参 考 資 料

  ○電気通信市場の競争の現状    ・第一種・第二種電気通信事業者数    ・サービスの収入額及び利用者数比較    ・電話サービスにおける競争の進展状況    ・NTTの地域通信事業部別収支(平成8年度)   ○ユニバーサルサービス確保のための方策   ○諸外国におけるユニバーサルサービス                目次へ戻る             

電気通信市場の競争の現状

 独占分野であった電気通信市場は、昭和60年に競争原理が導入され、その後、 電気通信事業者の新規参入が着実に増加している。  現在、21世紀の高度情報社会に向けた体制・基盤整備の改革として、「NTT の再編成」、「電気通信回線の接続の推進」、「規制緩和」が一体的に推進されて いるところである。具体的には、1)公正競争条件を整備するため、平成11年12 月までにNTTを東西の地域通信会社、長距離通信会社に再編、2)電気通信設備の 接続の円滑化のため、これまでの事業者間の協議に代わる接続ルールの策定、3)規 制緩和の推進のため、第一種電気通信事業者の過剰設備防止条項の廃止や外資規制 の撤廃、電気通信料金の原則届出制への移行が進められており、こうした一連の施 策により、今後一層の競争の進展が期待される。   ※ 相互接続の基本的ルールの策定     第一種電気通信事業者に対し、接続の義務を課すとともに、NTT地域通    信網との接続の円滑化を確保するため、指定電気通信設備を設置する電気通    信事業者に接続約款の作成等の義務が定められた。   ※ NTTの再編成    1) 公正競争の促進      長距離NTTの構造的分離及び相互接続ルールの公平な適用により、長      距離から地域への内部相互補助の防止    2) 東西NTTの分離による地域通信分野における効率化の促進 (1) 今までの競争の進展状況(平成8年度ベース)   長距離通信市場においては、一定の競争が進展しつつあるが、地域通信市  場においては、NTTが圧倒的な市場シェアを有している。   ※県間通話シェア(通話回数比) NTT:NCC 64.3%:35.7%    県内通話シェア(通話回数比) NTT:NCC 97.7%: 2.3% (2) 今後の地域通信市場での競争の進展   地域NCCやCATV事業者などの電話市場(ISDN含む。)への参入  等があり、急激に競争が進展しつつある。  ア NCCによる地域市場への参入状況    1) 地域系NCC等による固定電話・ISDNサービスの開始      地域系NCC9社が、電話又はISDNサービスを実施しており、     平成10年1月以降、順次、NTTと相互接続されている。     ※平成10年3月末:約27,000回線     ※料金:区域内通話平日昼間3分7円(ISDNの接続通話は別料金)    2) CATV電話      CATV事業者2社がCATV網を活用した電話サービスを開始し     ている。     ※平成10年3月末:約4,000回線     ※料金:区域内通話平日昼間3分8.5円(例)    3) 市内交換機接続による中継電話サービス      平成10年1月から、地域系NCCが、市内通話を含めた中継サー     ビスを開始している。     ※平成10年3月末:約120万回線     ※料金:区域内通話平日昼間3分9円    4) その他の加入電話サービス      長距離系NCCや国際系NCCにより実施されている大口利用者向     け加入電話サービスとして、利用者設備と事業者設備の間を直接専用     線で接続したり、事業者の施設内に利用者の端末設備を設置している     ものがある。     ※平成10年3月末:約25,000回線      料金:通常料金 × 0.8      そのほか、今後、業務区域を極めて限定した加入電話の開始が予定     されている。    5) 市内交換機接続による近隣料金の低廉化      従来、長距離系NCCは中継交換機(ZC)において接続をしてい     たが、平成10年4月から、需要の多い地域については市内交換機     (GC)での接続を開始しており、これに伴い、料金も「隣接・〜20     km」の近距離料金が設定されている。     ※「隣接・〜20km料金」料金:平日昼間90秒10円    6) 公専公サービス等      第二種電気通信事業者により公専公サービス、インターネット電話     が開始されている。     ※NTTへの公専接続申込(H9年9月末): 約4,500回線(64kb換                           算)     ※国内インターネット電話(H9年10月末): 約10社が提供  イ 移動体通信の躍進    平成10年4月現在で、移動電話(携帯・自動車電話)の加入数は、3,   200万加入を超え、PHSを含めると3,900万以上の加入となって   いる。        

第一種・第二種電気通信事業者数

                   (平成10年3月末現在) 第一種・第二種電気通信事業者数の表 (注) 1( )内は、国際第二種電気通信事業を行う第二種電気通信事業者数の再掲。    2 自動車電話等は、携帯・自動車電話を行う事業者のほか、船舶電話、簡易     陸上無線電話、デジタルデータ伝送等を行うものを含む。           

サービスの収入額及び利用者数比較

サービスの収入額及び利用者数比較の表 (注) 固定電話、ISDN、専用線の利用者数は国内のみのもの。     データ伝送の収入額は、回線交換・パケット交換・インターネットサービ    スの収入額を含む。     インターネットの利用者数は、NTTのOCN及び長距離系3社のイン    ターネット接続サービスのうち、ダイヤルアップ接続サービスの合計。           

電話サービスにおける競争の進展状況

電話サービスにおける競争の進展状況の表 (注) 数値は、各年度末のもの        

NTTの地域通信事業部別収支

                       (単位:億円)
  地域通信事業部 
 電気通信事業営業収益 
 経常利益 
    東京    
         8,862 
   1,300 
    関東    
        10,772 
   1,072 
    信越    
         1,731 
   ▲145 
    東海    
         5,773 
    391 
    北陸    
         1,145 
   ▲88 
    関西    
         9,127 
    601 
    中国    
         3,065 
   ▲244 
    四国    
         1,546 
   ▲230 
    九州    
         5,544 
   ▲521 
    東北    
         3,436 
   ▲470 
   北海道    
         2,329 
   ▲301 
    合計    
        53,334 
   1,363 



          

ユニバーサルサービス確保のための方策

 ユニバーサルサービス確保のための方策として、以下の5つの方式について 検討を行う。  1) 内部補助方式  2) 基金方式  3) アクセスチャージ方式  4) ハイブリッド方式  5) 税金等 1 各方式の概要  1) 内部補助方式    独占的事業者が需要密度の高い地域(都市部等)の収益を高コスト地域   (過疎地等)のサービス提供のための原資として用いることにより、同一   料金でサービスを提供する方式である。この方式では、低コスト地域の利   用者は実際の費用に比べ、高い料金を負担していることとなる。    内部補助方式のメリットとしては、   ・ 独占的事業者の内部補助で行われるため、管理費用が小さいこと    があげられる。    デメリットとしては、   ・ 需要密度の高い地域に新規参入されると高コスト地域等への補填原     資を失い、ユニバーサルサービスの提供が困難となること   ・ 独占的事業者の効率化へのインセンティブが働きにくいこと   ・ 外部からユニバーサルサービスの維持に係る費用を検証することがで     きないこと    があげられる。    従来、電気通信事業が独占体制で運営されてきた際に各国で採用されて   きた方式であるが、内部補助方式は独占を前提として成り立つものであり、   競争環境においては問題が多い。  2) アクセスチャージ方式    アクセスチャージ方式は、ユニバーサルサービスを提供する事業者(通   常は、独占的事業者)が、そのネットワークに相互接続する事業者の接続   料金にユニバーサルサービスコストを付加する方式である。    アクセスチャージ方式のメリットとしては、   ・ 独占的事業者が相互接続事業者に相互接続料を求める際に合わせてユ     ニバーサルサービスコストも付加するため、徴収コストを軽減するこ     とができること   ・ 費用情報が提供され、ユニバーサルサービスコストの補助額の決定基     準などがオープンであれば透明性は高いこと    があげられる。     デメリットとしては、   ・ ユニバーサルサービス提供事業者と相互接続する相互接続事業者のみ     にコスト負担を課すことになり、負担の公平性が確保されないこと   ・ ユニバーサルサービスコストの負担を避けるため相互接続回避のイン     センティブが生じ、ユニバーサルサービスコストが回収できなくなる     おそれがあること   ・ 費用算定、補助額の決定、費用徴収のための管理費用が必要であるこ     と    があげられる。    アクセスチャージ方式は、電気通信市場にネットワーク上のボトルネッ   クがあり、それを独占的事業者が保有していることを前提として成り立つ   ものであり、競争の進展に伴い、ボトルネックを介さない通信が成立する   ようになると負担の公平性が確保されなくなる。    現在、フランスにおいて一部のサービスについて期間限定的に採用され   ている。また、EUがユニバーサルサービスの確保の方式の一つとして推   奨している。  3) 基金方式    基金方式は、ユニバーサルサービスの提供事業者に対して、その提供に   要したコストを、各事業者が予め設定された基金に拠出することにより補   助する方式である。    基金方式のメリットとしては、   ・ アクセスチャージ方式と異なり、コスト回収が相互接続の有無によら     ないため、ユニバーサルサービスコストの事業者間の負担の公平性を     確保することができること   ・ 費用情報が提供され、ユニバーサルサービスコストの補助額の決定基     準などがオープンであれば、基金という第三者機関を通じてユニバー     サルサービスの負担額の徴収や補助金の配分が行われるため、透明性     が高いこと    があげられる。    デメリットとしては、   ・ 費用算定、補助額の決定のための費用や費用徴収、補助金配分のため     の管理機構が必要なこと   ・ 特に、管理機構については、補助金配分額が少額の場合には不経済な     システムとなるおそれがあること    があげられる。    基金方式は、負担額の徴収や補助金の配分が第三者機関によること、相   互接続の有無によらないことから、透明性や事業者間の負担の公平性が高   く、競争環境下に適したシステムである。    現在、米国、フランスなどで導入されており、EUにおいてもユニバー   サルサービスの確保の方式の一つとして推奨している。  4) ハイブリッド方式    ハイブリッド方式は、内部相互補助方式と外部相互補助方式を併用する   方式である。    ドイツでは、ユニバーサルサービスが適切に提供されなかったりそのよ   うな提供が期待されず、提供事業者から補助金なしでユニバーサルサービ   スの提供が表明されない場合には、競争入札により最小の補償額を提示し   た事業者にユニバーサルサービス提供義務を課すこととされている。    ハイブリッド方式のメリットとしては、   ・ 競争があまり進展していない段階においては現実的な方式であること    があげられる。    デメリットとしては、   ・ ユニバーサルサービスの適切な確保に問題が生じるおそれが発生する     までは、ユニバーサルサービス提供事業者のみがその提供コストを負     担するため、事業者間の負担の公平性が確保されないこと    があげられる。    なお、地域間格差の小さいドイツにおいては、このようなユニバーサル   サービス確保の新しい方式を制度化したが、この制度が発動することは当   分ないものと考えられているようである。  5) 税金等    ユニバーサルサービス確保のため、税金等から事業者へ補助金を交付す   る方式である。    この方式は、特別の徴収コストがかからないことやユニバーサルサービ   ス確保を過疎地等の地域対策、高齢者・身体障害者等の社会福祉政策の一   環と捉えれば、電気通信事業者ではなく、国等が負担すべきものとの考え   方に調和する。    しかしながら、ネットワークサービスは、送り手と受け手があって初め   て成立するサービスであり、長距離通信サービスや移動体通信サービスや   一部地域に限定した地域通信サービスを提供する事業者にとっても、高コ   スト地域のネットワークとの接続がなければ、その加入者に対して満足で   きるサービスを提供することができないことから、高コスト地域における   サービス提供を如何に確保していくかという課題は、当該地域でサービス   提供している事業者だけのものではない。    よって、電気通信の自由化により事業者間の競争が進展し、このために   高コスト地域におけるユニバーサルサービス確保が困難になるのであれば、   これは、受益者負担の原則から、電気通信の自由化によって便益を得た事   業者やユニバーサルサービス提供事業者のネットワークに接続することに   よって便益を得ている事業者が、そのコストを負担することには一定の合   理性があるものと考えられる。また、現実の問題として、従来、税金等の   補助が不必要であったにもかかわらず、競争の進展によって税金等の補助   がなければユニバーサルサービスが確保できなくなることについて、国民   の理解を得ることは、困難であると考えられる。    ただし、我が国の情報化の促進や情報格差の是正などの観点から、ユニ   バーサルサービスの発展段階のうち初期又は発展期におけるサービスにつ   いては、国や地方自治体などが積極的にサービスの普及を促進させること   が適当である。また、過疎地等の地域対策、高齢者・身体障害者等への支   援については、本来、国全体の社会福祉政策などの在り方の中で検討され   るべきものであり、事業者のみに委ねていたのでは、自ずと限界があるこ   とから、関係省庁や地方自治体等が連携して、支援の充実を図っていくこ   とが適当である。 2 各方式の検討   内部補助方式については、電気通信市場の独占を前提にして成立するもの  であり、競争環境下においては高コスト地域への補填原資を失うことから、  競争の進展に対応できるシステムではない。アクセスチャージ方式について  は、ユニバーサルサービス提供コストの負担を相互接続事業者のみに課すこ  とになり競争中立性の確保の観点から問題がある。内部補助と外部補助のハ  イブリッド方式については、競争があまり進展していない過渡的なものであ  るため、我が国のように既に競争が本格化しつつある状況においては適切な  方式とはいえず、また、税金等で補填することについては、国民の理解を得  ることが困難であり適当ではない。   これらの方式に比べ、基金方式については、事業者間の負担の公平性が最  も確保された透明性の高い方式であり、競争の進展に適した方式であるとい  える。   よって、以上の検討から基金方式を基本として、ユニバーサルサービス確  保の具体的な方策の検討を行っていくこととする。   なお、検討に当たっては、基金方式を基本としつつも、我が国の競争の進  展状況やユニバーサルサービスコストの実際の算定額などを踏まえた上で検  討を行うことが適当である。       

諸外国におけるユニバーサルサービス

 
米国
英国
ドイツ
フランス
EU
ユニバーサルサービスの定義
電気通信の技術とサービスの進歩
を考慮して、委員会が定期的に設
定すべき向上する水準の電気通信
サービス (1996年電気通信法第
254条)
[設定に当たり考慮すべき事項]
・教育、公衆衛生又は公共の安全
 にとって不可欠であること
・大多数の住宅加入者により利用
 されていること
・電気通信事業者によって公衆電
 気通信網により提供されている
 こと
・公共の利益、便益及び必要性に
 適合すること
(1)英国全域において、妥当な要請
 に基づき、利用可能な料金で全
 ての人が
 受けることができる電気通信
サービスの水準と品質OETEL声明
文書「ユニバーサル電気通信サー
ビス」(1997年7月))
(2)貿易産業大臣及びOFTEL長官は
 以下の義務を有する。
・英国全域において、実行不可能
 な場合を除き、緊急サービス、
 公衆電話サービス、番号案内
 サービス、船舶サービス、ルー
 ラル地域サービスを含む全ての
 妥当な要請を満たす電気通信
 サービスの提供の確保。
・上記サービス提供事業者が提供
 資金を賄えるようにすること。
 (1984年電気通信法第3条)
一定の品質が定義され、かつ、居
住地あるいは勤務地に関りなく、
全てのユーザーが利用可能な料金
で利用できるような公衆向け電気
通信サービスの最少の組み合わせ
(1996年電気通信法第17条)
利用可能な料金で一定の品質を有
する電話サービスの公衆への提供
(1996年電気通信法第L35-1条)
その地理的位置に拘束されること
なく、特別の国内状況を踏まえ、
アクセス可能な料金により、すべ
ての利用者に利用可能な本指令で
定めるサービス(「音声電話への
ONP適用と競争環境における電気
通信のユニバーサルサービス指令
(98/10/EC)」第3条)
ユニバーサルサービスの範囲
・公衆交換網への音声級アクセス
・一定時間の市内通話
・プッシュホン機能又は同等な
 サービス
・単独電話サービス
・緊急サービス及び高度な緊急
 サービスへのアクセス
・オペレータ・サービスへのアク
 セス
・長距離サービスへのアクセス
・番号案内へのアクセス
・低所得者向けの長距離通話停止
 /制限サービス
・学校、図書館、医療機関への高
 度サービスの提供
・音声電話、低速度データ通信、
 ファックスが利用可能な固定網
 への接続
・公衆電話サービスへのアクセス
・緊急通報サービスへの無料アク
 セス
・料金明細、選択的通話発信規制
・オペレータ・サービスへのアク
 セス
・番号案内へのアクセス
・低所得者向けの発信通話禁止
 サービス
(1)デジタル交換網と3.1kHzの帯域
 を有するアクセスラインを通じ
 て提供されるISDN的サービスを
 備えた音声電話サービス
(2)(1)と直接関連する番号案内サー
 ビス
(3)(1)と直接関連する電話番号簿の
 発行
(4)(1)と直接関連する公衆電話機の
 設置
(5)専用線ONP指令(92/44/
 EEC)の別表2に規定されてい
 る電気通信設備の提供
・通話伝送サービス(加入者から
 の発信及び加入者への着信)
・印刷及び電子的な形式による情
 報サービス及び番号案内サービ
 ス
・公共用地に設置された公衆電話
 の全国的な提供
・無料の緊急通話の伝送
・低所得者及びハンディキャップ
 をもつ人々への特別措置
・固定地点における、固定公衆電
 話網への接続と音声電話サービ
 スへのアクセス(具体的には、
 音声、ファックス及びデータ通
 信をサポートする国内及び国際
 発着サービス)
・番号案内サービス(印刷又は電
 子形式)
・公衆電話サービス(無料緊急
 サービスの提供を含む)
・障害や特別な社会的ニーズをも
 つ利用者に対する特別措置
・オペレータ・サービス
・無料緊急通報サービス
ユニバーサルサービスを提供すべ
き事業者
(1)基本サービス
 電気通信法の基準を満たす適格
電気通信事業者(移動体事業者を
含む)
[適格電気通信事業者]
・公衆電気通信事業者であること
・指定された業務区域全体でユニ
 バーサルサービスを提供するこ
 と
・ユニバーサルサービスが利用で
 きることと料金を広告すること
(2)学校、図書館、医療機関への高
 度サービス
・補助を受ける資格を有する学校、
 図書館、医療機関に高度サービ
 スを提供できる電気通信事業者
・BT(ハル市以外)、キングス
 トンコミュニケーションズ(ハ
 ル市のみ)
・他の電気通信事業者(緊急通報
 サービス及び番号案内サービ
 ス)
当該地域で当該サービスの4%以
上の売上高シェアを有する免許事
業者又は競争制限法第22条で規定
する支配的事業者
[支配的事業者の要件]
・競争相手が存在せず、又は本質
 的な競争にさらされていない場
 合
・競争相手に比して圧倒的優位を
 保持している場合
・複数の企業間に本質的な競争が
 なく、上記のいずれかの要件を
 満たす場合
[ユニバーサルサービスを提供す
べき事業者の決定手順]
(1)監督官庁は、ユニバーサルサー
 ビスの適切な提供が確保されな
 いか、確保されないおそれのあ
 る地域とサービスを官報で公告。
(2)1ケ月以内で提供を申し出る事
 業者がない場合、補助スキーム
 が発動。
(3)監督官庁は、1又は複数の支配
 的事業者にユニバーサルサービ
 ス提供を命ずることができる。
(4)ユニバーサルサービスの提供を
 命じられた支配的事業者が、補
 償額を請求することが予想され
 る場合には、監督官庁は、上記
 にかかわらず、入札を実施し、
 最少の補償額を提示した事業者
 にユンバーサルサービス提供を
 命じることができる。
(5)入札は、ユニバーサルサービス
 提供を命じることができない場
 合にも実施される。
(1)全国的な提供を受諾し、それを
 保証する能力を有する事業者・
 フランス・テレコム
(2)無料の緊急通話の伝送に関して
 は、全ての公衆電話網提供事業
 者事業者の決定は各加盟国が行
 う。
事業者の決定は各加盟国が行う。
ユニバーサルサービス提供の費用
算定方法
(1)基本的サービス
・現在は、各地域会社の会計デー
 タから加入者回線コストを算出
 し、全国平均コストの15%を上
 回るコストの一部について基金
 から補助。
・1999年1月1日から都市部につい
 て、将来的な経済的費用(長期
 増分費用+将来的な共通費)と
 基準値との差額の25%(州際管
 轄権の範囲)により算定。基準
 値の水準は、全米平均収入とす
 ることをFCCは提案。農村部に
 ついては、2001年1月1日以降に
 導入。
 現在、将来的な経済費用算定モ
デルについて1998年8月を目途に
検討中。
(2)学校、図書館、医療機関への高
 度サービス
・学校、図書館、医療機関に対す
 る割引料金や特別措置のための
 費用
長期増分費用からサービスを提供
しないことにより失われる収入及
びユニバーサルサービス提供によ
り得る便益を控除した額。
ユニバーサルサービス提供により
得る便益は以下のとおり。
・ライフサイクル効果
 現在、不採算の顧客であっても、
将来的には経済的になりうる便益
・偏在性
 転居した顧客が、そこに競争事
業者がいるとしても、BTが提供
していることを知っているためB
Tを選択する便益
・ブランド向上・企業評価
(算定方法については、1999
年に見直し予定)
効率的なサービス提供に係る長期
増分費用(資本に対する適切な報
酬を含む)が当該サービスに関連
する収入を上回る場合の、その差
額に相当する額。
収入は以下の料金を基づき算定。
・音声電話サービス
 人口10万人以上の都市の郊外の
住宅用の平均的な支払い価格
・音声電話に直接関係するサービ
 ス
 効率的な提供費用に基づく価格
・専用線ONP指令別表2の電気通信
 設備の提供
 規制官庁の認可料金
ただし、競争入札の場合は入札額。
利用可能な最善の技術を基礎とし
た投資費用・加入者管理運営費
用・ネットワーク費用から、発着
信収入・ネットワークに関連する
固定収入・通話に関連する間接収
入を控除して算定。
収入は、関連する加入者の月額料
金に基づき算定。
効率的経営に基づく増分費用(投
下資本に対する適正な報酬を含
む)から収入を控除して費用(純
費用)を算定し、さらにユニバー
サル・サービス提供事業者である
ことに起因する無形の便益を控除
して算定。
収入には以下のものが包含される。
(1)不採算ユーザーからの加入料、
 機器レンタル料、通話料収入
 (直接的収入)
(2)不採算ユーザー宛にかけられた
 通話に係る収入(間接的収入)
(3)不採算ユーザーに対するサービ
 ス提供を取りやめた場合に、当
 該ユーザーが職場等で電話を利
 用することにより得られる収入
 (代替通話収入)
ユニバーサルサービス提供事業者
であることに起因する無形の便益
は以下のとおり。
・ブランド効果
・偏在性の便益
・ライフサイクル効果(現在、不
 採算顧客であっても、将来は採
 算顧客となる)
・電話利用データによるマーケテ
 ィング上の便益
費用のファイナンスの方法
基金方式
・基金の管理機関は中立的第三者
 機関、当初、NECA(全米電気通
 信事業者協会)であったが、
 NECAの子会社USAC(ユニバーサ
 ルサービス運営法人)へ移管。
・基本サービスの高コスト地域補
 助については、1998年1月1日か
 ら従来の州際事業者の優先接続
 回線数に基づく費用負担算定か
 ら、国際・州際サービス収入額
 に基づく費用負担算定に変更。
・学校、図書館、医療機関への高
 度サービス提供補助については、
 国際・州際・州内サービス収入
 額に基づき費用負担を算定。
・学校・図書館、医療機関補助の
 ための業務手続き処理組織であ
 るSLC(学校・図書館公社)、
 RHCC(過疎地医療機関公社)は
 管理運営コスト縮減のため、
 1999年1月1日にUSACへ統合予定。
事業者内部で負担。
当該サービス市場において4%以
上の売上高シェアを有する免許事
業者から、その収入額に比例して
監督官庁が割り当てたユニバーサ
ル・サービス負担金を徴収するこ
とで手当する。
アクセスチャージへの付加金方式
及び基金方式
(1)アクセスチャージへの付加金方
 式
 料金体系の不均衡及び料金の地
理的平準化コストに適用。
 総額をもとに単位時間当たりの
負担額を定め、アクセスチャージ
に付加する。
 料金体系の不均衡の解消次第ア
クセスタージへの付加金方式は廃
止(遅くとも2000年12月31日ま
で)され、料金の地理的不均衡コ
ストは基金方式に統合。
(2)基金方式
 情報サービス・番号案内サービ
スコスト、公衆電話コスト、社会
福祉上の特別措置コストに適用。
 総額をトラヒックに応じて比例
配分し、「ユニバーサルサービス
基金」へ拠出。基金は、預金供託
金庫が管理・運営。
ユニバーサルサービス基金または
アクセスチャージへの付加金制度
公衆電気通信網のトラヒックに比
例して拠出。
 原則として、2000年1月1
日までに料金体系の不均衡を解消。
費用を拠出する事業者
全ての州際通信サービス提供事業
者(電話サービス、移動体電話
サービス、ページングサービス、
着信無料サービス、900番サービ
ス、専用線サービス、テレックス
等の提供事業者を含む)
外部補助システムなし(基金設立
については1999年に見直し予
定。)
当該サービス市場において4%以
上の売上高シェアを有する免許事
業者
費用の使用目的により負担者が異
なるが、負担者は以下のとおり
(1)電話サービスを提供する公衆通
 信事業者
・料金体系の不均衡及び地理的平
 準化コスト、情報サービス・番
 号案内サービスコスト、公衆電
 話コスト、社会福祉上の特別措
 置コスト
(2)電話サービス以外の提供を行う
 公衆通信事業者
・情報サービス・番号案内サービ
 スコスト、公衆電話コスト、社
 会福祉上の特別措置コスト
(3)移動体通信事業者
・地理的平準化コスト、情報サー
 ビス・番号案内サービスコスト、
 公衆電話コスト、社会福祉上の
 特別措置コスト
公衆電気通信網提供事業者及び公
衆に対する音声電話サービス提供
事業者以下の事業者は対象外
・企業内ネットワークあるいは閉
 域的な利用グループにサービス
 提供を行う専用線事業者
・データ通信、付加価値データ・
 サービス(Eメール)などの提供
 事業者・テレビ会議、ボイス
 メール等のサービス提供者
政府による補助の有無
低所得者層に対するサービスの州
負担分について、一部の州で税収
入から拠出。
政府による補助はない。
通信法上の規定はなし
不明(おそらく無い?)
政府による補助は、政府補助に関
するEC条約の規則(第90条、第
92条〜第94条)に整合する方法で
実施されなければならない。また、
ユニバーサルサービス責務の純費
用を越えてはならない。
政府による直接的な支援には、特
別な機器の費用あるいは障害を持
つ利用者に対する割引料金の費用
を賄うために、特定の事業者に対
しあるいは直接利用者に対し、社
会保障予算から拠出される支援が
含まれる。
社会的弱者(身体障害者、低所得
者)に対する特別措置
(1)低所得者に対する特別措置
ユニバーサルサービス基金により
補助。
・ライフライン・サービス
 月額固定料金(加入者回線料)
に対する補助
・リンクアップ・サービス
 新規架設料に対する補助
(2)身体障害者に対する特別措置
ユニバーサルサービスの枠外であ
るが、電気通信法第255条では
「電気通信サービス事業者は、容
易に達成可能な場合には障害を持
つ個人がサービスにアクセスでき、
これを利用可能としなければなら
ない」と規定。また、障害を持つ
米国民法では、リレーサービス等
の提供規定があり、提供コストに
ついては、州際事業者が拠出する
電気通信リレー基金が設立されて
いる。
希望により発信通話制限サービス
を住宅用ユーザに提供。
身体障害者に対するユニバーサル
サービスは、1995年身体障害者差
別防止法の枠組みで検討すべきと
されていたが、1998年2月に具体
的な施策策定のための諮問手続き
を開始。諮問文書では、行動規範
を作成し、それに従うことを免許
条件とすることとしている。具体
的内容は以下のとおり。
・電話帳を利用できない顧客に対
 する番号案内の提供
・優先的な故障修理サービス
・テキスト・リレーサービスの提
 供
・聴覚障害者への特殊電話機の提
 供
など。
なお、提供コストは事業者負担と
されている。
通信法上の規定はなし。これらの
分野は社会保障制度によりカバー
される予定。
但し、電気通信に関する消費者保
護法第19条において、回線切断は
料金の支払が1500DMを越える場
合のみ可能であるとしている。
ドイツ・テレコム、従来より年配
者や低所得者に対していくつかの
特別サービスを提供(障害者、学
生、低所得者に対する基本料金の
減額等)。
いくつかの自治体においては、社
会保護を受けている人々に対して
無料電話サービスを提供(この場
合、外部への通信は医療支援、警
察など緊急の場合に制限)。
(1)低所得者向けの特別料金
 65歳以上で連帯国家基金給付
対
 象となる高齢者の基本料免除。
(2)料金滞納者への特別措置
(3)低所得者への発信制限サービス
なお、事業者自らが身体障害者向
けの特別料金サービスを提供する
場合は、その提供コストを基金拠
出額から控除することができる。
障害や特別な社会的ニーズをもつ
ユーザーに対する特別措置の実施
を規定
学校、医療機関等に対する支援
ユニバーサルサービス基金により
補助。
(1)学校、図書館への補助
・支援対象は小・中・高等学校
 (公立・非営利の私立)及び図
 書館
・支援内容は、以下のサービスに
 ついて、20〜90%の割引を適用
 ・通信サービス(音声・デー
  タ)
 ・インターネット接続
 ・構内通信網の設置・維持
・割引率は、生徒の家庭の裕福度、
 都市部・農村部の別による。
(2)医療機関への補助
・支援対象は、農村地域の公的医
 療機関及び非営利医療機関
・1.544Mb/までの帯域の回線を都
 市部と同等の料金で提供
・インターネット事業者への無料
 アクセス
 無料アクセスを受けられない医
療機関は、インターネット接続の
ために、
 ・30時間/月の接続通話料金
 ・180ドル/月
 のいずれか少ない方の受取が可
能
ユニバーサルサービスの枠外で、
OFTELとBTの合意により、BT
が学校向け特別料金を設定。
・年額445ポンド(約98,000円)
 で電話線アクセス
・年額790ポンド(約173,800円)
 でISDNアウセス(128kb)
 (ISDN企業向けは、約2000ポン
ド(約44万円))
ユニバーサルサービスの枠外で、
連邦政府及びドイツ・テレコムの
資金拠出により、申請のあった学
校に対し、パソコンの配備、ISDN
及びインターネット接続について
補助金を交付。また、通信料金の
免除やソフトウェアの無償提供等
を実施。
ユニバーサルサービスの枠外で、
フランス・テレコムが公立・私立
の初等・中等学校向けに、イン
ターネット接続の特別料金を設定。
「欧州連合における電気通信のユ
ニバーサルサービスに関する第一
次調査報告」において、学校に対
するインターネットサービスにつ
いて、特別料金で事業者が提供す
ることを勧奨するよう、各国主管
庁に要請する方針であることを明
らかにした。
実施時期等
ユニバーサルサービス基金は、高
コスト地域等への補助のため、
1986年に設立。
学校、図書館、医療機関に対する
補助制度は1998年1月1日から実施。
[補助額]
・高コスト地域への補助額
 15億2500万ドル(1998年)
・低所得者補助額
 ライフライン:1億4800万ドル
(1998年)
 リンクアップ:1800万ドル
(1998年)
・学校、図書館への補助
 22億5000万ドル(上限)(1998
年)
・医療機関への補助
 4億ドル(上限)(1998年)
1997年7月にOFTELよりユニバーサ
ルサービスに関する声明文書が発
出され、1997年下期〜1998年上期
にかけてユニバーサルサービスに
ついてBT等の事業者の免許条件
が改定された。
OFTELは検討の結果、BTに生じ
る便益がユニバーサルサービスコ
ストを上回るので直ちに基金を設
立する必要性がないと結論。
OFTELでは、ユニバーサルサービ
スの水準、コスト算定、費用負担
制度について、1999年に再度見直
すこととしている。
制度整備はされたが、現在、補助
システムは発動されていない。
・1998年から実施。
・1998年のユニバーサルサービス
 コストの事前評価額は60億4300
 万フラン。
・最終額は、1999年に必要な数値
 が出揃った後に決定。事業者に
 負担金は
 その後最終的に決定し、調整さ
れる。
[1998年の事前評価額]
(1)料金体系の不均衡コスト
 22億4200万フラン
(2)料金の地理的平準化コスト
 27億1700万フラン
(3)社会政策上の特別措置コスト
 9億2100万フラン
(4)公衆電話コスト
 1億6300万フラン
(5)情報サービス、番号案内サービ
 スコスト
 収入を考慮してゼロ
「音声電話へのONP適用と競争環
境における電気通信のユニバーサ
ルサービス指令(98/10/EC)」を
1998年2月に採択。
EUでは、同指令を遅くとも1999
年12月31日までに見直すこととし
ている。

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