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発表日  : 11月7日(金)

タイトル : 第102回電気通信技術審議会議事録





第1 開催の日時及び場所
   平成9年9月29日(月) 午後2時00分から 於、郵政省3階第2特
  別会議室

2 出席した委員
  西澤 潤一、徳田 修造、生駒 俊明、太田 亨、金子 尚志、川田 隆資、
 國井 秀子、倉内 憲孝、小舘 香椎子、高橋 寛子、長尾 真、
 長谷川 豊明、羽鳥 光俊、原島 博、安田 靖彦


第3 出席した関係職員等の所属及び氏名

 1 大臣官房
   甕 昭男(技術総括審議官)、田村 正衛(国際部長)、
  高祖 憲治(専門調査官)

 2 通信政策局
   寺崎 明(技術政策課長)

 3 電気通信局
   谷 公士(電気通信局長)、團 宏明(電気通信事業部長)、
   田中 征治(電波部長)、河内 正孝(電気通信技術システム課長)、
   竹田 義行(計画課長)、稲田 修一(移動通信課長)、
   松井 房樹(電波環境課長)

 4 放送行政局
   品川 萬里(放送行政局長)、小林 哲(放送技術政策課長)、
   吉田 昇(デジタル放送技術開発課長)

 5 通信総合研究所
   古濱 洋治(所長)、箱石 千代彦(次長)

 6 事務局
   渡辺 信一(審議会室長)


第4 議題

 1 一部答申  諮問第1号「国際電気通信連合無線通信総会に対する対処に
        ついて」

 2 一部答申  諮問第3号「国際無線障害特別委員会(CISPR)の諸規
        格について」のうち『「車載受信機保護のための妨害波の推奨
        限度値及び測定法」及び「電磁両立性(EMC)に関する共通
        規格−その1(住宅、商業及び軽工業環境に関するエミッショ
        ン規格)及びその2(工業環境に関するエミッション規格)」』

 3 一部答申  諮問第64号「端末設備としての移動機に求められる技術的
        な条件」のうち「CDMA方式携帯・自動車電話端末に求めら
        れる技術的条件」

 4 答  申  諮問第90号「アナログ電話端末設備等に求められる技術的
        条件」

 5 答  申  諮問第91号「有線電気通信設備に関する技術的条件」

 6 新規諮問  「400MHz帯等を使用する業務用の陸上移動局等のデジ
        タル・ナロー通信方式の技術的条件」(諮問第94号)

 7 新規諮問  「次世代移動通信方式の技術的条件」(諮問第95号)

 8 審議開始  「陸上移動業務と放送業務の周波数共用問題」(諮問55号
        関連)の審議開始について

 9 審議状況報告  BSデジタル放送の暫定方式及び地上デジタルテレビジ
          ョン放送暫定方式の原案(伝送部分)について

 10 報  告  平成10年度予算概算要求の概要及び科学技術関係予算概算
        要求の概要について

 11 そ の 他


第5 審議の概要

 1 開会

  ○渡辺審議会室長 定刻になりましたので、第102回電気通信技術審議会
   を開催いたします。
    それでは、議事の確認をいたします。本日の議題は議事次第にあります
   とおり、まず一部答申として諮問第1号、第3号及び諮問第64号に関し
   まして、3件の一部答申がございます。また、答申といたしまして諮問第
   90号、第91号に関しまして、2件の答申がございます。次に、新規諮
   問として「400MHz帯等を使用する業務用の陸上移動局等のデジタル
   ・ナロー通信方式の技術的条件」、「次世代移動通信方式の技術的条件」
   の2件がございます。次に、審議開始といたしまして「陸上移動業務と放
   送業務の周波数共用問題」。次に、審議状況報告といたしまして「BSデ
   ジタル放送の暫定方式及び地上デジタルテレビジョン放送暫定方式の原案
   (伝送部分)について」報告がございます。最後に報告といたしまして、
   「平成10年度予算概算要求の概要及び科学技術関係予算概算要求の概要
   について」がございます。以上10件の議事を予定しております。
    次に配布資料の確認をさせていただきます。まず資料102−1、10
   2−2、これは無線通信委員会報告と答申書の案でございます。次に、資
   料102−3、4、5、6の4つでございますが、これはCISPR委員
   会報告の概要、委員会報告、参考資料、答申書の案でございます。続きま
   して、資料102−7、102−8、102−9でございますが、これは
   移動機端末設備委員会報告概要、委員会報告と答申書の案でございます。
   続きまして、102−10、102−11、102−12、こちらはアナ
   ログ電話端末設備委員会の報告概要、委員会報告、答申書の案となってお
   ります。次に、102−13、102−14、102−15でございます
   が、有線電気通信設備委員会報告概要、委員会報告、答申書の案でござい
   ます。
    次に、102−16からでございますが、102−16、17、18が
   新規諮問、諮問第94号関係の諮問書、委員会の設置、それから委員会の
   委員長等の指名の資料でございます。次に資料102−19、102−2
   0、102−21でございますが、新規諮問、諮問第95号関係の諮問書、
   委員会の設置について、それから委員会の委員長等の指名でございます。
   新規諮問はその2件でございまして、次の102−22、こちらは周波数
   共用問題の審議開始の資料でございます。102−23は専門委員の変更
   につきましての資料でございます。
    資料102−24でございますが、先ほどの審議状況報告でございます
   BSデジタル放送の暫定方式等の報告でございます。それから資料102
   −25と26が平成10年度予算関係の資料でございます。
    以上でございますが、配布資料で漏れているものはございませんでしょ
   うか。よろしければ、早速ですが西澤会長、よろしくお願いいたします。


 2 議事

 ○西澤会長 それでは議事に入らせていただきたいと思います。議事がたくさ
  んございますので、なるべく要領よくやらせていただきたいと思います。ま
  ず、前回会合の議事録に関しましては既に委員の皆様方にご確認をいただい
  ておりまして、9月の初旬に公開されております。

 (1) 一部答申
   諮問第1号「国際電気通信連合無線通信総会に対する対処について」

 ○西澤会長 それでは一部答申でございますが、諮問第1号「国際電気通信連
  合無線通信総会に対する対処について」の審議に入らせていただきます。
   最初に、無線通信委員会の委員長をお願いしております羽鳥委員から委員
  会での検討状況につきまして、ご報告をお願いしたいと思います。羽鳥先生、
  よろしくお願いします。

 ○羽鳥委員 羽鳥でございます。座って説明させていただきます。
   使わせていただきます資料が、先ほどご紹介のございました102−1の
  報告、それからこの報告に別添という資料がつきます。それから参考資料と
  いうことで一部答申の概要が図表にして説明してございます。
   まず、この102−1ですが、これが無線通信委員会報告で、答申本体は
  この別添になっております。それからこの国際電気通信連合ITUの傘下に
  この無線通信部門、ITU−Rがあるわけでして、それの総会である無線通
  信総会、RAと略称されますが、そのRAへの対処について、無線通信委員
  会では審議してきたところでございます。
   無線通信総会は2年に1回開かれる会合でございまして、今年はその年に
  当たります。そして来月、10月20日から24日までスイスのジュネーブ
  で開催される予定になっております。
   また、無線通信委員会の下には9つの専門委員会がございまして、2年ご
  との無線通信総会の間に開催されるITU−Rの研究委員会、SGと略称さ
  れますが、それに対処するため、継続的にそれぞれ活動しているところでご
  ざいます。
   さて、無線通信委員会の構成でございますが、資料102−1の3ページ
  目にITUとの関係を示した図がございまして、ITU−Rの研究委員会、
  SGが現在8つございます。2と5と6というのは欠番になっております。
  それらに対応して電技審の専門委員会があるわけでございます。
   それからSGの作業計画等を担当する無線通信アドバイザリーグループ、
  略称してRAG(ラグ)というのがございますが、そこに対応するために、
  作業計画専門委員会が設けられております。
   2ページの別紙1−1でございますが、これが委員会と各専門委員会主査
  の名簿でございます。それから4ページ目に別紙2がございますが、ここに
  無線通信委員会の各専門委員会等の開催状況、1995年から1997年の
  2年間の会期中に開催された各SGに対する寄与文書や対処方針の審議、ま
  たITU−R決議に基づき、会期中に承認が提案された勧告及び研究課題案
  に対する審議を行った結果でございます。
   5ページ目に別紙3というのがございますが、1995年から97年の2
  年間の会期中にRAを待たずに書面審査に相当する郵便投票により承認する
  という制度がございまして、各SGごとの勧告件数と今回の無線通信総会に
  提出される勧告件数をまとめたものでございます。
   それから6ページと7ページにわたりまして、無線通信総会に提出される
  主な勧告案がございます。後ほどまた9ページから14ページにかけて、そ
  の中の幾つか重要なものについてご説明させていただくことにいたしますの
  で、この別紙4は詳細にはご説明いたしませんが、SG1、3、4、7、そ
  してめくっていただいて8、9、10、11で提出される主な勧告案が表に
  して整理してございます。
   それから8ページでございますが、これは次会期、すなわち97年から9
  9年の主な研究課題を整理したものでございまして、次回の総会までに行う
  主な研究課題でございます。新システムに関する評価方法や業務が異なる無
  線局の周波数共用基準などが研究対象となっております。いずれも電波利用
  技術の進展と関連しているものでございます。
   我が国としても、今後検討していくことが必要であるものと考えられるた
  め、基本的に支持することが適当と考えられます。
   次のページ、9ページから14ページにわたりまして、主な項目をご紹介
  しております。9ページ目が次世代携帯電話、IMT−2000と略称され
  ていますけれども、これは世界的に持ち運べるモビリティ性を確保するため、
  1992年に周波数を確保されて以来、西暦2000年ごろの実用化を念頭
  に国際規格づくりを進めている次世代の携帯電話は、伝送速度をいまの携帯
  電話の約200倍の最大毎秒2Mbps、これはいつも2Mbpsというこ
  とではなくて、最大ということになりますが、2Mbpsまで使うことので
  きるような次世代の携帯電話の実現を目指しております。このことが、9ペ
  ージに書いているIMT−2000ないしはFPLMTS、最近はIMT−
  2000という言い方に統一されたものでございます。
   それから10ページ目のところのデジタル放送。我が国では地上デジタル
  放送が2000年ころ、またはこれ以前に開始できるように、放送方式、チ
  ャンネルプランの策定、制度の整備等必要な行政上の措置を行おうとしてお
  りまして、ITUにおけるデジタル放送の標準化に関する審議に対して積極
  的に提案を行い、貢献していく必要がある部分でございます。
   それから、11ページ目にはやや細かいことが説明してございますが、次
  の12ページに飛んで説明させていただきます。ここは輸送に関する情報及
  び制御システム、TICSの説明でございますけれども、これは「Tran
  sport Information and Control Syst
  ems」の頭文字でございまして、ITUにおける研究課題の名称でござい
  ます。
   自動車交通の情報化を実現するシステムで我が国の関係5省庁が連携して
  各種施策を実効している高度道路交通システム、ITSと同様なものでござ
  います。本年7月に開催されましたITU−R作業部会において、我が国は
  有料自動車道路における料金収受システムについて提案しているところでご
  ざいます。
   13ページには、移動衛星業務及び他の既存業務間の周波数共用のことが
  ございます。これはLEOなどの非静止衛星による移動通信に関して、各国
  においてさまざまなシステムの導入が計画されておりますが、衛星という性
  質上、その円滑な導入のためには同じ周波数帯を使用する他の通信系との周
  波数共用基準を確立することが重要でございまして、我が国としてもITU
  の検討に対して的確に対処し、また貢献していく必要があるところでござい
  ます。
   14ページは新しい無線システムの電波伝搬推定法でございまして、SG
  3に対応する第3研究委員会において900MHz〜100GHz帯の屋内
  における電波伝搬に関する新規勧告案が我が国の多数の提案をもとに承認さ
  れているところでございます。これにより国内の無線LANなど新しいシス
  テムの運用において必要不可欠な無線伝搬路、環境が詳細に推測できるよう
  になりまして、さらに高度なシステム設計が可能となるわけでございます。
  次会期では屋外の近距離伝搬に関する新規勧告案が取りまとめられる予定で
  ございます。
   参考資料2、3、4、5というのが15ページ、16ページそして18ペ
  ージにございますが、15ページにございますのは寄与文書の提出状況、1
  6ページにございますのは今会期における我が国からの会議出席の延べ人数、
  次のページの参考資料4は、我が国の研究委員会における議長、副議長の任
  命状況、それから18ページにはITUの組織図がございます。
   別添の資料につきましては、これが今回の無線通信総会に提出される報告
  及び次会期の研究課題に対する個々の具体的な対処方針でございまして、こ
  れが本来、一部答申の案として取りまとめられたものでございます。大変詳
  細にわたりますので、その重要な部分についてのみご説明させていただいた
  ところでございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご報告につきまして、
  ご審議をお願いいたします。
  〜 暫時 〜
   よろしゅうございましょうか。国際的にも活躍していらっしゃるというの
  がよくわかりましたので、今後ともよろしくお願いいたします。
   それでは次に入ってよろしゅうございましょうか。
   それでは無線通信委員会報告を了承いたしまして、資料102−2に示し
  ます答申書の案にありますように、諮問第1号に対する一部答申といたした
  いと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。
  (異議なしの声)
   それではご異議がないようでございますので、本件を一部答申とすること
  にいたします。羽鳥委員、委員会での検討と取りまとめ、大変ありがとうご
  ざいました。
   ただいまの答申に関しまして、答申後の行政上の措置につきまして、郵政
  省側からご説明を伺えるということでございますので、よろしくお願いいた
  します。

 ○甕技術総括審議官 技術総括審議官の甕でございます。答申に対するお礼か
  たがた活用の方法についてご説明申し上げます。
   このたびは国際電気通信連合無線通信総会、ITU、RAの対処につきま
  して答申をいただきましてありがとうございました。ITU、RAは先ほど
  先生の方からご説明ありましたように、無線技術に関する技術及び運用につ
  いての研究を行って、我が国における電波監理や電波監視のほか、無線通信
  システムの確立などに大きな影響を与える問題になって、2年ごとに総会が
  開かれるということであります。
   今年は10月に開催されるということで、この無線通信総会では委員会か
  らの報告にありましたように、次世代移動通信システム、IMT−2000、
  それからデジタル構想を初めとした数々の分野につきまして審議が行われて
  勧告及び次期会期の研究課題案の審議、採択が行われるということになって
  おりまして、その実用化におきましての標準化が大きく進展するものと認識
  しております。
   郵政省としましても、この10月に開催されます総会に当たりまして、本
  答申に基づきまして、我が国の意見が広く取り入れられるように働きかけを
  行っていきたいというように考えております。どうもご審議ありがとうござ
  いました。

 (2) 一部答申
   諮問第3号「国際無線障害特別委員会(CISPR)の諸規格について」
  のうち『「車載受信機保護のための妨害波の推奨限度値及び測定法」及び
  「電磁両立性(EMC)に関する共通規格−その1(住宅、商業及び軽工業
  環境に関するエミッション規格)及びその2(工業環境に関するエミッショ
  ン規格)」』

 ○西澤会長 それでは次の一部答申、諮問第3号「国際無線障害特別委員会
  (CISPR)の諸規格について」のうち『「車載受信機保護のための妨害
  波の推奨限度値及び測定法」及び「電磁両立性(EMC)に関する共通規格
  −その1(住宅、商業及び軽工業環境に関するエミッション規格)及びその
  2(工業環境に関するエミッション規格)」』に入らせていただきます。
   本日はCISPR委員会の委員長をお願いしております専門委員の高木先
  生においでいただいておりますので、CISPR委員会での検討結果につい
  て、ご報告をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ○高木専門委員 ただいまご紹介に預かりましたCISPR委員会の委員長を
  務めております高木でございます。CISPRと申しますのは国際的にはI
  ECつまり国際電気標準会議でございますが、その中のスペシャルコミュニ
  ティとして国際無線障害特別委員会というものがございまして、無線通信や
  放送の妨害波となる各種の機器から発射される電磁波の許容値や測定器、測
  定法というようなものを検討して勧告を行ってきておるわけでございます。
   このCISPRの規格あるいは勧告を国内化する際に、できるだけ国際規
  格に整合させる必要があるという考え方に基づきまして、技術的検討を行っ
  てきているわけでございます。
   今回、このCISPR勧告のなかにパブリケーション25というのがござ
  います。これが先ほど会長からもお話しありました車載受信機保護のための
  妨害波の推奨限度値及び測定法というものでございまして、それからCIS
  PR/IEC1000−6−3及びIEC61000−6−4というパブリ
  ケーションがございまして、これが電磁両立性に関する共通規格として今回
  取りまとめた、その1およびその2にあたるものでございます。
   このうち電磁両立性、つまりEMCと申しますが、これに関する共通規格
  につきまてしは、あとでちょっと触れますが、個別の製品群に関する規格が
  存在をしているものについては適用しないのでございますが、新しい製品が
  どんどんできてまいりますので、新しい製品にはその規格が存在しないわけ
  でございます。これのための規格でございます。いわゆるジェネリックスタ
  ンダードでございます。今後、個別の製品群規格を設ける場合に、このジェ
  ネリックスタンダードを基本とするというものでございます。
   それでは、資料102−3に基づきまして、ご説明させていただきます。
  審議事項につきましては、先ほどご紹介いたしましたとおりでございます。
  審議体制としましては、委員会に分科会を設置いたしまして審議をしており
  ます。審議経過といたしましては、平成9年に入りまして、数回の分科会を
  行いまして技術基準について審議してまいりました。最終的には平成9年8
  月28日に第25回のCISPR委員会を開催いたしまして、第1分科会、
  第5分科会からの報告をもとに答申案を取りまとめたわけでございます。
   審議の概要につきましてご説明いたします。4.1が車載受信機保護のた
  めの妨害波の推奨限度値及び測定法に関するものでございます。車載受信機
  保護というのは、これは自動車というものはいろいろな種類がございますが、
  その中に例えばコンピューターが入っていたり、モーターやスイッチなどの
  さまざまな部品が入っているわけでございます。これらが妨害波を出すわけ
  でございますが、全体としてそれらが一緒になった形で放送電波を受信する
  あるいは通信を行う、そういうふうな機器に妨害を与えないようにするため
  の基準でございます。
   この審議の結果は5の審議結果のところで説明させていただきますが、お
  およそ本規格は150kHzから1000MHzの周波数帯の範囲で妨害波
  の限度値の推奨値と測定法を示したものでございます。
   この保護の対象となる受信機は、音声、テレビジョン受信機、陸上移動無
  線機、無線電話、アマチュア無線等々、さまざまございます。自動車の種類
  といたしましてはさまざまでございまして、乗用車もあればトラックもあれ
  ば、農業用トラクタもある、スノーモービルもあるということでさまざまで
  ございますが、それらを共通にといいますか、後にちょっと出てまいります
  が、ランクづけ、クラス分けをいたしまして、基準値の推奨値を求めている
  わけでございます。
   試験の条件。これは試験は何でやるかといいますと、スペクトラムアナラ
  イザという機械がございまして、ここで一番大事なことを決めておかなくて
  はならないのは、周波数を掃引するスピードでございます。このスピードを
  決めておかないと、データに互換性がございませんで、表1に周波数掃引の
  最小時間というのがございます。かなりゆっくり掃引するようなことになっ
  ておりますが、いろいろな実験の結果、このようになっております。
   周波数帯の次の欄に尖頭値検波モードと準尖頭値検波モードがございます。
  これはやはりCISPRの方の基準で測定法並びに測定器の基準を設けてご
  ざいますが、それが準尖頭値あるいは尖頭値というものでかかるということ
  を約束しており、それを使うわけでございます。それからもう一つ大事なの
  は、測定器の帯域幅でございます。これをそれぞれそこに書いてございます
  ように、決めてございます。
   それから(3)でございますが、一番最後に「車内における良好な無線受
  信を確保するために、アンテナ用ケーブルの端末における妨害波電圧は表3
  の値を超えないこと」ということが書いてございます。
   つまり自動車の受信機には外に出ておりますアンテナから電磁波が入って
  くるわけでございます。それから入ってくる信号が車内に積んでありますそ
  の他の電子機器等のノイズによってディスターブを受けるわけですが、これ
  をできるだけ受けないようにするための基準でございます。
   表3にそのことがちょっと書いてございます。かなり詳細なようにも見え
  ますし、また総ぐくりのような形でもございますが、そこにございますよう
  に、広帯域で連続的なものと、短い持続時間。インパルス的にぼんぼん出て
  くるようなもの、インパルスといっても1秒に一回しか出ないようなものも
  ある。さまざまあるのでございますが、一応基準としてはこのような値にし
  てございます。
   (4)の部品からの伝導妨害波というのがございます。これは電源線から
  入ってくるもの、それからその次に信号線から入ってくるもの、それから放
  射電波として入ってくるもの、この3つがございまして、それぞれが規定を
  してございます。
   表にございますように、クラスと書いてございますが、これは車がさまざ
  まあるということで、高級車のようなものはかなり厳しい値になっておると、
  こんなふうに見ていただければよろしいんだと理解をしております。
   それから放射妨害波についても5ページの(5)にございますが、そのよ
  うに定められております。
   我が国のFM帯は76MHzから90MHzというようになっております
  が、諸外国はもう少し違う周波数帯を使っておりますので、国際規格をその
  まま適用できませんので、日本の国内用に合わせてるための検討を行ったわ
  けでございます。これが車載受信機保護のための妨害波の推奨限度値と測定
  機、測定法でございます。
   続きまして、電磁両立性(EMC)に関する共通規格その1及びその2で
  ございますが、その1は住宅、商業及び軽工業環境に関するエミッション規
  格。エミッションというのは電磁妨害波でございます。それからその2は工
  業環境に関するエミッション規格というのでございます。
   先ほどご説明いたしましたように、既に一般の機器につきましては、製品
  規格というようなもので審議をして一応決まっているものが多いのでござい
  ますが、新しい装置、特にエレクトロニクス機器におきましては、新しいも
  のがどんどん出てまいります。そうすると、それを個々に基準を定めるとい
  うことは大変やっかいでございますので、ジェネリックスタンダードを用意
  いたしまして、いずれ決めるにいたしましても、この基準を参考にして決め
  るという形を取ろうということでございます。
   ここで住宅、商業及び軽工業環境とそれから工業環境というのは、この審
  議に当たりましては、実はヨーロッパ等では、特にヨーロッパでございまし
  ょうか、電力線の配電系統で低圧配線をしているのが住宅地である、高圧配
  線があるのが工業地域である、そういうふうに明確にできているようであり
  ますが、我が国はこれはあてはまりませんので、国際会議での審議に当たり
  ましては、我が国の委員からその点を強く申し入れまして、多くの寄与文書
  を出しまして、ようやくこういう形に持ってきたわけでございます。
   従いまして相当、我が国の意見が入っておりまして、これで十分であると
  いうふうな結論を得ているわけでございます。
   表10は住宅、商業及び軽工業環境でございます。工業地域とどう違うか
  というのを表の中の一番上に書いてございます。30MHzから230MH
  zというところをご覧いただきますと、30dBというようなことでござい
  ますが、表11のところにいきますと40dBは書いてある。ここで10d
  B、やはり工業環境というのはノイズが多いところでございますので、余り
  厳しくすると、満足しないものが多くなってくるということで、10dB、
  3倍ぐらいの余裕を見ているということでございます。
   ただしあとの方の説明は省略させていただきますが、4あるいは5という
  資料の中には我が国の国情に合わせる必要がありますので、軽工業あるいは
  住宅地で使うという厳しい規定でも工業地域で使うこともあると。したがっ
  てその時はきちんと対応しなければなりませんということが付記で書いてあ
  ります。
   こういうことで、新しい装置につきましてはこの基準をもって将来やって
  いこうということでございます。我が国では例えばいろいろなゲームの機器
  でございます。最近のような「たまごっち」とかいうようなものも出ており
  ますが、ああいうふうなものは基準がございません。こういうふうなものを
  このようなジェネリックスタンダードで今後やっていかなければいけないと
  いうふうになるわけでございます。
   資料102−4と102−5に詳細が取りまとめてございますが、時間の
  関係上、ここでの説明は省略をさせていただきます。以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。それではただいまのご報告に関
  しまして、ご審議をお願いいたします。
  〜 暫時 〜
   よろしゅうございましょうか。それではご意見ないようでございますので、
  CISPR委員会報告を了承することにいたしまして、資料102−6に示
  しました答申書の案にございますように、諮問第3号に対する一部答申とい
  たしたいと思います。ご異議ございませんでしょうか。
  (異議なしの声)
   それではご異議がないということでございますので、本件を一部答申する
  ことにしたいと思います。高木専門委員、CISPR委員会での検討と取り
  まとめ、どうもありがとうございました。

 (3) 一部答申
   諮問第64号「端末設備としての移動機に求められる技術的な条件」のう
  ち「CDMA方式携帯・自動車電話端末に求められる技術的条件」

 ○西澤会長 それでは3番目に入らせていただきます。一部答申、諮問第64
  号「端末設備としての移動機に求められる技術的な条件」のうち「CDMA
  方式携帯・自動車電話端末に求められる技術的条件」に入らせていただきま
  す。
   最初に移動機端末設備委員会の委員長をお願いしております今井専門委員
  にご出席いただいておりますので、移動機端末設備委員会での検討結果につ
  きましてご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ○今井専門委員 移動機端末設備委員会の委員長をしております東京大学の今
  井でございます。
   本委員会は端末設備としての移動機に求められる技術的条件ということを
  審議しているわけでございますけれども、これまでに平成5年から何度か一
  部答申をさせていただいております。今回はCDMA方式携帯・自動車電話
  端末に求められる技術的条件について審議を行ったわけでございます。
   資料は102−7と8でございますけれども、まず102−8の方を見て
  いただきまして、1枚めくっていただきますと目次がございます。まず審議
  事項、それから委員会、分科会の構成、審議経過、審議概要が1ページから
  5ページまでございます。審議結果が5ページ。それから別表1として委員
  会の構成。それから私ども分科会を1つ設けて審議しておりますが、別表2
  はCDMA分科会の構成がございます。
   それから別添が一部答申の本体でございますけれども、諮問第64号「端
  末設備としての移動機に求められる技術的な条件」に対する一部答申(案)
  というのが別添としてついております。あと参考資料の1から5まで、CD
  MAシステムの概要図、それからCDMA方式のプロトコル。あとはこうい
  う技術的条件が確保できない場合の影響。それからその条件の適合性を確認
  する方法例。それからほかの端末の技術的条件と今回の技術的条件との比較
  というのが参考資料5についております。最後に諮問理由が参考としてつい
  ております。
   それでは、資料102−7につきまして、簡単に説明させていただきます。
  まず審議概要は既にご説明いたしました。委員会、分科会の構成も先ほど説
  明したとおりでございます。
   審議経過でございますけれども、本年4月から委員会を2回、分科会を2
  回開催して審議を行っております。
   それから審議概要でございますが、CDMA方式の携帯・自動車電話シス
  テムは、今回は800MHz帯のアナログ帯域に新しくデジタル方式を導入
  するわけでございます。その移動機につきましては、サービス開始当初から
  従来方式の携帯・自動車電話システムと同様、端末設備として位置づけられ
  ることになっております。
   移動機を端末設備として位置づける場合には、電気通信事業法第49条第
  2項に定められております電気通信回線設備の損傷防止、それからほかの利
  用者への迷惑防止、責任の分界の明確化、これを3原則と申しますけれども、
  それに基づきます技術的条件を明らかにする必要がございます。
   このような前提を踏まえまして、CDMA方式、携帯・自動車電話端末に
  おいて求められる技術的条件の検討を行い、必要となる技術的条件をまとめ
  たものでございます。
   内容でございますけれども、今回のCDMA方式は、デジタル方式でござ
  いまして、既にあるTDMA方式、PDC方式とかなり似たところもござい
  ます。そこでCDMA方式に特有な部分だけについてご説明したいと思いま
  す。
   まず、1から3の発信、着信、通信終了(切断)については、従来のPD
  C方式と全く同じでございます。4番目の送信タイミングでございますが、
  これはCDMA方式とPDC方式とは詳細において異なっております。そこ
  でまず[1]としまして、制御チャネル上で送信する場合、基地局から受信
  したスロットに同期させ、かつ受信スロット境界からランダム遅延後に送信
  を開始するものであること。それから通話チャネル上で送信する場合には、
  受信したフレームに±1μsecの精度で同期させて送信を開始するもので
  あること。そういう条件を設けております。
   それから5番目のランダムアクセス制御。これはランダムアクセス制御と
  いうのはPDC方式にもあるわけでございますけれども、その制御方式がC
  DMA方式とPDC方式では異なっておりますので、詳細において若干の違
  いがございます。そこに1、2というふうにまとめてございます。詳細は省
  略いたします。
   それから位置登録制御、7の基地局からのチャネル切替指示に従う機能、
  これはPDC方式と全く同じでございます。それから8番目の基地局に受信
  レベルを通知する機能ですが、これもほぼPDC方式と同様なんですが、C
  DMA方式の場合には同じ周波数を使って送受信を行います。各セルで同じ
  周波数を用いますので、ソフトハンドオーバーができます。このために、受
  信レベルを通知する機能に若干の違いを設けております。
   それから9の基地局からの送信停止指示に従う機能、10の受信レベルま
  たは伝送品質劣化時の自動的な送信断機能、11の故障時の自動的な送信断
  機能、12の重要通信の確保のための機能、13の移動機固有情報の変更を
  防止する機能、これらにつきましては、いずれもPDC方式とほぼ同等でご
  ざいます。
   4ページでございますけれども、これが今回のCDMAの携帯・自動車電
  話端末に求められる技術的条件とPDC方式の比較を示したものでございま
  す。先ほどご説明申し上げましたように、送信タイミングのところが異なっ
  ております。それからランダムアクセス制御のところも若干、詳細なところ
  が異なっております。PDC方式は、きちんと同期をして送らなければなり
  ませんので、タイムアラインメント制御というのがございますが、CDMA
  方式はそのようなきちんとした同期は必要ございませんので、それはなしと
  いうことになっております。
   ということでございまして、今回、CDMA方式に関します技術的条件を
  まとめたわけでございます。以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に
  関しまして、ご審議をお願いいたします。

 ○川田委員 一つ質問よろしいですか。アメリカで行われているCDMA、I
  S−95がありますね。あれと今回との違いはあるんでしょうか。

 ○今井専門委員 基本的には同じです。ナローバンドのCDMAについて、今
  回行うということでございます。

 ○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。
  〜 暫時 〜
   それでは、移動機端末設備委員会の報告を了承させていただくことにいた
  しまして、資料102−9に示しました答申書案にございますように、諮問
  第64号に対する一部答申としたいと思いますが、ご異議ございませんでし
  ょうか。
  (異議なしの声)
   どうもありがとうございました。それではご異議がないようでございます
  ので、本件を一部答申とすることにさせていただきます。委員長をお願いい
  たしました今井先生、委員会での検討と取りまとめ、どうもありがとうござ
  いました。

 (4) 答申
   諮問第90号「アナログ電話端末設備等に求められる技術的条件」

 ○西澤会長 それでは次に入らせていただきます。諮問第90号「アナログ電
  話端末設備等に求められる技術的条件」の審議に入らせていただきます。
   最初にアナログ電話端末設備委員会の委員長をお願いしております専門委
  員の酒井先生においでいただいておりますので、アナログ電話端末設備委員
  会での検討結果についてご報告をお願いいたしたいと思います。酒井先生、
  よろしくお願いします。

 ○酒井専門委員 アナログ電話端末設備委員会の委員長をしております東京工
  業大学の酒井でございます。お手元の資料が102−10が報告概要、10
  2−11が設備委員会の報告という形になっております。
   最初に102−11の委員会報告を1枚開いていただきますと、目次がご
  ざいます。そこにございますように、審議事項、それから委員会、分科会の
  構成、審議概要、審議結果及び参考としましてかなりの資料が入ってござい
  ます。以下、委員会報告概要に基づきまして、簡単にご説明申し上げます。
   まず審議事項でございますが、アナログ電話端末設備委員会としましては、
  アナログ電話端末設備等に求められる技術的条件ということで、これは要す
  るにアナログ信号を入出力するインターフェースを持っております端末でご
  ざいますけれども、それにつきましての今後の条件ということで取りまとめ
  を行いました。
   審議経過でございますが、平成9年5月より委員会を3回、分科会を5回
  開催しまして審議を行いました。その際に関係者の意見聴取を行うため官報
  公示いたしましたけれども、その内容に対する意見陳述の申し出がなかった
  ので、特にそれを行いませんでした。
   4番目の審議概要でございますが、要するに近年のネットワークのデジタ
  ル化・マルチメディア化等が進展したことによりまして、アナログ電話端末、
  いわゆる普通の電話ですが、これがつながっておりますネットワークにつき
  ましても、かなりの設備のデジタル化が完了しておりますために、技術基準
  等を変える必要が生じております。
   現在の電話端末の技術基準は、ネットワークそのものがアナログ伝送路及
  びアナログの交換設備であることを前提にしておりますので、この設備が全
  部デジタル化したことによりまして、かなりアナログ電話端末に対する技術
  的条件を緩和することが可能となってきております。
   このために、緩和のための各種検討を行ったわけでございますけれども、
  第1番目に、ITU−T等におきます国際標準や海外の技術基準との整合化。
  それからこれらを緩和することによる端末設備の自由度の拡大といったもの
  を考慮する必要がございます。
   また第2といたしまして、アナログ電話端末のインターフェースを緩和い
  たしますと、端末設備が電気通信回線設備を損傷するとか、あるいはほかの
  利用者に迷惑をかけるといった可能性がございますので、そういったことが
  ないように注意する必要がございます。こういったことを考慮いたしまして、
  アナログ電話端末設備の技術的条件及び移動端末設備や事業用電気通信設備
  のうちにアナログ電話端末と非常に関係のある部分、それにつきましてまと
  めました。
   以下、お手元の資料、内容についてご説明いたしますが、まず最初に2ペ
  ージ目にございます一般的な条件でございますが、これにつきまして責任の
  分界あるいは漏洩する通信の識別禁止、各種の事項がございますが、こうい
  ったものにつきましては、特に見直す必要もないだろうということで、現行
  の条件どおりにいたしました。
   ただし、鳴音の発生防止にかかわる現行の測定方法が非常に複雑になって
  いることから、ネットワークのデジタル化に伴って、もっとこれは簡単にし
  ていいだろうということで、端末単体でのリターンロス、要するに送った信
  号が反射して返ってくる際のロス、が5dB以上あると全然問題ないという
  ことを確認いたしまして、現在の測定方法を非常に緩和いたしました。具体
  的には測定項目数が20ぐらいあったものが4つぐらいに減少しております。
  以上が一般的な条件でございまして、以降、固有の条件についてご説明した
  いと思います。
   お手元の概要の資料の5ページ目にまとめた表がございますので、皆様に
  はこれを見ていただきましてご説明したいと思います。
   まず発信関係の機能でございますが、現在の技術的条件、右側の方が現行
  の技術的条件でございますけれども、例えば現在は自動応答機器があった場
  合に、そこに送信を行って、その後、全然応答がなかった場合に1分以内と
  いう条件になっております。これにつきまして、国際標準等を考慮しまして
  2分以内。要するに2分間待ってもかまわないという形に緩和いたしました。
   これついては次のページに絵で説明してございます。6ページ目でござい
  ますが、現行は1分以内に応答がなければ切らなくてはなりませんが、今回
  のことで2分間待つことが可能となりますから、実際にはファクシミリ等の
  呼び出し時間の条件緩和になります。これにより、かなりいろいろなことが
  できると思います。
   その次に、2番目に自動発信機能を持っている場合の自動再発信の回数で
  ございますが、現行の規則によりますと、1度発信して話中だった場合に、
  3分間に2回以内だけ自動再発信を行っても良いということになっておりま
  す。これに対しまして、今回の改正では、従来どおりでもかまいませんし、
  あるいは連続15回以内でも良いというようにかなり条件を緩和をしており
  ます。
   これもお手元の資料の7ページ目に概要が書いてございますが、3分間に
  2回だけよくて3回目はだめだったのですが、これからは15回までは再発
  信しても良いという結論を得ております。
   その次に、2番目にございます選択信号の条件ですが、選択信号のうち1
  秒間に10パルス出すものと20パルス出すものがございます。10パルス
  の方式につきましては、現在、かなり技術が進んでいるので、従来、10±
  0.8パルスという形で相当厳しい制約を設けていたのですが、それを10
  ±1.0パルスと緩和しております。また、ダイヤルパルスのメーク率等に
  つきましても緩和し、機器を製造しやすくしております。
   それから補足でございますけれども、押しボタン信号等の送出電力等につ
  きましても、前は線路損失に依存する条件を設けていたのですが、これも緩
  和しております。
   その次に表の項目の3番目にございます直流回路を閉じているときの電気
  的条件ですが、直流回路を閉じているときに、受け側の方でループができて
  いる場合の抵抗値として、従来2つありましたが、一括して50オーム以上
  300オーム以下という形に統一してよかろうという結論を得ております。
   続きまして、直流回路を開いている、要するにオフロックしていない場合
  ですけれども、このときの電気的条件につきましては、絶縁抵抗の測定方法
  ですが、従来250ボルトを使用しなければなりませんでしたが、これを2
  00ボルト以上にすることで、かなり緩和してございます。
   続きまして、その下にございます送出電力でございますが、従来は平均レ
  ベルが−15dB + LdBmということで、Lは加入者線路の損失でご
  ざいま。したがって距離によってLが違うことにより、送出電力を変えなけ
  ればいけないという、きめ細かな規定がございました。これについて検討の
  結果、全部−8dBm以下で構わないという形に緩和しました。これは具体
  的には、昔は、交換機に強い信号が来ますと、漏話などの様々な問題が発生
  しておりましたが、技術進歩により相当高いレベルまで対応できることによ
  るもので、従来に比べますと送出電力が数倍アップしてもかまわないという
  形の基準にいたしました。
   その項目の最後の漏話減衰量ですが、これは漏話等のために電話の中で漏
  れてくる信号のレベルですけれども、従来の場合、普通のものが70dB以
  下ということで、回線切替機能を有するアナログ電話端末、要するにPBX
  的なものでございますけれども、こういったものにつきましてはそこまで求
  めるのは厳しすぎるということから、60dB以上という少し緩い基準にし
  てありました。これに対しまして全部70dB以上にしても実効上問題ない
  ことから全部一括して70dB以上にいたしました。
   これが固有の条件でございまして、お手元の概要の3ページ目の下に、そ
  の他の関連する技術的条件とございます。これにつきまして、最初に移動電
  話端末の技術的条件でございますが、要するに移動体の電話端末と申しまし
  ても、移動電話端末そのものではございませんで、その中でいわばPBX的
  にアナログ電話網につながっているところの部分でございます。ですからそ
  ういったところにつきましては、アナログ信号を用いて複数の電気通信回線
  に信号を送る、こういった部分でございますので、特にアナログ電話端末と
  変える必要はないということで、全く同一でございます。
   その次に移動電話端末の中の2番目で送出電力の条件という項がございま
  すが、やはりこれも同じような形で送出電力はアナログ電話網における漏話
  防止のために必要となる条件でございますので、移動電話端末から最後にア
  ナログネットワークに入るところ、そこでは条件はアナログ電話端末と全く
  同じという形にレベルを定めてございます。
   1つだけ違いますのが、自動発信等の機能でございます。これは電波を使
  用することによりまして、制御チャネル等にいろいろな影響を与えますので、
  アナログ電話端末と全部同じにする必要はないだろうという理由から同一に
  してございません。
   最後に4ページ目の一番下に事業用電気通信設備、PBX等のものでござ
  いますが、こういったものにつきましては、ダイヤルパルス信号の条件及び
  押しボタンダイヤル信号の条件につきまして、今回の規制改正で定めた条件、
  こういったものを受信可能とする必要があることから、その条件について改
  める必要があるだろう、という形で結んでおります。以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご報告につきまして、
  ご審議をお願いいたします。
  〜 暫時 〜

 ○西澤会長  外国の基準との整合性はどうでしょうか。

 ○酒井専門委員 はい。かなり整合性が取れると思います。

 ○西澤会長 よろしゅうございましょうか。
  〜 暫時 〜
   それではご意見ないようでございますので、アナログ電話端末設備委員会
  報告を了承することといたしまして、資料102−12に示す答申書の案に
  ございますように、諮問第90号に対する答申としたいと思いますが、ご異
  議ございませんでしょうか。
  (異議なしの声)
   どうもありがとうございました。ご異議がないようでございますので、本
  件を答申することにいたします。専門委員の酒井先生、アナログ電話端末設
  備委員会での検討と取りまとめ、どうもありがとうございました。

 (5) 答申
   諮問第91号「有線電気通信設備に関する技術的条件」

 ○西澤会長 それでは5番目、諮問第91号「有線電気通信設備に関する技術
  的条件」に対する答申の審議に入らせていただきます。
   最初に、有線電気通信設備委員会の委員長をお願いしております日高専門
  委員においでいただいておりますので、有線電気通信設備委員会での検討結
  果についてご報告をお願いしたいと思います。

 ○日高専門委員 ただいまご紹介いただきました有線電気通信設備委員会委員
  長を務めております東京大学の日高でございます。ご説明させていただきま
  す。
   平成9年4月24日の諮問第91号「有線電気通信設備に関する技術的条
  件」につきまして、委員会における検討結果を報告させていただきます。資
  料の方は102−13に基づき、報告させていただきます。
   まず、本委員会の構成でございますけれども、これは資料6ページ目の別
  表のとおりでございます。なお、委員会での審議を効率的に進めるために、
  資料7ページにお示ししました作業班を設けまして、あわせて審議を行って
  おります。
   委員会の審議経過でございますけれども、こちらの方は同じく資料の1ペ
  ージ目の方にございますように、委員会を4回開催しております。また、作
  業班の会合は計7回行っております。
   まず1ページめくっていただきまして、資料2ページ目をご覧いただきた
  いと思います。今回の検討の背景でございますけれども、近年、電気通信事
  業者等が有線電気通信設備の整備を進めるに当たりまして、電気事業者と共
  同で地中線路の構築を行うという例が年々増加しております。しかしながら、
  これらの有線電気通信設備を設置することが可能な地中の空間というものは
  限られております。今後予想されます通信需要の増大に伴って、新規の設備
  を設置するためには、この限られた地中空間を効率的に利用する必要がある
  という認識も高まっているのも事実でございます。
   具体的な方策といたしましては、電気通信線と電力線をできるだけ近接さ
  せるということが考えられるわけでございます。この場合には、ほかへのい
  ろいろな損傷防止を目的といたしまして、有線電気通信法の技術基準におき
  まして、現在では一定以上の間隔、いわゆる離隔距離をとる必要があります。
   近年の通信ケーブルの性能向上によりまして、ある一定条件下では現在の
  設定値よりもより近接して電気通信線と電力線を設置することが技術的に可
  能ではないかということになっているわけでございます。
   もう一つ別の技術的条件の課題といたしまして、単位系の問題がございま
  す。現在、メートル法に基づく単位系が一般的でございますが、具体的に使
  用されている単位系を見てみますと、重力単位系を筆頭に、幾つかいろいろ
  な方法が利用されております。
   皆様ご承知のとおり、国際的にも計量単位を再統一するということで、実
  用的な計量単位として国際単位系[SI単位系]というものが承認されてお
  りますし、我が国におきましてもこういった国際的な合意を受けまして、平
  成4年に計量法を全面改正して、国際単位系を使用することが義務づけられ
  ております。法令等におきましても国際単位系への移行が必要になっている
  わけでございます。
   このような有線電気通信設備を取り巻く環境の変化を踏まえまして、技術
  基準を現状に即した内容に見直すために、本委員会が設置されまして、検討
  を行ったわけでございます。
   まず課題として、いま述べました電力線と電気通信線の離隔距離の問題、
  もう一つは単位系の問題、この2つに絞り込むということを行いました。
   そしてまず第1番目の課題でございます地中電線の離隔距離の見直しにつ
  いてでございますが、これはまず102−13の資料でございますが、これ
  の8ページ目の図をご覧いただきたいと思います。
   現在の有線電気通信設備の技術基準を定めております有線電気通信設備令
  施行規則におきましては、地中電線、これは正式な名称で、実際には電気通
  信線でございますけれども、これと地中強電流電線、一般的には電力線と言
  われているものでございます。この2つを近接させて設置する場合には、電
  力線の方の電圧が7kV以下の場合には30cm、7kVを超える場合には
  60cmの離隔距離を取ることとしております。
   ただし、両者の間に堅ろうで耐火性の壁を設ける場合、それから難燃性の
  防火被覆を施す場合、または通信線として光ファイバケーブルを使用する場
  合については、離隔距離の数値規定はございません。
   今回は地中電線路として光ファイバを除くケーブルを使用した場合、いま
  の8ページの図で申し上げますと、内側に書いてございますケースBのケー
  ブルの場合について、この場合の離隔距離について検討を行いました。
   検討を進める前提といたしまして、まず電気通信線を電力線に現在の規定
  値よりも接近させて設置する必要があると想定される設備につきまして調査
  を行いましたところ、電力線の電圧が最大154kVまでの場合に近接して
  設置することの必要性があるということが判明いたしました。このため、今
  回の見直しにおきましては、電圧が154kV以下の電力線と電気通信線と
  の離隔距離について検討を行ったわけでございます。
   この検討を行うに当たりましては、調査項目といたしましてケーブルの性
  能、作業環境、人体安全、誘導問題、故障発生の伝達等の観点から問題の整
  理を行い、それぞれにつきまして技術的な観点から検討を行った次第でござ
  います。
   実際に検討を行う上では、種々の実験データが必要になるわけですけれど
  も、これにつきましては財団法人電力中央研究所で行った実証実験がござい
  まして、そのデータを参考とさせていただきました。
   この実験と申しますのは、実際に電力線故障時におきまして、地中の電力
  線から電気通信線に対してどのような電気的及び熱的な影響があるかという
  ことの評価を行ったものでございます。
   その結果、一番問題となります電力線の故障時におきまして何か事故が起
  こったときでございます。そういった場合に電流が遮断されるまで、これは
  1ないし2サイクル程度でございますけれども、その間に故障点から電力ケ
  ーブル芯線の銅が溶けてイオン状になり、噴出する高温のアークジェットが
  電気通信線の方に吹きつけられることがございます。こういった実験を行い
  ましたところ、離隔距離を10cm設けておきますと、電気通信線の方は、
  それを保護するために設けられているポリエチレン等のケーブル外皮表面に
  先ほどのアークジェットで飛んでまいりました銅が付着し、表面が変色する
  ということはございましたけれども、性能的には問題が生じないということ
  が確認されています。
   その他、電磁誘導の問題もございますけれども、この場合もやはり離隔距
  離が10cm程度の場合におきましては、計測器への雑音混入を含めまして、
  その影響は軽微であるという実験データが出ております。
   こういった実験結果に基づきまして、電力線の電圧が154kV以下であ
  れば、電気通信線への電気的、熱的影響は現行の離隔距離の場合と比べて、
  10cmでもそれほど差は認められないという考えに至ったわけでございま
  す。
   もう一方、この電圧の区分に関しまして、多少説明申し上げますと、この
  実験は154kVで実施されました。実際に使われているもう一つ上の電力
  線の電圧は187kVございます。一般に、この間にございます170kV
  という値を境にして、幾つかの技術基準が決められておりますので、今回の
  実験結果をもとに、次のような結果を示すということにいたしました。
   電力線の電圧が170kV未満の場合には、そこにおいて電気通信線と電
  力線との離隔距離は、10cmまで緩和することが可能であるというふうに
  最終的に結論を得ました。これが第1点目でございます。
   第2点目の方の問題の国際単位系の問題でございますが、これにつきまし
  ては、有線電気通信設備令施行規則では、現在のところ、風圧荷重を定めて
  いる第6条と引っ張り荷重を定めている第13条におきまして重力単位系が
  使用されているため、単位系の変更が必要になります。この換算を行うこと
  にいたしました。
   当然のことながら、この見直しに当たっては現在の規定値と整合性が保た
  れること、単位系の変更によって利便性が損なわれないこと、ほかの国内法
  令との整合性を確保するということを念頭に置きまして、委員会で検討を行
  いました。
   そのために単位系に関するJIS(日本工業規格)及び通産省令でござい
  ます電気設備技術基準、それからこの委員会に関係がございます有線電気通
  信設備令等を総合的に勘案いたしまして、以下の結論に達しました。
   すなわちまず第1点でございますけれども、現行の規定値を当然のことな
  がら9.8倍する。2番目といたしましては、利用性を考えまして、10の
  整数倍になるように四捨五入いたします。具体的には、1,000以上の値
  に関しましては表示桁を3桁、1,000未満の値に対しましては表示を2
  桁とするということにいたします。その他、四捨五入の方法に関しましては、
  JISの規格に載っております。
   最終的にそのようにして換算した結果がお手元の資料の5ページ目、こち
  らの表2及び表3に書いてあるような変更を行うという結論に至りました。
   以上、2点の課題につきまして、審議結果を取りまとめたものが委員会報
  告、資料102−14の別添の資料でございます。
   以上、簡単でございますけれども、有線電気通信設備委員会における審議
  結果をご報告させていただきました。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご報告につきまして、
  ご審議をお願いいたします。
  〜 暫時 〜

 ○西澤会長 架空線路の方はどうなっていますか。

 ○日高専門委員 架空線路につきましても検討いたしましたけれども、一応現
  行どおりで支障はないということで、これは今回は改正をしないというふう
  になっております。

 ○西澤会長 よろしゅうございましょうか。
  (異議なしの声)
   それではご異議ないようでございますので、本件を答申することにさせて
  いただきます。ご説明をお願いいたしました日高先生、有線電気通信設備委
  員会での検討と取りまとめ、どうもありがとうございました。
   ただいまの有線電気通信設備に関する答申並びに議事2、CISPRの諸
  規格に関する一部答申、議事3のCDMA方式携帯・自動車電話に関する一
  部答申及び議事4番目のアナログ電話端末設備等に関する答申の4つの答申
  に関しまして、郵政省側から答申後の行政上の措置につきましてご説明を伺
  えるということでございますので、よろしくお願いいたします。

 ○谷電気通信局長 電気通信局長の谷でございます。ただいまは4件のご答申
  をいただきまして、まことにありがとうございました。
   まず初めにCISPRの諸規格の一部答申といたしまして、車載受信機保
  護のための妨害波の推奨限度値及び測定法、それから電磁両立性に関する共
  通規格その1及びその2についてご答申をいただいたわけでございますけれ
  ども、近年、多くの電子機器が我々の日常生活に必要不可欠なものとなって
  おります一方で、電磁波による障害や誤作動が大きな社会問題となってきて
  おります。
   このため、いわゆる不要電波についての許容値等を規格化し、良好な電波
  環境を維持することは、電波を使った無線機器等各種電子機器の一層の普及
  を図り、また国民生活の利便あるいは経済の活性化を図る上で必要不可欠な
  ことと考えているわけでございます。
   ただいまちょうだいいたしましたご答申は、自動車内での良好な受信の確
  保や安全で安心な電波環境の監理に必要な基準でございまして、郵政省とい
  たしましては、関連の民間標準規格を策定しておられる関係団体に対しまし
  て、その規格として取り入れていただくよう働きかけをしていきたいと考え
  ております。
   また今後、電波法に基づく技術基準の検討等を行う際の技術資料として積
  極的に活用させていただきたいと考えております。
   次に、端末設備としての移動機に求められる技術的条件のうちCDMA方
  式携帯・自動車電話端末に求められる技術的条件についてご答申をいただき
  ました。CDMA方式の携帯・自動車電話につきましては、来年4月以降を
  目途にサービスの開始が予定されているところでございます。このサービス
  の開始に当たりまして、CDMA方式の携帯・自動車電話端末がネットワー
  クやネットワークを利用するユーザーに対して新たな障害を与えないように
  いたしますために、端末が満足すべき技術的条件の策定が必要とされていた
  わけでございます。
   郵政省といたしましては、ただいまのご答申に基づきまして、本サービス
  の速やかな導入に向け、年内には関係規則等の改正を行ってまいりたいと考
  えております。
   3つ目に、アナログ電話端末設備等に求められる技術的条件に関するご答
  申をいただきました。アナログ電話端末が接続されますネットワークにつき
  ましては、デジタル化及び網制御技術の高度化が進展しているところでござ
  います。
   今回、ネットワークの高度化及び欧米諸国の現状を踏まえた新たな技術的
  条件につきましてご答申をいただきましたので、郵政省といたしましては、
  これに基づきまして、今年度中には関係省令等の改正を行ってまいりたいと
  考えております。そしてこれによりまして、利用者の端末の選択の幅が拡大
  し、またネットワークを利用することがより一層容易になるものと考えてお
  ります。
   最後に、有線電気通信設備に関する技術的条件に関するご答申をいただい
  たわけでございます。電気通信事業者等による有線電気通信設備の構築は、
  高速、大容量通信の需要増大に対応するため、近年、増加の一途をたどって
  おるわけでございます。また、効率的な設備構築を目的として電気事業者等
  が保有いたします既存の地中管路などの設備に通信ケーブルの敷設を行う事
  例も増加してきております。
   このような状況を踏まえまして、有線電気通信設備を設置する際の技術基
  準の見直し等について、本日ご答申をいただいたわけでございます。
   郵政省といたしましては、ご提言いただきました地中電線と地中強電流電
  線の離隔距離、それから国際単位系の採用、これを踏まえまして、早急に関
  係規則等の改正を進めてまいる所存でございます。
   委員の皆様、それから専門委員の皆様におかれましては、大変ご多忙中に
  もかかわらず、熱心にご審議をいただきまして今回ご答申をおまとめいただ
  きました。そのご尽力に対しまして、改めて厚くお礼を申し上げたいと思い
  ます。どうも本当にありがとうございました。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。

 (6) 新規諮問
   「400MHz帯等を使用する業務用の陸上移動局等のデジタル・ナロー
  通信方式の技術的条件」(諮問第94号)

 ○西澤会長 それでは次の新規諮問に入らせていただきます。最初に、「400
  MHz帯等を使用する業務用の陸上移動局等のデジタル・ナロー通信方式の
  技術的条件」でございます。郵政省側からご説明お願いいたします。

 ○稲田移動通信課長 電気通信局電波部移動通信課長の稲田でございます。座
  って説明いたします。
   まず資料102−16の3枚目を開いていただければと思います。ここに
  1として陸上移動局等の使用する周波数帯ということで、業務用の移動通信
  用の無線局が使う周波数帯をまとめてございます。60MHz帯から1.5
  GHz帯まであるわけでございますけれども、今回、ここで諮問したいと考
  えておりますのは、このうちの150MHz帯、それから400MHz帯の
  電波を利用する陸上移動用のものでございます。
   実は、2番のところで400MHz帯または150MHz帯を利用する業
  務用陸上移動通信等の用途というふうに書いてございますけれども、無線局
  数として約200万局あります。具体的には、鉄道でございますとかタクシ
  ー、あるいは製造販売ということで商店、卸売、こういったところで使われ
  ているほか、電気、ガス、水道あるいは消防、救急、あるいは防災、地方行
  政、こういった公共用の業務においても使われているところでございます。
   次に4ページ目でございますけれども、実はこういった陸上移動用の無線
  局の電波需要につきましては、近年、急速に増大しているところでございま
  す。公共用につきましては、阪神・淡路大震災の後の災害等対策ということ
  で、より一層の周波数チャンネルの必要性が指摘されているところでござい
  ます。
   また、陸上運輸あるいはタクシーなどでは、データ通信、こういったもの
  に対する需要が増えているところでございます。これは最近、運輸関係の規
  制緩和あるいは物流の高度化という大きな政策課題があるわけでございます
  けれども、こういったものに伴いまして、例えばGPSなどで得られました
  位置情報を送りたい、あるいはバーコードのような情報を送りたいという需
  要が出てきておりまして、こういったところでも通信ニーズが非常に大きく
  なって、周波数需要が拡大しているところでございます。
   一方で、こういった周波数帯につきましては、現在、非常に多くの無線局
  で使われているということで、実は周波数需要がひっ迫しております。
   ただ、最近特にデジタル技術ということが進歩しておりまして、同じ周波
  数帯域幅を使いまして送れる情報量が増えているところでございます。こう
  いったところで、いままではおおよそ12.5kHzで1チャンネルだった
  のが、技術的には6.25kHzで同じような情報が送れると、そういうふ
  うに技術が高度化しているところでございます。
   これまでいろいろとナロー化に取り組んできているわけでございますけれ
  ども、今回審議していただくのは、150MHz帯ではおおよそ20kHz
  の帯域幅で1チャンネル送っていたものを6.25kHzぐらいまでに狭く
  する。あるいは400MHz帯では、現在12.5kHzだったのを6.2
  5kHzまで狭くする。こういった技術的な点についてご審議をいただきた
  いと思っております。
   2ページ目に戻っていただきまして、答申を希望する事項といたしまして、
  無線設備の伝送方式の一般的条件、送信設備及び受信設備の技術的条件とし
  ておりますが、この周波数帯に新たにデジタル方式を導入してゆく場合に、
  既にアナログ方式の通信設備が使われておりますので、そういった既存のア
  ナログ設備と新しいデジタル設備との周波数許容条件等を含めてご審議を願
  えれば、というふうに考えているところでございます。
   答申を希望する時期としては平成10年3月を希望しておりまして、答申
  をいただきましたらそれを基に関係省令等の改正を行っていきたいと考えて
  いるところでございます。以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまして
  ご意見、ご質問お願いいたします。

 ○川田委員 1つよろしいでしょうか。ナロー化、非常に大事だと思うんです
  けれども、一方、世の中のニーズとしましてマルチメディア化といいましょ
  うか、ナローのデータ伝送だけではなくて、ワイドバンドのデータ伝送、例
  えば画像とかですね、そういうニーズもあろうかと思うんですけれども、そ
  の辺をフレキシブルに考えたシステムを構築するか、それともあくまでもナ
  ローといいましょうか、6.25kHzにこだわるのか。その点、いかがな
  んでしょうか。

 ○稲田移動通信課長 ここでご審議いただきますのはナロー化、デジタル化等
  のことについてご審議いただければと思っておるところでございます。
   画像伝送等ございますけれども、そこら辺につきましては、実はこういっ
  た周波数帯、非常に周波数がひっ迫して、かなり苦しいというふうな状況が
  ございますので、それはまた別途違った周波数帯等で考えていきたいという
  ふうに考えているところでございます。

 ○西澤会長 よろしゅうございましょうか。ほかにご意見、ご質問ございませ
  んでしょうか。
  〜 暫時 〜
   よろしゅうございますか。それでは、ただいまの郵政省側からの説明を了
  承としまして本件諮問をお受けすることとさせていただきたいと思います。
  この諮問に対する審議体制については、資料102−17に示すとおり40
  0MHz帯等デジタルナロー通信方式委員会を設置することとしたいと思い
  ますが、よろしゅうございましょうか。
  (異議なしの声)
   それでは本件の調査審議に当たりましては、専門的な事項について調査す
  ることが必要と考えられますので、分科会などを置くことができることにし
  たいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  (異議なしの声)
   どうもありがとうございました。それでは、400MHz帯等デジタルナ
  ロー通信方式委員会を設置いたすことにしたいと思います。ただいま設置い
  たしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指名につきましては、
  資料102−18にお示ししたとおりとさせていただきたいと思います。ご
  了承願いたいと思います。

 (7) 新規諮問
   「次世代移動通信方式の技術的条件」(諮問第95号)

 ○西澤会長 それでは、次の新規諮問、「次世代移動通信方式の技術的条件」
  に入らせていただきたいと思います。これも郵政省側からご説明を願います。

 ○稲田移動通信課長 移動通信課長の稲田でございます。引き続きご説明申し
  上げます。
   資料102−19の2ページ目をお開きいただければと思います。次世代
  移動通信方式の技術的条件。先ほど川田委員の方から映像や画像という話が
  出ましたけれども、実は次世代移動通信方式につきましては、2Mbpsま
  での伝送を行うということで、簡易な映像まで送れるということを前提とし
  て開発を進めておるものでございます。
   少し先に進みまして4ページを開いていただければと思うんですけれども、
  実は、現在、携帯・自動車電話につきましては、電話を主体としてサービス
  が提供されておるところでございますけれども、最近インターネットアクセ
  スあるいは画像ですとか映像というマルチメディアサービスへの対応という
  のが、だんだんと求められるようになってきておるところでございます。
   あるいは日本で使っておる携帯電話を例えば北米ですとか中国でも使いた
  いといったようなグローバルなサービスの実現も求められているところでご
  ざいます。
   それとあわせまして、自動車・携帯電話につきましては、加入者枠がだん
  だんとひっ迫しておりまして、そういった意味では周波数ひっ迫対策として
  も、次の新しいシステムが求められているところでございます。
   そういった意味で、現在、ITUの方では、2と書いてあるところのIM
  T−2000用周波数、この周波数の利用を前提とした技術開発が進んでい
  るところでございますけれども、こういったバンドの中のAバンド、192
  0から1980MHz、それとペアとなります2110から2170MHz、
  Bバンドとして2010から2025MHz、こういった周波数帯につきま
  して、次世代移動通信システムに関する調査研究会の報告の中で、IMT−
  2000用において使っていくようなことが報告されているところでござい
  ます。
   今回ご審議いただきますのは、こういった次世代の携帯電話システムでご
  ざいますIMT−2000の技術的条件につきましてご審議いただければと
  いうふうに思っているところでございます。
   次の5ページ目でございますけれども、こういったIMT−2000とい
  うもの、国際的にはITUで検討しておるんですけれども、こういったもの
  につきまして、無線伝送方式というのがITU−Rにおいて検討していると
  ころでございますけれども、これの各国からの提案締切が来年の6月という
  ところになっているところでございます。
   この提案を議論しまして、99年3月、ここで基本パラメータを決定する
  ことになっております。実はこの基本パラメータがITUで決定されますと、
  この基本パラメータの項目に無線設備の強制規格として定めるものがほとん
  ど入るものと考えられますので、こういったものを見ながら、日本における
  次世代携帯電話の技術的条件を決めることができるのではないかと考えてい
  るところでございます。
   このサービスにつきましては、日本ではおおよそ2001年くらいに第1
  ステップのサービス。これは特に64kbpsあるいは384kbpsぐら
  いまでの高速伝送サービスが考えられておりまして、2003年ぐらいにな
  りますと、これがさらに2Mbpsぐらいまでにさらに高速化されると考え
  られるところでございます。
   飛びまして7ページでございますけれども、こういったものにつきまして、
  現在どういったことが検討されているかということを一番最後の図で書いて
  ございます。ヨーロッパの方では、現在、5方式が検討されているところで
  ございます。ワイドバンドTDMAあるいはOFDM(Orthogonal
  Frequency Division Multiplexing)とい
  う衛星放送、ラジオ放送に使っている方式でございますね。それとあと広帯
  域CDMA。電波産業会の方でも広帯域CDMA方式が検討されているとこ
  ろでございます。
   あと北米におきましては、同じ広帯域CDMAのうち現在のナローバンド
  CDMAの方の発展型としての広帯域CDMAの方式が検討されておりまし
  て、現在、民間の機関が主体となりまして欧州、日本、北米等における広帯
  域CDMAの方式の調整が行われているところでございます。
   2ページに戻っていただければと思いますけれども、先ほど申しました新
  しい2GHzの周波数帯、こういったものにつきまして望ましいサービス形
  態あるいは導入イメージ等を明確にいたしまして、そういったものを踏まえ
  まして、次世代移動通信システムの伝送方式等の一般的条件あるいは無線設
  備等の技術的条件、こういったものについて答申を希望するものでございま
  す。
   答申を希望する時期といたしましては、先ほど1999年3月にITUの
  方で基本パラメータが決まるというふうに申し上げましたけれども、その直
  後の平成11年4月くらいに答申を希望しているところでございます。
   答申をいただきましたら、関係省令等の整備に活用していきたいというふ
  うに考えているところでございます。以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に
  関しまして、ご意見、ご質問お願いいたします。

 ○安田委員 この次世代の移動帯通信に割り当てられている周波数が230M
  Hzですか、これが決まったのは大分前の話だと思います。その当時は、現
  在のような移動体通信の普及、発展を想定していたのかどうか、ちょっとよ
  くわからないんですけれども。高速のチャンネルを使うということは、それ
  だけたくさんの周波数帯域が必要になるということでして、230MHzと
  いうことで、将来考えた場合、次世代がどのくらいの加入者を想定している
  のかということが、もし現在もう既にいろいろお考えでしたら教えていただ
  きたいと思います。

 ○稲田移動通信課長 この加入者の枠につきましては、次世代移動通信システ
  ムに関する調査研究会というものがございまして、その中で検討いたしてお
  りまして、おおよそこのIMT−2000の需要につきましては、2010
  年度末で1,700万から1,900万程度というふうに予想されていると
  ころでございます。
   また、こういった需要予測に基づく必要周波数帯域幅でございますけれど
  も、おおよそ少なくとも126MHz程度、現在、AバンドとA´バンドに
  つきまして、先ほど60MHzずつということで120MHzというふうに
  申し上げましたけれども、おおよそこういったものを利用して、こういった
  程度というふうに予想されているところでございます。

 ○安田委員 その時のいま、平均のチャンネル当たりのビットレートはどれく
  らいで計算された値でございますか。

 ○稲田移動通信課長 すみませんけれども、把握しておりませんので、別途調
  べてお答え申し上げます。

 ○竹田計画課長 追加してご説明申し上げますと、世界的な周波数の利用とい
  うことでは、世界無線通信会議というところで議論されるわけですけれども、
  今年、世界無線通信会議97というのがございます。その中で議題になって
  いるのは、2GHzではここにMSSと書いてございますけれども、衛星用
  の周波数について拡大すべきであるといったような議論がアメリカを中心に
  出てございます。
   ただ、いまのところ、日本としては現在のこういった周波数利用計画でよ
  いのではないかということで対処しております。

 ○羽鳥委員 研究会のことをちょっとお手伝いしたことがございまして、思い
  出してみますと、先ほど課長さんの方からご説明いただいたように60MH
  zと60MHzということで、その中に、これは例として例示したんですけ
  れども、20MHzを対にして、事業者に使っていただくとすると、それを
  電話用に使う場合と、非常に閉じた空間において余りゾーンを大きくしない
  ような状態で、ワイドバンドCDMAで提供していくと、2Mbpsぐらい
  の高速なものにも同じ周波数帯を使えるということでございますが、その使
  い方は必ずしも動きまわって使えるようなものではなくて、限られた閉じた
  空間の中で2Mbpsぐらいまで使っていけるということを検討いたしまし
  た。

 ○安田委員 そうすると、2Mbpsというのは、本格的な車の中で使うとい
  うことは、いまのところ考えていないということでしょうか。

 ○羽鳥委員 ちょっと難しいのではないかと。それをやるとすぐパンクすると
  思います。

 ○安田委員 わかりました。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。それではほかにご意見ございま
  せんでしょうか。よろしゅうございますか。
  〜 暫時 〜
   ないようでございますので、省側からのご説明を了承いたしまして、本件
  諮問をお受けすることにさせていただきます。この諮問に関する審議体制と
  しましては、資料102−20に示しましたとおり、次世代移動通信方式委
  員会を設置することとしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  (異議なしの声)
   それでは本件の調査審議に当たっては、専門的な事項について調査をする
  ことが必要と考えられますので、分科会などを置くことができることとした
  いと思います。よろしゅうございましょうか。
  (異議なしの声)
   それではどうもありがとうございました。ご異議ないようでございますの
  で、次世代移動通信方式委員会を設置することにさせていただきたいと思い
  ます。
   ただいま設置いたしました委員会の委員長及び所属委員と専門委員の指名
  につきましては、既に配付してありますとおり、資料102−21のとおり
  としたいと思います。よろしくお願いいたします。

 (8) 審議開始
   「陸上移動業務と放送業務の周波数共用問題」(諮問55号関連)の審議
  開始について

 ○西澤会長 それでは8番目、審議開始でございます。「陸上移動業務と放送
  業務の周波数共用問題」でございますが、諮問第55号関連の審議を開始し
  たいということでございます。これにつきまして省側からご説明をお願いし
  たいと思います。

 ○竹田計画課長 電気通信局電波部計画課長竹田でございます。座って説明さ
  せていただきます。
   資料102−22に陸上移動業務と放送業務の周波数共用問題の審議開始
  についてということで説明資料がございます。
   1の審議開始の背景ということで、1段落目には、過去にこの諮問におき
  まして平成3年1月諮問されまして、平成3年6月に準マイクロ波帯及び準
  ミリ波帯における一部業務の共用問題に関する一部答申を受けてございます。
  具体的な中身は無線LANでございます。
   第2段落目にございますとおり、我が国の電波利用というのは移動通信分
  野の携帯電話、PHSを初めとします利用者の急増といったことが一方であ
  るわけでございますけれども、地上のテレビジョン放送分野におきましては、
  従来のアナログ放送に加えて地上のデジタルといったようなことが開始され
  ようとしているところでございます。
   こういったような周波数利用の需要、質的変化に対応いたしますために、
  周波数の一層の有効利用ということを図るための技術の確立ということで、
  今回、その1つの解決方策といたしましてテレビジョン放送用の周波数帯の
  一部を特定の地域で移動通信に利活用できるようにする周波数共用技術に関
  しての検討をお願いしたいというものでございます。
   2の審議の重点事項ということで、1番目は陸上移動業務と放送業務の周
  波数の共用条件、2番目といたしまして必要とする周波数共用技術というこ
  との2点でございます。
   3番目に答申を希望する時期ということで、平成10年3月ごろ一部答申
  をお願いできればと考えてございます。
   4番目に行政上の措置ということで、周波数利用計画の策定、あるいは研
  究開発施策等に活用させていただければというふうに考えております。
   1ページめくっていただきまして、参考1ということで、政府では規制緩
  和推進計画というのが平成7年から閣議決定をされてきてございまして、こ
  の中で通信と放送の周波数帯域の共用化といったようなことが決定されてお
  ります。
   一番下の部分が現在、平成9年3月28日の閣議決定ということで、現在
  の政府の規制緩和推進計画の中身でございます。この中で通信、放送の周波
  数帯域の共用化について混信防止技術の開発を促進しつつ、通信・放送の技
  術動向や今後の放送分野における周波数利用の動向を踏まえて検討を進める
  となってございまして、平成7年度から検討を開始しております。平成7年
  度、8年度につきましては社団法人電波産業会で周波数共用についての検討
  をお願いして報告をまとめていただいております。
   こういったこともございまして、今回、審議の開始をお願いしている次第
  でございます。もちろんいままで2年間の電波産業会での検討といったもの
  も検討の際にご活用いただければというふうに考えてございます。
   それから3ページ目は一番最初に平成3年に諮問をいたしましたときの諮
  問理由で、参考につけさせていただいております。説明は以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に
  関しまして、ご質問、ご意見ございますでしょうか。

 ○長谷川委員 周波数共用技術の検討、有効利用という観点では有益な検討と
  いうことでは私ども理解しております。ただ、いまご説明ありましたように、
  放送業務の周波数については今後、地上のテレビジョン放送のデジタル化あ
  るいは音声放送のデジタル化ということも計画されておりまして、これらの
  遂行に支障がないよう、十分なご審議をぜひお願いしておきます。以上です。

 ○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
  〜 暫時 〜
   先ほどのご意見、当然のことでございますので、十分ご配慮をいただき検
  討を行っていただけるものと思います。
   それでは、本件につきましては、いまのご意見も踏まえました上で、周波
  数共用委員会の方でご審議のほどよろしくお願いいたします。なお周波数共
  用委員会に所属する専門委員の先生方につきましては、資料102−23の
  とおり、若干変更がございますので、ご承知おきを願いたいと思います。


 (9) 審議状況報告
   BSデジタル放送の暫定方式及び地上デジタルテレビジョン放送暫定方式
  の原案(伝送部分)について

 ○西澤会長 それでは次に入らせていただきます。審議状況報告でございます
  が、「BSデジタル放送の暫定方式及び地上デジタルテレビジョン放送暫定
  方式の原案(伝送部分)について」でございます。
   本件につきましては、デジタル放送システム委員会の方で放送の各メディ
  アを対象としたデジタル放送方式の技術的条件の検討を行っておりますが、
  今回、委員会においてBS放送及び地上デジタルテレビジョン放送に関する
  暫定方式を定め、実験を開始するということでございますので、これについ
  てご報告をお願いしたいと思います。
   それでは、デジタル放送システム委員会の委員長をお願いしております安
  田先生、よろしくお願いします。

 ○安田委員 デジタル放送システム委員会は平成6年7月に設置されたわけで、
  諮問第74号に対して設置されまして、現在までに7回の審議を行っておる
  わけでございますが、既に平成7年の夏にはCSデジタル放送、通信衛星を
  使うデジタル放送の技術的条件につきまして答申を行っておりますし、また
  平成8年の夏にはデジタルCATV放送の技術的条件についても答申を行っ
  ております。
   現在は、今後の課題であります放送衛星の関係と地上デジタルテレビジョ
  ン放送、この2つについて検討を進めておるわけでありまして、資料といた
  しましては、いまお手元にあります資料102−24で、これにいろいろな
  資料がございますが、時間の関係もございますので、最初の方の10ページ
  までのところ、ここに概要がございます。先ほどご紹介がございましたBS
  デジタル放送の暫定方式、これが最初から別紙1までの5ページです。それ
  から次に地上デジタルテレビジョン放送暫定方式の原案(伝送部分)が別紙
  2ということで6ページから10ページにございます。その後には委員会の
  構成でありますとか審議状況であるとか、メンバー構成であるとか、いろい
  ろございまして、最後の方に2つ、別添1、2というのがございます。その
  別添1というのがBSデジタル放送に関する今回ここでのご報告の本体であ
  ります。それから別添2というのが地上のデジタルテレビジョン放送暫定方
  式の原案、これの本体のものでございます。ただ時間の関係もございますの
  で、こちらはあとでお目通しいただくということで、最初の10ページのと
  ころでご説明させていただきたいと思います。
   最初に別紙1のBSデジタル放送の暫定方式についてというところでござ
  いますが、これはBS−4後発機におきましてデジタル放送が予定されてお
  るということから逆算していきますと、本年中に技術的条件を固めておく必
  要があるということで、いま、急いで諸般の作業をしておるところでありま
  して、この暫定方式に基づきまして、今月の25、26日の両日にわたりま
  して、BS−3bを使いました実証実験が行われまして、これが成功したと
  いう判断をしております。
   この方式を策定するに当たりましての基本的な考え方でありますが、特に
  CSとの違いを重点においてご説明いたしますと、BSデジタル放送では高
  精細度テレビジョンの放送ができるようにする。それを1つのトランスポン
  ダーで最大2チャンネル取るようにする。それから現行、既にアナログのB
  S放送が行われておりますが、その受信アンテナ、端末にアダプターをつけ
  るということによって、受信を可能にするということが大きな条件というこ
  とです。
   そのほかできるだけ低廉な受信機の製造をするとか、CS放送や地上放送、
  CATV、蓄積メディアといったさまざまなメディアとの間にできるだけ共
  通性を持たせる。そういったような条件のもとで考えておるわけであります
  が、3番目に暫定方式というのがあって、表がございます。
   この表で、最初のほうがメディア横断的な共通技術というのがあります。
  まず映像フォーマットでありますが、問題の映像フォーマットにつきまして
  は、CS放送の場合は走査線で480本の飛越走査のものと同じ480本の
  順次走査、この両方だけしかございませんが、このBS放送では1,080
  本の飛越走査(インターレース)、それから480本のプログレッシブと4
  80のインターレース、この3つをまず決めまして、さらにこれは現在まだ
  検討中でありますが、720pであるとか1,080プログレッシブ(順次
  走査)、こういったものの検討が行われております。
   それから音声符号化方式が、これはMPEG−2の方で音声符号化方式が
  進化いたしまして、CSはMPEG−2の中のAudioでBCという方式
  を使っておるんですが、新たにMPEG−2のAudioでAACと称する
  従来のBCに比べますと2倍ぐらい効率の高い方式が標準化されましたので、
  今度はこれも使うということを検討中です。あと限定受信、多重化方式につ
  きましては、基本的にCSと同じでございます。
   それからBSデジタル放送に固有な技術ということで、伝送路符号化方式
  でありますが、変調方式がCSの場合はQPSK(Quadrature 
  Phase Shift Keying)、4相の直交位相変調だけでござ
  いましたが、BS放送ではトレリス符号化を行いました8相の位相変調であ
  る8PSK、それから4相のQPSK、それから2相のBPSK(Binary
  Phase Shift Keying)と、この3種類を切りかえあるい
  は併用できるようにしている。これは降雨減衰等に対する対策として、条件
  がよければ、普通の状態ではトレリスの8相符号化によって一度に送れる情
  報量を大きく増やす。条件が悪い場合には、より降雨減衰に強いけれども、
  伝送レートの低いQPSKであるとかBPSKに下げる。
   こういったフレキシブルな使い方ができるようになるということを考えて
  おるわけです。
   それから誤り訂正符号は、基本的にはCSと似たような方式を使いますが、
  もちろん8相につきましては、そのコンボリューショナルコード、トレリス
  符号化そのものがコンボリューショナルに相当するようなことになりますの
  で、それ以外はCSと同じでございます。
   それから伝送帯域幅。CS放送の場合は27MHz帯域のトランスポンダ
  を使って、最大で34Mbpsの伝送スピードを得たわけでありますけれど
  も、このBSの場合は幾つかの帯域を想定いたしまして。これは実際に広い
  帯域を使おうといたしますと、他国との交渉(調整)といったような問題が
  起こりますけれども、その可能性を残すということで27MHz、33MH
  z、36MHzとこの3つの帯域を考えまして、情報伝送レートも先ほど言
  いましたような8相のトレリスを使う等の手段によりまして、より高くなり
  まして、39Mbps、50Mbps、53Mbpsと。これによりまして、
  1つのHDTVの番組を伝送するために、最低で18Mbps、22Mbp
  s程度必要であると言われておりますので、おおよそ2チャンネル取れると
  いうことになるわけであります。こういう方式を決めたわけであります。 
   実証実験のことが次の4ページ目に書いてございますが、先ほど言いまし
  たように、9月25、26日の両日、衛星を利用した折り返し実験をもう既
  に行ったわけでございます。実験項目としてそこに書いてございますような
  幾つかの項目について測定をいたしました。
   次の5ページ目のところは、このBSデジタル放送のイメージということ
  で、いま説明したことをわかりやすく書いたもの。HDTVを2チャンネル
  取ることができる。ただしA社とB社という別の社が、それぞれ独立に衛星
  にアクセスするということは、現時点では考えない。通信衛星の方ではTD
  MAということで実現しているんですが、放送の場合、まだ課題がありそこ
  まで実験をする時間的な余裕もないということで、一応、A社とB社は1つ
  の局に入って、そこで時間的に並べまして、それから1つの送信機で送信す
  るという形を取ることにいたしております。
   受信の方式は、そこにございますようにBSデジタルの放送受信機、専用
  の受信機でももちろん受かりますし、現在のアナログのHDTV用の受像機
  にBSデジタル放送アダプターをつけても受かるというものでございます。
   続きまして、地上のデジタルテレビジョン放送暫定方式の原案(伝送部分
  )。ややこしいんですけれども、暫定方式の原案(伝送部分)ということで
  ございます。これはまだ詳細は決まっておりませんで、至急実験を始めるた
  めに必要な、特に問題となる伝送部分について、方式を決めたわけでありま
  す。
   この方式策定に当たっての基本的な考え方は、2000年以前にデジタル
  放送が地上テレビジョン放送が実施できるように技術基準を定めるというこ
  とで検討するというわけでありまして、多チャンネル放送の実現。これは標
  準テレビジョン放送で地上のいまのアナログの6MHzの周波数間隔であり
  ますが、そこの1つのチャンネルで3番組以上送れるようにするということ
  でございます。
   それから高精細度テレビジョンも、これは1チャンネルということになる
  と思いますが、そういったことも可能になるようにするわけであります。
   さらに大事なことは、同じ周波数を中継に使うといいますか、アナログの
  場合は、中継には別の周波数を使わなければいけないんですが、単一周波数
  による中継、シングル・フリケンシー・ネットワークという中継方式が可能
  になるようにする。
   それからさらにもう一つ特徴的なことは、移動体向けの放送が可能な方式
  であること。これはいま、地上波テレビジョンのデジタルテレビジョン放送
  方式に向けて欧米で検討中でありますが、特に日本のものの特徴として挙げ
  られるかと思います。移動体向けの放送が可能になる。
   そういったようなことを条件にいたしまして決めましたのが、基本的な伝
  送路符号化方式はOFDM(Orthogonal Frequency 
  Division Multiplexing)といいまして、与えられた
  伝送帯域の中に無数のキャリアを立てる。実際、何千本と立てる。1,000
  本以上、何千本も立てるんですね。
   それで1つ1つのキャリアに信号を乗せるわけですが、非常にたくさんの
  キャリアがありますために、並列伝送になる。並列伝送すれば、早い信号も
  1つ1つのチャンネルで見ればゆっくりした信号になる。その信号がゆっく
  りであるということによって、マルチパスの遅延であるとか、そういった問
  題に対して強くできるというのが特徴です。
   OFDMという方式がございます。これは実はヨーロッパが先行しており
  まして、ヨーロッパのDVBが既にこうたいう動きを取ろうとしておったわ
  けでございますが。研究は日本も非常に早くからこの方面では実績があるも
  のであります。
   かつこれをヨーロッパ方式と違って、与えられたバンドの中に周波数分割
  で13個のセグメントを取る。13個以下で、各セグメントを実際には43
  2kHzという、7ページ目のところに図がございますが、セグメントにな
  るわけでありますが、ここにキャリアをずっと入れるわけですけれども、セ
  グメントごとに違った変調が可能になるようにしたわけです。
   したがって、あるセグメントがだめになったとしても、別のセグメントは
  生き残るなど、変調方式を違えることによって、そういうことが可能になる
  わけでございます。そういうことによって移動体に対する放送も可能にしよ
  うと、こういうわけであります。
   別紙2の初めのところに戻りますが、セグメント化したOFDMをセグメ
  ントごとにDQPSK(Differential Quadrature
  Phase Shift Keying)、それからQPSKですね、それ
  から16値のQAM(Quadrature Amplitude 
  Modulation)と、それから64QAMと、この4種類の変調方式
  が選べるようにできております。これはセグメントごとに1種類選んで決め
  るわけです。伝送制御信号についてはDBPSK(Differential
  Binary Phase Shift Keying)を使う。
   誤り訂正方式はCSと同じように、内符号が畳み込み符号、外符号がリー
  ド・ソロモンの符号を使うということです。
   多重化方式はMPEG−2のシステムでありまして、これはCSと同じで
  あります。
   伝送帯域幅は5.6MHz、この中に432kHzを単位としたセグメン
  トを13個設ける。すべてのセグメントをこれは64QAMをしたときには、
  最大の伝送容量が正味23.42Mbpsということが取れますので、一応
  HDTVが送れると、こういうスピードになるわけでございます。
   細かい話は非常に複雑でありますので、ここで短い時間でご説明すること
  はできませんが、以上をまとめた図として7ページにありますようなセグメ
  ントの構成と図8、9等におきましては各ヨーロッパ、アメリカ方式との比
  較がしてありまして、アメリカの方式はシングルキャリアでございますので、
  移動受信などはとんでもない、できない。フェージングや干渉に余り強くな
  い方式で、ヨーロッパ方式は日本と同じようなOFDMということで強うご
  ざいますが、ヨーロッパの方式はセグメントという概念を入れていないので、
  先ほど言いましたように、移動体受信というようなことを考えた場合には日
  本方式が優れているという主張ができるかなということでございまして、こ
  の丸がついているようなことになるわけであります。
   細かいことについては、この表にあるとおりでございます。以上、簡単で
  ございますがご説明とさせていただきます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまして、
  ご質問、ご意見お願いいたします。

 ○長谷川委員 一言よろしゅうございますか。お礼とお願いということになり
  ますけれども、ただいまご報告がありましたように、デジタル放送システム
  委員会でBSデジタル方式の暫定方式ということが報告されました。今月の
  25、26日で電波産業会が実証実験を行いまして、これをもって放送衛星
  の1つの中継機で2つの高精細度テレビジョンが放送可能だということが明
  らかになったわけでございます。
   これまで電波産業会及びデジタル放送システム委員会の非常に短期間では
  ありましたけれども、ここまでおまとめいただきましたことに対して深く感
  謝しています。
   BSのデジタル方式は、今後恐らく数十年使うことになると思いますので、
  その技術基準の策定は、ある意味では歴史的なことになるだろうと思ってお
  ります。
   最終的な答申が行われますまで、予定したスケジュールを尊重しながら、
  ぜひ十分な検証を行って、各関係機関、いろいろございますので、ひとつ協
  調的な関係で今後、作業していただくことをお願いするものです。
   また、地上の方は暫定方式の原案ということで、これもまた電波産業会の
  実験方式の審議をベースにしたもので、これまで電波産業会及び同委員会で
  これも短期間の間に非常に精力的におまとめをいただいたことに対して深く
  感謝しております。
   地上については、まだ原案でございまして、今後、暫定方式の策定に向け
  ていろいろな実験が行われると思いますが、その辺の結果を十分見直しをか
  けて、慎重に進めていただければというふうに思っています。
   また放送行政局長の私的諮問機関であります地上デジタル放送懇談会、こ
  の審議も全体的に行われておりますので、この辺の審議状況も尊重しながら、
  報告の検討を進めていただきたいということをお願いしておきます。
   いずれにせよ短期間でこのような成果を得られたことについて深く感謝い
  たします。
   以上でございます。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。ほか
  にございませんでしょうか。
   久々に日本の方が一番いいというのが開発されまして、大変うれしく思っ
  ております。ぜひ今後とも本日の審議を踏まえまして、引き続きデジタル放
  送システム委員会のご検討、安田先生、よろしくお願いいたします。


 (10) 報告
   平成10年度予算概算要求の概要及び科学技術関係予算概算要求の概要に
  ついて

 ○西澤会長 それでは次に入らせていただきます。「平成10年度予算概算要
  求の概要及び科学技術関係予算概算要求の概要について」でございます。郵
  政省側からご説明お願いしたいと思います。

 ○寺崎技術政策課長 通信政策局の技術政策課長の寺崎と申します。お時間も
  詰まってきておりますので、手短にご説明させていただきたいと思います。
  お手元の資料、102−25の資料でございます。平成10年度予算概算要
  求の概要ということでございます。ページを開いていただきまして表紙から
  2枚めくっていただきますと、1ページ目ということで情報通信行政関係の
  予算が書いてございます。
   平成10年度の要求額は政府全体の一般歳出が対前年度比マイナスの厳し
  い財政状況下でございますが、842億9千万円ということで、平成9年度
  に比べまして5億6千万円、0.7%の若干増ということでございます。
   このうち一般財源にかかわる要求額は平成9年度予算に比べて5億6千万
  円、0.9%増、622億4千万円ということでございます。
   また電波利用料財源にかかわる要求額につきましては、従来と同様、予算
  編成過程において検討されることとされておりまして、予算概算要求の段階
  では、平成9年度予算額と同額ということで、220億5千万円を要求して
  おります。
   なお、今回の概算要求では新聞等々でも出ておりますとおり、財政構造改
  革の決定に従いまして、公共投資の7%削減、地方公共団体向けの補助金の
  10%削減等、個別分野ごとのキャップが厳しく設けられておりまして、郵
  政省の各分野の概算要求もそれに沿ったものとなっております。
   また今回の概算要求において設けられました特別措置のうち、郵政省に適
  用されるのは環境・科学技術・情報通信等経済構造改革特別助成措置という
  ことでございまして、この特別助成措置にかかわる要求額は17億6千万円
  ということで、これにかかわる概数についてはまた後ほど触れたいと思いま
  す。
   次に、無利子融資、低利融資でございますけれども、これは無利子融資の
  融資期待額338億円ということで、低利融資の期待額は加入者系光ファイ
  バ網整備の671億円を含む1,162億円ということでございます。
   財政投融資につきましては、財政投融資額の出融資期待額は2,446億
  円ということで、9年度に比べ減少しておりますけれども、これは課金決定
  などに基づきまして、要求額の一層のスリム化要請、こういったようなもの
  を踏まえたために融資を精査した結果によるところでございます。
   それから産業投資、一番下ですけれども、特別会計につきましては、産業
  投資特別会計からの出融資要望額268億円ということで、内訳は通信・放
  送機構への出資補助、基盤技術研究促進センターへの出資が260億円とい
  うことであります。この260億円の基盤技術研究促進センターは昨年と同
  額でございます。
   2ページ目は平成10年度一般会計予算要求額842.9億円の内訳を円
  グラフであらわしたものでございます。
   それから以下3ページでございますけれども、まず次世代ネットワークイ
  ンフラの構築ということで、加入者系光ファイバ網の整備、それから地上デ
  ジタル放送の関係のパイロット実験、それから成層圏に浮かべて浮遊します
  飛行船を活用した新たな無線ネットワークの研究開発、そのほかインターネ
  ット上での電子商取引の発展に関する研究開発を含んでおります。
   それから2番目の情報通信利用の普遍化・高度化、こういった面につきま
  しても、高齢者・障害者のための情報バリアフリーの環境の整備、あるいは
  先導的アプリケーションの開発・普及という点では電気通信システム共同開
  発事業といった点で各種の中身を取り入れさせていただいております。
   地域情報化の推進につきましては、マルチメディア中心市街地再活性化事
  業、こういったようなものを新たに推進していくこととしております。
   それから5ページでございますが、創造的研究開発の充実・強化というこ
  とでございまして、ここでは標準化というものが我が国の国際競争確保に大
  きくかかわってきているということから、国際標準化に直結する研究開発プ
  ロジェクトを民間企業等から公募させていただくような標準創造型研究開発
  制度、11億円でございますけれども、こういったような創設を要求するな
  どして標準化への取り組みを強化していきたいと考えております。
   また本年4月に当審議会の答申をいただきました戦略研究開発プロジェク
  トや情報通信ブレークスルー21、こういったような重点研究活動につきま
  しても、継続的に推進していくことにしております。
   次に、真ん中辺ですが、グローバルな情報流通の促進、こういう項目がご
  ざいますが、こういった点につきましても沖縄マルチメディア特区構想の推
  進、そういった点を盛り込ませていただきます。
   6ページ目ですけれども、以上が一般会計の重要施策でございますけれど
  も、先ほど冒頭申し上げました環境・科学技術・情報通信等経済構造改革特
  別措置ということで、要求する6つを6ページに参考として入れさせていた
  だいております。これらの施策につきましては、年末に向けて官邸において
  優先度合いの施策にまとめまして、評価が高いものについては増額査定もあ
  り得るということでございます。
   それから7ページ目、8ページ目、9ページ目は郵政事業関係の特別会計
  の貯金や簡保でございますので、説明は省略させていただきますが、ご覧に
  なっていただければと思います。
   それから10ページ目でございますが、郵政事業関係の平成10年度予算
  重要施策の関係でございますけれども、1点だけ触れさせていただきたいと
  思います。10ページの上の方ですけれども、郵便局ネットワークの開放・
  活用というポイントでございますけれども、郵政ネットワークは身近な拠点
  と全国に2万4,600のネットワークを有する国民共有の共通インフラで
  ございます。こうしたネットワークの開放・活用を図り、行政手続や金融サ
  ービスに関する国民の利便性の向上に資するということで、(1)でワンス
  トップサービスの推進、(4)で海外の郵便局、CDネットワークとのオン
  ラインネットワークのオープンネットワーク相互接続といったようなことが
  書いてございますけれども、こういったようなことを推進していくこととし
  てございます。
   郵便局ネットワークと通信がある程度結びつくというのは、今後非常に重
  要だと思っております。そういう点で特にワンストップ行政サービスにつき
  ましては、自治省を初め、地方自治体とも連携を取りながら、電子内容証明
  機能を付加して国に対する手続を行う高度化実験だとか、近隣自治体に対し
  ても公的サービスの申し込み等を行うことができるような広域化実験、住民
  票等の自動交付を行う自治体端末の活用実験、こういったようなものに取り
  組んでいくことにしております。
   以上が平成10年度の郵政省関係の説明でございます。資料102−25
  の下に冊子の形で平成10年度郵政省重点政策−21世紀型ネットワーク社
  会への改革−がついてございますので、ご覧になっていただければと思いま
  す。
   急いで申しわけございませんが、資料102−26について説明させてい
  ただきます。これは平成10年度、いま、郵政省予算の10年度全体のお話
  を申し上げましたけれども、科学技術関係予算概算要求の内容ということで、
  科学技術関係の予算を取りまとめてございます。
   先ほど申し上げました一般会計、842億9千万円のうち、資料102−
  26、1ページ目でございますけれども、そこに書いてありますとおり32
  6億7,600万円が科学技術関係ということになります。
   さらに下から2つ目に産業投資特別会計、先ほど260億円の出融資があ
  ると申し上げましたけれども、この326億円と260億円合わせまして、
  郵政省一般会計の科学技術関係予算は、一番下ですけれども、586億7,
  600万円ということになりまして、昨年度に比べて1.7%増という水準
  になっております。
   なお、ここではじいている数字は、先ほど申し上げました電波利用料の試
  験業務等々は昨年と同額で計上しておりますので、電波利用料につきまして
  は無線局がまた伸びておりますので、今年の12月までにその伸び分を取り
  入れまして、額が積み上がると思います。でき上がりという点では、さらに
  この586億円より電波利用料の追加分がかさ上げになるというように想定
  してございます。
   なお、2ページ以降、具体的に研究開発で重点的にやるものを図でもって
  説明等してございますが、時間が大分超過してございますので、これもあと
  でご覧になっていただくということで、説明とさせていただきたいと思いま
  す。どうもありがとうございました。

 ○西澤会長 どうもありがとうございました。それではただいまのご説明に関
  しましてご意見、ご質問お願いいたします。
  〜 暫時 〜
   よろしゅうございましょうか。21世紀最重要産業ですので、大いに頑張
  ってやっていただきたいと思います。

 (11) その他

 ○西澤会長 それでは次に移らせていただきたいと思いますが、その他の項で
  ございます。議事の11番目になるわけでありますが、郵政省側から行政改
  革会議の中間報告についてご説明があるということでございますので、よろ
  しくお願いいたします。

 ○甕技術総括審議官 それでは私の方から、行政改革会議の中間報告(抜粋版
  )、平成9年9月3日行政改革会議が開催されましたので、この内容につき
  まして、かいつまんでご説明いたします。
   開いていただきまして、1ページ目ですけれども、主として情報通信関係
  を中心に説明してまいりますけれども、科学技術関係、内閣機能の強化とい
  うことで、右の方の真ん中辺ですけれども、総合科学技術会議というものが
  設けられるということで、これは現在の科学技術会議を強化していくという
  一環でここに位置づけられております。
   それから科学技術関係につきましては、これは教育、学術、文化に関する
  行政と科学技術行政とを統合して1省を設けるとするということで、文部科
  学技術省というものがあるわけですけれども、ただ行政目的に直接関係する
  研究開発は基本的には各省庁が行うというくだりもありまして、行政目的に
  あわせた研究開発の各省での強化というものもまたあるわけでございます。
   それから左下の総務省のところに外局として4つの機関がくっついており
  ます。郵政事業庁、通信放送委員会以下とあります。特に情報通信関係では、
  ここで通信放送委員会という位置づけにされているわけでございます。
   その次のページを開いていただきます。ここではそれぞれの省の内容につ
  いて、まず組織がどうなっているかということで、先ほども総務省の中の外
  局として通信放送委員会という位置づけがありまして、これは外局でありま
  して、内局は人事、組織管理、行政観察、地方自治、現在で言えば総務庁な
  いし人事院等が内局、外局はここに書いてあるところでございます。
   3ページ目にまいりまして、所掌の内容ですけれども、情報通信関係は総
  務省の下の方の外局として置かれる云々のくだりの中に入ってございます。
  ここをちょっと読んでみます。「外局として置かれる諸機関のうち、郵政事
  業庁は、郵便事業等を担当するもの、また、通信放送委員会は、電波監理等
  を含む通信・放送行政を担当するものである。ただし、情報通信産業の振興
  に係る事務は、同委員会ではなく、産業省の所管となる」。いわゆる委員会
  と産業省の方に業務が分断されていくということが、この内容に書いてござ
  います。
   それから次のページ、これはアウトソーシングの話ですけれども、これは
  郵政三事業のことについて触れてあります。これはあとで読んでいただきた
  いと思います。
   それから5ページ目、ここに全体の省庁再編の姿があらわれています。先
  ほども総務省の中に通信放送委員会が位置づけられるというように申しまし
  たが、また右の方に科学技術関係、文部科学技術省が書いてあります。上の
  方には当然、内閣府の中に総合科学技術会議というのがあるわけでございま
  す。
   それから一番最後のページ、「おわりに」というところがあります。ここ
  では現在、与党との調整が行われております。そのくだりがここに書いてあ
  るわけです。1行目のところの「政党とりわけ与党の協力が絶対に不可欠で
  ある」というくだり。それから後半の方ですが、「与党の意見も尊重しなが
  ら行政改革会議において審議を継続することとし、行政改革会議における考
  え方と与党内における意見とが齟齬を来さないよう、政府与党間のコンセン
  サスの形成に向けてこの協議の場を精力的に活用していくべきである」とい
  うことで、ここが現在行われているわけであります。
   それから一番最後のくだりで「最終的には」とありますが、「最終的には
  全般的に与党の理解が得られる形で最終案をまとめ上げていかなければなら
  ない」ということでありまして、もう既にいろいろと説明等が行われて、与
  党でも議論が行われているということでございます。
   私どもとしましてはこの動き、大いに注視していくということでございま
  す。以上でございます。

 ○西澤会長 ありがとうございました。何かご質問、ご意見ございますでしょ
  うか。

 ○安田委員 郵政省さんは、まな板の上の鯉なのかもしれませんけれども、そ
  ういう覚悟で割と落ちついておられるように見受けますが、情報通信産業と
  いうのは、産業の中でいま、一番成長が著しい分野である。それと同時にイ
  ンフラであると思うんです。経済、社会の国民のインフラであって、福祉に
  も関係あるし。さらに無線通信という部分に限っていえば、電波という国民
  の貴重な、ほかにかけがえのない資源を使ったものが無線通信ということに
  なるわけで、その部分の切り分けといったような問題があるわけで、非常に
  政策課題が多いところでございます。
   そういうところをばらばらにしてしまうというのは、現時点で情報通信関
  係を取り扱う省がない場合に、新しく省をつくるというのなら話がわかるん
  ですけれども、逆にせっかくそういう担当する省があるのにばらばらにして
  しまうというのは、どうも我々素人には解せないところでございます。
   その辺が政府、与党の。最終的にどういう結論になるのか知りませんが、
  行政改革を進めておられる委員会は、非常に識見のある方々がやっておられ
  ると思いますけれども、ちょっとその辺が理解に苦しむところでございます。
   そういうことが、私は1人の国民としてそういうことを感じておるという
  ことを申しておきたいと思います。

 ○西澤会長 私は、第1号の意見陳述人で意見を申しましたので、責任上ちょ
  っとご説明しますと、本来、行政簡素化というのは巨大化をむしろ避けるべ
  きであってスリムな省庁の数を減らすというのがおかしいと思うんであって、
  ますますスリム化をするということは大事ですが、つまり資格制度はなるべ
  く外しちゃって、いらないっていうと怒られますが、無駄なものもあると思
  いますんで、そういうことがあると思います。
   それからやはり情報というのは新しいカテゴリーであって、物づくりとは
  違うわけです。もちろん機器の製造は産業省がみるというんだからいいんで
  すが、逆に農水事業というのは全部産業省から外すという非常に矛盾がある
  わけです。その辺のことを加味すれば、当然、21世紀最大重要要素の情報
  という観点は、むしろ独立の省として対応しやすいようにすべきである。む
  しろ研究機関、組織を強化すべきであるというのが私の意見であります。
   全部は書いてありませんが、その後、書類で意見を出しており、その中で
  も私は大体そういうことを申し上げております。おおよそ、安田先生のおっ
  しゃることと違わないと思います。
   昔から、網島さんあたりのご功績かもしれませんが、大変、先見の明のあ
  る省で、最初から国際水準におどりだした省だと思います。その歴史と伝統
  も非常に重要なものでありますので、何とか消さないようにすべきではない
  かというふうに考えております。

 ○川田委員 よろしいでしょうか。産業界にいまして、産業振興と規制といい
  ましょうか、行政といいましょうか、これは表裏をなすものではないかと実
  感として感じているわけでございまして、その辺で言っても、そんなふうに
  ならないようにといいましょうか、ぜひご配慮いただければと思います。

 ○西澤会長 製造ということにかかわれば、みんなかかわるんですね。ですか
  らやはりそれが裏表になってうまくいっているのがいままでの運営だったと
  思うわけでございまして。郵政だけをねらいうちにするというのが、私は非
  常に合点がいかないというふうに思っております。

 ○羽鳥委員 安田先生のおっしゃられた点とほとんど同じなんでございますけ
  れども、3ページ目のところで、通信放送委員会は電波監理等を含む通信放
  送行政を担当するものであると。ただし振興にかかわる事務は産業省の所管
  とするという点、先生のご指摘のように、それから産業界から見ても、やり
  にくいんだというご指摘があったわけですけれども、規制と振興というのは
  一対になっているようなところがあって、あるときに必要な規制というのは、
  あるときに外していくという形でもって規制が振興に変わっていくという側
  面もあるかと思います。
   例えば近年でいいますと、CATVに対する地域密着性の規制というのは、
  ある時点で、忘れもしません93年12月7日に外されたわけですけれども、
  それはそこまでは必要な規制だと思ったものを新たな振興のために、その時
  点から外したという事例もあるわけでございまして。
   そういうような規制と振興というのは、1枚の紙の上に、机の上にのせて
  おくというのが大事なことかと私も思うわけでございます。
   大変興味がありましたので、4日の朝刊を各紙買ってきて片っぱしから見
  たんですけれども、何ゆえにこういうことが出てきたかというのがわからな
  いという論調、あるいは賛成できないという論調の新聞が多かったようでご
  ざいます。
   特に行政委員会というタイプの運営につきましては、かつて電波監理審議
  会の前身の電波監理委員会というのが、その種の行政委員会であったことが
  あって、なかなかうまく動かなかったという前例があるように承知しており
  ます。
   それからもう一つの論調はアメリカのFCCがいいと、ああいう運営をし
  たいということを首相が考えられたんだろうという論調があったわけでござ
  いますけれども、多分アメリカのFCCと商務省や何かのお役所との間の関
  係というのは、幹部の人事がFCCの方が安定している。商務省や何かのダ
  イレクター以上のものは、いつ何時でも大統領は首を切ることができる。だ
  けれどもFCCの職員というのは、任期の間は大統領から首は切られない。
  ちょうど次の大統領が決まって任期が切れると、大幅な首のすげかえという
  のがあるように承知しておりますけれども、そういった意味ではアメリカで
  はお役所のダイレクターよりはFCCの委員の方が身分が安定していて、大
  統領から独立して行動することができるというような多少のメリットがある
  ように承知しておりますけれども、日本の場合に、郵政省の課長さんの首を
  総理大臣が切るというようなことは、並大抵なことではできるものではない
  と思われますので、その辺の日本とアメリカの大統領、首相の権限の違いと
  いうようなこともあるように思います。
   FCC以外にも、ヨーロッパのイギリスだとかドイツの事例もあるように
  思いますけれども、本当に行政委員会という形にするのがいいのか、さらに
  は規制と振興を別にするというのは、両方の役所に行かなくてはならないね
  というような産業界の方からのコメントを新聞が取り上げていたところでご
  ざいますので。
   本来の、安田先生初め皆様がおっしゃられたような格好で1つの省にして
  おかれることが重要なことではないかと思います。

 ○安田委員 私は不勉強なものですから、新聞をたくさん買って読むなんてい
  うことはしていないものですから、あるいはもうどこかに書いてあることを
  申し上げるかもしれませんが、気になったことを話させていただきます。
   いま、羽鳥先生が言われた行政委員会方式。これはアメリカでうまくいっ
  ていると言えるのかどうかわかりませんが、その時1つの側面として、アメ
  リカの産業界と日本の産業界の行動様式がまるで違うということが大きいの
  ではないかと思います。
   アメリカの場合は、例えば具体例を出すと問題があるかもしれませんが、
  ある1つの会社が非常に大きなプロジェクトをぶち上げて、国を動かして世
  界的な圧力をかけて何かをやるということを平気でやっていますね。そこの
  人間が政府の高官にまたぱっと変わったりするというようなことを平気でや
  っているわけですが、日本の場合は産業界が、いままでの風土があるんだと
  思いますけれども、横並び主義で、つまり産業界が上げてきたものを受け身
  の姿勢で行政委員会が受け付けて何かやるというような形では政策がうまく
  いかないのではないかと思うんです。もうちょっと政府が積極的に産業界の
  意見をむしろ自分で汲み上げるという形をしていかないと。まあ、これはど
  っちがいいかわからないですな。アメリカのようなのがいいのか。最終的に
  アメリカのような産業風土になるのがいいのかどうかわかりませんけれども、
  少なくともいま急にそういうことを変えますと、日本にとっては非常に国益
  を損なうような事態になるのではないかな、というのが心配の種です。そう
  いうことを申し上げます。

 ○西澤会長 大変根本的な議論まで出ましたが、今日はこのぐらいで打ち切ら
  せていただきたいと思います。折々また、これから先生方のご論議をいただ
  くことも大事ではないかと思います。よろしくお願いいたします。
   事務局から何かございますか。

 ○渡辺審議会室長 特にございません。


 3 閉会

 ○西澤会長 それでは、本日の会議はこれで終わらせていただきたいと思いま
  す。いろいろ活発にご意見をいただきまして、どうもありがとうございまし
  た。

第6 議決事項

 1 一部答申  諮問第1号「国際電気通信連合無線通信総会に対する対処に
        ついて」

 2 一部答申  諮問第3号「国際無線障害特別委員会(CISPR)の諸規
        格について」のうち『「車載受信機保護のための妨害波の推奨
        限度値及び測定法」及び「電磁両立性(EMC)に関する共通
        規格−その1(住宅、商業及び軽工業環境に関するエミッショ
        ン規格)及びその2(工業環境に関するエミッション規格)」』

 3 一部答申  諮問第64号「端末設備としての移動機に求められる技術的
        な条件」のうち「CDMA方式携帯・自動車電話端末に求めら
        れる技術的条件」

 4 答  申  諮問第90号「アナログ電話端末設備等に求められる技術的
        条件」

 5 答  申  諮問第91号「有線電気通信設備に関する技術的条件」

 6 新規諮問  「400MHz帯等を使用する業務用の陸上移動局等のデジ
        タル・ナロー通信方式の技術的条件」(諮問第94号)

 7 新規諮問  「次世代移動通信方式の技術的条件」(諮問第95号)



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