報道発表資料のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ ・ 電気通信


発表日  : 1999年 7月30日(金)

タイトル : 接続料の算定に関する研究会報告書





    −東西NTTの指定電気通信設備との接続に関する検討結果の公表−


 郵政省では、平成11年1月の電気通信審議会答申「日本電信電話(株)の指定電
気通信設備に係る接続約款の設定の認可について」において同審議会から郵政省に
対する要望として答申に付記された事項等についての検討に資するため、平成11
年2月から「接続料の算定に関する研究会」(座長:齊藤忠夫 東京大学大学院工
学系研究科教授)を開催してまいりました。
 同研究会報告書案については本年7月2日から7月21日までの間に意見募集を
行ったところですが、寄せられた意見を踏まえ、報告書が取りまとめられました。
報告書の概要については別紙1、報告書の内容は別紙2のとおりです。


                  連絡先:電気通信局電気通信事業部業務課
                  (担当:藤野課長補佐、中尾係長)
                  電 話:03−3504−4831


別紙 1             報告書の概要 1 「接続料の算定に関する研究会」は、再編成前のNTTの平成10年度の接続  料の認可を適当とした平成11年1月22日の電気通信審議会の答申において、  郵政省に対して検討が要望されていた事項6項目と、高速インターネット環境を  より早くかつ安価に実現できる有望な手法であるDSLサービスのためのMDF  接続との計7項目について検討を行うため、平成11年2月26日に発足した。 2 本研究会においては、発足以来これまで9回の会合を開催し、それぞれの項目  について関係事業者のオブザーバ参加を得て、議論を行い、報告書案についても  パブリックコメントを招請し、内外の意見を参考としつつ検討を行ってきた。 3 今般とりまとめられた報告書を受け、郵政省としては、東西NTTの接続料の  低廉化やMDF接続の実現等に向けて、省令の改正等の必要な措置を講じていく  予定である。 4 個別項目毎の結論を要約すると次のとおり。
 第1部 接続料の自己資本利益率
 ○ 接続料の自己資本利益率の算定にあたり、算定期間を5年から3年に短縮す
  ること。
 第2部 予測原価・予測需要により算定される接続料の範囲
 ○ ISDN、番号案内を提供するための機能等の接続については、その原価の
  減少や需要の増加が顕著である場合には、当年度の予測原価・予測需要により
  算定を行うこと。また、接続事業者が個別負担する接続料(網改造料)につい
  ても、使用される比率を含めて当年度の予測原価・予測需要により算定を行う
  こと。
 第3部 伝送路の接続料の速度区分

 ○ 電話の加入者系交換機と中継系交換機との間の伝送路を専用的に使う接続料は、
  1.5メガビット毎秒相当単位とすること。
 第4部 工事費等の算定

 ○ 工事費等の算定に用いられている労務費単金について、指定事業者は次回の
  接続料改定迄に調査を行い、それをもとに算定し、作業時間については、作業
  方法の見直し等の効率化施策を行い、それらが料金に反映されるようにするこ
  と。

 第5部 バンドルされたネットワークの利用
 ○ 現在、端末回線線端接続等、利用者料金を準用している接続料を見直し、割
  引料金を適用することにより、接続に要するコストが適切に接続料に反映され
  るようにすること。
 第6部 コロケーションの条件

 1 接続事業者の装置がコロケーションの対象に該当するか否かについては、第
  一次的には接続事業者の判断が優先されるようにすること。

 2 仮にコロケーション設備について指定事業者の業務遂行上制限すべき事項が
  あれば指定事業者において必要最小限の範囲内で具体的な制限事項(ネガティ
  ブリスト)を明確にすること。

 3 局舎のコロケーションの料金は、帳簿価額をベースとすること。

 第7部 DSLの接続

 1 DSLは簡易に高速アクセスを実現させる有望な技術であり、接続事業者も
  アンバンドルベースで活用できるMDF接続を実現すること。

 2 指定事業者と接続事業者との公正競争を確保するため、電話との重畳やスプ
  リッタのコロケーションを含めた接続とすること。ただし、現時点で技術面・
  運用面の問題が完全にクリアされていないため、当面(1年程度)試験的な提
  供とし、その結果を踏まえて技術的条件を定めること。なお、技術的条件につ
  いては、意見集約のための検討の場を設定して具体的な検討を行うこと。


   (参考)    「接続料の算定に関する研究会」構成員    (五十音順・敬称略)         さいとう ただお       ◎ 齊藤 忠夫(東京大学大学院工学系研究科教授)         さかい  よしのり         酒井 善則(東京工業大学工学部教授)         さとう  はるまさ         佐藤 治正(甲南大学経済学部教授)         だいご  さとし       ○ 醍醐 聰(東京大学大学院経済学研究科教授)         ふじわら じゅんいちろう         藤原 淳一郎(慶應義塾大学法学部教授)         (オブザーバー)          関係事業者等    (注) ◎:座長、○:座長代理

接続料の算定に関する研究会

報告書

平成11年7月26日

              はじめに  「接続料の算定に関する研究会」は、昨年(平成10年)の同名の研究会(第1 次「接続料の算定に関する研究会」)と同様、主に指定電気通信設備との接続に関 して検討を行う場として平成11年2月26日に発足した。  検討項目は平成11年1月22日に電気通信審議会の答申において郵政省に対し て検討が要望されていた以下の6項目と、前回の研究会で継続検討扱いとなってい たMDF接続(DSL)である。   1 自己資本利益率の水準についての検討     次年度以降の自己資本利益率について、平成10年度における算定結果を    参考とし、CAPMモデルの算定期間を含めその適切な水準の在り方につい    て引き続き検討すること。   2 作業単金の水準等についての検討     工事費等の算定に用いられる作業単金の水準等については、その水準や算    定方法につき多様な議論があるので、NTT及び接続事業者の意見を聞きな    がら論点を整理した上で、作業単金をめぐる実態の把握、適切な水準の在り    方、低減化策等を検討すること。   3 将来需要・将来原価による算定の検討     今回の再計算においてISM交換機能の網使用料の算定について採られた    将来需要・将来原価による算定方式は、支払額が実績ベースから大きく乖離    することを回避するための有効な手段であるので、その適用範囲の在り方に    ついて検討すること。   4 伝送機能における伝送速度区分の見直し     接続事業者が効率的なネットワークを構築することが出来るようにするた    め、接続事業者のニーズを踏まえた区分とすることを検討すること。   5 利用者向け料金・契約約款が準用される範囲の検討     端末回線の線端接続の条件については、接続料と利用者向け料金との対応    する費用範囲の違いを踏まえるとともに、コスト面等で特段の理由がないの    に接続事業者が不利益を被ることのないようにするとの考えのもとに、利用    者向け料金・契約約款が準用される範囲について検討すること。   6 預かり保守契約の在り方についての検討     預かり保守契約(コロケーション)の在り方については、NTTの通信用    建物のボトルネック性に配慮しながら、NTTが設置に応じるべき装置の範    囲及びその設置条件を明確化するとともに、管路・とう道の利用条件の在り    方について引き続き検討すること。   本研究会では、第1次の研究会で採られた方式を踏襲し、オブザーバとして関  係の事業者の参加を戴き、その意見、主張をもとに活発に議論して頂いたところ  である。   これまでのとりあえずの結論については、パブリックコメントを招請し、本年  7月中を目途に集約を図ることとしているが、その結果については、迅速な行政  の対応と関係各位の協力により、速やかに制度・運用面において実現が図られて  いくことを期待するものである。
   『接続料の算定に関する研究会 報告書』のポイント
第1部 接続料の自己資本利益率
 1 指定電気通信設備設置事業者(東西NTT。以下「指定事業者」という。)
  の接続料の自己資本利益率の算定にあたっては、より経済実勢を反映させるよ
  うに、算定期間を5年から3年に短縮すること。
 2 指定事業者の接続料と利用者向け料金との関係が公正競争上問題がないこと
  を明確にするため、指定事業者は両者の水準について、一定の検証を行うこと。

第2部 予測原価・予測需要により算定される接続料の範囲
 1 接続料と実態との乖離をできるだけ小さくするため、ISDN、番号案内を
  提供するための機能等の接続については、その原価の減少や需要の増加が顕著
  である場合には、当年度の予測原価・予測需要により算定を行うこと。

 2 接続事業者が個別負担を行う接続料(網改造料)についても、実態との乖離
  をできるだけ小さくするため、使用される比率を含めて当年度の予測原価・予
  測需要により算定を行うこと。

第3部 伝送路の接続料の速度区分
 ○ 接続事業者が効率的なネットワークを構築できるようにするため、電話の加
  入者系交換機と中継系交換機との間の伝送路を専用的に使う接続料は、速度区
  分を細分化して1.5メガビット毎秒相当単位とすること。
第4部 工事費等の算定
 1 工事費等の算定に用いられている労務費単金については、実態をより適確に
  反映させるため、指定事業者は次回の接続料改定迄に調査を行い、それをもと
  に算定すること。
 2 工事費の算定に用いられている作業時間については、作業方法の見直し等の
  効率化施策を行い、それが料金に反映されるようにすること。
第5部 バンドルされたネットワークの利用
 ○ 現在、端末回線線端接続等、利用者料金を準用している接続料を見直し、割
  引料金を適用することにより、接続に要するコストが適切に接続料に反映され
  るようにすること。
第6部 コロケーションの条件
 1 接続事業者がコロケーションする装置が「接続に必要な装置」に該当するか
  否かについては、接続事業者がより柔軟なネットワーク構成ができるよう合理
  的な範囲内で判断されるようにすべきであり、第一次的には接続事業者の判断
  が優先されるようにすること。
 2 例えば、コロケーションしている複数の接続事業者の設備を接続したいとい
  う要望については、指定事業者はこれを拒否する合理的な理由がない限り対応
  することとして、こうした指定事業者の対応を担保するため、仮にコロケーシ
  ョン設備について指定事業者の業務遂行上制限すべき事項があれば指定事業者
  において必要最小限の範囲内における具体的な制限事項(ネガティブリスト)
  を明確にすること。
 3 局舎のコロケーションの料金は、公正競争を促進する観点から帳簿価額をベ
  ースとすること。
第7部 DSLの接続
 1 DSLは簡易にメガビット級の高速アクセスを実現させる有望な技術であり、
  接続事業者もアンバンドルベースで活用できるMDF接続を実現すること。
 2 指定事業者と接続事業者との公正競争を確保するため、電話との重畳やスプ
  リッタのコロケーションを含めた接続とすること。ただし、現時点で技術面・
  運用面の問題が完全にクリアされていないため、当面(1年程度)試験的な提
  供とし、その結果を踏まえて技術的条件を定めること。なお、技術的条件につ
  いては、意見集約のための検討の場を設定して具体的な検討を行うこと。


                  目 次 第1部 接続料の自己資本利益率  I 検討までの経緯   1 利用者向け料金設定に用いられた自己資本利益率の勘案   2 資本資産評価モデル的手法の採用  II 利用者向け料金設定に用いられた自己資本利益率の勘案  III 資本資産評価モデル(CAPM)的手法の採用   1 CAPM的手法の使用の継続   2 算定に用いられる期間   3 「無リスク金融商品の平均金利」   4 β値の算定について    ※ 接続会計結果に関する議論 第2部 予測原価・予測需要により算定される接続料の範囲  I 検討までの経緯  II 予測原価・予測需要による網使用料算定  III 予測原価・予測需要による網改造料算定 第3部 伝送路の接続料の速度区分  I 検討までの経緯  II 伝送速度区分の細分化 第4部 工事費等の算定  I 検討までの経緯  II 作業単金の算定   1 労務費単金の算定   2 物件費比率・管理共通費比率の算定  III 作業時間の算定 第5部 バンドルされたネットワークの利用  I 検討までの経緯  II 事業者向け割引料金の導入   1 端末回線線端接続に係る利用者向け料金等の準用への批判   2 事業者向け割引料金の導入   3 事業者向け割引料金の適用に向けた留意事項 第6部 コロケーションの条件  I 検討までの経緯  II 「接続に必要な装置」の範囲について  III 「接続に必要な装置」の利用目的制限について  IV 通信用建物の料金について  V 管路・とう道の提供条件に関する追加的論点について 第7部 DSLの接続  I 検討までの経緯   1 DSL(Digital Subscriber Line)の開発   2 DSL導入に向けた課題の整理   3 DSL導入の技術面・運用面の課題の検証   4 DSL導入の制度面の課題に関する整理   5 DSL導入の技術面の課題に関する規定の整備  II DSL導入の意義と技術面・運用面の課題について   1 DSL導入の意義   2 『ADSLフィールド実験の実施結果』   3 技術面の課題の克服   4 運用面の課題の克服  III DSLのMDF接続について   1 はじめに   2 技術的条件   3 光ファイバ化との関係   4 品質劣化への対応   5 その他の条件   6 結論
第1部 接続料の自己資本利益率
I 検討までの経緯

  1 利用者向け料金設定に用いられた自己資本利益率の勘案
    ―「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」の制定(平成9年
   12月)―

    指定電気通信設備の接続料の原価については、平成9年12月に制定され
   た郵政省令である「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」によ
   ってその算定方法が制度化され、アンバンドルされた機能毎に、当該機能に
   係る指定設備管理運営費、他人資本費用、自己資本費用及び利益対応税の合
   計として算定することとされた(第4条第1項)。このうち自己資本費用に
   ついては、次の計算式で計算されることとされている(第8条第1項)。

    自己資本費用
    =当該機能に係るレートベース×自己資本比率×自己資本利益率

    ここで用いられる自己資本利益率の水準については、その在り方が接続料
   の水準を大きく左右することから議論の対象となってきたが、この省令では
   「事業者の発行する社債券の格付その他の指標に照らして事業者と類似して
   いると認められる者の自己資本利益率及び事業者の電気通信役務に関する料
   金の算定に用いられた自己資本利益率を勘案した合理的な値とする」(同第
   8条第3項)と定められた。

  2 資本資産評価モデル的手法の採用
    ―第1次「接続料の算定に関する研究会」の検討(平成10年4月〜11
   月)―

    この自己資本利益率の在り方については、平成10年に日本電信電話株式
   会社(NTT。以下、平成11年7月1日の再編前の日本電信電話株式会社
   については「NTT」と略記し、再編後の東日本電信電話株式会社は「NT
   T東日本」、西日本電信電話株式会社は「NTT西日本」と略記する。)の
   接続約款の設定の認可が行われる際にも議論が行われ、同年3月20日の電
   気通信審議会答申では、「次年度以降の自己資本利益率について、次回の接
   続料の改定時までに、他の公益事業や諸外国の事例等を調査の上、その適切
   な水準の在り方について検討し、結論を得ること」につき措置が求められた。

    これを受けて郵政省で開催した第1次の「接続料の算定に関する研究会」
   では、同年11月6日にまとめた報告書において資本資産評価モデル(CAPM:C
   apital Asset Pricing Model)的な手法の採用と利用者向け料金において認
   可の申請時に採られた自己資本利益率とを勘案して自己資本利益率を定める
   ことが提言され、同月郵政省ではこの旨を接続約款の認可審査基準に盛り込
   んだ。

    同研究会では「今後は更に、具体的な数値等の蓄積及び検証を行い、更な
   る再計算時に際して見直しを行っていくことが必要である」としており、電
   気通信審議会答申(平成11年1月22日郵通議第111号)においても「
   次年度以降の自己資本利益率について、平成10年度における算定結果を参
   考とし、CAPMモデルの算定期間を含めその適切な水準の在り方について
   引き続き検討すること」が要望された。本研究会ではこれらを受けて接続料
   の算定に用いられる自己資本利益率の水準について検討を行った。



II 利用者向け料金設定に用いられた自己資本利益率の勘案

   利用者向け料金設定時における自己資本利益率の勘案については、なお第1次
  「接続料の算定に関する研究会」における議論が有効であると考えられる。同研
  究会の報告書では次のとおり総括された。

 「3 利用者向け料金における自己資本利益率との関係

    利用者向け料金において認可申請時に採られた自己資本利益率を、接続料
   の算定に際して、その自己資本利益率の設定に際して勘案すべきである、と
   いう主張がある。これは現行の郵政省令においても採られている考え方であ
   るが、接続料に係る事業リスクが、利用者向け料金に係るものに比べて一般
   には低くなると考えられることから、一定の合理性が認められるところであ
   る。

    現時点においては、利用者向け料金は、県内・県間別に設定されている訳
   ではなく、また、実績ベースで算定されるものでもないために、その自己資
   本利益率を直ちに接続料の自己資本利益率と比較する対象とすることは、精
   緻さを欠くきらいがあるが、接続料における自己資本利益率の設定に際して
   これを勘案材料の一つとすることは適当と認められる。

  4 結論

    当面は、上記のような事業の安定性とリスクとを織り込んだ指標を勘案す
   るとともに、利用者向け料金において認可の申請時に採られた自己資本利益
   率をも勘案してその値を決めるものとする。
    (後略)                            」

 この考え方は、利用者向けのサービスにおけるリスクやリターンと接続における
リスクやリターンとを比較した議論であったが、今回の検討の中では、この議論に
併せて、利用者向け料金とこれに対応するサービスの提供に際して指定電気通信設
備設置事業者の指定電気通信設備利用部門が支払うこととなる振替接続料との関係
についても議論が行われた。ここで展開されたのは、反競争性を検証する観点から、
基本的に前者が後者を上回っていることが検証されるべきであるとの議論であった。
これについては、個別的に特殊な反競争的とは言えない事情によって前者が後者を
下回っていることもあり得ると考えられるが、そういった事情も含めて接続料の再
計算にあわせてその検証と説明を指定電気通信設備設置事業者において行うことと
するのが適当である。


III 資本資産評価モデル(CAPM)的手法の採用
  1 CAPM的手法の使用の継続

    自己資本利益率の水準の決定に際してCAPM的手法を勘案することは『
   (第1次)接続料の算定に関する研究会 報告書』において提言され、その
   考え方は平成10年度の接続料の算定に際して導入された。
    この手法については本研究会における検討に際しても異を唱える議論はな
   く、また、指定電気通信設備設置事業者の接続について、事業の安定性とリ
   スクとを適切に織り込んだ指標となるものとして評価出来る1ことから、今後
   も引き続き次の算定式による算定結果E(期待自己資本利益率)を勘案対象と
   することとする。

1 『(第1次)接続料の算定に関する研究会 報告書』では、次のとおり提言され た。「料金等における自己資本利益率の水準の決定に際しては、設備投資に係る調 達コストを適正な範囲で賄えるような水準とすることを基本とするべきである。こ れについては、電気・ガスといった公益事業の料金や、英国におけるBTの接続料 の決定といった事例を見ると、事業の安定性とリスクとを織り込んだ指標を用いて その自己資本利益率とされることがある。NTTの接続料の算定についても、基本 的に同様な考え方を勘案することには、一定の合理性が認められる。  具体的には、資本資産評価モデル(CAPM:Capital Asset Pricing Model)において 採られている考え方を応用・適用する考え方が存在する。このモデルでは、資産市 場で成立する一般均衡状態において、合理的な期待形成を行う投資家のポートフォ リオは市場ポートフォリオと無リスク資産との組み合わせになり、その期待収益率 は次の式で示される。      E(Ri) = Rf + β [E(Rm) - Rf]          Rm : 市場ポートフォリオのリターン          Rf : 無リスク資産のリターン          β : 対市場ポートフォリオの感応度  ここで得られる期待収益率の算出方法を、NTTの接続料の算定における自己資 本利益率の設定にそのまま適用することの是非については、なおその諸要素につい て吟味していく必要があるが、接続料における自己資本利益率の設定に際してこの 考え方に基づき算出されたものを勘案材料の一つとすることは、事業の安定性とリ スクとを織り込んだ指標を用いて客観的な基準を設定しようというものであり、適 当と認められる。具体的には、次の算定式による算定結果E(期待自己資本利益率) を勘案することとする。    E = (無リスク金融商品の平均金利) + β [(他産業における主要企業の        平均自己資本利益率) - (無リスク金融商品の平均金利)]     β( 事業者固有のリスク)は、次の式を基礎として決定する。ただし、自    己資本利益率に替えて株式価格を採用することを妨げない。        指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者の自己資        本利益率(指定電気通信設備に係る会計部門のもの)と主要        企業の平均自己資本利益率の共分散

       主要企業の平均自己資本利益率の分散
  2 算定に用いられる期間     算定に用いられる期間については、『(第1次)接続料の算定に関する研    究会 報告書』では、暫定的に「新サービスの利用者向け料金の算定期間が    5年間であること等から、原則として直近の5年間とし、各年度について算    定の上、その平均値を採ることが適当と考えられる」としたところであるが、    同時に、「経済実勢を踏まえて適切に対応できるようにするため、算定期間    について柔軟に取り扱うことも検討する必要がある」ことを指摘していた。     この問題については、現在のように経済の構造変化が起こっている中では、    接続料の水準にも経済の実勢を反映させることが重要であり、そのためには    算定に用いられる期間を直近の5年間とするのは長過ぎるのではないかとの    批判があった。また、接続料の算定期間は毎年の実勢を着実に反映させるた    め、1年間となっており、自己資本利益率の算定に用いられる期間について    もこれにあわせて1年間とするのが適当であるとの意見があった。     これに対して、接続料の自己資本利益率については、指定電気通信設備の    安定的な維持・運営のための投資に対するリターンという観点を考慮すると、    経済の構造変化時においても年度毎の変化を緩和するという趣旨から、5年    間の平均としている現在の算定期間を変更する必要はないという意見も出さ    れた。    【結論】     これについては、自己資本利益率の算定に用いられる期間は、経済実勢を    より適確に反映させるため、接続料の算定期間にあわせて、基本的には1年    間とすることが妥当とも考えられるが、あまりに短期間では過度に各年度の    撹乱要因に左右され過ぎるのではないかとの懸念もあることを考慮して、複    数年とするのが適当である。具体的な年数については、電気通信役務の提供    条件を変更する際に考慮される合理的なタイムスパンとして、既存の利用者    料金の変更の際の算定期間が3年間であることを参考として直近の3年間に    ついて算定することが適当である。   3 「無リスク金融商品の平均金利」     「無リスク金融商品の平均金利」(リスクフリーレート)については、平    成10年度の接続料再計算の際には国債10年もの及び国債5年ものの2つ    について勘案されている。前者は指定電気通信設備全体の平均的な耐用年数    に着目したものであり、後者は自己資本利益率の算定期間が5年間であるこ    とに着目したものであった。    【結論】     これについては、ここで採られるべき「無リスク金融商品の平均金利」と    は指定電気通信設備への投資に対する機会費用として捉えられるべきことか    ら、指定電気通信設備の耐用年数に着目することには合理性が認められると    ころであり、国債10年ものの金利を採ることが適当である。   4 β値の算定について     β値の設定については、『(第1次)接続料の算定に関する研究会 報告     書』では2つの考え方を併記し、平成10年度の接続料再計算に際しては     その双方を勘案することとしていた。      そのうちの1つは(1)「主要企業の株式価格の変化に対するNTT株     式の感応度を元にβ値を求める、という考え方」であった。これについて     は、「その値がNTTの長距離通信部門を含む形で計測されることとなる     ので、例えば他産業の例を参考とするなど、適切な調整が行われることが     必要である」との指摘が第1次研究会報告書でもなされ、また、現在持株     会社となっている日本電信電話株式会社の株価の動向には外生的要因が大     きいので、これを用いて算定すること自体に批判的な意見もある。      併記されていたもう一方は、(2)「主要企業の自己資本利益率の変化     に対するNTTの自己資本利益率の感応度を用いてβ値を算出するという     考え方」であった。これについては、「地域通信事業部の実績自己資本利     益率を用いることができるが、主要企業の自己資本利益率と当該利益率と     の間に有意な相関性が認められるかの吟味が必要になる」との指摘が第1     次研究会報告書でなされている。     【結論】      指定電気通信設備設置事業者の接続料の算定に際しては、上記(2)の     考え方については平成10年度においては有意な数値が検出されず、(2)     の考え方の有意性については引続き実際の運用を通じて検証していく必要     があるが、これを参考としつつ、当面は(1)を基本とし、他産業の例な     どを参考として適正に調整した値としてβ値を導出していくことが適当で     ある。この値は、年度毎の接続料の再計算前にその年度について決定する     ことが適当である。     ※ 接続会計結果に関する議論       平成10年度より導入された接続会計の会計結果が11年度に公表さ      れることとなっている。これは指定電気通信設備設置事業者の接続会計      結果としては最初のものとなるが、これによって指定電気通信設備管理      部門と指定電気通信設備利用部門の収支が明らかとなり、また、指定電      気通信設備管理部門の事後的な報酬の水準も明らかになる。       接続会計結果によっては、例えば指定電気通信設備管理部門が黒字で      あるのに対して同利用部門が赤字である場合や、同管理部門の報酬率が      事前に設定された報酬率や、利用者向けのサービス(電話の加入者回線      の提供に係るもの(基本料及び公衆電話)及び無料で提供されてきたと      いう経緯のある番号案内を除く。)で得られている報酬率を超えるよう      な場合も想定され得る。       そういった場合については、次のような点について検討することが必      要である。      (1) 指定電気通信設備管理部門と同利用部門との間で内部相互補助         が行われていることにはならないか2。      (2) 利用者向け料金の水準がダンピング的だということにはならな         いか。      (3) 事後的な報酬率が事前に設定した適正な報酬率を超過する分に         ついてどのように考えるべきか。仮に、超過分について、精算す         るとすれば、現在の二分の一のタイムラグ精算はこれと整合性が         とれるのか。また、適正な報酬率を下回った場合はどうするのか。
2 『電気通信事業接続会計研究会 報告書』(平成9年9月)では、次のとおり接 続会計の内部相互補助のモニタリング機能について記述されている(I 接続会計制 度の理念・目的について 2 接続会計制度の果たすべき機能 (2)「社内取引会計 制度」としての内部相互補助のモニタリング機能)。  「接続会計制度においては、指定電気通信設備を設置した第一種電気通信事業者 の会計を指定電気通信設備の管理運営に関する活動と指定電気通信設備を利用した サービス提供に関する活動に区分し、指定電気通信設備の利用に関して他事業者と 同一の条件の社内(振替)取引を擬制して双方の損益状況を明らかにすることによ って、内部相互補助をモニタリングすることが可能となる。」
第2部 予測原価・予測需要により算定される接続料の範囲
I 検討までの経緯

   指定電気通信設備設置事業者の接続料は原則としてその年度の前年度の会計
  結果実績により算定されるが、例外的に予測原価・予測需要により算定される
  ことがある。そういった類例の第1として想定されているのは、郵政省令「指
  定電気通信設備の接続料の算定に係る原価算定規則」に規定された考え方であ
  って、新規で今後相当の需要の増加が見込まれる電気通信役務を提供するため
  の機能について適用することが出来ることとなっている3。

   第2の類例としては、前年度の会計結果と当年度の原価・需要とが大きく乖
  離するときについて採られた考え方がある。平成10年度の接続料再計算時に
  は、ISM交換機能に係る接続料について、これによって提供されるISDN
  サービスの需要の伸びが殊に顕著であったことから、郵政大臣の許可を受けて
  予測原価・予測需要による算定が行われた4。これについては、電気通信審議会
  による意見招請時においても、「実績原価と将来原価の適用選択…等について、
  NTTが恣意的に設定する」こと等への懸念も寄せられはしたが、予測原価・
  予測需要による算定自体については「NTT殿の決断を高く評価」するという
  ような意見が大勢であった。

   電気通信審議会答申(平成11年1月22日郵通議第111号)においても、
  「今回の再計算において、ISM交換機能の網使用料の算定について採られた
  将来需要・将来原価による算定方式は、支払額が実績ベースから大きく乖離す
  ることを回避するための有効な手段であるので、その適用範囲の在り方につい
  て検討すること」が要望され、本研究会ではこれを受けて網使用料が予測原価
  ・予測需要により算定される範囲について検討を行った。


3 「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」では、第4条第2項但書に おいて、「指定電気設備にその電気通信設備を接続する電気通信事業者が省令で定 める機能を利用して提供しようとする電気通信役務が新規であり、かつ、今後相当 の需要の増加が見込まれるものであるとき」については予測原価・予測需要方式で 算定されることが規定されている。 4 平成10年11月20日、平成10年度の接続料再計算の認可申請に先立って、 NTTはこれを行うための許可申請を行い、申請どおり郵政大臣より許可が行われ たが、その際の申請理由は次のとおりとされていた。 「ISDNサービスについては、近年、急速に需要が拡大しており、平成9年度に おいては通信量が対前年度と比較し顕著に増加したことから、需要変動による接続 料の平準化を図るため。」
II 予測原価・予測需要による網使用料算定

   実績ベースを原則とする接続料において、予測原価・予測需要による算定を
  行う考え方を採る意義は、主にタイムラグ精算との関係において、次のとおり
  考えられる。

  1 タイムラグ精算後にも接続事業者から指定電気通信設備設置事業者への差
     引支払額が当年度ベースの額から大きく乖離することを防ぐこと
  2 当初支払額が過度に大きくなることを防ぐこと

    これらの意義については今後も重要と考えられることから、予測原価・予
   測需要により算定を行うという考え方を継続していくことは適当と考えられ
   る。

    平成11年度の接続料の再計算を見通したとき、予測原価・予測需要によ
   る算定の可能性が検討される余地のある機能としては、新規の機能である「
   加入者交換機機能メニュー利用機能」の他、非新規の機能として「番号案内
   サービス接続機能」「番号データベース接続機能」「ISM交換機能」の3
   機能が指摘されてきている。新規の機能については現行の「指定電気通信設
   備の接続料に関する原価算定規則」第4条第2項但書の適用により対処され
   得るが、その他の非新規機能についても、その原価の減少や需要の増加の動
   向を見極め、これが顕著である場合には個別に郵政大臣の許可を受けること
   で予測原価・予測需要により算定されることが適当である。

    なお、非新規の機能について予測原価・予測需要による算定を行う際は、
   接続料の算定が実績主義を重視している趣旨や、年度毎に再計算を行ってい
   る趣旨に鑑み、予測の精度が十分高いと考えられる当年度の1年間とするこ
   とが適当と考えられる。


III 予測原価・予測需要による網改造料算定

   網改造料の年額料金は、現在、設備管理運営費、他人資本費用、自己資本費
  用、利益対応税の合計額として算出されている。このうち設備管理運営費は設
  備の取得固定資産価額を元にして算出しているが、取得固定資産価額の算定に
  際しては当年度の建設費、購入費等に対して前年度決算値による取付費比率、
  諸掛費比率、共通割掛費比率といった係数を乗じて求めている5。

   ここでの算定において、建設費等について当年度ベースの値が用いられてい
  るが、これに対して、前述の係数や設備管理運営費率等は前年度のものを使い
  これを乗じている。当年度のコスト算定を基本とする接続料において、建設費
  等が当年度ベースとなっていることには合理性が認められるが、これに乗じる
  ことになる係数について前年度のものが使われていることには合理的な理由に
  は乏しい。従って、これら係数等についても当年度の予測値を用いることとす
  るのが適当と考えられる。


5 設備の取得固定資産価額は、下記ア〜オの合計として算出されている。 ア 通信用建物に係る取得固定資産価額 =建物建設費+諸掛費    ↓     ↓    ↓    =建物建設費×諸掛費比率   =当該建物に係る建設費用×当該設備の占有度 イ 土地に係る取得固定資産価額 =敷地買収費+諸掛費     ↓    ↓     ↓   =敷地買収費×諸掛費比率   =当該土地に係る購入費用×当該設備の占有度 ウ 電力設備に係る取得固定資産価額 =工事費(物品費+取付費)+諸掛費+共通割掛費    ↓   ↓    ↓    ↓    ↓   ↓    ↓   =(工事費(物品費+取付費)+諸掛費)×共通割掛費比率    ↓   ↓   =工事費(物品費+取付費)×諸掛費比率    ↓   =物品費×取付費比率   =当該設備に係る装置(受電装置、発電機、整流器、バッテリー等)の購入費用×当該設備の占有度 エ 上記以外の電気通信設備(ソフトウェアを除く)に係る取得固定資産価額  =工事費(物品費+取付費)+諸掛費+共通割掛費         ↓    ↓     ↓    ↓         ↓    ↓     ↓  =(工事費(物品費+取付費)+諸掛費)×共通割掛費比率         ↓    ↓    =工事費(物品費+取付費)×諸掛費比率         ↓   =物品費×取付費比率        =当該設備に係る装置の購入費用×当該設備の占有度 オ ソフトウェアに係る取得固定資産価額  =開発費+取付費+共通割掛費    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    =(開発費+取付費)×共通割掛費比率    ↓   =取付に要する平均的な稼動をもとに、NTTが個別に算定  =NTTにおける当該機能の開発のために必要となる外注費、物品費及び人件費等の費用をもとに NTTが算定
第3部 伝送路の接続料の速度区分
I 検討までの経緯

   指定電気通信設備設置事業者の接続料は省令で定められる各機能毎に算定さ
  れているが、このうち専ら接続事業者が利用する伝送路に関する機能について
  は、中継伝送機能(専用型)、或いは交換伝送機能として、接続約款設定時か
  ら平成10年度までは原則として専用サービスの利用者向け料金を準用する形
  で接続料が設定されている。

   このうち中継伝送機能(専用型)とは、加入者交換機と市外中継交換機との
  間の伝送路設備を専ら協定事業者が利用して通信を伝送する機能であるが、平
  成10年度より「同一通信用建物内に終始する機能」についてのみは、伝送速
  度区分毎に料金額が設定されている。しかし、伝送速度区分についてはなおも
  専用サービスにおいて採られている区分がそのまま準用されており、6メガビ
  ット毎秒相当を超えると50メガビット毎秒相当までは区分が設定されていな
  いため、6メガビット毎秒を僅かでも越えると接続料が約7倍になるといった
  問題が指摘されていた。

   中継伝送機能(専用型)及び交換伝送機能は平成11年度より利用者向け料
  金の準用を行わずに、接続会計結果により算定されることになっている。しか
  しながら「同一通信用建物内に終始する機能」について指摘されている問題は
  これらについても妥当する可能性があることから、電気通信審議会答申(平成
  11年1月22日郵通議第111号)では、これらに共通の問題として、「伝
  送機能における伝送速度区分の見直し」について要望を行っている。そこで要
  望されているのは「接続事業者が効率的なネットワークを構築することが出来
  るようにするため、接続事業者のニーズを踏まえた区分とすることを検討する
  こと」であったが、本研究会ではこれを受けて、伝送機能の伝送速度区分につ
  いて検討を行った。

II 伝送速度区分の細分化

   中継伝送機能(専用型)について、同一建物内に終始する場合も含め、全て
  の形態について、現行の区分を見直し、24回線単位の伝送速度区分とするこ
  とは、現在の伝送方法にも即しており、また、接続事業者のニーズにも充分柔
  軟に応じることが出来るものであり、適当と考えられる。平成10年度におい
  ては、料金請求システムの対応について問題があったために伝送速度区分の細
  分化は行われなかったが、これについては、平成11年度の再計算時迄には対
  応が可能ということであり、この改善措置が採られることが必要である。

   なお、交換伝送機能については、ユーザへ提供する専用線設備構成と同様に、
  6メガビット毎秒、50メガビット毎秒等の品目と同じ容量の回線が占有され
  ていることから、専用サービスにおいて採られている伝送速度区分により料金
  を設定することは現時点では特に問題ないと考えられる。

   また、これに付随して、中継伝送機能(共用型)が中継伝送機能(専用型)
  に比べて高すぎるのではないかという意見を提示した事業者があった。中継伝
  送機能(共用型)とは、加入者交換機と市外中継交換機との間の伝送路設備を
  指定電気通信事業者及び協定事業者が共用して通信を伝送する機能であるが、
  ここで示された利用形態の異なる中継伝送機能(専用型)と中継伝送機能(共
  用型)とが仮想的な利用秒数で割った料金で比較して同等であるべきという考
  え方は、仮想的な効用をベースとする発想であり、接続料がコストベースで算
  定されるという現行の考え方に沿うものとは必ずしも言えない。

   中継伝送機能(共用型)が他の機能に比べて相対的に高いとする具体的な証
  拠は指摘されておらず、本機能について、特に他の機能と異なる算定方法が採
  られている訳でもないが、接続料全体としては一層の低廉化が望まれるところ
  である。


第4部 工事費等の算定
I 検討までの経緯

   平成10年3月に認可された、NTTが設定した当初の接続約款においては、
  工事費、手続費等については簡単な算出式での記載が主体となっていた。これ
  に対しては、その認可に際して出された電気通信審議会答申(平成10年3月
  20日郵通議第143号)において、NTTにおいて講ずべき措置として、「
  保守費、工事費及び手続費について、作業の種類ごとのコストや算定方法を整
  理し、次回の接続の改定時においては、可能な限り実額とすること」が求めら
  れた。

   この答申を受けた措置は、平成10年度の接続料再計算においてなされ、算
  出式も整理し直された。その認可に際して電気通信審議会が行った意見聴取に
  対しては、工事費等に用いられる作業単金について、割高ではないかとの意見
  が多数出され、電気通信審議会答申(平成11年1月22日郵通議第111号)
  では、「工事費等の算定に用いられる作業単金の水準等については、その水準
  や算定方法につき多様な議論があるので、NTT及び接続事業者の意見を聞き
  ながら論点を整理した上で、作業単金をめぐる実態の把握、適切な水準の在り
  方、低減化策等を検討すること」が郵政省に対して要望された。

   本研究会ではこれを受けて、電気通信審議会に対して意見の提出を行った事
  業者等による「作業単金に関する検討会」(東京通信ネットワーク株式会社、
  NTTの取りまとめにより平成11年4月27日、5月13日に開催。)に論
  点の抽出を依頼し、そこで整理された論点に沿って、接続に関して支払いが請
  求される工事費等の算出に用いられる作業単金の水準等について検討を行った。


II 作業単金の算定

  1 労務費単金の算定

    指定電気通信設備設置事業者の指定電気通信設備との接続に関して支払い
   が求められる工事費、手続費、及び、預かり保守契約に基づく負担額のうち
   の設備保守費などに使用されている作業単金は、1労務費単金、2物件費、
   3管理共通費、4報酬、5利益対応税の合計として算定されている。

    このうち1労務費単金については、前年度のNTTの労務費の全体(超過
   勤務手当・雑給を除く。)を「従業員数×225日×7.5時間」で除し、
   これにベースアップ分を加えることで当年度の労務費としている。

    しかしながらここで使用されている労務費はNTTの全社員のものとなっ
   ており、当該作業に関わる人員(主に施設保全部門)のものに限定されてい
   ないという問題がある。これについては、NTTの説明では、NTTにおい
   ては施設保全費の内の労務費までは把握しているが、これが対応する人員数
   が把握不可能であり、把握可能な人員数に見合った労務費を求めるとなると
   全社員のものしかないとのことであった。

    これについては、労務費単金の算定に指定電気通信設備設置事業者の労務
   費全体をそのまま使用していることについて疑問があるので、指定電気通信
   設備設置事業者において人員数のサンプル調査を実施することで施設保全に
   係る労務費単金を推計する作業を行うことが必要と考えられる。本作業につ
   いては、次回の接続料再計算時迄に行うものとする。

    但し、上記の労務費単金の推計が困難であったり、推計が出来ても著しく
   不適切な結果となる場合においては、指定電気通信設備設置事業者の労務費
   に基づくのではなく、例えば財団法人建設物価調査会「通信工事技術者賃金
   実態調査」による「通信工事技術者の賃金」を用いたり、モデル化を行うと
   いったような他の方法を活用する等、指定電気通信設備設置事業者に適切な
   コスト削減インセンティヴをもたらすような算定方法を検討する必要がある。

  2 物件費比率・管理共通費比率の算定

    次に、2物件費及び3管理共通費についてであるが、これらは前年度決算
   値における労務費に対する各々の比率を、当年度予測値の労務費に乗じるこ
   とでこれを求めている。

    ここでの算定において、労務費についてはベースアップ分を加味した当年
   度予測値が用いられているが、これに対して、物件費比率・管理共通費比率
   は前年度のものを使いこれを乗じている訳であるから、算定の各要素に一貫
   性を欠くきらいがある。

    当年度のコスト算定を基本とする接続料において、労務費について当年度
   予測値が使われていることには合理性が認められるが、これに乗じることに
   なる比率について前年度のものが使われていることには合理的な理由には乏
   しい。従って、物件費比率・管理共通費比率についても当年度の予測値を用
   いることとするのが適当と考えられる。その際には、交際費などの作業に直
   接関係しない費用についてはこれを除外して算定することが必要である。

III 作業時間の算定

    工事費は作業単金に作業時間を乗じて算定されている。従って、その水準
   の在り方を検討するためには、作業単金だけではなく、もう一方の決定要素
   である作業時間についてもその在り方について考察する必要がある。

    現在、作業時間に関しては、指定電気通信設備設置事業者において内部的
   に標準的な作業を定型化した標準的な工数を定め、それに工事箇所数等の帰
   納物を乗じて接続事業者の負担額を算定しているとのことであった。この内
   部的な標準工数は、指定電気通信設備設置事業者が独自に定めた標準工程を
   ベースとしており、同時工事による共通稼動の削減等の工夫が料金に反映さ
   れづらい形になっている。

    これについては、毎年度の接続料の再計算の時期にあわせて指定電気通信
   設備設置事業者において工数等を調査し、その結果を接続事業者と協議する
   こと、算定にあたっての帰納物数を適切なものへ変更すること等を含む、工
   数削減を料金に反映させていく定期的な工数見直しのルールを策定し、これ
   によって定められる工程が料金に反映されるようにすることが適当である。


第5部 バンドルされたネットワークの利用
I 検討までの経緯

   接続(約款外役務の提供を含む。)に要する費用と利用者向け料金の対応費
  用との範囲の違いについては、平成7年に郵政省よりNTTに対して両者の構
  造上の違いを反映した接続料の算定方法に関する導入案を早急にとりまとめる
  ことを求める文書が発出された6のを契機として、平成7年度と8年度に議論が
  行われ、接続料の算定に反映された7。

   ここで採られた基本的な考え方は電気通信審議会答申『接続の基本的ルール
  の在り方について』(平成8年12月19日)においても踏襲され8、現在接続
  料の算定にあたっては、この考え方を基本とした接続会計結果9から求められる
  原価に基づくこととされている。その具体的な算定の方法については郵政省令
  である「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」において規定され
  ている。

   しかしながら、ネットワークをアンバンドルしない形態による端末回線線端
  接続については、その際の接続料について、現在は上記の考え方からすると例
  外的な扱いが採られている。これは平成10年1月30日にNTTから、「指
  定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」の規定の例外扱いとして、「
  端末回線の線端において、契約者と同一の形態で接続する場合の接続料につい
  て、接続する役務の種類に応じ、各々の契約約款の料金を準用すること」につ
  いて許可申請があり許可されたものである。許可申請事由としては、「当該接
  続に係るトラヒック及び使用する設備を契約者と区別して把握することが困難
  である」ことが理由とされた。
   現在、指定電気通信設備設置事業者の接続約款第4条において端末回線線端
  接続については接続料が利用者向け料金を準用することが規定されている10。

   平成10年度の接続料再計算に際して電気通信審議会が行った意見聴取にお
  いて、この第4条の考え方及びその運用方法を批判する意見が関係事業者等か
  ら提出された。これなどについて審議した結果として、電気通信審議会答申(
  平成11年1月22日郵通議第111号)では、「端末回線の線端接続の条件
  については、接続料と利用者向け料金との対応する費用範囲の違いを踏まえる
  とともに、コスト面等で特段の理由がないのに接続事業者が不利益を被ること
  のないようにするとの考えのもとに、利用者向け料金・契約約款が準用される
  範囲について検討すること」が郵政省に対して要望された。

   本研究会ではこれを受けて、ネットワークをアンバンドルしない形態による
  端末回線線端接続の接続料・接続条件に関して、利用者向け料金・契約約款を
  準用する範囲等の考え方について検討を行った。


6 郵政省よりNTT宛で発出された文書「NTT地域通信網との接続協議の手順等 の明確化について」(平成7年2月23日郵電業第165号)において、接続(約 款外役務の提供を含む。)に要する費用に関して、「他の電気通信事業者に負担を 求める接続費用(ソフト開発費用を含む)について、一般の利用者への役務提供に 要する費用との費用構造上の相違を反映した算定方法に関する貴社としての具体的 な導入案を早急にとりまとめること」が求められた。 7 平成7年2月23日郵電業第165号を受けて、NTTは営業費などの一部を接 続コストから除外する旨を整理した「事業者間接続料金の設備要素ごとの費用の内 訳及び費用範囲の明確化について」(相接第308号平成7年11月28日)を郵 政省に対して報告した。このときの費用範囲の考え方が平成7年度の接続料の算定 に際して反映されることになったが、この考え方はNTTと第二電電(株)、日本 テレコム(株)、日本高速通信(株)との間の協議によって更に見直され、それを 反映させた平成8年度の接続料を規定する接続協定が締結された(認可申請は平成 9年3月19日)。 8 接続料の原価について、「営業費は接続に関連がないため原則的に接続料金原価 から除外される。また、試験研究費についても、不可欠設備の管理運営に要するこ とが明確にされたもののみが接続料金原価に参入され、それ以外の部分は原価から 除外される」とした(第IV章 特定事業者に関する特別なルール 第4節 接続料金 の算定 1 接続料金算定の考え方 (3))。 9 『電気通信事業接続会計研究会 報告書』(平成9年9月)でも、営業費や試験 研究費などの扱いについて、上記電気通信審議会答申に示された見解に則して取り 扱うものとしている。 10 次のとおり規定されている。 「(端末回線線端接続事業者の料金及び技術的条件等) 第4条 当社は、端末回線線端接続事業者と接続する場合において、その接続形態 が契約者と同一であるときは、料金の計算及び支払い、接続料金(番号案内機能に 係るものを除きます。)及び技術的条件のうち、その接続する役務の種類に応じ、 各々の契約約款に規定されている部分については、第1条(約款の適用)の規定に かかわらず、その契約約款の規定を準用します。」
II 事業者向け割引料金の導入

  1 端末回線線端接続に係る利用者向け料金等の準用への批判

    NTT東日本・西日本の接続約款第4条の考え方及び運用に関しては、平
   成10年度の当時のNTTの接続料再計算に際して電気通信審議会が行った
   意見聴取の結果、また、本研究会での検討を通じて、2とおりの形での批判
   が見られた。

    まず、(1)接続約款第4条の規定自体についての批判があった。すなわ
   ち、端末回線線端接続に係る接続料についても利用者向け料金とでは対応す
   る費用範囲が異なるはずであり、これをアンバンドルされた機能毎の接続料
   と扱いを異にして、利用者向けの料金と同額とすることには説得力のある理
   由がないとの批判である。主に、第二種電気通信事業者が指定電気通信設備
   設置事業者のネットワークをエンドエンドで利用する際には基本的に利用者
   向け料金でしか提供されないことに対する批判であった。

    また、(2)第4条の規定の運用についての批判もあった。すなわち、利
   用者向けの提供条件のうち利用休止や名義変更、割引料金の一部については
   実行上接続事業者への適用がなされておらず、その結果利用者よりも接続事
   業者の方が提供条件が悪くなっているとの批判である。公衆電話の提供のた
   めに指定電気通信設備設置事業者回線と線端で接続する際に、これを利用の
   休止とすることが認められないために、一時的な接続の停止を行い、再度利
   用を再開する度に施設設置負担金の負担を求められてしまうことなどについ
   て批判が行われた。

  2 事業者向け割引料金の導入

    利用者向け料金と接続料との費用範囲の違いについての考え方は、アンバ
   ンドルされた機能毎の料金であっても端末回線の線端でのバンドルされた料
   金であっても基本的に相違は認められないことで整理されてきた。そういっ
   た意味で1で述べた(1)の批判には理由があると考えられる。これに関し
   ては、第二種電気通信事業者について、一般の利用者向けの料金を準用する
   考え方は、第二種電気通信事業者を利用者と区別するのが困難であるからだ
   というような主張があるが、これはむしろ利用者と同様の立場として扱って
   いることから起こるものである。利用者と区別した費用範囲等についても本
   来これの把握に努めるべきものである。

    1で述べた(1)の批判に応えるべく、仮に端末回線線端での接続料をア
   ンバンドルされた機能毎に算定された接続料の合計額として算定したときに
   は、利用者向け料金とは大幅に異なる料金体系が採られることになるので、
   部分部分によっては接続料が利用者向け料金を上回ることが起こり得る。一
   般には接続料についていかなる場合にも利用者向けサービスの提供条件より
   も優位な条件であるべきだということは言えないが、端末回線線端接続の接
   続料は利用者と同一の形態での接続に関する料金であることから、利用者向
   け料金との競合関係が顕著でその比較も明瞭であり、1で述べた(2)の批
   判にも見られるように、接続事業者においては、利用者よりも接続事業者の
   方が提供条件が悪くならないことへの要請が特に強いと考えられる。従って、
   線端接続に関しては、利用者向け料金と事業者向け料金との費用範囲の違い
   を反映させる方法について、アンバンドルされた機能毎に算定された接続料
   の合計額とはしない、別の算定方法を検討する必要がある。

    1で述べた(2)の批判に対しては、再編前当時のNTTでは、利用休止や
   名義変更、割引料金の一部の各々の場合につき、接続事業者と利用者の条件
   が異なると考えていたことから接続事業者への適用を行わなかったと説明し
   たが、本研究会において検討を行う中で、これらの説明には十分な理由がな
   いと考えられる一方、NTT東日本・西日本においても現状を把握した上で
   問題がないことを確認し、接続事業者への適用を行うとしているので、その
   限りにおいて接続事業者の指摘していたような問題は解消されたと見られる。

    1における(1)(2)双方の批判に応える在り方としては次のとおり整理
   することが適当と考えられる。すなわち、端末回線線端接続に係る接続料の
   算定に際しては、利用者向け料金との対応費用範囲の差異を考慮すべきであ
   るが、その考慮の際には、アンバンドルされた機能毎に算定された接続料の
   合計額として算定するのではなく、利用者向け料金から費用範囲の差異を反
   映させた適切な割合を引いた料金(以下「事業者向け割引料金」という。)
   として設定することが適当と考えられる。

  3 事業者向け割引料金の適用に向けた留意事項

    但し、この事業者向け割引料金の適用については、次の点について留意す
   る必要がある。

    まず第一に、利用者向け料金の準用の廃止については、専用線以外につい
   ては特に要望が表明されてきておらず、かつ、公衆網については事業者向け
   割引料金の設定のためには課金システムの導入のための改修規模が大きいこ
   とが予想される。費用対効果上の懸念もあることから、当面は専用線のみに
   ついて、事業者向け割引料金の設定を行うこととし、これについては必要な
   課金システムの導入のための合理的な改修期間の後に行うことが適当である。

    第二に、このように事業者向け割引料金を設定する際には、その対象とな
   る事業者において単なる利用者とは区別される電気通信役務の提供主体とし
   ての実態を有するものであるとともに、設定対象となる設備が実際に事業者
   の事業の用に供されていることが前提となる。これらの点については、指定
   電気通信設備設置事業者が割引料金の適用を求める事業者と接続する際に確
   認できるような担保措置が採られることが必要である。

    なお、端末回線線端接続においては、現実の運用面において、コンサルテ
   ィング活動・受付方法・料金請求方法・開通工事・アフターコンサルティン
   グ等について利用者に対するのと同等の扱いがなされているが、事業者向け
   割引料金を設定する際には、これらのサービス運営方法について、端末回線
   線端接続以外の接続の場合と同様の方法に変更せざるを得ない可能性がある。

    以上については端末回線線端接続について議論を行ってきたが、これにつ
   いては、端末回線線端において指定電気通信設備設置事業者のネットワーク
   を利用するのであれば基本的に同じ考え方が当て嵌まると考えられるので、
   電気通信事業法上の接続にあたる場合でも約款外役務による提供の場合でも
   基本的に同様に適用されるべきであると考えられる。


第6部 コロケーションの条件
I 検討までの経緯

   接続事業者が接続に必要な装置を指定電気通信設備設置事業者の通信用建物
  に設置すること(コロケーション)については、郵政省令である「電気通信事
  業法施行規則」第23条の4第3項第2号において、「他事業者が接続に必要
  な装置を指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者の建物・・・に設
  置する場合において負担すべき金額及び条件」が指定電気通信設備設置事業者
  の接続約款に記載されるべき事項として規定されている。

   これを受けて、指定電気通信設備設置事業者の接続約款には、コロケーショ
  ンのための手続について第14条に、その条件について料金表第3表第1に規
  定が設けられている。これに関しては、平成10年度の接続料再計算に際して、
  当時のNTTが運用上「接続に必要な装置」の範囲を狭く捉え過ぎているので
  はないか、一旦コロケーションが実現した設備についてもその利用目的を不必
  要に制限し過ぎているのではないかとの批判がなされた。

   この他、管路・とう道の利用条件についても議論があったことから、これと
  併せて、電気通信審議会答申(平成11年1月22日郵通議第111号)にお
  いて「預かり保守契約(コロケーション)の在り方については、NTTの通信
  用建物のボトルネック性に配意しながら、NTTが設置に応じるべき装置の範
  囲及びその設置条件を明確化するとともに、管路・とう道の利用条件の在り方
  について引き続き検討すること」が要望された。

   本研究会ではこれを受けて、指定電気通信設備設置事業者の通信用建物の利
  用条件について検討を行うと共に、管路・とう道の利用条件に関しても提起さ
  れた論点について検討を行った。

II 「接続に必要な装置」の範囲について

   接続約款に記載されるべきコロケーション条件の対象となる設備は、「電気
  通信事業法施行規則」第23条の4第3項第2号に規定される「接続に必要な
  装置」がこれに該当するが、その範囲がどこまでを含むのかについて議論が行
  われた。

   指定電気通信設備設置事業者からなされた議論は、「線長制限がある等のP
  OIに隣接して設置しなければならない技術的な制約がある装置等」がこれに
  該当する、或いは「NNI機能」についてはこれに該当するが「UNI機能」
  はこれに該当しないとするものであった。

   しかしながら、コロケーション条件は、電気通信事業法第38条の2第3項
  第1号ニに規定される「指定電気通信設備との接続を円滑に行うために必要な
  もの」として規定されているものであり、その趣旨は、接続事業者が接続を行
  う上で技術的・経済的等の観点から代替が困難であるが故にコロケーションは
  「接続を円滑に行うために必要」だということにあると理解される。

   従って、コロケーションを行う装置が接続点に隣接して設置しなければなら
  ない技術的な制約があるとか、対応するインタフェースがNNIであるといっ
  たような事情は、その装置がここに言う「接続に必要な装置」に該当するか否
  かを判断するために考慮されるべき事項とは言えない。「接続に必要な装置」
  は字義どおり、接続を円滑に行うために必要である装置がこれに該当するので
  あるから、個別の装置類がこれに当て嵌まるか否かは、接続事業者において技
  術的・経済的等による代替性の観点からそれが必要であると判断されるか否か
  を基本として、合理的な範囲内で判断されるべきである。


III 「接続に必要な装置」の利用目的制限について

   「接続に必要な装置」としてコロケーションの対象となった設備について、
  その利用が指定電気通信設備設置事業者から制限を受けているとしてこれを批
  判する意見が接続事業者から出されてきた。これはコロケーションの対象とな
  っている異なる接続事業者の設備同士を接続すること等について、これが指定
  電気通信設備設置事業者の任意の判断によって実現できなかったことに対する
  批判であった。

   コロケーションの対象となった装置について、指定電気通信設備との接続以
  外の目的で無制限にどのような利用がなされてもよいということは言えないが、
  その一方で、そもそもコロケーションの条件が「指定電気通信設備との接続を
  円滑に行うために必要なもの」として接続約款に定められることとされている
  のは、指定設備との接続が利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理
  的な発達に欠くことができないためであることに留意する必要がある。

   コロケーションの条件は、その他の指定電気通信設備への接続条件と共に、
  接続事業者が合理的な範囲内で経済的に効率的なサービス展開が出来ることも
  考慮して定められるべきものであり、合理的な理由がないのにも関わらずその
  条件によってサービス展開の効率性が損なわれることがないよう、指定電気通
  信設備設置事業者において配慮する必要がある。ただし、その条件は全ての接
  続事業者に公平かつ妥当なコロケーションを保証するものであることに留意す
  る必要がある。

   コロケーションの際に、コロケーションを行っている通信用建物内で他の事
  業者との接続を行うことや、アクセス用の伝送装置から利用者に伝送路を通す
  ことが合理的な理由もなく制限を加えられることはそういった意味から合理的
  な範囲を超えたものであり、適当とは言えないと考えられる。本件については、
  直接的には指定電気通信設備との接続の条件に関わることではないので、現時
  点ではただちに法令上の措置として取り扱われるべき問題とはならないと考え
  られるが、合理的な範囲内での具体的制限事項については、一次的にはまず指
  定電気通信設備設置事業者自身が明らかにする条件において適切に規定される
  べきと考えられる。

   本研究会における検討の中では指定電気通信設備設置事業者から上記の条件
  については明らかにされなかったが、郵政省において指定電気通信設備事業者
  に対してこの条件を明らかにすることを求め、これが明らかになる過程におい
  て、接続事業者の意見が聴取されるよう配意する必要がある。

IV 通信用建物の料金について

   通信用建物の提供料金については、現在は指定電気通信設備設置事業者の接
  続約款の料金表第3表第1に「通信用建物に係る負担額」として規定されてい
  る。その具体的な算定方法については、指定電気通信設備設置事業者によれば、
  不動産鑑定士が鑑定を行う上で基準としている「不動産鑑定評価基準」に則っ
  た方法である「比準賃料」「積算賃料等」を用いているとのことであり、これ
  はいわば市場価格ベースであると言えるのだから合理的であると主張された。

   これに対しては、接続事業者からは管路・とう道における考え方と同様、接
  続事業者と指定電気通信設備設置事業者との間のイコールフッティングを確保
  する観点から帳簿価額をベースとするべきであるとの主張が行われた。

   管路・とう道については、平成10年の第1次「接続料の算定に関する研究
  会」において検討が行われ、次のような結論が得られている。

    「 ボトルネックとなる管路等設備の範囲を考えるに当たって、そのボト
     ルネック性は、当該設備について代替手段がない、若しくは代替手段を
     採ることが事実上困難であることをもって判断されるべきである。その
     範囲を厳密に画定することは困難であるが、少なくとも、接続点の置か
     れているNTTの通信用建物、そこから最も近いかそれに準じた地点の
     マンホールまでの管路又はとう道についてはこれに該当すると考えられ
     る。ボトルネックとならない管路等設備の賃貸借については、公益性の
     観点から現在の在り方について問題が無いか、別途の検討の対象となる
     と考えられる。

      NTTの利用者向け料金は、基本的に、その設定・変更時において、
     (正味)帳簿価額をベースとしており、イコールフッティングの観点か
     らは、ボトルネックとなる管路等設備の賃貸借についても、利用者向け
     料金において採られているベースを基本とするべきである。

      (中略)

      結論として、接続点の置かれているNTTの通信用建物、そこから最
     も近いかそれに準じた地点のマンホールまでの管路又はとう道について
     は、現行の利用者向け料金の設定において採られた(正味)帳簿価額を
     ベースとすることを基本とすべきである。            」

   上記の管路・とう道についての議論は通信用建物についても妥当する。本件
  の検討対象となっている通信用建物についても、II,IIIで議論したとおりその
  代替困難性の見地からボトルネック性が認められるのであって、この提供条件
  を考えるときの基本的な考え方は、指定電気通信設備設置事業者が自らの利用
  者向け料金を算定する際に採られているベースを基本とすべきと考えられる。

   指定電気通信設備設置事業者からは、帳簿価額ベースでの提供はその市価と
  の差額について便宜供与と看做されるのではないかとの反論も行われたが、利
  用者向けの条件と異ならないベースで接続事業者に提供することになる訳であ
  るから、理由のない主張と言わざるを得ない。

V 管路・とう道の提供条件に関する追加的論点ついて

   管路・とう道の提供料金については、第1次「接続料の算定に関する研究会」
  で議論が行われたが、これに関して、追加的な議論が行われた。

   その第1は、とう道の料金の予測可能性を巡る議論であった。とう道につい
  ては、その料金が按分されることとなる個別の収容ケーブル条数が不明である
  ために実際に支払いを要する額の予測が困難であることが接続事業者から指摘
  されていた。これに対して、本研究会における検討の中で、指定電気通信設備
  設置事業者において具体的な額が判明次第これを接続事業者側に提示すること
  とが表明されており、当面の問題はこれで解決する可能性もあるので、これに
  よりなおも問題が発生するようであれば、今後必要に応じて検討が行われるべ
  きであると考えられる。

   第2の議論は、管路・とう道の提供料金を全国均一とすべきではないかとす
  る議論であった。管路・とう道については『(第1次)接続料の算定に関する
  研究会 報告書』の提言を反映させる形で、それぞれ平成10年度から県単位
  で均一の料金が算定されている。管路・とう道は従来より個別契約で提供され
  てきたものであり、その資産価額については地域によって格差があり、しかも
  これを全国均一化すると都心部のコスト負担を地域に転嫁することになるとの
  問題も指摘されている。これについては要望をしていた接続事業者からもその
  主張が撤回されたこともあり、現状の考え方を維持することで特に問題はない
  と考えられる。


第7部 DSLの接続
I 検討までの経緯

  1 DSL(Digital Subscriber Line)の開発

    DSL(xDSL、デジタル加入者回線)は、伝送信号を4kHz以上の
   周波数帯域で広帯域を使用し、専用のモデムにより変調して伝送を行う技術
   であり、4kHz以下の周波数帯の信号を流すことにより通信を行う電話に
   比べて、はるかに高速(数百キロから数十メガビット毎秒)の伝送を可能と
   するものとして、1989年(平成元年)にベルコア社により開発された。
   その伝送方式の種別としては、次のものがある。

   (1) HDSL:複数のメタル回線を使用。二対で1.5Mbps〜2M
      bps、一対で768kbps〜1Mbpsの伝送が可能。伝送距離
      に限界。
   (2) SDSL:一対のメタル回線を使用。上り、下り方向で同じ帯域を
      使用するため伝送速度が対称。伝送速度には384kbps、768
      kbps、1.5Mbps、2Mbps等がある。
   (3) ADSL:一対のメタル回線を使用。上りと下りで用いられる帯域
      幅が異なるため伝送速度も非対称(下り方向で広帯域を使用している
      ため、下り方向が高速)。また、音声帯域と異なる帯域を使用してい
      るため、同一の回線上で電話サービスとの同時利用が可能。
   (4) VDSL:基本的にはADSLと同様で非対称。ADSLより伝送
      距離は短いがより高速な伝送速度を実現。


  2 DSL導入に向けた課題の整理
    ―「ネットワークの高度化・多様化に関する懇談会」の検討(平成9年3
   月〜6月)―

    DSLの導入等については、平成9年に郵政省が開催した「ネットワーク
   の高度化・多様化に関する懇談会」(平成9年3月〜12月)において検討
   が行われた。

    同研究会がまとめた『ネットワークの高度化・多様化に関する懇談会 報
   告書』「第2部 加入者系ネットワークにおけるxDSLの可能性」(平成9
   年6月24日)では、第1章においてインターネットの高速化への要望の背
   景について、第2章においてそのために有望な技術であるDSL技術につい
   て概観を行っている。

    そして第3章、第4章では、DSLの導入とその際に必要と考えられる地
   域アクセス回線のアンバンドルとコロケーションについて検討を行っている。
   特に、接続事業者においてDSLAM(デジタル加入者回線アクセス多重化
   装置)等を地域事業者局舎内にコロケーションした上で地域事業者のMDF
   (主配線盤)と接続する形態に焦点をあてて、これも含めてDSL導入に当
   たっての技術面・運用面・制度面の検討課題を次のように列挙した。

   ※ 技術面の課題 1 同一ケーブル内の回線相互の漏話の問題
            2 ブリッジタップによる伝送特性悪化の問題
   ※ 運用面の課題 1 提供可能地域の限定性
            2 提供品質の不安定性
            3 光ファイバ化との関係
            4 通信インフラ整備上の問題
   ※ 制度面の課題 ○ MDF接続における地域事業者の電気通信役務性

    このような各課題の洗い出しを行った上で同報告書は、第5章において、そ
   の技術面の課題やサービス提供上の運用面の課題等について実地的な検証を行
   うため、地域電気通信事業者による実証実験が早期に実施されるべきことを提
   言した。


  3 DSL導入の技術面・運用面の課題の検証
    ―NTTのDSLフィールド実験(平成10年2月〜12月)―

    『ネットワークの高度化・多様化に関する懇談会 報告書』「第2部 加入
   者系ネットワークにおけるxDSLの可能性」における実証実験実施の提言
   を踏まえ、NTTは平成10年2月20日から12月10日までDSLフィ
   ールド実験を行った。これはADSLを用いたアクセス回線の伝送速度やサ
   ービス提供上の品質等について評価を行うもので、関東、関西の24交換ビ
   ルエリアにおいて、112のモニタとインターネットプロバイダ12社の参
   加を得て行われたものである。

    NTTはその結果概要をまず同年12月17日に報道発表し、更にその詳
   細について平成11年5月18日に郵政省に宛てて報告書『ADSLフィー
   ルド実験の実施結果』の提出を行った。


  4 DSL導入の制度面の課題に関する整理
   ―第1次「接続料の算定に関する研究会」の検討(平成10年4月〜11月)―

    MDF接続については、NTTの接続約款の設定の認可について審議を行
   った電気通信審議会の答申(平成10年3月20日郵通議第143号)にお
   いて、「新たな接続形態である端末回線伝送機能の利用におけるMDF接続
   に係る技術面、運用面、制度面の諸問題について、電話接続、ISDN接続
   等の場合も含め、現在、実証実験等を行い研究中のDSL接続の検討と併せ
   て検討し、早急に結論を得ること」との要望が出された。

    これを受けて、同年4月から開催された第1次「接続料の算定に関する研
   究会」では、その検討結果をまとめた『接続料の算定に関する研究会 報告
   書』(平成10年11月6日)において、MDF接続についての接続事業者
   の具体的な要望内容が必ずしも未だ明確ではなく、技術面、運用面の問題に
   ついてなお十分な条件整備を行う必要があるとしたが、これらについて十分
   な解決が図られれば電気通信事業法に照らして制度面の問題があるとは言え
   ないと結論づけた。

    郵政省ではこの結論を踏まえて平成10年11月にNTT宛に「接続料の
   算定に関する事項について」と題する文書を発出し、「MDF(主配線盤)
   接続について」として、「現在行われているxDSL接続の実証実験と並行
   して、MDF接続を検討している事業者との協議により、その具体的な接続
   態様等の要望を把握し、MDF接続を実現する上で必要な技術面、運用面に
   おける条件を早急に検討し、その結果を報告すること」を求めた。

  5 DSL導入の技術面の課題に関する規定の整備
    ―事業用電気通信設備規則の改正(平成11年1月)―

    DSLの導入については、技術面における課題について制度的な措置を行
   うため、平成11年1月7日に郵政省令である「事業用電気通信設備規則」
   の改正が行われた。これはDSLを導入する際に、既存の電気通信回線との
   間で信号の漏洩により障害を与えたり、受けたりしないようにするため、D
   SLを導入する電気通信事業者は個別に郵政大臣の確認を受けて、DSLの
   導入基準を定める規定を追加したものである。この施行後、(株)四国情報
   通信ネットワーク(STNet)が同社におけるDSLの導入基準を定めた
   上で平成11年2月1日にSDSLを導入したサービスの提供を開始してい
   る。



II DSL導入の意義と技術面・運用面の課題について

  1 DSL導入の意義

    DSLの導入については次の意義が認められると考えられ、これを基本的
   な考え方としてDSLの導入を進め、また、その接続を促進していくことが
   重要と考えられる。

   (1) DSLは既存のメタル回線の両端に専用のモデムを設置することに
      より、現在の電話サービスの利用を継続させながらメガビット級の高
      速アクセスを実現させるものである。
   (2) インターネット利用の拡大を契機として安価で容易な高速アクセス
      に対する需要が急速に高まっているが、DSLはこういった需要に応
      え得る有望な技術である。
   (3) また、DSLによって光ファイバ化に先行して高速アクセスを実現
      することは、高速な通信環境に適したアプリケーションやコンテンツ
      の開発・普及を促し、光ファイバ化へのスムースな「橋渡し」として
      の効果が期待される。
   (4) しかしながら、技術面、運用面の課題が指摘されており、サービス
      化に向けてはこれらの克服が必要である。

  2 『ADSLフィールド実験の実施結果』

    DSLの接続について検討する際には、まずDSLサービスの導入につい
   て指摘されてきた技術面、運用面の課題について検討する必要がある。これ
   についてはNTTのフィールド実験の結果等から3以下のとおり整理を行っ
   たが、以下にまずNTTから郵政省に対してなされた実験結果報告(NTT
   『ADSLフィールド実験の実施結果』(平成11年5月))を転載する。


       ADSLフィールド実験の実施結果              平成11年5月18日        日本電信電話株式会社     フィールド実験結果計画のシステム構成                         メタリックアクセス網の構成           一般のモデムとxDSLモデムの違い           xDSL技術の概要           ADSL・ISDN信号間の干渉           ADSLフィールド実験のシステム構成           ADSLフィールド実験の概要           実験参加モニタ数、ISP数
          メタリックアクセス網の構成 メタリックアクセス網の構成図
           一般のモデムとxDSLモデムの違い 一般のモデムとxDSLモデムの違いの図                 xDSL技術の概要 xDSL技術の概要図              ADSL・ISDN信号間の干渉 ADSL・ISDN信号間の干渉の図            ADSLフィールド実験のシステム構成 ADSLフィールド実験のシステム構成図            ADSLフィールド実験の概要 ADSLフィールド実験の概要図            実験参加モニタ数、ISP数 実験参加モニタ数、ISP数の図            フィールド実験結果の概要                            開通工事手順             交換ビル内配線例             アクセス区間下り速度測定結果             電話の伝送可能距離             アクセス区間上り速度測定結果             伝送速度の変動事例             開通時トラブルおよび故障事例             使用中のトラブル事例             参加モニタの意見                    開通工事手順 ・ 線路構成再確認 距離、ケーブル種別、ブリッジタップ有無、ISDN収容状況、           速度推定 ・ 工事日調整   モニタとの日程調整、工事稼動調整 ・ ADSL装置機能の 交換ビル内での直結試験   事前チェック           (アクセス区間を省略した事前確認試験) ・ 回線試験    ループ抵抗、絶縁抵抗等 ・ 開通工事    宅内配線確認           線路損失測定(1.5kHz〜1.2MHz 10ポイント)           MDF切替           アクセス区間速度測定           ISP契約条件に基づく速度設定(6Mb/s、1.5Mb/s等)           IPアドレス設定等           電話・データ回線動作確認 ・ 回線試験    ADSL装置取りつけ後のループ抵抗、絶縁抵抗等 ・ 開通不可の場合 別の日に再工事(装置取替え等の対処を実施)                   交換ビル内配線例 交換ビル内配線例の図            アクセス区間下り伝送速度と線路長の関係 アクセス区間下り伝送速度と線路長の関係図            アクセス区間下り伝送速度と実測損失の関係 アクセス区間下り伝送速度と実測損失の関係図                  電話の伝送可能距離 電話の伝送可能距離の図         アクセス区間上り伝送速度と線路長、実測損失の関係 アクセス区間上り伝送速度と線路長、実測損失の関係図                  伝送速度の変動事例 伝送速度の変動事例の図             開通時トラブルおよび故障事例    事例−1:装置故障による開通トラブル     装置のファームウエアに故障があり、バージョンアップを図った。     装置のハードウエア(電源部等)に故障があり、装置を取り替えた。     故障原因は不明だが、装置リセットにより回復した。    事例−2:ISPまたはモニタ側の設定トラブルにより開通できなかったため、         正規な設定終了後、後日開通した。    事例−3:損失が大きく、他回線からの雑音の影響で開通できなかった。                使用中のトラブル事例    事例−1:利用中に速度が下がることがある。    事例−2:時々接続できなくなることがある。    事例−3:夜間に国内ホストへの接続が遅くなることがある。        (ISP側に起因すると思われる)              モニタへのアンケート項目 質問1.本実験に参加された目的をお聞かせ下さい。 質問2.実験回線の利用形態をお聞かせ下さい。 質問3.質問2で電話を利用している方は、電話の通話時の状態をお聞かせくださ     い。 質問4.質問2でFAXを利用している方は、FAXの画像鮮明度についてお聞かせ下さ     い。 質問5.インターネット利用内容(実験回線による)を全て記入して下さい。 質問6.1週間に何時間くらいインターネット(実験回線による)を利用していま     すか? 質問7.インターネット(実験回線による)を利用する主な時間帯は? 質問8.本実験にご参加されるまでのインターネット利用歴はどのくらいですか? 質問9.本実験にご参加される前は、主にどのような方法でインターネットへ接続     していますか? 質問10.これまで利用していた接続速度(伝送速度)はどれくらいですか? 質問11.実験回線について、データ通信(インターネット)が接続できなくなった     ことがありますか? 質問12.質問11で「はい」と答えた方は、その発生状況をご記入ください。 質問13.実験回線を通して利用できない/利用しづらいインターネット接続サービ     ス内容等はありましたか? 質問14.ADSL実験回線の回線速度に対する印象をお聞かせ下さい。 質問15.実験回線の通信速度、品質について満足できますか? 質問16.ご利用頂いているADSL装置の大きさ、電源等について感想をお聞かせくだ     さい。 質問17.現在実験でご利用いただいているインターネット接続サービスと同等の品     質、通信速度なら料金はどれくらいが妥当とお考えですか? 質問18.インターネット接続サービスとして、どの程度の速度をご希望されますか。 質問19.前問のインターネット接続サービスをご利用になる場合、どのくらいの料     金が妥当とお考えですか。 質問20.インターネット接続サービスをご利用になる場合、通信速度を常時保証す     るサービス、あるいは最大通信速度がある時間提供されるベストエフォー     ド型サービスのどちらをご希望されますか? 質問21.バックボーン側ネットワーク(ISP)との接続のご契約、ADSL回線開通後の     バックボーンネットワークとの接続等に関してご意見があればお聞かせく     ださい。 質問22.故障時におけるNTTの対応について(該当する方のみ) 質問23.今回の実験内容と同様に電話とデータ通信を同一の通信回線で商用サービ     スを実施した場合ご利用頂けますか。 質問24.実験回線のサービス性を踏まえ、ADSLを利用した商用サービスを実施した     場合のお考えをお聞かせください。 質問25.前問で「利用する」と答えた方で、今後どのようなサービスに使えるとお     考えですか。 質問26.ADSLを利用したサービスの提供形態、料金について、ご提案がありました     ら下記にご記入ください。 質問27.今回の実験に対して、ご意見・ご要望等がありましたらご記入ください。                 モニタアンケート結果1 モニタアンケート結果1の図                 モニタアンケート結果2 モニタアンケート結果2の図                 モニタアンケート結果3 モニタアンケート結果3の図                 モニタアンケート結果4 モニタアンケート結果4の図                 モニタアンケート結果5 質問27.ご意見・ご要望       <良かった点>       ・既存の電話回線を利用してできる点がよい       ・速くて便利であり、低料金での早期商用化を望む       <悪かった点>       ・実験開始が遅れて、実験期間が短かった(多数)       ・実験回線の開通連絡等が遅すぎる       ・設置したADSL装置が不安定ですぐ取り換えることになった       ・実験回線の開通時の設定に手間がかかりすぎている <もっとこうしてほしかった点> ・インターネット接続ではなく、ADSLの自体の検証をしてほしかった           フィールド実験結果のまとめ 技術的評価結果 ●下り500kb/sで伝送した場合  ・ 線路長が2.5km以内では全てのモニタに伝送可能  ・ 線路長が2.5〜5kmのモニタでは、線路条件等の理由により    一部を除けば伝送可能 ●下り1.5Mb/sで伝送した場合  ・ 線路長が1.5km以内では全てのモニタに伝送可能  ・ 線路長が1.5〜4kmのモニタでは、伝送できない場合が多い ●ISDNの同一収容、その他の影響で伝送速度・品質が著しく劣化することがある モニタへのアンケート結果 ・ 通信速度・品質について、約7割のモニタは「満足」、「まあまあ満足」    であった。
          実験結果  http://info.ntt.co.jp/xdsl/
          ニュースリリース 
          http://info.ntt.co.jp/news/news98/9812/981217.html


3 技術面の課題の克服

 (1) 『ネットワークの高度化・多様化に関する懇談会 報告書』第2部(平
    成9年6月)で指摘されていたDSLに関する技術面の課題(第3章 1
    技術的課題)とこれを再編前当時のNTTがフィールド実験において検証
    した結果は次のとおりである。

    1 同一ケーブル内の他の回線からの影響(漏話)
      DSLでは高周波数帯での信号伝送を行うため、同一ケーブル内に収
     容されている他のメタル回線上を流れる電気信号との間で、通信信号の
     漏洩(漏話、干渉)が起こることがある。特に、NTTでは古いケーブ
     ルを中心にポリエチレンではなくて紙を絶縁体として用いていること、
     ISDNでエコーキャンセラー方式ではなくてピンポン方式を用いてい
     てDSLとの重複周波数帯が大きいこと等から、ISDNからの信号漏
     洩の影響が想定され、これの影響についての評価の必要性が指摘されて
     いた。NTTの実験においても「ADSLとISDNや高速ディジタル
     専用線を同一メタリックケーブルに収容した場合、漏話により伝送可能
     距離あるいは伝送速度が低下」したと報告されている。

    2 配線形態(ブリッジタップ)による伝送特性悪化
      また、NTTにおいては複数のエリアをまたがる心線の融通を柔軟に
     行えるよう、ブリッジタップ(分岐)を多用しているが、これによって
     4kHzを超える高周波数帯域の信号について信号の減衰、反射が起こ
     ることから、DSL技術を応用したサービスの提供においては、その伝
     送品質に影響があるのではないかとの指摘がなされた。NTTの実験に
     おいても「高周波数信号に対しては信号の減衰、反射が起こり、伝送特
     性が悪化」したと報告されている。


 (2) これらの課題のうち1に関しては、NTTの報告書では「下り500k
    b/sで伝送した場合 線路長が2.5km以内では全てのモニタに伝送
    可能」或いは「下り1.5Mb/sで伝送した場合 線路長が1.5km
    以内では全てのモニタに伝送可能」(NTT『ADSLフィールド実験の
    実施結果』26頁)と締め括っており、技術的にサービス化が可能となる
    射程を見通すための一応の結論が得られている。従って、これらの結論を
    踏まえて、サービス化にあたっては適切な対加入者対応上の課題の細目検
    討を行った上で契約約款の規定整備等を行う必要がある。

 (3) これに関しては、平成11年1月に事業用電気通信設備規則が改正11さ
    れ、電気通信事業者は、DSLの加入者回線とISDNの加入者回線等と
    が同一の伝送路設備に収容される場合には、伝送される信号の漏洩によっ
    て容易に電気通信設備の機能に障害を与えたり受けたりしないことを内容
    とする「基準」を定め、維持することが義務づけられた。これに従って既
    に(株)四国情報通信サービス(STNet)が平成11年2月に当該基
    準を定めた上でサービスの提供を開始しているところであるが、上記の細
    目検討を行う際にはこういった基準の作成を行う必要がある。また、2に
    関しては、必要に応じてブリッジタップの解除を行なう等の措置を行うこ
    とが可能であり、これによって対処すべきと考えられる。


11 改正された「事業用電気通信設備規則」第20条の2においては 「電気通信事業者は、郵政大臣が別に告示するところに従い端末設備等と交換設 備又は専用設備との間の電気通信回線に伝送される信号の漏えいに関し、郵政大臣 の確認を受けて基準を定め、その基準を維持するように努めなければならない。」 とされている。 4 運用面の課題の克服  (1) 提供可能地域の限定性      DSLサービスの伝送距離に一定の限界があるため、事業者の局舎から     の距離が一定範囲内でなければ利用者がサービスを受けられないという事     態が考えられることが指摘されてきている。これについては、DSLサー     ビスの特性により不可避な要素があり、適宜サービスの面的拡大に留意し     つつも、提供条件において適切な工夫を行った上で、サービスの特性につ     いての利用者への十分な周知を徹底する必要がある。  (2) 提供品質の不安定性      DSLサービスでは伝送可能速度がその時々の状況によって変動し得る     ことも指摘されてきている。これについても、DSLサービスの特性によ     り不可避な要素があり、適宜サービスの面的拡大に留意しつつも、提供条     件において適切な工夫を行った上で、サービスの特性についての利用者へ     の十分な周知を徹底する必要がある。  (3) 光ファイバ化との関係      光ファイバ化との関係については、既に『ネットワークの高度化・多様     化に関する懇談会 報告書』第2部で指摘されたように、「我が国におい     て、早期にxDSLが実現されれば、高速な通信環境に適したアプリケー     ションやコンテントの開発・普及が促され、将来の光ファイバ化実現の際     に提供されうるアプリケーション等の幅を広げるという意味で、xDSL     は光ファイバ化実現へのいわば「橋渡し」の技術としての効果も期待され     ると考えられる」ことが重要である。      同報告書では、「いったんxDSLの提供が行われるようになると、x     DSLサービスのユーザが回線の光ファイバ化を承認しないと、その提供     回線が収容されているケーブル全体について、光ファイバへの置き換えを     行なうことが困難になり、結果として光ファイバ化自体そのものが妨げら     れるのではないかとの懸念が出されている」旨にも言及していた。これに     ついては同報告書においても「xDSLサービスの提供が、地域事業者の     回線の光ファイバ化の計画に支障を来しかねないという懸念に関しては、     例えば、地域事業者が、xDSLサービスを提供したり、アクセス回線を     アンバンドルしたりする場合に、回線を光化するまでの「時限的」な提供     という方法で提供する対応が可能であると考えられる」としているところ     であるが、接続約款及び加入者回線に係る利用者向け契約約款において、     光ファイバ化を円滑に進めるための接続事業者や利用者への対処方法や一     定期間の事前通知期間の設定などの条件整備を行うことで対応が可能と考     えられる。
III DSLのMDF接続について

1 はじめに

  Iにおいては、DSLの導入の意義及び課題について、指定電気通信設備設置
  事業者がDSLを提供する場合と接続事業者が接続により提供する場合とを区
  別せずに論じてきたが、以下においては接続に特化して、その条件、問題点を
  検討する。

   DSL導入を接続の問題として考えると、DSLの接続がネットワークに支
  障を及ぼさないような技術的条件を定めること、及び、前節で論じた光化への
  円滑な移行に支障がないようにすることが基本となる。なお、DSLの接続に
  ついては、下図のように多様な形態が考えられる。

                                 想定される接続形態
想定される接続形態図

   (『「次世代ネットワーク構想に関する懇談会」報告書』(平成11年6月)
  中の図より作成)


2 技術的条件

 (1) DSLの接続に関しては、DSLサービスを提供する側からは、ISD
    Nなどの既存のサービスからの影響についての検討が欠かせないが、他方、
    ネットワークへの接続という面からは、まず、ISDNなどのための他の
    回線(ネットワーク)への影響を及ぼさないことをいかに確保するかとい
    う、技術的条件を検討する必要がある。

 (2) この技術的条件の在り方として、指定電気通信設備設置事業者からは、
    接続事業者がDSLサービスの提供のために指定電気通信設備設置事業者
    にコロケーションするDSL装置の方式をITU等の標準仕様とするとの
    主張が出されている。これは、具体的には、接続の対象を変調方式として
    ITU標準となっているDMT(Discrete Multitone)方式のものとし、
        CAP(Carrierless Amplitude Phase)などの非標準方式のものとしな
        いという主張である。指定電気通信設備設置事業者はその論拠として、1
        ITU標準以外のものが入ってくるとその影響について逐次チェックが必
        要であり現実的でないこと、2標準化が進んで現在はDMTが主流である
        と判断していることを挙げている。

 (3) 「事業用電気通信設備規則」第20条の2の規定では、同一の伝送路設
    備に収容される場合には、伝送される信号の漏洩により容易に電気通信設
    備の機能に障害を与えたり受けたりしないように「基準」を定め、それを
    維持するように義務づけているものであって、伝送方式や変調方式等につ
    いては自由度を持たせている。このことから、ITU標準以外の方式を使
    用する場合でも、どのような場合についてはどのような支障があるのかや、
    どのような条件の下でどのような使用が可能なのかといった点を確認した
    上で、上記の規定が確保され得る範囲内において、使用されることについ
    ては問題はないと考えられる12。
     また、利用者利便やシステムのコストパフォーマンスを高めるという観
    点からは、伝送方式や変調方式等がITU標準に準拠することが望ましい
    が、この分野における技術進展の速さ、ITU標準以外の有力な方式が実
    用化されていること、すべての方式等について検証やITUの標準化作業
    が終了している訳ではないこと等を考慮する必要がある。
     更に、指定電気通信設備設置事業者が採用する方式以外の仕様を一切排
    除してしまうことは避ける必要があると考えられる。

 (4) 従って、DSL接続にあたっては、技術的に不安定な要因もあり今後も
    変動し得るという現状においては、適切な技術条件の在り方を確認するた
    めの試験的な運用期間を一定期間設けることには合理性があると考えられ
    る。そして試験的な運用期間を経た上で、技術の普及状況や多様な機器を
    サポートすることの経済的コストを考慮した上で、妥当な技術的条件の在
    り方や標準化の推進方策について検討していくことが望ましい。

「規則第二十条の二の規定により郵政大臣が別に告示する電気通信回線は、次の表
の上欄に掲げるものとし、下欄に掲げる条件によるものとする。
一 総合デジタル通信用設備(端末設備
等規則(昭和六十年郵政省令第三十一
号)第二条第二項第八号に規定する総
合デジタル通信用設備をいう。)の端
末回線とデジタル加入者回線用設備(
電気通信事業の用に供する電気通信回
線設備であつて、平衡対ケーブルを用
い、主として四キロヘルツ以上の周波
数帯で、かつ、広帯域のデジタル信号
により、符号、音声その他の音響又は
影像の伝送を目的とする電気通信役務
の用に供するものをいう。以下同じ。
)の端末回線相互間
同一の伝送路設備に収容する場合は、
伝送される信号の漏えいによつて容易
に電気通信設備の機能に障害を与え、
又は受けないように設置しなければな
らない。









二 デジタル加入者回線用設備の端末回
線相互間




同一の伝送路設備に収容する場合は、
伝送される信号の漏えいによつて容易
に電気通信設備の機能に障害を与え、
又は受けないように設置しなければな
らない。
三 専用設備(主として六四キロビット
毎秒を単位とするデジタル信号の伝送
速度により、符号、音声その他の音響
又は影像を伝送するものに限る。)の
電気通信回線とデジタル加入者回線用
設備の端末回線相互間
同一の伝送路設備に収容する場合は、
伝送される信号の漏えいによつて容易
に電気通信設備の機能に障害を与え、
又は受けないように設置しなければな
らない。




12 改正された「事業用電気通信設備規則」第20条の2においては 「電気通信事業者は、郵政大臣が別に告示するところに従い端末設備等と交換設 備又は専用設備との間の電気通信回線に伝送される信号の漏えいに関し、郵政大臣 の確認を受けて基準を定め、その基準を維持するように努めなければならない。」 とされている。これを受けて改正された郵政省告示「事業用電気通信設備規則の細 目を定める件」の第2条(その後更に平成11年3月5日に一部改正)には、次の 規定が設けられた。(引用中、「上欄」に該当する部分・「下欄」に該当する部分 は、横書きの関係上それぞれ左欄・右欄の形で引用。) 3 光ファイバ化との関係   次に、DSLの導入によって、将来の光ファイバ化に支障が生じないようにす  ることは、既述のとおり重要である。これについては、指定電気通信設備設置事  業者において利用者に十分受容される料金・提供条件で光への円滑な転換が図ら  れるような工夫により、DSLで実現していた高速サービスが中断されることの  ないようにすることが重要となるが、接続条件においても、指定電気通信設備設  置事業者が光化計画を推進する上で必要があれば一定期間の事前通知を前提にメ  タルから光への置換ができるよう担保しておくことも必要になると考えられる。  また、光化の後も接続事業者がアンバンドルされたアクセス回線を用いて多様な  サービスを提供することが出来るような工夫がなされることも必要である。 4 品質劣化への対応   また、DSLに特有の事情として、品質劣化の問題(ISDNの回線が同時に  収容されているときにDSLの品質劣化を招くこと等)が想定されるが、これに  ついては、DSLサービスの特質としてISDNを提供する側(指定電気通信設  備設置事業者)に一定の条件で免責の規定を接続約款上に設けることや、指定電  気通信設備設置事業者側における監視・制御について、DSLには技術的に不安  定な面があり、利用者に対しても不測の影響を与える可能性が否定できないため、  一定の対応が必要であるとの主張が指定電気通信設備設置事業者より出されてい  るが、これらは、指定電気通信設備設置事業者と接続事業者の責任範囲を明確に  するためにも必要なことと考えられるので、その具体的な方法については試験的  な提供の中で検証しつつ見極めて行く必要がある。 5 その他の条件  (1) MDF接続では加入者回線を電話と重畳させてDSLの提供を可能とす     る形態についての要望がある。これについては、指定電気通信設備設置事     業者より既存の電話サービスへの影響等が十分に検証されていないこと、     新たに標準化された製品の安定性などを検証する必要があることからこれ     を認めず、指定電気通信設備設置事業者単独で試験サービスの形態で行い、     他事業者との接続はDSL専用の形態に限定したいという主張が出されて     いる。また、指定電気通信設備設置事業者においては、スプリッタのコロ     ケーションの要望についても、1他事業者設備の介在により電話サービス     への影響が起こる可能性があること、2故障時の試験が困難になること等     を根拠にこれを認めず、スプリッタは指定電気通信設備設置事業者の直営     としたいとも主張している。  (2) これについては、DSLのメリットは既存の電話加入者回線を利用でき     るところにその重大なポイントがあり、また、指定電気通信設備設置事業     者において単独で電話との重畳的なDSLの提供が試験的には可能である     というときには、原理的には同様の条件を実現する装置によれば他事業者     との接続によりこれを行うことについても特段の問題はないと考えられる。     また、スプリッタのコロケーションについても、第6部において述べられ     ているとおり、電気通信事業法施行規則第23条の4第3項第2号におけ     る「接続に必要な装置」に該当するものについてはこれを認めるべきであ     り、本件のスプリッタについてもその例外とはならないと考えられる。一     定の基準を定めることで試験的に慎重に検証を行いながらこれを行ってい     くことが適当と考えられる。  (3) 従って、電話との重畳的な提供や、スプリッタのコロケーションについ     ては接続事業者が適切な条件で自らのサービス提供が可能となるようにす     ることが基本と考えられるが、なお現時点においてDSLには技術的に不     安定要素が多いことに鑑み、試験期間を設けて接続をすることによりこれ     を検証をすることには合理性が認められる。  (4) 接続料及び利用者向け料金の扱い      MDF接続に関しては、加入者回線部分を含めて接続事業者が利用者向     け料金を設定する考え方と、加入者回線部分は指定電気通信設備設置事業     者が設定するという考え方との2つの考え方がある。これについては、指     定電気通信設備設置事業者からは通常の接続の場合と同様に指定電気通信     設備設置事業者において加入者回線に係る利用者向け料金を設定すること     を基本とするとの主張があったが、利用者向け料金の設定主体をどの事業     者にするかは一次的には接続当時事業者間の協議によって決定されるべき     であり、この協議等を排除するべきではない。また、MDF接続に際して     新たに発生する接続料又は利用者向け料金の在り方については、その必要     性も含めて、コストに則って算定されるという既存のルールに従って結論     づけるべきである。 6 結論   以上述べてきたように、DSLは基本的に指定電気通信設備設置事業者と同様  の条件で接続が行われるべきであるが、技術的に不安定な部分や、既存の電話へ  の影響、監視・制御などの不確定な要素もあることから、一定期間(1年程度)  対象地域や期間を限定した試験的な接続を行うことが適当である。そして、DS  L導入の意義、MDF接続の要望が現に顕在化していること、それが技術的に可  能であること等に鑑み、試験的な接続の後の本格的な実施のための標準的な接続  箇所13としてMDFを捉えることとすべきである。   その技術的条件については、試験的な接続におけるもの、標準的な接続箇所と  して規定されるものの双方について十分なコンセンサスを得ていくことが重要で  あり、意見集約のための検討の場を設定して具体的な検討が行われることが望ま  れる。
13 電気通信事業法第38条の2第3項第1号イを受けて、郵政省令である「電気 通信事業法施行規則」第23条の4第1項各号で規定される標準的な接続箇所。こ の第23条の4の趣旨については、本省令の改正の際に「電気通信事業法施行規則 の改正について」(平成9年8月22日)の資料2「接続ルールに係る電気通信事 業法と電気通信事業法施行規則(案)の対照表(法第38条及び38条の2に関す る郵政省令)」で次のとおり説明されている。(5頁「趣旨」) 「指定電気通信設備の標準的な接続箇所として現状の接続の態様及び接続の要望等 の状況を考慮し、接続の分界点とした場合に、網構成設備を技術的に明確に区分す ることが可能である点を定める。」
        意見の概要とそれに対する考え方                                                        意見提出者一覧 (五十音順)
 
             提出者名
         区分
1. 
エムシーアイ・ワールドコム・ジャパン(株)
(ワールドコム)             
第一種電気通信事業者  
2. 
欧州ビジネスコミュニティー通信委員会  
 
3. 
ケイディディ(株)(KDD)      
第一種電気通信事業者  
4. 
在日米国大使館             
 
5. 
ソネット(株)(ソネット)       
第二種電気通信事業者  
6. 
第二電電(株)(DDI)        
第一種電気通信事業者  
7. 
筒井多圭志(筒井)           
 
8.
(社)テレコムサービス協会(テレサ協) 
第二種電気通信事業者団体
9.
東京通信ネットワーク(株)(TTNet)
第一種電気通信事業者  
10.
西日本電信電話(株)(NTT西日本)  
第一種電気通信事業者  
11.
日本テレコム(株)(JT)       
第一種電気通信事業者  
12.
東日本電信電話(株)(NTT東日本)
第一種電気通信事業者
13. 
ブリティッシュ・テレコム(BT)
英国公衆電気通信事業者
                   ()内は本文中で用いられている略称


意見の概要とそれに対する考え方
第1部接続料の自己資本利益率
番号
        意見概要
     考え方
   II 利用者向け料金設定に用いられた自己資本利益率の勘案     
○ 利用者向けサービス料金に用いられてい
 る自己資本利益率を接続料金に係る自己資
 本利益率の上限として勘案するとの措置は
 適当と考えます。(KDD)      
○ アクセス・チャージのリスクはエンド・
 ユーザー収入のリスクより低いと認められ
 るので、許容される利益率はエンド・ユー
 ザー価格に適用された料率よりも低くある
 べきだ、と研究委員会は報告しています。
  BTもこの見解に賛成します。アクセス
 提供事業は事業リスクが低いはずであると
 の見解にも同意します。(BT)    


○ −         
 (一般に事業者向けの接
 続は利用者向けのサービ
 スよりもリスクが低いの
 でリターンも小さくなる
 と考えられることから、
 利用者向け料金設定に用
 いられた自己資本利益率
 を勘案することとしてい
 るので、その具体的な方
 法としては、これを上限
 値とすることは適当と考
 えられる。)     
○ 指定設備利用部門と管理部門間の振替接
 続料について、反競争性を想起させるよう
 な事態が発生した場合に、指定電気通信設
 備設置事業者が本件に係る説明責任を負う
 こととするのは適当と考えます。(KDD
 )                  
○ −         






○ NTTはアクセス・チャージの利益率が
 適正であることを証明しなければならない
 、とも報告書は述べています。利益率を決
 定するのはNTTであってはならないとB
 Tは考えます。むしろ郵政省が、通信業界
 の全分野と相談して、あるべき利益率につ
 いて独立した見解を持つべきです。(BT
 )                  
○ 報告書の内容について
 誤解がなされており、自
 己資本利益率は省令によ
 ってその算定方法が定め
 られるのであって、NT
 T東日本・NTT西日本
 がこれを決定するわけで
 はない。       
   III 資本資産評価モデル(CAPM)的手法の採用        
    1 CAPM的手法の使用の継続                
○ 資本資産価格設定モデル(CAPM)を
 採用して適正な利益率を決定することをB
 Tは支持します。(BT)       
○ −         



    2 算定に用いられる期間                   
○ 「あまりに短期間である場合、各年度の
 撹乱要因に左右され過ぎるのではないか」
 との本報告書案の考察については、一定の
 合理性があるものと理解します。しかしな
 がら、本報告書案にあるとおり「経済実勢
 を反映させる」との観点からは、昨今の経
 済情勢に鑑みても3年間はやや長期間過ぎ
 るものと思料します。自己資本利益率の算
 定について一定の安定性を担保することを
 考慮しても、1年間を算定に用いることが
 適当と考えます。(KDD)      
○ NTTとしては、接続料の自己資本利益
 率の算定に用いられる期間については、以
 下の理由により従来どおり5年間とするよ
 う要望します。            
1過去10年以上にもわたる投資判断の累積
 に対するリターンという観点からすると、
 料金算定期間にかかわらず、自己資本利益
 率については投資期間に見合う一定期間で
 の算定が必要であると考えられ、従来より
 経済実勢に左右されることなく、安定性を
 考慮して5年間での算定が行われており、
 ローカル設備の安定的な維持・運営という
 観点からも、今後もこの考え方を継続すべ
 きと考えます。            
2第1回研究会報告書においては、自己資本
 利益率の算定方法について類似の設備産業
 である他の公益産業を参考にすることは一
 定の合理性が認められるとしており、電気
 ・ガス事業の料金算定においては、料金算
 定期間にかかわらず、自己資本利益率の算
 定期間については、安定性を考慮して、5
 〜7年間の平均値を採用していることから
 、接続料の自己資本利益率の算定期間も、
 現行どおり5年間とする方が適切ではない
 かと考えます。(NTT東日本、NTT西
 日本)                
○ 現在のボンドレートを使用することも可
 能で、リスク・フリー・レートについて予
 断の無い見積もりができるのでこれが最良
 かもしれませんが、BTは3年間の平均で
 も可としています。(BT)      
○ 自己資本利益率の算定
 に用いられる期間は、経
 済実勢をより適確に反映
 させるためには現状の5
 年では長いのではないか
 との議論があった。接続
 料の算定期間にあわせて
 、基本的には1年間とす
 ることが妥当とも考えら
 れるが、あまりに短期間
 では過度に各年度の撹乱
 要因に左右され過ぎるの
 ではないかとの懸念もあ
 ることを考慮して、複数
 年とすることが適当と考
 え、既存の利用者料金の
 変更の際の算定期間が3
 年であることを参考とし
 て直近の3年間について
 算定することを適当とし
 た。         






















    3 無リスク金融商品の平均金利                
○ 設備の平均的耐用年数に照らして、国債
 10年ものを採用することとされています
 が、NCC意見として陳述させて頂きまし
 たとおり、指定電気通信設備についてはそ
 の過半を既償却済設備が占めており、その
 点を考慮する必要があるものと考えます。
  また、英国においては、本報告書案にも
 示されている「次期料金の算定時期」を「
 設備の平均的耐用年数」と共に考慮するこ
 ととされています。          
  上記の点に鑑みて、国債5年ものを採用
 することにも十分な合理性があるものと思
 料します。              
  仮に本意見が入れられず、本年度の自己
 資本利益率の算定に「国債10年もの」を
 用いるとしても、現在米国において同様の
 検討がなされていること等も考慮し、継続
 的な検討を要望致します。(KDD)  
○ リスク・フリー・レートの算定用に10
 年ボンドが提案されています。これはNT
 Tに対し過度に寛大であり、リスク・フリ
 ー・レートが強調され過ぎだとBTは考え
 ます。電気通信資産は比較的寿命が長いこ
 とは確かですが、経済理論によれば、検討
 期間の利益を考えてレートを設定すべきで
 す。                 
  短期間のボンド採用を推す意見もありま
 すが、BTは節度ある妥協として、リスク
 ・フリー・レートの指標として5年ボンド
 が適切と考えます。(BT)      
○ 「無リスク金融商品の
 平均金利」とは指定電気
 通信設備への投資に対す
 る機会費用として捉えら
 れるべきことから、指定
 電気通信設備の耐用年数
 に着目することには合理
 性が認められるところで
 あり、国債10年ものの
 金利を採ることは適当と
  考えられる。      




















    4 β値の算定について                    
○ 基本的には、報告書案の考え方に賛成い
 たします。しかしながら、(1)「主要企
 業の株式価格の変化に対するNTT株式の
 感応度を元にβ値を求める、という考え方
 」において使用されるNTT株式は、指定
 電気通信設備設置事業者である東西地域会
 社ではなく、持株会社のものとならざるを
 得ません。持株会社の株式は、NTTグル
 ープ全体の経営動向を反映したものである
 ことから、それを元にしたβ値は指定電気
 通信設備の接続料算定に必ずしも適切なも
 のであるとはいえません。したがって(1
 )を用いる場合においても、上記の問題に
 配慮し、積極的に他産業の例を活用する必
 要があると考えます。(JT)     
○ 「他産業の例などを参考として適正に調
 整した値としてβ値を導出していくことが
 適当」との本報告書案の結論は適当と考え
 ます。(KDD)            
○ −         



















○ 他産業を参考としたβ値の導出方法とし
 て以下を提案します。         
1公益性を有する独占的インフラ産業(電力
 、ガス等)のβ値を参考として使用。  
2参考値の最高/最低をβ値の上限/下限と
 し、その範囲内で設定。        
 (KDD)              
○ 他産業を参考としたβ値の補正について
 は海外においてもその手法は確立しておら
 ず、合意は形成されていないことから、今
 後も検討を継続して精査する必要があると
 考えられます。            
  したがいまして、今回のCAPMによる
 算出値は利用者料金の自己資本利益率と同
 様に参考値とし、接続料金の算定に用いる
 自己資本利益率は当該算出値以下とするこ
 とが適当と考えます。(KDD)    
○ β値について、他産業
 の例などを参考として適
 正に調整を加える具体的
 な方法については、現時
 点で一律的な決め方をす
 ることは困難であり、当
 面は、参考とする対象に
 よって個別に適切に判断
  されるべきである。   









    ※ 接続会計結果に関する議論                 
○ 接続会計の結果、指定設備利用部門が赤
 字となった場合には、指定設備管理部門か
 らの内部相互補助や反競争的料金設定がな
 されている疑いがあります。報告書案で示
 されている接続会計の結果の検証を行うと
 ともに、ユーザー料金の認可等の手続にお
 いてその内容を考慮すべきと考えます。(
  JT)                 
○ 接続会計結果について
 は、内部相互補助の有無
 などについて適切な評価
 がなされる必要があるが
 、これによってただちに
 利用者向け料金の算定方
 法の見直しが必要となる
  とは言えない。     
 10









○ 本年度の接続会計結果が、本報告書案に
 記されるように「管理部門が黒字、利用部
 門が赤字」、「管理部門の自己資本利益率
 が事前に設定された自己資本利益率、又は
 利用者向けサービスの自己資本利益率を超
 過」等の反競争性を想起させる結果となっ
 た場合には、報告書案の(1)〜(3)に係る検
 討に着手し早急に結論を得る必要があるも
 のと考えます。(KDD)       
○ −         









 11

















○ 報告書案では、NTTが接続料収入で利
 益を得ていながら、小売り収入で損失を被
 っている状況を、反競争的な内部相互補助
 の証拠となりうるものとして的確に認めて
 います。研究会がさらに詳しくその分析を
 続け、収入全体だけでなく、新規参入者が
 特に積極的に進出している市場セグメント
 の収入についても分析をすれば、非常に役
 に立つでしょう。NTTがISDN回線へ
 の着信に異常に高い接続料を課しているこ
 とを考えると、ISDNが反競争的な内部
 相互補助の可能性について調査するにあた
 ってもっとも重要な分野であり、このよう
 な行為を回避する手段を講じることが、新
 規参入者にとっての競争条件に対して特に
 重要な影響を与える分野であると、米国政
 府は考えます。(在日米国大使館)   
○ 報告書の内容について
 誤解がなされており、接
 続料収入で利益を得てい
 る中で小売り収入で損失
 が出ていることをもって
 ただちに反競争的な内部
 相互補助の証拠となる訳
  ではない。       













(その他)

番号
               意見概要
         考え方
 12




















○ 米国の理解するところでは、NTTが認 
 められている自己資本利益率は、部分的に
 、過去もしくは予測したトラヒックに基づ
 いて計算されるトラヒック量によって決定
 され、この過去のトラヒックも予測トラヒ
 ックも、次の年に実際のトラヒックが決ま
 った後再計算されることになっています。
 そして、実際のトラヒックは一般的に言っ
 て過去及び予測されたトラヒックを上回る
 ため、NTTは競争事業者に対して、過剰
 に受け取った接続料金収入の一部のみを払
 い戻さなければならないと、米国政府は理
 解しています。もしこの理解が正しければ
 、NTTはコスト以上の接続料収入を、し
 かも歴史的ベースで得ていることになりま
 す。米国政府は、この点について、コスト
 に基づく接続を確保するという日本のWT
 O義務にどのように整合すると郵政省が見
 ているのか、疑問に思います。(在日米国
 大使館)               
○ 報告書の内容について 
 誤解がなされており、自
 己資本利益率の水準はト
 ラヒック量によって決定
 されるものではない。 

















第2部 予測原価・予測需要により算定される接続料の範囲

番号
         意見概要
     考え方
   II 予測原価・予測需要による網使用料算定            
 13































○ 日本では、毎年5月初めに、費用と収入
 の予測を用いて、相互接続料の当初料金が
 設定されます。従って、予測の精度が非常
 に重要です。本年度の費用と通信量を予測
 して設定することは、前年度の実績に基づ
 く見積もりよりも、明らかに優れています
  。更に、                
  その年度が終了し、実際の通信量と費用
 がわかれば、相互接続の実際の単位原価を
 算出することができます。BTの経験上、
 最終的な実際の単位原価は通常、予測費用
 よりも低くなります。通信会社が支払って
 いる相互接続料は、この予測費用です。英
 国で起きていた次のようなケースをみれば
 、これは驚くべきことではありません。予
 測費用は、予測を組み立てる場合に慎重な
 仮定を採用する結果、概して高いものとな
 ります。通信量は予測よりも伸び、費用は
 下がることが普通です。        
  そして、重要なのは、その後に起こるこ
 とです。実際の相互接続単位原価が判明し
 た後、NTTは予測した額と実際の額の差
 額の半分だけを他事業者に返却し、残り半
 分はそのままNTTが保有しつづける、と
 BTは理解しています。これは「半額弁済
 システム」と呼ばれるべきだとBTは考え
  ます。                 
  当初の暫定予測料金と最終的な実績に基
  づく単位原価との差額の半分をNTTが保 
  有し続けることに、経済的に正当な理由は 
  ありません。(BT)          
○ 予測の精度に過度の信 
 頼を置くことを回避して
 いるために、現行のルー
 ルでは実績原価・実績需
 要をベースに接続料を算
 定することを原則として
 いる。
  意見には報告書への誤
 解があり、予測額と実績
 額の半分を接続事業者に
 返却するというルールも
 運用も存在していない。





















第3部 伝送路の接続料の速度区分

番号
        意見概要
     考え方
   II 伝送速度区分の細分化                    
 14












○ NTT網とつなぐために、もしくはNT 
 T網内で専用伝送機能を使いたいと考える
 接続事業者は、必要とするものを大幅に上
 回る伝送機能の料金を支払わなければなら
 ないことがあると理解しています。例えば
 、1秒間に1.5メガビットのリンクしか
 必要としていないときに、50メガビット
 の機能の料金を支払わなければならないと
 いうことです。技術的に可能な場合には、
 NTTは接続事業者に柔軟に対応し、必要
 なだけのリンクを提供するべきなのは明ら
 かです。(在日米国大使館)      
○ −          











 15















○ NTTの全体的に高い接続料金の主な原
 因のひとつとなっている中継伝送料金(つ
 まり、ZC−GC及びGC−GC間)につ
 いて、研究会が検討しなかったのは不運で
 した。研究会はぜひこの問題を検討すべき
 です。たとえば、1分間1.9円のZC−
 GC料金は、米国の同様の料金と比べて、
 15倍以上になっています。モジュールC
 のような、NTT独自の技術を使った、価
 格が高すぎる設備にNTTが投資をしてい
 ることを考慮に入れても、NTTのコスト
 が15倍ということはとても考えられず、
 したがって、これらの料金はコストに基づ
 くものではないように思われます。(在日
 米国大使館)             
○ 中継伝送機能の接続料 
 については本報告書の第
 3部において検討を行っ
 ている。在日米国大使館
 の言う「15倍以上」の
 根拠、「コストに基づく
 ものではない」との主張
 の論拠が不明である。 









第4部 工事費等の算定

番号
        意見概要
     考え方
   II 作業単金の算定                       
 16














○ 会社全体の平均労務費用を使用して相互 
 接続料が算定されているならば、現在の料
 金は真の意味でコストをベースとするもの
 ではありません。歴史的コストに基づく場
 合ですら、相互接続料算定に際して労務費
 用は相互接続に関わる部門の要員の費用の
 みがコストに組み込まれます。この方式な
 らば、会社全体の平均報酬よりも相当安い
 と考えられる現業部門の従業員の比重が高
 くなります。従って、会社全体の平均労務
 費用を使用するならば、適正にコストが配
 分されているとは言い難くなります。研究
 グループがこの点について更に調査される
 ことを希望します。(BT)      
○ −         














 17







○ NTTの作業単金及び保守費に対して競
 争事業者が長期にわたって不満を持ってい
 ることを考えると、NTTが工事、保守、
 ソフトウェアの改修について接続事業者に
 課している料金のすべてについて独立した
 監査を行うことを、研究会は検討すべきで
 す。(在日米国大使館)        
○ 作業単金等については 
 、まずは指定電気通信設
 備設置事業者における調
 査の結果を注視すること
 が適当である。    



   III 作業時間の算定                      
 18







○ (定期的な工数見直しのルールの策定に
 ついて)報告書案に、基本的に賛同いたし
 ます。                
  「定期的な工数見直しのルール」におい
 て、帰納物数の見直しを含む事業者間の協
 議を毎年度行うことは、意義のあることと
 考えております。(DDI)      
○ −         







 19










○ (定期的な工数見直しのルールの策定に
 ついて)さらに、事業者間協議の状況を定
 期的に郵政省に報告すべきであること、及
 び仮にこの協議が不調になった際には、必
 要により電気通信事業法に基づく裁定を行
 う等、行政が介入できることを本報告書(
 又は研究会や郵政省の考え方等)に明記し
 ていただきたいと考えます。(DDI) 



○ 工数の見直しのルール
 等については、接続約款
 の規定において適切に反
 映されるべきである。ま
 た、接続の条件について
 、当事者間の協議が調わ
 ない時の手続として、電
 気通信事業法において裁
 定等について規定されて
 いる。        

第5部 バンドルされたネットワークの利用

番号
        意見概要
     考え方
   II 事業者向け割引料金の導入                  
    2 事業者向け割引料金の導入                 
 20











○ 接続という卸事業と指定電気通信設備設
 置事業者による小売りサービスにおいて、
 料金が逆転するという事態がまだ起きてい
 る点に留意する必要と思います。今回の、
 線端接続における事業者向け割引料金等は
 これを改善するものとして評価できますが
 、今後も国内のアクセス網をほぼ独占する
 指定電気通信設備設置事業者の小売り設定
 料金あるいは様々なサービスが接続事業者
 にとって不利にならないよう、今後とも継
 続検討すべきです。(ワールドコム)  
○ 事業者向け割引料金の 
 導入は、利用者向け料金
 と接続料の関係を「改善
 」するためのものではな
 いが、両者の関係が反競
 争的でないことについて
 は指定電気通信設備設置
 事業者によって検証が行
 われる必要がある。  



 21






○ NTTとしては、接続料金はコストベー
 スとすることが基本であり、今回の報告書
 で言うところの事業者向け割引料金につい
 ても、利用者向け料金を基本としつつも、
 コスト割れが発生しない料金とすべきと考
 えます。(NTT東日本、NTT西日本)
○ 事業者向け割引料金の
 算定に際しては、利用者
 向け料金との対応費用範
 囲の差異が適切に考慮さ
 れるべきである。   


 22


































○ 報告書案にて、第二種電気通信事業者に
 ついて「利用者と区別した費用範囲等につ
 いても本来これの把握に努めるべきもので
 ある。」と明記されておりますが、全面的
 に賛成いたします。(テレサ協)    
○ 当協会は、「端末回線線端接続の接続料
 は、改定事業法の趣旨に則り、アンバンド
 ルされた機能毎に算定された接続料の合計
 額として算定すべきである」と主張してま
  いりました。              
  しかし、「事業者向け割引料金」は、通
 信市場の自由化以来、長年にわたり二種事
 業者が実現を要望してきたものであります
 。また、報告書案でご指摘があるように「
 接続料が利用者向け料金を上回ることが起
 こり得る」ことを考慮し、利用者向け料金
 を上回ることのあり得ない「事業者向け割
 引料金」の設定に賛成いたします。(テレ
 サ協)                
○ 再販事業者(第二種通信事業者)が利用
 する端末回線サービスに関して、NTTが
 事業者向けの割引料金をするようにという
 研究会の提案は役に立つものであり、ぜひ
 実施されるべきです。(在日米国大使館)
○ 任意の網構成要素のアンバンドル価格は
 、そのアンバンドル価格を積算して、網サ
 ービスを構成するとそれを利用する一般加
 入者への課金と同じ料金が出てくることで
 ある。ボトルネック設備を保有する指定電
 気通信事業者は、競合する電気通信事業者
 に提供する網構成要素のアンバンドル設備
 のコストについて、大口利用者は別として
 も、特別な割引料金を定義する必要は無い
  。(筒井)               
○ 端末回線線端接続の接
 続料は、利用者と同一の
 形態での接続に関する料
 金であることから、利用
 者向け料金との競合関係
 が顕著でその比較も明瞭
 であり、接続事業者にお
 いては、利用者よりも接
 続事業者の方が提供条件
 が悪くならないことへの
 要請が特に強いと考えら
 れることから、事業者向
 け割引料金としてこれを
 設定することには意義が
 認められる。     




















    3 事業者向け割引料金の適用に向けた留意事項         
 23




































○ (事業者向け割引料金の適用範囲を当面
 は専用線のみとすることについて、)NT
 Tとしては、公衆網はシステム改造に関わ
 る費用が膨大になることに加えて、対地が
 固定されている専用線とは異なり、通信対
 地が固定されておらず、事業用か自家利用
 かのチェックは困難であると考えられるこ
 とから、今後も事業者向け割引料金の適用
 対象外とするよう要望します。(NTT東
 日本、NTT西日本)         
○ 報告書案では「当面は専用線のみについ
 て、事業者向け割引料金の設定を行うこと
 とし、」と述べられていますが、当協会も
 当面そのように同意いたします。(テレサ
 協)                 
○ 公衆網に関しても、「事業者向け割引料
 金」が専用線に続いて設定されることを、
 強く要望します。           
  報告書案には「利用者向け料金の準用の
 廃止については、専用線以外については特
 に要望が表明されてきておらず・・」と記
 述されておりますが、第二種電気通信事業
 者の通信サービスでは、以下のように、公
 衆網の利用が前提となっているものが多数
 あることは事実です。         
(1)インターネット接続プロバイダ、ダイア
  ルアップ接続サービス        
・顧客と二種事業者アクセスポイント間を接
 続する公衆網(顧客発信)       
(2)公専公電話サービス、ファクシミリ集配
  信サービス、データ集配信サービス等 
・顧客(発信者)と二種事業者アクセスポイ
 ント間を接続する公衆網(顧客発信)  
・二種事業者アクセスポイントと受信者間を
 接続する公衆網(二種事業者発信)(テレ
 サ協)                
○ 利用者向け料金の準用
 の廃止については、専用
 線以外について特に希望
 が表明されてこなかった
 こと、かつ、公衆網につ
 いては事業者向け割引料
 金の設定のためには課金
 システムの導入のための
 改修規模が大きいことが
 予想されることから、当
 面は専用線のみについて
 とすることが適当である
 。          
























 24









































○ 事業者向け割引料金を適用した場合の自
 家利用回避策については、接続を希望する
 事業者の設備構成や役務提供形態等の提出
 により、事業用かどうかの確認を行う必要
 があると考えますが、これらの確認行為に
 ついては事業者間だけではなく行政も含め
 たルール化が必要と考えます。(NTT東
 日本、NTT西日本)         
○ 「事業者向け割引料金」について、制度
 上の位置づけ等を確固たるものとしていた
 だくこと、また、「事業者向け割引料金」
 の内容の決定に当たっては、当協会の意見
 も反映され、公正に決定されるような体制
 が構築されることを強く要望いたします。
(テレサ協)              
○ 「当該設備が事業用に供されていること
 を担保するための措置」は、その内容が、
 電気通信事業者やその顧客に新たな負担を
 追加するものであってはなりません。  
  そのような負担は、市場の活性化を狙い
 とした本制度にとっては本末転倒と言わざ
 るを得ないからです。         
  担保の方法は、通常の民間企業間の取引
 から見て常識的な範囲内で、公正に定めら
 れることを要望します。(テレサ協)  
○ 線端接続における専用線料金を事業者向
 けに割引し、かつ料金設定権を接続事業者
 に与える点について非常に評価しておりま
 す。但し、その技術条件面における不明点
 として、この適用がDSU−DSUベース
 の専用接続にも当てはまるのか、それとも
 SLTベースで専用線を束でまとめた場合
 の接続のみにも適用されるのかが存在し、
 この点を接続約款では明らかにしていただ
 きたいと思います。(ワールドコム)  
○ 研究会は、米国で卸割引料金を計算した
 ときに使った、FCCのLocal Competition
 Orderに詳述されている、「可避コスト(a
 voidable costs)」に基づく方式を検討さ
 れてはどうでしょうか。(在日米国大使館
 )                  
○ 当該設備が事業用に供
 されていることを担保す
 る措置については、事業
 者向け割引料金の導入に
 向けた所要のシステム改
 造の期間中に、関係事業
 者を交えて、必要なルー
 ル化に向けた検討を行っ
 ていく必要がある。  

































 25








○ (「事業者向け割引料金」の設定に必要
 な課金システム導入のための改修期間につ
 いて)対象を専用線に限ることにより、N
 TT側の「課金システムの導入に必要な改
 修期間」は大幅に短縮できます。想定され
 る改修内容から判断する限り、改修に必要
 な期間は6ヶ月を超えることはあり得ない
 と考えます。(テレサ協)       
○ 指定電気通信設備設置
 事業者において、事業者
 向け割引料金導入のため
 のスケジュールを早急に
 明確化すべきである。 




 26
























○ (報告書案中「事業者向け割引料金を設
 定する際には、これらのサービス運営方法
 について、端末回線線端接続以外の接続の
 場合と同様の方法に変更せざるを得ない可
 能性がある。」との記述に関し)我が国の
 電気通信サービスの料金を下げるためには
 、電気通信事業者が業務の効率化等に努力
 し、コスト削減を徹底する必要があります。
  したがって、現行のNTTのサービス運
 営方法を無前提に良しとするのではなく、
 NTTと電気通信事業者との間のバリュー
 チェーンのあり方についても徹底した合理
 化が求められるべきであり、段階的に以下
 のような具体策を実施してゆくことが必要
 であると考えます。          
(1)NTTと電気通信事業者間のビジネスプ
 ロセスの再構築            
(2)NTTの提供するサービス仕様、サービ
 ス体制についての明確な情報開示    
(3)NTTの電気通信事業者対応手続きの簡
 素化とインターフェースの明示     
(4)申し込み/回答プロセスにおける紙の廃
 止と電子化によるスピードアップ(テレサ
 協)                 
○ 事業者間の接続に係る
 手続の細目等については
 、事業者間の合意により
 効率化が進められるべき
 である。       





















第6部 コロケーションについて

番号
                意見概要
         考え方
   II 「接続に必要な装置」の範囲について             
 27




○ 米国政府は、どのコロケート設備が接続
 に必要か判断するのはNTTではなく、接
 続事業者であるべきだという研究会の結論
 に賛成します。(在日米国大使館)   
○ −         




 28









○ 一般的に言って、NTTがコロケーショ
 ンの要望を拒否できるのはスペースがない
 場合にかぎられるべきであり、このような
 NTTの主張が正しいかどうか判断するた
 めに、接続事業者はそのスペースを見るこ
 とが許されるべきです。(在日米国大使館
 )                  



○ コロケーションの要望 
 に対する拒否事由として
 は空き場所がないことの
 みが想定される訳ではな
 く、現行のNTT東日本
 ・NTT西日本の接続約
 款第16条第4項にその
 他の拒否事由も列挙され
 ている。       
   IV 通信用建物の料金について                  
 29




























○ 報告書案に賛同いたします。     
  コロケーション料金の具体的算定方法に
 ついては、指定設備利用部門と接続事業者
 とのイコールフッティングの観点から、現
 行接続約款の「料金表 第3表 預かり保
 守等契約に基づく負担額 第1 通信用建
 物に係る負担額」に記載されている算定式
 における入力値として(正味)帳簿価額を
 使用すべきと考えます。(DDI)   
○ 指定電気通信事業者の所有するボトルネ
 ック施設は、任意の施設において、コスト
 ベース、実償却期間ベースで算出されたコ
 ストに適正なマージンを乗せて競合する事
 業者に提供されるべきである。(筒井) 
○ 管路・とう道とは異なり、建物には周辺
 相場という市場価格が存在し、その提供料
 金は、市場価格とするのが最も合理的であ
  ると考えます。             
  更に、市場価格と異なる料金で取引し、
 市場価格との差額が生じた場合、税務上の
 課題が生じる可能性があると考えておりま
  す。                  
  当社は、研究会の場を通じて以上の内容
 を主張してまいりましたが、今後は、当社
 として、税務上の課題について引き続き検
 討し、結論が得られれば御当局に改めて意
 見を申し上げたいと考えます。(NTT東
 日本、NTT西日本)         
○ 通信用建物の使用料の
 在り方については、帳簿
 価額ベースとすることが
 適当であるが、その際に
 指定電気通信設備設置事
 業者が額を恣意的に設定
 することで問題が起こる
 ことのないよう、具体的
 な算定方法について省令
 等により明確に規定され
 れる必要がある。   


















 30
























○ 現在接続約款には預かり保守契約に係る
 負担額の算定式が記載されておりますが、
 報告書案の考え方(註:「管路・とう道に
 ついての議論は通信用建物についても妥当
 する。本件の検討対象となっている通信用
 建物についても、II,IIIで議論したとおり
 その代替困難性の見地からボトルネック性
 が認められるのであって、この提供条件を
 考えるときの基本的な考え方は、指定電気
 通信設備設置事業者が自らの利用者向け料
 金を算定する際に採られているベースを基
 本とすべきと考えられる。」)を反映して
 、帳簿価額を使用する旨を明記すべきと考
 えます。また、具体的料金および算定根拠
 についても、実額を接続約款に記載してい
 ただきたいと考えます。(JT)    
○ コロケーションに関する料金及び算出根
 拠については、透明性確保の観点から接続
 約款申請時に実額を公表していただきたい
 と考えます。仮に申請時に公表できないの
 であれば、例えば事後的にでも毎年度を公
 表していただきたいと考えます。(DDI
 )                  


○ 通信用建物の帳簿価額
 は建物毎に区々であり、
 また、実際にコロケーシ
 ョンの需要が発生するも
 のはその一部であること
 から、通信用建物の全て
 について個々にコロケー
 ション料金の実額を接続
 約款に記載することは費
 用対効果の面で効率的で
 ない可能性がある。しか
 しながら、コロケーショ
 ンの料金が公表されるこ
 とには、接続事業者のコ
 ロケーション費用に予測
 可能性を持たせ、その透
 明性も確保されることに
 なり意義があると認めら
 れるので、例えば利用実
 績のあるビルに限定する
 などの工夫をした上で接
 続約款に実額記載する等
 、明確な形で公表すべき
 である。      
   V 管路・とう道の提供条件に関する追加的意見について      
 31













○ 弊社では、とう道の料金が高いと考えて
 おり、今後もオープンな議論が必要と考え
 ております。             
  上記の観点から、本報告書案において負
 担額を「接続事業者側に提示すること」と
 していただいたことについては、賛成いた
 します。               
  今後も継続な議論を行うためにも、具体
 的な料金については接続約款申請時に実額
 を公表していただきたいと考えます。仮に
 申請時に公表できないのであれば、例えば
 事後的にでも毎年度公表していただきたい
 と考えます。(DDI)        
○ とう道の収容ケーブル
 数が区々であり、その把
 握も現状では個々に対応
 せざるを得ないとのこと
 であるから、当面は実額
 開示も個別に行うことが
 適当と考えられる。  







 32












○ 前回も主張させていただきましたが、管
 路等の設備の帳簿価額ベース賃貸借料金が
 接続点の置かれているNTT局舎と第1マ
 ンホールとの間の管路・とう道に限定して
 いる点は、NTT管路を多用している弊社
 と致しましては依然納得できないところで
 あり、管路を含むオープン・アクセスの問
 題として再検討を要望します。特に、行政
 による掘削規制がある状況下で、上記区間
 外の管路等設備がボトルネックであるかど
 うかの再検討を要望します。(ワールドコ
 ム)                 
○ 今回の検討対象とはし
 なかったが、管路等がボ
 トルネックである範囲に
 ついては今後とも議論が
 必要である。しかし、こ
 れは行政による掘削規制
 の有無とは関係がない。






 33

















○ 競争事業者に対して、NTTのとう道、
 管路へのコストベースのアクセスを確保す
 ることについて、研究会が何の勧告も出さ
 なかったことに、米国政府は失望していま
 す。管路の利用を望む競争事業者から、過
 剰な利益をNTTが受けることができるよ
 うになっているように思われるNTTの現
 在の料金体系は、新規参入者に対する大き
 な重荷のひとつであり、日本における設備
 ベースの投資を妨げる主要な要因のひとつ
 です。このような料金を調査することに加
 えて、研究会は、とう道・管路へのアクセ
 スの条件を見直すべきです。なぜならば、
 競争事業者から聞くところによると、これ
 らの条件は妥当、必要なレベルを超え、ず
 っと厄介なものだからです。(在日米国大
 使館)                
○ 指定電気通信設備設置
 事業者の管道、とう道へ
 のアクセスに関しては、
 接続を円滑に行うために
 必要なものの料金につい
 ては接続約款において、
 それ以外の部分の料金に
 ついては本研究会の検討
 対象外であるが、事業者
 の自主的な措置において
 、コストベースで行われ
 ることになっている。 







第7部 DSLの接続

番号
        意見概要
     考え方
   III DSLのMDF接続について                
    1 はじめに                         
 34










○ (図「想定される接続形態」に関して)
 図において示されている、「POIの可能 
 性14のうち、           
  1及び4については、いずれの場合にお
 いても接続可能とすることを担保していた
 だきたいと考えます。         
  2及び3については、「装置の一体化に
より相互インタフェースを持たない場合」 
を除いて、接続可能とすることを担保して 
いただきたいと考えます。(DDI)   
○ 装置が一体化されてい 
 るという事情がある場合
 を除けば、1から4につ
 いては、技術的に困難な
 事情等が特に認められる
 訳でもなく、要望に応じ
 てアンバンドルすること
 が適当と考えられる。 



    2 技術的条件                        
 35


















○ DSLの接続については、事業用電気通
 信設備規則等で定められる技術的条件を満
 たす範囲で、接続事業者の利用形態は自由
 であるべきと考えます。報告書案の趣旨の
 とおり、技術的条件・接続形態について、
 今後の開かれた議論を行っていきたいと考
 えております。(JT)        












○ DSL接続にあたって
 は、適切な技術条件の在
 り方を確認する試験的な
 運用期間を経た上で、妥
 当な技術的条件の在り方
 等について検討していく
 ことが適当である。  
  また、技術的条件につ
 いては、試験的な接続に
 おけるもの、標準的な接
 続箇所として規定される
 ものの双方について充分
 なコンセンサスを得て行
 くことが重要であり、意
 見集約のための検討の場
 を設置して具体的な検討
 が行われることが望まれ
 る。         
 36






























○ NTTは、標準的な接続箇所における接
 続インタフェースについて、従来から相互
 接続の容易性やコストパフォーマンスの向
 上、更には国際系キャリアとの相互接続を
 考慮し、ITU等の国際標準等に準拠する
 よう努めているところであります。これは
 世界的な動向であると認識しており、過去
 において米国等からも求められてきたもの
 です。                
  今回のMDF接続によるADSLサービ
 スの伝送方式の適用にあたっては、上記の
 考え方に基づき、基本的にはITU標準で
 あるDMT方式を優先していくべきである
 と考えており、特に、非標準方式と標準方
 式が干渉しあう場合には、設備コストの増
 大を防ぐ観点から、非標準方式側で対処す
 ることが必要と考えます。       
  NTTとしては、非標準方式を一切排除
 してしまう考えはありませんが、非標準方
 式を適用していく場合には、標準方式への
 影響や設備規則で規定されている他の回線
 への漏洩について充分に確認していくこと
 が重要と考えます。          
   また、非標準方式を適用していく場合
 には、非標準方式にも複数の方式が存在し
 ていることから、各方式に対し技術的検証
 等を行うために相当の期間とコストが発生
 するので、これらの非標準方式導入に伴う
 費用負担等について整理する事が必要と考
 えます。(NTT東日本、NTT西日本)
○ NTT東日本・NTT
 西日本が自社で用いる方
 式以外の方式を全て排除
 するようなことがあって
 はならないが、各方式の
 得失や必要な調整事項な
 どについて、試験的な接
 続の期間内に充分検証が
 行われることが必要であ
 る。         





















    3 光ファイバ化との関係                   
 37










○ 報告書案に賛同いたします。     
  ユーザーの利便性、及び市場促進の観点
 から、光化の後においても同様の接続を提
 供することを担保していただきたいと考え
 ます。(DDI)           






○ 光ファイバ化の後も可
 能な限りアンバンドルが
 行われる必要があると考
 えられるが、具体的なニ
 ーズや形態等が必ずしも
 明らかではない現状にお
 いては、その技術的条件
 等を予め明定する必要ま
 ではないものと考えられ
 る。         
    4 品質劣化への対応                     
 38









○ (報告書案中、「品質劣化への具体的な
対応方法については試験的な提供の中で検 
証しつつ見極めて行く必要がある。」との 
部分について、)報告書案に賛同いたしま 
す。                  
  DSLに関する保守等については、技術
的な問題の克服、及び保守の平等性を含め 
て今後の試験的な提供の中で柔軟に対応し 
ていただきたいと考えます。(DDI)  
○ DSLに関する保守等
 については、今後の試験
 的な提供の中で出来るだ
 け柔軟にその対応方法に
 ついて検証されていくこ
 とが適当である。   




    5 その他の条件                       
 39








































○ ADSLの電話との重畳的な提供につい
 ては、既存電話サービスへの影響等が充分
 に検証されていなく、また、スプリッタ等
 の装置の品質等が不安定な段階であること
 から、今回、試験サービスといいながらも
 商用サービスと同一フィールドでの実施で
 あることを考慮すると、既存のお客様への
 影響を最小限に抑える様に限定的に実施す
 べきと考え、電話重畳やスプリッタの設置
 についてはNTT直営で行うべきであると
 考えます。              
  仮に、電話との重畳的な提供がやむをえ
 ない場合でも、少数のビルに限定して提供
 されるべきと考えております。(NTT東
 日本、NTT西日本)         
○ 接続事業者のサービス提供範囲を単にイ
 ンターネット接続のために供されるDSL
 の適用に限るのではなく、電話サービスを
 重畳すべきと考えます。これが実現できな
 い限り、本来の意味でのアンバンドリング
 ・ローカルループ(ULL)と呼ぶことは
 できません。指定電気通信設備設置事業者
 による加入者回線の全面開放を望みます。
 (ワールドコム)           
○ 競争事業者はアンバンドル・ベースでN
 TTのxDSLサービスを利用し、音声サ
 ービスと加入者回線を共有し、NTTの敷
 地内でスプリッターをコロケートできるべ
 きだということに同意します。(在日米国
 大使館)               
○ 米国の状況はPAC Bell、USWe
 stなどDSLサービスを行っているとこ
 ろは全て電話と重畳するサービスを基本と
 している。SBCはAmeritech と合併の契
 約書を公開したが、そのなかでSBCは重
 畳サービスをCLECも行えるようにする
 旨を明示している。日本でも電話との重畳
 サービスがNTTと同様におこなえること
 を明示していただくことは重要です。(ソ
 ネット)               
○ DSLのメリットは既
 存の電話加入者回線を利
 用できるところにその重
 大なポイントがあり、ま
 た指定電気通信設備設置
 事業者において単独で電
 話との重畳的なDSLの
 提供が試験的には可能で
 あるというときには、原
 理的には同様の条件を実
 現する装置によれば、他
 事業者との接続によりこ
 れを行うことについても
 特段の問題はないと考え
 られる。また、スプリッ
 タのコロケーションにつ
 いても、電気通信事業法
 第23条の4第3項第2
 号における「接続に必要
 な装置」に該当するもの
 についてはこれを認める
 べきであり、本件スプリ
 ッタについてもその例外
 とはならないと考えられ
 る。         
















 40












○ (接続料及び利用者向け料金の扱いにつ
いて、)報告書案に賛同いたします。   
  仮に、協議の結果、ぶつ切り料金で接続
している事業者があった場合においても、 
同一の接続方法についてエンド・エンドで 
接続事業者が料金設定することが制限され 
るものではないと理解しております。(D 
DI)                 
○ MDF接続の際の料金設定権や請求権につ
 いては、コストベースで正しく算定された
 ものを基に接続事業者が設定すべきものと
考えております。(ワールドコム)    
○ 利用者向け料金の設定
 主体をどの事業者にする
 かは一次的には接続当時
 事業者間の協議によって
 決定されるべきであり、
 ある事業者の協議結果が
 、他の事業者の協議内容
 を束縛するものではない
 。          




 41





○ xDSLサービスを提供するためにNT
 T網のアンバンドル要素を使いたいと思っ
 ている競争事業者に公正なアクセスを確保
 するために、コストベースの料金を含むア
 ンバンドル要素を提供するための約款を作
 ることが重要です。(在日米国大使館) 
○ −         







その他

番号
        意見概要
     考え方
   意見聴取手続について                      
 42


















○ NTT社の接続約款に関する現行のプロ 
 セスでは、NTT社が申請した接続約款に
 対して接続事業者が意見書を提出し、その
 後、再意見書の提出というステップを踏む
 こととなっていますが、再意見書の提出に
 あたっては、NTT社と接続事業者の提出
 タイミングが同時であり、接続事業者は、
 自らの当初意見書に対するNTT社の反論
 を見ることなく再意見書を提出しなければ
 なりません。したがって、接続事業者の再
 意見書は、NTT社の反論に対する再意見
 という形にならず、あまり効果を発揮でき
 ないものとなっています。当社としては、
 パブリックコメント招請という手法をより
 効果的なものとするため、接続事業者の再
 意見書はNTT社の意見に対する再意見と
 なるよう、招請スケジュールを改善される
 よう要望します。(TTNet)    
○ 接続約款の認可にあた 
 って電気通信審議会が行
 う意見聴取の方法につい
 ての意見であるが、これ
 についての電気通信審議
 会の考え方は同審議会の
 答申(平成11年1月2
 2日郵通議第111号)
 別紙2において示されて
 いる(第64項)。  









 43













○ この接続研究会で提起されたような技術
 的な問題については、2週間という期間で
 意見を求めるのは不合理なことです。関心
 を持つ当事者に意味のある意見を提出して
 ほしいと郵政省が真摯に思っているならば
 、米国政府は意見提出期間を最低30日まで
 延長するように強く求めます。(在日米国
 大使館)               






○ 今回の意見聴取期間は
 7月2日から21日まで
 の足掛け20日間として
 おり、「2週間」ではな
 い。今回の期間は、関係
 者が意見を提出するため
 に出来るだけ長い期間を
 設定すると言う要請と、
 今回の報告書の内容を次
 回の接続料再計算等まで
 に所要のルール整備に反
 映させる要請とを勘案し
 て設定したものである。




トップへ