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発表日  : 2000年 6月 2日(金)

タイトル : 平成11年度電気通信番号に関する研究会の報告






第1章 固定端末系の電話番号

1 固定端末系の電気通信番号の概要

  固定端末系の電気通信番号には0AB〜J番号と呼ばれる番号体系が使用され
 ており、その構成は図1の通りである。

  最初の「0」は国内プレフィックスと呼ばれ、閉番号ダイヤルが可能な地域(
 市内局番と加入者番号のみで接続ができる地域。以下「閉番号エリア」という。)
 外への接続であるとを示す識別子であり、それ以降の通常固定端末系の番号とは
 別の性格を有するものと考えられている。「0」以降のアルファベットは、各文
 字が一桁の数字を意味し、ABCDEFGHJで合計9桁(“I”と“1”は誤
 解されるおそれがあり用いない)であることを示している。このうち上位のAB
 CDEの部分は、市外・市内局番であり、合計5桁(一部地域4桁)で構成され
 る。このうち、市外局番は1〜5桁であり、この部分については地域ごとに郵政
 省告示で規定している。また、市内局番は0〜4桁であり、この部分については
 郵政省が電気通信事業者ごとに指定を行うこととしている。最後の4桁のFGH
 Jの部分が加入者番号であり、電気通信事業者が各加入者に付与することとして
 いる。なお、0AB〜J番号は、固定端末系以外にも、無線呼出(発信者課金方
 式ではない無線呼出)用の番号としても使用されている。

            図1:0AB〜J番号の構成
  0AB〜J番号の構成の画像

  現在の番号体系においては、1桁目のAコードで図2のようにおおまかな地方
 識別が可能ある。またABコードで概ね県識別が可能であるが、ABコードが2
 8(栃木、茨城)、42(埼玉、神奈川、東京)、49(埼玉、東京)、53(
 静岡、愛知)、55(山梨、静岡)、58(岐阜、愛知)、74(奈良、滋賀)、
 76(石川、富山)、77(福井、京都、滋賀)、82(広島、山口)、85(
 島根、鳥取)、88(高知、徳島)、92(福岡、長崎)、95(長崎、佐賀)、
 98(宮崎、沖縄)の15地域については完全な県識別を行うためには3桁目の
 Cコードまで必要となる。

       図2:市外局番第1数字及び第2数字(AB)の配分
市外局番第1数字及び第2数字(AB)の配分の画像

  なお、現在の市外・市内局番の境界は完全に都道府県の行政区域と完全には一
 致してはおず、ここでいう県識別の県とは現在の0AB〜J番号が有するいわゆ
 る「ネットワーク上での県」である。

2 0AB〜J番号制定時の考え方

  現在の0AB〜J番号は1961年(昭和36年)に当時の電電公社の料金区
 画を基準とて番号区画が制定され、30数年の長期にわたって基本的に維持され
 てきているものである。
  番号区画を制定した際の基本的な考え方及び基本原則については次の通りであ
 る。

 A.番号体系の基本的考え方
 1加入者のダイヤルにより全国自動即時サービスを実施することを前提とし、一
  旦設定した番号は長期間変更せずに使用できるものとする。
 2既設の市外局番はできるだけ尊重する。
 3できるだけ少ない桁数で単位料金区域が識別できるようにする。
 4最終的に全国番号は9数字に統一する。但し、東京・大阪は市内が7数字の間
  は計8数字のままとする。
 5同一加入区域を閉番号エリアとし、全国的には多くの閉番号エリアの集合とい
  う形をとる。各閉番号エリアに対し、それぞれ固有の市外局番を付与する。

 B.番号付与の基本原則
 ア)閉番号エリアの範囲
   1閉番号エリアは原則として同一加入区域とするが、番号付与上は単位料金
    区域(MA:Massage Area)を一つの閉番号エリアとするこ
    とができるようにする。
   2閉番号エリアで用いる番号(市内局番と加入者番号)の桁数は4桁以上と
    する。
   3二つ以上の単位料金区域をまたがって閉番号エリアを設定することはない。
 イ)市外識別番号
   1閉番号エリア外への通話は市内局番の前に市外局番をダイヤルする。
   2市外識別番号は“0”とする。
 ウ)番号の構成
   1閉番号エリア外への通話を加入者がダイヤル方式で行うための番号構成は、
    市外識別番号+市外局番+閉番号エリアで用いる番号とする。
   2市外局番は閉番号エリアごとに一義的に定める。
   3市外局番と閉番号エリア内の番号との合計桁数は9桁以内とする。
   4市外交換機のルート選択に必要な接続先の加入者を収容している局までの
    識別は最初の5桁以内でできるようにする。

 エ)単位料金区域(MA)の識別
   1全国番号の最初の4桁以内でできるようにする。
 オ)各桁に付与する数字に対する制約
   1第1数字には“0”を用いない。
   2閉番号エリアの第1数字には“0”、“1”を用いない。
 カ)市外局番第1数字、及び第2数字の配分
   1第1数字は北から“1”、“2”と順次付与する。
   2第2数字は基本的には一つの府県に一つとするが人口及び需要等を勘案し
    て複数県で共用する場合もある。

3 0AB〜J番号の番号需要、番号逼迫と番号変更

  電気通信分野への競争の導入により、近年、複数の電気通信事業者によりネッ
 トワークが構築され、また、各電気通信事業者において様々なサービスが進展し
 てきている。これに伴い、0AB〜J番号の番号需要についても急速に増加し、
 番号逼迫が生じた地域では、必要な番号領域を確保するため、番号変更が行われ
 てきている。
  以下、これまでの数年の0AB〜J番号の番号需要の傾向、それに対して行っ
 てきた番号変更のパターンを紹介するとともに、市内局番消費トレンドからみた
 今後の番号逼迫想定時期について検討する。

(1)これまでの番号需要
  0AB〜J番号の需要については、ISDN需要の増加、ダイヤルイン等のサ
 ービス用番号需要の増加、新たな電気通信事業者の参入等、図3のようにここ数
 年において番号需要は着実に増加傾向にある。また、10年程度の長期スパンで
 見た場合でも、図4のように東京03地域の市内局番使用数は、1989年〜1
 999年の10年間で2倍強となっている。

これまでの番号需要のグラフ

(2)番号逼迫と番号変更
  (1)のような番号需要の増加に伴い、市内局番が逼迫した場合に、これまで
 は市内局番の桁数を増加させる番号変更が行われてきている。これまでの番号変
 更のパターンとしては図5の通りである。
  パターン1は市外局番の末尾が0、1以外の場合の桁ずれによる番号変更で、
 市外局番の末尾の数字を市内局番の先頭の数字に桁ずれを行う方法である。これ
 により、市外局番の末尾がCコードである地域について、このような番号変更を
 行うと、Dコードの0、1の市内局番が新たに使用可能となり、20個程度の市
 内局番の増加となる。
  パターン2も桁ずれによる方法であるが、Cコードが0、1の場合は、単純な
 桁ずれを行うことができないため、新たなCコードを市内局番の先頭の数字とす
 る方法としている。
  パターン3は0を除いて8桁の地域に適用されてきた方法で、市内局番の先頭
 に新たな一桁を挿入する方法であり、市内局番数を10倍にすることが可能であ
 る。
  その他、市内局番の領域に未利用領域がある場合は、利用計画を変更し、当該
 市内局番を利用可能とする方法があり、この場合には番号変更は伴わない。
  なお、番号逼迫とは関係なく、同一MA内で複数の市外局番が存在している場
 合に住民要望に従って市外局番を統一する番号変更も行われてきている。

番号逼迫と番号変更の画像

(3)市内局番の消費トレンドからみた番号逼迫想定時期(全国)
  0AB〜J番号については、ISDN需要の増加、ダイヤルイン等のサービス
 番号需要の増加、新たな電気通信事業者の参入、新たなサービスに対する需要か
 ら、アナログ電話、無線呼出等の需要減少にもかかわらず、今後も番号需要は増
 加することが考えられる。そこで、今後の番号需要を推定し、番号逼迫時期につ
 いて検討を行った。
  市内局番の需要増加の動向は地域により異なることから、地域ごとに番号需要
 の増加を推計し、現行2桁市外局番の地域について、番号逼迫が早期に想定され
 るものを抽出したものが図6である。
  具体的な計算方法は1997年度、1998年度の2年間に指定した市内局番
 数から廃止した市内局番数を減じ、これを2で割ったものを今後の1年間の増加
 数と考え、1998年度末の指定数及び使用可能局番数から逼迫想定時期を推定
 したものである。なお、ここではある市外局番配下の市内局番の使用は10個連
 続の単位で使用する(上位4桁(ABCD)で地区(MA)を識別可能)ことを
 前提として推定し、番号逼迫時期としては当該市外局番配下の使用可能な全ての
 市内局番を消費し、新たに10個単位の市内局番が必要となる年度とした。
  市内局番の行き詰まり時期の推計については、計算方法の前提条件(例えば過
 去5年間の実績等)の設定次第で、数年程度の変動もありうることから、ここに
 記述されている年度は一つの目安としてとらえる必要がある。
  これによれば、042及び048地域においては2008年度頃、082地域
 においては2009年度頃には現行の2桁市外局番を維持することができなくな
 ると考えられる。

      図6:現行2桁市外局番が維持できなくなる時期の推計
現行2桁市外局番が維持できなくなる時期の推計の画像

  このうち、042地域について、各地区(MA)ごとの番号逼迫時期を推定す
 ると図7のようになると考えられる。2003年度頃には、042地域(国分寺、
 相模原、所沢地区)において、現在の既定の番号領域(ABCDE)では市内局
 番数が不足し、同一市外局番の未利用番号領域を用いても、2008年度頃には
 現行の方針で市内局番を割り当てることができなくなることから何らかの対処が
 必要と考えられる。

     図7:042地域の各地区(MA)ごとの番号逼迫想定時期
042地域の各地区ごとの番号逼迫想定時期の画像

4 方針決定の必要性

  市内局番の消費トレンドからみた番号逼迫を想定した場合、2003年度頃に
 は042地域(国分寺、相模原、所沢地区)で既存割当て領域が不足する。これ
 までの方針に則り、市外局番を変更することなく番号領域を拡大するとすれば、
 相模原地区(神奈川県)としてCコード(市内局番1桁目)に新たな数字を使用
 する必要があるが、東京都又は埼玉県の042地域で使用中のCコードの数字を
 用いざるを得ず、0AB〜Jの上位3桁(ABC)だけでは、いずれの県か識別
 できなくなる。すなわち、市外局番の変更を行わない場合、2003年度頃には、
 0AB〜Jの上位3桁(ABC)での県識別が不可能になると考えられる。

  このような問題に加え、3でも述べた通り、2008年度頃には現在の2桁市
 外局番(AB)の地域で、現在の2桁市外局番(AB)のままでは番号領域の拡
 大ができない地域が出現する(042、048地域)。

  このような状況から、0AB〜J番号において、地域を識別する機能が失われ
 ていくことを容認するか、地域を識別する機能をどのように確保するか等、今後
 の番号需要拡大への対応方針を早急に決定する必要がある。

5 番号による県識別の必要性

  これまでの番号変更により、同一市外局番を有するMAが増加しており、全M
 A数567のうち、同一市外局番を持つMA数は228に至っており、既に市外
 局番だけでMAを識別することは不可能となっている。また、MAは現在はNT
 T地域会社が設定した領域に準じて、その他の電気通信事業者も設定しているが、
 基本的にはMAは、地域系の電気通信事業者ごとに独自に設定することが可能で
 あり、仮に今後、電気通信事業者ごとに多様なMAが出現すると、市外局番によ
 りMAを識別することはますます困難になると考えられる。

  0AB〜J番号は固定端末系の番号であるため、一定の地理的識別が必要であ
 り、本来、よりきめ細かく特定できることが望ましい。しかしながら、市外局番
 でMAを識別することは困難となりつつあり、MAの次のレベルとして、県程度
 の識別が可能であることが望まれると考えられる。
  通信相手の所属している県が番号で識別できれば、通信相手との距離、ひいて
 は料金水準をイメージする上での手がかりとなり、利便性が高いと考えられる。
 さらに、多くの携帯・自動車電話会社の携帯発信・固定着信の料金体系は、各社
 の営業区域内、営業区域隣接県、それ以外という料金区分を設けているため、個
 別の通信料金を知るためには、番号で通信相手の所属する県が識別できることが
 必要であると考えられる。
  さらに、NTTの再編成により、地域電気通信事業を行う会社として東西NT
 Tが設けられ、県内通信であるかどうかによって当該の通信を取扱う会社が異な
 るケースが生じたこから、新たに県識別を必要とする場合が増加していると考え
 られる。このことは、平成13年5月1日から導入が予定されている優先接続に
 おいて、「県内市外」、「県間市外」の区分が設けられ、電気通信事業者の事前
 登録を行う場合、あるいは、呼ごとに事前登録と異なる電気通信事業者を使用し
 て通信する場合、通信相手の所属する県を識別する必要が生じることから、今後、
 県識別可能であることが一層重要になると考えられる。

  これらの状況を総合的に勘案し、0AB〜J番号についてはできるだけ少ない
 桁数で県識別が可能な番号体系とすることが望ましいと考えられる。

6 0AB〜J番号の番号需要への対策

  0AB〜J番号の番号需要への対策を検討するにあたっては、これまで実施し
 てきた桁ずれ等による番号変更や、未利用番号計画領域の割当て等により、現在
 の番号構造内で実施する短期的対策と、11桁化等による抜本的な番号容量の拡
 大を行う長期的対策の両者の検討が必要と考えられる。また、長期的対策を検討
 する際には、0AB〜J番号の需要はもとより、それ以外の0A0等の番号の需
 要拡大により、0AB〜J番号の長期的対策を前倒しする場合があることを考慮
 する必要があると考えられる。

0AB〜J番号の番号需要への対策の画像

7 0AB〜J番号の番号逼迫の短期的対策

 7−1 042地域の当面の番号逼迫対策案

  短期的対策として、3−(3)市内局番の消費トレンドからみた番号逼迫想定
 時期から、最も早期かつ複雑に番号が逼迫すると想定される042地域(東京、
 埼玉、神奈川)の番号逼迫について、当面の対策を検討する。

  番号領域の拡大方法としては、p.6の図5これまでの番号変更のパターン1
 で示したような桁ずれによる方法、パターン3で示したような桁増による方法以
 外にも、番号領域を移動する方法、閉番号ダイヤルを停止する方法等が考えられ、
 このような観点から、042地域の当面の番号逼迫対策案として次の案1〜案5
 までが考えられる。

  案1は、042−CDE−FGHJを04−2CDE−FGHJという桁ずれ
 による番号変更を行うことにより(一桁市外局番を導入)、現在使用されていな
 い市内局番の先頭(Cコード)の0と1を使用して市内局番の容量拡大を行う案
 である。
  この案のうち、各地区(MA)は所定のCコード(東京(C=2〜6、8)、
 埼玉(C=9、0)、神奈川(C=7、1))の中で市内局番を利用する案を案
 1−1、042地域の全ての地区(MA)で、既存市内局番の逼迫時にCコード
 の共通使用を行う案を案1−2(レベル1)、全てのCDEを使い切った後、0
 4内の別のBコード(≠0、1)を使用する案を案1−2(レベル2)とする。

  案2は、同一県で使用されている市外局番で、番号逼迫のない市外局番へ移動
 する案である。具体的には、各地区(MA)の既存市内局番の逼迫時(ただし、
 東京の地区についてはC=2〜6、8を共通使用後)に、同じ県で使われている他
 の空いている市外局番・市内局番へ移動する案である。

  案3は、同一地域であれば同一の市外局番というこれまでの原則ではなく、番
 号逼迫となった地域には、複数市外局番を使用することとし、これまでの市外局
 番以外に新しい市外局番を導入する(オーバーレイする)案(*)である。具体
 的には、各地区(MA)の既存市内局番の逼迫時(ただし、東京の地区について
 はC=2〜6、8を共通使用後)に、同じ県で使われている他の空いている市外局
 番をオーバーレイする案である。

 (*)米国においては、同一地区に複数のエリアコードを使用する形で既に実施
   されている。

  案4は、閉番号ダイヤルを廃止することにより、現在使用されていない市内局
 番の先頭の0と1を使用して容量拡大を行う案である。
  この案のうち、各地区(MA)は所定のCコード(東京(C=2〜6、8)、
 埼玉(C=9、0)、神奈川(C=7、1))の中で市内局番を利用する案を案
 4−1、042地域の全ての地区(MA)で、既存市内局番の逼迫時にCコード
 の共通使用を行う案を案4−2(レベル1)、全てのCDEを使い切った後、0
 4内の別のBコード(≠0、1)を使用する案を案4−2(レベル2)とする。

  案5は、一桁増(国内プレフィックスの“0”を含めて11桁化)を行う案で
 ある。
  各案の概要を次頁以降に示す。

各案の概要の画像

各案の概要の画像

各案の概要の画像

  これらの案を、利用者側の観点として、地域の識別がどこまで可能か、番号変
 更はわかりやすいか、番号変更に係わる周知エリアの範囲はどの程度か、システ
 ム対応規模はどの程度か、通常利用時の体系のわかりやすさはどうかについて、
 また、電気通信事業者側の観点として、番号変更時のシステム対応、ルーチング
 処理能力への影響、広報の困難性等から、評価したものが次頁の表である。

各案の評価(利用者側)
各案の評価(利用者側)の画像

各案の評価(電気通信事業者側)
各案の評価(電気通信事業者側)の画像

  042地域においては、前述の通り、2003年度頃には、0AB〜Jの上位
 3桁(ABC)での完全な県識別が不可能となり、これを容認し、「042」地
 域というレベルでの地域識別でも可とする場合でも2008年度頃までに何らか
 の対策を実施する必要があることから、各案の評価においては、利用者側、電気
 通信事業者側の観点に加えて、2008年度頃までの比較的短期間に対応可能な
 対策であるか考慮する必要があると考えられる。

  これらを考慮した総合的な評価は、次の通りであり、結論としては、042地
 域の番号逼迫の短期解としては案1−1が適当と考えられる。

 [案5]は、利用者においても全国レベル対応が必要であるとともに、電気通信
 事業者において大規模なシステム対応を必要とすることから、2008年度以前
 に取る対策としては準備期間が短い。

 [案4]は、当該地域以外においては利用者・電気通信事業者とも対策を必要と
 しないものであるが、当該地域においては、閉番号ダイヤルの廃止を伴うという
 点で案1よりも劣るものである。

 [案3]は、当該地域の既存利用者・電気通信事業者と新たな利用者・電気通信
 事業者の間で番号利用において不公平な扱いとなること、また、同一地域で複数
 の市外局番が存在し、これまでと異なる複雑な番号利用環境となることから好ま
 しくない。

 [案2]は、県識別が2桁(AB)で可能となるというメリットがあるが、複雑
 な番号変更の対応(全国レベル)の負担が利用者・電気通信事業者双方にかかる
 わりに、その寿命が2010年から2015年度位であまり長くない。

 [案1]は、番号変更の対応という点では、これまで行われている市外局番−市
 内局番の桁ずらしということで当該地域のみの比較的容易なものであり、また、
 県識別についても上位数桁で識別が可能となっており、他の案と比較して短期的
 対策として最も望ましいものと考えられる。

  なお、県識別をどこまで確保するかで案1−1と案1−2が考えられるが、5
  番号による県識別の必要性で検討結果を考慮すれば、「042」地域というレ
 ベルの識別では県識別の精度としては十分とは言えず、案1−1を採用すること
 が望ましいと考えられる。

 7−2 0AB〜J番号の番号逼迫の短期的対策

  市内局番の需要増加の動向は地域により異なるが、3(3)にも述べた通り、
 042及び048地域においては2008年度頃、082地域においては200
 9年度頃には現行の2桁市外局番を維持することができなくなると考えられる。
 この他、多くの地域で、2020年度頃までには、現行の2桁市外局番(AB)
 が維持できなくなることが想定される。これまでの番号変更、042地域での番
 号逼迫対策の検討を踏まえ、0AB〜J番号の番号逼迫の短期的対策として、一
 般的な原則については次の通り実施することが適当と考えられる。

 1市外局番が3桁(ABC)となるまでは、市外・市内局番の桁ずらしを行い、
  その後、利用可能な全ての市内局番を順次使用する。

 2その後、使用可能なDEが枯渇した場合、Cコードが0、1でない場合は、市
  外・市内局番の桁ずらしを実施することにより、C00〜C19の20局番を
  新たに使用可能とする。

 3その後、同県内で使用中のCで始まる市内局番に10個連続の空き局番がある
  場合は当該市内局番を使用し、10個連続の空きがない場合は、さらに、市外・
  市内局番の桁ずらしを行い、0A−BCDE−FGHJとすることにより、B
  0××又はB1××の各100局番を使用可能とする。

 4一方、C=0、1の場合は、市内局番の先頭が0、1となってしまうため、単
  純な桁ずらしはできない。このことから、2桁ずらしを行い、0A−BCDE
  −FGHJとすることにより、BC××局番を10個単位で新たに使用するこ
  とが可能となる。


  0AB〜J番号の番号逼迫の短期的対策について、フローチャートを示すと次
 の通りとなる。

0AB〜J番号のフローチャートの画像

 (注1)1の状態から、市外・市内局番の一桁ずらしで領域拡張を図ったとして
    も、例えば5年後の市内局番需要予測で該当地域の再逼迫が予想される場
    合で、そのときに、同県内で使用中のCで始まる局番に10個連続の空き
    局番が無いと予想される場合には、1の状態から2桁ずらしにより直接3
    −2に行くこととする。

 (注2)0AB0、0AB1系の市外局番の桁ずらしについて


  0AB0、0AB1系の市外局番地域(表参照)の番号逼迫の場合、これまで
 はパターン2(p.6図5参照)の番号変更方法により容量拡大を図ってきた。

  パターン2の画像

  しかしながら、今後の番号逼迫対策として案1−1を採用する場合には、20
 03年度頃には、03、06以外に04という一桁市外局番が導入される可能性
 があり、今後0AB0、0AB1系の市外局番の短期的対策として従来のパター
 ン2の変更ではなく、新たな変更方法として次のような市外・市内局番を2桁ず
 らす番号変更方法である下記のパターン4も考えられる。

  パターン4の画像

  このパターン4では、当該市外局番地域においては2桁ずらしとなるが、これ
 まで2桁ずらしの番号変更として、0ABCDE−FGHJ → 0ABC−D
 E−FGHJの形の変更が、平成7年度から平成11年度の間で18の市外局番
 について行われてきており(ただし、同一MA内で複数市外局番がある場合の市
 外局番の統一)、特に大きな問題は起こっていないこと、当該市外局番地域以外
 においては番号変更の対応の必要はなく、周知も当該地域のみでよいことがメリ
 ットとしてあげられる。

  これらから、パターン4の番号変更方法は、パターン2の番号変更方法より、
 利用者側・電気通信事業者側双方において容易な番号変更方法であると考えられ
 ることから、今後は、0AB0、0AB1系の市外局番地域の番号逼迫の短期的
 対策として、基本的にはパターン4の番号変更方法を採用することが適当と考え
 られる。ただし、採用にあたっては、0AB0、0AB1系の市外局番地域ごと
 に今後の番号需要等、個別の事情を考慮した上で判断する必要があると考えられ
 る。

  なお、電気通信の高度化のための番号の在り方に関する研究会報告書(平成7
 年5月)において、「今後の0AB0系番号の在り方として、新たな市外局番に
 は用いない。」とされているところであるが、0AB0系番号空間は表のように、
 現在市外局番として利用されているものの他に容量が十分あると考えられること
 から、既に市外局番として利用している番号であって、番号逼迫のためにやむを
 えずパターン4により番号変更を行うものについては、引き続き、市外局番+市
 内局番として利用するとしても特段の問題はないものと考えられる。

 (注3)0を除いて合計8桁の地区は次の2地区である。
  小田原地区(神奈川)  0460−D−EFGH
  神岡地区(岐阜)    0578−D−EFGH

0AB0系番号の使用状況
0AB0系番号の使用状況の画像

0AB1系番号の使用状況
0AB1系番号の使用状況の画像

 7−3 天気予報(市外局番+177)

  番号需要の増加に伴い、多くの地域で桁ずれによる番号変更が実施されてきた
 ところであるが、番号変更で市外・市内局番の桁ずらしが実施された場合、新し
 い市外局番+177で天気予報が提供されることとなる。「7−2 0AB〜J
 番号の番号逼迫の短期的対策」において検討したように、今後、新たな一桁市外
 局番を導入した場合、これまでより広域で同一市外局番となる地域が出現する可
 能性があり、市外局番+177のダイヤル手順への影響を確認する必要がある。

  NTT地域会社では、これまでは図1、2のようなフローで対応を行ってきて
 いる。番号変更の結果、同じ市外局番地区が同一の「気象予報エリア(参考参照)
 」にない場合は、1誘導トーキーによる別の天気予報番号への案内、2市内局番
 の使用制限(「天気予報用」に保留)といった特別の対応が行われることとなる。

地域の桁ずらしの画像


地域の桁ずらしの画像

  「7−2 0AB〜J番号の番号逼迫の短期的対策」において示すような一桁
 市外局番への番号変更が行われた場合についても、図3のような同様のフローで
 対処する
  こととなり、上記12と同様の特別の対応が必要となる。

地域の桁ずらしの画像

  1の誘導トーキーによる別の天気予報番号への案内については、「市外局番+
 177」で当該市外局番地域に含まれる「気象予報エリア」分の、実際に天気予
 報に接続される番号を案内することとなり、案1の一桁市外局番(0A)の導入
 においては誘導トーキーが長くなると考えられる。ただし、誘導トーキーが長く
 なるのは、同一の一桁市外局番(0A)の地域が多数出現した場合の問題であり、
 市内局番の消費トレンドでは、かなり長い期間は現状レベルであると予想される。

  2の市内局番の使用制限(「天気予報用」に保留)については、天気予報用に
 保留すべき市内局番としては、実際に天気予報に接続するための市内局番、並び
 に、その市内局番へ誘導する誘導トーキー用の市内局番がある。

  ただし、誘導トーキー用に保留する市内局番は旧市外局番での誤ダイヤル対策
 としての一時保留用だけである。(その他、0AB1系市外局番地域において特
 定の条件下で市内局番を一つ保留することがある。)
  また、実際に、天気予報に接続するために保留すべき市内局番数は、「気象予
 報エリア」ごとに一つの市内局番(実際には市外局番と市内局番との組合せ)で
 よいと考えられ、最大でも140個(組)であると考えられる。

  一桁市外局番を導入することにより「市外局番+177」の天気予報について
 上記のような対応が必要となるが、このことは一桁市外局番への桁ずらしによる
 番号容量拡大方策を排除するまでのものではないと考えられる。

 (参考)
  現在、「市外局番+177」で当該市外局番地域の天気予報が聞けるようにな
 っている。また、携帯電話から天気予報を聞く場合は、必ず市外局番を付けた「
 市外局番+177」のダイヤルでなければならないことになっている。

  気象庁の天気予報は、気象庁予報警報規程(昭和28年2月20日運輸省告示
 第63号)別表第四号の一次細分区域(本章において「気象予報エリア」という)
 ごとになされており、「市外局番+177」の市外局番の地域が含まれる気象予
 報エリアの天気予報が流れる。

気象予報エリアの画像

 7−4 閉番号ダイヤルが可能な範囲

  今後、新たな一桁市外局番を導入した場合、これまでより広域で同一市外局番
 となる地域が出現する可能性があり、閉番号ダイヤルが可能な範囲についても、
 考え方を整理しておく必要がある。

  従来、閉番号ダイヤルが可能な範囲については、同一市外局番であれば市内局
 番からダイヤル可能で、しかもMAであるという利用者の一般的認識を重視し、
 同一市外局番地域かつ(指定電気通信設備を有するNTT地域会社の)同一MA
 の区画を閉番号区画とし、その区画内に限り閉番号ダイヤルを可能としている。

  同一市外局番を複数の番号区画で用いるケースが増えており、番号だけでは、
 発信時に閉番号ダイヤルが可能かわからないというケースが増加している。また、
 電気通信事業者の新規参入、多様な料金プランの出現により、利用者ごとに最低
 料金で通話できる対象が異なってきており、発着信者が同一のMA内であるか否
 かを、利用者一律に、通話ごとにダイヤル手順で識別させる意義が失われつつあ
 る。さらに、今後、複数の電気通信事業者により多様なMAが設定された場合、
 電気通信事業者ごとに異なる可能性のあるダイヤル手順を利用者が把握すること
 が困難になるおそれがある。そもそも、(電気通信事業者ごとに設定するMAよ
 り)広い地域への接続では、短い桁数のダイヤルで接続可能という閉番号ダイヤ
 ルの利便を享受できない(本来、同一市外局番地域間で市内局番は重複しておら
 ず、閉番号ダイヤルで接続可能である。)という問題もある。

  そこで、同一市外局番地域は、全体として一つの閉番号ダイヤルとすることも
 考えられる。

  しかしながら、現在のところ、各電気通信事業者ともNTT地域会社のMAを
 基本としてMAを設定しており、MAの設定の相違により利用者が混乱するとい
 う状況にまでは至っていないこと、また、依然として、閉番号ダイヤルが可能で
 あれば単位料金であると認識している利用者は多いと考えられ、MAを越えて閉
 番号ダイヤルを可能とした場合に、料金面の混乱が起こる可能性が高いと考えら
 れること、MAの相違にかかわらず閉番号可能とすると、特定のMAについての
 み番号変更を行うことがより困難になることから、当面は、現状通り、閉番号ダ
 イヤルは同一市外局番地域かつ(指定電気通信設備を有するNTT地域の)同一MA
 に限り可能とすることが適当と考えられる。


 7−5 住民要望による番号変更

  近年の番号需要の増加に伴い、多くの地区で桁ずれによる番号変更が実施され
 てきたところであるが、番号逼迫時以外にも、地域住民より番号変更を望む意見
 が出される場合がある。このうち、MAの変更を伴う番号変更については、「近
 距離通話の在り方に関する調査研究会(座長 岡野行秀東京大学名誉教授)(*)
 」においても検討が行われてきたところであるが、電気通信事業者の収支に影響
 を与えるものであり、電気通信番号以外の検討も必要となる。そこで、ここでは、
 番号逼迫といった事情のない場合で、このようなMAの変更を伴うもの以外の番
 号変更について、住民要望があった場合の考え方について整理する。

(1)番号変更の影響が他地域の利用者に直接影響するもの
  番号変更の影響が他地域の利用者に直接影響するもの、例えば市外・市内局番
 の数字の変更については、当該地域の住民、電気通信事業者ばかりでなく、他地
 域の住民、電気通信事業者にも番号変更の負担が広く及ぶのに対し、番号変更の
 メリットが明確でなく、原則として、特定地域の住民要望のみで番号変更を実施
 することは適当ではないと考えられる。

(2)番号変更の影響が他地域の利用者に直接影響しないもの
  番号変更の影響が他地域の利用者に直接影響しないもののうち、同一MA内に
 複数の市外局番(番号区画)が存在する地域で市外局番(番号区画)を統一(合
 併)するものについては、閉番号で接続できる地域が拡大される点は利用者にと
 ってメリットであることから、原則、住民要望の受け入れが適当と考えられる。
  ただし、桁ずれが発生する地区では、閉番号ダイヤルの桁数が増えることから、
 当該地区の住民の十分なコンセンサスが必要となる。
  なお、MAを跨ぐ番号区画の合併は、「7−4 閉番号ダイヤルが可能な範囲」
 の考え方に従い、現状では適当でないと考えられる。

  番号変更の影響が他地域の利用者に直接影響しないもののうち、市外局番の統
 一(番号区画の合併)ではなく、単に桁ずれを要望するものについては、当該地
 域の全利用者において、閉番号ダイヤルの桁数が増える点、並びに、電気通信事
 業者・利用者双方で周知費用・改造費用等の負担が必要となる点がデメリットで
 ある。
  このような番号変更は、利用者に明確なメリットがない一方、デメリットが多
 いことから、桁ずれのみを目的とした住民要望は、住民の大多数の要望であるか
 厳密な検証が必要であり、このような番号変更を行うことは基本的に適当でない
 と考えられる。

 (*)MAの設定の在り方の問題を中心に近距離通話の在り方について調査研究
   を行い、平成4年6月に報告書がとりまとめられている。MAの在り方とし
   基ては、本的にはMAを拡大していく方向で改善を図っていくことが妥当で
   あること、MAと行政区域(市町村区域)の不一致については、利用者の同
   意を前提に不一致の解消に努めていくことが妥当であること等が提言されて
   いる。


8 0AB〜J番号の長期的な在り方

 8−1 検討の目的

  0AB〜J番号の番号需要への対策を検討するにあたっては、「6 0AB〜
 J番号の番号需要への対策」において検討したように、桁ずれ等による番号変更
 や、未利用番号計画領域の割当等により、既存の番号体系を前提として対処する
 短期的対策に加え、これまでの0AB〜Jに1桁追加(国内プレフィックスの“
 0”も含めて11桁化)すること等により、抜本的な番号容量の拡大を行う長期
 的対策も検討が必要である。(*)

  長期的対策の検討においては、0AB〜J番号の番号需要への逼迫対策として
 だけではなく、今後、多様なサービスを電気通信事業者が利用者に提供するため
 の番号空間の創出を考慮した方法とすることも考えられる。具体的には、現在の
 番号体系では1桁目(Aコード)の1から9までを0AB〜J番号で利用してお
 り、これを例えばAコードの一部に収容し、その他のAコードを新規サービス用
 の番号空間として確保することが考えられる。

  この場合、固定電話以外の番号(0A0、0AB0等)もあわせて、番号体系
 全体を変更することで、Aコードのみでどのようなサービスであるか識別可能と
 することも考えられるが、既存の番号を変更することの事業者及び利用者への影
 響、得られる効果、Aコードの具体的な使用方法等、検討課題も多いことから別
 の検討の機会に委ねることとし、本節ではこのような番号体系全体の変更にはこ
 だわらず、番号需要への対策を中心として検討を行う。

  これらを踏まえ、本節では、0AB〜J番号の逼迫対策として、また、新サー
 ビスのための番号空間の創出として、長期的にみてどのような方法があるか、ま
 た、各々の方法のメリット、デメリット等、長期的な電気通信番号の在り方につ
 いて検討し、「6 0AB〜J番号の番号需要への対策」で検討した短期解が長
 期的な対策とも矛盾しないか検証を行う。

 (*)長期的対策として、欧州のいくつかの国で採用されつつある閉番号ダイヤ
   ルの廃止も考えられるところであるが、この方法による番号容量の拡大は、
   市内局番の先頭では使用されていない“0”、“1”を利用する方法であり、
   抜本的な番号容量の拡大策とならないこと、また、閉番号ダイヤルは利用者
   の番号利用において利便性が高いと考えられることから、長期的対策の検討
   としては11桁化に絞り検討を行う。

 8−2 桁増を行う場合の基本的な検討

  長期的対策として桁増を行うにあたっては、固定端末系の番号の構造を抜本的
 に見直すことも考えられ、幅広く検討する必要がある。
  現在、市外・市内局番は可変長となっており、市外局番は1〜5桁、市内局番
 は0〜4桁、市外・市内局番の合計は4〜5桁となっている。市外・市内局番の
 桁数は1961年(昭和36年)の番号計画策定当時に、MA毎に与えられた番
 号容量の範囲で将来の需要に応じて決められたものである。
  このように市外・市内局番を可変長とすることのメリットは、地域ごとの需要
 に応じたきめ細かい番号区画が設定可能であること、閉番号ダイヤルが可能な区
 域内で通話を行う場合により短い桁数で通話が可能であること等があげられる。
  一方、米国においては、エリアコード(3桁)+交換局コード(3桁)+加入
 者番号(4桁)のように、市外局番と市内局番にあたる部分が固定長となってい
 るが、固定長とすることのメリットは、市外・市内局番の区切りがわかりやすい
 ことが考えられる。
  このような、市外・市内局番の固定長、可変長の検討とともに、目指す地理的
 識別のレベルをどうするか、新たなサービスのためのAコードの確保、番号変更
 の容易性を検討し、桁増の方法を抽出していくこととする。

(1)市外・市内局番を固定長とする方法

 1市外局番で閉番号区画(又はMA)を識別
  市外・市内局番を固定長とし、市外・市内局番で閉番号区画(又はMA)識別
 を可能とする場合、閉番号区画(全国649、MAは全国567)を識別可能と
 するためには、区画識別に少なくとも3桁必要となり、また一区画内の最大市内
 局番数は、東京03地区で4桁必要となる。これらから、番号構造としては、
  0+市外局番(3桁)+市内局番(4桁)+加入者番号(4桁)=12桁
  となり、現行より2桁増(現在9桁地域は3桁増)となる。
  また、同一市外局番となっている閉番号区画(又はMA)全てについて個別に
 変更先の市外局番を設定する必要があり、極めて複雑な番号変更となるため、桁
 増として適当ではないと考えられる。

 2市外局番で県を識別
  市外・市内局番を固定長とし、市外局番で県識別を可能とする(県より下の識
 別は目指さない)場合は、県(全国47)を識別するためには市外局番として少
 なくとも2桁必要である。また、一つの県内で、最大市内局番数は、東京都(現
 在3920の市内局番を使用)で4桁必要であることから、番号構造としては、
  0+市外局番(2桁)+市内局番(4桁)+加入者番号(4桁)=11桁
  となり、現行より1桁増(一部地域2桁増)の11桁化となる。
  また、Aコードの数字を少なくとも5つ(県数47を収容するため)使用する
 ことになるが、Aコードでの新たなサービスへの番号領域の確保は可能と考えら
 れる。(次節に示す案A中のA’)

(2)市外・市内局番を可変長とする方法

 1市外局番で閉番号区画(又はMA)を識別
  一方、市外・市内局番を可変長とし、市外局番で閉番号区画(又はMA)識別
 を可能とする場合は、現行閉番号区画(全国649)の市外局番桁数別分布が、
  市外局番が1桁の番号区画:  2
  市外局番が2桁の番号区画: 57
  市外局番が3桁の番号区画:416
  市外局番が4桁の番号区画:154
  市外局番が5桁の番号区画: 20
  であることから、各々に市内局番が4桁、3桁、2桁、1桁、0桁必要とする
 と、市外局番+市内局番で6桁(120,160=2×10,000+57×1,
 000+416×100+154×10+20)必要となると考えられる。この
 ことから、番号構造としては、
  0+市外局番+市内局番(合わせて6桁)+加入者番号(4桁)=11桁
  となり、現行より1桁増(一部地域2桁増)の11桁化となる。
  また、最上位1桁(A)の数字を少なくとも2つ(120,160を収容する
 ため)使用することになるが、Aレベルでの新たなサービスへの番号領域の確保
 は可能と考えられる。
  しかしながら、同一市外局番となっている閉番号区画又はMA全てについて、個
 別に変更先の市外局番を設定する必要があり、極めて複雑な番号変更となること
 から、11桁化としては適当ではないと考えられる。

 2市外局番で県を識別
  市外・市内局番を可変長とし、市外局番だけで県識別を可能とする方法として、
 上位2桁を県番号として決める方法(次節に示す案A)と、現在、複数の県で上
 位2桁に同一番号を用いている地域が多数(*1)あり、3桁目で県識別を可能
 としているため、市外局番中に3桁目の数字を入れるようCコードの次に新たな
 1桁を挿入する方法が考えられる。


 (*1)28(栃木県、茨城県)、42(埼玉県、東京都、神奈川県)、49(
    埼玉県、東京都)、53(静岡県、愛知県)、55(山梨県、静岡県)、
    58(岐阜県、愛知県)、74(奈良県、滋賀県)、76(石川県、富山県)、
    77(福井県、京都府、滋賀県)、82(広島県、山口県)、85(島根
    県、鳥取県)、88(高知県、徳島県)、92(福岡県、長崎県)、95
    (長崎県、佐賀県)、98(宮崎県、沖縄)(計15番号)

     例:0ABCDEFGHJ   →   0ABCcDEFGHJ
     (C=0、1の場合は、c=D、C=2〜9の場合はc=C)

  しかし、この方法によると、市内局番と市外局番の境界位置を(場合によって
 はcの値も)地域毎に決める必要があり(*2)、番号変更が複雑となること、
 また、市外局番が4桁以上の地区では市内局番の容量が増加しないという問題が
 あることから適当ではないと考えられる。

 (*2)例:045−CDE−FGHJ  →   045−CCDE−FGHJ
    (045全体で一つの県内であることから、市外局番を変更しない。)
    例:042−CDE−FGHJ  →   042C−CDE−FGHJ
    (042は複数の県にまたがり、それぞれでCの値が異なるため市外局番
    の末尾とする。)

 3市外・市内局番を含めた上位数桁で県を識別
  市外・市内局番を可変長とし、市外局番だけに限定せず市内局番も含めた上位
 数桁で県識別を可能とする場合(県より下の識別は目指さない場合)は、番号の
 最上位に1桁追加する方法(次節に示す案B、案C、案D)、AコードとBコー
 ドの間に1桁追加する方法(次節に示す案E)、市外局番末尾に新たな1桁を追
 加する方法(次節に示す案G)、その他の方法(次節に示す案F)が考えられる。

  なお、加入者番号の桁増を行う方法も考えられるが、市内局番の逼迫対策に直
 接結びつかないこと、新サービスの番号確保にも結びつかないこと、部分ダイヤ
 ルとなりやすく併行運用が困難であることから適当ではないと考えられる。

 8−3 桁増の具体的な案

  「8−2 桁増を行う場合の基本的な検討」において抽出された桁増の具体的
 な方式の案について、固定端末系の番号を少数のAコードに集約し、その他のA
 コードを新たなサービスに使用する型の桁増[Aコード集約型]、並びにAコー
 ドの使用方法はこれまでと同一とする型の桁増[Aコード非集約型]に分類して
 再掲すると以下の通りとなる。

 [Aコード集約型]

 案A:完全県識別方式
  abとして各県ごとの県番号を設定する方式
   0ABCDE−FGHJ → 0abBCDE−FGHJ

 案B:市外局番集約方式(1)
  東日本と西日本で市外局番を集約、ただし、東京03、大阪06地域を先行1
  1桁化する方式。
   東日本 0ABCDE−FGHJ → 03bBCDE−FGHJ
   西日本 0ABCDE−FGHJ → 06bBCDE−FGHJ
   (東京03、大阪06地域以外ではb=A)

 案C:市外局番集約方式(2)
  東日本と西日本で市外局番を集約、ただし、案Bのように東京03、大阪06
  地域を先行11桁化を行うのではなく、一部地域のAコードを変更する方式。
   東日本 0ABCDE−FGHJ → 03bBCDE−FGHJ
   西日本 0ABCDE−FGHJ → 06bBCDE−FGHJ
   (bコードは03、06地域で未使用のもの)

 案D:市外局番集約方式(3)
  番号逼迫している04地域(南関東)を先行11桁化し、空きとなった04領
  域に他地域(東京を除く)の番号を移行する方式。
   東京・南関東 0ABCDE−FGHJ → 03bBCDE−FGHJ
   その他 0ABCDE−FGHJ → 04ABCDE−FGHJ
   (bコードは03地域で未使用のもの)


 [Aコード非集約型]

 案E:0A1局番利用方式
  現在0A1の領域はA=1、9を除いて未利用領域であることから、番号逼迫
  となった地域からAコードとBコードの間に1を挿入して11桁化して、0A
  1の領域の使用を開始する方式。なお、この番号変更により0AB領域が空き
  領域となり、同じ0ABを使用する地域で逼迫の際には現行の10桁のままこ
  の空き領域の使用を開始。
   0ABCDE−FGHJ → 0A1BCDE−FGHJ

 案F:未使用番号領域利用方式
  番号逼迫地域から順次同県内の未使用0Abcを利用する方式。
   0ABCDE−FGHJ → 0AbcCDE−FGHJ
   (bcコードは現行未使用番号領域を利用)

 案G:市外局番末尾1桁増方式
  市外局番の末尾へ、旧市内局番の代表的な先頭番号等(1桁)を挿入。
   0A−BCDE−FGHJ → 0Ab−BCDE−FGHJ
   (b=B)
   0AB−CDE−FGHJ → 0ABC−cDE−FGHJ
   (c=C、ただし、Cを複数の地区(MA)で使用している場合は、他の地
   区(MA)と重複しないcで地区(MA)ごとに集約)
   0ABC−DE−FGHJ → 0ABCd−DE−FGHJ
   (d=D)

  次頁以降に各案の詳細を示す。

各案の詳細の画像

各案の詳細の画像

各案の詳細の画像

各案の詳細の画像
 
 
(注)部分ダイヤル
桁増後の番号が、桁増前の番号あ
るいは桁増に関係のない番号と1
0桁分重なること。
(例)案G
04-5xxx-xxxx→045-5xxx-xxxx
という桁増を行った場合、桁増前
の04-55xx-xxxxという番号と重複。
この場合、番号変更時に新旧番号
の併行運用が不可能となる。(利
用者が11桁の04-55xx-xxxxを
ダイヤルしようとしたが、最後の
11桁目のダイヤルが何らかの理
由で遅れたとき、04-55xx-xxxx
に接続されてしまう。)

(参考1)案Aの運用例

案Aの運用例の画像


(参考2)案Bのイメージ

案Bのイメージの画像


(参考3)案Cのイメージ

案Cのイメージの画像


(参考4)案Dのイメージ

案Dのイメージの画像


  案Dについては、北海道、東北、北関東をいずれかの段階で0AB→03AB
 と変更し、東日本03、西日本04に統一する方法も考えられる。

(参考5)案Gのイメージ(042の例)

案Gのイメージ(042の例)の画像

 8−4 桁増を行う場合に注意すべき事項及び各案の比較

  桁増を行う場合に注意すべき事項として、どの程度の市内局番の逼迫対策とな
 るか、新サービス用の番号空間をどの程度創出できるか、地域別に対策が可能か
 (逼迫した地域のみを桁増し、番号容量の拡大が行える)、番号変更はわかりや
 すいか、変更後の番号の地理的識別はどの程度可能か、併行運用は可能か、短期
 的対策である案1−1(「70AB〜J番号の番号逼迫の短期的対策」参照)と
 の整合性はあるか等が考えられ、これらを評価項目として、各案を評価する。

桁増を行う場合に注意すべき事項及び各案の比較の表

  (注)案A’:11桁化後の番号構成がシンプルになる。

  これらを評価した場合、「Aコード集約型」においては、地域別対策の可否の
 観点で案B、案C、案Dが案Aより優れていると考えられる。なお、「Aコード
 非集約型」においては、併行運用の可否の観点で案E、案Fが案Gより優れてい
 ると考えられ、案Eと案Fの比較では、より確実な市内局番逼迫対策となる点、
 番号変更のわかりやすさの点で案Eの方が適当と考えられるが、長期的な視点に
 立った場合は、新規サービス用の番号空間の創出がなされておらず、「Aコード
 集約型」が適当と考えられる。

  いずれの案とすべきかについては、今後の事業動向、電気通信分野における新
 たなサービスの展開、並びに利用者の意見を総合的に勘案するなど、さらに詳細
 に検討する必要があり、今回の研究会で結論づけるまでには至らなかったが、固
 定端末系の番号の11桁化は、利用者及び電気通信事業者双方への影響が大きく、
 その準備にはある程度長期間を要することから、どの案とするか早期に判断する
 必要があると考えられる。また、11桁化は電気通信事業者の多くの設備に影響
 を及ぼすため、電気通信事業者においては、11桁化の決定以前より、11桁化
 に対応する準備が望まれる。

  なお、案A〜案Gのいずれの案を採用した場合でも、短期解の案1−1との整
 合性があると考えられ、042地域の当面の番号逼迫対策として、案1−1を採
 用することとしても、長期的対策との整合性において問題がないものである。

(参考6)0AB及び0ABC空き局番

0AB系の空き局番
0AB系の空き局番の表

0ABC系の空き局番
0ABC系の空き局番の表





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