続料算定のベースとすることが適当である。
 (2) また、モデルにはケースA、ケースBの2つの選択肢が示されているが、両者は
   同一のコストを算定しており、き線点RTコストの帰属先が加入者交換機か端末
   回線かいう点のみが異なっているに過ぎない。
 (3) 接続料算定に当たって、ケースAとケースBのいずれを適用するのがより適当
   かについては、前述したように、
 1 ケースAについては、一定の条件が確保されれば東・西NTTの経営に破壊的な
  影響を回避しつつ導入を図ることが可能と予想される一方、ケースBについては、
  き線点RTのコスト回収が行われない場合には、経営への影響についての見通し
  が十分得られていないこと
 2 ケースBについては、NTSコストを利用者に転嫁するという社会的なコンセン
  サスが得られていないこと
 3 東・西NTTの経営への影響が拡大すると、ユニバーサル・サービス、利用者料
  金、インフラ構築への悪影響が生じるおそれがあることから、当面、一定の条
  件が確保されれば導入可能と考えられるケースAを適用することが適当である。
 (4) また、ケースBについては、事業者間の競争促進や、接続料の引下げが通信料
   金の低廉化をもたらすという観点からは望ましいが、その際には、き線点RTの
   コスト回収問題に答を用意した上で、一定の条件を整備することが大前提とな
   る。これへの対応としては、さきに「第V章 利用者料金、ユニバーサル・サ
   ービス、インフラ構築への影響」で述べた、ユニバーサル・サービスに対する
   影響への懸念を払拭するに足りる何らかの施策を講じること、あるいは、基本
   料等の負担変動をもたらす場合にあっては適切な方策を示して社会的なコンセ
   ンサスを形成するといったことが必要であり、問題解決に向けた取組みが望ま
   れるところである。


2 実施期間
 実施期間については、「第IV章 東・西NTTの経営への影響」で示したと
おり、ケー スAであっても直ちに適用すれば東・西NTTの経営に大きな影響
を及ぼとすことなることから、これを回避するためには一定の導入期間を
確保することが適当である。
  上記についての考え方は以下のとおりである。
  具体的な実施期間の長さについては、東・西NTTにおける中期経営改善施策に
 よるコスト低減を織り込むとともに、今後のトラヒック増加に伴う増収等により
 概ね達成可能と期待し得るような期間を考慮して、ケースAを可能な限り速やか
 に実施し得る期間を定めることが適当である。


3 適用領域
 原則としては、モデルでコスト算定対象としている電話及びISDNの全機能
について、長期増分費用方式を適用する。
  上記についての考え方は以下のとおりである。
 (1) 通話の態様(市内通話か長距離通話か)、接続形態(GC接続かZC接続か)、
   アンバンドル要素(GC機能かZC機能か)等に着目して、長期増分費用方式を適
   用する領域を当初限定し、年数の経過とともに、適用領域を徐々に拡大する方
   式も考えられる。
 (2) しかしながら、これについては、以下の点に留意しつつ、より慎重な検討を
   行う必要がある。
  1 このような領域限定には、政策的含意が薄いものや、一物二価となるもの
   等、政策的な必要性、合理性が必ずしも十分に説明可能とはいえないものが
   あること
  2 仮に政策的な必要性が説明可能としても、長期増分費用方式の導入を一部
   の領域に限定することによって、電話及びISDNのサービスの提供に係る幾つ
   かの機能の接続料原価の算定に長期増分費用方式と実際費用方式が混在し、
   (a) 指定電気通信設備を設置する主体が導入領域のコストダウンを図らずに、
     その他の領域にコスト転嫁を図ったり、
   (b) 接続事業者の投資が導入領域に集中したりする等、電気通信分野におけ
     る事業体の投資配分や競争に歪みを生じさせるおそれがあること

4 モデルの適用除外
 端末回線コストは、モデルの適用除外とし、従来どおり実際費用方式によ
る接続料算定を行うこととする。
 なお、このことから、モデルで算定された端末回線コストから、施設設置
負担金の控除を行うべきであるとの議論があったが、施設設置負担金の扱い
は従来どおりとなる。
  上記についての考え方は以下のとおりである。
 (1) 端末回線コストについては東・西NTTが指摘しているとおり、
  1 モデルは端末回線コストが最も低廉となるという前提で設備を構築した結
   果、き線ケーブルの約9割が架空ケーブルで設置されているのに対し、現実に
   は、これらは既にほぼ100%地中化されており、これを、今後事業体があらた
   めて架空ケーブルに戻すことはあり得ないこと
  2 現実には、美観向上等の観点から国や自治体の要請に基づき地中化が推進
   されており、東・西NTTに限らず、き線ケーブルの架空設置を新たに行うこと
   は困難であることから、これらの観点を考慮していないモデルを適用すること
   は、モデルで算定されたコストと東・西NTTが実現可能なコストに大きな乖離
   を生み出し、投下資本の回収を困難にすることから、適当でないと考えられ
   る(図3参照)。
 (2) したがって、端末回線については、施設設置負担金の扱いも含めて当面現行
   の実際費用方式によることとし、次回モデル見直しの際にき線ケーブルの地中
   化を考慮した見直しを行うこととするのが適当である。
 (3) 次回モデル見直しの際には、き線ケーブルの地中化を考慮するとともに、た
   とえば実際の地中化状況や情報ボックス・自治体管路等の公共的な地下設備の
   整備状況、さらには、「今後の光化等の地域ネットワークの高度化を勘案する
   と、事業体が効率化を進めても大幅なコストダウンは当面期待できない」とい
   った東・西NTTの主張も含め、様々な要素を織り込んで総合的な検討を行った
   上で、端末回線コストへの長期増分費用方式の適用について判断を行うことが
   適当である。
 (4) なお、モデルでは公衆電話発信機能(アナログ・デジタル)のコスト算定も
   行っているが、これには、端末回線コストが一体として含まれており、長期増
   分費用と実際費用が混在するのを避ける意味から、この公衆電話発信機能につ
   いてもモデルの適用除外とすることが適当であると考えられる。

  中期経営改善施策実施後の端末回線(PHS用)の接続料の水準(東・西NTT試算)の図


5 付加機能使用料の調整
 付加機能使用料については、利用者と接続事業者からの二重取りを回避す
る観点から、適当な方法で控除する必要があると考えられる。
  上記についての考え方は以下のとおりである。
 (1) 付加機能見合のコストを、交換機コストから控除するに当たっては、長期増
   分費用方式におけるフォワード・ルッキングな交換機のコスト水準との整合性
   を考慮する必要がある。このため、何らかの方法でモデルが想定する交換機に
   おける付加機能の提供に係るフォワード・ルッキングなコストを推計し、これ
   を控除することが適当と考えられる。
 (2) 具体的には、以下のような方法が考えられる。
 1 東・西NTTが実際に提供している付加機能のうち、モデルが想定する交換機が
  提供しているものを特定する。
 2 現行接続約款における交換機コストと1の付加機能使用料の比率を求める。
 3 2の比率をモデルの交換機コストに乗じて、モデル上の付加機能の提供に係
  るコストを推計する。

 6 モデルの見直し
 モデルの見直しには可能な限り速やかに着手し、モデル実施期間経過後に
新モデルを適用することが適当である。
 見直しの際には、以下の項目について見直すことが適当と考えられる。
1 き線点RTその他NTSコストの扱い
2 耐用年数
3 ロジック及び入力データ
4 端末回線コスト
  上記についての考え方は以下のとおりである。
  なお、東・西NTTにおいては、これらの作業を郵政省において進めるに際して、
 十分な経営情報の開示を行い、十全の議論を尽くせる環境作りに貢献することが
 求められる。

 (1) き線点RTその他NTSコストの扱い
   上記「第VI章 1 適用モデル」において示したとおり、き線点RTその他のNTS
  コストの扱いについては、今後の検討課題とすることが適当である。
   その検討の際には、き線点RTコストをはじめとするNTSコストの回収が危うく
  なり、ユニバーサル・サービスの提供やインフラ構築に悪影響を及ぼすことの
  ないような施策の検討とともに、米国におけるPICCの動向、優先接続制度の進
  展等を総合的に勘案して検討を行い、ユニバーサル・サービス確保の観点から
  利用者に配慮する中で、結論を得ることが適当である。

 (2) 耐用年数
   モデルで使用した耐用年数は、国内の複数の事業者の参加を得て、我が国の
  実態に照らして算出された経済的耐用年数であることから、適切なものと評価
  できる。
   ただし、時間の制約もあって、光ファイバ、交換機及び公衆電話以外の機器
  については、詳細な調査に基づく経済的耐用年数の推計が行えなかったことか
  ら、とりわけこれらの機器については、将来、詳細な調査に基づいた見直しを
  行う必要性があると考えられる。
   なお、諸外国の提案する耐用年数の根拠は必ずしも明確とはなっておらず、
  また、仮に根拠が明確となったとしても、海外における数値を単純に我が国に
  適用することは正しいアプローチとは考えられない(別紙9)。但し、諸外国
  の数値そのものではなく、推計の方法や調査方法について諸外国の知見を参考
  とすることはあってよいと考えられる。
   信頼性の高い調査を行うには一定の期間を要するが、新モデルの適用時期に
  間に合うように主要設備に関する我が国の耐用年数の実態について調査を行い、
  適切な値を決定することが適当である。

 (3) ロジック及び入力データ
   長期増分費用モデル研究会は約2年半の期間をかけてモデルを作成しており、
  新技術の反映等を行ったモデルのロジックの見直しを行う場合にも、相当の期
  間が必要と考えられる。
   一方、トラヒックを含む入力データについて見直しを行った場合には、一般
  的には、機器の価格低下、トラヒックの増加等によるコストの一層の低下が予
  想されるが、実施期間中にこうした見直しを行った場合には、事業体が予め把
  握不可能な要因によって経営の安定性を脅しかねないことから、実施期間中は
  固定することが適当であると考えられる。なお、この点については、ロジック
  の見直しについても同様のことがいえる。
   こうした点を踏まえ、モデル実施期間経過後に新モデルを適用できるよう、
  全体的なロジック及び入力データの見直しに可能な限り速やかに着手すること
  が適当と考えられる。

 (4) 端末回線コスト
   モデルは研究会が各事業者の作業班への参画を得て作成し、パブリック・コ
  メントも招請の上確定したものであり、モデルの端末回線部分に関して、実際
  の地中化状況等を織り込んだ検討を行うためには、同様の検討体制を改めて整
  える必要がある。
   また、地中化については、現実の地中化状況の反映の他にも、研究会報告書
  において今後の検討課題として指摘されている、「情報ボックス・自治体管路
  等の公共的な地下設備の整備状況をどのように織り込むか」、「メタルケーブ
  ルから光ファイバへの移行による地下設備の必要スペースの減少傾向をどう考
  えるか」等々の論点についても合わせて検討を行う必要がある。
   これらの検討を行うためには相当の期間を要すると考えられるが、本件につ
  いてもモデル実施期間経過後に新モデルを適用できるよう、可能な限り速やか
  に見直しに着手することが適当である。

 (5) 新モデル(次回の見直しモデル)の実施期間
   当初モデルの実施後の、新モデルの実施期間は、モデル更新の時点で決定す
  ることが適当である。
   これについての考え方は以下のとおりである。
   今回導入するモデルの実施期間経過後に、上記「6 モデルの見直し」を踏ま
  えてモデルの更新を行った場合には、その時点での競争の進展状況や東・西N
  TTの経営の効率化状況等を踏まえ、更新されたモデルに基づく長期増分コス
  トを概ね達成可能と期待し得る期間を考慮して、可能な限り速やかに実施し得
  る期間を、改めて検討する必要がある。

7 利用者への還元の期待等について
 (1) 接続料の算定における長期増分費用方式の導入は、東・西NTTと接続事業者
   の間で、数千億円規模のコスト負担の変動を伴って行われる。これにより最終
   的に利益を受けるのは利用者であるべきであり、接続事業者においては、電気
   通信事業者としての社会的責務を認識し、以下を踏まえてそのメリットの利用
   者還元に努めることが求められる。
  1 接続料の引下げは、通信料金引下げのために推進するものであることから、
   長期増分費用方式導入による引下げが、着実に通信料金の引下げにつながる
   ことを期待する。
  2 また、通信料金の引下げの他に、接続料の引下げに伴って生じる財源を使
   って新たな設備投資を行うことにより、利用者利便の向上につながる新サー
   ビスの提供を行うことにも期待する。

 (2) また、指定電気通信設備を管理運営する東・西NTTにあっては、中期経営改
   善施策の着実な遂行等により指定電気通信設備の管理運営コストの低廉化を実
   現し、通信料金の低廉化を実現して利用者利便の向上を図ることに期待する。

 (3) こうした通信料金の引下げ、新サービスの提供により利用者利便の向上を図
   り、以て電気通信事業をはじめ我が国の産業全体の発展につながることを期待
   するとともに、その早期実現のため、政府にあっては、本答申の趣旨を踏まえ、
   長期増分費用方式の実施を可能な限り速やかに行うことを期待する。


 別紙1 

東・西NTTの接続料の推移図


 別紙2 

接続料の諸外国との比較図


 別紙3 

日米の接続料の比較図


 別紙4 

長距離系3社(KDD、DDI、JT)の収入に占める接続料の割合
(平成10年度)

   収入合計  
東西NTTに支払う接続料合計
 
 収入に占める割合 
 
 
  4,879億円 
 
       1,889億円 
 
     38.7% 
 

注1:国内電話・ISDNに係る分のみ。
注2:KDDについては、合併前の日本高速通信(TWJ)の収入額及び接続料
  相当分を除外。



 別紙5 

規制緩和推進3か年計画
 ○ 規制緩和推進3か年計画 (平成10年3月31日閣議決定)(抜粋)

  「長期増分費用方式の導入について、平成10年度の接続会計の結果を踏まえ
  て、平成11年度末までを目途に関係者の意見調整を図り、その取扱いを決定
  するなどの措置により、接続料の引下げを促進する。」
 ○ 規制緩和推進3か年計画(平成11年3月30日閣議決定)(抜粋)

  「長期増分費用方式について、できるだけ早期に導入することができるよう、
  平成12年春の通常国会に所要の法案を提出する。」

日米共同現状報告
 ○「規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ」
   日米共同現状報告(平成10年5月)(抜粋)

  「日本政府は、出来るだけ早期に接続料に長期増分費用方式を導入することが
   できるよう、所要の電気通信事業法改正案を2000年春の通常国会に提出
   する意図を有する。
    この法案が成立すれば、日本政府は可能な限り早い期日に長期増分費用方
   式を実施できるように、所要の手続き(例えば、省令の制定や接続約款の認
   可)を迅速に行う。
    仮に全ての適正な手続きが迅速に完了されれば、長期増分費用方式は20
   00年中に実施されよう。
    この過程において、ユニバーサル・サービスの確保に支障を生じたり、既
   存の地域電話会社の利用者料金及び経営に破壊的な影響を与えないよう適切
   に配慮する。」


 別紙6 

米国の州際アクセス・チャージの推移図


 別紙7 

米国における従量制接続料金と定額制料金の推移図


 別紙8 

き線点RTコスト(NTSコスト)の扱いについて

  ケースA及びケースBの相違は、き線点RTコストを従量制料金で回収する
 (ケースA)か、定額制料金で回収する(ケースB)かの相違であり、ケース
 Bを採用する場合には、利用者料金の値上げや定額制の接続料金の導入により
 、トータルとしての回収額がケースAとケースBとで差異がないようにするこ
 とが必要。
線点RTコスト(NTSコスト)の扱いについての図


 別紙9 

各モデルの耐用年数の比較

    設備    
NTTトップダウン・モデル
(法定耐用年数に等しい)
研究会モデルの
耐用年数
米国政府意見書の耐用年数*1
(米国のコンサルタント会社
の数値と同じ)
BTの意見書の
耐用年数*1
    交換機
      6年
 11.9年
    16.17年
 13−14年
 光ファイバケーブル
     10年
 11.2年
 25.91−26.45年
 20−24年
  メタルケーブル
     13年
  13年
 21.61−25.0年
  15年
    管路
     27年
  27年
     56年
  25年
 アナログ公衆電話
      9年
 10.9年
      −
   −
 ディジタル公衆電話
      6年
     6.3年
      −
   −
   機械室建物
    22.1年*2
  33年*2
    46.9年
   −
   共通用建物
    21.2年*2
  37年*2
   −
  注1:米国政府及びBTは長期増分費用モデル研究会報告書(案)に対する意
 見書に記載されている値
  注2:建物と建物付帯設備の耐用年数の加重平均値を設定しているが、トップ
 ダウン・モデルと研究会モデルでは加重平均の方法が異なっているため、異なる
 値となっている。


 別紙10 

長期増分費用方式に関するFCC命令
 ○アクセスチャージ改革命令(1997年5月)(関連部分抜粋)

 45. 〜我々は複数の関係者が、直ちにモデルを利用して長期増分費用に移行する
   よう我々を促したことを知っている。しかし、以下の理由からその提案には従
   えない。
   まず最初に、アクセス(足回り)サービスを提供するための経済的費用を決
  定する正確な長期増分費用モデルが現在存在しない。〜
 46. さらに、たとえ正確な長期増分費用モデルがあったとしても、競争的な料金
   に直ちに移行すると、いくつかの地域会社にとってアクセスチャージの劇的な
   削減をもたらすであろう。そうなれば、既存地域事業者の収入のかなりの減少
   となるであろうし、たとえ新しいユニバーサル・サポート・メカニズムを考慮
   に入れても経営に破壊的な影響を与えるであろう。正確な規制手段無しでは、
   競争的な料金水準に達するのに必要なアクセスチャージの削減水準の算定に重
   要な誤りを生じる。
   (中略)
 48. 我々は、通信法によって作成され、相互接続規則や多くの州の裁定で具現さ
   れた競争促進的な枠組みが、今後数年、実行可能な競争を発生させ、アクセス
   チャージが競争的な水準まで低下すると期待している。
   しかしながら、また我々は競争の進展が場所により異なる料金水準で起こり、
  サービスによっては競争的になりえないことを認める。我々は、競争が現れな
  かったところで、料金を長期増分費用に整合的に設定する権利を有する。それ
  を支援するために、我々はプライスキャップ規制下にある地域通信事業者が、2
  001年2月8日までに、長期増分費用のコスト調査結果を提出することを求める。
  〜
 49. 〜また、我々は規制から競争へ市場の枠組みが変化する結果、既存地域事業
   者が合理的な回収の機会を失った歴史的費用を補償されるべきであるかを検証
   する必要性があると考える。


 別紙11 

長期増分費用方式に関するEU勧告
 ○自由化された市場における相互接続に関する欧州委員会勧告(1997年10月)(
関連部分抜粋)
  最近多くの規制機関やコンサルタントや学者が電話ネットワークの長期平均増
 分費用の調査研究をしている。中には、効率的な経済・エンジニアリング・モデ
 ルであるボトムアップ・モデルを構築するものもいるが、それにより、ネットワ
 ークの構成要素それぞれのコストを足し合わせた接続料原価が導かれる。ボトム
 アップ・モデルの結果とトップダウン・モデルの結果を調整する作業により、接
 続料の算定結果には幅があることがわかる。これらのモデルは、規制機関、事業
 者、学者等により盛んに検討・議論をされている。
  しかしながら、上記作業結果が接続料の基礎とされたケースは希である。現段
 階においては、長期平均増分費用を実際に求め、それを接続料の算定基礎とする
 ことができる国はほとんどない。
  そこで、これらの国の規制当局が、ボトムアップによる長期増分費用の計算に
 必要な情報を集め(適当な場合は、時価会計に基づくトップダウン・モデルの結
 果と照らし合わせ)、その計算をするに十分な経験を積み、規制上、経済上の資
 源を得られるまでの期間は、暫定措置として、自国の事業者から提案された接続
 料が、域内の最も低廉な3ヶ国の接続料と比較して効率的・競争的かどうかをチ
 ェックし、それを参考に料金を設定することができる。


                資 料 編                 目  次 資料1      電気通信審議会委員名簿 資料2      電気通信事業部会委員等名簿 資料3      接続小委員会委員等名簿 資料4      「接続料算定の在り方について」諮問書          (平成11年9月21日) 資料5      電気通信事業部会及び接続小委員会の開催状況
 資料1 

             電気通信審議会委員名簿

                           (五十音順 敬称略)
  氏   名  
        主  要  現  職         
(会長)     
那 須   翔  
         
東京電力(株)相談役        
(会長代理)   
齊 藤 忠 夫  
         
東京大学大学院工学系研究科教授   
(委員)     
有 吉 孝 一  
         
安田火災海上保険(株)会長     
安 西 邦 夫  
東京ガス(株)会長         
北 岡   隆  
三菱電機(株)相談役        
清 原 慶 子  
東京工科大学メディア学部教授    
後 藤 守 正  
ミック(株)社長 
椎 名 武 雄  
日本アイ・ビー・エム(株)最高顧問 
鈴 木 勝 利  
全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会委員長  
醍 醐   聰  
東京大学大学院経済学研究科教授   
月 尾 嘉 男  
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授        
鶴 田 卓 彦  
(株)日本経済新聞社社長      
中 尾 哲 雄  
(社)テレコムサービス協会副会長  
長 尾 立 子  
(社福)全国社会福祉協議会会長   
西 井   昭  
日本船舶通信(株)相談役      
林   敏 彦  
大阪大学大学院国際公共政策研究科教授         
藤 井 義 弘  
日立造船(株)会長         
藤 原 まり子  
(株)博報堂生活総合研究所客員研究員         
舟 田 正 之  
立教大学法学部教授         
村 上 政 敏  
(株)時事通信社社長        
百 崎   英  
(社)行政情報システム研究所理事長 
吉 岡 初 子  
主婦連合会事務局長         


 資料2 

            電気通信事業部会委員等名簿

                           (五十音順 敬称略)
  氏   名  
        主  要  現  職         

(部会長)    
齊 藤 忠 夫  
         
         
東京大学大学院工学系研究科教授   
(部会長代理)  
百 崎   英  
         
(社)行政情報システム研究所理事長 

(委員)     
醍 醐   聰  
         
         
東京大学大学院経済学研究科教授   

林   敏 彦  
         
大阪大学大学院国際公共政策研究科教授         

藤 井 義 弘  
         
日立造船(株)会長         

舟 田 正 之  
         
立教大学法学部教授         

吉 岡 初 子  
         
主婦連合会事務局長         

(専門委員)   
岡 野 行 秀  
         
         
東京大学名誉教授 

酒 井 善 則  
         
東京工業大学工学部教授       

佐 藤 治 正  
         
甲南大学経済学部教授        

藤 原 淳一郎  
         
慶應義塾大学法学部教授       


 資料3 

             接続小委員会委員等名簿

                           (五十音順 敬称略)
  氏   名  
        主  要  現  職         
(主査)     
齊 藤 忠 夫  
東京大学大学院工学系研究科教授   
(主査代理)   
醍 醐   聰  
 
東京大学大学院経済学研究科教授

酒 井 善 則  
 
東京工業大学工学部教授
 
佐 藤 治 正
 
甲南大学経済学部教授
 
藤 原 淳一郎  
 
慶應義塾大学法学部教授


 資料4 

                           諮問第33号
                           平成11年9月21日

 電気通信審議会
 会長 那須 翔 殿


                  郵政大臣 野田 聖子


              諮   問   書


 指定電気通信設備の接続料の一層の低廉化を促進するため、接続料算定の在り方
について諮問する。

(諮問理由)
 現在の接続制度においては、各都道府県において加入者回線総数の2分の1を超
える規模の固定伝送路設備及びこれと一体として設置される概ね都道府県内の電気
通信設備を「指定電気通信設備」として指定し、当該設備を設置する事業者(東日
本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社)に対して、接続に関する会計の
整理や約款の作成を義務づけている。
 現在の指定電気通信設備の接続料は、指定電気通信設備接続会計規則の規定に基
づいて整理された指定電気通信設備の管理運営に実際に要した費用(ヒストリカル
・コスト)を原価として算定されている。
 一方、接続料の一層の低廉化を図る観点から、接続料の原価を、実際に要した費
用ではなく、ネットワークを現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技
術を利用する前提で算定する、「長期増分費用方式」の検討が諸外国で進められて
おり、英国や米国の一部の州内通信等では既に導入が図られている。
 我が国においても、平成8年12月の電気通信審議会答申「接続の基本的ルール
の在り方について」において、技術モデルの構築等の長期増分費用方式に関する検
討を行う必要性が提言されている。また、平成11年3月に閣議決定された「規制
緩和推進3か年計画」においては、「長期増分費用方式について、できるだけ早期
に導入することができるよう、平成12年春の通常国会に所要の法律案を提出する」
とされている。
 さらに、平成10年5月の「規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化された
イニシアチブ」共同現状報告においては、長期増分費用方式のできるだけ早期の導
入とともに、導入に際してのユニバーサル・サービスの確保並びに既存の地域電話
会社の利用者料金及び経営に関する配慮がうたわれている。
 以上を踏まえ、指定電気通信設備の接続料の低廉化を促進するため、今般、長期
増分費用方式を用いた接続料算定の在り方について諮問するものである。


 資料5 

        電気通信事業部会及び接続小委員会の開催状況

   
電気通信事業部会    
接続小委員会      
ヒアリング       
第1回 
   
   
   
   
   
 9月21日(火)     
・ 審議の進め方について
・ 接続小委員会における
  検討要請      
・ 関係者からのヒアリン
  グについて     
 10月6日(水)     
・ 諸外国における長期増
  分費用方式の導入状況
・ 関係者からのヒアリン
  グについて     
            
 10月22日(金)    
1 東日本電信電話株式会 
  社及び西日本電信電話 
  株式会社       
2 日本テレコム株式会社 
   
第2回 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 10月15日(金)    
・ 諸外国における長期増
  分費用方式の導入状況
・ ヒアリング実施要領 
  (案)について   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 11月17日(水)    
・ ヒアリング等の概要に
  ついて       
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 11月12日(金)    
1 東京通信ネットワーク 
  株式会社       
2 米国系競争的通信事業 
  者グループ4社    
 ・ MCIワールドコム・ジ
   ャパン株式会社   
 ・ グローバルワンコミ 
   ュニケーションズ株 
   式会社       
 ・ KVHテレコム有限会社
 ・ PGEジャパン株式会社
3 British Telecomm-un 
  ications plc及びケー 
  ブル アンド ワイヤレ 
  スID         
  C株式会社      
第3回 
   
   
   
   
 11月19日(金)    
・ ヒアリング等の結果に
  ついて       
・ ヒアリング等を踏まえ
  た主要な論点について
 12月1日(水)     
・ 長期増分費用方式導入
  の主要論点について 
   
   
 11月19日(金)    
1 全国消費者団体連絡会 
2 NTT労働組合     
   
   
第4回 
   
   
 12月17日(金)    
・ 長期増分費用方式導入
  の主要論点について 
 12月8日(水)     
・ 長期増分費用方式導入
  の主要論点について 
   
   
   
第5回 
   
   
   
 1月13日(木)     
・ 長期増分費用方式の導
  入に関する基本的考え
  方について     
 12月24日(金)    
・ 長期増分費用方式の導
  入に関する基本的考え
  方について     
   
   
   
   
第6回 
   
   
   
 1月21日(金)     
・ 答申骨子案について 
   
   
 1月7日(金)     
・ 長期増分費用方式の導
  入に関する基本的考え
  方について     
   
   
   
   
第7回 
   
   
   
 2月3日(木)     
・ 答申案について   
   
   
 1月17日(月)     
・ 長期増分費用方式の導
  入に関する基本的考え
  方について     
   
   
   
   
第8回 
   
   
   
 1月27日(木)     
・ 答申案について   
   
   



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