報道発表資料のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ ・ 電気通信


発表日  : 2000年11月16日(木)

タイトル : 「IT競争政策特別部会 第一次答申(草案)」(「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について」(平成12年諮問第29号)関連)に対する意見募集






 電気通信審議会は、平成12年7月26日、郵政大臣より「IT革命を推進する
ための電気通信事業における競争政策の在り方」について諮問を受けたのを踏まえ、
「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特
別部会」を設置し、そこにおいて審議を積み重ねてきました。
 当特別部会においては、現在、年内にも一次答申案を取りまとめるべく審議を行
っているところですが、今般、現段階の草案(別添)について広く国民等の意見を
求め、これを踏まえて調査審議を行った上で電気通信審議会に報告する一次答申案
を策定することとしました。
 つきましては、草案に対する意見の提出を、下記要領に従って電子メール、郵送
及びFAXにより受け付けますので、平成12年11月30日(木)17時まで(
必着)に、お寄せ下さいますようお願いします。

                  記

 意見提出方法 
  意見を提出したい方は、次の2の様式により、日本語で意見を作成の上、次の
 (1)から(3)までに従い電子メール、郵送又はFAXにより提出して下さい。(意
 見取りまとめの関係上、できるだけ電子メールで提出して下さるようお願いしま
 す。)
  意見には、提出者の氏名、住所及び連絡先(法人又は団体の場合は名称、代表
 者の氏名、主たる事務所の所在地及び担当者の連絡先)を付記して下さい。また、
 電子メールをご利用の場合は、メールアドレスも併せて付記して下さい。
  なお、電話等口頭による意見には対応しかねますので、予めご了承下さい。
  お寄せいただいた意見については、郵政省において公衆の閲覧に供するほか、
 準備が整い次第、郵政省ホームページに掲載します。
 (http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/telecouncil/it/index.
html)

1 意見提出先等
 (1) 電子メールの場合(意見取りまとめの関係上、できるだけ電子メールで提
   出して下さるようお願いします。)
 ・送付先メールアドレス:kyoso@mpt.go.jp
 ・件名は「IT競争政策特別部会 第一次答申(草案)に対する意見」として下
  さい。

 (2) 郵送の場合
 ・送付先:〒100-8798 東京都千代田区霞が関1−3−2
      郵政大臣官房秘書課審議会事務局 電気通信審議会係
      「IT競争政策特別部会 第一次答申(草案)に対する意見」担当あて
 ・書面と併せて書面の内容を保存した磁気ディスク(注)を同封して提出して下
  さい。
 (注) 3.5インチ、2HDのフロッピーディスクを1.44MBのMS−DOSフォー
   マットとすることとし、ファイル形式はMicrosoft Word98若しくはMicroso
   ft PowerPoint97で認識できるファイルとして下さい。また、フロッピーデ
   ィスクには、提出者の氏名、意見提出日及びファイル名を記載したラベルを
   貼付して下さい。

 (3) FAXの場合
 ・FAX番号:03−3508−4088
 ・「IT競争政策特別部会 第一次答申(草案)に対する意見」担当あてにお送
  り下さい。

 2 意見提出様式
   用紙等の大きさは日本工業規格A列4番とし、ページ番号を記入して下さい。
(記入例)                                   
IT競争政策特別部会 第一次答申(草案)に対する意見書
                                        
                              年   月   日 
                                        
 電気通信審議会 IT革命を推進する                      
 ための電気通信事業における競争政策                      
 の在り方についての特別部会長    殿                    
                                        
                    郵便番号                
                   (ふりがな)               
                    住  所                
                   (ふりがな)               
                    氏  名                
                                        
                    電話番号                
                                        
                    メールアドレス             
                                        
 IT競争政策特別部会 第一次答申(草案)に関し、別紙のとおり意見を提出します。
                                        


             連絡先:<電気通信審議会について>
                    郵政大臣官房秘書課審議会事務局
                    (担当)山岸課長補佐、川浪係長
                    (電話)03−3504−4807
                 <第一次答申草案等について>
                    電気通信局電気通信事業部事業政策課
                    (担当)墳崎課長補佐、飯嶋係長
                    (電話)03−3504−4827


     IT競争政策特別部会 第一次答申            (草案)          平成12年11月16日            電気通信審議会    IT革命を推進するための電気通信事業における       競争政策の在り方についての特別部会
                 目  次 はじめに 1 ネットワークの将来ビジョン    ア 電話網からIP網への構造的変化    イ 国内市場からグローバル市場へ    ウ 電気通信事業の将来像 2 競争政策の基本的枠組み  (1)基本的視点〜インターネット時代の競争政策〜    ア 公正競争による消費者利益の実現    イ 公正競争を通じたITインフラの整備促進    ウ 公正競争ルールの確立    エ 公正競争ルールの運用  (2)ITインフラ整備に向けた実質的競争促進方策    ア 線路敷設の円滑化    イ キャリアズ・キャリアの制度化    ウ 接続ルールの整備  (3)支配的事業者規制の導入    ア 支配的事業者規制導入の必要性    イ 支配的事業者の概念    ウ 支配的事業者に対する規制内容    エ 非支配的事業者に対する規制の緩和  (4)電気通信事業における規制の基本フレーム    ア 一種・二種区分    イ ルール型行政の強化  (5)公正競争ルールの運用    ア 意見申出制度の運用の強化    イ 消費者行政の強化    ウ 紛争処理機能の拡充    エ 行政の在り方 3 NTTの在り方  (1)基本的視点    ア IT革命推進のためにNTTが果たすべき役割    イ 持株会社方式のグループ運営  (2)東西NTTの在り方    ア 高コスト構造の解消    イ 公正競争の確保    ウ 東西NTTの業務範囲  (3)NTTコム、NTTドコモ等の事業会社の在り方    ア NTTコムの位置付け    イ NTTコムの経営の自主独立性の確保    ウ NTTドコモ等の位置付け  (4)NTTグループ全体の在り方    ア NTT持株会社の位置付け    イ NTTグループ内事業会社のダイナミックな事業展開    ウ インセンティブ規制方式の導入    エ NTTグループに対するインセンティブ規制方式の適用    オ NTTグループ全体の在り方  (5)NTT法における諸規制の在り方 4 ユニバーサルサービスの確保  (1)ユニバーサルサービス政策の位置付け    ア 競争政策とユニバーサルサービス政策    イ インターネット時代のユニバーサルサービスの在り方  (2)ユニバーサルサービスの範囲    ア ユニバーサルサービスの定義及び政策目標    イ ユニバーサルサービスの具体的範囲  (3)ユニバーサルサービスのコスト及び料金水準の在り方    ア ユニバーサルサービスコストの算定方法    イ ユニバーサルサービスと料金水準  (4)ユニバーサルサービスの提供主体とコスト負担の在り方    ア 外部補助と適格事業者の考え方    イ NTT法におけるユニバーサルサービス確保の責務規定の在り方  (5)ユニバーサルサービスの外部補助の在り方    ア コスト外部補助の基本原則    イ コスト外部補助の財源    ウ コスト負担の公平性確保の在り方  (6)次世代ユニバーサルサービス確保の在り方    ア 次世代ユニバーサルサービスの定義    イ 次世代ユニバーサルサービスの範囲と支援措置の在り方  (7)今後の検討課題 5 通信主権等の確保及びNTTにおける研究開発体制の在り方  (1)基本的視点  (2)通信主権等の確保    ア NTT持株会社の株式の政府保有義務の在り方    イ NTT持株会社に係る外資規制の在り方    ウ 我が国通信事業者の国際競争力向上のために必要な措置の在り方  (3)NTTにおける研究開発体制の在り方    ア NTTの研究の推進・成果普及の評価    イ 研究の推進・成果普及の責務の在り方    ウ 今後の課題 6 その他の事項
はじめに 1.去る7月26日、郵政大臣から電気通信審議会に対して、「IT革命を推進す  るための電気通信事業における競争政策の在り方」について諮問がなされた。 2.諮問書では、諮問理由として、「公正競争条件が確保される中で、電気通信事  業者が徹底した競争を通じて事業の効率化、合理化を進め、インターネットを中  心とする低廉、高速、安全な通信サービスへのニーズに的確に対応できるように  するとともに、技術革新に伴う市場環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるよう  な新たな競争政策を樹立することが重要な課題となっている。」と述べている。 3.また、10月17日、国会に上程された「高度情報通信ネットワーク社会形成  基本法(「IT基本法」)においても、「高度情報通信ネットワーク社会の形成  に関する施策の策定に当たっては、広く国民が低廉な料金で利用することができ  る世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を促進するため、事業者間の  公正な競争の促進その他の必要な措置が講じられなければならない。」(法第1  7条)と規定されている。 4.本特別部会においては、以上のような電気通信審議会に対する諮問の趣旨やI  T基本法における競争政策の位置付けなどを踏まえつつ、電気通信事業を取り巻  く環境の大きな変化に対応した競争政策の抜本的見直しについて、「競争政策小  委員会」、「ユニバーサルサービス小委員会」、及び「国際競争力小委員会」の  3つの小委員会を設置し、9月5日以来、精力的な議論を重ねてきたところであ  る。 5.競争政策小委員会では、電気通信事業においては、事業者による自由かつ創造  的な事業展開が重要であり、競争政策の基本は、事業者による公正かつ有効な競  争ができる環境を整備することにより、事業者の知恵と活力を最大限に引き出し、  国民が低廉かつ良質な通信サービスを享受できるようにすることであるとの認識  の下に、競争政策の基本的枠組み、NTTの在り方等につき検討した。 6.また、ユニバーサルサービス小委員会では、ユニバーサルサービス政策と競争  政策が一体として検討されるべきものであるという認識の下に、今後、競争が一  層進展していく中で、ユニバーサルサービス政策の目標、ユニバーサルサービス  の範囲、コスト把握の在り方、さらに、ユニバーサルサービス確保やデジタルデ  ィバイド解消のための具体的方策等について検討した。 7.さらに、国際競争力小委員会では、外資規制の在り方を含む通信分野における  国の安全を確保するために必要な措置の在り方及びNTTの研究開発体制を含む  我が国全体の情報通信の研究開発体制の在り方を中心として、グローバルな競争  が進展する中で、我が国の国際競争力を維持、強化するための方策について検討  した。 8.今般、各小委員会において論点及び課題についての一定の方向性のある議論が  とりまとめられたので「特別部会第一次答申草案」として公表し、利害関係者を  含む国民一般のご意見を広く招請することとしたものである。 9.この第一次答申草案は、限られた時間的制約の下で取りまとめたものであり、  もとより議論が充分に尽くせなかった事項や、問題点の指摘にとどまり更に検討  を深める必要がある事項が含まれているが、今後、国民から寄せられる様々な御  意見を踏まえ、さらに議論を深めることにより、本年末に向け第一次答申案を取  りまとめていくこととする。
1 ネットワークの将来ビジョン  ア 電話網からIP網への構造的変化   1 インターネットに対する需要は将来的にも拡大基調を続け、現在の電話網    にみられる階層構造のネットワークは、次第にルータを中心とするフラット    なIPベースの高速・高信頼ネットワークへと変化すると考えられる。   2 通信ネットワークは、光ファイバ、DSL(デジタル加入者回線)、CA    TV、FWA(固定無線アクセス・システム)等の多様なアクセス網と、W    DM(波長分割多重)などを採用した超高速バックボーン網とで構成される    ようになると予想される。   3 また、インターネット電話やインターネット放送の出現にみられるように、    今後、多くの通信トラヒックがIPベースのネットワークで統一的に取扱わ    れるようになり、サービスの融合化が一層進展すると考えられる。  イ 国内市場からグローバル市場へ     国際的なメガキャリア間の合従連衡によるグローバルなワンストップサー    ビスの提供や事業運営のグローバル化が進展し、通信事業の分野での国際競    争が一層激しさを増すと考えられる。  ウ 電気通信事業の将来像   1 インターネット電話等の本格的な普及や音声からデータ通信への需要のシ    フト等に伴い、今後、電話を中心とした現在の電気通信事業者を支える収益    構造が大きく変化することが予想される。   2 このため、我が国の電気通信事業者は、広帯域インターネット時代に迅速    に適応するとともに、事業展開のグローバル化や激化する国際競争に伍して    いける競争体質の一層の強化が求められる。 2 競争政策の基本的枠組み  (1)基本的視点〜インターネット時代の競争政策〜    ア 公正競争による消費者利益の実現     1 競争の効果として、料金の低廉化、サービスの多様化、技術革新の促      進が代表的な例として挙げられる。     2 例えば、インターネット接続サービスに関しては、我が国において平      成5年に商用サービスが開始されて以来、数多くの電気通信事業者(平      成12年9月末現在 4,979社)が参入している。そのような中、事業      者間の競争を通じ、インターネット接続事業者は、インターネット接続      料金の低廉化、バックボーンの増強等による高品質化、IPv6など技      術革新への対応などに取り組んでいる。     3 他方、インターネットへのアクセス網については、多くの地域におい      て、3分10円に代表される電話網によるダイヤルアップ接続が中心と      なっている。     4 インターネット上の情報発信の増大やアプリケーションの充実に伴い、      利用時間が長時間化する中で、時間に依存した料金体系(従量制)に対      する不満が高まり、定額制に対する需要が急速に高まってきた。また、      インターネット上の情報が文字中心から画像や動画に移り、音楽や動画      像の配信サービスが本格化する中で、広帯域アクセスに対する需要も顕      在化している。     5 そのような中、平成8年より、CATV事業者は、CATV網を活用      したインターネットサービスを開始し、利用者数を急速に伸ばしている。      この背景には、CATVインターネットが従来の電話網より高速なサー      ビスであり、また、通信料金についても、ほとんどのCATV事業者が      月5,6千円程度の定額制と時間を気にせずにインターネットを利用で      きる環境を提供していること等が指摘されている。     6 また、DSL技術を活用した高速インターネットサービスも平成11      年に開始され、東西NTTの地域網のアンバンドルやコロケーションル      ールの整備の中で、提供地域の拡大やサービスの多様化が始まっている。      その他にも、光ファイバや無線技術を活用したインターネットのアクセ      ス網も現実化しつつある。     7 このように、多様なアクセス網が出現し、競争が進展することにより、      通信料金の低廉化や高速化が図られることとなるが、インターネットの      アクセス網については、競争が行われている地域が限られるなど、必ず      しも十分に競争が進展しているとは言い難い状況にある。このため、可      及的速やかに、電気通信事業者間の公正な競争環境の整備に取り組み、      公正な競争を通じ、料金の低廉化を始めとした消費者の利益の最大化を      図る必要がある。    イ 公正競争を通じたITインフラの整備促進     1 米国のIT革命成功の要因の中で重要なものとして、定額制の市内電      話サービスとインターネットという誰でも自由に使える「共通インフラ」      の存在があげられる。これにより、共通インフラの周辺に、様々な技術      革新や電子商取引などの事業創出が爆発的に発生している。     2 我が国においても、インターネット通信料金の低廉化や定額化、高速      化という需要が顕在化している中で、電気通信事業者が、公正な競争を      通じて、様々なIT関連産業の共通基盤となるインフラ(ITインフラ)      をできるだけ低廉な価格で提供していくように、競争環境を早急に整備      することが最重要の課題となっている。     3 例えば、需要が顕在化しているアクセス網の広帯域化については、通      信事業者がDSL、FWA、CATV、衛星、光ファイバなど様々な技      術を用い、公正な競争を展開できるように競争環境を整備する必要があ      る。     4 まず、接続ルールの整備により、東西NTTの地域通信網の一層の開      放及び光ファイバのアンバンドル化を促進することが必要である。     5 また、自らCATV回線、光ファイバ等を新たに敷設する事業者に対      して、東西NTT・電力会社などの公益事業者の電柱・管路等を積極的      に開放するよう促していくことが必要である。     6 さらに、超高速インターネットの主要なアクセス手段となる光ファイ      バ等の整備促進とその有効活用を図るため、自治体、公益事業者等の自      営電気通信設備である光ファイバ等を電気通信事業者が公平に利用でき      るように、また、電気通信事業者が他の電気通信事業者に対し、より円      滑に光ファイバ等の設備提供ができるように制度の見直しを行うなど、      競争を促進するための積極的施策を講じる必要がある。     7 このように、ITインフラの中核となる光ファイバなどのネットワー      クを整備する際の競争環境を上記のように整備することにより、企業や      個人、政府等が、様々なサービスや情報発信をITインフラ上で自由に      展開でき、IT革命の推進が図られることとなる。    ウ 公正競争ルールの確立     1 電気通信市場は、自由化後15年が経過し、その間事業者数も増大(      平成12年10月現在:一種300社、二種8,386社)し、競争は      大きく進展したものの、地域通信分野では依然として東西NTTによる      事実上の独占的状態が解消されていない(売上高シェア:東西NTT92.3%      (平成11年)、トラヒックシェア:NTT93.7%(平成10年))     2 また、NTTグループは、電気通信市場の売上高、通信トラヒックに      おいて圧倒的なシェアを有している。(売上高シェア:コム41.7%(長      距離・国際)、ドコモ57.4%(移動)(平成11年)、トラヒックシェ      ア:ドコモ58.0%(平成10年))      (注)NTTコムの売上高シェアは、NTT再編のため、平成11年7         月から3月までの9か月分の値より算出している。     3 こうした独占から競争への過渡的な状況にある電気通信市場の実態を      前提とすれば、事業者間のより徹底した競争を促進するため、支配的事      業者による市場支配力の濫用を防止、除去することを公正競争ルールの      主眼とすべきである。     4 なお、NTTの在り方については、次章で論ずるが、NTTグループ      各事業会社が、明確な公正競争ルールの下でインターネット時代に対応      したダイナミックな事業展開を自らの経営判断の下で遂行できるように      することを基本として検討すべきである。    エ 公正競争ルールの運用     1 行政が上記の公正競争ルールを運用する中で、特に相互接続問題を中      心に事業者間の紛争が今後増大することが予想されることから、特定の      技術やサービスに偏ることなく中立的立場から、迅速かつ公正に紛争が      解決できる体制を整備する必要がある。     2 また、技術革新や市場環境変化が急激な電気通信分野においては、行      政は、変化に柔軟に対応できるようにするとともに、公正競争ルール等      の諸制度を定期的に見直すことが必要である。  (2)ITインフラ整備に向けた新たな競争促進方策    ア 線路敷設の円滑化     1 地域通信分野の実質競争を促進し、高速インターネットの普及に必要      不可欠な光ファイバの整備を促進するため、電気通信事業者の線路敷設      に関するルールを整備し、その円滑化を図る必要がある。     2 具体的には、NTTや電力会社等が保有する電柱、管路等の提供に関      する貸与申込、拒否等の手続を定めたガイドライン(電気通信事業法に      おける土地等の利用の認可、裁定の運用基準)を早急に策定することが      必要である。     3 さらに、公有地上の電柱、管路等に電気通信事業法が適用されること      を明確化するとともに、道路法における占用許可等、公物管理権との調      整が可能となるよう措置することが適当である。    イ キャリアズ・キャリアの制度化     1 自治体、公益事業者等の保有する光ファイバ等の自営電気通信設備の      有効かつ公平な利用の促進を図るとともに、電気通信事業者によるネッ      トワーク構築の柔軟性を高めるため、キャリアズ・キャリア(卸電気通      信役務)制度を新たに導入する必要がある。     2 現在、自治体、公益事業者等は、第一種電気通信事業者に対し、IR      U(破棄し得ない使用権)契約ベースで自営の光ファイバの芯線貸しを      行っているが、これは、電気通信設備の設置権が借り手の一種事業者に      移るため、電気通信事業法の枠外の形態であると解されている。     3 キャリアズ・キャリア制度の下でも、従来のIRUという提供形態の      取扱には何ら変更は生じないが、電気通信事業者が当該制度を活用する      ことにより、他の電気通信事業者に対し、短期の芯線貸しや帯域貸し等、      多様な形態による設備の提供が個別の契約ベースで可能となり、電気通      信事業におけるネットワーク選択の幅が広がることが期待される。     4 卸電気通信役務は、専ら電気通信事業者向けの役務であることから、      従来の一般ユーザ保護を目的とした規制とは異なる緩やかな規律を適用      することが適当である。     5 なお、自治体が卸電気通信役務をコスト以下で提供する場合の問題や      支配的事業者による卸電気通信役務提供の問題(支配的事業者以外の一      般の電気通信事業者とは異なる規律を設けるべきかどうか)についての      検討が必要である。    ウ 接続ルールの整備     1 光ファイバのアンバンドル化の促進       光ファイバのアンバンドル化は、高速インターネット・アクセスにと      っても、地域通信分野の競争促進にとっても重要な課題であり、東西N      TTによるアンバンドル化された光ファイバが円滑に利用できる方向で      検討すべきである。     2 接続ルールの強化       東西NTTと東西NTTに接続料を支払う接続事業者間の公正競争条      件を確保する観点から、東西NTTの設定するユーザ向け料金と接続事      業者向けに設定される接続料との関係のルールなど現行の接続ルールに      ついて競争政策上見直すべき事項についても、幅広く検討すべきである。     3 地域通信網のキャリアズレートの創設       地域通信市場の活性化を図り、再販ベースの新たな競争主体を創出す      る観点から、指定電気通信設備を保有している東西NTTに対し、地域      通信網における事業者向けの割引料金(キャリアズ・レート)の導入を      急ぐ必要がある。     4 接続ルールの見直し       なお、上記13を含め、本審議会において、別途、「接続ルールの      見直し」の中で実効性の高いルール作りが行われることが必要である。  (3)支配的事業者規制の導入    ア 支配的事業者規制導入の必要性     1 技術革新のテンポが速いインターネット時代においては、事業者が自      らの創意工夫を生かし多彩なサービスを市場原理に基づきスピーディー      に提供することが求められるが、独占市場から競争市場へ移行する過程      や、市場がある程度成熟していく中で、支配的事業者が存在する場合等      においては、市場原理が必ずしも十分に働かない分野が発生する。この      ため、市場原理をより有効に機能させるための手法として、市場シェア      の高い事業者による支配力の濫用を防止、除去するために一定の規制措      置を講ずることが必要不可欠となる。     2 また、支配的事業者以外の一般の事業者については、利用者保護の観      点等に配意しつつ、自由な事業展開ができるよう規制をできる限り緩和      することによって競争を活性化させるという「非対称規制」の考え方に      立つことが適当である。     3 このような事業者の市場支配力に着目した非対称規制は、欧米で既に      広く採用され、WTOにおいても合意(「主要な提供者」概念)の得ら      れている規制手法であり、内外の事業者等からこの規制手法を早期に導      入すべきとの意見が多数出されている。     4 そこで、我が国電気通信分野においても、市場に多大な影響力を持つ      事業者として「支配的事業者」の概念を導入することとし、既存の規制      との整合性に留意しつつ、現在のボトルネック設備(指定電気通信設備)      のみに着目した非対称規制を拡充する方向で制度整備を行うことが適当      である。     5 なお、ここで言う「支配的事業者」とは、現に、市場における支配的      地位を濫用し、顕著な弊害を市場にもたらしていることを要件とするも      のではなく、市場に多大な影響力を有するため、支配的地位を濫用する      おそれ(客観的蓋然性)があることに着目して電気通信分野に固有の概      念として設定するものである。    イ 支配的事業者の概念     1 支配的事業者は、それぞれの業務区域における電気通信サービスの一      定の市場において、売上高、利用者数、トラヒック等の一定割合以上の      高いシェアを有する第一種電気通信事業者の中から認定することが適当      である。支配的事業者の中に、二種事業者を含めない理由は、設備それ      自体を有しないことによるボトルネック性の欠如及び再販ベースの市場      の画定が困難であること、欧米諸国においてもISPや再販事業者をド      ミナント規制の対象としている例が皆無であること、等による。     2 支配的事業者を認定するに当たり、市場シェア及びその推移のみなら      ず、ボトルネック設備(現行の指定電気通信設備に相当するもの)支配      の有無、市場参入の容易性、需要、供給の弾力性・代替性、価格支配力、      企業規模、調達の影響力等企業のトータルパワー等を総合的に判断すべ      きであり、欧米の例を参考としながら、具体的基準を設けることが必要      である。また、ボトルネック設備を有する事業者と密接な関係を有する      事業者であることを要件に加えるべきとの考え方についても検討する必      要がある。     3 その際、市場シェアについては、できる限り客観的な基準を検討して      いく必要があるが、具体的な基準としては、例えば、電気通信事業法の      中で、現在、指定電気通信設備の指定に50%超という基準が用いられ      ていること等を踏まえ、50%超とすることも考えられる。     4 認定の対象となる市場の範囲としては、新規参入の容易性といった市      場特性(周波数資源の有限性による事業者数の制約等)や我が国の電気      通信市場の実態等を勘案し、当面、例えば、(a)固定通信(地域)、(b)      固定通信(長距離・国際)、(c)移動通信(携帯電話・PHS)を市場      として画定するなど、欧米の事例などを参考としつつ、さらに詳細を検      討することが必要である。また、インターネットの普及やサービス提供      形態の多様化等市場実態の変化に合わせ、対象となる市場の範囲につい      ては適時見直しが必要である。     5 なお、一企業として、複数市場にまたがりサービスを提供する場合に      あっては、原則としてそれぞれの市場ごとに支配的事業者となるか否か      を判断することが適当である。     6 また、支配的事業者として認定された事業者については、市場での競      争の進展状況に応じて、認定を解除する等の柔軟な対応が求められる。    ウ 支配的事業者に対する規制内容     1 市場における支配的地位や支配的事業者と同じ企業グループに属する      ことに起因する優位な交渉力、資金力等を背景にして、他の事業者との      間で不当な競争を引き起こす行為がなされるおそれがあることが各方面      から指摘されている。このため、地位の優位性を利用して行われる略奪      的な料金設定その他の反競争的な内部相互補助、差別的な取扱いや競争      相手の事業者から知リ得た情報の目的外利用など一連の反競争的行為の      発生を継続的に防止するためのルール化が必要である。     2 支配的事業者として認定される事業者に対する料金・約款・接続に係      る規制については、支配力を持たない事業者に比してより強い公正競争      確保及び利用者保護の観点から、基本的に現行規制を維持すべきである      と考えられる。ただし、現行の認可制を緩和し、認可と届出の中間的な      制度とするとの考えもあり、今後検討する必要がある。     3 支配的事業者に適用される規制のうち、接続会計の分離、長期増分費      用方式に基づく接続料金算定義務、特定電気通信役務に係るプライスキ      ャップ規制などは、いずれもボトルネック設備の保有という強い独占力      に着目した特殊な規制であることから、現行どおり、ボトルネック設備      を有する支配的事業者にのみ適用することが適当である。     4 その上で、ボトルネック設備を有しない支配的事業者の接続ルールに      ついては、非支配的事業者との間の接続協議における支配的地位の濫用      の防止及び透明性の向上を図る観点から、本審議会で別途、審議されて      いる接続ルールの見直しの中で検討し、速やかに結論を得る必要がある。     5 また、ボトルネック設備を有する支配的事業者がその強い優位性を背      景に、様々な電気通信役務の提供に関連した取引において、特殊な関係      にある子会社、親会社、兄弟会社等を不当に優遇するおそれがあること      から、これらの子会社等の間において、人、資金、顧客及び研究開発成      果に係る技術情報、営業面におけるファイアウォールを設けることを検      討する必要がある。     6 支配的事業者規制を実効あらしめるため、支配的事業者に対し、役務      別の会計情報や子会社等との取引状況等について一層の情報開示を求め、      また、郵政省は、子会社等との取引状況等について、定期的な報告を求      め、競争状況のモニターを適時行う必要がある。     7 なお、役務別の会計情報開示にあたっては、基本サービスとその上位      のサービスとの分離についても検討する必要がある。    エ 非支配的事業者に対する規制の緩和      非支配的事業者に対する規制は、より自由な事業展開を可能とし、競争     を促進するという観点から、契約約款や非支配的事業者相互の接続協定の     認可制等を一定の条件の下に緩和し、届出制に改めることが適当である。  (4)電気通信事業における規制の基本フレーム    ア 一種・二種区分     1 支配的事業者規制の導入に伴い、現在の電気通信事業法上の第一種電      気通信事業者と第二種電気通信事業者の区分を廃止すべきとの意見があ      る。     2 第一種電気通信事業は、国民生活や経済活動に不可欠なインフラ機能      を提供する公共性の高い事業であることから、事業の安定性、確実性の      確保の観点から、許可制の下で規律することに合理性がある。また、第      二種電気通信事業は、第一種電気通信事業のインフラを利用する事業で      あり、登録や届出という簡素な規制により自由で多彩なサービス展開が      できるようしていることも適当である。     3 このように一種と二種の事業区分は、それぞれの事業特性の違いに応      じて、明確でわかりやすい電気通信事業の基本的な枠組みとして設定さ      れたものであって、いずれの規律を受けるかは事業者の自由な選択に委      ねられているものである。     4 こうした事業区分を前提としつつも、事業者からの要望に基づき、よ      り一層弾力的な事業展開を可能とする観点から、累次にわたる制度改正      により、事業者によるネットワーク構築の柔軟性が図られてきたところ      である。      (ネットワークの柔軟性確保措置の例)      ・第一種電気通信事業者による回線再販売の可能化      ・第一種電気通信事業、第二種電気通信事業の兼業規制の撤廃      ・一定の要件のもとで、第二種電気通信事業による端末伝送路設備設       置の可能化     5 諸外国においても、電気通信事業が基本的に電気通信回線設備という      インフラによって成り立つ事業であることから、設備に着目した何らか      の規制の枠組みを構築したり、設備ベースの競争の有無を規制のメルク      マールとしており、規制の細部は異なるにせよ、安定性、信頼性等を担      保できる仕組みとなっている。     6 なお、近年における電気通信事業の形態の多様化に伴い、例えば、小      規模な伝送路設備を設置する事業者や、公益事業特権を必要としない事      業者について、規制緩和を実施することも考えられる。     7 この場合、例えば、当該事業者を第一種電気通信事業者とするか、第      二種電気通信事業者とするかの問題や、他の公益事業で公益事業特権を      有している事業者の扱いなどについて、実態に則って検討することが必      要となる。     8 また、事業区分とは別に、参入後の規制緩和についても、事業者から      要望がなされているが、これについては、利用者利益の確保に直接大き      な支障がなければ、より公正で自由な事業展開を可能とする観点から可      能な限り現行規制の見直しを実施すべきである。     9 例えば、一種事業者に対する業務区域の変更許可等の運用が、事業者      の迅速な業務展開を妨げているとの指摘があるが、業務区域の拡大に関      しては、迅速な事業展開を可能とし、利用者の利便向上に大きなメリッ      トがあることから、業務区域の縮小や撤退の場合と区別して、届出に改      めることが必要である。     10 なお、将来的な事業区分の在り方については、通信と放送の融合化の      進展、欧米におけるハード・ソフト分離規制の動向等を見据えつつ、通      信法体系全体のなかで、制度の簡素化の観点等を含め、今後見直しを検      討していくことが必要である。    イ ルール型行政の充実     1 一種・二種区分の議論に関連して、電気通信事業法における事業参入      を全て届出制として、問題があればすべて事後規制で対処するという考      え方がある。     2 事後規制方式は、事後の変更命令等により強制的に既存の事業活動を      制約し、投資コストの回収等を困難とする強い規制となる可能性がある      というデメリットも有する。したがって、行政の在り方としては、すべ      てを事後規制方式に委ねるよりは、基本的には、事業者に公正競争ルー      ルをあらかじめ明示し、予見可能性を高めるという「ルール型行政」の      充実を目指す方向が望ましい。     3 特に第一種電気通信事業のようにインフラ設備産業においては、問題      が生じてからそれを排除することが困難である。そのような中、予見可      能性を高めたルール型行政は、支配的事業者による先行利益の排他的維      持を防止する観点や新規参入事業者の迅速な事業展開の要請に応えると      いう観点からも適切な行政方式である。     4 また、技術革新や競争環境の変化が激しい時代においては、ルールを      新たな状況にあわせて常時見直すという柔軟性とともに、状況の変化に      対応して時機を逸しないダイナミックなルール作りを行うという迅速性      が求められる。     5 また、ルール型行政を充実し、公正競争ルールの整備を積極的に進め      ていくことを明らかとするため、電気通信事業法の目的の一つに、明示      的に「事業者間の公正競争の促進」を加えることが適当である。  (5)公正競争ルールの運用    ア 意見申出制度の運用の強化     1 現在の電気通信事業法に基づく意見申出制度の活用事例が乏しい原因      として、利用者・事業者にとって具体的にどのようなプロセスに沿って      対応が行われるのかが必ずしも明確でないことが指摘されている。そこ      で、意見申出に係る申請・処理の窓口や様式、期間を具体的に明示する      とともに、処理されるべき行為の類型や処理事例等について、マニュア      ルを整備、公表する必要がある。     2 また、意見申出の処理結果や実績を速やかに公表することにより、制      度運用の透明性の向上を図る必要がある。    イ 消費者行政の強化     1 公正競争のための環境整備が進む中で、電気通信事業者は、競争を通      じ、より一層多様な電気通信サービスの提供を行うことが予想される。      サービスの多様化は、消費者の選択肢の増加に結びつくことから、消費      者利益の増進に結びつくが、その際、消費者に対し無用な混乱をもたら      さないようにすることが重要な課題となる。     2 そこで、電気通信事業者は、提供するサービスを多様化させる中で、      消費者に対しサービス内容の説明を十分に行い、消費者に対し誤解を招      かないようにすることが求められる。同時に、消費者からの問い合わせ、      苦情等に対し、消費者契約法が平成13年4月に施行されることを踏ま      え、迅速かつ適切に対応することが必要である。     3 郵政省においても、インターネットや電子商取引の急速な普及に伴い      消費者トラブルが増加していることに鑑み、上述の意見申出制度の運用      の強化や、電気通信消費者相談センターにおける苦情相談の受付及び必      要な情報提供の充実など、消費者行政の一層の推進を検討することが必      要である。    ウ 紛争処理機能の拡充     1 接続制度については、DSL事業者等のためのコロケーションルール      や加入者線のアンバンドルルールのように新しいルールが今後とも多数      整備されると予想されること、来年5月から優先接続が開始されること      などから、ルールの具体的適用をめぐって、今後一層事業者間のトラブ      ルが頻発するおそれがあり、事業者間の紛争をより迅速かつ簡易な手続      により解決するニーズが増大すると考えられる。     2 このため、現行の接続等に係る「裁定」に加え、より簡易で迅速な当      事者間の合意形成を促進するための「あっせん」「調停」手続を新たに      整備する必要がある。     3 また、これら事業者間の紛争処理を公正・中立的な手続きで迅速に行      うため、例えば、「事業者間紛争処理委員会(仮称)」の設立など、通      常の許認可等を処理する組織とは独立し、法律や会計、技術の専門家に      より構成された紛争処理機能を専門に担う組織の整備を検討すべきであ      る。     4 なお、紛争処理をより迅速に行うためにも、紛争処理機関に事案が持      ち込まれる前に、事案の対象となる支配的事業者が、競争事業者からの      苦情・申し立て等に対し、速やかに対応するための仕組みが求められる。    エ 行政の在り方     1 まず、行政の透明性、中立性を高めるため、欧米の例に倣い、独立規      制機関を設けるべきとの指摘や、政府がNTT株を保有しているために      ルールの運用が中立的でなくなるおそれがあるとの指摘がある。     2 「政策立案」と「規制実施」は、情報通信の発展のためには表裏一体      のものであり、IT化を積極的に進めるためには、技術革新の激しいこ      の分野で、「規制実施」のプロセスを通じて得られた知見やノウハウを      できる限り政策立案の過程に有効に反映させるなど、両者のより一層の      連携を進める必要がある。     3 仮に、「政策立案」と「規制実施」を分離した場合には、調整に時間      と労力を要するのみならず、行政目的の達成が困難となるおそれがあり、      むしろ、世界最高レベルのIT国家を目指す今こそ、調和の取れた「政      策立案」と「規制実施」の一体的な行政遂行が求められていると考えら      れる。     4 また、政府によるNTT株の保有自体は、本来、政府が積極的にNT      Tの経営に介入する趣旨ではないが、後述の通り、政府の中立性に対す      る疑念を払拭する観点からも、政府の保有義務を廃止する方向で検討す      ることが適当である。     5 次に、事業者間の競争上の紛争を円滑に処理するために、郵政省と公      正取引委員会が電気通信分野における反競争的行為の防止に向けて具体      的にどのような連携が可能であるのか検討し、事業法と独禁法の適用関      係をより明確にすることが必要である。     6 さらに、事業者から電気通信事業法などの法解釈の問い合わせを受け      付け、違法性の有無等について見解を公表する制度(ノーアクションレ      ター制度)は、事業者による円滑な事業展開を可能とする観点から適当      であり、その受入れ体制の整備を含め早急に導入策を検討する必要があ      る。     7 また、国民・一般企業・事業者が、電気通信行政に対して既存の制度      ・政策の改革等に関して直接要望できる申立制度(「ペティション制度」)      を創設することについても、我が国の法制度との整合性を図りつつ、検      討することが必要である。 3 NTTの在り方  (1)基本的視点    ア IT革命推進のためにNTTが果たすべき役割     1 NTTグループは、平成11年7月に再編が行われ、NTT持株会社の      下で、地域通信事業を営む東西NTT、長距離通信事業を営むNTTコ      ム、移動通信事業を営むNTTドコモ等連結ベースで56社の運営会社      により構成され、長距離NTTは、民間会社として、地域通信業務への      参入が可能になるとともに、東西NTTも相互に相手エリアへの参入が      制度的に可能になった。     2 NTTグループは、近時の技術革新、市場構造の変化に対応し、低廉      かつ超高速インターネット網の構築、電子商取引等デジタル情報流通の      基盤となるプラットフォームの構築、グローバルな事業展開の推進にお      いて牽引役の一角となることが期待されている。     3 このため、NTTグループ各社が、「電話の時代」の枠組みを超えて、      相互に競争をしつつ、技術革新と利用者ニーズの変化に対応したダイナ      ミックな事業展開を自主的経営判断の下に行うことができるようにする      こと、即ち「インターネットの時代」の枠組みに適応した「IT企業」      に進化することが望まれる。     4 また、NTTグループ各社の経営向上は、国内外の事業者との厳しい      競争によって初めて達成されるものであり、NTTグループのすべての      事業領域において公正な競争が実現される環境を整備することに加え、      NTTグループの各社が徹底的な競争にさらされることが必要である。     5 このようにNTTグループ各社が独立した競争体として自立し、公正      な競争条件を確保した上で相互に競争し、経営向上を図ることは、国内      の電気通信市場における競争の活性化と我が国の国際競争力の強化に大      きく寄与すると考えられる。    イ 持株会社形態のグループ運営     1 以上のとおり、NTTの在り方については、       (a) グループ内各社の経営の自主独立性の確保       (b) グループ内各社による相互競争の実現       (c) NCC等の競争事業者との間の公正競争の推進      によって、各事業会社がインターネット時代に対応したダイナミックな      事業展開をすることにより、利用者ニーズに応えるサービスを提供する      とともに通信市場全体の活性化を達成することを基本として検討すべき      である。     2 NTTは昨年7月、持株会社の下に再編され1年が経過したばかりで      あり、現時点で持株会社形態による再編成の評価は難しい面があるが、      現状においては、必ずしも上記の目的が期待どおり達成されているとは      言い難い状況にある。     3 むしろ、NTTが持株会社形態となったことにより、グループ全体と      しての市場支配力が強化され、公正競争を確保する上で問題が生じてい      るとの指摘もある。具体的には、NTTグループが各社のサービスを組      合せて一体として提供しているとの指摘もある。     4 他方、グループ経営とは、本来、グループ内各企業に持てる資源を有      効に配分し、相互補完的にグループとして業務展開を図っていくもので      あり、持株会社の下でNTTグループが形成されている限りにおいては、      グループ内の企業が、グループ全体の方向と異なる独自の経営判断に基      づき業務展開を図ることやグループ内企業間で競争する強いインセンテ      ィブが働くことは期待できないのではないかとの指摘もある。     5 そこで、以下においては、現在の持株会社の下におけるグループ経営      の改善方策について検討することとするが、当初グループ運営に期待さ      れていた改善方策の実効性が確保できない場合における持株会社形態に      よるグループ運営そのものの在り方については、後述のとおり別途検討      する必要がある。  (2)東西NTTの在り方    ア 高コスト構造の解消     1 東西NTTは、中高年が高い比重を占める社員構成、NTTグループ      内他社・他事業者に比べて低い一人あたり売上高(余剰人員の存在)等      様々な問題が存在しており、高コスト構造解消のための改革が急務であ      る。     2 東西NTTは、昨年11月策定した2.1万人の人員削減を柱とする中      期経営改善施策に基づき経営改善努力を実施しているところであり、そ      の取組みは評価すべきである。     3 しかしながら、当該施策策定後も、事業者間接続料の引き下げ、都市      部における競争の進展に対応した県内市外電話料金の引き下げ、さらに      は固定電話から携帯電話へのトラヒック需要の変化、電話からインター      ネットへの需要のシフト、VoIP(インターネット電話)の登場など市      場環境は大きく変化しており、電話収入に依存する東西NTTの収益に      大きな影響が及ぶことが十分に予想される。     4 従って、東西NTTが新たな経営環境を踏まえた中期経営改善施策の改      訂に早急に取り組むことが期待される。     5 その中では、当該改訂施策が東西NTTにとり最大限の経営努力であ      ることについて国民の理解を得るため、できるだけ透明な形で経営情報      の開示に努めるとともに、自らの努力のみでは解決できない制度面での      経営改善要望があれば、速やかに提示することが望ましい。     6 なお、これに関連して東西NTTの併合という議論もあるが、東西間      のヤードステイック競争(比較競争)の促進や将来的な直接競争の可能      性を展望すれば、再編成の趣旨に逆行する形での単純な併合は認められ      るべきではないと考えられる。    イ 公正競争の確保     1 光ファイバ等のアンバンドル、キャリアズレート、電柱・管路の利用      等において、総じて東西NTTによるネットワークの開放度が低いとい      う指摘や東西NTTと他のグループ会社(特にNTTコム)との間のフ      ァイアーウォールが不十分であるという指摘がある。     2 また、東西NTTのコロケーション、工事費用等接続ルールについての      問題や営業方法についても種々問題が指摘されている。     3 公正競争ルールとして、前章で述べた支配的事業者規制制度の導入、      線路敷設権の円滑化等インターネット時代に対応して競争政策の基本的      な枠組みを見直すとともに、接続ルールの見直し(本審議会において別      途審議中)が必要である。     4 また、東西NTTとグループ内他社との間のファイアーウォールが不      十分であるとの指摘があることを踏まえ、定期的にファイアーウォール      の遵守状況のレビュー、見直しを行える仕組みを早急に構築すべきであ      る。    ウ 東西NTTの業務範囲     1 NTT再編成においては、法的独占の下で長い歳月をかけて築かれた      NTTの地域通信網が短期間のうちに他の通信手段によって代替される      可能性が低く、ボトルネック独占による弊害を取り除くことが困難な状      況にあることにかんがみ、ボトルネック設備の保有に係る地域通信分野      と長距離通信等の競争分野を分離するとともに、東西NTTの業務範囲      を県内通信に限定することにより、ボトルネック独占の弊害の拡大を防      止し、公正競争を明確に確保することとしたものである。     2 しかしながら、NTT再編成において、分離したNTTコム等が競争市      場において競争力が維持できるように配慮した結果として、高コスト部      分が東西NTTに集中し、インターネットアクセス料金や接続料が高いな      どの問題が生じているとの指摘がある。     3 また、東西NTTの業務範囲が県内通信に限定されているため、県内      ・県間の区分のないインターネット時代に対応した新サービスの提供や      県内・県間を通じたワンストップサービス、割引サービスの提供が制限      され、インターネット時代に即応したサービス提供体制として限界が生      じつつある。     4 このため、東西NTTに対する現在の業務範囲の制限は、インターネ      ット時代に対応する形で見直されることが必要であり、このことは、東      西NTTが国民のニーズに対応した低廉で多様なサービスを提供できる      ようにするとともに、多様な競争主体の創出による市場の活性化や東西      NTTの経営改善を図る上でも、重要な課題である。     5 しかしながら、業務範囲の制限は、上述のとおり東西NTTとNCC      との間の公正競争を確保する上で極めて重要なファクターであり、単純      な業務範囲の制限撤廃は、公正競争を著しく阻害することとなる点にも      十分留意することが必要である。     6 この点、1984年にAT&Tを地域と長距離に完全分割した米国に      おいても、96年通信法によって初めて地域会社と長距離会社相互の参      入を認める仕組み(インセンフィブ規制)が導入され、その後地域のボ      トルネック支配を続けたベル系地域電話会社(当初7社)のうち長距離      通信分野への進出が認められたのはわずかに2社(ベライゾン、SBC)      であり、それも法施行後4年近くの歳月を要したことを想起する必要が      ある。     7 業務範囲の見直しに当たっては、以上の点に留意しつつ、NTTグル      ープが公正競争確保のための諸措置を自ら講ずることの動機(インセン      ティブ)づけの一つとして、業務範囲の拡大を位置づけること(いわゆ      る「インセンティブ規制」)の有効性につき検討する必要がある。  (3)NTTコム、NTTドコモ等の事業会社の在り方    ア NTTコムの位置付け     1 NTTコムは、長距離・国際サービスを主たる業務範囲とする事業者      であり、商法に基づき設立された完全民間会社である。また、東西NT      Tのような業務範囲の法的制約がないため、インターネットをはじめと      する様々なサービスを自由に提供することができる。     2 しかしながら、他方では、昨年のNTT再編成により設立されたとい      う経緯から、現在のところ、NTT持株会社の100%出資子会社であ      るとともに、公正競争確保の観点から、東西NTT及び持株会社との間      における一定のファイアーウォールの下での事業展開が求められている。     3 このファイアーウォールを巡っては、東西NTTの在り方で論じたも      のと同様の議論があり、公正競争のため現在のファイアーウォールの遵      守状況を注視するとともに、来年5月から優先接続が実施されることに      先立ち、早急な見直しが必要である。     4 その際、独自の顧客情報システムや共通線信号網の構築など未実施の      ファイアーウォールの構築時期をできるだけ前倒しするとともに、持株      会社と役員を兼任することにより東西NTTと情報の流用が可能な体制      についても早急な是正が必要である。    イ NTTコムの経営の自主独立性の確保     1 NTTコムは、持株会社によって事実上受けている業務範囲の制約を      取り除き、地域通信市場へ積極的に参入することが、同市場における競      争主体の多元化やそれを通じた市場の競争促進と活性化という観点から      望ましい。     2 また、持株会社に長期資金の調達を全面的に依存している今の体制は      グループ内の相互補助に相当するとの批判があり、これを改めることに      より、国際通信市場における諸外国のキャリア等との合従連衡を自ら進      んで機動的に行えるようにする必要がある。     3 このため、NTTコムができるだけ早期に上場会社となれるよう、現      在のNTT法附則に規定されている規制(持株会社によるNTTコム株      式売却に関する認可)を必要に応じて撤廃又は緩和すべきである。     4 また、東西NTTと一人株主たる持株会社を通じて実質的に一体であ      ることから生じる様々な公正競争上の問題を払拭し、NTTコムが地域      通信市場における東西NTTの有力な競争相手となることにより市場の      活性化を図る観点から、持株会社の出資比率を低下させることにより、      その経営の実質的な独立性を確保することが重要である。    ウ NTTドコモ等の位置付け     1 NTTドコモについても、東西NTTの有力な競争相手とすることが、      地域通信市場におけるダイナミックな競争を実現する観点からは望まし      く、また、公正競争条件の確保というドコモ分離の趣旨を徹底させる観      点からも、NTT持株会社によるドコモ株の保有比率をNTTドコモがその経      営を実質的に独立できる程度まで引き下げ、そのグループ経営の支配か      ら解放することが必要であるとの指摘がある。     2 また、「規制緩和推進3ヵ年計画の再改定について」(平成12年3      月閣議決定)においても、「NTTのドコモ株の保有割合の引き下げに      ついては、携帯電話事業者間の競争状況とドコモと東西NTT地域会社      との間の競争の状況に留意しつつ、引き続き検討を進める」旨、閣議決      定されているところである。     3 他方、NTTドコモが、NTTグループの有力な一員として事業活動      を行っていることについても、例えば、iモードにおけるグループ内プ      ロバイダとの組合せサービスの提供、企業のソリューションシステム構      築に当たってのNTTグループ一体としての営業活動等、公正競争上問      題となるケースが生じているとの指摘もある。     4 NTTドコモに関しては、NTTグループに属することの公正競争上      の問題の除去や、東西NTTの有力な競争相手になることによる市場活      性化効果などから、基本的には、上記の指摘を踏まえ、NTT持株会社      のドコモ株保有割合が一層低下することが望ましい。     5 また、携帯電話のグローバル化に対応して事業展開を機動的に行う必      要性が増していることからも、株式の外国上場等を通じて持株会社の保      有株式比率をできるだけ低下していく努力が望まれる。     6 その他NTTデータ等を含めて、グループ各社がインターネットを中      心とする新たな事業領域において、自己の経営判断のもとに自由な事業      展開ができるようにすることが重要である。  (4)NTTグループ全体の在り方    ア NTT持株会社の位置付け     1 NTT持株会社は、NTT法上東西NTTの株式総数を保有し、株主      権の行使により東西NTTのユニバーサルサービス等の適切かつ安定的      な提供を確保するとともに電気通信技術の研究開発を行うことを目的と      する特殊会社である。     2 また、実態的には、NTTコム、NTTドコモ等の事業会社の株式の      相当数を保有し、主要各社の取締役を兼任しており、資金、人事、労働      条件、業務範囲、出資等においてNTTグループ全体の統括機能を有し      ている。    イ NTTグループ内事業会社のダイナミックな事業展開     1 これまで検討してきたように、公正競争が確保される中で、NTTグ      ループの事業会社各社が、独立した競争体として相互に競争しつつ、自      主的な経営判断のもとにインターネット時代に対応したダイナミックな      事業展開を行うことができるようになれば、我が国通信市場全体が活性      化し、ひいては、国民が低廉、高速のインターネットサービスを享受で      きるようになることが期待できる。     2 また、事業会社各社相互間のダイナミックな競争が生じれば、人為的      な各社間の事業領域等の調整は不要となるばかりでなく、こうした調整      はかえって市場原理の発揮の妨げになるおそれがある。     3 このため、持株会社の在り方そのものの検討とは別に、当面の措置と      して、持株会社の運営方法として、できるだけグループ各社の自由な経      営判断を尊重し、グループ内の競争を促進させる方向でのグループ運営      が求められる。     4 今後、こうしてグループ内の競争が活発化していくことに伴い、グル      ープ全体の利益と子会社の利益が相反し、子会社の取締役を兼任してい      る持株会社の取締役の善管注意義務違反が生じる事態を回避するために      も、役員兼任は早急に是正されることが望まれる。     5 さらに、グループ各社の自主性、自立性を資本の面から担保するため      にも、できるだけ早急にNTTコム、NTTドコモの持株比率をそれぞ      れの経営の自主独立性を発揮できる程度まで低下することが必要である。     6 以上のようなNTTグループの運営改善は、持株会社がグループ会社      や株主の理解を得つつ、自主的な経営判断として実施されることが望ま      しいが、持株会社がそのような判断をしない場合における実効性確保の      ための措置の在り方についても、検討する必要がある。    ウ インセンティブ規制方式の導入     1 NTTグループが公正競争条件確保や市場活性化のために講ずべき事      項を実現するための方策としては、      (a) 当該事項の実施をNTTグループの自主的経営判断に委ねる方式      (b) NTTグループが当該事項を実施することを踏まえてNTTの経        営の自由度を高める規制緩和を講ずる方式      (c) 当該事項の実施をNTTグループに法的に義務づける方式      の三つの方法が考えられる。     2 このうち、(b)の方式は、NTTグループの規制緩和により経営の自      由度を高めたいという意欲を動機づけ(インセンティブ)として、NT      Tグループに一定の措置を講じさせるという規制手法であることから、      「インセンティブ規制方式」と言われている。     3 インセンティブ規制方式は、NTTグループの自主的経営判断を尊重      しつつ、NTTグループとして講ずべき措置の実施に誘導するという点      で、(a)、(c)に比べ実現可能性が高いというメリットがある。     4 本方式は、アメリカ96年通信法において、従来まで禁止されていた      ベル系地域電話会社による長距離通信サービスへの参入を認めるに当た      り、(a)1以上の設備ベースの競争相手が存在すること、(b)番号ポータ      ビリティやOSS(運用支援システム)の開放等の14項目の競争チェ      ックリストを満たすことにつき、FCCの承認が得られることを条件と      したことで、有名になった。我が国においても、NTTグループが特殊      会社たる持株会社形態で運営されているという我が国固有の事情に配意      しつつ、NTTによる地域網の開放インセンティブを高める上で、有効      な手法の一つとして、検討に値すると考えられる。       なお、米国では、この他に、1982年のAT&Tの同意審決の際も、      手法は異なるにせよ、旧AT&Tグループの完全分割と引換えに、情報      サービス、製造業をはじめとする新たな事業分野への進出が認められた      例もある。    エ NTTグループに対するインセンティブ規制方式の適用     1 これまで述べてきたとおり、NTTグループに対しては、東西NTT      のネットワークの一層の開放、NTTドコモ、NTTコムの持株保有比      率の引き下げ等、公正競争条件確保や競争促進のための措置を講ずる必      要がある。     2 他方、NTTグループには、東西NTTの業務範囲規制、NTT法に      おける事業計画の認可等の規制、放送業・製造業分野への進出(出資)      制限等、諸規制が課されている。     3 そこで、地域のネットワーク開放の徹底、NTTコムやNTTドコモ      株式の持株比率の低下等を実現することを踏まえて、これらの諸規制の      緩和・撤廃を実施するというインセンティブ規制方式を導入することと      し、その具体的内容(NTTグループが講ずべき諸措置との組合せ等)      を早急に検討すべきである。     4 その際、制度の透明性を確保する観点から、インセンティブ規制を法      的ルールとして明確化するとともに、インセンティブ規制に対する国の      裁量の余地が広がりすぎることのないよう、ネットワーク開放度合等を      評価するための客観的な指標についても併せて検討する必要がある。     5 ただし、インセンティブ規制の法的ルール化にあたっては、司法取引      が一般的に行われている米国の法制度と我が国の法制度との違いや、公      正競争上必要な措置とNTTに対する規制緩和措置(特に、特殊会社と      しての固有の規制事項の緩和)はそれぞれが独立した法制度として実現      するべきという意見等にも配慮し、十分な検討を行う必要がある。     6 また、NTTグループの経営改善は、本来、資本市場における経営の      合理化に対する評価をインセンティブとして実施されるべきとも考えら      れる。したがって、NTTグループの経営を資本市場における厳しい目      にさらすという観点からも、外資規制や政府保有義務規制の在り方を見      直す必要がある。    オ NTTグループ全体の在り方     1 持株会社形態によるグループ運営については、NTTグループからは、      市場環境の変化に対応してグループ各社の形態を機動的、弾力的に変更      できること、東西NTTのスリム化のための人員流動を円滑に行うこと      ができること、一元的な研究開発体制により国際競争力を強化できるこ      と等のメリットが指摘されている。     2 他方、他事業者等からは、持株会社形態によるグループ運営は、持株      会社の役員と兼任することによるグループ内の情報の流用や東西とコム      の一体的営業、グループ内での相互補助など持株会社を通じてグループ      会社間で様々な反競争的行為が行われる温床となり得ることや、グルー      プ内での自主的な事業運営が妨げられ、グループ内の競争は期待できな      いといったデメリットが指摘されている。     3 また、人員の流動化や研究開発面においても、NTTコム、NTTド      コモ等の事業会社が自らの経営判断に基づき、グループ内で事業に必要      な人員の受入れや研究開発拠出金を負担しているのであれば、必ずしも      持株会社形態によるグループ運営が唯一不可欠の方法とは考えられない      という指摘もある。     4 さらに、現在の持株会社形態については、必ずしも完全資本分離を法      的に強制しなくてもNTT持株会社の支配が弱まり、各事業会社の自主      的経営が維持されれば、競争促進的な効果が期待できるので、そのため      の条件整備を実施すべきとの考え方もある。     5 従って、現在の持株会社形態によるグループ運営の在り方については、      これまで述べてきた持株会社形態によるグループ運営の問題点の検討と      ともに、支配的事業者規制やインセンティブ規制方式など一連の競争政      策の実施による市場における競争の進展状況を見極めた上で判断する必      要がある。     6 その際、NTTグループ各社を含め各事業者が、スピード経営時代に      対応できるようにするとともに、料金の早急な低廉化という利用者利益      の確保を図るという観点から、一定期間経過後においてもなお、十分な      競争の進展が見られない場合には、NTTグループの経営形態について      は、完全資本分離を含め、現在の持株会社形態の抜本的な見直しを実施      することが必要である。  (5)NTT法における諸規制の在り方     1 NTT法においては、ユニバーサルサービス確保、研究開発の推進普      及等の観点からこれらに関する責務をNTT持株会社及び東西NTTの      適正かつ効率的な経営を確保するための諸規制(新株発行、事業計画、      利益処分等に関する認可等)を課しているところである。     2 NTT持株会社からは、これらのNTT法上の諸規制について、緩和      要望が出されているが、NTT法における規制は、特殊会社の適正かつ      効率的な経営を図る観点から課される必要最小限の規制であり、我が国      における特殊会社規制に共通のものである点を考慮する必要がある。。     3 NTT法における諸規制の見直しについては、前述のインセンティブ      規制方式の導入、後述のNTT株に関する政府保有義務や外資規制の在      り方、さらに、ユニバーサルサービスの確保や研究開発推進・普及の在      り方などを含め、NTTの在り方全般についての検討を踏まえて措置す      べき事項であると考えられる。     4 ただし、グローバルな事業展開を弾力的に実施する上で支障が生じて      いる新株発行の認可についての規制緩和等緊急性の高いものについては、      別途緩和する方向で検討する必要がある。     5 なお、NTT法において、日本電信電話株式会社、東日本電信電話株      式会社、西日本電信電話株式会社という商号の使用制限を措置している。      他方、「NTT(エヌ・ティ・ティ)」という名称に対しては制限を設      けていないため、NTTグループにおいて、広く利用されているのが現      状である。「NTT」が情報通信分野においてブランド効果を持ち、他      の事業省が不利になっているという指摘がある中で、「NTT」という      ブランドの取扱いについても今後検討を行う必要がある。 4 ユニバーサルサービスの確保  (1)ユニバーサルサービス政策の位置付け    ア 競争政策とユニバーサルサービス政策     1 ユニバーサルサービス政策については、欧米において競争政策の一環      として検討されてきているように、我が国においても、単に現行の競争      環境を前提としたユニバーサルサービスの在り方を検討するのではなく、      今後の更なる競争促進について視野に入れつつ、競争政策とユニバーサ      ルサービス政策の在り方について一体として検討する必要がある。     2 具体的には、第一に、競争の進展により一層多様かつ低廉なサービス      を国民利用者が享受できることが期待される一方、国民利用者の利用機      会の均等が確保される必要があることから、ユニバーサルサービス政策      の目標とユニバーサルサービスの範囲について明確化する必要がある。     3 第二に、従来、ユニバーサルサービスに係るコストは、東西NTTの      低コスト地域(採算地域)から高コスト地域(不採算地域)への内部相互補      助により確保されてきたが、どの程度のコストを要しているかが明確で      はない。このため、ユニバーサルサービスコストを客観的ルールにより      算定する仕組みの確立が求められる。     4 第三に、低コスト地域で競争が進展する(また高コスト地域でも将来      競争が進展する可能性がある)中、ユニバーサルサービスを確保するた      めの方策について検討する必要がある。    イ インターネット時代のユニバーサルサービスの在り方     1 従来のユニバーサルサービス政策は、固定電話サービスを前提とした      ユニバーサルサービスの確保の在り方について検討が行われてきたとこ      ろである。事実、現在NTT3社(NTT持株会社及び東西NTT)にユ      ニバーサルサービス責務を課しているNTT法第3条においても、「国      民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平か      つ安定的な提供の確保」が目的とされている。     2 しかし、昨今のインターネットや移動電話の爆発的な普及に伴い、従      来の枠組みを超えた新しい視点からユニバーサルサービスの在り方を検      討することが求められている。     3 このため、インターネット時代のユニバーサルサービスの在り方を検      討するに際して、デジタル・ディバイド解消の観点を含め検討を行う必      要がある。  (2)ユニバーサルサービスの範囲    ア ユニバーサルサービスの定義及び政策目標     1 ユニバーサルサービスの定義としては、      (a) 国民生活に不可欠なサービスであって、      (b) 誰もが利用可能な料金など適切な条件で、      (c) あまねく日本全国において公平かつ安定的な提供の確保が図られ        るべきサービスである      と位置付けられてきているが、今後ともこれを維持することが適当       である。     2 また、ユニバーサルサービス政策の目標としては、従来から地理的格      差を対象としてきているが、この他にも所得格差(低所得者を対象)やリ      テラシー格差(障害者や高齢者を対象)を対象とすることも考えられる。      しかし、所得格差やリテラシー格差の解消が社会的に極めて重要である      ことは論を待たないものの、社会福祉政策との切り分けについて広く国      民各層のコンセンサスを得る必要があると考えられる。したがって、以      下の検討においては地理的格差の発生防止をユニバーサルサービス政策      の目標として位置付けるものとする。    イ ユニバーサルサービスの具体的範囲     1 ユニバーサルサービスの範囲としては、従来、固定電話サービスのう      ち、加入電話サービス、公衆電話サービス及び緊急通報サービスがこれ      に該当するものと考えられてきたが、今後の検討に際しては、その範囲      の具体化を図る必要がある。     2 ユニバーサルサービスの範囲を検討する際には、その範囲を拡大すれ      ば地理的格差なくサービスを享受できる利用者が増加する一方、その提      供コストも膨らむことから、必要最小限の範囲とする必要がある。また      検討に際しては、サービスの普及率の他、サービスに対する社会的ニー      ズ、技術の進展動向等を総合的に勘案することが必要である。     3 こうした観点に立てば、ユニバーサルサービスの範囲には、加入電話      サービス(加入者回線アクセス及び市内通話サービスの他、特例料金が      適用される離島通話サービス)、公衆電話サービス(戸外における最低限      の通信手段を確保する観点から一定の基準で設置される第一種公衆電話      のうち加入電話サービスと同等の部分)及び緊急通報サービス(警察11      0番、消防119番及び海上保安庁118番)が該当すると考えられる。     4 加入電話サービスのうち、加入者回線アクセス及び市内通話サービス      をユニバーサルサービスとするのは、加入者回線アクセスについては多      様な電気通信サービスを利用するための最低限のアクセス手段であると      考えられること、また市内通話サービスについては同一MA内に終始す      る通話が全体の約6割(平成10年度で60.2%)を占めており、利用実態か      らみて基礎的な通信手段に該当すると考えられることによる。     5 公衆電話サービスについては、国民各層にとって機器が使いやすいも      のであるよう配慮するとともに、機種変更に関する情報を国民利用者に      対して十分提供する等、利用者利便の確保に配意することが望まれる。     6 次に、インターネットの利用については、現在急速に拡大しているも      のの、世帯普及率は19.1%(平成11年度末)にとどまっており、また、仮      にインターネットアクセスをユニバーサルサービスとして位置付けよう      とした場合、一定の基準(通信速度等)を設けたとしても直ちに陳腐化し      てしまう可能性があり、かつ利用者ごとに求める基準も異なると考えら      れる。     7 また、移動電話については、加入者数の面で加入電話を上回る普及を      見せているものの、固定電話と移動電話の代替性(固定電話から移動電      話への移行)が顕在化しておらず、また、ユニバーサルサービスとして      全国あまねく提供を確保することが困難である(宅内に利用が限定され      る固定電話と異なり、利用者が移動しながらどこでも利用するという特      性がある)と考えられる。     8 したがって、インターネットアクセス、移動電話等のサービスについ      ては、普及途上にあることから、既に普及が成熟段階にあって事業者に      全国あまねく提供を法的に義務づける加入電話サービスのようなユニバ      ーサルサービスとは位置付けられない。他方、これらのサービスは、収      益性の観点から過疎地等の高コスト地域ではサービスが提供されないか、      都市部よりも高い料金でサービスを提供せざるを得ない状況にあること      を踏まえ、サービス利用面での地理的格差を是正するデジタル・ディバ      イド解消の観点から、早期の全国普及を図ることが必要である。     9 このため、これらのサービスは、加入電話サービスに代表されるユニ      バーサルサービスとは異なり、近い将来においてユニバーサルサービス      となることが期待されるサービス(以下「次世代ユニバーサルサービス」      という。)と位置付けることが適当である(具体的には項目(6)で記述)。     10 なお、電気通信分野は急速に技術革新が進展している分野であり、例      えば、VoIPの普及がユニバーサルサービスの具体的な範囲或いは負      担の在り方にも大きな影響を与える可能性があることや、インターネッ      ト等のサービスが予想を上回るスピードで急速に普及することも考えら      れること等に鑑みると、ユニバーサルサービスの範囲については定期的      に見直しを行っていくことが適当であると考えられる。  (3)ユニバーサルサービスのコスト及び料金水準の在り方    ア ユニバーサルサービスコストの算定方法     1 現行のユニバーサルサービスのコスト算定については、非効率性を排      除しやすい長期増分費用方式によることが適当である。なお、コストの      具体的な金額の算定については、現在進められている長期増分費用モデ      ルの見直しに関する検討結果を踏まえる必要がある。     2 また、コストの算定単位については、現行の長期増分費用モデルとの      整合性を考えると、現時点では都道府県単位とすることとなるが、より      実態に即したコスト把握を行う観点から、上記のモデル見直しの中でコ      スト算定をMA単位で行うことも含めて検討を行うことが適当である。     3 次に、ユニバーサルサービスコストの算定に際しては、長期増分費用      方式により算定したコストを直ちにユニバーサルサービスコストとする      のではなく、長期増分費用から一定部分を除いた純費用を算定し、これ      をユニバーサルサービスコストとすることが適当である。     4 この場合、純費用を算定するための具体的な手法(英国のように便益      を直接算定する方法や、米国のように一定のベンチマークを上回る部分      を純費用とする方法が存在する)については、各手法のメリット及びデ      メリットを比較衡量しつつ、我が国の実情に適した手法を採用する方向      で引き続き検討することが適当である。     5 また、算定基礎となるデータ(例えば営業費)については、透明な手続      により当該データの妥当性を検証できるような仕組みが必要であり、算      定ルールを公表する他、当該データの提供の義務付けや説明責任等を提      供事業者に課すことについて検討することが必要である。     6 更に、ユニバーサルサービスコストは、これまで述べたように長期増      分費用方式に基づき一定の算定ルールに沿って導かれるものであり、ユ      ニバーサルサービスの提供事業者の収支状況の変化が当該コストの規模      に直接的な影響をもたらすこととはならない。    イ ユニバーサルサービスと料金水準     1 一般論として言えば、競争環境下において通信料金は市場原理に基づ      き設定されるものであり、電気通信事業法第31条第2項に定める「不当      な差別的取扱い」等の料金変更命令の要件に該当しない限り、地域別料      金格差を設けることは一概には否定されない。     2 しかし、ユニバーサルサービスの料金水準については、他のサービス      料金と異なり、「あまねく公平」に提供されるべきサービスであること      から、均一料金の維持という観点から検討する必要がある。     3 この点、主要国の現状を見ると、行政当局はユニバーサルサービスの      料金について地域間格差に特段の配慮をすべきである旨の規定を設けて      おり、また実際にも、一部の例外を除き、各事業者が業務区域内におい      てユニバーサルサービスの料金について地域間格差を設けている例は存      在しない。加えて、仮に東西NTTの業務区域内で地域別料金を認める      としても、どの程度の範囲の地域又は料金格差であれば地域別料金が許      容されるかという点について合理的なメルクマールを設けることが困難      な面があると考えられる。     4 このため、東西NTTの業務区域内における市内通話料金については、      均一料金の維持を基本とすることが適当である。この場合、東西NTT      の業務区域内の全域において同時に料金引下げを行うこと以外は認めな      いこととすると、競争の進展による料金引下げという便益を国民利用者      に還元することが遅れることが懸念され、他方、料金引下げが一部の低      コスト地域のみで実現して、高コスト地域では実現しない状態が継続し      たり、逆に高コスト地域での料金の引上げが行われることは、ユニバー      サルサービス政策の観点からは適当でないものと考えられる。したがっ      て、競争の進展に伴う料金引下げという競争政策上の要請と均一料金の      維持というユニバーサルサービス政策上の要請を総合的に勘案すれば、      一部地域の料金の引下げを行うものであっても、一定の合理的期間内に      業務区域全体の料金の引下げが実現するものについては、否定されない      ものと考えられる。     5 一方、東西会社間の料金格差については、東西会社間の比較競争(ヤ      ードスティック競争)が働くことが期待され、また東西NTTという異      なる会社間で料金が同一でなければならないという合理的根拠に欠ける。      このため、東西NTT間においては料金を引き下げる方向で格差が生じ      ることはあり得るものと考えられる。     6 また、基本料については、加入数が多いほど基本料が高い(低コスト      地域の方が高コスト地域に比べて基本料が高い)という級局別格差が存      在している。この点、低コスト地域においては、直収サービス、FWA      (加入者系無線アクセスシステム)等の加入者回線部分の競争が今後進      展する中、競争圧力により基本料引下げの誘引が働くことが期待される。      こうした基本料の引下げは、コストベースの料金設定という原則に照ら      して、現行の級局別格差の是正につながるという点で望ましい。この場      合であっても、高コスト地域における基本料の引上げは、ユニバーサル      サービスに係る料金であることを考えれば適当ではない。いわば競争進      展の成果としての低コスト地域における基本料の引下げとユニバーサル      サービス政策の観点から要請される高コスト地域における現行の基本料      水準の維持とが相まって、国民利用者の利益確保が図られるものと考え      られる。     7 更に、施設設置負担金は、ユニバーサルサービスに該当する加入者回      線アクセスの投資コストに相当する部分である。当該コストについては、      実態として地域間格差が存在するものと考えられるが、これを料金面に      反映させることについては、ユニバーサルサービス政策の観点から適当      でないと考えられる。なお、これに関連して、施設設置負担金が国際的      に見て高い水準にあることから、その在り方を見直すことが望まれる。  (4)ユニバーサルサービスの提供主体とコスト負担の在り方    ア 外部補助と適格事業者の考え方     1 現在、東西NTTがユニバーサルサービスを提供する場合、低コスト      地域から高コスト地域への内部相互補助によってユニバーサルサービス      コストを賄っているが、特に低コスト地域で競争が進展すれば、高コス      ト地域においてユニバーサルサービスコストを賄うことができなくなる      ため、ユニバーサルサービスの純費用が存在する場合は外部補助が必要      となる。     2 この場合、ユニバーサルサービスの提供事業者と外部補助の関係は、      例えば以下のとおりとなる。     3 すなわち、ユニバーサルサービスを提供する事業者は、当該地域にお      いてサービス提供を義務付けられる代わりに、純費用については外部補      助を受ける権利を有する事業者(以下「適格事業者」という。)として指      定を受けることができる。また、適格事業者の指定は原則として事業者      の申請に基づいて行われる。更に、ユニバーサルサービスの対象となる      各サービス(「加入者回線アクセス及び市内通話サービス」、「離島通      話サービス」、「公衆電話サービス」、「緊急通報サービス」)ごとに      適格事業者としての指定を受けることとなる。     4 なお、適格事業者は一般に都道府県単位で指定することが現実的であ      ると考えられる(市町村単位やMA単位で指定することは事務的に煩瑣      な面がある。)。この際、各都道府県においてすべてのエリアでサービ      スを提供しているのでなくても、一定の比率以上のエリアでサービスを      提供していれば適格事業者となり得る(ただし、県庁所在地のみでサー      ビスを提供しクリームスキミングを行う事業者は含まれない。)ことと      する等、適格事業者の具体的な要件については引き続き検討する必要が      ある。     5 次に、競争の進展状況に照らして適格事業者と外部補助の在り方等を      例示すると、以下のとおりとなる。     6 第一に、高コスト地域での適格事業者が一社に限られ、他方、低コス      ト地域では競争が進展している場合、純費用が存在すれば外部補助を受      けられる一方、ユニバーサルサービスの提供義務が課される。     7 第二に、高コスト地域、低コスト地域を問わず競争が進展し、高コス      ト地域においても複数の適格事業者が存在する場合、上記と同様、純費      用が存在すれば、適格事業者は外部補助を受けることができる。ただし、      適格事業者のうち一社が撤退する場合は他の事業者に顧客を移行させる      等の利用者保護の措置を講じることが前提となる。     8 第三に、適格事業者が撤退することによりユニバーサルサービスが提      供されなくなる地域が発生する場合、行政当局が適格事業者を指定し、      当該事業者に対して、当該地域からの撤退を認めることなく、引き続き      ユニバーサルサービスの提供を確保することとなる。     9 なお、東西NTTが全国においてユニバーサルサービスを提供してい      る現状にあり、また、NTTとしても「新たな制度(適格性のある事業      者に責務を課す仕組み)の下においても、ユニバーサルサービスを安定      的に提供する役割を果たしていきたい」(NTT持株会社)としているこ      とに鑑みれば、新たな枠組みに移行した段階においても、他の適格事業      者が登場するかどうかにかかわらず、引き続きすべての地域で東西NT      Tが適格事業者として位置付けられるとともに、ユニバーサルサービス      の確保を最終的に保障する事業者としての役割が期待される。    イ NTT法におけるユニバーサルサービス確保の責務規定の在り方     1 こうした新たな枠組みは、地域通信市場において競争が進展していく      中、東西NTT以外の事業者も適格事業者となる可能性があることを前      提としている。このため、NTT法第3条において、NTT3社に限っ      てユニバーサルサービス提供事業者と位置付ける制度から、電気通信事      業法において、他の事業者も含めてユニバーサルサービス提供事業者と      なり得る制度へと移行していくことが適当である。     2 この場合、前述のア8及び9を前提として、電気通信事業法における      ユニバーサルサービス確保の新たな枠組みが導入されれば、NTT法に      おけるユニバーサルサービス確保の責務規定は必ずしも必要なくなる。  (5)ユニバーサルサービスの外部補助の在り方    ア コスト外部補助の基本原則      ユニバーサルサービス確保の新しい仕組みを維持・運営していく場合の     基本原則としては、(a)競争的中立性の確保、(b)透明性の確保、(c)適格     事業者の効率性の確保、(d)実施費用の最小化の確保、(e)国際的な整合性     の確保の5点を基本原則とする。    イ コスト外部補助の財源     1 外部補助方式については、主要国においても様々な方式(米国やフラ      ンスのように基金方式による他事業者負担を制度化している国、英国の      ように内部相互補助で維持している国、ドイツのように内部相互補助で      維持しているものの、一部地域で問題が生じた場合の代替措置を整備し      ている国)が存在する。我が国においても外部補助方式を考える場合、      こうした諸外国の事例を参考としつつ検討する必要がある。     2 電気通信分野におけるユニバーサルサービスについては、あらゆる分      野で競争的にサービス提供が行われることを前提としつつ、他方、市場      原理だけでは実現が困難である地域間格差のない固定電話サービスの確      保が政策的に要請されるものであり、競争環境下において適格事業者の      みにコスト負担を求めることは競争的中立性の観点からは適当でないと      考えられる。また、電気通信ネットワークは加入者が増加するほどネッ      トワークの利用者全体にとって効用が高まるという「ネットワークの外      部性」を有しており、適格事業者によるユニバーサルサービスの維持は      他事業者の利用者にとってもメリットが発生するという特性を有してい      るものと考えられる。このため、提供事業者以外の事業者も含めた外部      補助を行うことは競争政策上の観点から妥当性を有するものと考えられ      る。     3 こうした考え方に立てば、事業者負担による外部補助は、適格事業者      としてユニバーサルサービスを提供する場合は外部補助を受け、その他      の事業者は一定のルールに基づいて拠出するという、いわゆる" play      or pay "原則を基本とすることが適当である。     4 事業者負担による外部補助の具体的方法としては、(a)接続料への付      加方式、(b)基金方式、(c)税方式の3つの方式が想定される。     5 このうち、接続料への付加方式については、接続料とユニバーサルサ      ービスコストが同時に徴収されて徴収コストの節減が図られるものの、      適格事業者と接続している事業者のみがコスト負担を行うという点で負      担の公平性が確保されないという問題点がある。     6 次に、基金方式は、事業者が負担する拠出金を中立的機関に納入し、      これを適格事業者に配分する方式である(なお、「基金」とは主要国に      おいても一般的に使われている用語であるが、事業者の負担金をストッ      クとして、その運用益を適格事業者に対する給付に充てるものではなく、      毎年のユニバーサルサービスコストを算定した上で一定のルールに沿っ      て各事業者の負担額を確定し、その総額を適格事業者に対する給付に充      てるという仕組みが採られているところであり、ここでも同様の意で用      いている。)。     7 この基金方式は、接続料への付加方式と違って、接続の有無に関わら      ず負担を求めることができるという点において、事業者間の負担の公平      性を担保することができる。なお、この方式は米国やフランスでも採用      されており、国際的整合性の観点からも望ましい。ただし、基金の運営      に係るコストを要することから、制度の運用に当たっては可能な限り簡      素かつ透明な仕組みとすることが求められる。     8 更に、税方式としては、例えば間接税のようにサービス料金に一定率      を上乗せして事業者が徴収する方法が考えられるが、毎年の純費用額の      算定結果に伴って事業者の拠出額(ひいては、サービス料金への上乗せ      率)も変動し得ることから、コスト徴収のための手続きが繁雑となり、      結果として徴収コストが上昇する可能性があり、また、いわば利用者料      金に上乗せする形で利用者からコスト徴収を行うという点で国民利用者      のコンセンサスを得ることが困難であると考えられる。     9 したがって、外部補助の方式としては、基金方式が適当である。     10 外部補助方式として基金方式を実施する時期について、制度整備が行      われるのと同時に基金方式をスタートさせる方法と、制度整備をした後、      地域通信市場の競争が一定程度進展した段階でスタートさせる方法とが      考えられるが、競争促進策と一体としてユニバーサルサービス確保の新      しい枠組みを導入するという観点からは、制度整備が完了した時点で直      ちに基金方式をスタートさせることが適当である。     11 制度導入当初はコスト負担を行う事業者の経営に与える影響等を慎重      に見極める必要がある。このため、制度導入後の一定期間について激変      緩和を図る観点から、公的支援を含め支援措置を講じることにより事業      者負担を軽減することも検討する必要がある。なお、公的支援について      は、具体的には政府保有義務分に係るNTT株式の売却益を活用する等      の考え方がある。これを含め、別記(5(2)2 (イ) 及び (ウ) )の      趣旨を踏まえつつ、幅広く政府部内において検討することが望ましい。    ウ コスト負担の公平性確保の在り方     1 外部補助方式として基金方式を採用する場合、コストを負担する事業      者の範囲は可能な限り広くして各事業者ごとの負担額を可能な限り小さ      くすることが適当であり、移動体通信事業者を含め第一種電気通信事業      者がその対象になるものと考えられる。     2 また、適格事業者となる東西NTTもコスト負担事業者となる。これ      は、東西NTTも低コスト地域におけるサービス提供による収益を上げ      ている点で他の事業者と同等の立場にあるためである。     3 更に、コスト負担比率については、売上高(電気通信事業営業収益)比      やトラヒック比といった客観的な基準を用いることが適当である。なお、      コスト負担の配分方法を含むコスト負担ルールの在り方については、公      平性確保の観点から、具体化に向けて引き続き検討する必要がある。     4 なお、コスト負担の在り方については、地域通信市場における競争の      進展状況等を踏まえ、定期的に見直しを図ることが適当である(この場      合においても、コスト負担が何らかの要因によって急激に増加すること      により、コスト負担事業者の経営状況を著しく圧迫するような事態は避      ける必要がある。)。  (6)次世代ユニバーサルサービス確保の在り方    ア 次世代ユニバーサルサービスの定義     1 先に述べたとおり、インターネットアクセスや移動電話については、      次世代ユニバーサルサービスと位置付けることが適当である。この次世      代ユニバーサルサービスとは、現状においては利用面で地理的格差が存      在しているものの、      (a) 近い将来において全国的な普及(地理的格差の解消)が求められて        いるサービスであり、      (b) 政策的に需要喚起を図ることが適当であり、      (c) 事業者に提供を義務づけるのではなく、提供エリアの拡大等のた        めのインセンティブを付与するための公的支援を含め支援措置の在        り方を検討することが適当と認められるサービスである      と位置付けられる。     2 換言すれば、次世代ユニバーサルサービスとは、民間部門の競争に委      ねただけでは、過疎地等の高コスト地域において、低コスト地域と同等      の条件で利用することができるとは期待できないことも予想されること      から、支援措置を講じることにより普及を加速化することが適当と判断      されるサービスであり、将来的には現行ユニバーサルサービスである固      定電話サービスと同等の社会的重要性を持つ必要不可欠なサービスとな      ることが予想されるサービスである。     3 なお、技術革新が急速に進展している分野であることに鑑みれば、特      定の技術に偏った支援を行うことにより他の技術の発展を阻害したり、      他の技術を活用したサービス展開を行う事業者との間で公正競争上の問      題が生じないよう、支援に際しては、技術的中立性及び競争的中立性が      確保されることが必要である。また、その際には、支援措置の対象を明      確化し、その趣旨を逸脱しない範囲内で行われることが求められる。    イ  次世代ユニバーサルサービスの範囲と支援措置の在り方     1 次世代ユニバーサルサービスとして、高速インターネットアクセスや      移動電話サービスを全国どこでも地理的格差なく利用できるような環境      を早期に創出するための支援措置の対象としては、例えば以下のような      ものが考えられる。     2 まず、インターネットアクセスについては、国民利用者がそのメリッ      トを実感できる環境を整備することによって需要を喚起し、需要と供給      の好循環を生み出すことを通じて早期の全国普及が実現することが期待      される。このため、例えば、公的機関(学校、公民館、図書館等)におい      て高速インターネットアクセスを利用する際の利用料金の一部を支援措      置によって軽減することを通じて、過疎地等を含め地理的格差なく最寄      りの公的機関において地域住民が高速インターネットを利用できる環境      を早期に実現することが適当であると考えられる。     3 また、移動電話サービスについては、電気通信格差是正事業等による      施設整備が行われてきた結果、サービス提供地域の拡大が順次図られて      きているが、移動電話の普及が進展すればするほど、移動電話の不感地      帯の解消に向けた国民利用者のニーズも強まるものと考えられる。しか      し、今後、こうした施設整備の対象となる移動電話サービスの不感地帯      は、長期的にも収益性が見込めず、現行の電気通信格差是正事業等によ      る施設整備を行ったとしても、事業者として運営経費(交換局から基地      局までのエントランス回線に係る専用線料金等)を負担しなければなら      ないことから、更なる不感地帯の解消(提供エリアの拡大)が困難であ      ると考えられる。このため、例えば、こうした地域における移動電話サ      ービスの提供に係る運営経費の一部について支援を行うことが検討項目      として考えられる。     4 なお、高速インターネットアクセスの利用環境を整備・促進する観点      から、不採算地域における光ファイバやDSL(デジタル加入者線)、      FWA、CATVを含む高速の加入者系アクセス網の整備に対する支援      についても検討の対象となるものと考えられる。     5 いずれにせよ、こうした次世代ユニバーサルサービスの対象となるサ      ービス及び支援措置等の在り方については、具体化に向け引き続き検討      を進めていくことが必要である。  (7)今後の検討課題    1 以上見てきたように、地域通信市場における競争の進展を踏まえ、" pl     ay or pay "原則に基づき、適格事業者によるユニバーサルサービスの提     供とユニバーサルサービス基金による外部補助を組み合わせたユニバーサ     ルサービス確保のための新たな枠組みを構築することが必要である。    2 この際、新しい枠組みの具体化に向けては、適格事業者の要件、コスト     算定の具体的方法、基金方式の具体的内容、コスト負担ルールの在り方等、     引き続き検討を進めていく必要がある。    3 併せて、高速インターネットアクセスや移動電話サービスといった現在     の固定電話と同等の重要性を将来持つと予想される次世代ユニバーサルサ     ービスの早期全国普及に向けた支援措置の在り方についても今後検討を進     める必要がある。    4 また、今後の検討に当たっては、VoIPに代表されるIP網ベースの新し     いサービスの普及動向等がユニバーサルサービス政策に与える影響が大き     いと考えられることから、こうした新しいサービスがユニバーサルサービ     ス政策に与える影響等についても十分視野に入れていくことが必要である。 5 通信主権等の確保及びNTTにおける研究開発体制の在り方  (1)基本的視点    1 国民生活や社会経済活動に不可欠な電話を中心とする全国ネットワーク     を有するNTTの公共的役割の重要性にかんがみ、会社経営の安定的基盤     を確保するとともに、外国に支配されることにより被る国の安全上の問題     を未然に防止する必要等から、NTTについては政府株式保有義務や外資     規制が設けられているところである。    2 また、そのようなNTTの適正かつ効率的な経営を確保する一環として、     新株発行についても認可制が設けられているところである。    3 しかし、最近の電気通信事業におけるグローバル化や国際競争の進展に     対応し、NTTとしてグローバルな事業展開や海外進出を積極的に推し進     める上で、より機動的な資金調達のニーズが生じているところである。    4 また、業態を超えた国際競争・提携が進展していく中で、我が国の基幹     的通信事業者であるNTTはもとより、他の電気通信事業者もグローバル     化・ボーダーレス化に対応し、積極的に海外市場へ展開していくとともに、     標準化活動、国際的な情報通信基盤の整備等において国際的なリーダーシ     ップを発揮し、貢献していくことが求められている。このため、我が国の     通信事業者が、海外の有力事業者に伍して、海外市場への展開や国際的提     携等を円滑に図れるようにすることは重要な課題である。    5 こうした我が国通信事業者の国際競争力の向上を図るという観点から、     NTTに係る政府株式保有義務や外資規制の在り方、我が国通信事業者の     海外展開等への支援策、NTTにおける研究開発体制の在り方等について     検討することとする。  (2)通信主権等の確保    ア NTT持株会社の株式の政府保有義務の在り方     1 政府保有義務の趣旨及びこれに対する考え      (ア) 政府がNTT持株会社の発行済株式の総数の1/3以上を常時保        有することを義務付けている趣旨は、NTTによるユニバーサルサ        ービス提供責務や研究の推進・成果普及の責務の適正かつ確実な履        行を確保する見地から、仮に政府以外のすべての株主が敵対株主と        なっても特別決議(定款変更等)を阻止可能とすることにより、会        社経営の安定的基盤を確保するためである。      (イ) このように政府によるNTT株式の保有は、その経営に積極的に        介入する趣旨ではないが、経営に対する政府の介入の可能性が法的        には払拭できず、政策の中立性、透明性に疑問が呈されている。      (ウ) また、仮に政府のNTT株式売却が過去3年間の売却と同様のペ        ースで進めば、2年後にその保有割合は現行の1/3という義務の        下限に近づき、NTTの機動的な資金調達(増資)が妨げられるお        それがある。     2 今後の課題      (ア) このように、NTTの資金調達の柔軟性確保や経営の透明性・政        府からの独立性確保の観点からは、政府株式保有義務は基本的に撤        廃する方向で検討することが望まれる。      (イ) また、インターネット時代を展望した新たな競争政策が実施され、        地域通信分野における競争が進展する中で、これまでのようにNT        T法に基づきNTTに対してのみユニバーサルサービスの提供や研        究の推進・成果普及を義務付ける方法を見直し新たな支援措置を検        討していく方向であり、この場合、引き続き国がNTTの株式を保        有してその経営の適切性・安定性を確保する必要性が薄れると考え        られる。      (ウ) こうした状況の下、今後、仮に政府保有義務分に係るNTT株式        を売却することとなる場合、その売却収入の取扱いについては、N        TT株式の政府保有の経緯や国の財政事情等を踏まえ、政府部内に        おいて、幅広い観点から十分検討が行われることが必要である。    イ NTT持株会社に係る外資規制の在り方     1 電気通信事業における国際競争の進展      (ア) 我が国は、世界の電気通信分野の自由化を先導する役割を果たす        ため、2年前のWTO(世界貿易機関)基本電気通信合意の発効と        同時に、NTTとKDDを除くすべての電気通信事業者に対する外        資規制を撤廃した。これにより我が国通信市場への外資系第一種電        気通信事業者の参入が相次ぎ、平成12年11月1日現在で外資比        率1/3以上の第一種電気通信事業者は37社を数えるに至ってい        る。      (イ) その後、KDD法が廃止され、今やNTTに対する外資規制が電        気通信分野で残された唯一の制限となっている。      (ウ) 世界的には、電気通信分野において、事業者間の緩やかな提携の        時代は終焉を迎え、大規模でグローバルなM&A(合併・買収)が        活発化し、さらには業態を超えた競争、提携等が進展するなど、本        格的な国際競争の時代に突入している。また、我が国の電気通信事        業者による海外事業者への出資等のグローバルな事業展開も進みつ        つある。こうした中、英国のボーダーフォン・エアタッチによる独        のマンネスマングループの買収のように、NTTの株式時価総額(        平成12年11月10日現在で約15兆円)を上回る規模(平成1        1年10日のレート換算で約20兆円)の合併事例まで登場してい        る。      (エ) このように、将来NTTが外国資本によって支配される可能性を        100%否定することができない状況にあるが、これを単に企業買収        や我が国の安全確保上の脅威として防御的に捉えるのではなく、む        しろグローバルな競争に勝ち残っていけるような事業者たらんとす        るために、一層の経営効率化を通じた企業価値の向上や体質強化の        絶好の契機として前向きに受け止める姿勢が求められる。     2 外資規制の趣旨及びこれに対する考え      (ア) NTT持株会社の株式については、外国人等の保有割合を20%        未満に制限(外資規制)している。その趣旨は、通信が社会経済活        動の基盤となるもので、国防、治安上の通信の多くが東西NTTに        依存していることから、東西NTTのすべての株式を保有するNT        T持株会社が外国に支配されることにより被る国の安全上の問題、        影響を未然に防止するためと考えられる。      (イ) しかしながら、NTT株の外国上場を機に外国人投資家等による        外資保有割合が近年急速に高まり、今やその水準が規制の上限に近        づきつつある(平成12年8月31日現在で約14%)。ただし、        これらの多くは純粋に投資を目的とした株式保有であって、NTT        の経営支配を目的とするものではないとの見方も可能である。      (ウ) このため、NTTが今後、海外との大規模なM&Aを実施しよう        とすれば結果的に現在の制限を超えるおそれが生じてきており、資        金調達の円滑化や外国企業との提携等のグローバル活動の拡大に支        障があるとして、NTTから現在の制限の緩和・撤廃要望が出され        ているところである。      (エ) 他方、NTTは我が国を代表する基幹的事業者であり、全国に枢        要なネットワークを保有する唯一の主体であること、自衛隊法等に        より公共性の高い役割を発揮することが求められる存在であると同        時に、IT革命推進の基盤を形成していく上で牽引的役割を果たす        ことが期待されていること等の理由から、直ちにNTTの外資規制        を撤廃することには慎重であるべきとの考え方もある。     3 諸外国の状況      (ア) この点主要先進国では、電気通信関係法において、外資が参入す        る場合等に「国の安全」の観点から審査を行ったり、許可の条件と        して特定企業による一定割合の株式保有状況の報告を義務付けたり        している例もある。我が国においても、NTTの外資規制が緩和又        は撤廃されることに伴い、国の安全を確保するために、どこまで有        効な措置(外資の参入・合併の規制、重要通信の確保義務等)を講        ずることが可能であるのかについて、諸外国の事例も参考にしつつ、        幅広い観点から議論を進めることが必要である。      (イ) その際、電気通信事業法において、すべての第一種電気通信事業        者を対象とするのではなく、NTTのみを想定して国の安全を確保        するために有効な手段としてどのような措置が考えられるのか、併        せて検討することが必要である。      (ウ) また、主要先進国において、米国、フランスにおける無線局に対        する20%の外資規制等何らかの形で外資規制が残されている状況        の下では、各国が足並みを揃えてすべての外資規制を撤廃するので        あれば格別、我が国のみ最後に残されたNTTの外資規制を撤廃す        ることは時期尚早であり、国際的なバランスの観点からも好ましく        ないとの考え方もある。      (エ) 他方、NTTに対する外資規制の在り方については、本格的な国        際競争時代を迎え、外資による買収等の可能性を排除してNTTを        保護すべきとの観点から防御的に捉えるのでなく、むしろNTTを        外資の脅威にさらすことが経営の一層の効率化を進めるインセンテ        ィブになるとの観点から検討することも必要である。     4 今後の課題      (ア) 以上から、電気通信分野における外資規制に代わる国の安全確保        のために有効な措置の検討を含め、NTT持株会社に係る外資規制        については、基本的に緩和又は撤廃する方向で検討することとする。      (イ) その過程において、NTTのグローバルな事業展開上の支障を取        り除くために緊急に必要であれば、当面の措置として、例えば過去        においてNTT及びKDDを除く第一種電気通信事業者事業者全体        に適用されていた外資規制の比率である1/3まで、NTT持株会        社に係る外資規制を緩和するという選択肢も考えられる。         この点、今後のNTTの外資保有割合の推移やNTTの海外事業        戦略の動向等を見極めつつ適切に判断していくことが必要である。      (ウ) また、外国人役員規制(外国人のNTT持株会社及び東西NTT        の取締役又は監査役への就任禁止)の取扱いについては、WTO基        本電気通信合意上、我が国がNTTの外資規制と一体としてその制        限を留保してきた経緯も踏まえ、検討する必要がある。    ウ 我が国通信事業者の国際競争力向上のために必要な措置の在り方     1 NTTに係る新株発行認可制の在り方      (ア) NTT持株会社に係る新株発行認可制について        a) NTT法においては、NTT持株会社の新株発行について、将         来にわたる会社の適切な事業運営の確保や政府株式保有比率(常         時、発行済株式の総数の3分の1以上)の維持の観点から認可制         としているところである。        b) NTTからは、当該規制について緩和・撤廃要望が出されてい         るが、当該規制は、特殊会社の適正かつ効率的な経営を図る観点         から課された我が国における特殊会社規制に共通する規制の一つ         である。        c) 他方、最近になって子会社であるNTTコミュニケーションズ         による米国Verio(ヴェリオ)社買収のための資金調達を目的と         して、NTT持株会社による初の本格的な新株発行が行われた。         このように、電気通信を取り巻く環境の変化に対応して国際的な         M&A等のグローバルな事業活動を迅速かつ弾力的に展開する上         で、NTTが資金調達を円滑に行えることが、我が国通信事業者         の国際競争力の向上という観点からも重要な課題である(なお、         円滑なエクイティ・ファイナンスが実施できるよう、当分の間、         NTT持株会社のエクイティ・ファイナンスに係る新株発行につ         いては、政府保有義務の対象となる発行済株式の総数から除外さ         れているところである。)。        d) 従って、NTT持株会社の新株発行の認可制については、国際         的なM&A等のグローバルな事業活動を迅速かつ弾力的に展開す         るための機動的な資金調達という観点から、緩和する方向で検討         することが必要である。          ただし、前述のNTT法上の政府株式保有義務が存在する場合         は、NTTに係る新株発行認可制を緩和して新株が無制限に発行         されることにより、実態上の政府株式保有割合が当該義務の下限         (現在1/3)から著しく乖離するおそれがあるため、当該義務         との関係も考慮に入れた検討が必要である。      (イ) 東西NTTに係る新株発行認可制について        a) 東西NTTの新株発行についても、将来にわたる会社の適切な         事業運営の確保の観点に加え、NTT法上、NTT持株会社によ         る東西NTTの発行済株式の総数の保有を義務付けていることと         の関係上、認可制としているところである。        b) 東西NTTに係る新株発行認可制の在り方については、(a)N         TT持株会社による東西NTTの発行済株式総数の保有義務の在         り方、すなわちNTTの経営形態の在り方とも密接に関係するこ         と、(b)現行NTT法上、東西NTTの業務範囲は県内通信に限         定されているが、それが維持される限りは、東西NTTによるグ         ローバルな事業展開及びそのための機動的な資金調達の必要性が         想定しにくいこと等を踏まえ、引き続き検討することが適当であ         る。     2 株式交換制度の拡充       通信分野においては国際的なM&Aが頻繁に行われているが、我が国      通信事業者の国際競争力向上や海外進出支援等の観点から、外国会社と      の株式交換を可能とすること、又はそれと事実上同等の効果が得られる      外国子会社を介した三角合併を可能とするための自己株式取得制限の緩      和について検討していく必要がある。(商法改正事項)  (3)NTTにおける研究開発体制の在り方     我が国における情報通信技術の研究開発は、従来よりNTTが牽引してき    たが、今後、電気通信事業の競争環境が変化していく中で、我が国の国際競    争力を維持・向上していく観点から、NTTの研究開発体制の在り方につい    て検討を行うことが必要である。     本課題については、我が国全体の情報通信技術の研究開発体制の在り方の    中で検討していくことが不可欠である。特に、NTT法によりNTTに課せ    られている研究の推進及びその成果の普及の責務(以下「研究の推進・成果    普及の責務」という。)の必要性に関しては、以下の視点により検討を深め    ていくこととする。    ア NTTの研究の推進・成果普及の評価     1 情報通信分野の標準化の主流がデファクト標準に移行しつつある中、      NTTは、研究開発拠点の海外進出、海外の研究機関やベンチャー企業      との提携、海外からの研究者の受入れといった国際市場を視野に入れた      体制整備が不十分との指摘がある。     2 今後とも国際標準化活動においてNTTが十分に貢献していける体制      を確保できると言えるのかどうか、検証を行う必要がある。     3 グループ内外の競争が今後急速に進展していく中で、これまでのよう      にグループ各社の資産や売上高等で按分して共通の負担を求める方法に      より、膨大な研究開発予算、人員を維持し続けていくことが可能かどう      か、また、そのことがNTTの高コスト構造の解消を遅らせる要因の一      つになっていないかどうか、検証を行う必要がある。     4 NTTグループ各社より、NTTは数々の先進的な研究開発を推進す      るとともに、その成果を広く世の中に普及させ、日本の産業競争力向上      に貢献してきた実績が示されており、今後もグループ運営の下での一元      的な研究開発体制でなければ国際競争力を維持できないという意見があ      る。     5 その一方で、NCCからは現在の重厚壮大な研究開発体制のままでは、      ますます加速するIT分野の研究開発のスピードに追いつけないとの意      見もあり、現在の研究開発体制が国際競争力の維持・向上の観点から適      切かどうか、検討を行う必要がある。    イ 研究の推進・成果普及の責務の在り方     1 情報通信分野の国際競争力向上に向けて、我が国全体として戦略的に      研究開発に取り組んでいく上で、国として、NTTに対する研究の推進      ・成果普及の責務を今後とも継続させることが必要なのかどうか、NT      Tに対し我が国の情報通信分野の研究開発をリードする役割を担うこと      を法律上も求める必要があるかどうか、検証する必要がある。     2 NTTからは、研究の推進・成果普及の責務の有無によりNTTの研      究開発に対する影響はないとの意見がある。一方、NCCからは、競争      当事者に他社への研究成果の普及を義務づけることは困難であり、公正      に開示している保証はないので当該責務は必要ないとの意見がある。こ      のため、責務に基づく研究の推進・成果普及の実績に対する評価を行う      ことが必要である。     3 現在、NTT法において、研究を業務とする持株会社とは別に、地域      会社である東西NTTに対しても等しく当該責務を課している趣旨は、      地域会社が持株会社の行う基盤的な研究開発に継続的に資金を提供し、      その成果を受け取れる包括的契約関係を結ぶことにより、一体となって      確実にNTTの技術力、研究開発力を維持していくためであると解され      る。     4 しかしながら、NTT持株が実施している研究開発が、グループ各社      にとって真に必要なものであるとすれば、本来こうした責務がなくとも      今の研究開発体制、規模は当面は自ずと維持されるものと考えられる。     5 このため、マイナス面の影響(ベンダー等への技術開示や国際標準化      活動、基礎研究等への取組み意欲の低下など)が生じないか十分検証し      つつも、基本的には当該責務を撤廃する方向で検討していくことが望ま      しい。    ウ 今後の課題     1 電話網からIP網へのネットワーク構造の変化に伴い、情報通信分野      の技術革新や標準化活動のパラダイムシフトが進む中で、我が国全体と      して情報通信分野における国際競争力の維持・向上を図るため、NTT      は一民間企業の自主的経営判断の下に積極的に研究開発を実施すること      により、引き続きこの分野で牽引的役割を果たすことが期待される。     2 一方、NTTの研究開発は、グループ内外の競争の進展に伴い、長期      的には純粋基礎研究を含む基礎研究全体の比重が低下することが懸念さ      れる。       その結果として我が国全体としての基礎研究の水準が低下する事態に      至れば、これを補うための公的支援の充実も含めた検討が必要になると      考えられ、国際競争力向上の観点から我が国全体の研究開発能力のレベ      ルアップの方策につき幅広い観点から検討を行う必要がある。     3 電気通信事業における研究開発体制の在り方については、電気通信技      術審議会と連携し、我が国全体の研究開発体制の在り方の中で引き続き      検討を行うこととする。 6 その他の事項   郵政省が8月から9月にかけて行った意見募集や、3小委員会合同で行われた  ヒアリングの際に、事業者や団体等から提起されている問題点のうち、この答申  において言及されていないものについては、引き続き、本審議会において審議し、  早急に整理する必要がある。


トップへ