第2章 ユニバーサルサービスの概念と範囲

1 ユニバーサルサービスの意義
  近年の電気通信の著しい発展により、国民生活や社会経済活動における情
 報通信の役割は飛躍的に高まっており、国民が情報通信を利用する機会は増
 大する傾向にある。
  距離や時間の制約を克服する電気通信は、便利で豊かなコミュニケーショ
 ンと多種多様な情報への容易なアクセスを実現するものとして、ますます国
 民生活に密着し、生活に不可欠なものとして活用され浸透していくものと考
 えられる。
  現在、電話サービスは、日常生活において必要不可欠な生活基盤であると
 ともに、重要なライフラインとして、日本全国においてその供給の確保が図
 られているところであるが、今後、マルチメディア時代に向けて、情報通信
 ネットワークはさらに高度化・大容量化することが予想され、動画像や高速
 データ伝送などの高度サービスが、現在の電話サービスと同様に日常生活に
 おいても利用され、国民生活に不可欠な新たな生活基盤として活用されてい
 くものと考えられる。
  こうした高度かつ多様なサービスが国民生活や社会経済活動に浸透した社
 会においては、情報を持つ者と持たない者との格差が、結果として社会的な
 格差に結びついていくおそれがあるため、現在にも増して、広く国民に普及
 した情報通信サービスについては、ユニバーサルサービスとして誰もが利用
 できるようその提供が確保される必要がある。

2 ユニバーサルサービスの概念
  ユニバーサルサービスは、国民生活に不可欠なサービスであって、誰もが
 利用可能な料金など適切な条件で、あまねく日本全国において公平かつ安定
 的な提供の確保が図られるべきサービスと考えられる。
  まず、ユニバーサルサービスの基本的な要件は、当該サービスが、国民生
 活に不可欠であることである。
  具体的にどのようなサービスが国民生活に不可欠なものであって、ユニ
 バーサルサービスとしての提供が確保される必要があるかについては、当該
 サービスの利用状況、国民利用者の意識・期待などを踏まえ、個々に検討す
 る必要があり、また、その時代における社会的要請によっても変化するもの
 である。さらにそれは、技術の進歩や光ファイバー等の高度サービスの提供
 の基盤となるネットワークの整備状況などによっても変化する。
  例えば、現時点で電話サービスをユニバーサルサービスとすることについ
 ては、ほぼコンセンサスが得られていると思われるが、近年急速に普及して
 いるインターネットについては、国によって扱いが区々であり、我が国でも、
 これをユニバーサルサービスとするコンセンサスは必ずしも形成されてはい
 ない。
  次に、ユニバーサルサービスは、国民生活に不可欠なサービスであること
 から、誰もが適切な条件でそのサービスを受けることができるよう、以下の
 条件で提供される必要がある。
  1) 利用可能な料金など適切な条件で提供されること。
    利用可能な料金や一定水準の品質で提供される必要がある。
  2) 公平に提供されること。
    誰にでも公平に提供される必要がある。
  3) あまねく日本全国において安定的に提供されること。
    過疎地等を含め、あまねく日本全国において安定的に提供される必
   要がある。

  ※ 電話サービスとNTT法第2条
    我が国の電気通信分野では、NTT法第2条において、「電話役務のあま
    ねく日本全国における安定的な供給の確保」がNTTの責務として規定さ
    れていることから、電話役務がユニバーサルサービスに該当すると考えら
    れる。現在、ユニバーサルサービスとしての電話サービスについては、N
    TTにより概ね確保されている状況にあるといえる。

  ※ NTT再編成と料金格差
    NTTの電話サービスは、現在、通話料は全国一律料金であるが、NTT
   再編成後は、東西の地域会社の経営基盤の差異を反映して、ある程度の格 
   差が生じることはあり得る。そして、この料金格差が、両社の経営効率性 
   の差異を反映したものであるとすれば、それは両社間の直接、間接の競争 
   による相互の切磋琢磨により、中長期的には低廉化の方向で平準化してい 
   くことが期待される。
    しかし、東西各社の効率的経営を前提としても、なお両社間で費用水準や
   需要密度の差が残るとすれば、それが極力料金水準の格差となって表れない
   よう、必要に応じて何らかの措置を講じることが望ましい。
    また、現在、電話サービスの均一料金制が定着していることからも、再編
   成後も東西の地域会社内においては、地域にかかわらず均一料金が維持され
   ることは、大多数の国民の期待に沿うものであると考えられる。
    いずれにせよ、ユニバーサルサービスと均一料金制の関係、会社別、地域
   別の料金格差の可否については、今後、具体的ケースに即して検討していく
   必要があるものと考えられる。

  ※ 基本料の料金格差
    一方、基本料についてはネットワークの効用の差に基づき、市内通話料金
   で通話できる加入数の多寡に対応して、3段階の級局別料金が設定されてい
   るが、現在の級局別の基本料の差については、
    ア 現実には不特定多数の相手に電話するわけではないことから、加入者
     数の多寡が現実の利用者利益の差に直接結びつくものではないと考えら
     れること
    イ 需要密度による設備利用効率の差などにより、大規模局の方が小規模
     局よりもむしろ加入者回線費用が低い可能性があることなどから、必ず
     しも合理的な根拠があるとは言えない。
      したがって、利用者の負担の変動に配慮しつつ、今後、見直す方向で
     検討することが望ましいものと考えられる。

3 ユニバーサルサービスの基準
  上述のとおり、ユニバーサルサービスの範囲に含まれるサービスは、国民
 生活に不可欠なものということになるが、その範囲はサービスの利用状況、
 国民利用者の意識・期待、時代における社会的要請、技術の進歩等によって
 変化するものであり、何が国民生活に不可欠なサービスなのかの基準を示す
 ことは必ずしも容易ではない。
  ここでは、国民生活に不可欠なサービス(=ユニバーサルサービス)の基
 準について、考え方を整理する上での視点として、以下の3つの基準を提示
 してみたい。
 1) 普及率基準(量的基準):一般国民を対象とした基本ネットワークサー
  ビスであって、その普及率(対 世帯/人口)が一定割合を超えるもの。
   例えば、加入電話、ISDN、移動体電話サービス等についての判断基
  準とすることが考えられる。

 ※ どの程度の普及率であれば国民生活に不可欠なものとなっていると言えるか
  についても見解が分かれるが、少なくとも50%を超えることが必要ではない
  かと考えられる。EUでは、国民への普及率75%が一つの目安と考えている
  ようである(EU委員会へのヒアリングによる)。

 2) サービス内容基準(質的基準):1)のようなそれ自体が独立した基本
  ネットワークサービスには必ずしも該当しないが、ほとんどの国民が社会
  生活を営む上において、いつでも必要に応じて利用できる状態にされてい
  ることが求められるサービス。
   例えば、緊急通報サービス、公衆電話サービス、番号案内サービス等に
  ついての判断基準とすることが考えられる。

 3) 社会政策的基準:上記1)、2)の基準は満たされなくとも、教育政策、福
  祉政策等と関連する社会政策的な意味合いで、特定のサービスの特定の利
  用方法(アプリケーション)につき、ユニバーサルサービスと位置づける
  ことが適当なもの。
   例えば、学校、病院を接続するためのインターネットサービス等につい
  ての判断基準とすることが考えられる。

4 ユニバーサルサービスの範囲
  以上の3つの分類に従って、現時点でユニバーサルサービスの範囲につい
 て検討してみた。

(1) 普及率基準
 1) 基本的サービスについては、普及率の観点からユニバーサルサービスに
  該当するかどうかを検討すれば、加入電話サービスは、平成9年度末で約
  93%の世帯に普及していることから、ユニバーサルサービスに該当する。
   他のサービスについては、ユニバーサルサービスに含めるのは時期尚早
  と考える。
   ただし、ISDNや移動体電話サービスについては、近年急速に普及し
  ており、近い将来において、ユニバーサルサービスとして扱う必要性が高
  まってくることも考えられる。また、高コスト地域等でコスト面からみて
  効率的な場合には、普及率に関わりなく、移動体サービスあるいはPHS
  等の無線による方式が有線の加入電話サービスに代わってユニバーサル
  サービスとして利用されることがあり得るものと考える。

 ※ 主な基本的サービスの普及状況
                          平成9年度
サービス名          
普及率         
加入電話           
92.8%(世帯普及率)
ISDN           
1.4%(世帯普及率) 
移動体電話サービス      
25.0%(人口普及率)
PHS            
5.3%(人口普及率) 
専用サービス         
主に企業向け      
データ伝送サービス      
(フレームリレー、セルリレー)
主に企業向け      
            
インターネット接続サービス  
6.4%(世帯普及率) 
 (注)インターネット接続サービスの普及率は、平成10年度通信白書による。

 2) 基本的サービスの選択料金サービスや付加機能サービスが、ユニバーサ
  ルサービスに含まれるかどうかについては、これらのサービスは、利用者
  個別のニーズや利用形態に応じて提供されるものであることから、必ずし
  も利用者全体にとって不可欠なサービスではなく、ユニバーサルサービス
  には該当しないとすることが適当と考えられる。
   しかしながら、選択料金サービスや付加機能サービスであっても、多く
  の利用者が契約することとなる場合には、普及率基準に従って、ユニバー
  サルサービスに該当することとなるとも考えられる。
   この意味で、NTTのプッシュ回線サービスの契約数は、既に平成8年
  度末で加入電話契約数の約46%となっており、ユニバーサルサービスに
  含まれると整理することも可能となりつつある。
   なお、業務区域内の一部地域に限定して選択料金サービスや付加機能
  サービスを提供することについては、ユニバーサルサービスとは別に、そ
  うしたサービスの提供方法が不当な差別等に該当するかどうかという観点
  からの議論も必要になるものと考えられる。

 ※ NTTの電話役務の主な選択料金サービス、付加機能サービスの普及状況
   ○選択料金サービスの普及状況
                         平成8年度末現在
サービス種別   
契約数(万加入)
 普及率  
  テレジョーズ 
183     
 3.0% 
  テレチョイス 
488     
 8.0% 
  テレホーダイ 
14      
 0.2% 
  テレワイズ  
89      
 1.5% 

   ○付加機能サービスの普及状況
サービス種別   
契約数(万加入)
普及率  
  プッシュ回線 
2,827    
46.2%
  キャッチホン 
1,748    
28.6%
  ボイスワープ 
65      
1.1% 
  クレジット通話
135     
2.2% 
   (注)ここでの普及率は、サービス契約数/加入電話契約数。

 ※ NTTの電話役務の付加機能サービスの提供については、その提供に新たな
  電気通信設備の設置等のコストを要することから、サービスによっては、需要
  見込みなどを踏まえながら、順次、提供地域を拡大することが行われている。

        電話の付加機能サービスの導入後の拡大状況例
サービス名    
当初の提供地域     
導入後の拡大状況      
伝言ダイヤル   
         
         
東京MA及び東京MAから
40kmまでのMA   
(S61.11)        
札幌(S62.3)         
大阪・名古屋ほか主要都市  
(S63.3〜4)         
でんわ会議サービス
         
         
東京MA(S60.12)    
            
            
仙台MA(H1.3)、大阪MA  
(H1.7)、横浜MA(H2.1)、広島
MA(H2.3)に順次拡大    
自動クレジット  
         
東京都内(S61.8)     
            
S61〜62年度に順次全国拡大  
(完了)          
フリーダイヤル  
         
東京MA・名古屋MA・大
阪MA(S60.12)     
S61.7〜62.7に順次全国拡大  
(完了)          
キャッチホンII  
         
千葉MA(H7.7)     
            
H7.11〜H8.6に順次全国拡大  
(完了)          
(注)
・伝言ダイヤルサービス:プッシュ回線の電話、プッシュ式の公衆電話を利用して、
            利用者間同士でメッセージの録音・再生ができるサービ
            ス。
・でんわ電話会議サービス:電話網を利用して多地点(最大30まで)を同時に接
             続するサービス。
・自動クレジット通話サービス:キャッシュレスで電話がかけられる通話サービス。
・フリーダイヤル:通話料を着信側で負担するサービス。
・キャッチホンII:キャッチホン機能に加え、話し中に他から別の電話がかかって
         きた場合に、利用者に代わって音声で応答し、かけてきた人の
         メッセージを録音するサービス。

(2) サービス内容基準
 1) 緊急通報サービス
   基本的な電話ネットワークそのものとは言えないが、国民生活上の重要
  性からユニバーサルサービスと考えるべきものの1つに、緊急通報サービ
  スがある。
   現在、NTT等では、人命の安全の確保等の公益上の特別な理由から、
  警察・消防機関への無料通報サービスの提供を行っている。
   ただし、本サービスの費用負担については、本来、国や地方自治体の社
  会政策などの在り方の中で検討されるべきであるとの考えもある。

  ※ フランス、EUでは緊急通報サービスが、米国、英国では緊急通報サービ
   スへのアクセスがユニバーサルサービスとされている。
    ドイツでは、ユニバーサルサービスではないが、全事業者に無料で緊急通
   報サービスを提供することを義務づけている。

 2) 番号案内サービス
   番号案内サービスについては、電話を利用する上で前提となるサービス
  であり、緊急時等において利用できるようにしておく必要があるので、ユ
  ニバーサルサービスとすべきとの意見もあるが、利用に著しい偏在があり、
  番号案内の利用の大半を占める多数回利用者の利用の仕方が本来の電気通
  信サービスとは性格の異なる情報提供サービスに近いことから、ユニバー
  サルサービスには該当しないと整理することが適当ではないかと考えられ
  る。ただし、利用実態に着目するとすれば、住宅用電話で月々一定回数以
  内の利用については、ユニバーサルサービスに該当するという考えもあり、
  国民意識等を踏まえつつ、さらに検討する必要がある。

  ※ NTTの番号案内サービスは、月1回も利用しない人が全体の約68%、
   月1回利用する人が約17%であり、残りの約15%の月2回以上利用する
   人が番号案内全体の約83%を占めており、著しい利用の偏在がある。

 3) 公衆電話サービス
   公衆電話サービスは、社会生活上の安全及び戸外での最低限の通話を確
  保する観点から、全国において一定数の公衆電話機が設置される必要があ
  ることから、ユニバーサルサービスであると考えられる。

  ※ NTTの公衆電話のうち、利用頻度にかかわらず、専ら社会生活の安全性
   や戸外における最低限の通信手段を確保する観点から設置される「第1種公
   衆電話」については、市街地500m四方、その他の地域1km四方に1台を
   基準として設置されている。

(3) 社会政策的基準
 1) 離島通話サービス、福祉サービス
   現在、NTT等では、国等の各種施策に対して電気通信事業者として可
  能な範囲で協力するとの立場から、利用者間の負担の公平性が損なわれな
  い範囲内で、
   ア 離島通話サービス(離島に対する通話料金の特別措置)
   イ 福祉サービス(高齢者・身体障害者等への特別措置)
  について料金の減免措置等を行っている。
   これらのサービスは、国全体の社会福祉政策などの在り方の中で検討さ
  れるべきものであり、その負担の在り方をどうするかなど多面的検討が必
  要である。
   なお、社会福祉上の特別措置に関するサービスについては、事業者のみ
  に委ねていたのでは、自ずと限界があることから、関係省庁や地方自治体
  等が連携して、サービスの一層の充実を図ることが適当である。

  ※ 離島通話サービスは、離島と通話需要等の面で緊密な関係を有する本土の
   近隣MAとの通話や同一県内にある離島MA間の通話などに隣接通話料金等
   を実際の距離によらず適用するもの。
  ※ 身体障害者への特別措置については、英国、フランス、EUではユニバー
   サルサービスとして、米国、ドイツでは国の社会福祉制度の一環として位置
   づけている。

 2) 学校、医療機関等の公共的機関への高度サービスの提供
   教育分野において、インターネットなどの情報通信サービスを積極的に
  活用していくことは、次代を担う子供たちの情報リテラシーの向上や学校
  教育の充実を図る上で極めて重要である。また、医療分野において、高速
  データ通信サービスなどを積極的に活用していくことは、例えば、辺地、
  離島等の医療機関から専門病院へ患者情報(X線画像、病理画像など)の
  伝送が可能となるなど辺地医療の高度化を図る上で極めて効果的である。
   したがって、学校、医療機関等の公共的機関への高度サービスの提供に
  ついては、社会政策の一環としてユニバーサルサービスに含めるべきとの
  考えがある。
   こうした議論とは別に、インターネット等の教育・医療分野への普及に
  ついては、国全体の通信政策や教育・医療政策の中で関係省庁が連携をと
  りながら、早急に具体化を検討していくことが必要である。

  ※ 米国では、学校、図書館及び辺地など高コスト地域の医療機関に対する高
   度サービスの提供については、ユニバーサルサービスとされ、事業者が拠出
   する基金により、本年1月からその導入の促進が図られている。
  ※ 欧州においては、ユニバーサルサービスの範囲外ではあるが、学校におけ
   るインターネットの利用に対して、電気通信事業者が特別料金を設定したり、
   助成制度が導入されている。

5 ユニバーサルサービスの範囲の拡大
(1) 上記では、現時点におけるサービスにつきユニバーサルサービスの範囲を
 論じたが、今後のマルチメディア時代に向けては、これにとどまるものでは
 なく、むしろ、技術革新や国民ニーズの高度化とあいまって、その範囲を拡
 大し、新しいサービスが次々にユニバーサルサービスに含まれていくものと
 考えられる。

(2) マルチメディア時代の新たな高度サービスの普及やその結果としてのユニ
 バーサルサービスの範囲の拡大については、基本的には市場のダイナミズム
 を活用して、事業者の創意工夫と経営努力により、サービスの充実や料金の
 低廉化が進展する中で、実現されていくことが適当である。
  しかしながら、我が国の情報化の促進や情報格差の是正などの観点から、
 必要に応じてそれを政策的にも促進していくことが望ましい。

(3) 今後、新たにユニバーサルサービスになると考えられるマルチメディア時
 代の高度サービスについて、その政策的な普及促進の在り方を考えるに当
 たって、ユニバーサルサービスには、
  1)初 期:提供地域が限定された立ち上がりの時期
  2)発展期:提供地域が拡大し、利用者も増加し全国的に普及していく時期
  3)成熟期:提供地域の拡大がほぼ完了した時期
 の3段階の発展段階があることに留意する必要がある。それぞれの段階にお
 いて、ユニバーサルサービスの範囲の拡大やその確保のための国や地方自治
 体の役割が異なる。
  なお、ユニバーサルサービスの範囲として、前述の普及率基準を採るとす
 れば、2)発展期の後期の段階になったとき、ユニバーサルサービスの範囲に
 含まれるということになろう。
 1) 初期
   初期においては、一般に需要密度の高い都市部から高度サービスが整備
  される。この段階では、ネットワークがいわゆるクリティカル・マス(臨
  界加入者集合:事業化可能となるための必要最小の加入者数規模)に達す
  ることが重要であり、需要の顕在化と情報通信基盤の整備促進が必要であ
  る。
   よって、国や地方公共団体においては、先進的情報通信アプリケーショ
  ン開発や公共的分野への先導的な導入、多額の設備投資を要する情報通信
  基盤整備への財政措置などを行うことが必要である。
 2) 発展期
   発展期においては、需要密度が低い地域への提供がなされないか遅れる
  ことが想定される。
   よって、国や地方公共団体においては、地域的な情報格差を是正する観
  点から、必要に応じて、情報通信基盤整備への財政措置などを行うことが
  必要である。
 3) 成熟期
   成熟期においては、全国的なネットワークの整備が完了した段階である
  が、一部の高コスト地域への提供が確保されないことや競争の進展等によ
  り高コスト地域への提供の確保が困難となること、身体障害等により利用
  が困難な者が生じることが想定される。
   よって、この段階においては、ユニバーサルサービス確保のための競争
  中立的な新たな枠組みを整備することやハンディキャップを有する個人を
  対象とする支援措置について検討することが必要である。

(4) 以上のように、ユニバーサルサービスの範囲の拡大には、特にその初期、
 発展期においては、国や地方自治体が積極的にサービスの普及を促進させる 
 ことが重要である。
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