2018年9月3日号

■自動運転

[1]大手スーパーマーケットチェーンのクローガー、自動運転車を使った食料品配達をテスト≪アメリカ≫

 米国の大手スーパーマーケットチェーンのクローガーは、8月16日、アリゾナ州スコッツデールのフライズ・フードストアで、技術パートナーのニューロとともに運転手不要の自動運転車を使った食料品配達のテストを開始すると発表しました。
利用者は、frysfood.comのウェブサイトか、Fry's Food Storesのモバイルアプリから、配送可能か確認し、発注することができます。当日配送、翌日配送の両方に対応するとしています。
 クローガーのヤエル・コセット最高デジタル責任者(CDO)は、「クローガーは手頃な料金の食料品配達の利便性をより多くの顧客に届けたいと考えている」と述べ、今回のテストには消費者の食料品配達サービスに対する需要を測るという意味もあると付け加えています。
テストの第1段階では、ニューロの技術を搭載したトヨタ・プリウスが使用される予定です。この車両には、自動運転システムにエラーが発生した場合や緊急事態に備えて運転手が搭乗する席があります。また、席を完全に排除したニューロの自動運転配達用バンR1は、今秋よりテストに投入される予定です。
 ニューロの広報は、R1の最終認定とテストを完了するまでの間、宅配と全体的なサービスの改善にプリウスが使われるとしています。自動運転車による配達は、1件5ドル95セント(約660円)で、最低購入額はありませんが、利用できるのは店舗のあるZIPコード(85257)地域内に限られます。
 なお、Amazonがプライム会員向けにホールフーズからの食料品無料配達を提供開始する中、クローガーと競合する大手スーパーマーケットのウォルマートも、食料品宅配の「ラストマイル」部分のコストを削減するため、サービスのテスト実施でウェイモと提携しています。

■5G

[2]中国聯通、「5G NEXT」計画を発表し、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックでの5G活用例を明示≪中国≫

 中国通信事業者3番手の中国聯通は8月13日、「5G NEXT」計画を発表しました。計画は、開放・共有・共栄・Win-Winの5Gエコシステムの構築を目指し、先端的ネットワーク(New Network)、究極的ユーザー体験(Experience)、革新的技術利用(Technology)で、多くの業界の革新的発展(X)を支援するとしています。
 最初の5G基地局の正式稼働で選定された北京市において、2018年末までに300基地局を構築し、大規模のネットワーク構築とテスト、エコシステムの育成、業務体験・広報等の複数の目的達成を目指します。
 中国聯通は、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックの公式通信サービスパートナーでもあります。同社は、同大会において、次世代ネットワークを積極的に展開し、カバーエリア・センサー・利活用の面でリードする「5G未来の都」の構築に全力をあげるとしています。
 具体的には、5Gを大会の試合施設管理、競技体験、メディア放送、日常トレーニング等のシーンで活用し、全方位・多角度から冬季オリンピックと5G融合のソリューションを構築する計画です。例えば、(1)無人運転の連絡バス、メディアエリアの写真・映像・VRの即時伝送等、(2)オリンピック選手村のスマートインテリア、交通、飲食、医療、娯楽、動態画像認識に対し、固定、モバイル、インターネット、映像といった技術手段を提供、(3)情報通信ネットワーク、IoT、映像、ビッグデータ分析の能力に基づき、都市のオリンピック運営及び交通コントロールのために技術的ツールを提供(オリンピック専用道路の無人運転、高速道路沿線の5Gネットワーク等)、(4)競技施設の内外に5G大容量ネットワークを整備、重点施設のエッジコンピューティングと組み合せて観衆やSNS活動に技術的ツールを提供、世界の観衆による採点といった参加モデルの導入等が含まれます。

[3]アウディとエリクソン、自動車製造における5Gの活用で覚書を締結≪スウェーデン≫

 8月2日、ドイツの自動車メーカーのアウディと、スウェーデンの通信機器メーカーのエリクソンは、自動車製造で5Gを活用する先進的な計画にかかる覚書(MoU)に署名したと発表しました。両社は数か月中に、ドイツのバイエルン州ガイマースハイム(Gaimersheim)にあるアウディの技術センター「アウディ・プロダクション・ラボ(Audi Production Lab)」において専門家が参画する実地試験を行う予定です。
 アウディの最高情報責任者(CIO)であるフランク・ロイドル氏は、ネットワークが完備された工場は、将来の生産に大きな影響を与えるという見通しを示したうえで、リアルタイムで応答できる強力なネットワーク・アーキテクチャが重要であると述べています。また、エリクソンとのパートナーシップに基づき、スマート化された工場における産業アプリケーション向けの5G技術を活用に関する試験を実施する計画も示しました。
 エリクソンの最高技術責任者(CTO)であるエリック・エクデン氏は、製造業者の生産性向上とビジネス機会の創出を図る5Gの産業プログラムを実施する中で、アウディとのプロジェクトは、自動車製造環境における5Gの導入可能性を見定めるうえでも重要な機会であると位置づけております。
 両社は、プロジェクトの第1段階として、無線で接続された製造ロボットを用いて、車体製造に関連するアプリケーションの試験を実施する予定です。

■データ利活用

[4]通信事業者LG U+と新韓銀行、ビッグデータ活用新ビジネス開拓で提携≪韓国≫

 総合通信事業者LG U+(エルジーユープラス)と新韓銀行は7月31日、両社が保有するビッグデータを活用する新ビジネスを共同開拓することで手を結びました。韓国でもビッグデータを保有する業界がデータ活用ビジネス発掘に向けた努力を進めており、最近では自社だけではなく、データを保有する企業や機関間の連携が進みつつあります。特に、通信事業者と金融機関はお互いが異なるビッグデータを保有しており、連携によるシナジー効果が期待されます。
 今回の提携では、例えば、プロ野球好きな顧客の特性を分析する場合、LG U+のモバイル野球中継アプリの利用履歴と新韓銀行の2018年プロ野球タイトルスポンサー記念「新韓KBOリーグ積立・定期預金」加入及びイベント参加情報といった両社のビッグデータを組み合わせることで、多様な顧客の特性分析が可能となります。
 両社は協力事業の一環としてそれぞれのビッグデータを活用した「地域別購買力指数」開発を進める一方、年内にデータ流通プラットフォームもオープンする計画です。また、データ流通プラットフォームは一般にも開放する予定です。LG U+は昨年ビッグデータセンターを設立してビッグデータプラットフォームをオープンし、マーケティング、顧客管理、ネットワーク管理等でビッグデータ分析を各種業務に役立てています。

[5]財務省、国家データ戦略の策定に向け、英国におけるデータ駆動型経済の推進を目的としたディスカッションペーパーを公表≪イギリス≫

 財務省は8月2日、英国におけるデータ駆動型経済の推進を目的としたディスカッションペーパー「データの経済価値(The Economic Value of Data)」を発表しました。
 データ駆動型テクノロジーは2020年までに英国経済に毎年600億ポンド以上の経済効果をもたらすと考えられており、政府としては、安全かつ信頼できるデータ環境の整備とともに、データ駆動型経済の繁栄の基盤を整備する役割があるとし、データ流通の促進や企業による適切なデータアクセスの確保などの一連の政策を推進する必要があると、同ペーパーでは述べられています。
 同ペーパーは「第1章:データ駆動型イノベーションによる経済機会の創出」、「第2章:データ経済における課題」及び「第3章:データ革命における英国の指導的役割」の3章立てとなっており、第2章では具体的な課題として以下を掲げています。
 
(1)データの所有権及び権利への対処
(2)個人データの保護の確保
(3)公共部門のデータのオープン化
(4)相互運用性及び標準化の促進
(5)安全かつ合法的なデータ共有の実現
 
 政府としては、新たに設置した「デジタル市場における競争に関する専門家パネル(Expert Panel on Competition in Digital Markets)」(議長:ジェイソン・ファーマン教授)からのインプットを受けながら、本ペーパーを基礎として今後議論を重ね、新たな「国家データ戦略(National Data Strategy)」の策定を進めるとしており、その内容に注目が集まっています。

問い合わせ先

情報流通行政局
情報通信政策課情報通信経済室
電話:03-5253-5720
Mail:mict-now★soumu.go.jp
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