インターネットをご利用の皆様へ


電気通信事業における「公然性を有する通信」

サービスに関するガイドライン

(案)



T.ガイドライン作成の経緯



 インターネットは、世界規模でその利用が急速に普及しており、個人による情報発信や情報へのアクセスの機会を飛躍的に拡大させるなど、新しいメディアとして国際的にも国内的にも大きな期待を集めている。

 他方、インターネット上では、他人の誹謗・中傷情報やわいせつ情報等の違法又は有害な情報が、ホームページやニュースグループ等を介して不特定多数の者に流通する場合も多く、特に青少年に悪影響を及ぼすことが懸念されている。

 こうした状況にかんがみ、当協会では、インターネット・プロバイダーをはじめ第二種電気通信事業者が多数(平成9年3月現在395社)加盟している社団法人組織として、平成8年度に総会決議をもって「事業者倫理研究会」を組織し、「公然性を有する通信」(ホームページやニュースグループ等、不特定多数の相手方を対象とした通信)に関する電気通信事業者のサービス提供の指針について検討を行ってきた。

 情報の内容に関する責任は、基本的には情報の発信者に帰属するものであり、通信の媒介を業とする我々第二種電気通信事業者としては情報内容に容喙できるものではないが、他方、「公然性を有する通信」においては匿名で発信される情報も多く、受信者側からすれば、苦情を申し立てることのできる相手方としては電気通信事業者以外にないという場合も多くなってきている。

 そこで、当研究会では、以下の点に留意しつつ検討を行ってきた。
発信者の表現の自由を尊重することにより、情報の自由な流通と共有化を促進すること。
通信当事者の通信の秘密を確保することにより、個人情報の保護を図ること。
「公然性を有する通信」においては、違法又は有害な情報の流通により、発信者以外の者の人権が侵害される場合もあり得ること、特に青少年への悪影響に配慮すべきこと。
表現の自由及び通信の秘密と、違法又は有害な情報の流通の防止とのバランスをとること。

 検討の過程で、当協会に加盟している会員事業者のサービスの現状調査及びアンケートによる意見聴取を実施したほか、学識経験者、消費者団体、教育関係者、弁護士、放送界の方々のご意見も伺ってきた。

 今般、これまでの検討の結果のうち、基本的な考え方を「電気通信事業における「公然性を有する通信」サービスに関するガイドライン(案)」として、「公然性を有する通信」サービスを提供する際の電気通信事業者の運用指針を「運用マニュアル(案)」として、それぞれ取りまとめた。

 これらは、インターネット接続サービスを提供している電気通信事業者を対象として策定したものであるが、我々事業者側だけで策定するのではなく、インターネットを利用している方々のご意見を伺った上で修正を加えていくことが必要と判断し、ここに案を公表し、インターネットに関心を有する方々のご意見を広く募るものである。

 我々としては、このガイドラインをインターネット利用の実態に適したものとするよう、常に見直しを行っていくとともに、今後は、電気通信サービスにおける苦情処理の在り方について検討を続けていきたいと考えている。





U.電気通信事業における「公然性を有する通信」サービスに関するガイドライン



  1. インターネット接続サービスを提供する電気通信事業者(以下「事業者」という。)は「公然性を有する通信」サービスを提供する場合において、表現の自由を尊重することにより情報の自由な流通と共有化を促進するとともに、違法又は有害な情報の流通を防止するよう努めるものとする。
 →「運用マニュアル」第1条(利用者の個人情報の保護)

  1. 事業者は、利用者の個人情報を保護するため、必要な措置を講ずるものとする。
 →「運用マニュアル」第1条(利用者の個人情報の保護)

  1. 事業者は、「公然性を有する通信」サービスにおいて、利用者が違法又は有害な情報の発信をしないよう、あらかじめ約款又は利用契約で定めるとともに、契約後も利用者への啓発に努めるものとする。
 →「運用マニュアル」第2条(約款又は利用契約で定めるべき事項)及び第3条(苦情処理)

  1. 事業者は、「公然性を有する通信」サービスにおいて、発信者の表現の自由を尊重しつつ、発信者以外の者の権利利益を確保する観点から、発信者以外の者からの苦情に迅速に対応するとともに、苦情の寄せられた情報の発信者に対し、必要に応じ、警告、当該情報の改善要求若しくは削除、利用の停止又は契約解除を段階的に行うものとする。
 →「運用マニュアル」第2条及び第3条

  1. 事業者は、苦情処理に迅速に対応するため、ログ管理の徹底及び苦情受付窓口の一元化を図るとともに、どのような情報に対して苦情が寄せられているかについて利用者の注意を喚起するため、苦情事例を匿名で公開するよう努めるものとする。
 →「運用マニュアル」第3条及び第4条(ログ管理の徹底及び苦情受付窓口の一元化)

  1. 事業者は、利用料金の請求額が高額に及ぶおそれのあるサービスについては、利用料金の請求額が高額に及ぶ場合を想定した条項を契約内容に盛り込む等の措置を講ずるものとする。
 →「運用マニュアル」第5条(高額利用料金請求に関する注意)

  1. 事業者は、「公然性を有する通信」サービスにおいて、違法又は有害な情報の流通から青少年を保護するため、フィルタリング・ソフトウェアなどの技術の導入等を検討し、その普及に努めるものとする。
 →「運用マニュアル」第6条(青少年保護)

  1. 事業者は、犯罪捜査に対しては、通信の秘密の保護と公共の安全とのバランスを勘案しつつ、刑事訴訟法等現行法令に則って対応するものとする。
 →「運用マニュアル」第7条(犯罪捜査等への対応)

  1. 事業者は、インターネットが世界的に急速に普及していることを踏まえ、インターネット上を流通する違法又は有害な情報の取扱いについて、諸外国の事業者及び事業者団体と協調して検討するよう努めるものとする。