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発 表 日 : 2001年3月28日(水)

タイトル : 「電気通信分野における公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインの在り方について」の答申

総合通信基盤局



 総務省は、本日、情報通信審議会(会長 秋山 喜久)から「電気通信分野における公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインの在り方について」の諮問に対し、答申(別紙)を受けました。
 この答申は、平成13年(2001年)1月17日に同審議会に諮問したものです。  総務省としては、この答申を受け、早急に公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインの運用開始に向けて取り運ぶこととします。





(連絡先)
総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課
(担当:二宮課長補佐、和田係長)
(電 話): 03−5253−5835







「電気通信分野における公益事業者の電柱・管路
等使用に関するガイドラインの在り方について」答申



平成13年3月28日
情報通信審議会


 光ファイバの整備促進には、電柱・管路等の既存ネットワーク空間の活用が有効であると考えられるが、これらの空間提供のための制度が未整備であり、新規参入通信事業者等から明確なルール策定の要望が出されており、e-Japan戦略において目標とされている5年以内に世界で最高水準の高速なネットワークインフラを構築するため、第一種電気通信事業者の線路敷設に関するルールを整備し、その円滑化を図る必要があるところである。

 そのため、昨年のIT戦略会議・IT戦略本部合同会議において取りまとめられた取組方針である「線路敷設の円滑化について」を踏まえ、電柱・管路等の使用に関する公正、無差別、透明なルール作りを行うことが重要である。

 そこで、本年1月17日諮問された「電気通信分野における公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインの在り方」について、当審議会においてパブリック・コメントを招請し、関係者等から多数の意見が寄せられ、それらを踏まえ審議を深めてきたところである。
 当審議会としても、IT革命推進のためにはすべての第一種電気通信事業者による線路敷設の円滑化が重要課題であると認識しており、そのための公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインの在り方として、「基本的な考え方」、「貸与申込手続」、「貸与拒否事由」、「貸与期間」等を盛り込んだ具体的なガイドラインを別添のとおり取りまとめたものである。
 本ガイドラインが有効に機能することにより、線路敷設の円滑化が一層促進され超高速インターネットの利用環境が整備されることとなると考えられる。








公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン



 IT戦略会議・IT戦略本部合同会議で取りまとめられた取組方針である「線路敷設の円滑化について」に則り、以下のガイドラインを策定する。このガイドラインは、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)の協議認可・裁定の運用基準として機能することとなるものである。


(基本的な考え方)
第1条
このガイドラインは、電柱、管路、とう道、ずい道その他の第一種電気通信事業の用に供する線路を設置するために使用することができる設備(行政財産であるものを除く。)(以下「設備」という。)の所有者(所有権以外の権原に基づきその設備を使用する者があるときは、その者及び所有者)(以下「設備保有者」という。)が、第一種電気通信事業者(以下「事業者」という。)に設備の一部を提供する場合において、設備保有者及び事業者が遵守すべき標準的な取扱い方法を取りまとめることにより、事業者による線路敷設の円滑化を図り、超高速インターネットの整備に不可欠な光ファイバ網の整備等を推進し、もって利用者の利益、国民の利便の向上に資することを目的とする。
  2
設備保有者には、電気通信事業者、電気事業者、鉄道事業者その他の公益事業者が該当するものとする。
  3
設備の提供に当たっては、原則として、次によるものとする。
(1)
設備保有者は、事業者から設備の提供の申込みがあったときは、自己の事業又は有線電気通信設備令その他の設備に関する法令等の規定(以下「設備関係法令等」という。)及び道路法その他の公物管理に関する法令等の規定(以下「公物管理関係法令等」という。)に支障のない限り、公平かつ公正な条件で設備を提供する。(公正性の原則)
(2)
設備保有者は、事業者に設備を提供するに当たり、資本関係その他の理由により、差別的な取扱いをしない。(無差別性の原則)
(3)
設備保有者は、設備の提供にかかる条件等をあらかじめ公開する。
なお、公開すべき条件等は、このガイドラインで規定する。(透明性の原則)

(貸与申込手続)
第2条
設備保有者は、設備の提供に関し、次の事項をあらかじめ公表するものとする。なお、公表は原則としてインターネット上のホームページへの掲載によるものとする。
(1)
提供を受けるための申込み窓口及びその連絡先
(2)
提供を受けるための手続
(3)
提供が拒否できる事由
(4)
標準的な設備使用料及びその算出根拠
(5)
調査の申込みから提供の可否の決定までの標準的な期間(標準的な調査回答期間)
(6)
提供に関して行う調査に係る費用の算定方法
(7)
調査の申込みから使用までの標準期間
  2
調査の申込みから提供の可否の決定までの期間は、原則として2箇月以内とする。
  3
設備保有者は、2箇月以内に提供の可否の決定ができない場合は、その理由を明記した書面又は電子メール等の電磁的方法により、申込みを行った事業者へ通知するものとする。
  4
設備の提供に伴う事前調査に要する費用は、コストに基づき適正なものとし、内訳として人件費(内訳としての作業時間、作業人数及び作業単金を含む。)、交通費、機械器具損料等を含め設備保有者が示した場合には、事業者が負担するものとする。
  5
第1項第4号に規定する標準的な設備使用料、同項第5号に規定する標準的な期間又は同項第7号に規定する標準期間を設定することが困難であるときは、過去の実績等に基づく例示等をもって代えることができる。

(貸与拒否事由)
第3条
設備保有者は、事業者から設備の使用の申込みを受けたときは、原則として、次の各号に掲げる場合を除き拒否しないものとする。
(1)
使用を希望する区間に現に空きが無い場合
(2)
設備保有者が5年(法令に基づきこれより長い期間に係る設備計画(最新の需要想定等を勘案した上で修正された設備計画がある場合は当該計画。以下本条及び次条において同じ。)を作成している場合は当該期間。以下本条及び次条第2項において同じ。)以内にその設備を全て使用する予定であり、そのことが設備計画において明示されている場合
(3)
設備保有者の設備に大幅な改修又は移転の計画があり、そのことが5年以内の期間に係る設備計画において明示されている場合
(4)
電柱にあっては設備保有者が地中化を計画しており、そのことが5年以内の期間に係る設備計画において明示されている場合
(5)
事業者が設置しようとする伝送路設備が設備保有者の技術基準に適合せず、設備保有者による建設若しくは保守において困難がある場合、又はそのおそれが強い場合
(6)
事業者の責に帰すべき理由により過去に費用負担・使用期間その他の使用条件についての契約が現に履行されなかったことがある場合、又は重大な不履行若しくは救済不能の不履行が発生するおそれが強い場合
(7)
事業者が行おうとする伝送路設備の設置が設備関係法令等の条件を満足しない場合や、当該設備の使用が公物管理関係法令等の規定の適用を受けるものにあっては、事業者又は設備保有者が受ける道路占用許可その他の公物の占用等の許可(変更の許可を含む。)の取得若しくは占用許可等の条件の変更に困難がある場合、又はそのおそれが強い場合
(8)
第6号に定めるもののほか、事業者の責に帰すべき理由により過去に守秘義務、目的外使用の禁止その他契約に定める事項が履行されなかったことがある場合、又は重大な不履行若しくは救済不能の不履行が発生するおそれが強い場合
(9)
その他設備保有者の行う公益事業の遂行に支障のある場合、又はそのおそれが強い場合
  2
設備保有者は、前項各号に掲げる事項に該当するものとして事業者からの設備の使用の申込みを承諾しない場合は、その事業者に対し、承諾しない理由を書面又は電子メール等の電磁的方法により通知する。
  3
設備保有者は、事業者から申込みを承諾しない理由について、具体的な内容の説明を求められた場合は、セキュリティーの確保に支障がなく、かつ、経営上の秘密又は顧客情報に抵触しない範囲で、これに応じるものとする。

(貸与期間)
第4条
貸与期間は、原則として5年間とする。
  2
設備保有者は、自己による使用予定を理由として、事業者の要望に応じない場合においては、その使用予定が5年以内の期間に係る設備計画に明示されていることを要するものとする。
  3
設備保有者は、設備の使用が公物管理関係法令等の適用を受けるときは、当該公物の占用等の期間についての規定を十分に勘案するものとする。

(敷設工事及び保守ルール)
第5条
設備保有者から提供された設備に伝送路設備を敷設する工事の設計及び施工又は当該伝送路設備の保守は、セキュリティーの確保及び事故防止のため、原則として設備保有者又は設備保有者が指定する者が行う。なお、設備保有者が示す、セキュリティーの確保及び事故防止のための保証手段及び責任の明確性を確保するための措置を講じる場合には、事業者の希望に応じ事業者自らが工事の設計及び施工又は保守を行うことを認めるものとする。
  2
設備保有者は、セキュリティーの確保及び事故防止のための保証手段及び責任が明確でないと判断し、事業者自らが工事の設計及び施工又は保守を行うことを認めない場合は、事業者に対し、その判断理由を書面又は電子メール等の電磁的方法で通知するものとする。
  3
設備保有者から提供を受けた設備に設置された伝送路設備の保守については、設備の提供に係る契約においてその運用ルールを明示するものとする。

(貸与の対価)
第6条
設備保有者から提供された設備に係るコストは、設備の提供を受けた事業者が負担するものとする。
  2
設備保有者は、次に掲げる式の示す範囲において、コストに基づき適正な設備使用料を定めるものとする。
[設備の取得価額から当該設備に係る減価償却費累計額を減じて得た額]×[維持費率]×[設備の占有率]≦[設備使用料]≦[設備の再調達価額]×[維持費率]×[設備の占有率]
 ここで再調達価額とは、当該設備を新たに取得するものとした場合において見込まれる価額とする。

注:[設備の取得価額から当該設備に係る減価償却費累計額を減じて得た額]×[維持費率]×[設備の占有率]>[設備の再調達価額]×[維持費率]×[設備の占有率]が成立する場合においては、[設備使用料]≦[設備の再調達価額]×[維持費率]×[設備の占有率]とする。

  3
設備保有者は、事業者に対し、使用の申込みを受けた設備の使用料及びその算出根拠を、第13条に定める標準実施要領において記述する時期に通知するものとする。

(移転費用負担等)
第7条
設備保有者の事情又は正当な利益を有する第三者の要請により現に提供している設備を撤去し又は移転する必要が生じた場合の事前予告及び移転費用の取扱いについては、設備の提供に係る契約において明示するものとする。この場合において、事業者の伝送路設備の撤去又は移転に係る事前予告及び移転費用の取扱いについても、同様とする。
 事業者は、設備保有者に対して自己の責に帰すべき事由により設備の提供の中止を求める場合は、事業者の負担により設備を原状復帰するものとする。

(事故、災害時の取扱い)
第8条
事故、災害の発生により現に提供している設備が破損した場合の取扱いについては、設備の提供に係る契約において明示したときは、当該契約内容によるものとする。

(更新ルール)
第9条
設備保有者が、事業者から設備提供の継続の申込みを受けたときについては、前各条の規定を準用する。

(設備の使用に当たっての遵守事項)
第10条
事業者は、設備保有者から提供された設備には、第一種電気通信事業の用に供する伝送路設備を敷設するものとする。
  2
事業者は、設備保有者から提供された設備に伝送路設備を敷設し、又は設備を使用するに当たり、設備関係法令等及び設備保有者が適正に定める技術基準に従って行うものとする。
  3
事業者は設備保有者から提供された設備に伝送路設備を設置し、又は設備を使用するに当たり、設備の定着する土地の所有者その他伝送路設備がその上空を通過する土地の所有者(所有権以外の権原に基づきその土地を使用する者があるときは、その者及び所有者)との間で、公物管理関係法令等に関する諸手続をはじめ、必要な調整を適切に進めるものとする。また、設備保有者は設備を使用させるに当たっては、公物管理関係法令等に基づき必要な諸手続等を適切に進めるものとする。
  4
事業者は、設備保有者から提供された設備に伝送路設備を敷設し、又は、設備を使用するに当たり、事業者の責に帰すべき事由により第三者との間に争いが生じた場合、又は第三者に損害を与えた場合においては、事業者の責任と負担により処理するものとする。

(契約解除事由)
第11条
設備保有者は、事業者が自己の責に帰すべき事由により、このガイドライン又は設備の提供に係る契約に違反した場合は、当該契約を解除することができる。
  2
前項に定めるほか、設備保有者は、契約締結時に予期できなかった事情等により、自己の公益事業を遂行する上で現に事業者に提供している設備を使用することが必要であって、他の設備をもって代えることができなくなった場合に限り、速やかに、相当な期間をおいて解除する旨の予告を行う等電気通信役務の円滑な提供のために必要な措置を講じる場合には、当該契約を解除することができるものとする。
  3
前二項の規定により契約を解除された場合、事業者は速やかに自らの負担で当該設備を原状に回復し、返還するものとする。

(情報開示)
第12条
設備保有者は、事業者から設備の使用可能状況について照会があったときは、当該区間の使用可能状況について事業者への回答を行う。なお、情報開示により当該設備におけるセキュリティーの確保が困難となる場合、経営上の秘密又は顧客情報に抵触する場合はこの限りでない。また、回答に係る費用は、事業者が負担するものとする。その額は、コストに基づき適正なものとするものとし、内訳として人件費(内訳としての作業時間、作業人数及び作業単金を含む。)、機械器具損料等を事業者に示すものとする。

(標準実施要領の作成)
第13条
設備保有者は、このガイドラインに準拠した設備の使用に関する標準実施要領(公開ベース)を作成し、第2条第1項に定める事項を公表するものとする。なお、公表は原則としてインターネット上のホームページへの掲載によるものとする。
設備保有者は、前項の標準実施要領において、調査の申込みから使用までの標準的な手続(第6条第3項に定める設備使用料及びその算出根拠の通知に関するものを含む。)及びその手続に要する期間並びに申込書、契約書、通知書その他の必要な書類の標準的な様式を示すものとする。

附 則

(施行期日)
第1条
このガイドラインは、平成13年4月1日から施行する。

(適用対象に関する経過措置)
第2条
このガイドラインにおける設備保有者に該当する公益事業者は、当分の間、電気通信事業者、電気事業者及び鉄道事業者とする。

(見直し)
第3条
このガイドラインの施行の日から起算して一年ごとに、設備使用の進展の程度等について検討を加え、その結果に基づいて見直しを行うものとする。なお、当該見直しに当たり、設備保有者は、資料の提供等必要な協力を行うべきものとする。





別添
電気通信分野における公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン(案)(平成13年1月22日公表)に対する意見(同1月22日から2月21日まで募集)及びそれに対する考え方



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