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発表日  : 1998年11月12日(木)

タイトル : 接続料の算定に関して講ずる措置−「接続料の算定に関する研究会」報告書及びそれを踏まえ講ずる措置−





 郵政省では、平成10年3月の電気通信審議会答申「日本電信電話(株)の指定電
気通信設備に係る接続約款の設定の認可について」において同審議会から郵政省に
対する要望として答申に付記された事項についての検討に資するため、平成10年
4月から「接続料の算定に関する研究会」(座長:齊藤忠夫 東京大学大学院工学
系研究科教授)を開催してまいりました。
 同研究会報告書案については本年9月に意見募集を行ったところですが、寄せら
れた意見を踏まえ、報告書が取りまとめられました。その内容及び寄せられた意見
の概要とそれに対する研究会の考え方は別紙1のとおりです。
 また、郵政省は同報告を受け、別紙2のとおり日本電信電話株式会社にあてて文
書を発出した他、所要の措置を講ずる予定です。








                  連絡先:電気通信局電気通信事業部業務課
                     (担当:藤野課長補佐、中尾係長)
                  電 話:03−3504−4831


別紙 1



            接続料の算定に関する研究会

                 報告書

                            平成10年11月6日


はじめに

 我が国における接続制度については、平成8年12月の電気通信審議会答申「接
続の基本的ルールの在り方について」を踏まえ、接続条件の透明性を確保し、NT
Tの地域電気通信網との接続をはじめ電気通信事業者間の多様な形態での接続を推
進するため、平成9年6月に電気通信事業法が改正され、平成9年11月に施行さ
れた。
 これを受け、平成9年12月に、接続に必要不可欠な電気通信設備(指定電気通
信設備)として、NTTの地域電気通信網が指定され、平成10年3月、NTTの
指定電気通信設備に係る接続約款の設定が認可された。

 この接続約款の設定の認可に当たっては、電気通信審議会の答申において、郵政
省において次の(1)〜(5)の措置が講じられるよう配慮することが要望されている。
(1) 自己資本利益率の適切な水準の在り方について、次回の接続料の改定時までに
検討し、結論を得ること。
(2) 新たな接続形態である端末回線伝送機能の利用におけるMDF接続に係る諸問
題について検討し、早急に結論を得ること。
(3) 預かり保守契約に基づく負担額の算定における管路等の費用の算定方法につい
て、次回の接続料の改定時までに検討し、結論を得ること。
(4) 網改造料に係るソフトウェアの開発費が低廉化する方策について、次回の接続
料の改定時までに検討し、結論を得ること。
(5) 多様な接続料金の導入について検討し、早急に結論を得ること。

 上記の審議会の要望を受け、郵政省において措置すべきとされた事項について検
討を行なうために、平成10年4月から本研究会が開催され、それぞれの事項につ
いて適宜関係電気通信事業者からの意見の聴取等を行いつつ検討を行ってきた。本
報告書は、その結果を取りまとめたものである。



                  目次



検討事項I 自己資本利益率の水準


検討事項II MDF接続


検討事項III 預かり保守契約に基づく負担額の算定における管路等の費用の算定方法


検討事項IV 網改造料に係るソフトウェアの開発費が低廉化する方策


検討事項V 多様な接続料の導入




報告書案へ寄せられた意見の概要とそれに対する考え方


(参考)  接続料の算定に関する研究会構成員名簿


検討事項I 自己資本利益率の水準

 接続料における自己資本利益率の水準について、平成10年3月20日電気通信
審議会答申により措置が求められた事項は次のとおりであった。

(1) 次年度以降の自己資本利益率について、次回の接続料の改定時までに、他の公
益事業や諸外国の事例等を調査の上、その適切な水準の在り方について検討し、結
論を得ること。

1 現状

 NTTの接続約款の設定に際して、接続料における自己資本利益率の算定は、
「NTTと同様の格付会社、電気事業、ガス事業及び鉄道事業の自己資本利益率の
過去5年の平均(各社の有価証券報告書等より。)」と、「電気通信役務に関する
料金の算定に用いている自己資本利益率(日本銀行『主要企業経営分析』によ
る。)」とが勘案され、後者の数値が採用された。

2 他の公益事業や諸外国の事例を参考とした検討

 料金等における自己資本利益率の水準の決定に際しては、設備投資に係る調達コ
ストを適正な範囲で賄えるような水準とすることを基本とするべきである。これに
ついては、電気・ガスといった公益事業の料金や、英国におけるBTの接続料の決
定といった事例を見ると、事業の安定性とリスクとを織り込んだ指標を用いてその
自己資本利益率とされることがある。NTTの接続料の算定についても、基本的に
同様な考え方を勘案することには、一定の合理性が認められる。

 具体的には、資本資産評価モデル(CAPM:Capital Asset Pricing Model)において
採られている考え方を応用・適用する考え方が存在する。このモデルでは、資産市
場で成立する一般均衡状態において、合理的な期待形成を行う投資家のポートフォ
リオは市場ポートフォリオと無リスク資産との組み合わせになり、その期待収益率
は次の式で示される。

     E(Ri) = Rf + β [E(Rm) - Rf]
         Rm : 市場ポートフォリオのリターン
         Rf : 無リスク資産のリターン
         β : 対市場ポートフォリオの感応度

 ここで得られる期待収益率の算出方法を、NTTの接続料の算定における自己資
本利益率の設定にそのまま適用することの是非については、なおその諸要素につい
て吟味していく必要があるが、接続料における自己資本利益率の設定に際してこの
考え方に基づき算出されたものを勘案材料の一つとすることは、事業の安定性とリ
スクとを織り込んだ指標を用いて客観的な基準を設定しようというものであり、適
当と認められる。具体的には、次の算定式による算定結果E(期待自己資本利益率)
を勘案することとする。

  E = (無リスク金融商品の平均金利) + β [(他産業における主要企業の
     平均自己資本利益率) - (無リスク金融商品の平均金利)]

 なお、この式による算出の際には、次のとおりとする。

(1) 算定期間

 算定期間については、新サービスの利用者向け料金の算定期間が5年間であるこ
と等から、原則として直近の5年間とし、各年度について算定の上、その平均値を
採ること適当と考えられる。但し、経済実勢を踏まえて適切に対応できるようにす
るため、算定期間について柔軟に取り扱うことも検討する必要がある。

(2) β値

 β値の設定については、主要企業の株式価格の変化に対するNTT株式の感応度
を元にβ値を求める、という考え方がある(この場合、その値がNTTの長距離通
信部門を含む形で計測されることとなるので、例えば他産業の例を参考とするなど、
適切な調整が行われることが必要である。)一方で、主要企業の自己資本利益率の
変化に対するNTTの自己資本利益率の感応度を用いてβ値を算出するという考え
方もある(この場合、地域通信事業部の実績自己資本利益率を用いることができる
が、主要企業の自己資本利益率と当該利益率との間に有意な相関性が認められるか
の吟味が必要になる)。NTTの接続料の算定に際して、現時点でこの両者のうち
のどちらか一方を採るべきであるとするには更に検討が必要であり、次回の再計算
においては、この両者双方について期待自己資本利益率を算定の上、双方の算定結
果を勘案の対象とすることが適当である。(算定式に用いる数値の在り方について
は、本年度の設定における経験を踏まえて、更に検討していく必要がある。)

3 利用者向け料金における自己資本利益率との関係

 利用者向け料金において認可申請時に採られた自己資本利益率を、接続料の算定
に際して、その自己資本利益率の設定に際して勘案すべきである、という主張があ
る。これは現行の郵政省令においても採られている考え方であるが、接続料に係る
事業リスクが、利用者向け料金に係るものに比べて一般には低くなると考えられる
ことから、一定の合理性が認められるところである。

 現時点においては、利用者向け料金は、県内・県間別に設定されている訳ではな
く、また、実績ベースで算定されるものでもないために、その自己資本利益率を直
ちに接続料の自己資本利益率と比較する対象とすることは、精緻さを欠くきらいが
あるが、接続料における自己資本利益率の設定に際してこれを勘案材料の一つとす
ることは適当と認められる。

4 結論

 当面は、上記のような事業の安定性とリスクとを織り込んだ指標を勘案するとと
もに、利用者向け料金において認可の申請時に採られた自己資本利益率をも勘案し
てその値を決めるものとする。
 今後は更に、具体的な数値等の蓄積及び検証を行い、更なる再計算時に際して見
直しを行っていくことが必要である。なお、更なる見直しを行うまでの間、利用者
向け料金に上限規制が導入された後は、利用者向け料金において認可の申請時に採
られた自己資本利益率に代えて、基準料金指数の算出の際に利用者向け料金の自己
資本利益率が勘案されるのであれば、これを勘案の対象として用いることが考えら
れる。


検討事項II MDF接続

 いわゆるMDF接続について、平成10年3月20日電気通信審議会答申により
措置が求められた事項は次のとおりであった。

(2) 新たな接続形態である端末回線伝送機能の利用におけるMDF接続に係る技術
面、運用面、制度面の諸問題について、電話接続、ISDN接続等の場合も含め、
現在、実証実験等を行い研究中のxDSL接続の検討と併せて検討し、早急に結論
を得ること。

1 現状

 MDF接続については、これを検討している事業者とNTTとの間で、約款化や
協定締結に向けて定められている手続きに則った協議が十分に行われているとは言
い難く、MDF接続の具体的態様や使用法についても明確な姿が示されていないた
め、必ずしも議論が噛み合わない面がある。
したがって、まずこの点を明らかにすることにより課題の所在を明確化することが
必要である。

 また、MDF接続には、xDSL接続と共通する課題があると思われるので、M
DF接続の検討を深めていく上では、xDSLの実験結果も踏まえる必要がある。

 なお、米国ではxDSLの実験・試行やサービス提供も行われているが、例えば
ベル・アトランティックのxDSLについての試行サービスにおいては、インター
ネットプロバイダに対して帯域貸しが行われているが、これは必ずしもMDF接続
によらない形態で行われており、その実態の把握に努める必要がある。

 以上を前提として、ここでは、MDF接続について、当面の課題について、以下
のとおり整理した。

2 技術面、運用面の問題について

 MDF接続の検討に当たっては、技術面の問題として、雑音や瞬断等の発生を回
避する電気的・技術的条件について、また、運用面の問題として、接続事業者にお
いてオペレーションを行う際の条件や、利用者に向けて提供されるサービスの在り
方、そして、光化等のアクセス網の高度化を阻害することのないようにする在り方
等、経営面も含め、十分な条件整備が行われる必要がある。

 現在、平成10年2月20日から同年12月10日までの日程でxDSLのフ
ィールド実験が実施されているが、これらの問題は、xDSL接続の実現の検討に
おいても結論を出していく必要がある問題であり、その検討と併せて検討し、早急
に結論を得る必要がある。

3 制度面の問題について

 MDF接続について、この接続形態を採るときには、NTTとして保守・運用を
行う設備を一切使用しないため、NTTにおいて提供することとなる設備が「電気
通信設備」に該当せず、制度面の問題があるのではないか、との主張が見られた。
これについては、電気通信事業法第2条における定義に照らし、NTTにおいて提
供することとなる設備が「電気通信設備」に該当しないとは言えないので、技術面、
運用面の問題について十分な解決が図られれば問題があるとは言えない、との結論
が得られた。

 なお、接続事業者の要望によっては、現在未だ実現されていない端末回線接続に
ついても、適宜その条件について接続当事者間において、手続きに則した十分な協
議が行われるべきである。


検討事項III 預かり保守契約に基づく負担額の算定における管路等の費用の算定方法

 預かり保守契約に基づく負担額における管路等の費用算定について、平成10年
3月20日電気通信審議会答申により措置が求められた事項は次のとおりであった。

(3) 預かり保守契約に基づく負担額の算定における管路等の費用について、次回の
接続料の改定時までに、他の公益事業や諸外国の事例等を更に調査の上、その算定
方法について引き続き検討し、結論を得ること。

1 現状

 預かり保守契約に基づく負担額の算定における管路等の費用については、現在は
再取得原価ベースで算定されている。

2 他の公益事業や諸外国の事例等を参考とした検討

 他の公益事業について見ると、空き管路の賃貸借一般について、再取得原価を考
慮する事例も存在する。ただし、ボトルネック設備の賃貸借についても、管路等の
一般の賃貸借と同様に考えることで十分であるかには疑問があり、ボトルネック性
に着目した、更に別途の配慮が必要と考えられる。

 諸外国においては、管路等設備の賃貸借について、ルール化が図られている事例
もあり、その中には、賃貸借料について、米国のように(正味)帳簿価額を採用す
る考え方が採られている事例も見られる。

 ボトルネックとなる管路等設備の範囲を考えるに当たって、そのボトルネック性
は、当該設備について代替手段がない、若しくは代替手段を採ることが事実上困難
であることをもって判断されるべきである。その範囲を厳密に画定することは困難
であるが、少なくとも、接続点の置かれているNTTの通信用建物、そこから最も
近いかそれに準じた地点のマンホールまでの管路又はとう道についてはこれに該当
すると考えられる。ボトルネックとならない管路等設備の賃貸借については、公益
性の観点から現在の在り方について問題が無いか、別途の検討の対象となると考え
られる。

 NTTの利用者向け料金は、基本的に、その設定・変更時において、(正味)帳
簿価額をベースとしており、イコールフッティングの観点からは、ボトルネックと
なる管路等設備の賃貸借についても、利用者向け料金において採られているベース
を基本とするべきである。

 なお、意見聴取をする中で、管路等の賃貸借料を、網改造料とのバランスにおい
て議論する考え方も提示されたが、これについては、管路等の賃貸借料を網改造料
におけるベースと揃えなければならない、とする説得力のある理由には乏しいと考
えられる。

3 結論

 結論として、接続点の置かれているNTTの通信用建物、そこから最も近いかそ
れに準じた地点のマンホールまでの管路又はとう道については、現行の利用者向け
料金の設定において採られた(正味)帳簿価額をベースとすることを基本とすべき
である。

 なお、接続当事者双方の便宜のために、管内平均値を採る等、適宜平均値により
賃貸借料の設定を行なう等の配慮がなされることが望ましい。

 以上については、NTTの利用者向け料金及び接続料の算定の考え方が変更され
る際には、イコールフッティングを確保する観点等から、同様の考え方を継続すべ
きかについて、再検討する必要がある。


検討事項IV 網改造料に係るソフトウェアの開発費が低廉化する方策

 網改造料に係るソフトウェア開発費の低廉化について、平成10年3月20日電
気通信審議会答申により措置が求められた事項は次のとおりであった。

(4) 網改造料に係るソフトウェアの開発費については、次回の接続料の改定時まで
に、指定電気通信設備を設置する事業者に費用低減のインセンティブが働くような
スキームや接続事業者が費用決定に関与できるスキームなども含め、実質的にソフ
トウェアの開発費が低廉化する方策について検討し、結論を得ること。

 接続当事者間のソフトウェア開発費の適正性に関する協議において、接続事業者
の求めにより、NTTから時宜を失することなく開発規模、ライン単価等の情報の
提供を行うことが必要である。
 なお、議論の円滑化のためには、接続事業者においても可能な範囲で見積りを作
成し、情報の交換を進める中でソフトウェア開発費の適正性について検証されてい
くことが適当と考えられるが、接続事業者が見積りを作成することが困難な場合に
まで義務的にその提出を求めるのは適当でないと考える。むしろ、NTTにおいて、
NTT及びコムウェア社の保有するソフトウェアに関するノウハウが保護されるよ
う配意しつつ、接続事業者の見積り作成に必要なデータを積極的に開示するような
仕組みを設けることが望ましいと考えられる。
 いずれにしても、これらの扱いも含めて、接続当事者間のソフトウェア開発費の
適正性に関して協議を行う場合における具体的な協議方法について、早急にルール
化することが必要である。


検討事項V 多様な接続料の導入について

 多用な接続料の導入について、平成10年3月20日電気通信審議会答申により
措置が求められた事項は次のとおりであった。

(5) 時間帯により料金格差を設けることや割引料金の設定など多様な接続料金の導
入については、ネットワークの効率的利用及び競争に与える影響等を踏まえて検討
し、早急に結論を得ること。

1 多様な接続料の導入(総論)

 現行の接続料においては、一律に実績原価に基づき算定し、事後に精算される方
式が採られているが、このこと自体が競争を阻害するものとは言えないが、接続料
の在り方においては、公正な競争条件が確保されるよう十分な配慮が必要である。
 その一方で、現行の接続料においては、ネットワークの効率的利用については特
に留意した工夫が見られる訳ではない。適宜事業者の提案に十分配意し、NTTに
おいて、多用な接続料の導入について、必要に応じて検討が行われるべきである。

2 時間帯による料金格差設定について

 全事業者が適用されるような形での料金格差の設定については、現在においては
事業者間での利益相反が生じ、これを強く希望する事業者も無く、直ちに行う必要
性は認められないが、事業者のニーズを踏まえながら、今後も検討が行われる必要
がある。

3 割引料金の設定について

 現行の接続料においては、実績原価に基づき算定し、事後に精算される方式が採
られており、この方式の採用には各事業者の賛同も多く得られている。ここで採ら
れている考え方との両立が難しい形での選択型の割引料金の導入については、これ
を希望しない事業者も少なからず存在しており、直ちに行う必要性は認められない
が、選択型の割引料金の設定についても、事業者のニーズを踏まえながら、今後も
検討が行われる必要がある。


      報告書案に寄せられた意見の概要とそれに対する考え方

               意見提出者一覧

(提出順)
  
        提出者名          
    区分     
1. 
KEN KATAOKA(カタカナ)     
 
2. 
大阪メディアポート(株)(OMP)     
第一種電気通信事業者 
3. 
日本テレコム(株)(JT)         
第一種電気通信事業者 
4. 
(株)四国情報通信ネットワーク(STNet)
第一種電気通信事業者 
5. 
日本電信電話(株)(NTT)        
第一種電気通信事業者 
6. 
日本高速通信(株)(TWJ)        
第一種電気通信事業者 
7. 
第二電電(株)(DDI)          
第一種電気通信事業者 
8. 
東京通信ネットワーク(株)(TTNet)  
第一種電気通信事業者 
9. 
中国通信ネットワーク(株)(CTNet)  
第一種電気通信事業者 
10.
ワールドコム・ジャパン(株)(WCJ)   
第一種電気通信事業者 
11.
BT(BT)                
英国公衆電気通信事業者
12.
国際電信電話(株)(KDD)        
第一種電気通信事業者 
13.
  
(株)タイタス・コミュニケーションズ    
(タイタス)                
第一種電気通信事業者 
           
14.
筒井 多圭志(筒井)            
帝京大学理工学部   
                   ( )内は本文中で用いられている略称


      報告書案へ寄せられた意見の概要とそれに対する考え方

検討事項I 自己資本利益率の水準
         意見概要           
     考え方     
資本資産評価モデル的な考え方の勘案                 
・ 自己資本利益率の算定方法として、CAPMが 
 採用されることについては、算定方法の明確化を 
 図る観点から、望ましい。(DDI)      
                        
・ CAPMを基本とした客観的な基準をベースと 
 し、算定の明確化が可能であると考え、報告書案 
 に賛同。(JT)               
                        
・ 本報告書案の結論に賛同。(TWJ)     
                        
・ 指定電気通信設備に係わる接続料金の自己資本 
 利益率については、対象となる設備が独占的設備 
 であり事業リスクが小さく、報告書案で示されて 
 いる無リスク資産のリターンと市場ポートフォリ 
 オのリターンとの組み合わせにより自己資本利益 
 率を求める方式は、こうした事業リスクの大小が 
 反映される手法であり、合理的。(STNet) 
                        
・ 事業の安定性とリスクを盛り込んだ指標を勘案 
 して自己資本利益率を設定することは、合理性の 
 面で大きな進歩ではないかと評価。(タイタス) 
                        
・ CAPMを用いた資本コスト、加重平均資本コ 
 ストの算定を要望する。(BT)        
                        
・ レートベースの算定を現行方式のまま存続させ 
 る間は、特例措置(極めて低水準の自己資本利益 
 率の設定等)が必要。(TTNet)      
                        
・ 資本コストを適用した資産価値の計算には、長 
 期増分コスト方式を用いるのが望ましい。万一で 
 きない場合に、別の方式を採用することとする。 
 (BT)                   
                        
・ まず結論から言うと、ご指摘のような考え方に 
 は一定の合理性を見いだすことに困難を覚えざる 
 を得ない。一連の論理の展開は、しっぽが犬を振 
 り回す話であると考えざるを得ない。しっぽが犬 
 を振り回す議論は言うまでもないのだが、市場の 
 連続性の問題、不連続市場ではカタストロフィー 
 もありうるわけで、まず、CAPMを持ち出す前 
 に明らかにしなければならないのは、償却しない 
 資産として、計上されている4兆円の電話加入権 
 のアセットとしてのポートフォリオの問題がある 
 。(筒井)                  
1 資本資産評価モデルか
 ら得られる数値を接続料
 の自己資本利益率の設定
 の際の勘案材料の一つと
 することは、事業の安定
 性とリスクとを織り込ん
 だ指標を用いて客観的な
 基準を設定しようという
 ものであり、適当と認め
 られる。なお、レートベ
 ースとなる設備等の価額
 については長期増分費用
 モデルで計算されるが、
 来年夏、案公表の予定で
 ある。        
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
・ 市場の経済状況次第では算定式(E)を適用す 
 ると、接続料を上昇させる場合もあるので、本算 
 定式は接続料を下げる場合にのみ適用するなど、 
 一定の歯止めが必要。(OMP)        
                        
                        
                        
2 資本資産評価モデル的
 な考え方を採用すること
 で市場の経済状況を勘案
 されるのであり、その適
 用・不適用を算定結果に
 よって恣意的に決めるこ
 とは適当でない。   
資本資産評価モデル的な考え方において採られる数値について      
・ 5年間という算定期間については、単純に5年 
 間を固定とするのではなく、変動の激しい経済市 
 況の以降を見極めイレギュラーな変動要素を排除 
 するために弾力的な運用を希望。(TTNet) 
                        
3 5年間の算定期間内で
 も、運用においてイレギ
 ュラーな要素はできるだ
 け排除されることが望ま
 しい。        
・ NTT株式の感応度を元にβ値を求めることは 
 、NTT株式は非独占部門の高プレミアム部分を 
 含んだ形でマーケットから評価されることとなる 
 ため、独占的な事業の場合に比べ、β値が高めに 
 なることが予想される。したがって、独占性の強 
 い他の公益事業の株式の感応度を用いるなど適切 
 なβ値の設定について、更に検討が必要と考える 
 。(STNet)               
                        
・ NTT長距離とNTT地域とは事業の安定性及 
 びリスクにおいて差があるので、地域のみの指標 
 をどう設定するか、今後の慎重な検討が必要と考 
 える。(タイタス)              
                        
・ 理論的には、接続サービスを提供する事業に対 
 して、ベータを算定するのが正当。これは資産ベ 
 ースで適正な利益が算出という方法がある。しか 
 し、これは簡単ではない。というのは、ベータ計 
 算の対象が接続事業だけをしている企業に限られ 
 るからである。                
  従って、NTTの事業全体をもとにして算出し 
 たベータの採用を支持する。(NTT株からの総 
 利益と日本市場との相関関係)(BT)     
                        
・ 移動体事業が与える影響を考慮して、ベータを 
 調整し、末端利用者向け料金決定の際に利益率を 
 採用することを支持。(BT)         
                        
・ Rm : 市場ポートフォリオのリターン="他産業に
 おける主要企業の過去5年間の平均自己資本利益 
 率"と置いている点だが、これは平均自己資本利益
 率とするのは全くの誤解であり、まず、それは、 
 ポートフォリオの保有者の株式時価評価損益と配 
 当の通産利回りを指す。(筒井)        
4 今回のモデルの算定式
 においては、自己資本利
 益率をベースとすること
 としているが、β値につ
 いてこれに替えて株式価
 格により計測する場合に
 はNTTの長距離部門を
 含む全事業について計測
 されるものとなるので、
 例えば他産業の例を参考
 とするなど、適切な調整
 が行われることが必要で
 ある。なお、これらの数
 値の在り方については、
 本年度の設定における経
 験を踏まえて、更に検討
 していく必要がある。 
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
・ リスクフリー金利を設定するための計算期間は 
 、利益の額を計算する期間と同じにするべきだと 
 考える。従って同報告書にある計算期間は過去5 
 年間を充てるという案には賛成しかねる。    
  原則的に、接続料が毎年再計算されるのであれ 
 ば、1年の期間の金利を用いるべきでないという 
 理由はない。                 
  将来期間を対象にするという原則を基づいて計 
 算するのであれば(例えば5年債の現在の利率と 
 か、債権の利回りの期間を考慮して計算された予 
 測利率)、日本BTはリスク・フリーの率に5年 
 間を採用することを支持。(BT)       
                        
                        
5 5年間という算定期間
 は、新サービスの利用者
 向け料金の算定期間が5
 年間であること等から設
 定している。ただし、経
 済実勢を反映させるた踏
 まえて適切に対応できる
 ようにするため、これを
 柔軟に取り扱うことも検
 討するめに更に短期とす
 べきではないか、との議
 論もあり、今後とも継続
 的な検討が必要でがある
 。          
利用者向け料金における自己資本利益率の勘案             
・ また、「利用者向け料金において、認可の申請 
 時に採られた自己資本利益率をも勘案」すること 
 についても、従来からの多くの事業者の意見を汲 
 み取って頂いたものと理解。(DDI)     
                        
・ 利用者料金における自己資本利益率を勘案する 
 こととなっており、NTT利用者料金との差別的 
 取り扱いを防止することが可能であり、報告書案 
 に賛同。(JT)               
                        
・ 本報告書案の結論に賛同。(TWJ)     
                        
・ 利用者向け料金の認可申請時に採られた自己資 
 本利益率をも勘案するという報告書案の主旨に全 
 面的に賛同。(TTNet)          
                        
・ 利用者向け料金の自己資本利益率との関係につ 
 いても、報告書案にあるように接続料の自己資本 
 利益率は、利用者向け料金の自己資本利益率より 
 小さくなると考えられることから、このマクロチ 
 ェックを行うべきと考える。(STNet)   
                        
・ 末端利用者向け料金を設定する時に使われる利 
 益率は有効な情報になる。この収益率が接続料の 
 資本コストの上限を設定する。なぜなら、接続料 
 は将来システマティックなリスクに見まわれるこ 
 とになると思われるからである。(BT)    
                        
・ 利用者向け料金における自己資本利益率との関 
 係について                  
  TELRICを否定する為の論理か?(筒井) 
6 利用者向け料金におい
 て認可申請時に採られた
 自己資本利益率を勘案す
 ることは、接続料に係る
 事業リスクが、利用者向
 け料金に係るものに比べ
 て一般には低くなると考
 えられることから、一定
 の合理性が認められる。
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
・ 上限規制導入後は、基準料金指数内であれば届 
 出料金で済み、利用者料金に織り込まれている自 
 己資本利益率は事業者にしかわからないため、外 
 部から何らかの指標を作りチェックする仕組みを 
 検討する必要があると考える。(STNet)  
                        
                        
                        
                        
                        
                        
                        
7 利用者向け料金に上限
 規制が導入された後の、
 利用者向け料金における
 自己資本利益率の勘案の
 在り方については今後検
 討する必要がある。基準
 料金指数の算出の際に利
 用者向け料金の自己資本
 利益率が勘案されるので
 あれば、これを勘案の対
 象として用いることが考
 えられる。      
算出根拠の公開について                       
・ 自己資本利益率算定時に勘案することとされて 
 いる「利用者向け料金における自己資本利益率」 
 等については、接続約款に係る意見照会の際に算 
 定に使用した数値及び具体的な勘案方法を公表し 
 、オープンな議論を可能とすべき。(TWJ)  
8 「接続に関する議事手
 続細則」において、当該
 算出根拠については、意
 見聴取に際して公告され
 ることとされている。 

検討事項II MDF接続
         意見概要           
     考え方     
MDF接続の実現について                      
・ MDF接続の料金等が接続約款に記載されてい 
 ないという事実は、それ自体、平成8年12月答 
 申の精神に明らかに違背している、というべき状 
 態。大至急、接続約款の空欄を埋めさせるべき。 
 上記答申は、不可欠設備・機能をアンバンドルし 
 て提供することを義務づけたのであって、xDS 
 L方式などの「方式」論を論じたものではないは 
 ず。xDSL接続の当否やその固有の問題で、本 
 筋の議論が遅延するのは如何なものか。(カタオ 
 カ)                     
                        
・ NTTのローカルループを「ドライカッパー」 
 として利用可能とするMDF接続が、早期にNT 
 T網のアンバンドリング・コンポーネントの一つ 
 として開放されることを要望。(WCJ)    
                        
・ MDF接続は地域競争促進の面からの検討も必 
 要であると考える。MDF接続が全面的に許され 
 、コストベースでの加入者回線のアンバンドルが 
 認められることは、既存の加入者回線に変わる固 
 定系地域事業者の投資の意欲を喪失させる可能性 
 がある。この点、慎重な検討を強く要望する。( 
 タイタス)                  
                        
・ 状況が許すならば、競合するインフラストラク 
 チュアの方が望ましい解決策であるが、日本での 
 ように競合するローカル・インフラストラクチュ 
 アを本格的に浸透させることが効率的でないので 
 あれば、競争を確立させるべきならば、ローカル 
 ・ループ・アンバンドリングが必要なのかもしれ 
 ない。(BT)                
9 新たな接続形態である
 端末回線伝送機能の利用
 におけるMDF接続につ
 いては、円滑な接続を推
 進することにより公正競
 争条件を実現する観点か
 ら、技術面、運用面の問
 題がない限りアンバンド
 ルして実現すべきである
 。          
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
技術面、運用面の問題について                    
・ 今後は、接続事業者の利用形態の明確化、運用 
 ・技術の検討を行っていきたい。(JT)    
                        
・ 報告書案の主旨に賛同し、引き続き、MDF接 
 続及び端末回線接続(LXM接続)について、N 
 TTと協議する。その際、技術面、運用面の問題 
 については、事業者間協議の中で実現形態を検討 
 していくうちに、解決できる問題と考えている。 
 (TTNet)                
                        
・ xDSLは加入者ケーブルの利用方法の一方法 
 であり、これの実験結果により全体の利用が阻害 
 されるべきではない。(OMP)        
                        
・ MDF接続において、ADSL等を利用したサ 
 ービスの検証結果のうち、技術的に問題のないサ 
 ービスから実施していくべき。(CTNet)  
                        
・ アクセス網の光化促進を阻害することのないよ 
 う、利用する上での条件等、制度的な枠組みを早 
 期に確立すべき。(CTNet)        
                        
・ MDFでの接続は技術面、運用面において克服 
 すべき問題があり、その実現については様々な制 
 限事項が出てくるものと予想されるが、接続事業 
 者の利用にあたり、極力、用途や地域の限定とい 
 った利用制限の無い環境整備に配慮いただきたい 
 と考える。(STNet)           
                        
・ MDF接続の際の料金設定権や請求権について 
 は、これまで以上の柔軟性を持たせた精算方式を 
 検討すべきと考える。(WCJ)        
                        
・ アクセス網の光化への阻害云々は、基本的に事 
 業者間協定マターとして整理すれば足るべき問題 
 。「在り方」論から始める必要はないはず。むし 
 ろMDF接続の円滑な実施を「阻害」する言い逃 
 れになっていないか。(カタオカ)       
10 MDF接続については
 、これを検討している事
 業者とNTTとの間で、
 約款化や協定締結に向け
 て定められている手続き
 に則った協議が十分に行
 われて言えるとは言い難
 く、その具体的態様や使
 用法についても明確な姿
 が示されていない。定め
 られた手続きによった協
 議により課題の所在を明
 確化し、必要な条件整備
 について早急に結論を得
 る必要がある。    
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
制度面の問題について                        
・ MDF接続は、NTTにとって、自ら保守・運 
 用を行う設備を一切使用せず、心線そのものしか 
 利用しない形態であり、様々な問題があると考え 
 られるので、今回の結論については、今後、技術 
 面、運用面、経営面の課題を検討する中で更に慎 
 重な検討を行う必要があると考える。その中で、 
 NTTとしても問題提起をしていく。(NTT) 
                        
・ NTTが提供することとなる設備が電気通信事 
 業法における「電気通信設備」であることを明確 
 にしたことは評価でき、本報告書案に賛成。(D 
 DI)                    
                        
・ MDF接続による提供設備が「電気通信設備」 
 であるという制度的な結論を得たことは、大いに 
 前進したものと考え、賛同。(JT)      
                        
・ 本報告書案の結論に賛同。特に、MDF接続で 
 利用するNTT側設備が電気通信事業法上の電気 
 通信設備に該当するとの見解が示されたことは歓 
 迎。(TWJ)                
                        
・ NTTが提供することとなる設備が「電気通信 
 設備」に該当しないとは言えず、制度的には問題 
 があるとは言えない、と結論付けていただいたこ 
 とを妥当と考える。(TTNet)       
                        
・ 技術面、運用面の問題解決の条件付きであるも 
 のの、制度面に問題はない、との研究会報告書案 
 の前向きの結論に賛同。(OMP)       
11 MDF接続の制度面の
 扱いについては、本報告
 書のとおり、     
 技術面、運用面の問題が
 十分解決されれば特段の
 問題がないと考えられる
 。なお、NTTのMDF
 以下の設備が電気通信設
 備に該当するかどうかに
 ついては、当該設備が現
 に電気通信が可能な状態
 に構成され、かつ、MD
 F接続はその設備をその
 ままアンバンドルした形
 態で接続しようとするも
 のであることから、これ
 らの事情を勘案すれば、
 MDF以下の設備が電気
 通信事業法上の「電気通
 信設備」に該当すると解
 することは妥当である。
            
            
            
            
            
            
            
            
            

検討事項III 預かり保守契約に基づく負担額の算定における管路等の費用の算
      定方法
         意見概要           
     考え方     
ボトルネックとなる管路等の費用の算定方法について          
・ 接続点の置かれているNTTの通信用建物及び 
 第一マンホールまでの管路等がボトルネック設備 
 であり、その賃貸料金を(正味)帳簿価格とすべ 
 き旨を明示いただいたことは望ましい。(DDI 
 )                      
                        
・ NTTのイコールフッティングや空き管路のみ 
 利用可能であることを考慮すると、報告書案のよ 
 うに正味固定資産価額により費用算定されること 
 が適当。(JT)               
                        
・ NTTの言う義務的区間についてボトルネック 
 性に着目し、現行の利用者向け料金の設定におい 
 て採られた(正味)帳簿価額をベースとすること 
 を基本とすべきである、という報告書案に全面的 
 に賛同。(TTNet)            
                        
・ 帳簿価額をベースとする研究会報告書案の公正 
 な結論について賛同。(OMP)        
                        
・ イコールフッティングの観点からも、NTTの 
 利用者向け料金と同様のベースで算定すべきであ 
 り、報告書案の趣旨に賛同。(CTNet)   
                        
・ 報告書案に記載されているとおり、実態費用に 
 近い帳簿価格をベースに検討していただきたいと 
 考える。(STNet)            
                        
・ 負担額の算定において、帳簿価額を基本とすべ 
 きとの勧告は、高く評価。(タイタス)     
12 ボトルネックとなる管
 路等設備の賃貸借につい
 ては、イコールフッティ
 ングの観点から、現行の
 利用者向け料金の設定に
 おいて採られた(正味)
 帳簿価額をベースとする
 ことを基本とすべきであ
 る。         
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
・ 費用の算定根拠の妥当性が検証できるように細 
 分化した料金明細の公開を願う。(STNet) 
                        
                        
                        
13 「接続に関する議事手
 続細則」において、当該
 算出根拠については、意
 見聴取に際して公告され
 ることとされている。 
接続のボトルネックとなる範囲等について               
・ ボトルネックとならない区間であっても、公益 
 性、歴史的背景を考慮した場合、一般の賃貸借と 
 同様と考えることは不十分。少なくともその料金 
 的な取扱いについてはボトルネック区間と同様に 
 扱われるべきであり、NTTの排他的な料金設定 
 の可能性を防止するためにも、その旨を規定すべ 
 き。(KDD)                
                        
・ 今後、行政において、第一マンホール以遠の接 
 続用管路等、及び接続用以外の管路等、コロケー 
 ションの条件全般等について、必要に応じた法律 
 改正等を含め、NTTに限定しない公益事業全般 
 についても引き続き検討願いたい。(DDI)  
                        
・ 本報告書案の結論に賛同。なお、「第1マンホ 
 ール以遠のボトルネック性」及び「ボトルネック 
 とならない管路等設備の賃貸借の在り方」につい 
 ては、郵政省において早期にオープンな検討の場 
 を設けて頂きたい。(TWJ)         
                        
・ 異なる省庁、企業間の複雑な分野にも介在でき 
 る権限と信頼性をもつ効果的な紛争処理手続きの 
 実施が必要。NTTは、日本の通信関連の線路敷 
 設権の大部分を管理している。したがってNTTは、
 管路、とう道、電柱を含めた限られた施設の管理 
 を通して、新規参入者の費用の決定権も握ること 
 になる。NTTの、管路、とう道、および電柱へ 
 のアクセスに対して、透明で差別の無いコストと 
 条件を確立する必要がある。局前マンホールとP 
 OI間の管路料金に規制を開始する計画があるが 
 、NTTは他の場所にある管路の料金等、他の要 
 素も考慮すべき(BT)            
                        
・ 管路等の設備の賃貸借料金を、帳簿価額ベース 
 にすべきであるという結論については大いに評価 
 できるものの、その対象を接続点の置かれている 
 NTT局舎と第1マンホールとの間の管路・とう 
 道に限定している点は、再検討を要望。特に、行 
 政による掘削規制がある状況下で上記区間外の管 
 路等設備がボトルネックであるかどうかの再検討 
 を要望。(WCJ)              
14 第一マンホール以遠の
 管路等設備のボトルネッ
 ク性については、当該設
 備について代替手段がな
 い、若しくは代替手段を
 採ることが事実上困難で
 あることをもって判断さ
 れるべきであるが、その
 範囲の厳密な画定が困難
 であるため、確実に該当
 する部分について今回結
 論を出すこととした。な
 お、ボトルネックとなら
 ない管路等設備の賃貸借
 については、更に別途の
 検討が必要である。おっ
 て、掘削規制の有無によ
 ってボトルネック設備の
 範囲が画定される訳では
 ないと考えられる。  
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            

検討事項IV 網改造料に係るソフトウェア開発費が低廉化する方策
         意見概要           
     考え方     
・ 網改造料に係わるソフトウェアの開発費につい 
 ては、機能仕様毎の費用提示など、必要な項目を 
 情報開示し、客観的に適正性を検証できるよう配 
 慮しながら報告書案の方向で低廉化の検討を進め 
 ていただきたい。(STNet)        
                        
・ 報告書案で述べられているように、NTTより 
 開発するソフトウェアの情報が適宜提供されるこ 
 とが重要であると考える。(タイタス)     
15 公正な接続の確保の観
 点から、接続事業者の接
 続に関し必要な情報が提
 供されることが必要であ
 る。ソフトウェア開発費
 の適正性の検証のために
 開発規模、ライン単価等
 の情報提供がNTTから
 なされる必要がある。 
・ NTTによる情報開示が、あたかも接続事業者 
 の見積もり作成を前提としているかのような誤解 
 がなされないよう、規定していただく必要がある 
 。(KDD)                 
                        
・ 接続事業者においても見積もりを作成すること 
 を前提としない旨を明示していただきたい。接続 
 事業者はNTTと同レベルでの「見積もり」作成 
 は困難。全ての開発について費用が議論の対象と 
 なるとは限らず、全ての場合に接続事業者に「見 
 積もり」作成の義務を課すことは多大な負担を課 
 すことになると同時に、迅速な契約締結を妨げる 
 。(DDI)                 
                        
・ ソフトウェアの開発内容については、接続事業 
 者は十分に実態が把握できないことから、NTT 
 と同レベルの見積もりを作成するのは困難。した 
 がって、接続事業者に見積り作成義務を必須とす 
 るのではなく、NTTの情報開示を基本とし、費 
 用について異議を申し出る際に接続事業者から見 
 積もり等を提示する形態の運用を希望。また、N 
 TTが情報開示の条件として、接続事業者の見積 
 りを求めることがないよう、取り計っていただき 
 たい。(JT)                
                        
・ 案では、情報開示について、NTTとNCCが 
 双務的であるかのような記述となっているが、受 
 注側であるNTTから価格に関する情報を受け取 
 るに当たり、発注側であるNCCの情報提供が前 
 提となるようなことは、一般の商慣習に照らして 
 も極めて異例。NTTの情報開示がNCCの情報 
 開示を前提とした双務的なものではなく、基本的 
 にNTTにのみ情報開示の義務がある旨を規定し 
 て頂きたい。(TWJ)            
                        
・ 報告書案では、いわば双務的に情報交換すべき 
 という案になっているが、接続事業者とNTTの 
 間にはNTT交換網に関する情報の非対称性があ 
 ることから、双務的な情報交換を必須の要件とせ 
 ず、まずNTT側でソフトウェア開発費の算定根 
 拠を示してその適正性を挙証すべきことを明確に 
 していただきたい。(TTNet)       
                        
・ ソフトウェア開発費の低廉化のためには情報公 
 開が不可欠なので、NTTからの開発規模、ステ 
 ップ単価及び調達時における調達先の決定方法等 
 の開発に関わる情報の提供について、制度化する 
 ことまで含めて、更なる検討をお願いする。(C 
 TNet)                  
                        
・ 現状のNTT網改造料金のソフト開発の個別ス 
 テップの中身については不明な点が多く、価格が 
 妥当かどうかの検証は出来る状態にない。まず、 
 NTTが詳細、明細を公開し、接続事業者がそれ 
 を自社のソフト開発工数等と照らしあわせ費用の 
 検証をすることから始めるべき。(OMP)   
16 議論の円滑化のために
 は、接続事業者において
 も可能な範囲で見積りを
 作成し、情報の交換を進
 める中でソフトウェア開
 発費の適正性について検
 証されていくことが適当
 と考えられるが、接続事
 業者が見積りを作成する
 ことが困難な場合にまで
 義務的にその提出を求め
 るのは適当でないと考え
 る。むしろ、NTTにお
 いて、接続事業者の見積
 り作成に必要なデータを
 積極的に開示するような
 仕組みを設けることが望
 ましいと考えられる。 
  いずれにしても、これ
 らの扱いも含めて、接続
 当事者間のソフトウェア
 開発費の適正性に関して
 協議を行う場合における
 具体的な協議方法につい
 て、早急にルール化する
 ことが必要である。  
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
・ 網改造料に係るソフトウェアの開発費を低廉化 
 するためには、日本独自のD60、D70などの 
 装置を廃棄して、国際標準のものに交換すると網 
 改造そのものの費用も不用になり、且つシステム 
 コストも1/100以上低廉化する。      
                        
  また、ダークファイバー、ドライカッパーによ 
 り網改造料に係るソフトウェアの開発はそもそも 
 不要であり、そうすれば低廉に相互接続がILE 
 C、CLEC双方の利益を確保しつつ容易に実現 
 できる。(筒井)               
17 現在運用中のD60、
 D70等をただちに廃棄
 することは現実的でない
 。アンバンドルについて
 は、円滑な接続を推進す
 ることにより公正競争条
 件を実現する観点から、
 技術面、運用面の問題が
 ない限り実現されるべき
 である。       
            

検討事項V 多様な接続料の導入
         意見概要           
     考え方     
・ 現行の接続料体系が、インターネット利用等に 
 みられる長時間市内通話にフィットしない、市内 
 競争促進型とは言えない、などの面があることか 
 ら、市内競争促進型の接続料体系の在り方につい 
 て、さらなる検討が必要と考える。(TTNet 
 )                      
                        
・ 接続事業者にとっては、現行の一律の接続料だ 
 けでは顧客のニーズに沿った新サービス導入が難 
 しいため、複数の接続料体系を整備して、公正な 
 競争条件を確保することが利用者の利便性向上に 
 もつながるものと考える。(STNet)    
                        
・ 利用者向けとして一般的な割引サービスを、接 
 続事業者に対しても導入することを要望。特に実 
 績に基づくボリュームを基本とした割引きは、ど 
 の事業者にとっても受け入れられ易いものと考え 
 られるため、早期導入の検討を要望する。(WC 
 J)                     
                        
・ 競争と効率的な網利用を促進させる観点から、 
 日本の電気通信業界は多様な接続料の導入を検討 
 する必要がある――という報告書案の内容を支持 
 。(BT)                  
18 多様な接続料の導入に
 ついては、NTTにおい
 ても、公正な競争条件の
 確保及び設備の効率的利
 用の観点から、他の電気
 通信事業者の提案に十分
 配意し、必要に応じて検
 討を行うことが必要であ
 る。         
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
・ 時間帯別料金、割引料金等を接続料金に導入す 
 ることについては、事業者間の利害が大きく対立 
 するものであり、現時点で採用することは困難。 
 (DDI)                  
                        
・ 時間帯別料金、割引料金等については、現行の 
 過去原価をベースとしタイムラグ精算を行う接続 
 料算定のもとでの実施は困難と思われ、その必要 
 性も含め、案のとおり今後検討を行っていくべき 
 。(JT)                  
                        
・ 本報告書案の結論に賛同。(TWJ)     
                        
・ 総論としてNTTにおいて多様な接続料の導入 
 について必要に応じ検討が行われるべきである、 
 とした報告書案に賛同。(TTNet)     
                        
・ 時間帯別料金の導入についていくつかの方法が 
 提案されているが、その最も一般的なものは以下 
 の通り                    
                        
 ・ 設備容量ベースの課金。コストの大部分を最 
  繁時に、その他のコストを他の時間帯に割り当 
  てる。この方法の根拠は、ネットワークへの投 
  資は最繁時トラヒック状況だけを見て決定され 
  る。従って、最繁時のトラフィックがコストを 
  左右する、という理論。           
                        
 ・ コストの階層化。トラヒックに応じた比例配 
  分、コアの設備容量のコストを全時間帯に割り 
  当て、増分容量のみを最繁時に割り当てる。  
                        
   消費用勾配料金の適用。よく聞かれるのは、 
  既存の事業者の1日の時間体系を他の事業者にも
  押し付けることになり、革新性は損なわれると 
   いう指摘である。             
                        
  いずれの方法も理論面や実用面から判断して長 
 所と欠点をもち合わせている。同様に割引の導入 
 も複雑。このような体系を厳密で説明可能かつ透 
 明な手法で導入するには、少なくとも、一通話当 
 たりの限界コストに関する情報が必要であり、日 
 本BTでは、このような情報は現在利用できない、 
 あるいはLRICベースのコスト評価作業が完了する 
 まで利用できないと考えている。        
                        
  したがって制度の透明性に問題がある現状況下 
 で、料金格差制度を導入することは適切な時期で 
 はなく、少なくとも優先課題ではないと考える。 
 (BT)                   
19 全事業者が適用される
 ような形での料金格差の
 設定については、現在に
 おいては事業者間での利
 益相反が生じ、これを強
 く希望する事業者も無く
 、直ちに行う必要性は認
 められないが、事業者の
 ニーズを踏まえながら、
 今後も検討が行われる必
 要がある。現行の接続料
 においては、実績原価に
 基づき算定し、事後に精
 算される方式が採られて
 おり、ここで採られてい
 る考え方との両立が難し
 い形での選択型の割引料
 金の導入については、こ
 れを希望しない事業者も
 少なからず存在しており
 、直ちに行う必要性は認
 められないが、選択型の
 割引料金の設定について
 も、事業者のニーズを踏
 まえながら、今後も検討
 が行われる必要がある。
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            


                                 (参考)

         接続料の算定に関する研究会構成員名簿


                                (敬称略)
氏  名        
主 要 現 職        
            
            
(座長)        
さいとう ただお    
齊藤   忠夫     
            
            
(座長代理)      
だいご さとし     
醍醐  聰       
            
            
(委員)        
さかい よしのり    
酒井  善則      
            
さとう はるまさ    
佐藤  治正      
            
ふじわら じゅんいちろう
藤原   淳一郎    
            
            
               
               
               
               
東京大学大学院工学系研究科教授
               
               
               
               
東京大学大学院経済学研究科教授
               
               
               
               
東京工業大学工学部教授    
               
               
甲南大学経済学部教授     
               
               
慶應義塾大学法学部教授    
               
               
別紙 2


           接続料の算定に関する事項について



 平成10年1月30日付け営企第301号で申請のあった指定電気通信設備に係
る接続約款の設定については、平成10年3月20日に電気通信審議会から認可す
ることが適当である旨の答申があったところであるが、同時に別添のとおり、認可
を行うに当たって講じられるよう配慮すべき措置が指摘されているところである。
このうち2(2)、(4)及び(5)に関しては、下記のとおり貴社において適切な措置を講
ずることとされたい。



                  記


1 MDF(主配線盤)接続について
 現在行われているxDSL接続の実証実験と並行して、MDF接続を検討してい
る事業者との協議により、その具体的な接続態様等の要望を把握し、MDF接続を
実現する上で必要な技術面、運用面における条件を早急に検討し、その結果を報告
すること。


2 ソフトウェア開発における費用情報の提供について
 接続を申し込む他の事業者の要望により網改造を行う場合において、当該事業者
からの申出があれば、ソフトウェア開発費の適正性に関する協議を行うこととし、
開発規模、ライン単価等の情報の提供等に関する具体的な協議方法を定め、報告す
ること。


3 多様な接続料の導入について
 時間帯による料金格差設定及び選択型の割引料金の設定等、多様な接続料の導入
については、公正な競争条件の確保及び設備の効率的利用の観点から、他の電気通
信事業者の提案に十分配意し、必要に応じて検討を行うこと。



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