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発表日  : 2000年 6月 2日(金)

タイトル : 平成11年度電気通信番号に関する研究会の報告






第4章 情報提供型サービスの番号

1 検討の背景及び目的

  通話料の他に情報料を併せて徴収する情報提供型サービスについては、これま
 で、電気通信事業者が情報提供者に代わって情報料を徴収する、「情報料代理徴
 収」という形態で0990番号が使用されている。

  0990番号は、平成元年より当時のNTTがダイヤルQ2として使用開始し
 たが、いわゆるアダルト番組やツーショット番組など青少年に悪影響を与えると
 される情報内容や利用料金の高額化などが社会問題となり、NTTにおいては種
 々の改善策が講じられてきたところである。

  一方、近年の情報技術の発展・普及、並びにアクセス網の高速化に伴い、音楽
 ソフト、ゲームソフト等様々な情報がネットワークを通じて配信され、かつ、そ
 の情報料を電気通信事業者が通話料と併せて徴収するサービスへのニーズが高ま
 っており、情報提供者等から、0990番号以外の番号で提供できないかという
 照会が電気通信事業者に寄せられることがある。

  さらに、新たな情報提供サービスの形態として、情報料を代理徴収するという
 形態の他に、電気通信事業者自らが情報提供者となって情報を提供し、通話料と
 併せて情報料を徴収するという形態が考えられており、この場合、0990以外
 の番号を使用してもよいか、あるいは、他の特別な番号を設定してもよいか整理
 が必要となっている。

  そこで、情報提供型サービスについて、0990番号以外の番号(例えば、新
 たな0AB0、00XY−SC、1XY、*、#)の利用について検討を行う。

2 ITU−T勧告及び各国の状況

(1)ITU−T勧告
  ITU−T勧告では、国際的な情報提供型サービスとしてIPRS(Interna
 tional Premium Rate Service)のサービス規定について記述したITU−T勧
 告E.155がある。同勧告では、「IPRSとは、情報提供者が存在する国の
 ROAが、発信者側の国のROAと連携して、標準的な国際ダイレクトダイヤル通
 話料金より高い料金で提供するサービス」としている。また、同勧告では、IP
 RSへのアクセス方法として次の2種類を規定している。

 Access Method 1:発信国のプレミアム・レート番号を使う方式
 例えば、外国の情報提供者が提供する情報に対して、日本からは0990番号で
 アクセスする。

 Access Method 2:ユニバーサル国際プレミアムレート番号
 (UIPRN:国番号979から始まる12桁の番号)を使う方式
 例えば、外国の情報提供者が提供する情報に対して、日本からは、事業者識別番
 号+010+ユニバーサル国際プレミアムレート番号の国際ダイヤル手順でアク
 セスする。

  なお、ITU-Tの勧告においては、UIPRNと同様に特定の国番号を用いてユニバー
 サル国際サービスを行うものとして、UIFN(フリーフォン。国番号800)、UIS
 CN(分担課金。国番号808)が規定されているが、これらにおいては、以上の
 アクセス方法の他に、次のようなアクセス方法が規定されている。

 Access Method3 :着信国側の当該サービス番号を使う方式
 例えば、米国のフリーフォンサービスに、事業者識別番号+010+1+800
 +7桁番号の国際ダイヤル手順でアクセスする。

  IPRSの場合には、このAccess Method 3が勧告E.155の本文では規定
 されておらず、発側/着側事業者の二者間合意に基づく場合に限定した条件下で
 の使用方法ということで付録Iで記述されている。ただし、発信者にとっては、
 外国の番号がプレミアムレート番号かどうなのかわかりにくいことや、誤ダイヤ
 ル時の影響が通常のサービスより大きいので、実態としては使用されていない。

(2)英国の状況

  これまで、各種の番号が使用されてきたが、The Big Number以降は、すべての
 プレミアム・レート・サービスは09で始まる番号でなければならないとしてい
 る(The national Numbering Scheme)。

英国の状況の画像

(3)米国の状況
  連邦規則において以下のとおり規定されている。
 ・音声の蓄積情報へのアクセスや同時会話サービスなどで、その利用料金が呼の
  設定(完了)をもとに計算され、その通話自体に必要な料金以上の利用料金が、
  呼毎あるいは時間従量制により、課せられる形態のサービスを、ペイ・パー・
  コール・サービス(Pay-per-call service)という。
 ・ペイ・パー・コール・サービスは、900番のサービスアクセスコードから始
  まる番号でのみ提供されなければならない。

   米国の状況の画像

 ・なお、電気通信事業者あるいは関係団体が行う番号案内や、サービスプロバイ
  ダーとの間で、事前申し込み、あるいはそれに相当する合意がなされた後に始
  めて利用者が利用料金を課せられるサービスについては、ペイ・パー・コール・
  サービスには含めない。

3 情報提供型サービスの番号に関する検討

(1)情報提供型サービスが有する問題点・注意点
  一般的に情報提供型サービスが有する問題点・注意点として、平成元年当時の
 NTTが提供を開始したダイヤルQ2で発生した事例等から、以下のようなもの
 があると考えられる。

 1利用料金の高額化
  情報提供型サービスでは通話料以外に情報料が請求され、高額な利用料金にな
 る場合があるが、利用料金がどれくらいになるのか利用者に理解しにくい。

 2電話契約者以外の利用
  電話契約者以外の者が利用した場合にも、電話契約者に通話料・情報料の請求
 がなされる。従って、例えば企業等では、従業員が勝手に情報提供型サービスへ
 アクセスできないようにしたい、あるいは、家庭等においても同様のニーズがあ
 る。

 3情報内容
  青少年には適さない情報が提供されるおそれがある。

  情報提供型サービスにおける0990番号以外の番号の利用(の適否)の検討
 にあたっては、このような利用者保護上の問題点・注意点を十分考慮する必要が
 あると考えられる。

(2)検討対象の情報提供型サービスの定義
  以下の検討では、情報提供型サービスの定義を、(1)のような問題の発生の
 可能性があるサービスということで、「通話料等の電気通信役務の料金の他に情
 報料等の代金が電気通信事業者により請求されるサービス」とする。
  「104」の番号案内の料金は、一電話番号案内当たりの料金が電気通信役務
 の料金として設定されている。このような電気通信役務の料金のみで、それ以外
 の情報料等の代金が電気通信事業者により請求されないサービスは対象外である。

(3) 番号に関する検討
  (1)のような問題を考慮すると、利用者が利用しようとするサービスが情報
 提供型サービスであることが容易に認識できるよう、番号で情報提供型サービス
 であるか否か認識できることが望ましい。

  また、電話契約者が、契約者以外の者がサービスを利用できないような方策(
 例えば、PBXや端末での発信規制等)を、容易に取ることができるようにする
 必要があることから、多種多様な番号が情報提供型サービスとして利用されるこ
 とは適当ではなく、ある特定の統一的な番号のみとする必要がある。

  これらより、情報提供型サービスの番号を特定の番号のみとすることが適当と
 考えられる。現在、情報料代理徴収機能に用いられている0990は次の通りで
 あり、情報提供型サービスの番号を0990番号のみとすることが適当と考えら
 れる。なお、Dコードで大人向け番組か否かの区分けを行うこと、国際的な情報
 提供型サービスでは、ITU−T勧告に従いUIPRNの利用を行うことについ
 ても適当と考えられる。

 10990番号は既に通話料の他に情報料が請求されるということの認識が行き
  渡っていると考えられる。

 20990番号はDEFコード(0990に続く3桁部分)を取得することによ
  り、どの事業者も利用可能である。

 30990番号以外の新たな0AB0番号を設定することについては、その必要
  性が認められ、新たな0AB0番号の利用基準が0990番号と明確に違い、
  また、公正なものである必要があるが、現在のところそのような必要性が見当
  たらない。

  ○大人向け番組であるか否かについては、0990番号では、Dコードで分け
   る(D=2、3が大人向け番組。平成8年度電気通信番号に関する研究会報
   告書)運用がなされている。これについて特段の問題(例えば、大人向け番
   組用の新たな0AB0番号を設定等)は提起されていない。また、ITU−
   TのUIPRNに関する勧告においても、979の国番号の次のコードで大
   人向けかどうかを識別する形態になっている。

  ○情報料に対応させて詳細に番号を区別することについては、情報提供者が情
   報料を低廉化した場合に番号変更が必要となるケースが生じるなど、柔軟な
   番組編成が困難になることから、事前の料金通知ガイダンス等番号以外の方
   法により利用者に情報料を知らせることにより対処することが望ましい。

  ○電気通信事業者が自ら提供する情報の場合には、新たな0AB0番号でもい
   いのではないかということについては、その明確な根拠が不明であるととも
   に、電気通信事業者とその他の情報提供者との間において、番号利用の面で
   公平ではないと考えられる。

  なお、(1)のような問題は、下記のような場合には発生しない(あるいは問
 題となり難い)と考えられることから、番号を統一する必要はないものと考えら
 れる。

 ・電話契約者本人が事前に提供サービスの条件等を確実に認識した上で、事業者
  との間で個別に契約した後始めて利用できるもの
 ・暗証番号等の利用により、電話契約者本人しか利用できないような対策がなさ
  れているもの

(4)その他
  インターネット上でのエレクトリック・コマース(EC)において、情報提供
 型サービスが提供されることも想定されるが、一般のインターネット(情報提供
 型サービス専用ではない)へのダイヤルアップアクセス時に用いる番号について
 は、一般のインターネットは情報提供型サービス以外の利用が多く、番号統一利
 用の対象とすることは困難であること、また、ダイヤルアップ以外のインターネ
 ットへのアクセスでは、常時接続型など番号が用いられないこともあることから、
 これらについては、番号以外の利用者保護策が望まれる。
  また、情報提供型サービスの番号を0990番号、UIPRNのみで統一利用
 したとしても、その番号だけでは、利用料金が判断できないことから、事前のガ
 イダンス等の利用者保護機能が望ましい。

(参考)NTT地域会社におけるダイヤルQ2での利用者保護機能
 1事前料金通知ガイダンス後、通話料の課金を開始
 2その後、情報料非課金時間も設け、情報提供者名、番組名等の通知を情報提供
  者側で通知することとしている。
 3その他「利用規制」「パスワード」の利用が可能

ダイヤルQ2での利用者保護機能の画像



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